説明

胃腸系および中枢神経系障害の治療に有用な立体異性化合物の合成方法および中間体

本発明は、化学式(X)の立体異性化合物を製造する方法および/またはプロセスを提供し:
【化121】


変数は本明細書において定義されているとおりであり、胃不全麻痺、胃食道逆流および関連症状を含むがこれに限定されるものではない多様な胃腸疾患の安全で有効な治療のための組成物である。本発明の化合物はまた中枢神経系にかかわる多様な症状の治療にも有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2005年8月31日出願の米国仮出願60/713,149号および2006年5月19日出願の米国仮出願60/747,762号に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
基礎的な情報
シサプリドは、親化合物をメトクロプラミドとするベンズアミド誘導体として知られる化合物群の一つである。米国特許4,962,115および5,057,525号(「Van Daele」と総称され、ここに全体を参考として示す)は、シサプリドのN-(3-ヒドロキシ-4-ピペリジニル) ベンズアミドを開示している。Van Daeleは、これらの化合物およびその薬学的に許容される酸付加塩および立体化学的な異性体が、胃腸系の運動性を促進することを開示している。
【0003】
群としては、これらのベンズアミド誘導体はいくつかの顕著な薬理作用がある。 ベンズアミド誘導体の顕著な薬理活性は、 神経系に対するこれらの効果によるものであり、これは神経伝達物質セロトニンによって調節されている。セロトニンの役割、つまりベンズアミド誘導体の薬効薬理は、長年にわたって様々な症状に広範に関係している。従って、研究の焦点はセロトニンの生産および貯蔵部位のほかにセロトニン受容体の位置を突き止め、これらの部位と様々な病状や症状との関連性を判断することとなっている。
【0004】
その際、セロトニンの主要生産および貯蔵部位は、 胃腸粘膜のクロム親和性細胞であることが発見された。さらに、セロトニンは、下痢のように、腸平滑筋を刺激し、腸管通過を加速し、吸収時間を短縮することによる腸運動への強い刺激作用を持っていることがわかった。この刺激作用は、嘔気嘔吐とも関連している。
【0005】
消化管でのこれらのセロトニン神経系の調節のため、多くのベンズアミド誘導体は有効的なな制吐薬であり、特にシスプラチンなどの強い嘔吐作用を持つ化合物が使われるときに、癌の化学療法または放射線治療において嘔吐を管理するためによく使われている。この作用は化合物が特定の作用部位においてセロトニン (5HT) 作用を阻害できる能力によることであるのはほぼ確かであり、これは5HT3-受容体と呼ばれ、科学文献では古くからセロトニン M-受容体として指定されている。 化学療法および放射線療法は、消化管の損傷したクロム親和性細胞からのセロトニンの放出により、 嘔気嘔吐を生じることがある。神経伝達物質セロトニンの放出は、求心性迷走神経繊維(したがって嘔吐反射を起こす)と脳の最後野部位の化学受容体誘発帯中のセロトニン受容体を両方刺激する。このベンズアミド誘導体の作用の解剖学的位置、そしてこのような作用が中央(中枢神経系)、末梢またはこれらの組み合わせなのかは、未だにわかっていない(Barnes他、J. Pharm. Pharmacol. 40: 586-588, 1988)。他のベンズアミド誘導体のように、シサプリドは5HT3 受容体においてセロトニンの活性を調節する能力を持っていることに基づき、有効な制吐剤であると思われる。
【0006】
2つ目のベンズアミド誘導体の顕著な作用は、食道から近位小腸への消化管平滑筋活動の増加にあり、したがって食道および小腸管通過の加速のほかに胃内容排出の促進および下部食道括約筋の緊張の増加がある (Decktor他、Eur. J. Pharmacol. 147: 313-316, 1988)。ベンズアミド誘導体はそれ自体がコリン作動性受容体作用薬ではないものの、前述の平滑筋作用は、アトロピンなどのムスカリン性受容体遮断薬またはナトリウムチャネルに影響するテトロドトキシン型の神経伝達阻害薬によって、遮断することができる。似たような遮断作用は、小腸におけるセロトニンの収縮効果からも報告されている。現在、ベンズアミド誘導体の主要な平滑筋作用は、腸壁の腸筋神経叢にある介在ニューロンに位置する5HT4 受容体と呼ばれるセロトニン受容体の新しい群の物質作用の結果であると考えられている。これらの受容体の活性化は、それに続いて周辺の平滑筋繊維の近くに位置する副交感神経末端からのアセチルコリンの放出を高め、筋収縮の本当の誘因は平滑筋膜のアセチルコリンとその受容体との組み合わせである。
【0007】
5HT4 受容体を含む様々な5HT受容体の議論は、例えばここにその全体を参考として示している米国特許6,331,401号および6,632,827号でみることができる。
【0008】
シサプリドは、主に逆流性食道炎(GERD)の治療に使われてきた。この疾患は食道に胃の中身が逆流することが特徴である。逆流性食道炎の病原でもっとも重要な要素であるものの一つは、下部食道括約筋の障害による圧力障壁の減少である。下部食道括約筋の障害は、基底圧力の低下、括約筋の弛緩または胃内圧力の非代償性増加によって起こされる。この症状の病原の他の要素として、胃内容排出の遅延、蠕動障害による食道の詰まり、食道粘膜を損傷する場合がある逆流物質の腐食特性がある。シサプリドは、下部食道括約筋圧力を増加し蠕動収縮を改善することにより逆流防止障壁を強化し、食道通過を改善すると考えられている。
【0009】
その運動促進剤としての活性のため、シサプリドは消化不良、胃不全麻痺、便秘、術後イレウス、偽性の腸閉塞の治療にも有効であると思われる。消化不良は、主要胃腸障害の症状または虫垂炎、胆嚢障害または栄養失調などのその他の障害による合併症として現れる消化力または消化機能の障害が特徴的な症状である。胃不全麻痺は、胃の運転異常によってもたらされる胃の麻痺、または糖尿病、進行性全身性硬化症、拒食症または筋強直性ジストロフィー症などの病状の合併症として起こる胃の麻痺である。便秘は腸筋緊張の欠如または腸痙直などの症状による不定期な排泄または排泄の困難が特徴的な症状である。術後イレウスは手術の後の筋緊張の失調腸による腸の閉塞である。偽性の腸閉塞は物理的閉塞の形跡がない便秘、疝痛および嘔吐が特徴的な症状である。
【0010】
薬物毒性は、人間や動物の治療において重要な考慮すべき事項である。薬物の投与による有毒な副作用(有害影響)は軽い発熱から死亡までの様々な症状を含む。薬物療法は、治療プロトコルの利益がその治療に関連する潜在的な危険性を上回る時のみ正当化される。医師によってバランスがとられる要因には、使用される薬物の量的および質的な影響のほか、薬物が患者に使用されなかった場合に生じる結果が含まれる。その他の考慮される要因には、患者の健康状態、病状および進行の履歴、薬物と関連する既知の有害影響などが含まれる。
【0011】
薬物消失は、通常薬物に対する代謝作用とその後の体内からのその薬物の排出の結果である。代謝作用は、血管供給内および/または細胞区画もしくは臓器内で行われる。薬物代謝の主要な部位は肝臓である。この代謝過程は合成反応と非合成反応に分類できる。非合成反応では、薬物は酸化、還元、加水分解、またはこれらのプロセスの組み合わせによって化学的に変化する。これらのプロセスは、まとめて第1相反応と呼ばれる。
【0012】
合成反応またはコンジュゲーションとも呼ばれる第2相反応では、親薬物またはその中間代謝産物が内因性基質と組み合わされ、付加生成物または抱合生成物を生成する。合成反応で形成される代謝産物は、通常、さらに極性で生物学的に不活性である。その結果、これらの代謝産物は腎臓(から尿)または肝臓(から胆汁)を経て排泄されやすい。合成反応には、グルクロン酸化、アミノ酸抱合、アセチル化、硫酸抱合、メチル化が含まれる。
【0013】
シサプリド投与量の90%以上は、ピペリジン窒素の酸化的N-脱アルキル、または4-フロロフェノキシまたはベンズアミド環で起こる芳香族水酸化によって代謝される。
【0014】
シサプリドの人間への投与は、中枢神経障害、収縮期圧の増加、他の薬物との相互作用、下痢、腹部疝痛を含む重大な有害影響を引き起こすことが確認されている。さらに、シサプリドの静脈内投与はシサプリドの経口投与では見られない追加の有害影響の発現が実証されることが報告されている(Stacher他 [1987] Digestive Diseases and Sciences 32(11):1223-1230)。これらの有害影響は、シトクロムP450解毒系で起こる化合物の酸化的脱アルカリまたは芳香族水酸化に起因する代謝産物によって起こされていると考えられている。また、シサプリドはシトクロムP450系による代謝の結果でもある多くの望ましくない薬物間の相互作用の影響も受けている。
【0015】
1993年7月から1999年12月の間、シサプリド(PROPULSID, Janssen Pharmaceutica Products, L.P.)は少なくとも341の重大な心不整脈と関連していることが報告されている。これらの不整脈には、心室性頻拍症、心室細動、トルサード・ド・ポワント、QT延長が含まれる。80の死亡例が報告されている。これらの有害影響の結果、この製品は米国の一般市場からは自主的に回収されたが、この薬品は治験アクセス制限プログラムを通して入手可能である。
【0016】
胃腸(GI)運動促進作用の5HT4受容体アゴニストの安全性は、心臓作用(QT間隔の延長、頻脈、トルサード・ド・ポワント)および肝シトクロムP-450代謝による有害な薬物相互作用により制限されている。これらの不具合を除いたこの群のGI運動促進剤は、GERDおよび胃内容排出障害を含む様々な治療分野において、非常に有益だろう。いくらかのシサプリド派生物が米国特許第6,552,046号およびWO 01/093849(全体を参照のために示す)に記載されているが、より有利な特性を持つさらなる化合物が望ましい。
【0017】
現在では、このようなエステル化した構造上および/または機能上のシサプリド類似物の一つのある立体異性体は、独特な特に有利な性質を持つことが発見されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の要約
本発明は、安全で有効な多様な胃腸疾患の治療のために、化学式(X)の化合物および組成物、ならびに、化学式(X)の化合物を製造するために役に立つ中間体を製造する方法およびプロセスを提供し、これらの胃腸疾患には胃不全麻痺、胃食道逆流および関連する症状が含まれるがこれに限定される物ではない。本発明の化合物は、中神経系に関連する様々な症状の治療にも有効である。
【0019】
本発明の化合物は、化学式X:
【化30】

[位置3及び4の結合は互いにシス同士であり;
Lは-(C1-C6アルキル)- (一形態において、 -(C3-C5アルキル)-)、-(C1-C6アルキル)-C(O)-または-C(O)-(C1-C6アルキル)-であり、それぞれのアルキル基は、個々にハロゲン、C1-C4アルコキシまたはOHである1または2個の基で任意に置換され、Lのアルキル部の1炭素は-N(R9)-に置き換えることができ;
R1はハロゲン;
R2はアミノ、NH(C1-C4アルキル)またはN(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル);
R3はOHまたはC1-C4アルコキシ;
R4はHまたはメチル; および
R5は-O-C3-C8シクロアルキル、-O-ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリル、-O-アリル、-N(R9)-(C0-C6アルキル)-C(O)-アリルまたは-N(R9)-C0-C6アルキル-アリル、-O-ヘテロアリル、-N(R9)-C1-C6(O)-ヘテロアリルまたは-N(R9)-C0-C6アルキル-ヘテロアリルであり、それぞれの環基は一つまたはそれ以上の置換可能な位置でC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン、C1-C6ハロアルキル、C1-C6 ハロアルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、-(C0-C6アルキル)-C(O)R11または-O-(C0-C6アルキル)-C(O)R11、メチルスルホン、C0-C6-スルホンアミドまたはNO2で非置換または置換され;
R9のそれぞれの発生は個々にHまたはC1-C4アルキル;
R11はC1-C6アルキル、OHまたは
R11は個々にC1-C4アルコキシ、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、-(C0-C6アルキル)-C(O)N(R9)-ヘテロシクロアルキル、-O-ヘテロシクロアルキル、-C1-C6(O)N(R9)-ヘテロアリルまたはヘテロアリルである1または2個の基で任意に置換されたC1-C6アルコキシであり、
そのヘテロシクロアルキル基は個々にハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル、-CO2H、CF3またはOCF3である1,2または3個の基で任意に置換され、
そのヘテロアリル基は個々にハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル、-CO2H、CF3またはOCF3である1,2または3個の基で任意に置換され; または
R11は-O-ヘテロシクロアルキルであり、そのヘテロシクロアルキルは個々にハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル、-CO2H、CF3、or OCF3である1,2または3個の基で任意に置換され; および
R20はC1-C6アルコキシ (望ましくはC1-C4アルコキシ、さらに望ましくはメトキシ)またはOHである]
の化合物およびその薬学的に許容できる塩を含む。
【0020】
本発明は、また、本発明の方法および/またはプロセスにより製造された少なくとも一つの化学式(X)の化合物および少なくとも一つの薬学的に許容できる賦形剤、佐剤、基材または溶剤でする組成物を含む。
【0021】
本発明の方法および/またはプロセスにより製造された化学式(X)の化合物は、逆流性食道炎の治療または防止に有用であり、シサプリド投与に関連する有害影響を実質的に軽減する。これらの有害影響には、下痢、腹部疝痛および血圧と心拍数の上昇を含むがこれに限定されるものではない。
【0022】
加えて、本発明の方法および/またはプロセスにより製造された化合物および組成物は、嘔吐や他の症状の治療にも有用であり、これには消化不良、胃不全麻痺、便秘、術後イレウスおよび偽性の腸閉塞を含むがこれに限定されるものではない。付加利益として、シサプリド投与に関連する有害影響もこれらの治療方法において軽減される。
【0023】
好都合に、本発明の方法および/またはプロセスにより製造された化合物は5HT4 受容体のリガンドであり、したがって、この受容体を媒介した症状の治療に使用することができる。これらの受容体は中枢神経系のいくつかの場所に位置しており、これらの受容体の調節を求められるCNSの調節を達成することに使用できる。
【0024】
好都合に、立体異性化合物の生成の本発明の方法および/またはプロセスにより製造された化合物は、通常エステル部分を含み、これは治療利益を提供するこれらの化合物の能力を損なうことはないが、血清および/または細胞質エステラーゼによる分解の影響を受けやすくし、これによりシサプリドにより起こされる有害影響と関連するシトクロムP450薬剤解毒系統を回避し、これらの有害影響の出現を抑える。
【0025】
本発明はさらに逆流性食道炎、消化不良、胃不全麻痺、便秘、術後イレウスおよび偽性の腸閉塞;および関連症状の治療を必要とする個人への本発明の方法および/またはプロセスを活用して製造された化学式(X)の化合物の治療効果のある分量の投与から成る治療方法を提供する。
【0026】
好都合に、本発明の方法および/またはプロセスを活用して製造された治療化合物は保存中安定しており、他の薬物と比べてより安全な代謝を提供しているため、本発明の化合物はより少ない副作用の発生や毒性で使用することができる。
【0027】
さらなる形態では、本発明は、本発明の方法および/またはプロセスにより製造された治療化合物にエステラーゼが作用したときに形成される分解生成物(望ましくは代謝分解生成物)に関係がある。これらの分解生成物はここに記載されているように、患者から治療化合物の排出を監視するために使うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図面の簡単な説明
図1は、ATI-7505、セロトニン、シサプリドおよびATI-7500の5-HT4受容体アゴニストの濃度応答曲線を示すグラフである。
【0029】
図2は、餌を与えられた犬の胃内容排出を示すグラフである。表示されているデータはベヒクル対照のMMC戻り時間値の平均値に正常化されている。数値は犬5匹の平均+標準誤差を示す。*p < 0.05 対 ベヒクル対照。
【0030】
図3は、CYP450依存共同因子であるNADPHを含むときと含まないときのATI-7505およびATI-7500の代謝を示すグラフである。座標はATI-7505およびATI-7500の平均および標準偏差のμM濃度を示す。ATI-7505 (2 μM) は人間のミクロソームタンパク質(1mg)とNADPH再生組織(共同因子)の存在または非存在下で培養された。
【0031】
発明の詳細な説明
さらなる形態では、本発明は化学式(X)の化合物、ならびに、化学式(X)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、
R5は-O-C3-C8シクロアルキル、-O-ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルであり、そのヘテロシクロアルキル基はピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、アザ-ビシクロ-オクチル、特定の形態ではアザ-ビシクロ[2.2.2]オクチル、アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、アザ-ビシクロ-ノニル、アザ-ビシクロ-デチル、インドリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、S,S-ジオキソチオモルホリニルおよびイミダゾリジニル、-O-アリル、-N(R9)-C(O)-アリルまたは-N(R9)-C0-C6アルキル-アリルから選ばれ、それぞれの環基は一つかそれ以上の置換可能な位置でC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン、C1-C6 ハロアルキル、C1-C6 ハロアルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、-C(O)R11またはNO2で非置換または置換され;
R9のそれぞれの発生は個々にHまたはC1-C4アルキル; および
R11はC1-C6アルキル、OHまたは
R11は個々にC1-C4アルコキシ、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、-C(O)N(R9)-ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリルである1または2個の基で任意に置換されたC1-C6アルコキシであり、
そのヘテロシクロアルキル基はピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、アザ-ビシクロ-オクチル、特定の形態ではアザ-ビシクロ[2.2.2]オクチル、アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、アザ-ビシクロ-ノニルおよびアザ-ビシクロ-デチルから選ばれ、そのヘテロシクロアルキル基は個々にハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル、-CO2H、CF3またはOCF3である1、2または3個の基で任意に置換され、
そのヘテロアリル基はピリジル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニルおよび インドリルから選ばれ、そのヘテロアリル基は個々にハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル、-CO2H、CF3またはOCF3である1,2または3個の基で任意に置換され、; または
R11は-O-ヘテロシクロアルキルであり、そのヘテロシクロアルキルはピペリジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、アザ-ビシクロ-オクチル、特定の形態ではアザ-ビシクロ[2.2.2]オクチル、アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、アザ-ビシクロ-ノニル、アザ-ビシクロ-デチルおよびテトラヒドロフラニルから選ばれ、そしてそれぞれのヘテロシクロアルキル基は個々にハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル、-CO2H、CF3またはOCF3である1,2または3個の基で任意に置換される。
【0032】
他の形態では、本発明は化学式(X)の化合物、ならびに、化学式(X)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R1はクロロである。
【0033】
さらに他の形態では、本発明は化学式(X)の化合物、ならびに、化学式(X)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R2はアミノである。
【0034】
さらに他の形態では、本発明は化学式(X)の化合物、ならびに、化学式(X)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R3はメトキシである。
【0035】
他の形態では、本発明は化学式(X)の化合物、ならびに、化学式(X)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4はHまたはメチルである。
【0036】
さらに他の形態では、本発明は化学式(X)の化合物、ならびに、化学式(X)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R1はクロロ; R2はアミノ; R3はメトキシ; そしてR4はHまたはメチルである。
【0037】
さらに他の形態では、本発明は化学式(X)の化合物、ならびに、化学式(X)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R1はクロロ; R2はアミノ; R3はメトキシ; R4はHそしてLは-(C4-C6アルキル)-C(O)-である。
【0038】
他の形態では、本発明は化学式(X)の化合物、ならびに、化学式(X)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、前述の2またはそれ以上の形態が組み合わされる。
【0039】
他の形態では、本発明は化学式(XI)
【化31】

