説明

肝疾患を予防および/または制御するための、キサントフモールまたはイソキサントフモールの活性物質としての使用

【課題】
【解決手段】本発明は、肝疾患を予防および/または治療する製剤を製造するため、式(I)を有するキサントフモールを活性物質として使用することに関する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝疾患を予防および/または制御するため、キサントフモールまたはイソキサントフモールを活性物質として使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
キサントフモールは、ホップに発生するプレニルフラボノイドである。種々の研究により、キサントフモールの生物学的作用が証明されている。
【0003】
例えば、EP 1 543 834 A1(特許文献1)には、キサントフモールの抗発癌作用が記載されている。
【0004】
キサントフモールは、強い骨吸収阻害作用を有しており、そのため骨粗鬆症を治療する薬剤として使用され得ることがEP 0 679 393 B1(特許文献2)により知られている。
【0005】
DE 103 08 864 A1(特許文献3)は、特別な醸造工程により、キサントフモールを高濃度に含有することで健康増進効果が向上したビールを製造する新規な醸造方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1543834号明細書
【特許文献2】欧州特許第0679393 号明細書
【特許文献3】西独国特許第10308864号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、キサントフモールおよびイソキサントフモールのさらなる健康増進用途を発見することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、肝疾患を予防および/または制御するための製剤を製造するため、キサントフモールを活性物質として使用することにより達成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、キサントフモールを用いる治療目的を示している。
【図2】図2は、特にB型およびC型肝炎の結果、肝臓に与えるウィルス損傷に対するキサントフモールおよび/またはイソキサントフモールの効能の概略説明図を示している。
【図3】図3は、C型肝炎に感染していない肝細胞と比較して、C型肝炎に感染した肝細胞に対するキサントフモールまたはイソキサントフモールの使用の選択的効能を示している。
【図4】図4は、正常な肝細胞(ヒト肝細胞)と比較して、肝臓癌細胞(HepG2)のアポトーシス(プログラム細胞死)に関し、キサントフモールの使用の効能のグラフ図を示している。
【図5】図5は、キサントフモールの投与量の関数として、長期にわたる肝臓癌細胞(HepG2)の成長の比較を示している。
【図6】図6は、肝硬変症における肝臓の瘢痕化の原因となる、自身の体の肝細胞の肝星細胞への変換を防止するため、キサントフモールを添加することの効果を示している。
【図7】図7は、肝硬変症における肝臓の瘢痕化の原因となる、自身の体の肝細胞の肝星細胞への変換を防止するため、キサントフモールを添加することの効果を示している。
【図8】図8は、キサントフモールの投与量を増加させることによる既存の活性化肝星細胞への効果を示している。
【図9】図9は、キサントフモールの投与量が活性化肝星細胞の成長に及ぼす影響を示している。
【図10】図10は、キサントフモールを純粋な形(>98%)あるいはキサントフモールが60%の割合で存在している形態で投与した後の肝臓癌細胞の生存期間(増殖)の比較を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記目的はさらに、肝疾患を予防および/または制御するための製剤を製造するため、イソキサントフモールを活性物質として使用することにより達成される。
【0011】
請求項に記載されている使用は、天然の活性物質を用いて肝疾患を予防し、治療を通して効果的に除去および制御し得るという利点を有する。キサントフモールまたはイソキサントフモールに副作用はない。このため、長期に渡り、特に定期的に摂取する場合、慢性肝疾患に対する効果的な予防・防御が可能となる。
【0012】
キサントフモールおよびイソキサントフモールは、急性肝硬変症や肝線維症の予防や治療に特に適している。驚いたことに、キサントフモールは、脂肪過多症(肥満)や糖尿病により媒介される肝損傷にとって非常に重要な代謝機序を阻害することが研究により示されている。脂肪過多症や糖尿病は、大多数の場合の肝硬変症の原因となっており、この傾向は増加している。総じて、慢性肝疾患は、重大な経済問題を象徴するようになってきている。キサントフモールまたはイソキサントフモールを継続的に投与することで、副作用を伴うことなく、効果的な予防・防御を全人口に提供することができる。
