説明

育毛料用の配合剤及び育毛料

【課題】 脱毛に直接関連する毛周期に於ける成長期の短縮化を抑止し或いは改善する作用とさらには外毛根鞘細胞の増殖促進作用とを有し、しかも安全性の高い育毛料用の配合剤を提供すること、並びにかかる配合剤を含有してなりすぐれた育毛効果、脱毛予防効果を有すると共に、連用時にも生体安全性の高い育毛料を提供すること。
【解決手段】ミツイシコンブのエキスを有効成分としてなる毛周期の成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤、並びにかかる剤を配合したことを特徴とする育毛料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の海藻エキスを有効成分とする育毛料用の配合剤並びに該配合剤を含有してなり、育毛効果や脱毛防止効果にすぐれると共に高い生体安全性を有する育毛料に関する。
【背景技術】
【0002】
脱毛は、毛周期即ち、毛母細胞が活発な細胞分裂を繰り返して毛幹が伸長していく成長期、毛母細胞の活動が減退し毛包(毛根部)が縮小する退行期、及び毛母細胞の活動が休止し毛包が消滅する休止期からなるヘア・サイクルに於ける休止期に、毛幹が毛包による支持を失って脱落することにより生ずる現象であり、男性型脱毛は、この毛周期が変調を来すこと、特に毛周期を繰り返す度に成長期がより短縮するために毛包がミニチュア化することが原因となって生ずると言われている。
毛周期中の成長期が短縮して脱毛の進行が常態以上に早まる要因としては、男性ホルモンの分泌過多或いは活性化によるとする説、血行不良による毛母細胞の活性低下によるとする説、皮脂の過剰分泌やフケの発生による毛穴の閉塞とそれに基づく発毛阻害によるとする説、さらにはそれらの複合によるとする説など種々の説が唱えられており、それらの要因を改善乃至解消して発毛、育毛を促進し或いは脱毛を予防するための剤として、例えば女性ホルモン類(エチニルエストラジオール、エストロンなど)、ミノキシジル、チョウジエキスなどの抗男性ホルモン剤、塩化カルプロニウム、ペンタデカン酸グリセリド、ヒノキチオールなどの細胞賦活乃至血行促進剤、センブリエキス、ゲンチアナエキス、カミツレエキス、セファランチン、ビタミンE及びその誘導体などの血行促進剤、サリチル酸、グリチルリチン酸ジカリウム(カンゾウエキス)、塩酸ピリドキシン(ビタミンB)などの抗菌・消炎剤及び皮脂調整剤等を育毛料中に配合することが提案され、又それらの剤を含む育毛料が上市されている。
【0003】
しかしながら、脱毛、特に男性型脱毛の生ずる理由は極めて複雑であり、それら個々の要因の改善乃至解消を目的とした成分の使用によっては、単独成分の使用の場合はもとより、作用機序を異にする成分同士を組み合わせ用いる場合にあっても、十分満足し得る育毛・養毛効果或いは脱毛予防効果を得ることは困難であり、又成分によっては、安全性の観点から配合量が制限され十分な有効性を発揮し難いという問題点もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、上記の如き従来技術の問題点に鑑み、脱毛の要因と考えられている個々の生理的変調ではなく、脱毛に直接関連する毛周期に於ける成長期の短縮化に着目し、この成長期の短縮化を抑止或いは改善して成長期を持続させる作用を有する成分を見出し得たならば、これによって真に有効性にすぐれた育毛・養毛成分の提供が可能となるとの考えの下に、かかる成分を安全性の高い天然物中に求めるべく鋭意研究、検討を重ねた結果、褐藻の一種であるミツイシコンブに含まれる成分が毛周期の成長期の維持に極めて有効であり、加えて毛幹(毛髪)の成長や保持に関わる外毛根鞘細胞の増殖を促進する作用をも有することを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち本発明は、ミツイシコンブ(Laminaria angastata)のエキスを有効成分とする毛周期の成長期維持剤に関するものである。
本発明は又、ミツイシコンブ(Laminaria angastata)のエキスを有効成分とする外毛根鞘細胞増殖促進剤に関するものでもある。
さらに本発明は、上記の毛周期の成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤を配合してなる育毛料にも関する。
【0006】
褐藻類、特にミツイシコンブのエキスを育毛料の配合成分として用いることについては、例えば特開2002−332240号、同2003−81861号等に記載され公知となっているが、ミツイシコンブのエキスが毛周期の成長期の維持や、外毛根鞘細胞の増殖促進にすぐれた効果を発揮することについては、それら公知文献のいずれにも開示も示唆もなされておらず、本発明によって初めて明らかとなったところである。従って、本発明はミツイシコンブエキスの育毛料用の配合成分としての用途或いは用法に新たな知見と進展をもたらすものである。
【特許文献1】特開2002−332240号
【特許文献2】特開2003−81861号
【発明の効果】
【0007】