の化合物を製造する方法および/またはプロセスを提供し、これは化学式(X)においてLは-(CH2)5-C(O)-である化合物である。
【0040】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XI)の化合物、ならびに、化学式(XI)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R1はクロロ; R2はアミノ; R3はメトキシ; そしてR4はHまたはメチルである。
【0041】
他の形態では、本発明は化学式(XI)の化合物、ならびに、化学式(XI)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R5は-O-ヘテロシクロアルキルであり、そのヘテロシクロアルキル基はアザ窒素は任意にメチルまたはエチルで置換されるアザ-ビシクロ-オクチル、特定の形態では1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3-イルまたは8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル、アザ-ビシクロ-ノニル、アザ-ビシクロ-デチルから選択され; そしてR4はHまたはメチルである。
【0042】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XI)の化合物、ならびに、化学式(XI)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R5は-O-ヘテロシクロアルキルであり、そのヘテロシクロアルキル基はピペリジニル、ピペラジニルまたはピロリジニルから選ばれ、それぞれは個々にC1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、ハロゲン、C1-C4 ハロアルキル (一形態において、 CF3)、C1-C4 ハロアルコキシ (一形態においてOCF3)、ヒドロキシル、ヒドロキシ C1-C4アルキル、アミノ、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-(C1-C6アルキル)-C(O)R11またはNO2である基で1または2位置で非置換または置換され; そしてR4はHまたはメチルである。
【0043】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XI)の化合物、ならびに、化学式(XI)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R5は-O-ヘテロシクロアルキルであり、そのヘテロシクロアルキル基はインドリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、S,S-ジオキソチオモルホリニルおよびイミダゾリジニルから選択され、それぞれは個々にC1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、ハロゲン、C1-C4 ハロアルキル (一形態において、 CF3), C1-C4 ハロアルコキシ (一形態においてOCF3), ヒドロキシル、ヒドロキシ C1-C4アルキル、アミノ、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキル)-C(O)R11またはNO2である基で1または2位置で非置換または置換され; そしてR4はHまたはメチルである。
【0044】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XI)の化合物、ならびに、化学式(XI)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R5は-O-フェニル、N(R9)-(C0-C6アルキル)-C(O)-フェニルまたは-N(R9)-C0-C4アルキル-フェニルであり、そのフェニル基は個々にC1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、ハロゲン、C1-C4 ハロアルキル (一形態において、 CF3)、C1-C4 ハロアルコキシ (一形態においてOCF3)、ヒドロキシル、ヒドロキシ C1-C4アルキル、アミノ、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキル)-C(O)R11またはNO2である1または2個の基で置換され; そしてR4およびR9は個々にHまたはメチルである。
【0045】
他の形態では、本発明は化学式(XI)の化合物、ならびに、化学式(XI)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4はHである。
【0046】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XI)の化合物、ならびに、化学式(X)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R11はC1-C6アルコキシであり、個々にC1-C4アルコキシ、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、-(C0-C6アルキル)-C(O)N(R9)-ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである1または2個の基で任意に置換され、そのヘテロシクロアルキル基はピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルから選択され、そのヘテロシクロアルキル基は個々にハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル、-CO2H、CF3またはOCF3である1,2または3個の基で任意に置換される。
【0047】
他の形態では、本発明は化学式(XI)の化合物、ならびに、化学式(XI)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、前述の2またはそれ以上の形態が組み合わされる。
【0048】
他の形態では、本発明は化学式(XII)の化合物、つまり次の化学式の化学式(X)の化合物
【化32】

[R15はH、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン、C1-C6 ハロアルキル (一形態においてCF3)、C1-C6 ハロアルコキシ (一形態においてOCF3)、ヒドロキシル、ヒドロキシ C1-C4アルキル、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、メチルスルホン, C0-C6-スルホンアミドまたはNO2およびR16はHまたは-O-(C0-C6アルキル)-C(O)R11である]
ならびに、化学式(XII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供する。他の形態では、R15はHである。
【0049】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XII)の化合物、ならびに、化学式(XII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9は個々にHまたはメチル、およびR11はOHである。
【0050】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XII)の化合物、ならびに、化学式(XII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9は個々にHまたはメチル、およびR11は個々にC1-C4アルコキシ、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、-(C0-C6アルキル)-C(O)N(R9)-ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである1または2個の基で任意に置換されるC1-C6アルコキシであり、そのヘテロシクロアルキル基はアザ窒素は任意にメチルまたはエチルで置換されるアザ-ビシクロ-オクチル、特定の形態では1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3-イルまたは8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル、アザ-ビシクロ-ノニル、アザ-ビシクロ-デチル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルから選ばれ、そのヘテロシクロアルキル基は個々にハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル、-CO2H、CF3またはOCF3である1,2または3個の基で任意に置換され、およびR4およびR9は個々にHまたはメチルである。他の形態では、R4、R9およびR11は前述のとおりであり、およびR15はH、R1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。
【0051】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XII)の化合物、ならびに、化学式(XII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9は個々にHまたはメチルであり、およびR11は個々にC1-C4アルコキシ、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)またはヘテロアリルである1または2個の基で任意に置換されるC1-C6アルコキシであり、そのヘテロアリル基はピリジル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニルおよびインドリルから選択され、そのヘテロアリル基は個々にハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル、-CO2H、CF3またはOCF3である1,2または3個の基で任意に置換され;およびR4およびR9は個々にHまたはメチルである。他の形態では、R4、R9およびR11は前述のとおりであり、およびR15はH、R1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。
【0052】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XII)の化合物、ならびに、化学式(XII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、少なくともR4およびR9の一つはHである。
【0053】
他の形態では、本発明は化学式(XII)の化合物、ならびに、化学式(XII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、前述の2またはそれ以上の形態が組み合わされる。
【0054】
他の形態では、本発明は化学式(XIII)の化合物、つまり次の化学式の化学式(X)の化合物
【化33】

[R15はH、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン、C1-C6 ハロアルキル (一形態においてCF3)、C1-C6 ハロアルコキシ (一形態においてOCF3), ヒドロキシル、ヒドロキシC1-C4アルキル、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)またはメチルスルホン、C0-C6-スルホンアミド、NO2、およびR16はHまたは-O-(C0-C6アルキル)-C(O)R11である]
ならびに、化学式(XIII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、他の形態では、R15はHである。
【0055】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XIII)の化合物、ならびに、化学式(XIII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、
R4およびR9は個々にHまたはメチルであり、およびR11はOH、C1-C4アルコキシ (他の形態では、C1-C3アルコキシ)またはC1-C2アルコキシ-C1-C3アルコキシ-である。他の形態では、R4、R9およびR11は前述のとおりであり、およびR1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。
【0056】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XIII)の化合物、ならびに、化学式(XIII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9は個々にHまたはメチルであり、およびR11はアザ窒素は任意にメチルまたはエチルで置換されたアミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、アザ-ビシクロ-オクチル、特定の形態では1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル または8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル、アザ-ビシクロ-ノニル、アザ-ビシクロ-デチルで置換されたC1-C4アルコキシであり、;およびR4はHまたはメチル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピリジルまたは-(C0-C6アルキル)-C(O)NH-ピリジ-4-イルである。他の形態では、R4、R9およびR11 は前述のとおりであり、およびR1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。
【0057】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XIII)の化合物、ならびに、化学式(XIII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9は個々にHまたはメチルであり、およびR11はアミノ、-NH(C1-C6アルキル)または-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)で置換されたC1-C4アルコキシである。他の形態では、R4、R9およびR11 は前述のとおりであり、およびR1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。
【0058】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XIII)の化合物、ならびに、化学式(XIII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9は個々にHまたはメチルであり、およびR11はピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピリジルまたは-(C0-C6アルキル)-C(O)NH-ピリジ-4-イルで置換されたC1-C4アルコキシである。他の形態では、R4、R9およびR11 は前述のとおりでありおよびR1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。
【0059】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XIII)の化合物、ならびに、化学式(XIII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9の少なくとも一つはHである。
【0060】
他の形態では、本発明は化学式(XIII)の化合物、ならびに、化学式(XIII)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、前述の2またはそれ以上の形態が組み合わされる。
【0061】
他の形態では、本発明は化学式(XIV)の化合物、つまり次の化学式の化学式(X)の化合物
【化34】

[R15はH、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン、C1-C6 ハロアルキル (一形態においてCF3)、C1-C6 ハロアルコキシ (一形態においてOCF3)、ヒドロキシル、ヒドロキシ C1-C4アルキル、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、メチルスルホン、C0-C6-スルホンアミドまたはNO2、およびR16はHまたは-O-(C0-C6アルキル)-C(O)R11である]
ならびに、化学式(XIV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供する。他の形態では、R15はHである。
【0062】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XIV)の化合物、ならびに、化学式(XIV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9は個々にHまたはメチルであり、およびR11はOH、C1-C4アルコキシ (他の形態では、C1-C3アルコキシ)またはC1-C2アルコキシ-C1-C3アルコキシ-である。他の形態では、R4、R9およびR11は前述のとおりでありおよびR1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。さらに他の形態では、R4およびR9の少なくとも一つはHである。
【0063】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XIV)の化合物、ならびに、化学式(XIV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9は個々にHまたはメチルであり、およびR11はアザ窒素は任意にメチルまたはエチルで置換されたアミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、アザ-ビシクロ-オクチル、特定の形態では1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3-イルまたは8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル、アザ-ビシクロ-ノニル、アザ-ビシクロ-デチルで置換されたC1-C4アルコキシであり;およびR4はHまたはメチル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピリジルまたは-(C0-C6アルキル)-C(O)NH-ピリジ-4-イルである。他の形態では、R4、R9およびR11 は前述のとおりであり、およびR1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。
【0064】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XIV)の化合物、ならびに、化学式(XIV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9は個々にHまたはメチルであり、およびR11はアミノ、-NH(C1-C6アルキル)または-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)で置換されたC1-C4アルコキシである。他の形態では、R4, R9およびR11 は前述のとおりでありおよびR1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。
【0065】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XIV)の化合物、ならびに、化学式(XIV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9は個々にHまたはメチルであり、およびR11はピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピリジルまたは-(C0-C6アルキル)-C(O)NH-ピリジ-4-イルで置換されたC1-C4アルコキシである。他の形態では、R4、R9およびR11 は前述のとおりであり、およびR1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。
【0066】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XIV)の化合物、ならびに、化学式(XIV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9の少なくとも一つはHである。
【0067】
他の形態では、本発明は化学式(XIV)の化合物、ならびに、化学式(XIV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、前述の2またはそれ以上の形態が組み合わされる。
【0068】
他の形態では、本発明は化学式(XV)の化合物、つまり次の化学式の化学式(X)の化合物
【化35】

[nは1または2である]
ならびに、化学式(XV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供する。
【0069】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XV)の化合物、ならびに、化学式(XV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4はHまたはメチルであり、およびR11はOH、C1-C4アルコキシ (他の形態では、C1-C3アルコキシ)またはC1-C2アルコキシ-C1-C3アルコキシ-である。他の形態では、R4およびR11は前述のとおりであり、およびR1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。 さらに他の形態では、R4およびR9の少なくとも一つはHである。
【0070】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XV)の化合物、ならびに、化学式(XV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9は個々にHまたはメチルであり、およびR11はアザ窒素は任意にメチルまたはエチルで置換されたアミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、アザ-ビシクロ-オクチル、特定の形態では1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3-イルまたは8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル、アザ-ビシクロ-ノニル、アザ-ビシクロ-デチルで置換されたC1-C4アルコキシであり;およびR4はHまたはメチル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピリジルまたは-C(O)NH-ピリジ-4-イルである。他の形態では、R4、R9およびR11 は前述のとおりであり、およびR1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。
【0071】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XV)の化合物、ならびに、化学式(XV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4およびR9は個々にHまたはメチルであり、およびR11はアミノ、-NH(C1-C6アルキル)または-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)で置換されたC1-C4アルコキシである。他の形態では、R4, R9およびR11 は前述のとおりであり、およびR1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。
【0072】
さらに他の形態では、本発明は化学式(XV)の化合物、ならびに、化学式(XV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R4はHまたはメチルであり、R11はアザ窒素は任意にメチルまたはエチルで置換されたアザ-ビシクロ-オクチル、特定の形態では1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3-イルまたは8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル、アザ-ビシクロ-ノニル、アザ-ビシクロ-デチルで置換されたC1-C4アルコキシであり;およびR4はHまたはメチル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピリジルまたは-(C0-C6アルキル)-C(O)NH-ピリジ-4-イルである。他の形態では、R4、R9およびR11 は前述のとおりでありおよびR1はクロロ; R2はアミノ;およびR3はメトキシである。
【0073】
他の形態では、本発明は化学式(XV)の化合物、ならびに、化学式(XV)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、前述の2またはそれ以上の形態が組み合わされる。
【0074】
他の形態では、本発明は化学式(X), (XI), (XII), (XIII), (XIV) または(XV)のいずれか一つによるの化合物、ならびに、化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R1、R2およびR3はフェニル環上で下記のように位置する:
【化36】

【0075】
他の形態では、本発明は化学式(X), (XI), (XII), (XIII), (XIV) または(XV)のいずれか一つによるの化合物、ならびに、化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、結合3は「S」配置であり、結合4は「R」配置である。
【0076】
さらに他の形態では、本発明は化学式(X), (XI), (XII), (XIII), (XIV) または(XV)のいずれか一つによるの化合物、ならびに、化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R1、R2およびR3はフェニル環上で下記のように位置し:
【化37】

結合3は「S」配置であり、結合4は「R」配置である。
【0077】
他の形態では、本発明は化学式(X), (XI), (XII), (XIII), (XIV) または(XV)のいずれか一つによるの化合物、ならびに、化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、結合3は「R」配置であり、結合4は「S」配置である。
【0078】
他の形態では、本発明は化学式(X), (XI), (XII), (XIII), (XIV) または(XV)のいずれか一つによる化合物、ならびに、化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R1、R2およびR3はフェニル環上で下記のように位置し:
【化38】

結合3は「R」配置であり、結合4は「S」配置である。
【0079】
さらに他の形態では、本発明は化学式(X)の化合物、ならびに、化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、R1はクロロ; R2はアミノ; R3はメトキシ; R4はHであり、およびR1、R2およびR3はフェニル環上で下記のように位置し:
【化39】

L は -(C3-C5アルキル)-であり、1炭素が-N(R9)-または-(C2-C6アルキル)-C(O)-で置き換えられる。さらに他の形態では、R1、R2およびR3は前述の通りフェニル環上で位置しており、R4は前述のとおりであり、およびR5は-O-ヘテロシクロアルキルであり、そのヘテロシクロアルキル基はアザ窒素は任意にメチルまたはエチルで置換されたアザ-ビシクロ-オクチル、特定の形態では1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3-イルまたは 8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル、アザ-ビシクロ-ノニル、アザ-ビシクロ-デチル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびピロリジニルから選択され、そのピペリジニル、ピペラジニルおよびピロリジニル基は個々にC1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、ハロゲン、C1-C4 ハロアルキル、C1-C4 ハロアルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシ C1-C4アルキル、アミノ、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキル)-C(O)R11またはNO2である1または2位置で非置換または置換され、
R11は個々にC1-C4アルコキシ、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、-(C0-C6アルキル)-C(O)N(R9)-ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである1または2個の基で任意に置換されたC1-C6アルコキシであり、そのヘテロシクロアルキル基はアザ窒素は任意にメチルまたはエチルで置換されるアザ-ビシクロ-オクチル、特定の形態では1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3-イルまたは8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル、アザ-ビシクロ-ノニル、アザ-ビシクロ-デチルから選択され;およびR4はHまたはメチル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、およびモルホリニルであり、そのヘテロシクロアルキル基は個々にハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル、-CO2H、CF3またはOCF3である1,2または3個の基で任意に置換される。
【0080】
さらに他の形態では、本発明は化学式(X)の化合物、ならびに、化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、
R1はクロロ; R2はアミノ; R3はメトキシ; R4はHであり、およびR1、R2およびR3はフェニル環上で下記のように位置し:
【化40】

