説明

肥料・農薬散布器

【課題】肥料・農薬散布器を提供する。
【解決手段】肥料または農薬を収容するホッパーと、排出口を有してホッパーから流入される肥料または農薬を空気と混合された状態で排出口を通じて噴射させる送風機と、送風機の排出口を通じて噴射された肥料または農薬を案内して外部に散布する噴射管と、を備える肥料・農薬散布器において、送風機を支持するフレームと、噴射管を通じて散布される肥料または農薬の散布方向が連続的に変わるように、噴射管をフレームに対して往復回転させるための回転手段と、を備えることを特徴とする肥料・農薬散布器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥料・農薬散布器に係り、特に肥料または農薬を前方側の左右方向に自動的に散布できる肥料・農薬散布器に関する。
【背景技術】
【0002】
稲、大根や白菜などの農作物を野外及びビニルハウス内に裁培する過程で、農作物の成長を促進させ、農作物が各種の病虫害を勝ち抜くように農作物を丈夫に育てるために、肥料または農薬を適切に使用し、かかる肥料または農薬は、一般的に肥料・農薬散布器を通じて散布される。
【0003】
図1は、従来の肥料・農薬散布器を示す図面である。
【0004】
図1に示すように、従来の肥料・農薬散布器60は、肥料または農薬を収容するホッパー10と、前記ホッパー10から流入される肥料または農薬が外部に噴射されるように、前記肥料または農薬に運動エネルギーを加えて、その肥料または農薬を排出口21を通じて噴射させる送風機20と、前記送風機の排出口21を通じて噴射された肥料または農薬を案内して外部に散布する長いパイプ状の噴射管30と、前記送風機20を支持する本体40と、を備える。作業者の両肩に前記肥料・農薬散布器60を背負うように、前記本体40には、肩ベルト41が設けられている。
【0005】
前記肥料・農薬散布器60を利用して田や畑に肥料または農薬を散布するために、作業者は、前記肥料・農薬散布器60を肩に背負って田や畑の全面積に直接散布せねばならない。前記ホッパー10には、重い肥料または農薬が収容されており、前記送風機20は、送風ファンと、その送風ファンを回すためのエンジンと、そのエンジンに燃料を供給する燃料供給筒と、を備え、前記肥料・農薬散布器60を背負うのに多くの力が必要になる。したがって、老弱者など力の弱い人が前記肥料・農薬散布器60を背負って肥料または農薬を散布するには適していないという問題点がある。
【0006】
また、肥料または農薬を田や畑に均一に散布するために、作業者が直接噴射管を持って左右方向に往復して振りつつ肥料または農薬を散布せねばならない。長時間重い肥料・農薬散布器を背負って肥料または農薬を散布せねばならず、しかも、噴射管を左右方向に振りつつ肥料または農薬を散布せねばならないので、多くの体力が消耗されるという問題点がある。
【0007】
このように、肥料・農薬散布器を直接背負ったままで肥料または農薬を散布する方式を改善するために、肥料・農薬散布器をトラクターなどの農機械に装着して使用する方法が提示された。しかし、肥料・農薬散布器が装着されたトラクターは、農作物が育っている耕作地では使われず、そのトラクターの行動半径が広くて狭い場所または傾斜した山岸では実用性が低下するという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、前述した問題点を解決するためのものであって、駆動源により左右方向に自動的に往復回転する噴射管を通じて肥料または農薬を散布することによって、容易に田や畑に均一に肥料または農薬を散布でき、作業者が直接肥料・農薬散布器を背負ったままで肥料または農薬を散布する必要なく駆動源により肥料・農薬散布器が移動可能に構造が改善された肥料・農薬散布器を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の肥料・農薬散布器は、肥料または農薬を収容するホッパーと、空気排出口を有して前記ホッパーから流入される肥料または農薬を空気と混合された状態で前記空気排出口を通じて噴射させる送風機と、前記送風機の空気排出口を通じて噴射された肥料または農薬を案内して外部に散布する噴射管と、を備える肥料・農薬散布器において、前記送風機を支持するフレームと、前記噴射管を通じて散布される