説明

能動型物体検知装置

【課題】有効とする検知エリアの列を容易に設定できるようにして施工性の向上を図った能動型物体検知装置を提供する。
【解決手段】複数の検知エリアA1〜A5に向けて物体検知用の検知波を送出する投光器1と、物体で反射した検知波を受けて受光信号を発生する受光器2とを備え、検知エリアA1〜A5は投光器1に近い位置から遠い位置に向かって複数列に配置されており、受光器2は検知エリアA1〜A5の各列ごとに受光する相異なる複数の受光素子8A〜8Fを有し、さらに、検知エリアA1〜A5の各列に対応した受光素子8A〜8Fが受光信号を出力したときに、その検知エリアA1〜A5の列ごとに相異なる色の光または相異なる音を発生する検出報知手段19を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の検知エリアに向けて物体検知用の検知波を送出して、物体で反射した検知波を受けたときに発生する受光信号が設定レベルを超えることにより人体のような物体を検知する能動型物体検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、近赤外線のような検知波を検知エリアに向けて送出する投光器と、物体で反射した検知波を受けて受光信号を発生する受光器とを備え、投光器に近い位置から遠い位置に向かって複数列の検知エリアを設定するために、投光器に、検知エリアの各列ごとに投光する1つの投光素子を割り当てるとともに、受光器に、検知エリアの各列ごとに受光する1つの受光素子を割り当てた能動型物体検知装置が知られている(特許文献1)。この能動型物体検知装置には、検知エリアの各列に対応した投光素子および受光素子を個々に作動または不作動のいずれかに切り換えるための手動のディップスイッチが設けられており、装置を取り付ける施工時には、その設置環境に応じて、物体を検知したくない検知エリアに対応する投光素子および受光素子をディップスイッチのオフにより不作動に設定している。このディップスイッチによる不要な検知エリアの設定に際しては、取扱説明書に記載された各列の検知エリアの装置からの離間距離に基づいて行っている。
【特許文献1】特開2002−285755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、装置の取扱説明書には代表的な取付高さおよび取付角度に基づく各列の検知エリアの装置からの離間距離が記載されているのみであり、取扱説明書の記載とは異なる取付高さや取付角度で取り付けた場合には、それに伴って各列の検知エリアの装置からの離間距離が変わり、取扱説明書の記載とは異なる。そのため、実際には、ディップスイッチの切換操作により、1列ずつ投光素子および受光素子を作動または不作動に設定しながら、施工者が実際に装置に向かって歩くことによって、装置が人体を検知する検知エリアの列を確認する作業を何回も繰り返して、装置からの離間距離である「踏み込み量」が最適となる検知エリアを見つけ出している。したがって、不要な検知エリアを除外して有効に機能させるための検知エリアの列を設定するのに多くの時間と労力を要しており、検知エリアの列数が多い場合には、さらに施工時間が長くなる。
【0004】
本発明は、有効とする検知エリアの列を容易に設定できるようにして施工性の向上を図った能動型物体検知装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る能動型物体検知装置は、複数の検知エリアに向けて物体検知用の検知波を送出する投光器と、物体で反射した前記検知波を受けて受光信号を発生する受光器とを備えた能動型物体検知装置であって、前記検知エリアは投光器に近い位置から遠い位置に向かって複数列に配置されており、前記受光器は前記検知エリアの各列ごとに受光する相異なる複数の受光素子を有し、さらに、前記検知エリアの各列に対応した前記受光素子が受光信号を出力したときに、その検知エリアの列ごとに相異なる色の光または相異なる音を発生する検出報知手段を備えている。
【0006】