および
L は 1炭素が-N(R9)-と置き換えられる-(C3-C5アルキル)-または-(C2-C6アルキル)-C(O)-である。さらに他の形態では、そのR1、R2およびR3は前述のとおりにフェニル環上で位置しており、R4は前述のとおりであり、R5はアザ窒素は任意にメチルまたはエチルで置換されるアザ-ビシクロ-オクチル、特定の形態では1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3-イルまたは8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル、アザ-ビシクロ-ノニル、アザ-ビシクロ-デチルから選ばれるヘテロシクロアルキルである。
【0081】
さらに他の形態では、本発明は化学式(X)の化合物、ならびに、化学式(X)の化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスを提供し、
R1はクロロ; R2はアミノ; R3はメトキシ; R4はHであり、R1、R2およびR3 はフェニル環上で下記のように位置し:
【化41】

および
Lは1炭素は-N(R9)-と置き換えられる-(C3-C5アルキル)-、または-(C2-C6アルキル)-C(O)-である。さらに他の形態では、そのR1、R2およびR3は前述の通りにフェニル環上で位置しており、R4は前述のとおりであり、R5は-N(R9)-C0-C4アルキル-アリルまたは-N(R9)-(C0-C6アルキル)-C(O)-アリルであり、そのアリル基はC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン、C1-C6 ハロアルキル、C1-C6 ハロアルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、-(C0-C6アルキル)-C(O)R11またはNO2で1つ以上の置換可能な位置で非置換または置換される。他の形態では、そのアリル基は-(C0-C6アルキル)-C(O)R11と個々にC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン、CF3、OCF3、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノ、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、またはNO2から選択される1または2個の基で任意に置換されるフェニルであり、
R11は個々にC1-C4アルコキシ、アミノ、-NH(C1-C6アルキル)、-N(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)、-(C0-C6アルキル)-C(O)N(R9)-ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである1または2個の基で任意に置換されるC1-C6アルコキシであり、そのヘテロシクロアルキル基はピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、およびモルホリニルから選ばれ、そのヘテロシクロアルキル基は個々にハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシカルボニル、-CO2H、CF3またはOCF3である1,2または3個の基で任意に置換される。望ましい形態においてはその-(C0-C6アルキル)-C(O)R11 基はフェニル環の位置4についている。
【0082】
他の形態では、本発明の方法および/またはプロセスで製造された化合物の結合3および4の配置は以下のとおりである。
【化42】

【0083】
望ましい形態においては、本発明の方法および/またはプロセスで製造された化合物の結合3および4の配置は以下のとおりである。
【化43】

【0084】
本発明はさらに嘔吐、消化不良、胃不全麻痺、便秘、偽性の腸閉塞、胃食道逆流または術後イレウスの治療方法、本発明の方法および/またはプロセスにしたがって製造された化学式(X)の化合物または塩の薬学的に有効な分量の投与をこのような治療を必要としている患者に行うことでされている方法を提供する。
【0085】
本発明は、 シサプリドよりも分解されやすい血清および/または細胞質エステラーゼを製造する方法および/またはプロセスを提供し、これによりシトクロム P450による代謝に関連する有害影響を回避する。
【0086】
好都合に、本発明の方法および/またはプロセスにしたがって製造された治療化合物は保存中安定しているが、生理学的環境下においては比較的短い半減期を持ち、したがって本発明の化合物はより少ない副作用の発生や毒性で使用することができる。
【0087】
本発明の望ましい形態においては, 本発明の方法および/またはプロセスにしたがって製造された治療立体異性化合物を提供し、これは逆流性食道炎の治療やエステラーゼによって分解されやすいエステル基を含む治療に有用であり、これにより化合物を分解し、治療を受けている患者からの化合物の効率的な排出を促進する。望ましい形態においては、治療立体異性化合物は第一相薬物解毒系統によって代謝される。
【0088】
本発明のさらなる形態は、本発明の方法および/またはプロセスで製造された治療化合物にエステラーゼが作用したときに生成される分解生成物(望ましくは代謝分解生成物、すなわち通常親エステルの酸である代謝産物)に関係がある。尿または血清中のこれらの分解生成物の存在は、患者からの治療化合物の排出速度の監視に使用することができる。
【0089】
本発明の方法および/またはプロセスにしたがって製造された化合物のエステラーゼによる分解は薬物代謝において特に有利であり、これはこれらの酵素が遍在的に分布しており、これらの活性は、酸化肝臓薬物代謝と同様に年齢、性別または病状に左右されることがない。
【0090】
本発明は、さらに逆流性食道炎などの症状の治療を必要としている患者への少なくとも一つの立体異性構造および/またはシサプリドの機能的アナログの治療効果のある分量の投与から成るこれらの症状の治療法を提供する。特定の形態においては、本発明は、立体異性構造および/またはシサプリドの機能的アナログおよびこれらのエステル化された化合物の製薬組成物を提供する。
【0091】
本発明は、さらにシサプリド投与と関連した有害影響を実質的に軽減しながら、嘔吐、さらには消化不良、胃不全麻痺、便秘および偽性の腸閉塞を含むがこれに限らないその他の症状の治療物質および方法を提供する。
【0092】
本発明の望ましい形態においては、治療用の立体異性化合物を製造する方法および/またはプロセスを提供し、これらの化合物は胃食道逆流、消化不良、胃不全麻痺、便秘、術後イレウスおよび偽性の腸閉塞の治療に有用であり、エステラーゼが作用するエステル基を含むため化合物の分解と治療を受けている患者からの化合物の効率的な排出を促進する。
【0093】
本発明は、さらに本発明の有利な化合物の合成方法を提供する。特に、これらの立体異性化合物の製造および精製方法を教える。このようなエステル部分の追加方法や立体異性体の製造および精製方法は熟練した職人にはよく知られており、本明細書に記載されるガイダンスを活用することで容易に実施することができる。
【0094】
望ましい化合物
望ましい形態においては、3つのキラル中心を含む化合物Iの単離された立体異性体を製造する方法および/またはプロセス、ならびに立体異性体を製造するために有用な中間体を提供する。
化合物I
【化44】

【0095】
キラル中心の2つはシサプリドおよびノルシサプリド中に存在し、活性薬物のシス型立体配置にある:
【化45】

【0096】
したがって、例えば、薬学的に活性であるノルシサプリドは、2つのシス鏡像異性体のラセミ混合物である:
【化46】

【0097】
一形態において、本発明は第3キラル中心のキヌクリジノル部分の特定のを持つ化合物、さらにこれらの化合物を製造するために有用な中間体を製造する方法および/またはプロセスの提供に特に関連する。この基は、ここで± 化合物IIと呼ばれる酸代謝物への変換中に除去される:
化合物II
【化47】

【0098】
化合物Iの立体異性体は、RまたはS キヌクリジノルを(+)- または(-)-ノルシサプリドと結合させることによって製造することができ、化合物III、IV、VおよびVIをもたらすが、望ましい方法は下記に記述され、シサプリド核は利用しない。
化合物III: (-)(R)-化合物I
【化48】

化合物IV: (+)(R)-化合物I
【化49】

化合物V: (-)(S)-化合物
【化50】

化合物VI: (+)(S)-化合物I
【化51】

【0099】
望ましい形態においては、本発明は、立体異性体的に単離された化合物を製造する方法および/またはプロセス、ならびにこれらの化合物を製造するために有用な中間体およびこれらの化合物から成る組成物に関する。本発明の方法および/またはプロセスにしたがって製造された化合物の単離された立体異性体は、互いから実質的に遊離している(すなわち、立体異性体的過剰)。言い換えれば、化合物のR型は化合物のS型を実質的に含まず、したがってS型の立体異性体的過剰である。逆に、化合物のS型は化合物のR型を実質的に含まず、したがってR型の立体異性体的過剰である。本発明の一形態において、本発明の方法および/またはプロセスにしたがって製造された単離された立体異性化合物は、少なくとも約80%立体異性的過剰である。望ましい形態においては、本発明の方法および/またはプロセスにしたがって製造された化合物は、少なくとも約90%立体異性的過剰である。より望ましい形態においては、本発明の方法および/またはプロセスにしたがって製造された化合物は、少なくとも約95%立体異性的過剰である。よりいっそう望ましい形態においては、本発明の方法および/またはプロセスにしたがって製造された化合物は、少なくとも約97.5%立体異性的過剰である。もっとも望ましい形態においては、本発明の方法および/またはプロセスにしたがって製造された化合物は、少なくとも約99%立体異性的過剰である。同様に、(+)型および(-)型の化合物も立体異性的過剰で提供される。
【0100】
本明細書に記述されているように、本発明の方法および/またはプロセスにしたがって製造された様々な立体異性体は予期せぬ特有の性質を持っており、好都合に、特定の状況に合わせて治療をカスタマイズすることができる。したがって、例えばキヌクリジニルエステル部分に(3’R)-異性体を含む化合物、すなわち化合物IIIおよびIV、はヒト血漿中のエステラーゼによって急速に代謝されるが、キヌクリジノルの(3’S)-異性体を含む化合物、すなわち化合物VおよびVI、はもっと遅い代謝を受ける。
【0101】
したがって、化合物Iの(3’R)-異性体は、急性胃不全麻痺または急性胃食道逆流を持つ患者への脈動投与などの急性の胃運動性の刺激などの短時間の作用が望ましい場合に使うことができる。活性が実質的に低い代謝産物、すなわち化合物IIにとってのエステラーゼによる急速代謝のもう一つの利点は、薬物・薬物相互作用および毒性の可能性が非常に低いことである。このため、これらの短時間作用型(R)-異性体は、 CYP系統が完全に発達していないために薬物を代謝することができないことで知られている早産新生児さらには成人における胃食道逆流の治療のための静脈剤形としても有利に使用することができる。これらの新生児では、CYP450以外の系統、例えばエステラーゼによる急速代謝を持つ薬剤は、非常に有利である。他方では、本発明の方法および/またはプロセスにしたがって製造された化合物Iの(3’S)-異性体は、同様の病気の慢性化した状況、例えば糖尿病患者の胃不全麻痺やアヘン剤投与の癌患者、または24時間の範囲が必要な患者における慢性胃食道逆流などへの使用にもっとも適している。
【0102】
代謝結果の違いに加えて、これらの別々の異性体は5-HT4 受容体の結合親和性も異なっており、したがって異なる作用、つまり異なる治療用途が示唆される。したがって、5-HT4 受容体を高いものから順に並べると、この異性体は以下のように順位づけることができる(括弧内は結合定数のKi値); 化合物IV (1.4nM)、化合物VI (3.4nM)、化合物III (28nM)そして化合物V (72nM)。これらの結合実験は、標準教科書に記述されていて分子生物学の分野に通じている物は容易に再現できることが可能である放射性標識化置換方法によって行われた。
【0103】
これらの検討の結果は、位置3または4がお互いにシス同士である時には、化合物Iは4 異性体の混合物であり、2組の鏡像異性体が含まれる。最初の組の鏡像異性体は、(+)(R)-化合物Iおよび(-)(S)-化合物I(順に化合物IVおよびV)、そして第2組の鏡像異性体は(-)(R)-化合物Iおよび(+)(S)-化合物I(順に化合物IIIおよび VI)である。それぞれの組の鏡像異性体の中では、一つ一つの鏡像異性体は、エステラーゼによる加水分解の速度に関するものと5-HT4 受容体の親和性の両方に関する特性が異なっている。これらの異なる特性は、それぞれに別々に有利な代替可能でない治療用途をもたらし、これはそれぞれの異性体に特有であり、ラセミ混合物には適用されない。これらの受容体の異なる親和性と異なる代謝速度は予測不可能であり、ラセミ混合物を試験する時にこれらの特性を分析することもできない。
【0104】
本発明の他の形態は、化学式II´
【化52】

の化合物を製造する方法を含み、この方法は、化学式(I´)
【化53】

の化合物またはその塩を化学式(II´)の化合物またはその塩にそれぞれ変換することを含み、X1 は窒素保護基であり、X2 は水素および窒素保護基 (ここでは、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルなどの、一般に知られていて使われる窒素保護基が使われる)からなる群から選ばれ(望ましくは、X1およびX2は両方ともベンジル)およびRは(C1-C8)アルキル、望ましくは(C1-C4)アルキル、さらに好ましくはエチルである。もう一つの実施形態においては、X1とX2は両方ベンジルではない。
【0105】
本発明は化学式II´
【化54】

の化合物およびその塩も含み、X1は窒素保護基であり、X2 は水素および窒素保護基 (ここでは、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルなどの、一般に知られていて使われる窒素保護基が使われる)からなる群から選ばれ(望ましくは、X1およびX2は両方ともベンジル)およびRは(C1-C8)アルキル、望ましくは(C1-C4)アルキル、さらに好ましくはエチルである。もう一つの実施形態においては、X1とX2は両方ベンジルではない。
【0106】
他の形態では、本発明は化学式III´
【化55】

の化合物を製造する方法を含み、この方法は、化学式(II´)
【化56】

の化合物をアルカリ金属水酸化物もしくは水素化物(例:NaOH、KOH、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、水素化アルミニウムリチウムなど)で処理して化学式(III´)の化合物を生成することを含み、X1は窒素保護基であり、X2 は水素および窒素保護基 (ここでは、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルなどの、一般に知られていて使われる窒素保護基が使われる)からなる群から選ばれ(望ましくは、X1およびX2は両方ともベンジル)およびRは(C1-C8)アルキル、望ましくは(C1-C4)アルキル、さらに好ましくはエチルである。もう一つの実施形態においては、X1とX2は両方ベンジルではない。
【0107】
我々は以下の化合物を使用した実験で驚くべき結果を得ており、
【化57】

これは少なくとも12当量のKOHおよび8倍過剰のイソプロピルアルコールを加水分解反応で還流させながら使用することにより、ほぼ100%の変換をほとんど不純物なしで達成できることである。これより少ない分量のKOH(例:5または10当量)では、変換の範囲は約83-98%にとどまり、不純物は1.9%から7.3%の間であった。
【0108】
本発明は化学式III´
【化58】

の化合物 およびその塩も含み、X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基 (ここでは、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルなどの、一般に知られていて使われる窒素保護基が使われる)からなる群から選ばれる(望ましくは、X1およびX2は両方ともベンジル)。もう一つの実施形態においては、X1とX2は両方ベンジルではない。
【0109】
他の形態では、本発明は化学式III´´
【化59】

の化合物を製造する方法を含み、この方法は、
a)化学式III´
【化60】

の化合物をキラル分割剤(例:酒石酸、マンデル酸、モシャー酸、カンファースルホン酸など)と接触させ、III´´のキラル塩を生成し、III´´のキラル塩を分離し;
b) 任意にa)の生成物を再結晶し; および
c) a)またはb)の生成物を塩基と接触させ、化学式III´´の化合物を生成することを含み、ここで、X1は窒素保護基であり、X2 は水素および窒素保護基 (ここでは、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルなどの、一般に知られていて使われる窒素保護基が使われる)からなる群から選ばれる(望ましくは、X1およびX2は両方ともベンジル)。もう一つの実施形態においては、X1とX2は両方ベンジルではない。
【0110】
本発明のこの形態において望ましくは、キラル分割剤は(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸であり、III´のキラル塩は(3S,4R)-鏡像異性体 (+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸塩である。
【0111】
驚くべきことに、(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸のキラル塩の使用、望ましくは構造III´の化合物2当量につき1当量の分量の使用は、他のキラル分割剤と比べてより多くの生成をもたらすことがわかった。III´の2当量につき (+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸の1当量の使用は、III´の2当量につき (+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸の1当量の使用のときに得られた生成量の3倍以上であった。したがって、化学式III´´の化合物を製造する望ましい実施形態においては、キラル分割剤の1当量(望ましくは(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸)および化学式III´の化合物2当量が使われる。
【0112】
他の形態では、本発明は化学式III´´
【化61】

の化合物およびその塩を含み、X1は窒素保護基であり、X2 は水素および窒素保護基 (ここでは、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルなどの、一般に知られていて使われる窒素保護基が使われる)からなる群から選ばれる(望ましくは、X1およびX2は両方ともベンジル)。もう一つの実施形態においては、X1とX2は両方ベンジルではない。
【0113】
他の形態では、本発明は化学式IV´
【化62】

の化合物を製造する方法を含み、この方法は、化学式III´´
【化63】

の化合物を、(C1-C8)アルキル 6-ハロヘキサン酸(ハロは望ましくはブロモである)と接触させて化学式(IV´)の化合物を生成することを含み、R´は(C1-C8)アルキル(好ましくはエチル)であり、X1は窒素保護基であり、X2 は水素および窒素保護基 (ここでは、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルなどの、一般に知られていて使われる窒素保護基が使われる)からなる群から選ばれる(望ましくは、X1およびX2は両方ともベンジル)。もう一つの実施形態においては、X1とX2は両方ベンジルではない。
【0114】
他の形態では、本発明は化学式IV´
【化64】

の化合物およびその塩を含み、R´は(C1-C8)アルキル(好ましくはエチル)であり、X1は窒素保護基であり、X2 は水素および窒素保護基 (ここでは、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルなどの、一般に知られていて使われる窒素保護基が使われる)からなる群から選ばれる(望ましくは、X1およびX2は両方ともベンジル)。もう一つの実施形態においては、X1とX2は両方ベンジルではない。
【0115】
他の形態では、本発明は化学式V´
【化65】

の化合物を製造する方法を含み、この方法は、化学式IV´
【化66】

の化合物を、有機溶媒(例:トルエン)中で(R)-キヌクリジ-3-ノルおよびルイス酸(例: (例: チタンテトラアルコキシド (例:Ti(OiPr)4(チタンテトライソプロポキシド)およびTi(OEt)4 (チタンテトラエトキシド))、TsOH (パラルエンスルホン酸)、K2CO3、および触媒DMAP(触媒4-ジメチルアミノピリジン))と接触させることを含み、R´は(C1-C8)アルキル(好ましくはエチル)であり、X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基 (ここでは、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルなどの、一般に知られていて使われる窒素保護基が使われる)からなる群から選ばれる(望ましくは、X1およびX2は両方ともベンジル)。もう一つの実施形態においては、X1とX2は両方ベンジルではない。
【0116】
他の形態では、本発明は化学式V´
【化67】