肥料または農薬の散布方向が連続的に変わるように、前記噴射管を前記フレームに対して往復回転させるための回転手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記目的を達成するために、本発明の肥料・農薬散布器は、液状の肥料または農薬を収容するホッパーと、外部の空気を吸入して加圧させた後、加圧された空気を噴射させる送風機と、前記ホッパーの内部の液状の肥料または農薬を前記ホッパーの外部に移送するための移送部と、前記送風機及び前記移送部に連結され、前記送風機からの空気を利用して前記移送部を通じて移送された液状の肥料または農薬を外部に散布する噴射管と、を備える肥料・農薬散布器において、前記送風機を支持するフレームと、前記噴射管を通じて散布される液状の肥料または農薬の散布方向が連続的に変わるように、前記噴射管を前記フレームに対して往復回転させるための回転手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明による肥料・農薬散布器において、望ましくは、前記回転手段は、前記噴射管が結合され、前記フレームに回転可能に支持された回転部材と、前記フレームに設置された回転部材駆動用モーターと、前記回転部材駆動用モーターの回転力を前記回転部材に伝達してその回転部材を往復回転させる動力伝達ユニットと、を備える。
【0012】
本発明による肥料・農薬散布器において、望ましくは、前記動力伝達ユニットは、前記回転部材駆動用モーターにより回転する駆動ギアと、前記回転部材に設けられ、前記駆動ギアに噛み合う従動ギア部と、を備える。
【0013】
本発明による肥料・農薬散布器において、望ましくは、一端部は、前記送風機の排出口に接続され、他端部は、前記フレームに結合された移送管をさらに備え、前記回転部材には、前記移送管と前記噴射管とを連通させるための貫通孔が形成され、その貫通孔を通じて前記回転部材が前記移送管の他端部に回転可能に挟まれる。
【0014】
本発明による肥料・農薬散布器において、望ましくは、前記回転部材が一方向に所望の角度範囲まで回転したかを感知する第1センサーと、前記回転部材が他方向に所望の角度範囲まで回転したかを感知する第2センサーと、を備える。
【0015】
本発明による肥料・農薬散布器において、望ましくは、前記フレームには、曲率中心が前記回転部材の回転中心線上に位置する円弧形孔が形成され、前記第1センサー及び第2センサーは、前記円弧形孔に沿って位置変更可能に設置される。
【0016】
本発明による肥料・農薬散布器において、望ましくは、その中心が前記回転部材の回転中心線上に位置するように前記フレームに設置されるセンサー支持板をさらに備え、前記第1センサー及び前記第2センサーは、円周方向に沿って前記センサー支持板上に一定角度ほど離隔されるように付着される。
【0017】
本発明による肥料・農薬散布器において、望ましくは、前記噴射管は、パイプ状の本体部と、前記本体部の一端部に設けられて前記回転部材に結合される伸縮可能なしわ管部と、を備え、前記回転部材に結合されている第1支持部材と、前記回転部材の回転中心線と直交する仮想線を回転中心線として回転可能にその第1支持部材にピボット連結され、前記噴射管の本体部に結合される第2支持部材と、を備える。
【0018】
本発明による肥料・農薬散布器において、望ましくは、前記フレームに結合された移動輪をさらに備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明の肥料・農薬散布器は、労働力を低減し、作業性を向上させ、誰でも前記肥料・農薬散布器を利用して容易に肥料または農薬を散布できるので、過度な人件費の支払いを防止して農作物の生産コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明による肥料・農薬散布器の望ましい実施形態を、添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態による肥料・農薬散布器を示す図面であり、図3は、図2に示した肥料・農薬散布器のホッパーと送風機との縦方向への断面図であり、図4は、図2に示した肥料・農薬散布器の噴射管と回転部材とを備える部品の分解斜視図であり、図5は、図2に示した肥料・農薬散布器のモーター、駆動ギア及び従動ギア部を示す図面であり、図6は、図2に示した肥料・農薬散布器の噴射管、回転部材及び移送管が結合された状態を示す図面であり、図7は、図2に示した肥料・農薬散布器の第1センサーまたは第2センサーが回転支持部材に設置されていることを示す図面である。