この構成によれば、装置の取り付けが終了したのちに、例えば、施工者が装置から離れた場所から装置に向かって歩いたときに、検知作動させたい場所に到達した時点で検知報知手段によって表示された色または発生された音により、検知作動させたい有効な検知エリアが何列目であるかを即座に正確に知ることができ、また、装置の施工に際して、検知エリアの「踏み込み量」を最適化すべく、取付高さや取付角度に注意を払う必要もないことから、施工性が向上する。
【0007】
本発明において、さらに、前記検知エリアの複数の列に対応した複数の前記受光素子が受光信号を出力したときに、前記投光器に近い方の前記検知エリアの列に対応した色の光または音を検出報知手段に発生させる優先報知手段を備えていることが好ましい。これにより、取り付けた装置から離れた場所から装置に向かって歩いた際に、複数の検知エリアで検知される場合があっても、検出報知手段からは、装置から近い方の検知エリアの列、つまり、真の「踏み込み量」に対応した列の表示色または報知音が発生するので、有効に検知作動させたい検知エリアの列を正確に知ることができる。
【0008】
本発明において、さらに、前記検出報知手段を作動させない通常の検知モードと前記検出報知手段を作動させるエリア列設定モードとの間で切り換えを行うモード切換手段を備えるのが好ましい。これにより、施工時にエリア列設定モードを設定して有効とする検知エリアの列を見つけて設定したのち、通常の検知モードに切り換えればよく、常時は検出報知手段に無駄な作動を行わせずにすむ。
【0009】
本発明において、前記投光器は前記検知エリアの各列ごとに投光する相異なる複数の投光素子を有し、さらに、前記検知エリアの各列に対応した前記投光素子および受光素子ごとに作動および不作動の切り換えを行うオン・オフ設定手段を備えていることが好ましい。これにより、検出報知手段の表示色または報知音によって有効とする検知エリアの列を見つけたのちに、検知作動させたくない検知エリアの列に対応した投光素子および受光素子を、オン・オフ設定手段によりオフして不作動に設定すれば、不要な投光素子および受光素子を無駄に作動させずにすむ。
【0010】
本発明において、前記複数の検知エリアを自動ドアの近傍に設定すれば、自動ドアに向かって近づいて来る人体が検知エリアの所要の列に到達した最も好ましい「踏み込み量」で自動ドアを開放させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の能動型物体検知によれば、検知エリアの各列に対応した受光素子が受光信号を出力したときに、その検知エリアの列ごとに相異なる色の光または相異なる音を発生する検出報知手段を備えているので、有効としたい検知エリアが何列目であるかを、表示色または報知音から即座に正確に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。先ず、本発明の第1実施形態の能動型物体検知装置の構成の説明に先立って、検知エリアについて説明する。この第1実施形態では、自動開閉ドアの開閉制御装置の起動用に適用した場合を例示してあり、図4(a)は 自動開閉ドア18のスライド方向から見た検知エリアの説明図、同図(b)は検知エリアを示す平面図である。前記能動型物体検知装置100は無目50の側面に取り付けられ、(a)に示すように、検知エリアA1〜A5は設置された能動型物体検知装置100に近い位置から遠い位置に向かって5列に配置されており、各列の検知エリアA1〜A5は、(b)に示すように、それぞれ12個のエリアからなる。そして、この能動型物体検知装置100では、後述する検出報知手段において、各列の検知エリアA1〜A5に存在する物体を検知したときに、その検知エリアA1〜A5の列ごとに相異なる色の光を発生するようになっている。この実施形態では、(b)に示すように、後述する検出報知手段19が第1列目の検知エリアA1で検知したときに赤色、第2列目の検知エリアA2で黄色、第3列目の検知エリアA3で紫色、第4列目の検知エリアA4で水色、第5列目の検知エリアA5で橙色を,それぞれ発光するようになっている。
【0013】