の化合物およびその塩を含み、X1は窒素保護基であり、X2 は水素および窒素保護基 (ここでは、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルなどの、一般に知られていて使われる窒素保護基が使われる)からなる群から選ばれる(望ましくは、X1およびX2は両方ともベンジル)。もう一つの実施形態においては、X1とX2は両方ベンジルではない。
【0117】
他の形態では、本発明は化学式VI´
【化68】

の化合物を製造する方法を含み、この方法は、化学式V´
【化69】

の化合物からX1基およびX2基を除去することを含み、X1は窒素保護基であり、X2 は水素および窒素保護基 (ここでは、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルなどの、一般に知られていて使われる窒素保護基が使われる)からなる群から選ばれる(望ましくは、X1およびX2は両方ともベンジル)。もう一つの実施形態においては、X1とX2は両方ベンジルではない。
【0118】
本発明のこの形態における望ましい実施形態において、X1およびX2はベンジルであり、例としてH2/Pd/Cまたはギ酸アンモニウム/PdでV´を処理することで除去し、6-[(3S,4R)-4-アミノ-3-メトキシピペリジン-1-イル]ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル を生成する。我々は驚くべきことに、H2/Pd/Cでの水素化により、この方法は、例えばギ酸アンモニウムを使用した脱ベンジル化と比べて実質的な利点を持つことを発見した。このような方法はしばしば厄介であり、試薬(例:ギ酸アンモニウム)の除去にシリカゲルカラム精製が必要であり、これは大規模生産には実用的でない。H2/Pd/Cでの水素化は非常に明瞭であり、カラム精製は必要としない。
【0119】
他の形態では、本発明は6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル (VII´)を製造する方法を含み、この方法は、化学式VI´
【化70】

の化合物を4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ安息香酸と接触させることを含む。望ましくは前述の接触はEDCI (1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)、HOBt (l-ヒドロキシベンゾトリアゾール)、HOSU (N-ヒドロキシスクシニミド)、HONB (N-ヒドロキシ-5-ノルベン-エンド-2,3-ジカルボキサミド)、イソブチルクロロホルメート、塩化ピバロイルまたはDCC (ジシクロヘキシルカルボジイミド)とである。もっとも望ましくは前述の接触はハロゲン化ピバロイル(望ましくは塩化ピバロイル)である。塩化ピバロイルの使用が実質的により明瞭な反応プロファイルをもたらし、この生成物は他のアシル化剤と比べて非常に容易であることが予想外に発見された。この結果は、他のアシル化剤を用いた方法と比べてより高い生成量と実質的により大きい純度の化合物である。
【0120】
化学式I´、II´、III´、III´´、IV´、V´およびVI´の化合物はすべて6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル の製造の中間体として有用である。
【0121】
他の形態では、本発明は上述の方法の組み合わせから成る。本明細書において用いる場合、X-Yとして記述された方法は、化学式Xの化合物を製造し、その後に化学式Yの化合物を製造する組み合わせから成る方法であり、同様に、X-Y-ZはX-Y方法、その後に化学式Zの化合物を製造する方法であり、以下同様である。それに応じて、本発明のこの形態は、制限なく、I´-II´、II´-III´、III´-III´´、III´´-IV´、IV´-V´、V´-VI´、VI´-VII´、I´-II´-III´、II´-III´-III´´、III´-III´´-IV´、III´´-IV´-V´、IV´-V´-VI´、V´-VI´-VII´、I´-II´-III´-III´´、II´-III´-III´´-IV´、III´-III´´-IV´-V´、III´´-IV´-V´-VI´およびIV´-V´-VI´-VII´の方法である。
【0122】
本発明の他の形態は、6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル またはその塩を製造する方法を含み、この方法は、
1) 化学式(I´)
【化71】

の化合物を任意に塩に変換し、Rは(C1-C8)アルキル(望ましくは(C1-C6)アルキル、(C1-C4)アルキルまたはエチル)であり;
2) 化学式(I´)の化合物またはその塩を化学式(II´)
【化72】

の化合物またはその塩にそれぞれ変換し、X1は窒素保護基であり、X2 は水素および窒素保護基 (ここでは、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルなどの、一般に知られていて使われる窒素保護基が使われる)からなる群から選ばれ(望ましくは、X1およびX2は両方ともベンジル);
3) 化学式(II´)の化合物をアルカリ金属水酸化物もしくは水素化物 (例:NaOH, KOH, 水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、水素化アルミニウムリチウム, etc.) で処理し、化学式(III´)
【化73】

の化合物を生成し;
4) 化学式(III´)の化合物をキラル分割剤 (例:酒石酸、マンデル酸、モシャー酸、カンファースルホン酸など、または望ましくはキラル塩 (例:(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸がキラル分割剤である場合には(3S,4R)-鏡像異性体 (+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸塩)を生成するための(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸)で処理することによりIII´のキラル塩を生成し、それにより生成された III´のシス異性体を分離し;
5) 任意に4の生成物を再結晶し;
6) 4または5の生成物を塩基性化して4または5の生成物の遊離塩基型を生成し;
7) 6の生成物を(C1-C8)アルキル 6-ハロヘキサン酸 (ハロは望ましくはブロモ)と接触させて化学式(IV´)
【化74】

の化合物を生成し、ここでR´は(C1-C8)アルキル(好ましくはエチル)であり;
8) 7の生成物を(R)-キヌクリジ-3-ノルおよびルイス酸 (例:チタンテトラアルコキシド (例:Ti(OiPr)4(チタンテトライソプロポキシド) および Ti(OEt)4 (チタンテトラエトキシド))、TsOH (パラトルエンスルホン酸)、K2CO3および触媒DMAP (触媒4-ジメチルアミノピリジン))で有機溶媒 (例:トルエン)中処理して化学式(V´)
【化75】

の化合物を生成し;
9) 8の生成物の4-アミノ基(例:H2/Pd/Cまたはギ酸アンモニウム/Pdは例である)を脱保護して6-[(3S,4R)-4-アミノ-3-メトキシピペリジン-1-イル]ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル を生成し;
10) 9の生成物を4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ安息香酸 (例:EDCI (1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド); HOBt (l-ヒドロキシベンゾトリアゾール); HOSU (N-ヒドロキシスクシニミド); HONB (N-ヒドロキシ-5-ノルベン-エンド-2,3-ジカルボキサミド); イソブチルクロロホルメート; 塩化ピバロイル; DCC (ジシクロヘキシルカルボジイミド))でアシル化して6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル を生成し;
11) 10の生成物を任意に塩に変換する、
の各工程を含む。
【0123】
本発明のさらなる形態は、6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル またはその塩を製造する方法を含み、この方法は、
1) 4-アミノ-3-メトキシピペリジン-1-カルボン酸エチルである化合物
【化76】

を塩に変換し;
2) 4-アミノ-3-メトキシピペリジン-1-カルボン酸エチルを4-(ジフェニルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-カルボン酸エチル
【化77】

に変換し;
3) 4-(ジフェニルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-カルボン酸エチルをアルカリ金属水酸化物もしくは水素化物で処理して3-メトキシ-N,N-ジフェニルピペリジン-4-アミン
【化78】

を生成し ;
4) 3-メトキシ-N,N-ジフェニルピペリジン-4-アミンをキラル分割剤で処理することにより3-メトキシ-N,N-ジフェニルピペリジン-4-アミンのキラル塩を生成し、生成された3-メトキシ-N,N-ジフェニルピペリジン-4-アミンの塩のシス異性体を分離し;
5) 4の生成物を任意に再結晶し;
6) 4または5の生成物を塩基性化して4または5の生成物の遊離塩基型
【化79】

を生成し;
7) 6の生成物を6-ブロモヘキサン酸エチルでアルキル化して6-((3S,4R)-4-(ジフェニルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸エチル
【化80】

を生成し;
8) 6-((3S,4R)-4-(ジフェニルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸エチルを(R)-キヌクリジ-3-ノルでエステル化して6-((3S,4R)-4-(ジフェニルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル
【化81】

を生成し;
9) 8の生成物の4-アミノ基を脱保護して6-[(3S,4R)-4-アミノ-3-メトキシピペリジン-1-イル]ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル を生成し;
10) 9の生成物を4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ安息香酸でアシル化して6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル を生成し;
11) 10の生成物を任意に塩に変換する、
の各工程を含む。
【0124】
望ましくは本発明のこの形態ではステップ1の塩はHClである。
【0125】
望ましくは本発明のこの形態ではステップ3のアルカリ金属水酸化物はKOHである。
【0126】
望ましくは本発明のこの形態では、ステップ4のキラル塩は(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸であり、これはIII´との反応により(3S,4R)-鏡像異性体 (+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸塩を生成する。
【0127】
望ましくは本発明のこの形態ではステップ8の反応状況はTi(OiP)4 (チタン(IV) イソプロポキシド)を含む。
【0128】
望ましくは本発明のこの形態ではステップ9の反応状況はH2/Pd/Cを含む。
【0129】
望ましくは本発明のこの形態ではステップ10の反応状況は塩化ピバロイルを含む。
【0130】
定義
本明細書において用いる場合、“アルキル”という用語は望ましい数の炭素原子を持つアルキル基を含む。アルキル基は連続または分岐している。“アルキル”の例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-、第2および第3ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、3-エチルブチルなどが含まれる。炭素原子の数が特定されていない場合は、その“アルキル” 部分は1から6の炭素を持つ。
【0131】
“アルコキシ”という用語は、親分子部分に指示された数の炭素原子が酸素橋で付けられたアルキル基を表す。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ, ポロポキシおよびイソポロポキシが含まれる。
【0132】
“アリル”とは一つの環(例:フェニル)を持つ芳香族炭素環基であり、任意に他の芳香族炭化水素環または非芳香族炭化水素環と融合または別に結合しているものを意味する。“アリル”には少なくとも一つが芳香族である複数の縮合環(例:1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、ナフチル)を含み、それぞれの環は任意に下記の基、さらには例えばビフェニルまたはビナフチルなどの融合されていない複数の環と一、二または三置換される。本発明の望ましいアリル基は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インダニル、インデニル、ジヒドロナフチル、フルオレニル、テトラリニルまたは6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[ザ]シクロヘプテニルである。より望ましくはフェニル、ビフェニルおよびナフチルである。もっとも望ましくはフェニルである。ここのアリル基は非置換であるか、指示されているように、様々な基で一つかそれ以上の置換位置で置換される。例えば、このようなアリル基は、任意に以下で置換される。C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ(C1-C6)アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6 ハロアルキル、C1-C6 ハロアルコキシ、アミノ(C1-C6)アルキル、モノ(C1-C6)アルキルアミノ(C1-C6)アルキルまたはジ(C1-C6)アルキルアミノ(C1-C6)アルキル。
【0133】
“ハロアルコキシ”という用語は、少なくとも一つのハロゲン原子で置換され、任意にさらに少なくとももう一つのハロゲン原子で置換されたアルコキシ基を指し、それぞれのハロゲンは個々にF、Cl、BrまたはIである。望ましいハロゲンはFまたはClである。望ましいハロアルコキシ基は1-6炭素を含み、さらに望ましくは1-4炭素、さらにいっそう望ましくは1-2炭素を含む。“ハロアルコキシ”はOCF3またはOCF2CF3などのペルハロアルコキシ基を含む。
【0134】
"ヘテロアリル"という用語は、窒素、酸素および硫黄から選ばれた少なくとも一つのヘテロ原子を含む芳香族環系を指す。そのヘテロアリル環は一つかそれ以上のヘテロアリル環、芳香族または非芳香族炭化水素環、またはヘテロシクロアルキル環と融合または別に結合されることができる。ヘテロアリル基の例として、ピリジル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ピリダジニル、ピラジニル、イソインドリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、インドリジニル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ベンゾ[1,4]オキサジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、イソクロマニル、クロマニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、ピリドピリジニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、プリニル、ベンゾジオキソリル、トリアジニル、プテリジニル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、ジヒドロベンズイソキサジニル、ベンズイソキサジニル、ベンゾキサジニル、ジヒドロベンズイソチアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クロモニル、クロマニル、ピリジニル-N-オキシド、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロキノリノニル、ジヒドロイソキノリノニル、ジヒドロクマリニル、ジヒドロイソクマリニル、イソインドリノニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾキサゾリノニル、ピロリル N-オキシド、ピリミジニル N-オキシド、ピリダジニル N-オキシド、ピラジニル N-オキシド、キノリニル N-オキシド、インドリル N-オキシド、インドリニル N-オキシド、イソキノリル N-オキシド、キナゾリニル N-オキシド、キノキサリニル N-オキシド、フタラジニル N-オキシド、イミダゾリル N-オキシド、イソキサゾリル N-オキシド、オキサゾリル N-オキシド、チアゾリル N-オキシド、インドリジニル N-オキシド、インダゾリル N-オキシド、ベンゾチアゾリル N-オキシド、ベンズイミダゾリル N-オキシド、ピロリル N-オキシド、オキサジアゾリル N-オキシド、チアジアゾリル N-オキシド、トリアゾリル N-オキシド、テトラゾリル N-オキシド、ベンゾチオピラニルS-オキシド、ベンゾチオピラニル S,S-ジオキシドである。望ましいヘテロアリル基は、ピリジル、ピリミジル、キノリニル、インドリル、ピロリル、フラニル、チエニルおよびイミダゾリルを含む。より望ましいヘテロアリル基は、ピリジル、ピロリルおよびインドリルを含む。ここのヘテロアリル基は非置換であるか、指示されているように、様々な基で一つかそれ以上の置換位置で置換される。例えば、ヘテロアリル基は任意にC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ(C1-C6)アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6 ハロアルキル、C1-C6 ハロアルコキシ、アミノ(C1-C6)アルキル、モノ(C1-C6)アルキルアミノ(C1-C6)アルキルまたはジ(C1-C6)アルキルアミノ(C1-C6)アルキルで置換できる。
【0135】
"ヘテロシクロアルキル"という用語は、望ましくは窒素、酸素または硫黄から選ばれた少なくとも一つのヘテロ原子を含む環または環系を指し、そのヘテロ原子は非芳香族環に含まれる。そのヘテロシクロアルキル環は、任意に他のヘテロシクロアルキル環および/または非芳香族炭化水素環および/またはフェニル環と融合または別に結合される。望ましいヘテロシクロアルキル基は3から6員を持つ。より望ましいヘテロシクロアルキル基は5または6員を持つ。ヘテロシクロアルキル基の例として、アザ-ビシクロ[2.2.2]オクチル、アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルS-オキシド、チオモルホリニルS,S-ジオキシド、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ホモピペリジニル、ホモモルホリニル、ホモチオモルホリニル、ホモチオモルホリニルS,S-ジオキシド、オキサゾリジノニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル S-オキシド、テトラヒドロチエニルS,S-ジオキシドおよびホモチオモルホリニルS-オキシドが含まれる。望ましいヘテロシクロアルキル基は、アザ-ビシクロ[2.2.2]オクチル、アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、チオモルホリニル、S,S-ジオキソチオモルホリニル、モルホリニルおよびイミダゾリジニルである。より望ましくはアザ-ビシクロ[2.2.2]オクチル、アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニルおよびモルホリニルである。ここのヘテロ環基は非置換、もしくは指示されているように、様々な基で一つかそれ以上の置換位置で置換される。例えば、このようなヘテロ環基は任意にC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ(C1-C6)アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、C2-C6 アルケニル、C2-C6 アルキニル、C1-C6 ハロアルキル、C1-C6 ハロアルコキシ、アミノ(C1-C6)アルキル、モノ(C1-C6)アルキルアミノ(C1-C6)アルキル、ジ(C1-C6)アルキルアミノ(C1-C6)アルキル または =Oで置換することができる。
【0136】
"薬学的に許容できる塩" または "薬学的に許容できるその塩" という用語は、無機酸および塩基および有機酸および塩基を含む薬学的に許容できる非毒性酸または塩基から製造された塩基を指す。本発明の化合物は塩基であるため、塩基は薬学的に許容できる非毒性酸から製造することができる。本発明の化合物の適正な薬学的に許容できる酸付加塩には、酢酸、ベンゼルスルホン酸 (ベシレート)、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エチレンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などが含まれる。望ましい酸付加塩は、塩化物および硫酸塩である。もっとも望ましい形態においては、シサプリドの構造的および/または機能的アナログは遊離塩基として、または一または二塩酸塩として投与される。
【0137】
本明細書において用いる場合、“治療”および“治療する”という用語は、化合物または化合物を含む薬剤製造(予防薬)の予防的投与、さらにはここで言及されている病気または症状を軽減または除去するための治療法が含まれる。予防的投与は症状の予防を目的とし、本明細書に言及されている一つかそれ以上の症状を持つか患う危険性がある患者を治療することに使うことができる。したがって、本明細書において用いる場合、"治療"という用語またはその派生語は、本発明の有効成分が予防的に、またはこのような有効成分が投与された病状の兆候の後に投与されたときに、記述された病状の部分的または完全な防止を意図する。"予防"は、哺乳類を本明細書に記述されているすべての症状およびその他の症状から保護するためのその哺乳類への有効成分の投与を示す。
【0138】
"治療に有効な分量"という用語は、得られる治療効果に必要な分量を示し、これは 1) 逆流性症状を軽減するために十分な量、2) 嘔気嘔吐を軽減するために十分な量、または3) 胃腸運動障害による症状を軽減するために十分な量などである。シサプリドの構造的および/または機能的アナログの治療に有効な分量は、上述の投与量および投与頻度予定に含まれる。
【0139】
"哺乳類"は、例えば、ハツカネズミ、ネズミ、豚、馬、ウサギ、山羊、牛、猫、犬または人間でありえる。望ましい形態においては、哺乳類は人間である。
【0140】
“個体”という用語は、本発明の化合物が投与される一個体の哺乳類として定義される。哺乳類は、例えば、ハツカネズミ、ネズミ、豚、馬、ウサギ、山羊、牛、猫、犬または人間でありえる。望ましい形態においては、哺乳類は人間である。
【0141】
"エステル化されたシサプリド"という用語は、シサプリドの構造的および/または機能的アナログである本発明の治療化合物を意味し、これは通常エステルである加水分解性基を含み、これは治療効果を提供するこれらの化合物の能力を損なうことなく、これらの化合物を加水分解酵素、特に血清および/または細胞質エステラーゼによる分解による影響を受けやすくし、シサプリド化合物とシトクロムP-450薬物解毒系統との相互作用を低減する。エステル化されたシサプリド化合物のエステラーゼを介した代謝は、シサプリド代謝におけるシトクロムP-450薬物解毒系統の役割を低減し、シサプリドによる有害影響を低減または除去する。
【0142】
“構造的アナログ”という用語は、 本明細書において用いる場合、記述されている化合物が親化合物と構造的な特徴を共にすることを意味する。例えば、シサプリドの構造的アナログは、アミドリンカーを通じてピペリジン環と結ばれた置換されたアリル環などの親シサプリド化合物と一つかそれ以上の構造的な特徴を共にするが、例えば一つかそれ以上の他の化学成分の包含または欠失など、構造的な違いを持つ。
【0143】
“機能的アナログ”という用語は、本明細書において用いる場合、記述されている化合物が親化合物と機能的な特徴を共にすることを意味する。例えば、シサプリドの機能的アナログは、5-HT4 アゴニストなど、たとえあったとしても少ないシサプリドの構造的な特徴を持つが、同様の機能を持つ。
【0144】
"有害影響"という用語は、これに限るものではないが、下痢、腹部疝痛および腹部の断続的な痛みなどの胃腸疾患; 疲労;頭痛; 収縮期圧増加; 死; 心室性頻拍症; 心室細動; トルサード・ド・ポワント; QT 延長; 心拍数増加; 神経疾患およびCNS疾患;およびこれに限るものではないがジゴキシン、ジアゼパム、エタノール、アセノクマロール、シメチジン、ラニチジン、パラセタモールおよびプロプラノロールなどの併用して与えられる他の薬物とシサプリドの相互作用などが含まれる。
【0145】
"逆流性食道炎"という用語は、本明細書において用いる場合、食道に胃の中身が逆流することを起こす病気の発生および症状を意味する。
【0146】
"鎮吐作用の誘発"および"鎮吐療法"の用語は、本明細書において用いる場合、自然発生的に誘発する嘔気嘔吐または嘔吐作用のある癌の化学療法や放射線治療に関連する嘔気嘔吐の症状の緩和または防止の提供を意味する。
【0147】
"胃腸運動障害による症状の治療"という用語は、本明細書において用いる場合、逆流性食道炎、消化不良、胃不全麻痺、便秘、術後イレウスおよび偽性の腸閉塞を含むがこれらに限るものではないこの疾患に関連する症状および病気の治療を意味する。
【0148】
"運動促進"という用語は、本明細書において用いる場合、蠕動運動つまり消化管を通じる動きの改善を意味する。
【0149】
"消化不良"という用語は、本明細書において用いる場合、主要な胃腸疾患の症状として、または虫垂炎、胆嚢障害または栄養失調などのその他の障害による合併症として現れる消化力または機能の障害により特徴づけられる病気を意味する。
【0150】
"胃不全麻痺"という用語は、本明細書において用いる場合、胃の運動異常により起こる、または糖尿病、進行性全身性硬化症、拒食症または筋強直性ジストロフィー症などの病気の合併症として起こる胃の麻痺を意味する。
【0151】
"便秘"という用語は、本明細書において用いる場合、腸筋緊張または腸痙縮の欠如などの症状に起因する不定期の糞便の排出または排出の困難により特徴づけられる症状を意味する。
【0152】
"術後イレウス"という用語は、本明細書において用いる場合、術後の筋緊張の阻害による腸の閉塞を意味する。
【0153】
"偽性の腸閉塞"という用語は、本明細書において用いる場合、物理的閉塞の形跡がない便秘、疝痛および嘔吐により特徴づけられる症状を意味する。
【0154】
化合物の製造
シサプリドの様々なアナログの化学合成は1983年4月13日発行のヨーロッパ特許申請第0,076,530 A2号、WO 01/093849、米国特許第4,962,115および5,057,525号、および in Van Daele他著、Drug Development Res. 8: 225-232 (1986)に記載されている方法により実施することができるが、その開示はここに参考のために全体が組み込まれ、本発明の化合物は望ましくは方法3-6の開示にしたがって製造される。
【実施例】
【0155】
本発明は、方法の後のいくつかの実施例によってさらに説明される。方法と実施例は記述されている特定の手段により本発明の対象範囲および精神を制限するとは見なされない。この分野に精通しているものは、以下の例で実証するように、出発原料が異なったり本発明に含まれる化合物を生成するための追加の段階を認識するであろう。この分野に精通しているものは、さらに上記の変換のいくつかを得るために異なる溶媒または試薬の活用が必要でありえることを認識するであろう。一部の例では、反応的機能性の保護が上記変換を得るのに必要であるかもしれない。一般に、このような保護基の必要性、さらにはこれらの基の添付および除去は、有機合成の分野に精通しているものには明らかである。保護基が使用されるときは、脱保護段階が必要になるかもしれない。T. GreeneによるProtecting Groups in Organic Synthesisに記載されるような保護および脱保護の適切な保護基と方法は、この分野ではよく知られ、評価されている。
【0156】
特に明記しない限り、すべての試薬および溶媒は標準商用等級であり、さらなる精製をすることなく使われる。反応を行う適切な雰囲気は、例えば、空気、窒素、水素、アルゴンなどであり、この分野に精通しているものには明らかである。
【0157】
方法1 6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-2-クロロ-6-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル の製造
ステップ1: 4-(ジベンジルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-カルボン酸エチル (1)の合成:
【化82】