【0013】
さらに、キサントフモールまたはイソキサントフモールは、抗ウィルス性も有しており、肝炎、特にB型肝炎およびC型肝炎に対する活性が非常に高いことが研究により示されている。B型肝炎やC型肝炎は、慢性肝疾患における最も一般的な病原体である。ドイツの疫学的研究において、人口の約2%が慢性B型肝炎かC型肝炎に感染していることが示されている。このことも重要な社会的意義のある問題である。キサントフモールまたはイソキサントフモールを予防投与することで、一方では肝炎患者、すなわちB型およびC型肝炎患者の数を効果的に減らし、他方では肝炎の既存患者の経過に好ましい影響を及ぼすことができる。
【0014】
現在のところ、肝線維症を治療するための治療的投与形態は実証されていない。有害な根本的原因、すなわち、例えば肝炎ウィルス感染の場合、肝炎ウィルスを除去することでしか線維症を阻害または停止することはできない。しかしながら、根本的原因の除去は、ごく一部の慢性肝疾患患者において成功するに過ぎず、一般的に、遺伝的肝疾患患者には不可能である。肝炎ウィルス感染の場合、今までは強い副作用のある薬物を用いる必要があった。このような薬物を用いても、ウィルスの除去はごく一部の患者において実現されるに過ぎない。幸いに、キサントフモールまたはイソキサントフモールを使用することで、治療を提供し得る。
【0015】
最後に、キサントフモールおよびイソキサントフモールは、抗発癌作用も有する。現在のところ、肝臓癌や肝細胞癌(HCC)に関し、患者の生存率を向上する療法は、外科手術以外に実証されていない。HCCは、通常、診断時までに大きくなり過ぎているか、転移してしまっているため、現在のところ、外科的切除は、ごく一部のHCC患者において成功しているに過ぎない。キサントフモールを肝臓癌の治療に使用し得ることが示されている。
【0016】
さらに、キサントフモールまたはイソキサントフモールを、具体的にはリスク因子の高い人(遺伝的リスク、脂肪過多症、糖尿病患者)に対して予防薬として使用し得る。
【0017】
投与に関し、本発明は、マンニット、スクロース、ラクト−ス、グルコース、フルクトース、マルトース等の薬学的に許容される担体と共に、キサントフモールまたはイソキサントフモールを医薬組成物の活性成分として供給することで使用を提供する。
【0018】
キサントフモールまたはイソキサントフモールは、活性物質として食物に添加したり、飲料と混ぜる場合に特に適している。
【0019】
本発明にかかる使用の一実施形態によると、活性物質としてのキサントフモールまたはイソキサントフモールは、特に、具体的には肝臓における遊離酸素ラジカルの活性を低減または抑制するために添加される。いかなる形態であれ、すなわち(例えば、ウィルス、過度のアルコール消費、肥満および/または糖尿病や放射線被曝による)炎症の結果として肝損傷が存在する場合、遊離酸素ラジカルが形成され、これらが肝炎、肝線維症や肝硬変症および肝臓癌の発症に重要な役割を果たし得ることが判明している。キサントフモールまたはイソキサントフモールは、遊離酸素ラジカルの形成を阻害したり、その活性を妨害する。このため、肝臓に対する3つの上記損傷機構のすべてが、同等にキサントフモールまたはイソキサントフモールの影響を効果的に受けるという利点がある。
【0020】
特に、キサントフモールまたはイソキサントフモールの添加は、NF−カッパB因子に決定的な影響を及ぼす、すなわち、特にNF−カッパB因子の活性を低減または抑制するのに特に適していることが判明している。NF−カッパBは、細胞内のシグナル伝達物質であり、多数の細胞機能の調節に関与している。NF−カッパB因子は、具体的には肝臓に対する3つの上記損傷機構において大きな役割を果たすことが判明している。NF−カッパBは、NASHの発症および進行においても重要な役割を果たす。
【0021】
さらに、驚いたことに、キサントフモールまたはイソキサントフモールは、比較的多量に投与され得ることが判明している。知見によると、投与量が多くても、キサントフモールまたはイソキサントフモールによる悪影響はいずれの細胞においても発生せず、よって選択的活性を生じる。
【0022】
キサントフモールまたはイソキサントフモールの投与量を、例えば、下限値5μMから始めて増やしていくと、特に上限値100μMまで、効能の継続的な増加を確認できることが判明している。このため、治療剤の使用目的に応じて(予防薬または治療用薬物として日常的に摂取する量のキサントフモールまたはイソキサントフモールを含有した食物)、投与量の異なる製剤を特定の目的で販売し得るという利点がある。
【0023】