図1は本発明の第1実施形態に係る能動型物体検知装置100の電気的構成を示すブロック図である。この能動型物体検知装置100は、投光器1に近い位置から遠い位置に向かって5列に設定される検知エリアに向けて物体検知用の検知波の一種である近赤外線を投光する投光器1と、物体で反射した検知波を受けて受光信号を発生する受光器2とを備えている。検知器1は、検知波として近赤外線を送出する赤外線発光ダイオードからなる第1〜第5列目投光素子3A〜3Eと、各投光素子3A〜3Eから送出される近赤外線を、各列が12個の検知エリアを有するように、所定パターンで投射する投光レンズからなる投光用光学系4とを有しており、各投光素子3A〜3Eは、マイクロコンピュータからなる制御部10の制御を受けて駆動回路7により個々に駆動制御される。
【0014】
受光器2は、前記5列の各検知エリアの列ごとに受光する相異なる第1〜第5列目受光素子8A〜8Eと、各列の検知エリアから反射した近赤外線を各受光素子8A〜8Eに入射するよう集光する受光レンズからなる受光用光学系9とを有しており、各列の受光素子8A〜8Eから出力される受光信号は、それぞれ個々に増幅回路11で増幅されたのちにサンプルホールド回路12でサンプリングされ、その各受光素子8A〜8Eごとにサンプリングされたサンプリング信号が個々に制御部10に対し出力される。
【0015】
制御部10は、各投光素子3A〜3Eのうち、検知エリアオン・オフスイッチ13によりオンに設定された検知エリアの列に対応するもののみを駆動するよう駆動回路7に対し指令する。また、制御部10は、サンプルホールド回路12から各列の受光素子8A〜8Eごとに個々に入力するサンプリング信号が設定レベルを超えているか否かを受光レベル判別手段10aで判別して、設定レベルを超えていると判別したときに、自動開閉ドア18の開閉制御装置17に対し物体検知信号を出力する。さらに、制御部10は、通常検知モードとエリア列設定モードとに切り換える手動のモード切換スイッチ14によりエリア列設定モードが設定入力されているときに、設定レベルを超えたサンプリング信号を出力している受光素子が何列目であるかを判別して、その判別した検知エリアの列に設定されている固有の表示色の表示制御信号を検出報知手段19に対し出力し、一方、設定レベルを超えたサンプリング信号を出力している受光素子が2つの列であると判別したときに、優先報知手段10bが投光器1に近い方の検知エリアの列に設定されている固有の表示色の表示制御信号を検出報知手段19に対し出力する。
【0016】
前記検出報知手段19は、赤色発光LED21A、緑色発光LED21Bおよび青色発光LED21Cを備えて所要の表示色を発光表示する発光表示器21と、制御部10から入力する表示制御信号により指示された表示色を表示するように各発光LED21A〜21Cのうちの所要のものを発光制御するLED発光制御回路20とを有している。すなわち、詳細は後述するが、この実施形態では、検知エリアの各列ごとに相異なる表示色が設定されており、発光表示器21は、制御部10から入力した表示制御信号により指示された表示色を単色または混色により発生するように、LED21A〜21Cの1つ以上を発光させる。
【0017】
能動型物体検知装置100の外部に設置された自動開閉ドア18の開閉制御装置17は、制御部10から物体検知信号が入力したときにドア開信号を出力する起動回路22と、自動開閉ドア18を開閉作動させるドアエンジン24と、起動回路22からドア開信号を受けたときにドアエンジン24を開動作させるドアエンジンコントローラ23とを備えている。
【0018】
なお、検出報知手段19には、さらに、間隔がそれぞれ異なる数種類の間欠音または音声合成ICから検知エリアの列の番号を合成音声信号で発生する音発生部27および音発生部27からの信号を受けて発声するスピーカのような発声部28とを設けてもよい。これにより、設定する検知エリアの列数が多くなった場合に、例えば装置から遠い検知エリアの列を周期の異なる間欠音で報知することにより、施工者に正確に報知することができる。間欠音に代えて、「1列目です」、「2列目です」のような合成音声を発生させることもできる。また、LED発光制御回路20および発光表示器21を割愛して、音発生部27および発声部28を設けてもよい。