本発明のミツイシコンブのエキスは、脱毛、特に男性型脱毛の直接的な原因となっている毛周期の成長期の短縮化を抑止して該成長期を維持する作用を有すると共に、毛幹(毛髪)の成長と保持に重要な役割を果たす外毛根鞘細胞に対してその増殖を促進する作用をも有しており、加えて海藻成分であることから皮膚刺激等がなく安全性にすぐれており、育毛料用の配合成分として極めて有用である。又、上記の如きミツイシコンブのエキスの示す直接的かつ高い有効性と安全性に基づき、該エキスを配合して得られる育毛料は、すぐれた育毛効果や脱毛予防効果を発揮すると共に、生体安全性の点でも極めてすぐれたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の毛周期の成長期維持剤(以下、単に成長期維持剤ということがある)及び外毛根鞘細胞増殖促進剤に於いて有効成分として用いるミツイシコンブのエキスとしては、ミツイシコンブの粉砕物、圧搾液、抽出物等のいずれもが使用できるが、なかでも有効性や取り扱いの容易さの観点から抽出物の使用が最も好ましい。
【0009】
ミツイシコンブの抽出物の調製は、ミツイシコンブを必要に応じて予め水洗、乾燥し、又細切もしくは粉砕した上、浸漬法、向流抽出法など常法に従って抽出溶媒と接触せしめることによって行うことができる。又、超臨界抽出法を用いてもよい。
【0010】
抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類;n−ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの炭化水素系溶媒などが挙げられ、それらは単独でもしくは二種以上混合して用いられる。
【0011】
それら抽出溶媒のうちでも、得られる抽出物の有効性の観点、さらには育毛料への配合性の観点から、水もしくは水と低級アルコール類或いは多価アルコール類などの親水性溶媒との混合溶媒の使用が好ましく、なかでも水の単独使用が最も好ましい。
水と親水性溶媒との混合溶媒を用いる場合、その混合比は、例えば水とエタノールとの混合溶媒であれば、容量比(以下同じ)で90:10〜40:60、水と1,3−ブチレングリコールとの混合溶媒であれば、90:10〜70:30、又水とグリセリンとの混合溶媒であれば、90:10〜50:50の範囲とするのがよい。
【0012】
抽出に際して、抽出液のpHに特に限定はないが、一般には4.0〜8.0の範囲とすることが好ましく、かかる意味で、必要ならば前記の抽出溶媒に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性調整剤や、クエン酸、塩酸、リン酸、硫酸などの酸性調整剤等を添加し、目的とするpHとなるように調整してもよい。
【0013】
抽出温度、抽出時間等の抽出条件は、用いる溶媒の種類やpH、或いは被抽出物の細切度等によっても異なるが、例えば水を抽出溶媒とする浸漬法の場合であれば、抽出温度は一般に1〜90℃、好ましくは20〜60℃の範囲であり、又抽出時間は、室温抽出の場合で一般に0.5分〜48時間の範囲、特に1分〜24時間の範囲である。
【0014】
かくして得られるミツイシコンブの抽出物溶液は、一般にはpHを4〜6に調整した上、これをそのまま育毛料に配合するか、もしくは必要ならば減圧濃縮等により所定の濃度に調整した上育毛料に配合される。又場合によっては、スプレードライ法、凍結乾燥法など常法に従って粉末化してもよい。
【0015】
本発明のミツイシコンブエキスを有効成分とする成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤を配合してなる育毛料の剤形としては、例えばトニック、ローション、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント、ヘアークリーム等が挙げられる。
育毛料中に於ける成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤の配合量は、該配合剤として例えばミツイシコンブ抽出物溶液を用いる場合であれば、抽出物の固形分として、一般に0.002〜1.5重量%の範囲であり、好ましくは0.02〜0.4重量%の範囲、特に好ましくは0.05〜0.2重量%の範囲である。
【0016】
本発明の育毛料には、必須成分たる成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤のほかに、育毛料に用いられる他の活性成分を組み合わせ配合するようにしてもよく、これによって相乗的な育毛効果や脱毛防止効果を期待することもできる。
【0017】
かかるものとしては、例えば毛母細胞賦活剤として、ペンタデカン酸グリセリド、ヒノキチオール、感光素、パントテン酸及びその誘導体、マイマイ花エキスなどが、血行促進剤としてセンブリエキス、ゲンチアナエキス、カミツレエキス、セファランチン、ビタミンE及びその誘導体、ニコチン酸誘導体、塩化カルプロニウムなどが、抗男性ホルモン剤として女性ホルモン類(エチニルエストラジオール、エストロンなど)、チョウジエキスなどが、抗菌・消炎剤としてサリチル酸、グリチルリチン酸カリウム(カンゾウエキス)、ヒノキチオール、、塩化ベンザルコニウム、メントールなどが挙げられ、その他塩酸ピリドキシン(ビタミンE)、チオキソロンなどの皮脂分泌抑制剤、オランダカラシエキス、カンファーなどの頭皮刺激剤、サリチル酸、レゾルシンなどの角質溶解剤、さらにはアミノ酸類、ビタミン類などを配合してもよい。
