説明

能動式の流体アーキテクチャを備えるプリンタ

【課題】優れたインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】インクジェットプリンタは、インク供給源112と、上流側インク配管67を介して上記インク供給源との間で流体が流れるよう連通しているプリントヘッドIC74と、下流側インク配管106を介して上記プリントヘッドIC74との間で流体が流れるよう連通する廃インク出口と、上流側インク配管67に位置する上流側遮断バルブ138と、下流側インク配管に位置する下流側ポンプ機構114とを備える。プリントヘッドの上流のバルブおよびプリントヘッドの下流のポンプによって、ユーザがプリントヘッドICの上流、下流、またはプリントヘッドIC内のインクの流れを能動的に制御できる。インクの溢れ、色の混ざり合い又はプリントヘッドのデプライミング等の問題が生じた場合に、ユーザが状況の是正のために単純なトラブル解消の手順に従うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷の分野に関し、特にはインクジェット印刷の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷は、印刷による像形成の一般的かつ万能な一形態である。本件譲受人は、MEMSプリントヘッドICによってインクを射出するプリンタを開発した。これらのプリントヘッドIC(集積回路)は、半導体の製造に使用されるリソグラフィエッチングおよびデポジットの技法を使用して形成される。
【0003】
MEMSプリントヘッドICの微小サイズのノズル構造が、高いノズル密度(ICの単位表面積当たりのノズル数)、高い印刷解像度、少ない消費電力、ならびに自冷作用、したがって高い印刷速度を可能にしている。そのようなプリントヘッドが、特許文献1、2に詳しく記載されている。これらの文献の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0004】
小さなノズル構造および高いノズル密度は、ノズルの詰まり、デプライミング(de‐priming)、ノズルの乾燥(デキャップ)、色の混ざり、ノズルの溢れ、インク流への気泡の混入、などによって難事を引き起こし得る。これらの問題のそれぞれが、印刷品質にとって有害なアーチファクトを生じ得る。プリンタの構成部品は、これらの問題が生じる恐れを最小限にするように設計される。最適な状況は、固有の機能によってこれらの問題の発生をなくすことができるプリンタ構成部品である。実際には、多数のさまざまな種類の動作条件、ならびに輸送または日々の動作における災難または過度に乱暴な取り扱いゆえ、部品の設計、材料の選択、などといった「受動的」な管理では、上述の問題に対処することは不可能である。
【特許文献1】米国特許出願10/160273(米国特許第6,746,105号)
【特許文献2】米国特許出願10/728804(米国特許第7,246,886号)
【発明の開示】
【0005】
本発明は、第1の態様によれば、
インク供給源と、
ノズルのアレイを有しており、上流側インク配管を介して上記インク供給源との間で流体が流れるよう連通しているプリントヘッド集積回路(IC)であって、それぞれのノズルが印刷媒体へとインクの滴を射出するためのそれぞれのアクチュエータを備えているプリントヘッドICと、
下流側インク配管を介して上記プリントヘッドICとの間で流体が流れるよう連通している廃インク出口と、
上記上流側インク配管に位置する上流側遮断バルブと、
上記下流側インク配管に位置する下流側ポンプ機構と、
を備えているインクジェットプリンタを提供する。
【0006】
本発明は、単純なポンプおよびバルブを追加することによって、インクリザーバからプリントヘッドICのノズルへのインクの流れについて、能動的な制御をユーザに提供する。インクの溢れ、色の混ざり合い、またはプリントヘッドのデプライミングなどといった問題が生じた場合に、ユーザは、状況の是正のために単純なトラブル解消の手順に従えばよい。
【0007】
場合により、ポンプ機構は、インクを廃インク出口またはインクマニホールドに向かって送るために可逆である。好ましくは、ポンプ機構は、蠕動ポンプである。
【0008】
場合により、このプリンタは、ノズルのインクを大気圧よりも低い静水圧に維持するために、プリントヘッドICの上流側に圧力調節器をさらに備えている。好ましくは、インク供給源が、遮断バルブの上流のインクタンクであって、上記圧力調節器が、インクタンクに配置されている。さらなる好ましい形態においては、上記圧力調節器が、インクタンクのインクに沈められた気泡出口と、大気へと通気された空気導入口とを有している泡立ち点調節器であり、インクの消費に起因するインクタンク内の静水圧の低下によって、空気が空気導入口を通って引き込まれ、気泡出口において気泡を形成して、インクタンク内の圧力を実質的に一定に保つ。