【0022】
図2ないし図7に示すように、本実施形態による肥料・農薬散布器100は、肥料または農薬1が散布される方向を左右方向に連続的に変えるものであって、ホッパー110、送風機120、噴射管130、フレーム140及び回転手段を備える。
【0023】
前記ホッパー110は、肥料または農薬、例えば肥料1を収容するものであって、上下端部にそれぞれ肥料の投入及び排出のための投入口111と排出口112とが形成されている漏斗状の部材である。前記ホッパーの投入口111は、カバーにより開閉可能になっており、前記ホッパーの排出口112は、後述する送風機120の投入口124と連結される。前記ホッパーの排出口112内には、ホッパー110に収容されている肥料の排出を許容及び遮断する弁113が設置されている。
【0024】
前記送風機120は、ホッパー110から流入される肥料1が外部に噴射されるように、前記肥料1に運動エネルギーを加えてその肥料1を排出口121を通じて噴射させるものであって、支持フレーム126と、前記支持フレーム126内に設置されて回転する送風ファン125と、前記送風ファン125を回転させる動力を提供するエンジン122と、で形成される。前記エンジン122が駆動されれば、そのエンジン122と連結された送風ファン125が回転し、送風ファン125の中央領域で吸入された空気には、前記送風ファン125の回転による遠心力が加えられる。送風機の投入口124を通じて流入された肥料1は、自重により下側方向に落下するが、遠心力が加えられた空気と混合された肥料1は、送風機の排出口121を通じて噴射される。このように送風ファン125の回転により発生した遠心力により、肥料1は、外部に噴射される十分な運動エネルギーを確保する。
【0025】
前記フレーム140は、前記ホッパー110と前記送風機120とを支持するためのものであって、前記フレーム140には、移動輪191、補助輪193及びハンドル142が設置されている。前記移動輪191を利用して、作業者は、本発明の肥料・農薬散布器100を直接背負わず、地面上で前記肥料・農薬散布器100を転がしつつ肥料を散布できる。前記移動輪191の回転中心軸には、移動輪駆動用モーター192が連結されており、前記移動輪駆動用モーター192の駆動力により前記肥料・農薬散布器100は移動可能になる。前記補助輪193は、肥料・農薬散布器100が倒れないように支持するためのものであって、フレーム140の後方に設置されている。前記補助輪193は、円周面に歯部が形成された形状であるので、本発明の肥料・農薬散布器100を利用して狭い所や傾斜した地形で移動しつつ肥料散布作業を行うとき、前記補助輪193の歯部が地面に打ち込まれて肥料・農薬散布器100を支持して倒れなくすることによって、安全に作業できる。
【0026】
また、前記フレーム140には、前記肥料・農薬散布器100を引きつつ移動可能にするハンドル142と、前記移動輪駆動用モーター192と後述する回転部材駆動用モーター151とに充電された電気エネルギーを提供するためのバッテリー144と、前記移動輪駆動用モーター192と前記回転部材駆動用モーター151とを制御するための操作パネル部143と、が設けられている。
【0027】
前記噴射管130は、前記送風機の排出口121を通じて噴射された肥料を案内して外部に散布するものであって、本体部131としわ管部132とで形成されている。前記本体部131は、複数個のパイプ管が互いに長手方向に組み立てられて長く延びた形状であり、保管及び長距離移動時に便宜のために、前記複数個のパイプ管は分離及び再組み立てが可能な構造となっている。前方に向かって上下方向上の所望の角度で肥料を噴射できるように、前記本体部131と後述する回転部材150との間に前記しわ管部132が設置されている。前記しわ管部132は、その一端部は前記本体部131の一端部から延びるように結合され、その他端部は前記回転部材150に固定される。
【0028】