【0019】
図2(a)は前記能動型物体検知装置100の斜視図、同図(b)は能動型物体検知装置100の装置本体29からカバー30およびその内側のウィンドウ(図示せず)を取り外した状態を示す斜視図である。図2(b)に示すように、能動型物体検知装置100は、装置本体29の下面側(図の手間側)に、図1の投光用光学系4を構成する第1および第2投光レンズ4A,4Bが装置本体29の無目50(図4(a))への取付面29aと平行な水平方向である横方向Xに離間して配置され、その間に、図1の受光用光学系9を構成する第1および第2受光レンズ9A,9Bが配置されている。図2(b)の第1投光レンズ3Aおよび第1受光レンズ9Aは、図4の第1から第3の検知エリアA1〜A3を設定し、図2(b)の第2投光レンズレンズ3Bおよび第2受光レンズ9Bは、図4の第4および第5の検知エリアA4,A5を設定する。
【0020】
また、装置本体29の前側外面には、検知エリアA1〜A5の検知作動および不作動を選択するためのオン・オフ設定手段である検知エリア・オン・オフスイッチ13と、モード切換スイッチ14とが設けられている。検知エリア・オン・オフスイッチ13は、5つの検知エリアA1〜A5の各列に対応する5つの投光素子3A〜3Eおよび受光素子8A〜8Eを個々に作動および不作動に切り換える5個のスイッチを有している。各スイッチのそれぞれの近傍箇所には、検知エリアA1〜A5の列に対応する表示色が印刷されたラベルL1〜L5が貼り付けられている。さらに、装置本体29のレンズ3A,3B,9A,9Bの列の左側には、発光表示器21が設けられており、図2(a)のカバー30における発光表示器21に対向する箇所には、表示窓31が設けられている。
【0021】
図3(a),(b)は装置本体29のウィンドウおよびカバー30を取り外した状態の正面図および底面図である。図3(a)に示すように、装置本体29におけるレンズ列4A,4B,9A,9Bの上方側にはプリント配線基板32が配置されている。このプリント配線基板32には、図3(b)に示すように、第1投光レンズ4Aに対応して各3個ずつが横方向Xに沿って一列に配列された第1〜第3列目投光素子3A〜3Cが装着され、第2投光レンズ4Bに対応して各3個ずつが横方向Xに沿って一列に配列された第4および第5列目投光素子3D,3Eが装着され、第1受光レンズ9Aに対応して各3個ずつが横方向Xに沿って一列に配列された第1〜第3列目受光素子8A〜8Cが装着され、第2受光レンズ9Bに対応して各3個ずつが横方向Xに沿って一列に配列された第4および第5列目受光素子8D,8Eが装着されている。各レンズ4A,4B,9A,9Bはいずれも4分割されており、各1つの投光素子3A〜3Eおよび受光素子8A〜8Eに対して、4つの検知エリアを割り当てている。したがって、各列ごとに3個ずつ配列された第1〜第5列目の投光素子3A〜3Eおよび第1〜第5列目の受光素子8A〜8Eは、対応するレンズ4A,4B,9A,9Bによって、各列に12(=3×4)個の検知エリアを含む5列の検知エリアA1〜A5を設定する。
【0022】
図5は制御部10の制御処理を示すフローチャートであり、図5を参照しながら前記能動型物体検知装置100の作用について説明する。図1の制御部10は、モード切換スイッチ14から通常検知モードが設定入力されているか否かを判別する(図5のステップS1)。いま、能動型物体検知装置100を自動開閉ドア18の無目50に取り付けたのちに有効な検知エリアを設定するためにエリア列設定モードが設定入力されているとする。その場合、制御部10は、モード切換スイッチ14によりエリア列設定モードが設定されていると判別して、エリア列設定モードを設定する(ステップS2)。続いて、制御部10は、図1のサンプルホールド回路12から設定レベル以上の受光信号(この場合はサンプリング信号)が入力するのを待つ(ステップS3)。
【0023】