DMFのラセミ4-アミノ-3-メトキシピペリジン-1-カルボン酸エチル溶液 (1部モル)に、臭化ベンジル (約2.2部モル)、炭酸カリウム (約2.4部モル)およびヨウ化カリウム (約0.2部モル)をそれぞれ加えた。反応物は約80℃に加熱された (明細書では、デルタまたはDは熱を示す)。約6時間後、反応物はゆっくり水で希釈され(約12部体積)、例えば酢酸エチルで抽出された。有機層は塩水で洗浄され、無水Na2SO4上乾燥された。それに続く溶媒の濾過および濃縮により、橙黄色の油 (1部モル)の1が得られた。
【0158】
ステップ2. N,N-ジベンジル-3-メトキシピペリジン-4-アミン (2)の合成:
【化83】

1の溶液にイソプロパノール中のNaOH (約10部モル)が加えられ、混合物は撹拌され、加熱還流された。約3時間から5時間後、反応物は室温まで冷まされ、回転蒸発によりアルコール溶媒が除去された。混合物は水で希釈され、酢酸エチルで抽出された。有機層は塩水で洗浄され、無水Na2SO4上乾燥された。それに続く溶媒の濾過および濃縮で無精製の油が得られ、SiO2 (CH2Cl2:MeOH:NH4OH; (約) 15:1:0.01)上精製され、2が得られた。
【0159】
ステップ3. (3S,4R)-N,N-ジベンジル-3-メトキシピペリジン-4-アミン (3)の合成:
【化84】

(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸 (約1.2部重量)がエタノールに溶解され、2の溶液 (約1部重量)にゆっくりと加えられた。溶液は静かに暖められ、それから室温まで冷まされて、塩生成物が結晶化した。塩は濾過され、EtOH/H2Oで洗浄され、水中で懸濁され、pHが約12になるまで水性NaOH (7%, wt/wt)が加えられて塩基性化された。懸濁液は室温で強く撹拌され、固形物を濾過し、水で洗浄し、真空で乾燥し、シス異性体 3が得られた。
【0160】
ステップ4. 6-((3S,4R)-4-(ジベンジルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸エチル (4)の合成:
【化85】

DMF中の3 (1部モル)の溶液に、ブロモヘキサン酸エチル (約1.2部モル)、炭酸カリウム (約1.4部モル)およびヨウ化カリウム (約0.2部モル)がそれぞれ加えられた。反応物はそれから80°Cまで加熱された。約8時間後、反応物はゆっくり水で希釈され(約12部体積)酢酸エチルで抽出された。有機層は塩水で洗浄され、無水Na2SO4上乾燥された。それに続く溶媒の濾過および濃縮により、無精製の物質が得られた。SiO2上の精製により、アルキル化した物質4が得られた。
【0161】
ステップ5. 6-((3S,4R)-4-(ジベンジルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル (5)の合成:
【化86】

チタンテトラエトキシドがトルエン中の4 (1部モル)と(R)-(-)-3-キヌクリジノル(1部モル)の混合物に加える。反応混合物は、ディーンスターク器具で装備され、約90 oC間で加熱され、それから不完全真空が適用される(必要な溶媒レベルを保つために必要なトルエンは必要に応じて加えられる)。混合物はそれから室温まで冷まされ、酢酸エチルで希釈され、もたらされた混合物に水が加えられる。有機層は分離され、塩水で洗浄され、無水Na2SO4上乾燥され、濾過され、濃縮される。SiO2上の精製で鏡像異性的に強化された5が得られる。
【0162】
ステップ6.6-((3S,4R)-4-アミノ-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸 (R)-キヌクリジン-3-イル (6)の合成:
【化87】

EtOH中の5 (1部モル)の溶液が、炭素(約0.2部モル)のパラジウムを含む反応フラスコに加えられる。混合物はそれから空気が抜かれ、水素雰囲気を使った水素添加分解状況におかれる。この反応の完了後、パラジウムはセリットのパッドの下で濾過され、EtOH洗浄される。濾過されたものは回転蒸発により濃縮され、6が得られる。
【0163】
ステップ7. 6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-2-クロロ-6-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル (7)の合成:
【化88】

約0 oCのTHF中の、例えばエチルクロロホルメート (1部モル)の溶液に安息香酸 (1部モル)が分けて加えられる。混合物は室温まで約1時間暖められ、約0 oCまで冷却され、6 (1部モル)の溶液が一滴ずつ加えられる。反応物はそれから室温まで暖められる。この反応の完了後、反応物にNaHCO3の飽和溶液が加えられて急冷され、EA上抽出された。有機層は塩水で洗浄され、無水Na2SO4上乾燥され、濾過され、濃縮され、目的の生成物7が得られる。
【0164】
方法2
6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル (または 6-[4R-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3S-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸 1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3'R-イル エステルの合成; ATI-7505):
【化89】

【0165】
酸性の状況で、1-ベンジルピペリジン-4-オン (1)および臭化水素酸を酢酸の存在中反応させ、N-ベンジル-3-ブロモピペリジン-4-オン (2)を生成する。2をナトリウムメトキシドおよびメタノール溶液で処理し、1-ベンジル-4,4-ジメトキシピペリジン-3-オル (3)が得られる。[ベータ-アミノ基の存在がファボールスキー型反応の可能性を打ち消す。] 水素化物塩基を使ったヒドロキシル基のメチル化の後、DMF溶媒中ヨードメタンで処理し、化合物4が得られる。
【0166】
【化90】

【0167】
加熱中1% 硫酸を使った次のアセタール加水分解により、ピペリジン 5が生成され、これはそれから例えばメタノール中のナトリウムシアノホウ化水素および酢酸アンモニウムを使った還元的アミノ化を受けて、1-ベンジル-3-メトキシピペリジン-4-アミン (6)が得られる。この段階で、6はキラル溶液方法を受けることができる。これは、例えば適切な溶媒の存在下の(+)-DBTまたは他の異型の酒石酸を使って行うことができ、独占的非対称的に純粋な化合物7が得られる。7の主要アミンのBoc基保護はTHF溶媒の存在下Boc無水物を使って行われ、8が得られる。水素雰囲気下のメタノール中のPd/Cを使った水素添加分解による脱ベンジル化反応により、アルキル化段階の準備をする。弱塩基性のDMFの存在下で6-ブロモヘキサンニトリルを処理し、化合物10が得られる。希酸の存在下の(R)-キヌクリジノルを使ったニトリルからエステルへの変換により、11が生成される。TFAを使った次のBoc基の除去により、遊離アミンが得られ、これはエチルクロロホルメート (およびさらに望ましくはイソブチルクロロホルメート)などのカップリング試薬の存在下で比津町な安息香酸とカップリング反応を受けて、鏡像異性的に純粋な物質であるATI-7505が得られる。
【0168】
【化91】

【0169】
もう一つの方法として、化合物9は弱塩基の存在下で6-ブロモヘキサン酸エチルを使ってアルキル化することができる。その次のBoc基の除去により化合物14が得られる。トルエン溶媒中の(R)-キヌクリジノルおよびチタンテトラエトキシドを使ったチタンを介在した14のエステル交換はATI-7505を生成する。カールスバーグエステラーゼはS-のエステルを加水分解し、したがってR のエステルは保たれる。したがって、15のジアステレオマー混合物をカールスバーグエステラーゼで処理することによってもATI-7505を得ることができる。
【0170】
方法3
6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル 二塩酸塩 - ATI-7505 二塩酸塩の合成の代替方法:
【化92】

強く撹拌しながらジエチルエーテル (約1.4部モル)中の塩化水素がピペリジンカルバメート(約1.0部モル)溶液にゆっくり加えられた。混合物は約8時間撹拌され、濾過され、ジエチルエーテルで洗浄された。白い固体はさらにジクロロメタンおよびジエチルエーテル (体積で約1.1比)で洗浄され、不純物が取り除かれ、次に真空中乾燥され、白い固体のラセミピペリジンカルバメート塩酸塩が得られた。
【0171】
【化93】

臭化ベンジル (約2.2部モル)がジメチルホルムアミド中のピペリジン 塩酸塩(約1.0部モル)、炭酸カリウム (K2CO3、約2.4部モル)およびヨウ化カリウム (KI、約0.1部モル)の混合物に室温で加えられた。反応混合物は約75°Cまで加熱された。約18時間後、反応物は室温まで冷まされ、水で希釈され、酢酸エチル (EA)で抽出された。有機層は塩水で洗浄され、そして無水硫酸ナトリウム (Na2SO4)で乾燥された。その次の真空中乾燥および濃縮により無精製の油が得られた。生成物はイソプロパノールと水の混合物(体積比約1:1)を加えて撹拌され、沈殿された。次の真空濾過により白い固体のジベンジルアミノ ピペリジンが得られた。
【0172】
【化94】

苛性カリ (約10部モル)が分けて室温のイソプロパノール中の撹拌された ジベンジルアミノカルバメート溶液(約1.0部モル)に加えられ、混合物は撹拌され、加熱還流された。約5時間後、反応物は室温まで冷まされ、真空中溶媒は体積が約半分になるまで除去された。反応混合物は水で希釈され酢酸エチルで抽出された。塩水洗浄の後、生成物は無水Na2SO4上乾燥された。その次の真空濾過により半固形のピペリジンが得られた。
【0173】
【化95】

3,4-二置換ピペリジンのキラル溶液:
(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸 [(+)-DBT; 約1.0部モル]がメタノールで溶解され、メタノールと水 (体積比約1:1)中の加熱した (約70 °C)二置換ピペリジン (約1.0部モル)にゆっくり加えられた。混合物はこの温度で約1時間撹拌され、熱を除去し、室温で数時間、ある場合は16時間、撹拌された。生成物の塩は真空濾過で集められ、メタノールと水 (体積比約1:1)で洗浄された。この濡れたケーキ状のものは上記のプロセスを2回繰り返して集められ、再結晶された。
【0174】
濡れたケーキ状のものは水中で懸濁され、1N 水酸化ナトリウムが加えられた(約pH12になるまで)。得られた懸濁液は室温で約3時間撹拌され、酢酸エチルで抽出された。有機層は塩水で洗浄され、濾過され、濃縮され、白い固体の鏡像異性的に強化された3,4-二置換ピペリジン生成物が得られた。
【0175】
【化96】

DMF 溶媒中のピペリジン (約1.0部モル)、K2CO3 (約1.2部モル)およびKI (約0.1部モル)の混合物に6-ブロモヘキサン酸エチル (約1.1部モル)がゆっくり加えられた。反応物は70 °Cで約10時間加熱撹拌され、室温まで冷まされ、水で希釈され、酢酸エチルで抽出された。有機層は分離され、次に塩水で洗浄され、最後に無水Na2SO4上乾燥された。次の濾過と濃縮で無精製の油が得られた。無精製の生成物はフラッシュカラムクロマトグラフィ (例:体積比1:1のヘキサン:酢酸エチル)で精製され、淡い茶色の油が得られた。
【0176】
【化97】

上記ピペリジン エステル (約1.0部モル) および (3R)-キヌクリジノル(約4.0部モル)の混合物に、室温でチタン(IV) テトラエトキシド (約1.0部モル)が加えられた。反応物は約85 °Cに加熱され、発生する エタノールを除去するために分圧が加えられた。約18時間後、反応物は室温まで冷まされ、酢酸エチルで希釈され、水で急冷された。有機層はそれから塩水で洗浄され、無水Na2SO4上乾燥された。濃縮の後、無精製の油がフラッシュカラムクロマトグラフィ (例:約 100:10:1; CH2Cl2:MeOH:NH4OH)で精製され、透明な油の生成物が得られた。
【0177】
【化98】

炭素上パラジウムを含む反応フラスコに、メタノール中の上記ジベンジル ピペリジンエステル (約1.0部モル)の溶液が加えられ、この混合物にギ酸アンモニウム (約4部モル)が加えられた。反応物は加熱還流され、約10時間後に、反応フラスコは室温まで冷まされ、炭素上パラジウムは例えばセリットのパッドで濾過された。濾過されたものは油まで濃縮され、これはフラッシュカラムクロマトグラフィ (例:SiO2: 約 150:10:1; CH2Cl2: CH3OH: NH4OH)で精製され、黄色の油のアミノピペリジンエステル生成物が得られた。
【0178】
【化99】