例えば、慢性感染症において、幾つかの活性機構が同時に存在し得るため、本発明にかかる製剤は、肝炎、肝硬変症や肝線維症および肝臓癌の発症や肝臓癌の進行に対する3つの活性機構をすべて同時に適切に制御するために使用され得る。
【0024】
活性物質、すなわちキサントフモールもしくはイソキサントフモールまたはその代謝産物もしくはその前駆物質を、肝臓内の活性物質濃度が≧5μM、特に≧10μM、特に≧20μM、特に≧30μM、特に≧40μM、特に≧50μMとなる投与形態(適用および/または投与量)で使用することが実用的である。
【0025】
活性物質を、肝臓内の活性物質濃度が最大で100μMとなる投与形態で使用することが好ましい。
【0026】
用途に応じ、特定の活性物質を、肝臓内の活性物質濃度が以下の範囲となるような投与形態で使用すべきである:1〜100μM、好ましくは1〜25μM、好ましくは1〜10μMまたは5〜100μM、好ましくは10〜50μM、好ましくは10〜25μM。用途に応じて適用範囲を選択しても良い。特に、線維症の治療には比較的低用量で十分であるが、肝臓癌の治療には投与量を増やすことが実用的である。
【0027】
キサントフモールまたはイソキサントフモールを、例えば、食物に混ぜて、または錠剤として投与すると、腸による吸収のため、キサントフモールまたはイソキサントフモールは比較的高濃度となるが、肝臓通過後には急速に希釈される。すなわち、他の臓器がこのような高濃度のキサントフモールを有することはない。
【0028】
ホップの草からキサントフモールを回収することに関し、EP 0 679 393 B1およびEP 1 543 834 A1の全開示を参照する。
【0029】
本発明によると、キサントフモールまたはイソキサントフモールの代わりに、その代謝産物、特にP450酵素複合体により肝臓内で生成される代謝産物を使用しても良い。このような代謝産物は、主にキサントフモールグルクロニド(glucoronides)や硫酸塩およびキサントフモールのメチル化体やナリンゲニン、特に8−プレニルナリンゲニンである。ナリンゲニン、特に8−プレニルナリンゲニンは、キサントフモールの最終代謝産物である。
【0030】
同様に、キサントフモールまたはイソキサントフモールの代わりに、その前駆物質を使用しても良く、これは、化学的および/または生理学的条件において再生してキサントフモールを生成する。
【0031】
したがって、肝疾患を治療をするための、本特許出願に記載されているキサントフモールまたはイソキサントフモールの使用はすべて、上記代謝産物および前駆物質にも適用される。
【0032】
本発明によると、キサントフモールおよび/またはイソキサントフモールが純粋な形ではなく、ホップ抽出産物の形態で存在している組成物を活性物質として使用しても良い。生産工程の結果、キサントフモールまたはイソキサントフモールの他に、活性物質の有機体への吸収の助けとなり、効能を高める一助となる担体成分が存在することが判明している。
【0033】
活性物質の各(純粋)画分に対する活性物質の投与量は、0.01mg/kg体重/日より大きいことが有益であり、0.1mg/kg体重/日より大きいことが好ましく、1mg/kg体重/日より大きいことが好ましく、10mg/kg体重/日より大きいことが好ましく、50mg/kg体重/日より大きいことが好ましく、100mg/kg体重/日より大きいことが好ましく、体重は人の体重を意味する。
【0034】
活性物質の各(純粋)画分に対する投与量は、161mg/kg体重/日未満であることが有益であり、50mg/kg体重/日未満であることが好ましく、10mg/kg体重/日未満であることが好ましく、1mg/kg体重/日未満であることが好ましく、0.1mg/kg体重/日未満であることが好ましく、体重は人の体重を意味する。
【0035】
活性物質の各(純粋)画分に対する投与量は、0.01〜161mg/kg体重/日の範囲であることが有益であり、0.05〜120mg/kg体重/日であることが好ましく、0.1〜100mg/kg体重/日であることが好ましく、0.5〜80mg/kg体重/日であることが好ましく、1〜80mg/kg体重/日であることが好ましく、5〜80mg/kg体重/日であることが好ましく、10〜80mg/kg体重/日であることが好ましく、体重は人の体重を意味する。
【0036】
キサントフモールまたはイソキサントフモールの割合は、0.1重量%〜99重量%の範囲であることが有益であり、5重量%〜99重量%であることが好ましく、10重量%〜99重量%であることが好ましく、20重量%〜99重量%であることが好ましく、30重量%〜99重量%であることが好ましく、40重量%〜99重量%であることが好ましく、50重量%〜99重量%であることが好ましく、60重量%〜99重量%であることが好ましく、70重量%〜99重量%であることが好ましい。
【0037】