図4(b)に示すように、施工者Hが取り付けた能動型物体検知装置100、つまり自動開閉ドア18から遠く離れた位置から矢印で示すように自動開閉ドア18に向かって歩いていき、第5列目検知エリアA5に到達したときに、第5列目受光素子8Eから出力された受光信号のサンプリング信号が設定レベルを超えるので、これを判別した制御部10は、設定レベルを超えるサンプリング信号が入力した入力端子の信号レベルに基づき、第5列目を含み複数列の受光素子8Dからの受光信号が設定レベルを超えているか否かを判別する(ステップS4)。
【0024】
複数列の受光素子から受光信号が入力されていない場合、第5列目を示す橙色の表示制御信号を検出報知手段19のLED発光制御回路20に対し出力する(ステップS5)。LED発光制御回路20は、各発光ダイオード21A〜21Cのうちの所要のものを発光させて発光表示器21に橙色を表示する。ここで、施工者Hは第5検知エリアA5が有効としたい検知エリアである場合に、この発光表示器21に表示された橙色を覚えるようにするが、第5検知エリアA5が所望の踏み込み位置の検知エリアでない場合に、さらに、自動開閉ドア18に向かって歩を進める。
【0025】
そして、施工者Hが、図4(a)に示すように、第4検知エリアA4に入ったときには、施工者Hの上半身から反射した近赤外線を受けた第5列目受光素子8Eと、施工者Hの下半身から反射した近赤外線を受けた第4列目受光素子8Dの両方から、設定レベルを超える受光信号が制御部10に入力される。制御部10は、複数列の受光素子8E,8Dの受光信号が設定レベルを超えたと判別したとき(ステップS4)、優先報知手段10Bが二つの検知エリアA5,A4のうちの投光器1に近い側の第4検知エリアA4を優先する処理を行い、第4列目受光素子8Dの受光を示す水色の表示御信号を検出報知手段19のLED発光制御回路20に対し出力する(ステップS6)。LED発光制御回路20は、各発光ダイオード21A〜21Cのうちの所要のものを発光させて発光表示器21に水色を表示する。ここで、施工者Hは第4検知エリアA5が有効としたい検知エリアである場合に、この発光表示器21に表示された水色を覚えるようにするが、第4検知エリアA4が所望の踏み込み位置の検知エリアでない場合、さらに、自動開閉ドア18に向かって歩を進める。こうして、施工者Hは、有効としたい検知エリアA1〜A5に達したときに、発光表示器21の表示色を覚えるようにする。
【0026】
施工者Hは、有効としたい検知エリアA〜A5に対応する表示色を覚えたならば、検知エリア・オン・オフスイッチ13の近傍のラベルL1〜L5の表示色を見て、自身が覚えている表示色よりも装置100から遠い検知エリアA1〜A5に対応するスイッチをオフに設定する。制御部10では、発光表示器21に対し表示制御信号を出力したのちに、検知エリア・オン・オフスイッチ13におけるいずれかのスイッチがオフに切り換えられたか否かを判別しており(ステップS7)、オフに切り換えられたスイッチに対応する列の投光素子3A〜3Eおよび受光素子8A〜8Eを不動作に設定する(ステップS8)。そののち、モード切換スイッチ14が切換操作されたか否かを判別して(ステップS9)、モード切換スイッチ14が通常モードに切換操作されたと判別するまで、検知エリア・オン・オフスイッチ13のいずれかのスイッチが切換操作された否かを監視する(ステップS7)。
【0027】
施工者Hは、検知エリア・オン・オフスイッチのオン操作により物体の検知が不要な検知エリアA1〜A5を除外する操作をして物体を検知すべき有効な検知エリアA1〜A5の設定を終えたときに、モード切換スイッチ14を通常モードに切換操作するので、制御部10は、モード切換スイッチ14が切り換えられたと判別したとき(ステップS9)、通常検知モードに設定する(ステップS10)。この通常検知モードにおいて、制御部10はいずれかの受光素子3A〜3Eから出力された受光信号のサンプリング信号が設定レベルを超えたか否かの判別を常時行い(ステップS11)、設定レベルを超えたと判別したときに、開閉制御装置17に対し物体検知信号を出力する。この物体検知信号を受けた開閉制御装置17は自動開閉ドア18を開放動作させる。
【0028】