テトラヒドロフラン(THF)中の4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ安息香酸 (約1.2部モル)およびトリエチルアミン (約2.2部モル) の撹拌された溶液に、室温でイソブチルクロロホルメート (約1.2部モル) がゆっくり加えられた。約30分後THF中のピペリジンエステル (約1.0部モル)の溶液が形成物に加えられ、 無水で混合された。反応物は室温で約14時間撹拌され、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で希釈された。生成物は、酢酸エチルなどを使って抽出され、分離した有機層はさらに塩水で洗浄され、無水硫酸ナトリウム上乾燥された。濾過と濃縮でATI-7505 遊離塩基が得られた。
【0179】
【化100】

ATI-7505遊離塩基はエタノールおよびイソプロパノール (体積比約1:1)に溶解され、氷で冷却された。この氷温の溶液に濃塩酸がゆっくり加えられ、室温まで温められた。約7時間室温で撹拌され、固形物は濾過され、エタノールおよびイソプロパノール (体積比約1:1)で洗浄され、濡れたケーキ状のものが得られた。濡れたケーキ状のものはエタノール中再懸濁され、加熱還流された。撹拌された溶液は室温まで温められ、再結晶された。生成物は真空中濾過され、エタノールで洗浄され、真空中乾燥され、白い固体のATI-7505 二塩酸塩が得られた。
【0180】
方法4:
6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル 二塩酸塩 - ATI-7505 二塩酸塩の合成の代替方法:
【化101】

ジクロロメタン中の(3R)-キヌクリジノルの混合物に 6-ブロモヘキサノイル塩化物が一滴ずつ加えられた。反応混合物は加熱還流され、約18時間後に反応物は室温まで冷まされた。反応しなかった(3R)-キヌクリジノルは濾過され、濾過されたものにジエチルエーテルが加えられ目的の生成物を沈殿させた。生成物は真空中濾過され、CH2Cl2 およびジエチルエーテル (体積比約1:1)で洗浄され、白い固体の生成物が得られた。
【0181】
【化102】

ジベンジルアミノ ピペリジン (約1.0部モル)がDMF溶媒中の6-ブロモアルカノイルエステル (約1.0部モル)および炭酸カリウム (約2.2部モル) の混合物に加えられた。反応混合物は約70 °Cで約11時間撹拌され、室温まで冷まされ、それから 重炭酸ナトリウムの飽和溶液で希釈された。生成物は酢酸エチルで抽出された。次に塩水で洗浄され、無水硫酸ナトリウム上乾燥され、濾過され、濃縮されて、無色の油の生成物が得られた。
【0182】
【化103】

炭素上パラジウムを含む反応フラスコに、メタノール中の上記ジベンジル ピペリジンエステル (約1.0部モル)のよう液が加えられ、この混合物にギ酸アンモニウム (約4部モル)が加えられた。反応物は加熱還流され、約10時間後に、反応フラスコは室温まで冷まされ、炭素上パラジウムはセリットのパッドなどで濾過された。濾過されたものは油まで濃縮、これはフラッシュカラムクロマトグラフィ (例:SiO2: 約 150:10:1; CH2Cl2: CH3OH: NH4OH)で精製され、黄色の油のアミノピペリジンエステル生成物が得られた。
【0183】
【化104】

テトラヒドロフラン(THF)中の撹拌された4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ安息香酸 (約1.2部モル) およびトリエチルアミン (約2.2部モル)の溶液に、室温のイソブチルクロロホルメート (約1.2部モル) がゆっくり加えられた。約30分後、THF中のピペリジン エステル (約1.0部モル) の溶液が形成物に加えられ、無水で混合された。反応物は室温で約14時間撹拌され、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で希釈された。生成物は酢酸エチルなどを使って抽出され、分離した有機層はさらに塩水で洗浄され、無水硫酸ナトリウム上乾燥された。濾過と濃縮によりATI-7505 遊離塩基が得られた。
【0184】
【化105】

ATI-7505遊離塩基はエタノールおよびイソプロパノール (体積比約1:1)に溶解され、氷で冷却された。この氷温の溶液に濃塩酸がゆっくり加えられ、室温まで温められた。約7時間室温で撹拌され、固形物は濾過され、エタノールおよびイソプロパノール (体積比約1:1)で洗浄され、濡れたケーキ状のものが得られた。濡れたケーキ状のものはエタノール中再懸濁され、加熱還流された。撹拌された溶液は室温まで温められ、再結晶された。生成物は真空中濾過され、エタノールで洗浄され、真空中乾燥され、白い固体のATI-7505 二塩酸塩が得られた。
【0185】
方法5:
6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル 二塩酸塩 - ATI-7505 二塩酸塩の合成の代替方法:
【化106】

臭化ベンジル (約1.2部モル) がジクロロメタン中の(3R)-キヌクリジノル(約1.0部モル)の溶液に加えられた。反応物は室温で約4時間撹拌され、濾過されジクロロメタンで洗浄され、白い固体の生成物が得られた。
【0186】
【化107】

6-ブロモヘキサノイル塩化物 (約1.1部モル)が、ベンジル 保護 (3R)-キヌクリジノル(約1.0部モル) 溶液に加えられ、反応混合物は約60°Cまで加熱された。約12時間後、反応物は室温まで冷まされ、生成物はジエチルエーテルを加えて沈殿された。真空中濾過とエーテル洗浄と乾燥により無定形固体の生成物が得られた。
【0187】
【化108】

DMF 溶媒中のピペリジン (約1.0部モル)、アルカノイルハライド エステル (約1.0部モル)およびトリエチルアミン (約2.0部モル)の混合物が、60 °Cで6時間加熱された。反応物は室温まで冷まされ、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で希釈され、酢酸エチルで抽出された。塩水洗浄と無水硫酸ナトリウム上の乾燥の後、有機層が濃縮され、透明な油の生成物が得られた。
【0188】
【化109】

炭素上パラジウムを含む反応フラスコに、メタノール中のジベンジル ピペリジン エステル (約1.0部モル)のよう液が加えられ、この混合物にギ酸アンモニウム (約4部モル)が加えられた。反応物は加熱還流され、約10時間後に、反応フラスコは室温まで冷まされ、炭素上パラジウムはセリットのパッドなどで濾過された。濾過されたものは油まで濃縮、これはフラッシュカラムクロマトグラフィ (例:SiO2: 約 150:10:1; CH2Cl2: CH3OH: NH4OH)で精製され、黄色の油のアミノピペリジンエステル生成物が得られた。
【0189】
【化110】

テトラヒドロフラン(THF)中の撹拌された4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ安息香酸 (約1.2部モル) およびトリエチルアミン (約2.2部モル)の溶液に、室温のイソブチルクロロホルメート (約1.2部モル) がゆっくり加えられた。約30分後、THF中のピペリジン エステル (約1.0部モル) の溶液が形成物に加えられ、無水で混合された。反応物は室温で約14時間撹拌され、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で希釈された。生成物は酢酸エチルなどを使って抽出され、分離した有機層はさらに塩水で洗浄され、無水硫酸ナトリウム上乾燥された。濾過と濃縮によりATI-7505 遊離塩基が得られた。
【0190】
【化111】

ATI-7505遊離塩基はエタノールおよびイソプロパノール (体積比約1:1)に溶解され、氷で冷却された。この氷温の溶液に濃塩酸がゆっくり加えられ、室温まで温められた。約7時間室温で撹拌され、固形物は濾過され、エタノールおよびイソプロパノール (体積比約1:1)で洗浄され、濡れたケーキ状のものが得られた。濡れたケーキ状のものはエタノール中再懸濁され、加熱還流された。撹拌された溶液は室温まで温められ、再結晶された。生成物は真空中濾過され、エタノールで洗浄され、真空中乾燥され、白い固体のATI-7505 二塩酸塩が得られた。
【0191】
方法6
6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル 二塩酸塩 - ATI-7505 二塩酸塩の合成の代替方法。
下記に方法6における代表例の合成として特定の反応条件が記載されているが、この詳細はこの方法の範囲を限定するものではない。この分野に精通しているものは、反応時間、温度、使用溶媒などが含まれるがこれらに限定されない反応条件の変更がこの方法では可能であることを認識するだろう。反応収率は示されているが、これも代表例であり、したがって実施ごとにおよびそれぞれの反応条件により変化する。
【0192】
【化112】

シス-APM 酒石酸塩からのATI-7505の合成は 9.7 gの実験実施手順に基づく。
【0193】
【化113】

a. C2の合成
原材料
シス-ピペリジンカルバメート、24 Kg
臭化ベンジル、37.8 Kg
KI、1.67 Kg
K2CO3、48.7 Kg
N-メチルピロリドン(NMP)、200 Kg
EA (酢酸エチル)、360 Kg
水、600 kg
イソプロピルアルコール (IPA)/水 (1:1 w/w)、250 Kg
【0194】
手順
シス-ピペリジンカルバメート(24 Kg, 1当量) および K2CO3 (48.7 Kg, 6当量) を反応装置に入れ、それからNMP (200 Kg)を反応装置に加える。混合物を15分間室温で撹拌する。反応装置にKI (1.67 Kg, 0.1当量)を加え、それから臭化ベンジル (37.8 Kg, 2.2 eq)を加えて、60分以内に温度を75℃まであげる。約4時間後に反応混合物からサンプルをとる。予想される反応時間は約7-9時間である。
【0195】
反応が完了したと見なした後、反応装置に水(350 Kg)を加え、EA (120 Kg; 3 times)で抽出する。EA層を集め、水でEA層を洗浄する(200 Kg; 3回)。EA層を70℃で濃縮する。反応装置にIPA/水 (1:1, 200 Kg)を加え、反応装置を約75-80° Cまで加熱する。25 Kg部分の75-80° CのIPA/水 (1:1)を、透明な溶液が得られるまで加える。反応混合物をゆっくり5℃まで冷却する。濾過して固体を集め、濡れたケーキ状のものを約60℃で乾燥し、C2 (31.7 Kg; 82% 収率)が得られる。この代表例のHPLC純度は99.3 %であった。
【0196】
b. C3の合成
原材料
KOH、56.3 Kg
IPA、200 Kg
DCM (ジクロロメタン)、550 Kg
水、1300 Kg
C2、32 Kg
【0197】
手順
反応装置にC2 (32 Kg, 1 eq)、KOH (56.3 Kg, 12 eq)およびIPA (200 Kg)を加える。反応混合物を還流温度(約82° C)間で加熱する。約4時間後に反応混合物からサンプルをとる。予想される反応時間は約4-5時間である。反応が完了した後、50° Cで蒸留しIPAを除去する。反応装置にDCM (230 Kg)および水 (700 Kg)を加え、両方の層を集める。水層をDCM (160 K; 2回)で逆抽出し、DCM層と合わせる。DCM層を水 (200 Kg; 3回)で洗浄し、70° CでDCMを濃縮し、油のC3を得て、分離せずに次の段階へ進む (100%収率を仮定)。
【0198】
c. シス-AMP 酒石酸塩の合成
原材料
前の段階からC3を含む反応装置にメタノール (260 Kg)と水 (130 Kg)を加える。望ましくは60分以内に、130 Kgのメタノールに溶解された(+)-DBT (15.2 Kg)を70° Cで反応装置に加える。メタノールの一部分を加え (70 Kg)、透明な溶液であることを確認し、反応混合物を50° Cまで冷ます。生成物は約50° Cで出るので;濾過する前にゆっくりと約10° Cまで冷却する。濾過して固体を集め、望ましくは鏡像異性過剰値と固形分を確認する。
【0199】
固形物を反応装置におく。反応装置にMeOH/水 (5:1, 600 Kg )を加え、混合物を70° Cまで加熱する。透明な溶液を得るためにさらにMeOH/水 (5:1)を加えてもよく、それから反応混合物を50° Cまで冷ます。混合物をゆっくり10° Cまで冷却し、濾過で固体を集める。濡れたケーキ状のものを約60° Cで乾燥する。この代表例では、シス-AMP 1/2 (+)-DBT (12.6 Kg, 31%重量収率および62%理論上収率)は、HPLC純度の99.8%および97.9% eeで得られた。
【0200】
d. シス-AMP 遊離塩基の合成
【化114】

原材料
シス AMP 1/2 DBT, 10g, 0.0279 モル
イソプロピルエーテル(IPE), 50 ml
水, 50 ml
45% NaOH, 7.2g, 0.18 モル
【0201】
手順
ピペリジン (+)-ジベンゾイル酒石酸塩 (10.00 g; 0.0279 モル)が30 mlの水と50 ml IPEに懸濁され強く撹拌された。固形が溶けるまで45% 水酸化ナトリウム (7.2g; 0.18 モル) が一滴ずつ加えられた。IPE層が水 (10 ml; 2回)出洗浄され、濃縮され無精製の白い固形化合物である遊離塩基 (7.20 g)が得られた。
【0202】
e. C5の合成
【化115】

原材料
遊離塩基, 7.2 g, 0.0232 モル
6-ブロモ-ヘキサン酸エチル , 4.76 g, 0.0214 モル
炭酸カリウム, 5.77 g, 0.0418 モル
ヨウ化カリウム, 1.39 g, 8.37 ミリモル
DMF (ジメチル ホルムアミド), 30 ml
イソプロピルエーテル(IPE), 50 ml
水, 50 ml.
【0203】
手順
遊離塩基 (7.2 g)、6-ブロモ-ヘキサン酸エチル (4.75 g; 0.0214 モル)、炭酸カリウム (5.77 g; 0.0418 モル)、ヨウ化カリウム (1.39 g; 8.37 ミリモル)およびDMF (30 ml)が反応装置に入れられた。反応混合物は1時間70° Cまで加熱され、反応の完了をHPLCで監視した。1時間後、反応物は室温まで冷まされ30 mlの水と50 ml IPEで急冷された。IPE層は水 (10 ml; 2回)で洗浄された。濃縮により黄色の油の無精製の化合物 C5 (9.10 g)が得られた。
【0204】
f. C6の合成
【化116】

原材料
C5, 9.10 g, 0.0201 モル
(R)-3-キヌクリジノル, 5.20 g, 0.0409 モル
Ti(OiP)4 (チタン (IV) イソプロポキシド), 1.16g, 4.08ミリモル
トルエン, 120 ml
イソプロピルエーテル, 60 ml
水, 80 ml
【0205】
手順
C5 (9.10 g; 0.0201 モル)、(R)-3-キヌクリジノル(5.20 g; 0.0409 モル)、Ti(OiP)4 (1.16 g; 4.08 ミリモル)およびトルエン (120 ml)が反応装置に入れられ撹拌された。反応物はパッキンカラム(24/40; 15 cm長)および短いパス(24/40)で装備され、EtOH、 IPAおよびトルエンを蒸留するたえに加熱された (オイルバス温度160 °C)。反応混合物は反応の完了をHPLCで監視した。この代表例では、出発原料はすべて完全に消費されたことをHPLCが示した。トルエンの除去を促進するために、圧力が低減された。反応物は室温まで冷まされ40 ml の水と60 ml のIPEで急冷され、IPE層が水 (20ml; 2回)で洗浄され、濃縮され、黄色の油の無精製の化合物 C6 (11.70 g)が得られた。
【0206】
g. C7の合成
【化117】

原材料
C6, 11.70 g, 0.0220 モル
5% Pd/C, 1.0 g
IPA, 30 ml
【0207】
手順
C7 (11.70g)、5%Pd/C (1.0g)およびIPA (30 ml)が水素化反応装置 (N2不活性; 5気圧H2)に入れられた。混合物は撹拌され、70° C の温水バスで7時間加熱された。反応混合物は、HPLCとTLCで反応の完了を監視し、出発原料はすべて完全に消費されたことを示した。反応物は室温まで冷まされ、セリットのパッドで濾過され、IPA洗浄された。濾過されたものは濃縮され、6.66 g の無精製の油C7が得られた。
【0208】
h. ATI-7505塩基の合成
【化118】

原材料
4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-安息香酸, 5.0 g, 0.0249 モル
THF, 30 g
トリエチルアミン, 4.7 g, 0.0465 モル
塩化ピバロイル, 2.7 g, 0.0225 モル
C7, 6.66g, 0.0189 モル
ジエチルケトン (DEK), 100 ml
32% HCL

45% NaOH
【0209】
手順
塩化ピバロイル (2.7 g; 0.0225 モル) が、一滴ずつ室温のTHF (20g)中の4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-安息香酸 (5.0 g; 0.0249 モル) およびトリエチルアミン (4.7 g; 0.0465 ミリモル) の溶液に加えられた。添加により反応物はくもり、60分後にこの形成物に混合無水物とTHF (10 g)中のC7 (6.66 g; 0.0189 モル)の溶液が加えられ、室温で撹拌された。HPLCとTLCは出発原料はすべて完全に消費されたことを示した。
【0210】
反応物は水 (40 ml)およびDEK (40 ml)で急冷され、32% HClが加えられpH=4.0になった。合わせられた有機層は水 (10 ml; 2回)で洗浄され、水層が集められた。水層にDEK (60 ml)が加えられ、45% NaOHが加えられpH=12になった。水層は抽出、分離、排水された。合わせられた有機層は水 (10ml; 2回)で洗浄され、濃縮され、12.01gの黄色の油の ATI-7505塩基が得られた。
【0211】
i. ATI-7505の合成
【化119】

原材料
ATI-7505塩基, 12.01 g
エタノール (EtOH), 50 ml
IPA, 70 ml
32% HCL
【0212】
手順
12.01 gのATI-7505塩基の無精製生成物は50ml EtOHに溶解された。濃縮32% HClがpH=4.1になるまで撹拌されながらゆっくり加えられ。約16時間撹拌後、50 ml IPAが加えられ、反応物は2時間撹拌された。固形物が濾過され、20 ml IPAで洗浄された。固形物は重量が安定するまで乾燥され、白い固体の9.71gのATI-7505が得られた。HPLC純度は98.65 %であった。
【0213】
実施例1
6-[4R-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-3S-メトキシ-ピペリジン-1-イル]-ヘキサン酸 1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3'R-イル エステル, 二塩酸塩の製造
【化120】