【0009】
場合により、このプリンタは、インクから粒子状物質を取り除くために、プリントヘッドICの上流にフィルタをさらに備える。好ましくは、インクタンクが、シールされて遮断バルブとの間で流体が流れるよう連通している出口を有しており、フィルタが、この出口を覆うようにインクタンクに位置している。とくに好ましい形態においては、インクタンクが、着脱式のインクカートリッジであり、上記出口を、上流側インク配管に解放可能に係合させることができる。
【0010】
場合により、遮断バルブは、閉鎖方向に付勢され、プリンタの電源が断たれたとき(スイッチのオフまたは省電力の待機モード)に閉鎖位置へと戻る。好ましくは、遮断バルブが、閉鎖位置へと移動するときにインクを変位させることで、遮断バルブが開くときに、有限の量のインクがインクタンクから引き出されて、気泡出口における静水圧が泡立ち点圧力に向かって低下する。
【0011】
場合により、このプリンタは、プリントヘッドICのノズルから離間した非シール位置と、ノズルを覆って気密のシールを生成するシール位置との間で可動なキャップ装置をさらに備える。好ましくは、ノズルのアレイが、ノズル板に形成され、キャップ装置が、ノズル板に付着したインクおよび粒子状物質を取り除くように構成される。
【0012】
場合により、このプリンタはさらに、インクの存在の有無を検出するためのセンサを、プリントヘッドICの下流に備えている。好ましくは、センサは、蠕動ポンプの上流側に位置する。とくに好ましい形態においては、このプリンタが、別個のインク色のための複数のインクタンク、ならびに各色のそれぞれのための複数の上流側インク配管および下流側インク配管を備えており、蠕動ポンプが、各インク色を同時に送ることができる多チャネルの蠕動ポンプである。好ましい実施形態は、センサおよび蠕動ポンプへと動作可能に接続され、センサからの出力に応答してポンプを動作させるコントローラをさらに備えることができる。場合により、廃インク出口は、インク溜めへと続いている。
【0013】
本発明は、第2の態様によれば、インクジェットプリンタに組み込まれるプリントヘッドアセンブリであって、
ノズルのアレイを有しており、それぞれのノズルが印刷媒体へとインクの滴を射出するためのそれぞれのアクチュエータを備えているプリントヘッド集積回路(IC)と、
上記プリントヘッドICとの間で流体が流れるよう連通しており、インク供給源に解放可能に係合するように構成されている上流側インク配管と、
上記プリントヘッドICとの間で流体が流れるよう連通している下流側インク配管、
上記下流側インク配管を介して上記プリントヘッドICとの間で流体が流れるよう連通している廃インク出口と、
上記上流側インク配管に位置する上流側遮断バルブと、
上記下流側インク配管に位置する下流側ポンプ機構と、
を備えるプリントヘッドアセンブリを提供する。
【0014】
場合により、ポンプ機構は、インクを廃インク出口またはプリントヘッドICに向かって送るために可逆である。好ましくは、ポンプ機構は、蠕動ポンプである。
【0015】
場合により、インク供給源は、インクカートリッジであり、上流側インク配管が、インクカートリッジの出口に解放可能かつ流体を漏らさぬように係合するように構成されている。
【0016】
場合により、遮断バルブは、閉鎖方向に付勢され、プリントヘッドアセンブリがプリンタに取り付けられ、プリンタの電源が断たれたとき(スイッチのオフまたは省電力の待機モード)に閉鎖位置へと戻る。好ましくは、遮断バルブが、閉鎖位置へと移動するときにインクを変位させることで、遮断バルブが開くときに、有限の量のインクがインクカートリッジから引き出されて、インクカートリッジの出口における静水圧を低下させる。
【0017】
場合により、このプリントヘッドアセンブリは、プリントヘッドICのノズルから離間した非シール位置と、ノズルを覆って気密のシールを生成するシール位置との間で可動なキャップ装置をさらに備える。好ましくは、ノズルのアレイが、ノズル板に形成され、キャップ装置が、ノズル板に付着したインクおよび粒子状物質を取り除くように構成される。
【0018】
場合により、このプリントヘッドアセンブリはさらに、インクの存在の有無を検出するためのセンサを、インクマニホールドの下流に備えている。好ましくは、センサは、蠕動ポンプの上流側に位置する。とくに好ましい形態においては、プリンタが、別個のインク色のための複数のインクタンク、ならびに各色のそれぞれのための複数の上流側インク配管および下流側インク配管を有しており、蠕動ポンプが、各インク色を同時に送ることができる多チャネルの蠕動ポンプである。好ましい実施形態は、センサおよび蠕動ポンプへと動作可能に接続され、センサからの出力に応答してポンプを動作させるコントローラをさらに備えることができる。場合により、廃インク出口は、プリンタのインク溜めへと続いている。