この能動型物体検知装置100は、取り付けが終了したのちに不要の検知エリアA1〜A5を検知不作動にして有効な検知エリアA1〜A5のみを設定する場合、図4(b)に示すように、例えば施工者が装置100から離れた場所から装置100に向かって歩いていき、検知作動させたい場所に到達した時点で検知報知手段19の発光表示器21の表示色を覚えておけば、その後に装置100の検知エリア・オン・オフスイッチ13の各スイッチの近傍にあるラレベルL1〜L5の表示色のうち、自身が覚えている表示色のスイッチよりも装置100から離れる方向のスイッチをオフ操作するだけで、検知作動させたい有効な検知エリアを即座に正確に設定することができ、しかも、装置100の施工に際しての取付高さや取付角度に左右されないので、装置を取付高さや取付角度に留意することなく取り付けできるので、施工性が向上する。ラベルL1〜L5はなくてもよく、その場合、発光表示器21による表示色と検知エリアA〜A5との関係を取扱説明書に記載しておく。
【0029】
また、従来では、検知エリアA1〜A5を一旦設定したのちに物体検知信号が頻繁に誤出力するような場合に、その誤動作の原因となっている検知エリアを見つけるのが容易でなかった。例えば、検知エリアA1〜A5を設定した後に、或る検知エリアに植木鉢が置かれて、その植木鉢に植えられた花や木が風で揺れることによって物体として誤検知されるような場合がある。この第1実施形態の能動型物体検知装置100では、上述のような誤検知が頻繁に発生する事態が生じた場合に、モード切換スイッチ14をエリア列設定モードに切り換えると、検出報知手段19の発光表示器21に誤検知している検知エリアの列に対応する表示色が発光表示されるので、誤検知が発生している検知エリアの列を即座に確認することができ、その検知エリア内の誤検知の原因を迅速に見つけ出す用途にも好適に活用することができる。
【0030】
また、施工者Hが複数の検知エリアA1〜A5にまたがって検知されて、複数の受光素子8A〜8Eの受光信号が同時に設定レベルを超えた場合には、制御部10の優先報知手段10Bが、投光器1に近い方の検知エリアA1〜A5の列に対応した表示色の表示制御信号を出力するので、装置100から近い方の検知エリアA1〜A5の列、つまり真の「踏み込み量」(図4のST)に対応した列の表示色が表示され、または報知音が発声され、有効に検知作動させたい検知エリアA1〜A5の列を正確に知ることができる。
【0031】
また、通常検知モードとエリア列設定モードとの間で切り換えを行うモード切換手段14を備えているので、施工時にエリア列設定モード14を設定して有効とする検知エリアA1〜A5の列を見つけて設定したのち、通常検知モードに切り換えれば、検出報知手段19に無駄な作動を行わせずにすむ。さらに、オン・オフ設定手段によって、検知作動させたくない検知エリアA1〜A5の列に対応した投光素子3A〜3Eおよび受光素子8A〜8Eを不作動に切り換え設定するので、不要な投光素子3A〜3Eおよび受光素子8A〜8Eを無駄に作動させずにすむ。
【0032】
図6は本発明の第2実施形態に係る能動型物体検知装置110を示す下方から見た斜視図、図7はその物体検知装置110の底面図であり、いずれも装置本体33からカバー(図示せず)を取り外した状態である。この第2実施形態の物体検知装置110は、天井などに下向きに取り付けるタイプであり、図6の装置本体33の上面が取り付け面33aとなっている。装置本体33には、単一の投光用光学系4および受光用光学9が下向きの配向で設けられて、取り付け位置の下方箇所に検知エリアが設定される。両光学系4,8は共に4分割されたレンズからなり、図7に示すように、装置本体33における投光用光学系4の上方箇所(内側)には、各3個ずつが一列に配列された第1〜第6列目投光素子3A〜3Fが6列配置で投光用光学系4に対向して装着され、受光用光学系9の上方箇所には、各3個ずつが一列に配列された第1〜第6列目受光素子8A〜8Fが6列配置で投光用光学系4に対向して装着されている。したがって、この物体検知装置110では、12個が一列配置された検知エリアが、6列に配列して設定される。
【0033】