活性物質としてのキサントフモールの他に、さらなる成分、特に、ホップからキサントフモールを回収することで生じる天然成分が存在する場合、これらの成分は、活性物質の有機体への吸収を向上させる結果をもたらすため、効能がさらに高められ得る。
【0038】
あるいは、純粋な形のキサントフモールまたはイソキサントフモールを使用しても良い。
【0039】
さらに、本発明によると、合成した形のキサントフモールまたはイソキサントフモールを使用することもできる。
【0040】
さらなる実施形態によると、キサントフモール、イソキサントフモール、その代謝産物および/またはその前駆物質は、少なくとも一つの追加的活性物質と組み合わせて使用される。この活性物質は、体における耐性および/もしくは吸収、ならびに/または投与される活性物質の効能および/もしくは安定性および/もしくは取扱特性に肯定的な影響を及ぼすものであることが好ましい。
【0041】
キサントフモール、イソキサントフモール、その代謝産物および/またはその前駆物質は、塩、特にアルカリ塩やアルカリ土類塩と組み合わせたり、それを基礎として使用され得る。
【0042】
投与される薬剤は、特に液剤、懸濁剤もしくは乳剤の形態、ナノ粒子の形態、または粉末剤やゲル剤として使用され得る。治療かそれとも予防を所望するかに応じ、独立した薬物、あるいは液剤や固形食に対する添加物として投与を行なっても良い。
【0043】
活性物質を、溶剤、担体物質、または製薬、栄養素もしくは食物に適したデンプン、デキストリン、特にシクロデキストリンやマルトデキストリン、タンパク質、メチルセルロース、カルボメトキシセルロースまたはキサンタンガム等の添加物を用いて投与しても良い。
【0044】
純粋な形のキサントフモール(>98%)を用いて以下に示す図1〜図9による研究を行った。
【実施例1】
【0045】
一例に、薬物の組成物を以下に提示する。
直接圧粉する粉末剤混合物
キサントフモール(純物質) 5g
微結晶性セルロース 10重量%
カルボキシメチルデンプンナトリウム 3重量%
高分散シリカ 1重量%
ステアリン酸マグネシウム 1重量%
タブレトース(ラクトース一水和物) 100重量%となる値
【実施例2】
【0046】
一例に、活性物質としてキサントフモールが添加された食物の組成物を以下に提示する。
【0047】
キサントフモール(粉末状の純物質) 200mL当たり500mg
牛乳製品(クリーム状、例えばヨーグルト)
クリーム状の食物への混合が容易であるため、食物の上記組成物により必要量のキサントフモールを最適に投与することが可能となる。
【0048】
図1は、キサントフモールを用いる治療目的を示している。説明図は、例えば、アルコール、ウィルス、放射線、脂肪過多症および/または糖尿病に起因する肝疾患を発端として肝臓癌に至る活性機構の連鎖を示している。キサントフモールおよび/またはイソキサントフモールを含有する製剤を使用することで、図1による活性連鎖の全ての段階が有益に妨害される。しかしながら、キサントフモールまたはイソキサントフモールは、活性部位の個々の段階の治療においても、目標とする方法でうまく使用され得る。
【0049】
図2は、特にB型およびC型肝炎の結果、肝臓に与えるウィルス損傷に対するキサントフモールおよび/またはイソキサントフモールの効能の概略説明図を示している。上記活性物質により、ウィルスの複製が有益に阻害されるだけでなく、正常な肝細胞を無損傷のまま残しながら、すでにウィルスに冒された自身の体の肝細胞が選択的に破壊されることが判明している。よって、本発明を用いることで、ウィルスに感染した肝細胞を削減または除去する標的療法が可能となる。
【0050】
比較図に基づき、図3は、C型肝炎に感染していない肝細胞と比較して、C型肝炎に感染した肝細胞に対するキサントフモールまたはイソキサントフモールの使用の選択的効能を示している。
【0051】
図4は、正常な肝細胞(ヒト肝細胞)と比較して、肝臓癌細胞(HepG2)のアポトーシス(プログラム細胞死)に関し、キサントフモールの使用の効能のグラフ図を示している。
【0052】
図5は、キサントフモールの投与量の関数として、長期にわたる肝臓癌細胞(HepG2)の成長の比較を示している。説明図に明白に示されているように、癌細胞の成長は、キサントフモールの濃度が上昇するにつれて、徐々に阻害されている。
【0053】
図6および図7は、肝硬変症における肝臓の瘢痕化の原因となる、自身の体の肝細胞の肝星細胞への変換を防止するため、キサントフモールを添加することの効果を示している。
【0054】
図7に示すように、瘢痕組織の形成は、キサントフモールの投与量が増加するにつれて次第に抑制されている。
【0055】
図8は、キサントフモールの投与量を増加させることによる既存の活性化肝星細胞への効果を示している。図6による説明図から、キサントフモールの投与量を増加させることで、活性化肝星細胞の破壊(LDH)の効果が高まっていることが分かる。