前記回転手段は、前記噴射管130を通じて散布される肥料の散布方向が連続的に変わるように、前記噴射管130を前記フレーム140に対して往復回転させるものであって、回転部材150、回転部材駆動用モーター151及び動力伝達ユニットを備える。
【0029】
前記回転部材150は、前記噴射管130が結合され、前記フレーム140に回転可能に支持されるものであって、その一面に前記噴射管のしわ管部132を挟むように突出部155が設けられている。前記しわ管部132と前記回転部材150とが相対的に回転しないように固定されて結合することによって、前記回転部材150が左右方向に往復回転すれば、前記噴射管130も左右方向に往復回転する。前記回転部材150の中央部には、前記送風機の排出口121から噴射される肥料が前記噴射管130側に移送されるように、前記送風機の排出口121と前記噴射管130とを連通させる貫通孔154が形成されている。
【0030】
前記回転部材駆動用モーター151は、前記噴射管130が左右方向に往復回転可能に回転力を提供するものであって、本実施形態では、正方向または逆方向に回転可能なDCモーターを使用する。前記回転部材駆動用モーター151の軸には、減速器154が連結されており、前記減速器154により前記回転部材駆動用モーター151の回転速度は遅くなり、その回転力は増加する。
【0031】
前記動力伝達ユニットは、前記回転部材駆動用モーター151の回転力を前記回転部材150に伝達してその回転部材150を往復回転させるものであって、駆動ギア152と従動ギア部153とで形成されている。前記駆動ギア152は、前記回転部材駆動用モーター151と減速器154とに軸連結されて、前記回転部材駆動用モーター151により回転する。前記従動ギア部153は、外周面及び内周面が設けられているドーナツ状の媒介部材156の外周面側に形成されているものであって、前記媒介部材156は、前記回転部材の突出部155に挟まれて前記回転部材150の外周面上に溶接などの方法により固着される。前記駆動ギア152と前記従動ギア部153とは互いに噛み合っているので、前記駆動ギア152の回転力は、前記従動ギア部153側にそのまま伝達されて前記回転部材150が回転する。
【0032】
一方、前記送風機120から噴射される肥料を前記噴射管130側に移送させる移送管170が設けられている。前記移送管の一端部171は、前記送風機120の一端部に接続され、前記移送管の他端部172には、前記フレーム140に固定されて結合されるようにフレーム結合部172aが設けられている。前記移送管の他端部172には、前記移送管のフレーム結合部172aから延びて前記回転部材の貫通孔154に挟まれるパイプ管状の延長部172bが形成されている。前記移送管の延長部172bと前記回転部材の貫通孔154との間には、軸受が介在されている。したがって、前記フレーム140に固定された移送管170に対して前記回転部材150は回転可能になり、前記移送管170を通じて移送される肥料も、前記貫通孔154に挿入された移送管の延長部172bを通じて直ちに噴射管130側に伝達される。
【0033】
前記フレーム140には、前記回転部材駆動用モーター151が設けられ、前記移送管のフレーム結合部172aが結合する回転支持部材145が設けられている。前記回転支持部材145は、対向する上板145aと下板145bとで形成されており、前記上板145aと下板146bとをいずれも貫通する貫通孔146が形成されている。前記上板145aには、前記回転部材駆動用モーター151及び前記減速器154が共に設置され、前記下板145bの下側から前記移送管のフレーム結合部172aが前記回転支持部材の下板145bに結合される。前記回転支持部材の下板145bの貫通孔146の周囲に、曲率中心が前記回転部材の回転中心158上に位置する円弧形孔141が形成されている。
【0034】