【0019】
本発明は、第3の態様によれば、インクジェットプリンタ用のプリントヘッドアセンブリであって、
印刷媒体へとインクを射出するためのノズルのアレイを有するプリントヘッド集積回路(IC)と、
遮断バルブと
を備えており、
該遮断バルブが、
インク供給源につながるインク導入口と、上記プリントヘッドICへと接続されたインク出口と、バルブシートとを定めているバルブ本体、
上記バルブシートに密に係合するように付勢され、上記インク導入口と上記インク出口との間に流体シールをもたらすバルブ部材と、
作動時に上記バルブ部材を上記バルブシートとの密着から離し、非作動時に上記バルブ部材を上記バルブシートへ再び密着させるアクチュエータと、
を有しているプリントヘッドアセンブリを提供する。
【0020】
本発明は、停止の期間の間、インク配管を上流へと移動し得る汚染物からインク供給源のインクを保護する。バルブ部材が、常に閉鎖位置へと付勢されているため、たとえ停電の場合でも、デフォルトの状態としてプリントヘッドICからインク供給源をシールする。この付勢は、導入口と出口との間の圧力差が小さい場合でもシールが損なわれることがないように流体シールをもたらすために充分に強力である。
【0021】
好ましくは、バルブ部材がダイアフラムを有しており、インク出口およびインク導入口がどちらも、バルブ部材によるシールを解放するときにダイアフラムがバルブシートから離れるように引かれてインク導入口およびインク出口の流体の圧力を下げるよう、ダイアフラムの片側との間で流体が流れるよう連通している。さらなる好ましい形態においては、バルブ部材をバルブシートとのシールの係合へと付勢するとき、ダイアフラムが残留張力のもとにある。場合により、アクチュエータは、バルブ部材をバルブシートから引き離すためにダイアフラムの付勢に逆らって機能する。場合により、アクチュエータはソレノイドを有している。場合により、アクチュエータは形状記憶合金を有している。場合により、形状記憶合金は、ニチノール(商標)ワイヤを備えている。場合により、ダイアフラムはポリウレタンである。
【0022】
好ましくは、アクチュエータは、ダイアフラムがバルブ部材をバルブシートへと再び密着させる場合よりも素早く、ダイアフラムをバルブシートから離れるように引く。さらなる好ましい形態においては、バルブシートが円錐台形の表面を有しており、ダイアフラムの片側から延びる相補的な表面に当接してシールを形成する。
【0023】
本発明は、第4の態様によれば、
インク供給源と、
ノズルのアレイを有しており、上流側インク配管を介して上記インク供給源との間で流体が流れるよう連通しているプリントヘッド集積回路(IC)であって、それぞれのノズルが印刷媒体へとインクの滴を射出するためのそれぞれのアクチュエータを備えているプリントヘッドICと、
下流側インク配管を介して上記プリントヘッドICとの間で流体が流れるよう連通している廃インク出口と、
上記上流側インク配管に位置する上流側ポンプ機構と、
上記下流側インク配管に位置する下流側ポンプ機構と、
上記上流側ポンプ機構および上記下流側ポンプ機構を選択的に動作させるためのユーザ制御部と、
を備えるインクジェットプリンタを提供する。
【0024】
プリントヘッドICの上流および下流の両方において流体アーキテクチャを通ってインクを選択的に送るための能力をプリンタのユーザに与えることで、MEMSプリントヘッドに関係する多数の問題を、発生後に是正することが可能になる。これに鑑み、プリンタの構成部品そのものを、デプライミング、色の混ざり合い、およびガス発生などといった問題に対して安全にすることが、不可欠でなくなる。プリンタを通過するインクの流れを能動的に制御するシステムは、ユーザがプリントヘッドICのプライミング(prime)、デプライミング、またはパージを実行できることを意味する。また、上流側配管および/または下流側配管のデプライミング(当然ながら、その後の再プライミングも)が可能である。この制御システムによれば、ユーザが、印刷にアーチファクトを引き起こす状態が生じたときに、これを矯正することができる。
【0025】
好ましくは、上流側インク配管が、上流側ポンプ機構を迂回する上流側バイパス配管を有しており、この上流側バイパス配管が、上流側遮断バルブを有している。
【0026】
好ましくは、下流側インク配管が、下流側ポンプ機構を迂回する下流側バイパス配管を有しており、この下流側バイパス配管が、下流側遮断バルブを有している。