ステップ1: ラセミノルシサプリドの変換
(-)-2,3-ジベンゾイル-L-酒石酸 ((-)-DBT, 約1部重量)がエタノールに溶解され、濾過して残留微粒子が除去された。別には、エタノールと水の混合物にラセミノルシサプリド(約0.8部重量)が溶解され、その後濾過された。濾過されたものは約75°Cに加熱され、(-)-DBT溶液が加えられた。この温度で約30分間撹拌された後、混合物はゆっくりと数時間かけて5 °Cまで冷却され、生成物の塩は真空濾過で集められ、EtOH/H2O混合物で洗浄された。濡れたケーキ状のものは約 79 °Cに加熱してから前と同様に約5 °Cまでゆっくり冷却されることにより、EtOH/H2Oから再結晶された。生成物は真空濾過で集められ、EtOH/H2Oで洗浄され、濡れたケーキ状のものが得られた。
【0214】
濡れたケーキ状のものが水中に懸濁され、7% (W/W)水性NaOHを使用して約pH12まで調節された。得られた懸濁液は室温で約3時間撹拌され、真空で濾過され、固形物は水で洗浄され、真空で乾燥された。生成物は(-)-DBTで再処理され、同様の上記手順で塩が掲載された。分離された塩は上述のように水性NaOHで中和された。生成物は濾過されて分離され、前述のように乾燥され、 (+)-ノルシサプリド塩基 (約0.25部重量)が得られた。キラルHPLC分析のe.e.は約100% (+)-ノルシサプリドであった。旋光度は約+5° (メタノール; 25°C および 589 nm)であり、ノルシサプリドの陽性の異性体が確認された。
【0215】
ステップ2: 6-ブロモヘキサン酸エチルとのカップリング
(+)-ノルシサプリド(約1部重量)、炭酸カリウム (約0.48部重量)およびヨウ化カリウム (約0.063部重量)が無水 USP エタノール中懸濁された。懸濁液に6-ブロモヘキサン酸エチル (約0.76部重量)が室温でゆっくり加えられた。混合物は反応が完了するまで加熱還流された。次に反応混合物は室温まで冷まされ、例えば無機固形物などを除去するために濾過され、濾過されたものは減圧下で体積が半分ほどになるまで濃縮された。生成物は冷水 (約13部重量) を素早くかき混ぜながら無精製の物質をゆっくりと加えることで沈殿された。沈殿物は真空中濾過され水で洗浄され、無水エタノールに溶解して前述のように冷水にゆっくり加えて、2回再沈殿された。得られた濡れたケーキ状のものはn-ヘプタンで洗浄され、酢酸エチルおよびn-ヘプタン (1:9; v/v)中に再懸濁され、約1時間撹拌され、濾過され、真空中乾燥され、白い固体のカップリングされた生成物が 重量比で0.73部得られた。
【0216】
ステップ3: (R)-3-キヌクリジノルとのカップリングおよび二塩酸塩の形成
エステル (1部重量) および (R)-3-キヌクリジノル(約1.12部重量)はトルエン中懸濁され、撹拌された懸濁液にチタン(IV) エトキシド (約0.5部重量)がゆっくり加えられた。混合物は窒素の流れの中91 °Cまで加熱され、エタノールを共沸的に除去するために蒸留装置によりフラスコに不完全真空が適用された。フラスコの最低溶媒体積を維持するために追加のトルエンが加えられた。反応は約33時間ごに完了したと見なされた。
【0217】
混合物は室温まで冷まされ、水で5回抽出された。湯基礎は減圧下で濃縮され、得られた残留物はEtOH/iPrOH (約1:1 v/v)に再溶解され、0.45ミクロンの薄膜フィルターで微粒子を除去するために濾過された。濃塩酸が撹拌された濾過されたものにゆっくり加えられ、二塩酸塩の目的生成物が沈殿された。得られた懸濁液は室温で数時間撹拌され、真空中濾過で集められ、EtOH/iPrOH (1:1; v/v)で洗浄され、無精製生成物の塩が重量比0.53部得られた。
【0218】
無精製の二塩酸塩はエタノール中再懸濁され、加熱還流され、約1時間以上室温まで冷まされた。生成物は真空濾過で集められ、エタノールで洗浄され、風乾された。固形物はさらにエタノール中再懸濁され、約55 °Cまで温められ、透明な溶液が得られ、温かいイソプロパノールが加えられ、室温までゆっくりと冷ますことで生成物が沈殿された。得られた懸濁液は数時間撹拌され、真空濾過され、イソプロパノールなどで洗浄された。生成物は最初は室温で数時間、それから約55 °Cで、安定した重量が得られるまで真空乾燥された。
【0219】
実施例2
(+) および (-)-ノルシサプリドは鏡像異性体の分解によってラセミ混合物から製造することができ、米国特許第6,147,093号またはJ. Jacques、A. Collet、およびS.H. Wilen著“Enantiomers, Racemates and Resolutions” (Wiley-Interscience, New York, NY)、またはS.H. Wilen他著Tetrahedron (1977) 33:2725に記載されている方法に従って、光学的に酸を分解するなどの従来の方法を使うことができる。
【0220】
4つの異性体は、分取カラムクロマトグラフィーそれから溶媒の蒸発により、数mgの分量を得ることができる。この方法は分析および特徴付けの目的のための少量を準備するのに有用である。これは標準分離方法で代謝産物を分離し、特徴づけるために分析実験室で普通に使われている。
【0221】
化合物IV、化合物VIおよび(+)-化合物IIの可能である合成方法は、(+)-ノルシサプリドを出発原料として下記に記載されている。化合物III、化合物Vおよび(-)-化合物IIへの手段は(-)-ノルシサプリドを出発原料として使う以外は同一である。ただし、望ましくは、化合物II-VIおよび本発明のその他の化合物の生成には方法2-5の方法およびプロセスが使われる。より望ましくは、本発明の化合物を製造するためには方法3-5の方法が使われる。
【0222】
実施例3
(+)-化合物II, エチル エステルの生成
DMF中の(+)-ノルシサプリドおよび 6-ブロモヘキサン酸エチル の等モル混合物 (1当量ずつ)、KIおよびK2CO3 の触媒量(2当量)が、60 °Cで数時間またはTLC分析によって反応が完了したと示されるまで加熱する。室温まで冷まされた後、水が加えられ、混合物はEtOAcで抽出される。合わせられた有機抽出物は順に水、10% LiCl(aq) 溶液および塩水で洗浄され、Na2SO4上乾燥される。濃縮により(+)-化合物IIのエチル エステルが得られる。
【0223】
(+)-化合物IIの生成
MeOHおよびTHF中(溶かすに十分な量)の無精製の上記(+)-化合物II、エチル エステル(1当量)およびKOH (2M, 5当量)の混合物を、室温で約1時間撹拌する。真空中MeOHおよびTHFを除去され、残留物を水で希釈する。EtOAcなどの有機溶媒で洗浄する。水層はHClを用いてpH5まで酸性化される。沈殿物を濾過し、乾燥して (+)-化合物IIが得られる。
【0224】
化合物IV および 化合物VIの生成
DMF中の(+)-化合物II (1当量)、(R)-(-)-3-キヌクリジノルHCl塩 (1当量)、EDAC (1当量)およびDMAP (1当量)が一晩約50C加熱される。水で冷却および希釈した後、混合物はクロマトグラフィーまたは結晶化により精製され、化合物IVが得られる。同様に、(S)-(+)-キヌクリジノル、化合物VIが得られる。
【0225】
以下の化合物は基本的に上述の方法および手順に従って製造され、特に方法2-5、さらに望ましくは方法3-5にしたがって製造される。化合物の名前はCambridgesoft CorporationのChemDraw Ultra バージョン8.03またはACD Namepro softwareバージョン6.0を用いて生成された。
6-{(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}ヘキサン酸(3S)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル;
6-{(3R,4S)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}ヘキサン酸(3S)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル;
6-{(3R,4S)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}ヘキサン酸(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル;
6-{(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}ヘキサン酸8-メチル-8-アザビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸メチル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸メチル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸メチル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸エチル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸イソプロピル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸2-メトキシエチル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸2-ピロリジニ-1-イルエチル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸1-メチルピペリジン-4-イル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸2-ピリジニ-2-イルエチル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸2-(ジメチルアミノ)エチル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸1-メチルピペリジン-3-イル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸2-モルホリニ-4-イルエチル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸1,4-ジメチルピペリジン-4-イル;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸;
4-[({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)アミノ]安息香酸2-オキソ-2-(ピペリジン-4-イルアミノ)エチル;
1-({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)ピペリジン-4-カルボン酸;
1-({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)ピペリジン-4-カルボン酸メチル;
1-({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)ピペリジン-4-カルボン酸メチル;
1-({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)ピペリジン-4-カルボン酸メチル;
1-({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)ピペリジン-4-カルボン酸エチル;
1-({(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}アセチル)ピペリジン-4-カルボン酸2-メトキシエチル;
4-{[(2-{(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}エチル)(メチル)アミノ]メチル}安息香酸;
4-{[(2-{(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}エチル)(メチル)アミノ]メチル}安息香酸メチル;
4-{[(2-{(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}エチル)アミノ]メチル}安息香酸メチル;
4-{[(2-{(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}エチル)アミノ]メチル}安息香酸イソプロピル;
4-{[(2-{(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}エチル)アミノ]メチル}安息香酸エチル二塩酸塩;
4-{[(2-{(3S,4R)-4-[(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンゾイル)アミノ]-3-メトキシピペリジン-1-イル}エチル)アミノ]カルボニル}安息香酸(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル;
6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル; または
6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸。
【0226】
剤形、投与および用途
開示された化合物の投与量および投与経路は、この分野ですでに使われているものと同様であり、この分野に精通しているものには知られている(例えば、Physicians' Desk Reference, 54th Ed., Medical Economics Company, Montvale, NJ, 2000を参照)。
【0227】
本明細書に記述されている病気および/または症状の急性または慢性管理におけるシサプリドの構造的および/または機能的アナログの予防もしくは治療投与量の規模は、治療を受ける症状の重症度や投与経路に左右される。投与量、および恐らくは投与頻度も個人の患者の年齢、体重および反応によって異なる。一般に、本明細書に記述されている症状について、シサプリドの構造的および/または機能的アナログの一日投与量の合計の範囲は、一回もしくは複数回の投与で、約1 mgから200 mgである。望ましくは、一日投与量の範囲は一回もしくは複数回の投与で約5 mgから100 mgであり、もっとも望ましくは一日投与量の範囲は一回もしくは複数回の投与で約5 mgから75 mgである。投与は一日に1回から4回行われるのが望ましい。患者管理において、この治療は約5 mgから10 mg少量の投与から始めるべきであり、患者の全体的な反応に応じて約50 mgかそれ以上まで増加できる。さらに、子供や65歳以上の患者、腎機能および肝機能が低下しているものについては、少量の投与量から初めて、個人の反応および血中濃度に基づいて徐々に増量したほうがよい。この分野に精通しているものには明白であるが、場合によってはこれらの範囲外の投与量を使用する必要がありえる。さらに、臨床家や治療医師は患者個人の反応と併せて、いつどうやって治療を中断、調整または終了すべきであるかを理解していることに留意する。
【0228】
本発明の化合物は、治療に有用な組成物を製造する既知の方法にしたがって製剤することができる。剤形は多数の原典に記載されており、これらはこの分野に精通しているものにはよく知られており、すぐに入手可能である。例えば、E.W. Martin著のRemington's Pharmaceutical Scienceは、本発明と一緒に使うことができる剤形が書かれている。一般的に、本発明の組成物は、生体活性化合物の有効分量が適切な基材と合わされて、組成物の有効な投与を促進するように製剤される。
【0229】
本発明の組成物には、経口固形製剤(粉末、カプセル、錠剤など)の場合、経口固形製剤は経口液体製剤より望ましいが、懸濁液、溶液やエリキシル剤などの組成物;エアロゾル;またはでんぷん、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの基材が含まれる。望ましい経口固形製剤はカプセルである。もっとも望ましい経口固形製剤は錠剤である。固形投与形態における活性材料(すなわちシサプリドの構造的および/または機能的アナログ)の望ましい分量は約5 mg、10 mgおよび25 mgである。
【0230】
さらに、許容できる基材は固体または液体でよい。固形製剤は、粉末、錠剤、丸薬、カプセル、坐剤や分散できる顆粒などが含まれる。固形基材は、一つかそれ以上の物質であり、希釈剤、香料、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤またはカプセル材料の機能を果たすものである。
【0231】
開示された製薬組成物は、活性成分の適切な分量を含む単位投与量に細分することができる。単位投与量形態は、紙またはプラスチック容器、またはガラス瓶またはアンプルに入れたパックされた錠剤、カプセル、または粉末にしてもよい。さらに、単位投与量は液体剤形またはチューインガムやトローチ剤などの固形食品に組み込んでもよい。
【0232】
上記の一般的な剤形に加え、本発明の化合物は、参考のために全文を開示している米国特許第3,845,770号; 3,916,899号; 3,536,809号; 3,598,123号;および4,008,719号に記載されているような制御放出方法および/または送出装置によって投与することもできる。
【0233】
シサプリドの構造的および/または機能的アナログの有効分量を患者に提供するためには、いかなる適切な投与経路も使用できる。例えば、経口投与、直腸投与、非経口投与(皮下投与、筋内投与、静脈投与)、経皮投与などの形の投与を使用できる。剤形には、錠剤、トローチ、分散、懸濁液、溶液、カプセル、パッチなどが含まれる。
【0234】
本発明の一形態は、本発明の化合物および組成物を製造する方法および/またはプロセスを提供する。
【0235】
本発明の一形態は、シサプリド投与に関連する合併有害影響を実質的に低減しつつ、哺乳類における逆流性食道炎を治療する方法を提供し、シサプリドの構造的および/または機能的アナログまたは薬学的に許容できるその塩の治療効果のある分量をこのような治療を必要としている人間に投与することから成る。望ましい形態においては、人間の逆流性食道炎の治療である。
【0236】
本発明のもう一つの形態は、逆流性食道炎を患っている人間の治療のための組成物を提供し、これはシサプリドの構造的および/または機能的アナログまたは薬学的に許容できるその塩の治療効果のある分量から成る。
【0237】
本発明のさらにもう一つの形態は、シサプリドの投与に関する有害影響を実質的に低減しつつ、哺乳類における鎮吐作用を誘発する方法を提供し、シサプリドの構造的および/または機能的アナログまたは薬学的に許容できるその塩の治療効果のある分量をこのような鎮吐療法を必要としている哺乳類に投与することを含む。望ましくはその哺乳類は人間である。
【0238】
さらなる形態においては、本発明は鎮吐療法を必要としている哺乳類の治療のための鎮吐剤組成物を含み、シサプリドの構造的および/または機能的アナログまたは薬学的に許容できるその塩の治療効果のある分量から成る。
【0239】
本発明のさらなる形態は、哺乳類の胃腸運動障害に起因する症状を治療する方法を含み、これは胃腸運動障害の治療を必要としている哺乳類にシサプリドの構造的および/または機能的アナログまたは薬学的に許容できるその塩の治療効果のある分量を投与することから成る。胃腸運動障害に起因する症状には、消化不良、胃不全麻痺、便秘、術後イレウスおよび偽性の腸閉塞が含まれるがこれに限定されるものではない。望ましくはその哺乳類は人間である。
【0240】
シサプリドが中枢神経系に進入し、5HT4受容体と結合することから示されるのは、シサプリドは中枢を媒介する効果があるかもしれないということである。シサプリドは5HT4 受容体において強いリガンドであり、これらの受容体は中枢神経系のいくつかの場所に位置している。セトロニン系の調節は様々な行動的影響がある。したがって、本発明の化合物は、1) アルツハイマー病を含むがこれに限定されない認知障害; 2) 統合失調症、躁病、強迫神経症および精神活性物質使用障害を含むがこれに限定されない行動傷害; 3)鬱病や不安症を含むがこれに限定されない気分障害; および4) 本態性高血圧や睡眠障害を含むがこれに限定されない自律機能の制御の障害の治療に使うことができる。
【0241】
したがって、本発明はさらに哺乳類における認知障害、行動障害、気分障害または自律機能制御障害の治療の方法を提供し、これはシサプリドの構造的および/または機能的アナログまたは薬学的に許容できるその塩の治療効果のある分量により成る。望ましくはその哺乳類は人間である。
【0242】
ATI-7505は5-HT4 受容体と高親和性の結合をもつ
5-HT4 受容体は、内臓のシサプリドの運動促進作用にかかわっている主要受容体特殊型であることが知られている。ATI-7505は5-HT4 受容体との結合の高親和性を持ち、ナノモルIC50が低い。表1に示されているように、ATI-7505の5-HT4受容体との親和性は、シサプリドに比べて18倍もあり、ATI-7505の主要代謝産物であるカルボン酸よりも少なくとも360倍である。
【0243】
【表1】

【0244】
ATI-7505は人間の5-HT4 受容体において極めて強力な部分アゴニストである
ARYx細胞中のヒト5-HT4 受容体を安定的に絞り出すように設計されたアデニリルシクラーゼ刺激を元にした体外検定を行った。ATI-7505は極めて強力なHT4 受容体アゴニストであることが判明する一方、その主要代謝物ATI-7500は比較的弱い (図1および表2)。ATI-7505 (4 nM)の推定EC50はシサプリド(49 nM)のものと比べて約10倍低く、ATI-7500 (395 nM)のものと比べて約100倍低い。Emaxの推測値に基づくと、ATI-7505は5-HT (セロトニン) (表2)の有効性の85%であり、ATI-7505がHT4 受容体の部分アゴニストであることを実証している。
【0245】
【表2】