前記回転部材150が一方向または他方向に所望の角度範囲まで回転したかを感知するための第1センサー176と第2センサー177とが設けられている。前記第1センサー176は、前記回転支持部材の下板145bに固定されて設置されている一方、前記第2センサー177は、前記円弧形孔141に沿って位置変更可能に設置されている。前記第2センサー177の設置位置を変更することによって、前記噴射管130が往復回転する回転角度の範囲を調整できる。図7に示したように、前記第1センサー176及び第2センサー177は、ボルト161の端部に形成された孔を通じて挟まれており、前記回転支持部材145の下側には、前記第1センサー176及び第2センサー177の位置変更時にそれを移動するための移動レバー163と、前記回転支持部材145側に締められて前記第1センサー176及び第2センサー177の位置を固定させるナット162とが設けられている。本実施形態では、第1センサー176及び第2センサー177として磁力感知センサーを使用する。前記媒介部材156のエッジに90°の間隔に形成された4個の挿入孔157のうち、所望の位置の挿入孔157に磁石(図示せず)をはめ込めて前記回転部材150を回転させれば、前記磁石と前記第1センサー176または第2センサー177とが交差する位置で前記第1センサー176または第2センサー177により磁力が感知される。
【0035】
前記噴射管130の自重による落下を防止するために、その噴射管130を支持するための第1支持部材181と第2支持部材182とが設けられている。前記第1支持部材181は、前記回転部材150に結合されて前記回転部材150と共に回転する。前記第2支持部材182は、前記第1支持部材181に連結されており、前記噴射管の本体部131に結合されて前記噴射管130を支持する。前記第2支持部材182は、前記回転部材の回転中心線158と直交する仮想線を回転中心線183として前記第1支持部材181に対して回転可能に、その第1支持部材181にピボット連結されている。前記第2支持部材182の回転により、前記噴射管130は、上下方向への角度が調整される。
【0036】
以下、前述したように構成された本実施形態の肥料・農薬散布器を通じて、肥料または農薬の散布方向が自動的に左右方向に変わりつつ肥料または農薬が散布される作動原理を、図2ないし図7を参照しつつ概略的に説明する。
【0037】
まず、前記ホッパー110に収容されていた肥料または農薬、例えば肥料1は、前記弁113が開けられれば、自重により前記送風機120側に落下する。前記送風機の送風ファン125の回転により発生した遠心力が落下する肥料に加えられて、前記肥料は、外部に噴射される程度の運動エネルギーを確保した状態で前記送風機の排出口121側に送られる。前記送風機の排出口121を通じて噴射される肥料は、前記移送管170に沿って噴射管130に移送される。
【0038】
前記操作パネル部143を通じて、前記回転部材駆動用モーター151を駆動させて前記回転部材150を一方向(図5の“A”方向)に回転させる。前記回転部材150に設置された磁石(図示せず)と前記第1センサー176とが交差する位置で、前記第1センサー176が前記磁石の磁力を感知すれば、その信号により、前記回転部材駆動用モーター151は逆方向に回転し、前記回転部材150も前記一方向(“A”方向)の逆方向である他方向(図5の“B”方向)に回転する。前記回転部材150が前記他方向(“B”方向)に回転していて、前記回転部材150に設置された磁石と前記第2センサー177とが交差する位置で、前記第2センサー177が前記磁石の磁力を感知すれば、その信号により、前記回転部材駆動用モーター151は逆方向に回転し、前記回転部材150も再び前記一方向(“A”方向)に回転する。このように、前記回転部材150が左右方向に往復回転することによって、その回転部材150に結合された噴射管130も左右方向に往復回転可能になり、前記噴射管150を通じて噴射される肥料も自動的に左右方向にその散布方向が変更されて散布される。
【0039】
また、図7を参照して、前記第2センサー177の位置を変更する作動原理を概略的に説明する。
【0040】
前記第2センサー177の位置を変更しようとする時は、まず、前記ナット162が前記回転支持部材145の反対側に移動するように回転させて前記ナット162を解いた後、前記移動レバー163を利用して前記第2センサー177を所望の位置まで移動させる。前記第2センサー177を所望の位置に位置させた後、再び前記ナット162を前記回転支持部材145側に引き締めることによって、第2センサー177の位置を再び固定させる。
【0041】