【0027】
好ましくは、廃インク出口は、廃インクを保管するためのプリンタ内のインク溜めへとインクを送る。
【0028】
好ましくは、ユーザ制御部は、上流側および下流側遮断バルブを選択的に開閉することができる。
【0029】
好ましくは、上流側および下流側ポンプ機構は、それぞれ上流側および下流側インク配管において両方向にインクを送ることができるように可逆である。
【0030】
好ましくは、上流側インク配管は、プリントヘッドICが取り付けられたLCP成型品を終端とし、下流側インク配管は、LCP成型品から出発する。
【0031】
好ましくは、上流側ポンプ機構および下流側ポンプ機構が、ただ1つの流体ポンプを通過して延びる別個の流体配管によってもたらされている。
【0032】
好ましくは、流体ポンプが蠕動ポンプである。
【0033】
好ましくは、上流側インク配管および下流側インク配管が、流体ポンプの上流に追加の遮断バルブを有している。
【0034】
あるいは、上流側バイパスバルブおよび下流側バイパスバルブが、上流側および下流側インク配管の両者において、流体ポンプの上流の3方向分岐に位置する3方弁でそれぞれ置き換えられる。
【0035】
本発明は、第5の態様によれば、インク供給源からプリントヘッドICおよび廃インク出口へとインクを供給するためのインク分配部材であって、
それぞれがプリントヘッドICの該当のノズルとの間で流体が流れるよう連通するための開口、該開口からインク供給源に向かって延びる上流部、および該開口から廃インク出口に向かって延びる下流部を有している一連のインク水路
を備えており、
それぞれのインク水路が、インク水路の1つにおいて広がる気泡が上記上流部から上記下流部に向かって追われるように幾何学的に形作られているインク分配部材を提供する。
【0036】
インクからLCP成型品の小さな水路へとガス発生が生じることで、印刷物に容易に視認できるアーチファクトが生じ得る。気泡を下流側インク配管へと引き込むために毛管または他の手段を使用する異形の水路を有するインク分配部材を使用することは、プリントヘッドICへの気泡の混入を最小限にする役に立つ。また、より大きなインク気泡を含んでいる水路がより小さなインク気泡を含んでいる水路よりも優先的に満たされるように促進することで、プライミングがより一様に生じるようにするために使用することができる。
【0037】
好ましくは、インク水路は、少なくとも1つの断面寸法が上記下流部から上記上流部の始まりに向かって先細りであるように幾何学的に形作られる。
【0038】
好ましくは、インク水路が、毛管作用によって気泡を上記上流部から上記下流部へと追い立てるように幾何学的に形作られる。
【0039】
好ましくは、上記上流部が上記下流部よりも短い。
【0040】
好ましくは、インク水路は、気泡が上記開口を過ぎて上記下流部へと引き込まれるように形作られる。
【0041】
好ましくは、インク分配部材は、LCP成型品である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
次に、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しつつあくまで例として説明する。
【0043】
従来技術の形式の流体アーキテクチャを使用するプリンタは、現在係属中の米国特許出願11/014769(当方事件番号:RRC001US)の開示によって例示される。背景として、このプリンタ設計からのプリントヘッドアセンブリを、本発明の実施形態に先立って説明する。
【0044】
プリントヘッドアセンブリ
図1〜4に示されているプリントヘッドアセンブリ22は、出口成型品27からインクを受け取るべく本体20の下面に取り付けられるようになっている(上記の米国特許出願11/014769(当方事件番号:RRC001US)の図10を参照)。
【0045】
プリントヘッドアセンブリ22は、一般に、柱26の間で本体20の真下を延びるように構成された細長い上部部材62を備えている。U字形のクリップ63が、上部部材62から突き出している。これらクリップ63が、剛板34に設けられたリセス37を通過し、プリントヘッドアセンブリ22を固定すべく本体20に形成されたラグ(図示されていない)によって捕捉される。
【0046】
上部部材62は、プリントヘッドアセンブリ22が本体20へと固定されたときに出口成型品27の出口に受け入れられる複数の供給チューブ64を有している。供給チューブ64に、インクの漏れを防ぐための外側コーティングを設けてもよい。
【0047】