【0056】
図9は、キサントフモールの投与量が活性化肝星細胞の成長に及ぼす影響を示している。
【0057】
図10は、キサントフモールを純粋な形(>98%)あるいはキサントフモールが60%の割合で存在している形態で投与した後の肝臓癌細胞の生存期間(増殖)の比較を示している。後者は、従来の商業的プロセス中にホップ抽出物から回収したキサントフモールを示しており、追加的な天然成分を含有している。図において、棒が低いほど、多くの細胞で成長が阻害されている。
【0058】
キサントフモール60%を使用することで、純粋な形のキサントフモールよりもより強力な効果が得られることが証明されている。これは、天然のキサントフモールにおいて、残り成分は担体機能を有しており、そのために活性物質がより効果的に有機体に供給されるためである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝疾患を予防および/または制御するための製剤を製造するための、式
【化1】

を有するキサントフモールの活性物質としての使用。
【請求項2】
肝疾患を予防および/または制御するための製剤を製造するための、式
【化2】

を有するイソキサントフモールの活性物質としての使用。
【請求項3】
肝疾患を予防および/または制御するための、特に、肝疾患を予防および/または制御するための製剤を製造するための活性物質としての、キサントフモールの代謝産物の使用。
【請求項4】
前記キサントフモールの代謝産物として、P450酵素により肝臓内で生成される代謝産物を用いることを特徴とする請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記代謝産物が、グルクロニド(glucoronide)、硫酸塩、メチルまたはナリンゲニン、特に8−プレニルナリンゲニンであることを特徴とする請求項3または4に記載の使用。
【請求項6】
肝疾患を予防および/または制御するための、特に、肝疾患を予防および/または制御するための製剤を製造するための活性物質としての、化学的および/または生理学的条件において再生してキサントフモールを生成する前駆物質の使用。
【請求項7】
前記肝疾患が、肝硬変症または肝線維症であることを特徴とする請求項1〜6に記載の使用。
【請求項8】
前記肝疾患が、ウィルス性肝炎、特に肝炎、特にB型肝炎まはたC型肝炎であることを特徴とする請求項1〜6に記載の使用。
【請求項9】
前記肝疾患が、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)であることを特徴とする請求項1〜6に記載の使用。
【請求項10】
前記肝疾患が、肝臓癌であることを特徴とする請求項1〜6に記載の使用。
【請求項11】
前記キサントフモールもしくはイソキサントフモールまたはその代謝産物もしくはその前駆物質を、薬学的に許容される担体と共に、医薬組成物の活性成分として供給することを特徴とする請求項1〜6に記載の使用。
【請求項12】
前記キサントフモールもしくはイソキサントフモールまたはその代謝産物もしくはその前駆物質を、活性物質として食物に添加することを特徴とする請求項1〜6に記載の使用。
【請求項13】
前記キサントフモールもしくはイソキサントフモールまたはその代謝産物もしくはその前駆物質を、活性物質として飲料に添加することを特徴とする請求項1〜6に記載の使用。
【請求項14】
前記キサントフモールもしくはイソキサントフモールまたはその代謝産物もしくはその前駆物質を、遊離酸素ラジカルの活性を低減または抑制するために使用することを特徴とする先行する請求項の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項15】
前記キサントフモールもしくはイソキサントフモールまたはその代謝産物もしくはその前駆物質を、NF−カッパB因子に影響を及ぼす、特に、その活性を低減または抑制するために使用することを特徴とする先行する請求項の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項16】
特定の前記活性物質を、肝臓内の活性物質濃度が≧5μM、特に≧10μM、特に≧20μM、特に≧30μM、特に≧40μM、特に≧50μMとなる投与形態で使用することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項17】
前記活性物質を、肝臓内の活性物質濃度が最大で100μMとなる投与形態で使用することを特徴とする請求項1〜16に記載の使用。
【請求項18】