前述したように構成された本実施形態による肥料・農薬散布器を利用すれば、作業者が肥料・農薬散布器を直接背負って肥料または農薬の散布作業を行う必要もなく、肥料または農薬の散布作業時に散布方向も自動的に左右に変わりつつ肥料または農薬が散布されるので、作業者一人でも容易に広い面積の田や畑に肥料または農薬を均一に散布できる。したがって、肥料または農薬の散布作業にかかる労働力を低減でき、農耕地の単位面積当たり及び単位人力当たり作業性を向上させる効果が得られる。
【0042】
また、本実施形態による肥料・農薬散布器を利用すれば、体力の弱い老人や未成年者誰でも容易に肥料または農薬を散布できる。したがって、若い男性に高い人件費を支払って肥料または農薬の散布作業に雇用する必要がなくなるので、過度な人件費の支出を防止して農作物の生産コストを低減できるという効果も得られる。
【0043】
一方、図8は、本発明の他の実施形態による肥料・農薬散布器の斜視図である。
【0044】
図8に示すように、本発明の他の実施形態による肥料・農薬散布器200は、ホッパー210、送風機220、移送部211、噴射管230、フレーム130及び回転手段を備える。図8において、図2ないし図7に示した部材と同じ部材番号により指される部材は、同じ構成及び機能を有するものであって、それらそれぞれについての詳細な説明は省略する。
【0045】
前記ホッパー210は、肥料または農薬を収容するものであって、特に本実施形態のホッパー210は、液状の肥料または農薬を収容する。前記ホッパー210の上端部には、液状の肥料または農薬を投入するための投入口211が形成されており、前記ホッパー210の背面の下端部には、液状の肥料または農薬を外部に排出するための排出口(図示せず)が形成されている。前記ホッパー210の排出口は、後述する移送部240と連結される。
【0046】
前記送風機220は、外部の空気を吸入して加圧させた後、その加圧された空気を排出口を通じて噴射させる。ホッパー110と連結された図2の送風機120とは異なり、本実施形態の送風機220は、ホッパー210と連結されない。すなわち、液状の肥料または農薬は、送風機220を通過せず、空気のみが送風機220により加圧されて噴射管230側に移送される。
【0047】
前記移送部240は、ホッパー210の内部の液状の肥料または農薬をホッパー210の外部に移送するためのものであって、一端はホッパー210の排出口に連結され、他端は噴射管230に連結されてホッパー210と噴射管230とを連通させる。本実施形態では、前記移送部240として移送ホースが利用される。前記移送部240により形成される移送経路の途中には、加圧ポンプ(図示せず)が設けられ、ホッパー210から排出される液状の肥料または農薬は、前記加圧ポンプにより加圧されて噴射管230まで到達可能である。
【0048】
前記噴射管230は、送風機220及び移送部240と連結される。前記移送部240を通じて移送された液状の肥料または農薬は、噴射管230の終端で前記送風機220により加圧された空気と合流し、前記空気の圧力を利用して液状の肥料または農薬を外部に散布する。前記噴射管230の端部には、移送された液状の肥料または農薬を均一に分散させるための複数の孔(図示せず)が形成されている。
【0049】
一方、図9は、本発明のさらに他の実施形態による肥料・農薬散布器の回転部材、センサー支持板部位の分解斜視図であり、図10は、図9の肥料・農薬散布器のセンサー支持板の平面図である。
【0050】
図9及び図10に示すように、本発明のさらに他の実施形態による肥料・農薬散布器は、センサー支持板270をさらに備える。図9及び図10において、図2ないし図7に示した部材と同じ部材番号により指される部材は、同じ構成及び機能を有するものであって、それらそれぞれについての詳細な説明は省略する。
【0051】
前記センサー支持板270は、環状の部材であって、その中心が回転部材150の回転中心線上に位置するようにフレーム140の回転支持部材145に設置される。望ましくは、前記センサー支持板270は、媒介部材156の下側に位置し、回転支持部材145の下板145bの上面に固定される。
【0052】