【0246】
ATI-7505は餌を与えられた犬の胃内容排出を加速する
ATI-7505の胃内容排出への効果を特徴づけるため、胃と小腸にひずみゲージ変換器を装着された意識のある犬を使った食後モデルの実験が行われた。この実験の目的は大きな食事を摂った後の移動運動収縮(MMC)のベースラインに戻るのに必要な時間を計ることであった。薬物誘発のMMCが戻る時間の短縮は、胃内容排出の加速により消化期間が短縮することを示した。中小腸のMMCの完了直後に、様々な投与量の試験薬物(ベヒクル、ATI-7505またはシサプリド)が20分以上静脈内に注入された。薬物注入の最後に、犬に食事が与えられた。胃腸の収縮は絶食状況を確立し、十二指腸のMMCの開始を特定するために薬物注入開始の少なくとも60分前に記録され、さらに十二指腸にMMCが戻ってから少なくとも30分後に記録された。治療の量的な比較は、大きな食事を摂った後の胃内容排出を指針としたMMCが戻る時間に基づいた。図2にまとめられているように、ATI-7505はMMCが戻る時間を実質的に短縮しており、普通の餌を与えられた犬の胃内容排出の加速を示した。シサプリドも同様の作用パターンを示した。
【0247】
ATI-7505は結腸作用に影響を与えることなく胃小腸の運動活性を増加する
絶食した意識のある犬を用いて、ATI-7505とシサプリドの胃小腸の運動活性を比較する実験が行われた。具体的な目的は、通常の犬へのシサプリドの治療投与量(0.5 mg/kg IV; 1 mg/kg PO)による収縮作用の形態と規模にもっとも近くなるATI-7505 (IVおよびPO)の投与量を確定することである。
【0248】
IVおよびPOが与えられた時、ATI-7505とシサプリドは両方犬の内臓に運動促進効果を起こした。作用の開始は通常IVおよびPO投与のそれぞれ1,2分後および25から30分後であった。ATI-7505の胃小腸の運動活性への影響はシサプリドによく似ていた。シサプリドと同様に、ATI-7505は、腔および小腸収縮の投与量に依存する刺激を与えるが直腸運動活性への影響は比較的少ないようである。上部消化管におけるATI-7505の運動促進効果は、巨大移動収縮の頻度に、小さいが有意義な (p < 0.05)増加を生じた。
【0249】
ATI-7505は、逆行性巨大移動収縮(RGC)の発生とは関わらなかった。シサプリドと同様に、ATI-7505は洞、さらに近位、中、および遠位小腸における移動運動複合 (MMC)特性への影響はわずかであった。MMC頻度および第3相期間については、重大な違いが一つ観察され、これはPO ATI-7505が対照に比べて近位小腸でのMMC頻度を増加したことである。犬はATI-7505のIVおよびPO投与によく耐え、下痢、食欲不振や体重減少などの副作用は見られなかった。
【0250】
全体的に、結果としては、mg/kgを基にすると、ATI-7505はシサプリドよりおよそ2倍の強さを持っていた。さらに、ATI-7505の作用は、シサプリドの作用と同様に、直接の平滑筋作用ではなく腸内ニューロンからのアセチルコリン放出の促進に関連する仕組みと一致していた。要するに、ATI-7505はシサプリドのような様態で胃小腸の運動活性を増加しつつ、直腸作用にはほぼ影響を与えないものである。
【0251】
ATI-7505の代謝はCYP450非依存性である
プールヒトミクロソムからのデータによると、ATI-7505は単一の代謝物、ATI-7500に生体内変換され、これはさらなる代謝の対象にはならないようだ。ATI-7505からATI-7500への変換はNADPHの存在には依存しなかった。したがってATI-7505への生体内変換の主要経路はCYP450酵素に非依存で起こる。
【0252】
ATI-7505はCYP450酵素を阻害しない
ATI-7505および/またはその主要代謝物ATI-7500がCYP450阻害物として働く可能性を試験するために、これら2つの分子はGentest Supersomes(登録商標)を用いてスクリーンされた。公開された報告と一致するように、シサプリドはCYP450酵素のイソ型、CYP3A4、2D6および少ないながら2C9に対して実質的な阻害作用を働く。ATI-7505およびその主要代謝物であるATI-7500は、両方ともこれら三種類のCYP450イソ型に対しての阻害作用を示さず、薬物代謝に役割のあるそのほかのイソ型の一連についても示さなかった。
【0253】
ATI-7505は心脈管、IKrにごくわずかな親和性を持つ
ヒト (ヒトIKr)の急速作用遅延整流カリウム(K+)電流は、ヒトエーテルゴーゴー関連遺伝子 (hERG)でエンコードされたK+チャネルである。シサプリドはIKrの遮断によるQT間隔延長を起こすことが知られており、ATI-7505とATI-7500がヒトIKrに重要な阻害効果を持つかどうかを判断することは重要であった。 試験システムはhERG K+チャネルを送り出す哺乳類のHEK-293細胞で、カリウム電流が全細胞パッチクランプ法により測定された。IC50値のランクは: シサプリド(9.5 nM) > ATI-7505 (24,521 nM) > ATI-7500 (204,080 nM) (表3)であった。全体としては、結果はATI-7505はシサプリドよりも実質的に低い 不整脈の可能性を持っていることを示し、ATI-7505とATI-7500は両方ヒトIKrチャネルにはごくわずかな親和性を持っていることを示唆している。
【0254】
【表3】

【0255】
ATI-7505はモルモットに重要な電気生理学的変化を生じない
ATI-7505の心臓電気生理的効果は、分離され、還流されたモルモットの心臓で検査された。実験ではATI-7505、ATI-7500およびシサプリドが検査され、すべてのもので最大10,000 nMの濃度で試験された。無反応効果レベル(NOEL)は、ベースラインから有意義に異なる (p < 0.05)反応を示さない試験化合物の最大濃度と定義された。以下の6の心臓パラメータが試験された: (1) QT間隔; (2) MAPD90; (3) SA 間隔; (4) QRS 間隔; (5) AH 間隔; および (6) HV。ATI-7505は心臓電気生理的パラメータの非常に弱いモジュレータであり、その代謝物であるATI-7500は電気生理学的作用を全く示さなかった (表4)。ATI-7500のNOELはすべての6の心臓パラメータにおいて 10,000 nM以上であった。シサプリドは、6の心臓パラメータを合わせたもののNOELが10 nMであり、ATI-7505の総NOELは1,000 nMあり、ATI-7505は心臓電気生理的パラメータの調節にかんしてはシサプリドの強さを欠いているようである。全体的に、実験結果によるとATI-7505は重要な心臓電気生理的変動を起こす可能性については、シサプリドと比べて実質的に安全であることが実証された。
【0256】
【表4】

【0257】
ヒトミクロソーム製造の代謝作用
これらの化合物の代謝作用はプールヒトミクロソーム中にシトクロム P-450 共同因子 NADPHの存在および欠如下で、時間で監視される親の消失と対応する酸代謝物、すなわち対応する化合物-II 異性体の出現の両方と調査された。
【0258】
表5に示されているように、化合物IIIおよびIVはエステラーゼにより急速にそれぞれ代謝産物 (+)および(-)-化合物IIに加水分解される。加水分解の速度はCYP450が機能するために必要な共同因子であるNADPHの存在に依存していないため、代謝はCYP450に依存していなかった。一方、(±)-S 化合物 Vおよび VIは同様の状況下において時間がたっても非常に安定しているようだ。この実験では、反応の5,60,90分後に残っている基質の分量 (化合物III, IV, V,およびVI) がタンデムHPLC-MS方法を用いて評価された。残量は代謝産物の化合物IIの外見と一致した。基質残量と化合物IIの合計は時間がたっても一定であって、時間0の出発原料の分量と同量であり、したがって加水分解のみが代謝反応であることを示唆している。
【0259】
【表5】

【0260】
新鮮なヒト血液の代謝作用
DMSOに試験化合物が溶解され、12.5 mMのストック溶液が用意され、最終濃度の2.5mM (DMSO/H2O =20/80)まで水で希釈された。新鮮な血液はヘパリンチューブに3人の血液ドナーから集められ、血液は培養までの間は氷で貯蔵された。それぞれのドナーからは別に血液のアリコートが1.5 mL遠心分離管にピペットで入れられ、管は37°Cの振られた水の槽で5分間前培養された。反応は10 mLの適切な試験化合物の崇徳をそれぞれの管から加えることで始められた(最終濃度 = 100 mM)。培養は、0, 5, 15, 30 および 60分後に2分間12,000 rpmで遠心分離機にかけられ Agilent 1100 HPLC systemで上澄みを分析されたアセトニトリル(750 mL)の添加により急冷された。分離は、Keystone Intersil ODS2, 250X4.6mm, 5 m カラムによって行われた。水性移動相は20 mM 酢酸アンモニウム緩衝剤 (pH 5.7)と有機相アセトニトリルを含む。グラディエントがつかわれた。初期状態は20%アセトニトリルを1分間であった。アセトニトリル濃度は直線的に90%まで8時間かけて増加され、1分間その値で持続された。システムは1分間かけて初期状態に戻され、その状態で次の注入までの一分間維持された。親ピークのピーク面積は240, 254 および290 nMでの吸収度を見ることで測定された。結果は、残っている初期化合物の量とWinNonLinを使用した動態解析によるデータとして表された。ここの化合物の半減期は下記の表6に示す。
【0261】
【表6】

【0262】
本明細書に記載されている実施例および形態は例として示すのみであり、その観点から様々な変更や変化がこの分野に精通しているものに提案され、本願の精神および範囲さらに添付の特許請求の範囲に含まれることを理解しなければならない。さらに、ここに参照または引用されたすべての特許、特許申請、仮申請および発行物は、本特許明細の明示的教示と矛盾しない範囲において参照のためにその全文を示された。
【0263】
本発明およびその生成および使用の方法は、関係する分野に精通しているものがそれを生成ししようすることができるように、完全に明確に簡潔に正確な表現で記載されている。上述は本発明の望ましい形態を記載したものであって、特許明細に記述されている本発明の精神から離れることがないかぎり変更が可能であることを理解しなければならない。発明としての主題を特に指摘し、明確に特許請求するために、最後に特許請求の範囲を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0264】
【図1】図1は、ATI-7505、セロトニン、シサプリドおよびATI-7500の5-HT4受容体アゴニストの濃度応答曲線を示すグラフである。
【図2】図2は、餌を与えられた犬の胃内容排出を示すグラフである。
【図3】図3は、CYP450依存共同因子であるNADPHを含むときと含まないときのATI-7505およびATI-7500の代謝を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル またはその塩を製造する方法であって:
1) 任意に化学式(I´)
【化1】

[Rは (C1-C8)アルキルである]
の化合物を塩に変換し;
2) 化学式(I´)の化合物またはその塩を、化学式(II´)
【化2】

[X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基 (一般に知られており使用される窒素保護基、例えば、N-ベンジル; N-ニトロベンジル; N-BoC; N-オキシド; N-パラメトキシベンジル; N-ベンジルスルホニルを使用することができる)から成る群より選択される]
の化合物またはその塩にそれぞれ変換し、;
3) 化学式(II´)の化合物をアルカリ金属水酸化物もしくは水素化物で処理して、化学式(III´)
【化3】

の化合物を生成し;
4) 化学式(III´)の化合物をキラル分割剤で処理してIII´のキラル塩を生成し、III´のキラル塩を単離し;
5) 任意に4の生成物を再結晶し;
6) 4または5の生成物を塩基性化して4または5の生成物の遊離塩基型を生成し;
7) 6の生成物を(C1-C8)アルキル 6-ハロヘキサン酸と接触させて化学式(IV´)
【化4】

[R´は(C1-C8)アルキルである]
の化合物を生成し;
8) 7の生成物を有機溶媒中で(R)-キヌクリジ-3-ノルおよびルイス酸で処理して、化学式(V´)
【化5】

の化合物を生成し;
9) 8の生成物の4-アミノ基を脱保護して6-[(3S,4R)-4-アミノ-3-メトキシピペリジン-1-イル]ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イルを生成し;
10) 9の生成物を4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ安息香酸でアシル化し;
11) 10の生成物を任意に塩に変換する、
の各工程を含む方法。
【請求項2】
Rは(C1-C6)アルキルである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
Rは(C1-C4)アルキルである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
Rはエチルである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
X1はベンジルであり、およびX2はベンジルである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
R'はエチルである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
キラル塩は(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
脱保護はH2/Pd/Cまたはギ酸アンモニウム/Pd/Cを用いて行われる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ルイス酸はチタンテトラアルコキシドである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
チタンテトラアルコキシドはTi(OiP)4 (チタン (IV) イソプロポキシド)である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル またはその塩を製造する方法であって:
1) 4-アミノ-3-メトキシピペリジン-1-カルボン酸エチルである化合物
【化6】

を塩に変換し;
2) 4-アミノ-3-メトキシピペリジン-1-カルボン酸エチルを4-(ジフェニルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-カルボン酸エチル
【化7】

に変換し;
3) 4-(ジフェニルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-カルボン酸エチルをアルカリ金属水酸化物もしくは水素化物で処理して、3-メトキシ-N,N-ジフェニルピペリジン-4-アミン
【化8】

を生成し;
4) 3-メトキシ-N,N-ジフェニルピペリジン-4-アミンをキラル分割剤と接触させて-メトキシ-N,N-ジフェニルピペリジン-4-アミンのシス異性体のキラル塩を製造し、生成された-メトキシ-N,N-ジフェニルピペリジン-4-アミンのシス異性体のキラル塩を単離し;
5) 任意に4の生成物を再結晶し;
6) 4または5の生成物を塩基性化して、4または5の生成物の遊離塩基型
【化9】

を生成し;
7) 6の生成物を6-ブロモヘキサン酸エチルと接触させて6-((3S,4R)-4-(ジフェニルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸エチル
【化10】

を生成し;
8) 6-((3S,4R)-4-(ジフェニルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸エチルを(R)-キヌクリジ-3-ノルおよびルイス酸と接触させて、6-((3S,4R)-4-(ジフェニルアミノ)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル
【化11】

を生成し;
9) 8の生成物の4-アミノ基を脱保護して6-[(3S,4R)-4-アミノ-3-メトキシピペリジン-1-イル]ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イルを生成し;
10) 9の生成物を4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ安息香酸でアシル化して、6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イルを生成し;
11) 10の生成物を任意に塩に変換する、
の各工程を含む方法。
【請求項12】
ステップ1の塩はHClである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ステップ3のアルカリ金属水酸化物はKOHである、請求項11記載の方法。
【請求項14】
ステップ4のキラル塩は(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸である、請求項11記載の方法。
【請求項15】
ルイス酸はTi(OiP)4 (チタン (IV) イソプロポキシド)である、請求項11記載の方法。
【請求項16】
4-アミノ基の脱保護はH2/Pd/Cを用いて行われる、請求項11記載の方法。
【請求項17】
9の生成物のアシル化は塩化ピバロイルを用いて行われる、請求項11記載の方法。
【請求項18】
化学式II´
【化12】

[X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基から成る群から選択され、およびRは(C1-C8)アルキルである]
の化合物を製造する方法であって、化学式(I´)
【化13】

の化合物またはその塩を、それぞれ化学式(II´)の化合物またはその塩に変換することを含む方法。
【請求項19】
化学式II´
【化14】

[X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基から成る群から選択され、およびRは(C1-C8)アルキルである]
の化合物またはその塩。
【請求項20】
化学式III´
【化15】

[X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基から成る群から選択され、およびRは(C1-C8)アルキルである]
の化合物を製造する方法であって、化学式(II´)
【化16】

の化合物をアルカリ金属水酸化物もしくは水素化物で処理することを含む方法。
【請求項21】
化学式III´
【化17】

[X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基から成る群から選択される]
の化合物またはその塩。
【請求項22】
化学式 III´´
【化18】

[X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基から成る群から選択される]
の化合物を製造する方法であって;
a) 化学式III´
【化19】

の化合物をキラル分割剤と接触させて III´´のキラル塩を生成し、III´´のキラル塩を分離し;
b) 任意にa)の生成物を再結晶し; および
c) a) または b)の化合物を塩基と接触させて化学式III´´の化合物を生成する、
の各工程を含む方法。
【請求項23】
キラル分割剤は(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸 およびIII´の塩は(3S,4R)-鏡像異性体 (+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸塩である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
2当量のIII´に対して1当量の(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸が使われる、請求項23記載の方法。
【請求項25】
化学式III´´
【化20】

[X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基から成る群から選択される]
の化合物またはその塩。
【請求項26】
化学式IV´
【化21】

[R´は(C1-C8)アルキル(好ましくはエチル)であり、X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基から成る群から選択される]
の化合物を製造する方法であって、化学式
【化22】

の化合物を(C1-C8)アルキル 6-ハロヘキサン酸と接触させることを含む方法。
【請求項27】
化学式IV´
【化23】

[R´は(C1-C8)アルキル(好ましくはエチル)であり、X1は窒素保護基であり、X2は水素と窒素保護基から成る群から選択される]
の化合物またはその塩。
【請求項28】
化学式V´
【化24】

[X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基から成る群から選択される]
の化合物を製造する方法であって、化学式IV´
【化25】

[R´は(C1-C8)アルキルである]
の化合物を有機溶媒中で(R)-キヌクリジ-3-ノル およびルイス酸と接触させ留ことを含む方法。
【請求項29】
ルイス酸は チタンテトラアルコキシドである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
チタンテトラアルコキシドはTi(OiPr)4(チタンテトライソプロポキシド)である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
化学式V´
【化26】

[X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基から成る群から選択される]
の化合物またはその塩。
【請求項32】
化学式VI´
【化27】

の化合物を製造する方法であって、化学式V´
【化28】

[X1は窒素保護基であり、X2は水素および窒素保護基から成る群から選択される]
の化合物からX1およびX2基を切断することを含む方法。
【請求項33】
X1およびX2 はベンジルであり、V´をH2/Pd/Cで処理することにより開裂される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
6-((3S,4R)-4-(4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)-3-メトキシピペリジン-1-イル)ヘキサン酸(R)-キヌクリジン-3-イル (VII´)を製造する方法であって、化学式VI´
【化29】

の化合物を4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ安息香酸と接触させることを含む方法。
【請求項35】
前記接触はハロゲン化ピバロイルの存在下で行われる、請求項34記載の方法。
【請求項36】
ハロゲン化ピバロイルは塩化ピバロイルである、請求項35記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−507033(P2009−507033A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529331(P2008−529331)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/034322
【国際公開番号】WO2007/028073
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(506338700)アリックス セラピューティクス、インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】