【0018】
本発明の育毛料には、上記の活性成分のほかに、通常育毛料に用いられる配合成分、例えば油性成分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0019】
ここで、油性成分としては、例えばオリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、植物由来スクワランなどの植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油などの動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリンなどのロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワランなどの炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis−11−エイコセン酸などの脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2−エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)などの合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0020】
界面活性剤としては,例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α−スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩などのアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級〜第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N−ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩などのカチオン界面活性剤;N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N−アシルアミドプロピル−N′,N′−ジメチル−N′−β−ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタインなどの両性界面活性剤等を使用することができる。
又、乳化剤乃至乳化助剤として、酵素処理ステビアなどのステビア誘導体、レシチン及びその誘導体、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀など)、ジュアゼイロ(Zizyphus juazeiro:Rhamnaceae)抽出物等を配合することもできる。
【0021】
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース等の糖類、乳酸菌醗酵米、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体など)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、ビャッキュウ抽出物、魚介類由来コラーゲン及びその誘導体、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0022】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻或いは紅藻由来成分、ビャッキュウ抽出物、ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体等の多糖類、キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム等のガム類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリグルタミン酸及びその誘導体、グルコシルトレハロースと加水分解水添デンプンを主体とする糖化合物等が挙げられる。
【0023】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどのパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、1,2−ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物等がある。
【0024】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−ターシャリーブチル−4−メトキシベンゾイルメタン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0025】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ビタミンE及びその誘導体、イネ抽出物、白芥子加水分解抽出物等がある。