前記センサー支持板270には、5個のセンサー271が円周方向に沿って一定角度ほど離隔されるように設置されている。図10に示したように、最左側に一つのセンサー271が設置され、そのセンサー271を基準として円周方向に沿って時計回り方向にそれぞれ60°、90°、120°、180°の位置に他の4個のセンサー271が設置される。本実施形態のセンサー271として、図2の実施形態のセンサーと同様に磁力感知センサーが使われる。媒介部材156に形成された挿入孔157には、磁石272が挟まれ、回転部材150と一体に回転する媒介部材156が回転するにつれて、磁石272とそれぞれのセンサー271とが交差する位置でセンサー271により磁力が感知される。
【0053】
センサー支持板270上の異なる位置に設置されたセンサー271を組み合わせて、噴射管130を多様な角度の範囲内で回転させることが可能である。すなわち、180°の角度で離隔された二つのセンサー271を選択すれば(磁力を感知できるように電気的信号を印加すれば)、噴射管130は、180°の範囲内で回転可能になり、60°の角度で離隔された二つのセンサー271を選択すれば、噴射管130は、60°の範囲内で回転可能になる。前述したところと同じ原理により、噴射管130を90°または120°の範囲内で回転させることもできる。前記のように選択された二つのセンサー271が第1センサー及び第2センサーを構成する。
【0054】
図8及び図9に示した肥料・農薬散布器は、図2に示した肥料・農薬散布器と同じ効果を有するので、それ以上の詳細な記述は省略する。
【0055】
本発明の実施形態において、前記動力伝達ユニットは、回転部材駆動用モーターにより回転する駆動ギアと、前記回転部材に設けられた従動ギア部と、で形成されているが、回転部材駆動用モーターの回転力を回転部材に伝達するための動力伝達ユニットは、前記回転部材駆動用モーターに連結された駆動プリーと、前記回転部材に設けられた従動プリー部と、前記駆動プリーと前記従動プリー部とに巻きかかるベルトと、で形成され、ベルトにより動力が伝達されてもよい。
【0056】
本発明の実施形態において、前記回転手段は、本発明の肥料・農薬散布器にのみ装着されて利用されるものではなく、トラクター、乗用管理器または乗用田植え機のような多様な農機械に装着されて利用されてもよい。
【0057】
以上、望ましい実施形態及び変形例について説明したが、本発明による肥料・農薬散布器は、前述した例に限定されるものではなく、その例の変形や組み合わせにより、本発明の技術的思想を逸脱しない範疇内で多様な形態の肥料・農薬散布器が具体化される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、肥料・農薬散布器関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】従来の肥料・農薬散布器を示す図面である。
【図2】本発明の一実施形態による肥料・農薬散布器を示す図面である。
【図3】図2に示した肥料・農薬散布器のホッパーと送風機との縦方向への断面図である。
【図4】図2に示した肥料・農薬散布器の噴射管と回転部材とを備える部品の分解斜視図である。
【図5】図2に示した肥料・農薬散布器のモーター、駆動ギア及び従動ギア部を示す図面である。
【図6】図2に示した肥料・農薬散布器の噴射管、回転部材及び移送管が結合された状態を示す図面である。
【図7】図2に示した肥料・農薬散布器の第1センサーまたは第2センサーが回転支持部材に設置されていることを示す図面である。
【図8】本発明の他の実施形態による肥料・農薬散布器を示す斜視図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態による肥料・農薬散布器の回転部材、センサー支持板部位の分解斜視図である。
【図10】図9の肥料・農薬散布器のセンサー支持板の平面図である。
【符号の説明】
【0060】
100 肥料・農薬散布器
110 ホッパー
120 送風機
121 排出口
122 エンジン
130 噴射管
131 本体部
132 しわ管部
140 フレーム
142 ハンドル
143 操作パネル部
144 バッテリー
145 回転支持部材
150 回転部材
151 回転部材駆動用モーター
170 移送管
181 第1支持部材
182 第2支持部材
191 移動輪
192 移動輪駆動用モーター
193 補助輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥料または農薬を収容するホッパーと、排出口を有し、前記ホッパーから流入される肥料または農薬を空気と混合された状態で前記排出口を通じて噴射させる送風機と、前記送風機の排出口を通じて噴射された肥料または農薬を案内して外部に散布する噴射管と、を備える肥料・農薬散布器において、