また、第1実施形態と同様のモード切換スイッチ14および発光表示器21が設けられ、検知エリア・オン・オフスイッチ13は、それぞれ3個のスイッチが配列された二つのスイッチ群13A,13Bに分かれて配設されている。この物体検知装置110は、第1実施形態と比べて投光素子3A〜3Fおよび受光素子8A〜8Fの列が1列多いだけで、図1のブロック図とほぼ同様の電気的構成になっている。したがって、この物体検知装置110においても、第1実施形態で説明したと同様に作用して、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る能動型物体検知装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】(a)同上の能動型物体検知装置の斜視図、(b)はカバーおよびウィンドウを取り外した状態の能動型物体検知装置の斜視図である。
【図3】(a),(b)は同上の能動型装置本体のウィンドおよびカバーを取り外した状態の正面図および底面図である。
【図4】(a)は同実施形態における自動開閉ドアのスライド方向側から見た検知エリアの説明図、(b)は検知エリアを示す平面図である。
【図5】同上の能動型物体検知装置における制御部の制御処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る能動型物体検知装置を示す下方から見た斜視図である。
【図7】同上の物体検知装置の底面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 投光器
2 受光器
3A〜3F 投光素子
8A〜8F 受光素子
10b 優先報知手段
14 モード設定スイッチ(モード設定手段)
13 検知エリア・オン・オフスイッチ(オン・オフ設定手段)
18 自動開閉ドア(自動ドア)
19 検出報知手段
21 発光表示器
100,110 能動型物体検知装置
A1〜A5 検知エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検知エリアに向けて物体検知用の検知波を送出する投光器と、物体で反射した前記検知波を受けて受光信号を発生する受光器とを備えた能動型物体検知装置であって、
前記検知エリアは投光器に近い位置から遠い位置に向かって複数列に配置されており、 前記受光器は前記検知エリアの各列ごとに受光する相異なる複数の受光素子を有し、
さらに、前記検知エリアの各列に対応した前記受光素子が受光信号を出力したときに、その検知エリアの列ごとに相異なる色の光または相異なる音を発生する検出報知手段を備えた能動型物体検知装置。
【請求項2】
請求項1において、さらに、前記検知エリアの複数の列に対応した複数の前記受光素子が受光信号を出力したときに、前記投光器に近い方の前記検知エリアの列に対応した色の光または音を検出報知手段に発生させる優先報知手段を備えた能動型物体検知装置。
【請求項3】
請求項1または2において、さらに、前記検出報知手段を作動させない通常の検知モードと前記検出報知手段を作動させるエリア列設定モードとの間で切り換えを行うモード切換手段を備えた能動型物体検知装置。
【請求項4】
請求項1,2または3において、前記投光器は前記検知エリアの各列ごとに投光する相異なる複数の投光素子を有し、さらに、前記検知エリアの各列に対応した前記投光素子および受光素子ごとに作動および不作動の切り換えを行うオン・オフ設定手段を備えた能動型物体検知装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項において、前記複数の検知エリアが自動ドアの近傍に設定されている能動型物体検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−92536(P2009−92536A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264123(P2007−264123)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】