【0026】
次に、実施例、処方例(育毛料の実施例)及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下に於いて、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0027】
実施例1 成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤の調製(1)
ミツイシコンブの乾燥細切物(長さ1〜5cm、幅0.5〜2.0cm)50gに精製水500gを加え、室温で1分間抽出を行った後ろ過し、淡黄色透明のミツイシコンブ抽出物溶液からなる成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤470gを得た(固形分濃度2.1%)
【0028】
実施例2.成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤の調製(2)
ミツイシコンブの乾燥細切物(長さ1〜5cm、幅0.5〜2.0cm)50gに50%エタノール水溶液500gを加え、室温で1時間抽出を行った後ろ過し、淡黄色透明のミツイシコンブ抽出物溶液からなる成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤490gを得た(固形分濃度1.7%)
【0029】
実施例3.成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤の調製(3)
ミツイシコンブの乾燥細切物(長さ1〜5cm、幅0.5〜2.0cm)50gに30%1,3−ブチレングリコール水溶液500gを加え、室温で24時間抽出を行った後ろ過し、淡黄色透明のミツイシコンブ抽出物溶液からなる成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤390gを得た(固形分濃度1.9%)
【0030】
実施例4.成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤の調製(4)
実施例1と同様にして調製したミツイシコンブの水抽出物溶液100gを10gに濃縮した液を凍結乾燥した後粉砕し、淡黄色のミツイシコンブ抽出物粉末からなる成長期維持剤及び/又は外毛根鞘細胞増殖促進剤1.8gを得た。
【0031】
処方例1.育毛料
[成分] 部
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
モノニトログアヤコールナトリウム 0.02
塩酸ピリドキシン 0.03
l−メントール 0.8
カモミラエキス 0.3
チョウジエキス 0.3
クララエキス 0.3
オランダカラシエキス 0.3
フルーツリンクルプロテクトエッセンス(注) 0.5
ゲンチアナエキス 2.0
実施例1で得られた配合剤 5.0
トリメチルグリシン 0.5
乳酸 0.2
1,3−ブチレングリコール 10.0
フェノキシエタノール 0.2
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.4
L−アルギニン 適量
エタノール 20
精製水 全量が100部となる量
(注)サンザシエキス、タイソウエキス、グレープフルーツエキス、リンゴ エキス、オレンジ果汁、レモン果汁及びライム果汁の混合液
上記の成分を十分攪拌混合して育毛料を得た。
【0032】
処方例2.育毛料
処方例1の成分中、実施例1で得られた配合剤に代えて実施例2で得られた配合剤を用いるほかは処方例1と同様にして育毛料を得た。
【0033】
処方例3.育毛料
処方例1の成分中、実施例1で得られた配合剤に代えて実施例3で得られた配合剤を用いるほかは処方例1と同様にして育毛料を得た。
【0034】
処方例4.ヘアートニック
[成分] 部
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
モノニトログアヤコールナトリウム 0.02
塩酸ピリドキシン 0.03
l−メントール 0.8
カモミラエキス 0.3
チョウジエキス 0.3
クララエキス 0.3
オランダカラシエキス 0.3
フルーツリンクルプロテクトエッセンス(注) 0.5
ゲンチアナエキス 2.0
実施例1で得られた配合剤 5.0
トリメチルグリシン 0.5
乳酸 0.2
1,3−ブチレングリコール 2.0
フェノキシエタノール 0.2
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.4
L−アルギニン 適量
エタノール 60
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を十分攪拌混合してヘアートニックを得た。
【0035】
処方例5.ヘアートニック
[成分] 部
実施例1で得られた配合剤 60.0
コメ抽出物加水分解液(注) 2.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.1