前記キサントフモールおよび/またはイソキサントフモールを、肝臓内の活性物質濃度が以下の範囲:1〜100μM、好ましくは1〜25μM、好ましくは1〜10μMまたは5〜100μM、好ましくは10〜50μM、好ましくは10〜25μMとなるような投与形態で使用することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項19】
活性物質の画分に対する投与量は、0.01mg/kg体重/日より大きく、好ましくは0.1mg/kg体重/日より大きく、好ましくは1mg/kg体重/日より大きく、好ましくは10mg/kg体重/日より大きく、好ましくは50mg/kg体重/日より大きく、好ましくは100mg/kg体重/日より大きく、体重は人の体重を意味することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項20】
活性物質の画分に対する投与量は、161mg/kg体重/日、好ましくは50mg/kg体重/日未満、好ましくは10mg/kg体重/日未満、好ましくは1mg/kg体重/日未満、好ましくは0.1mg/kg体重/日未満であり、体重は人の体重を意味することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項21】
活性物質の画分に対する投与量は、0.01〜161mg/kg体重/日、好ましくは0.05〜120mg/kg体重/日、好ましくは0.1〜100mg/kg体重/日、好ましくは0.5〜80mg/kg体重/日、好ましくは1〜80mg/kg体重/日、好ましくは5〜80mg/kg体重/日、好ましくは10〜80mg/kg体重/日の範囲であり、体重は人の体重を意味することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項22】
キサントフモールまたはイソキサントフモールの割合が、0.1重量%〜99重量%、好ましくは5重量%〜99重量%、好ましくは10重量%〜99重量%、好ましくは20重量%〜99重量%、好ましくは30重量%〜99重量%、好ましくは40重量%〜99重量%、好ましくは50重量%〜99重量%、好ましくは60重量%〜99重量%、好ましくは70重量%〜99重量%の範囲である組成物を活性物質として使用することを特徴とする先行する請求項の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項23】
純粋な形の前記キサントフモールまたはイソキサントフモールを使用することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項24】
合成した形の前記キサントフモールまたはイソキサントフモールを使用することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項25】
前記キサントフモールおよび/もしくはイソキサントフモールならびに/またはその代謝産物および/もしくはその前駆物質を、少なくとも一つの追加的活性物質と組み合わせて使用することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項26】
前記キサントフモールもしくはイソキサントフモールまたはその代謝産物もしくはその前駆物質を、塩、特にアルカリ塩またはアルカリ土類塩と組み合わせたり、それを基礎として使用することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項27】
前記キサントフモールもしくはイソキサントフモールまたはその代謝産物もしくはその前駆物質を、液剤、懸濁剤もしくは乳剤の形態、ナノ粒子の形態、または粉末剤もしくはゲル剤として使用することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項28】
キサントフモールおよび/もしくはイソキサントフモールならびに/またはその代謝産物もしくはその前駆物質を、肝炎に対する活性機構、肝硬変症や肝線維症に対する活性機構、ならびに肝臓癌の発症に対する活性機構および肝臓癌の進行に対する活性機構を適切に制御するために添加することを特徴とする請求項1に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2010−513360(P2010−513360A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541912(P2009−541912)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/011358
【国際公開番号】WO2008/077618
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(509175872)ジョー. バース ウント ソーン ゲーエムベーハー ウントコー. カーゲー (1)
【Fターム(参考)】