前記送風機を支持するフレームと、
前記噴射管を通じて散布される肥料または農薬の散布方向が連続的に変わるように、前記噴射管を前記フレームに対して往復回転させるための回転手段と、を備えることを特徴とする肥料・農薬散布器。
【請求項2】
液状の肥料または農薬を収容するホッパーと、外部の空気を吸入して加圧させた後、加圧された空気を噴射させる送風機と、前記ホッパーの内部の液状の肥料または農薬を前記ホッパーの外部に移送するための移送部と、前記送風機及び前記移送部に連結され、前記送風機からの空気を利用して前記移送部を通じて移送された液状の肥料または農薬を外部に散布する噴射管と、を備える肥料・農薬散布器において、
前記送風機を支持するフレームと、
前記噴射管を通じて散布される液状の肥料または農薬の散布方向が連続的に変わるように、前記噴射管を前記フレームに対して往復回転させるための回転手段と、を備えることを特徴とする肥料・農薬散布器。
【請求項3】
前記回転手段は、
前記噴射管が結合され、前記フレームに回転可能に支持された回転部材と、前記フレームに設置された回転部材駆動用モーターと、前記回転部材駆動用モーターの回転力を前記回転部材に伝達してその回転部材を往復回転させる動力伝達ユニットと、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の肥料・農薬散布器。
【請求項4】
前記動力伝達ユニットは、前記回転部材駆動用モーターにより回転する駆動ギアと、前記回転部材に設けられ、前記駆動ギアに噛み合う従動ギア部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の肥料・農薬散布器。
【請求項5】
一端部は、前記送風機の排出口に接続され、他端部は、前記フレームに結合された移送管をさらに備え、
前記回転部材には、前記移送管と前記噴射管とを連通させるための貫通孔が形成され、その貫通孔を通じて前記回転部材が前記移送管の他端部に回転可能に挟まれることを特徴とする請求項3に記載の肥料・農薬散布器。
【請求項6】
前記回転部材が一方向に所望の角度範囲まで回転したかを感知する第1センサーと、前記回転部材が他方向に所望の角度範囲まで回転したかを感知する第2センサーと、を備えることを特徴とする請求項3に記載の肥料・農薬散布器。
【請求項7】
前記フレームには、曲率中心が前記回転部材の回転中心線上に位置する円弧形孔が形成され、
前記第1センサー及び第2センサーは、前記円弧形孔に沿って位置変更可能に設置されることを特徴とする請求項6に記載の肥料・農薬散布器。
【請求項8】
その中心が前記回転部材の回転中心線上に位置するように前記フレームに設置されるセンサー支持板をさらに備え、
前記第1センサー及び前記第2センサーは、円周方向に沿って前記センサー支持板上に一定角度ほど離隔されるように付着されることを特徴とする請求項6に記載の肥料・農薬散布器。
【請求項9】
前記噴射管は、パイプ状の本体部と、前記本体部の一端部に設けられ、前記回転部材に結合される伸縮可能なしわ管部と、を備え、
前記回転部材に結合されている第1支持部材と、前記回転部材の回転中心線と直交する仮想線を回転中心線として回転可能にその第1支持部材にピボット連結され、前記噴射管の本体部に結合される第2支持部材と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の肥料・農薬散布器。
【請求項10】
前記フレームに結合された移動輪をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の肥料・農薬散布器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−125514(P2008−125514A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259450(P2007−259450)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(507329480)
【Fターム(参考)】