l−メントール 0.05
セファランチン 0.002
エタノール 全量が100部となる量
(注)株式会社テクノーブル製、商品名「オリゼノーブル」
上記の成分を十分攪拌混合してヘアートニックを得た。
【0036】
処方例6.ヘアーフォーム
[原液成分] 部
カチオン化セルロース 3.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 適量
シリコーン油 5.0
ジプロピレングリコール 7.0
エタノール 15.0
防腐剤 0.1
実施例1で得られた配合剤 10.0
精製水 全量が100部となる量
[充填成分] 部
原液 90.0
液化石油ガス 10.0
シリコーン油をジプロピレングリコールとポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の溶解物に添加し、ホモミキサーで均一に乳化した後、これを他の成分の混合溶液に添加して原液を得た。この原液を缶に充填し、バルブを装着後ガスを充填した。
【0037】
処方例7.ヘアークリーム
[A成分] 部
流動パラフィン 15.0
ワセリン 15.0
サラシミツロウ 2.0
防腐剤 0.1
香料 0.1
[B成分]
実施例1で得られた配合剤 10.0
カルボキシビニルポリマー 0.1
キサンタンガム 0.1
グリセリン 5.0
1、3−ブチレングリコール 2.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3.0
キレート剤 0.1
色素 0.01
精製水 全量が100部となる量 [C成分]
苛性ソーダ 0.05 上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱溶解した後、攪拌しながらA成分をB成分に加え、ホモジナイザーを用いて乳化した。これを30℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合して乳液を得た。
【0038】
試験例1.毛周期の成長期維持効果
[試験方法]
生後30日齢のC3Hマウス(1群5匹)の尾の付け根に、20μLの実施例1で得られた配合剤を4日間毎日皮下注射し、最後の注射から7日後に背部の皮膚を剥離し、内側を観察した。尚、陰性対照としてPBS(-) を皮下注射した群を、そして未処置として注射を行わない群をそれぞれ設けた。
成長期維持効果を判定するため、剥離した皮膚の内側を写真撮影し、画像解析ソフトで成長期毛包面積比率(成長期毛包面積/剥離面積)を測定した。
【0039】
[結果]
その結果を表1に示した。
【表1】

【0040】
表1の結果から、実施例1で得られた配合剤を注射した群のマウスは、PBS(-) 注射群や未処理群に比べ明らかに成長期毛包の面積比率が大きく、本発明のミツイシコンブのエキスからなる配合剤が強い成長期維持効果を有していることが判る。
【0041】
試験例2.外毛根鞘細胞増殖促進効果
[試験方法]
成人男子の頭部から抜毛し、成長期毛を選別した。これを抗生物質溶液で洗浄し、24穴プレートの各ウェルに入れた。一方のウェルには牛胎児血清含有イーグルMEMに精製水を10%添加したものを、もう一方には同じく牛胎児血清含有イーグルMEMに実施例1で得られた配合剤を10%添加したものをそれぞれ加え、7日間培養した。その後、ホルマリンで固定し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を行い、写真を撮影し、外毛根鞘細胞の面積を測定した。
【0042】
[結果]
外毛根鞘細胞面積は、試料無添加(精製水添加)培地中で培養した場合のそれを100としたときの相対値(%)で表した。結果を表2に示した
【表2】

【0043】
実施例1で得られた配合剤を添加した培地で培養した毛包は、試料無添加(精製水添加)培地で培養した毛包に比べ、外毛根鞘細胞の面積が遙かに広く、本発明の配合剤が顕著な外毛根鞘細胞増殖促進効果を有していることが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミツイシコンブ(Laminaria angastata)のエキスを有効成分とする毛周期の成長期維持剤。
【請求項2】
ミツイシコンブ(Laminaria angastata)のエキスを有効成分とする外毛根鞘細胞増殖促進剤。
【請求項3】
ミツイシコンブ(Laminaria angastata)のエキスが水抽出物及び水と親水性溶媒との混合液の抽出物から選ばれた1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
請求項1の毛周期の成長期維持剤及び/又は請求項2の外毛根鞘細胞増殖促進剤を配合したことを特徴とする育毛料。

【公開番号】特開2006−28118(P2006−28118A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211474(P2004−211474)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000162021)共栄化学工業株式会社 (42)
【Fターム(参考)】