上部部材62は、いくつかの利点を提供する液晶ポリマー(LCP)から製作される。熱膨張係数(CTE)がシリコンの熱膨張係数に類似するように成型することが可能である。プリントヘッド集積回路74(後述)および下方に位置する成型品のCTEが大きく相違すると、全体としての構造にたわみが生じ得ることを、理解できる。しかしながら、成型方向におけるLCPのCTEは、非成型方向にくらべてはるかに小さい(約20ppm/℃に比べて約5ppm/℃)ため、LCP成型品の成型方向が確実にプリントヘッド集積回路(IC)74の長手方向の広がりと同じ方向になるように、注意を払わなければならない。さらに、LCPは、ポリカーボネート、スチレン、ナイロン、PET、およびポリプロピレンなどといった「通常のプラスチック」の典型的には5倍の弾性率を持つ比較的高い剛性を有している。
【0048】
図2にもっともよく示されているとおり、上部部材62は、下部部材65(接着フィルム66によって上部部材62へと貼り付けられる)を受け入れるための開放チャネルの構成を有している。下部部材65は、やはりLCPから製作されており、下部部材65の長さに沿って形成された複数のインクチャネル67を有している。それぞれのインクチャネル67が、供給チューブ64のうちの1つからインクを受け取り、プリントヘッドアセンブリ22の全長にわたってインクを分配する。チャネルの幅は1mmであり、厚さ0.75mmの壁によって隔てられている。
【0049】
図示の実施形態においては、下部部材65が、下部部材65の長さに沿って延びる5つのチャネル67を有している。それぞれのチャネル67が、5つの供給チューブ64のうちのただ1つからインクを受け取り、それぞれの供給チューブ64は、異なる色のインクが混ざり合う恐れを少なくするため、インク貯蔵モジュール45(上記の米国特許出願11/014769(当方事件番号:RRC001US)の図10を参照)のうちの1つからインクを受け取る。この点に関し、接着フィルム66も、下部部材65が上部部材62へと組み付けられたときに、チャネル間のインクの混合を防止すべく個々のインクチャネル67をシールするように機能する。
【0050】
各チャネル67の底部には、等間隔の一連の穴69(図3に最もよく見て取ることができる)が存在し、下部部材65の底面に5列の穴69をもたらしている。中央の穴69の列が、プリントヘッドIC74の直上で下部部材65の中心線に沿って延びている。図8に最もよく見て取ることができるとおり、中央の列の各側に位置する他の穴69の列は、インクをプリントヘッドIC74へと供給することができるよう、それぞれの穴69から中央までの水路70を必要とする。
【0051】
図4を参照すると、プリントヘッドIC74が、ポリマーシールフィルム71によって下部部材65の下面に取り付けられている。このフィルムは、PETまたはポリスルホンフィルムなどの熱可塑性フィルムであってよく、あるいはAL technologiesおよびRogers Corporationによって製造されている熱硬化性フィルムなど、熱硬化性フィルムの形態であってよい。ポリマーシールフィルム71は、中央のフィルムの両側に接着層を有する積層体であり、下部部材65の下面へと重ねられている。図3、8、および9に示されているとおり、複数の穴72が、プリントヘッドIC74とチャネル67間の流体の連通のために中央に配置されたインク送出点(中央の穴69の列および水路70の端部)に一致するように接着フィルム71を貫いてレーザ穿孔されている。
【0052】
ポリマーシールフィルム71の厚さが、ポリマーシールフィルム71によってもたらされるインクシールの有効性にとって重要である。図7および8に最もよく見て取ることができるとおり、ポリマーシールフィルムが、プリントヘッドIC74の背面にエッチングされたチャネル77ならびにフィルムの反対側の水路70をシールしている。しかしながら、フィルム71は、水路70の開放端を横切ってシールを行っているため、水路内へと張り出し、あるいは垂れ下がる可能性もある。水路70へと垂れ下がるフィルムの部位が、プリントヘッドIC74にエッチングされたいくつかのチャネル77を横切って広がっている。この垂れ下がりが、エッチングによるチャネル77のそれぞれを隔てている壁の間にすき間を生じさせる可能性がある。当然ながら、これによってシールが失われ、インクがプリントヘッドIC74から漏れ出し、さらには/あるいはエッチングによるチャネル77の間で漏れる可能性がある。
【0053】
これを防止するために、ポリマーシールフィルム71は、エッチングによるチャネル77のシールを維持しつつ、水路70への垂れ下がりを補償するために、充分に厚くなければならない。ポリマーシールフィルム71の最小厚さは、下記に依存して決まる。
【0054】
1.ポリマーシールフィルム71の垂れ下がり先である水路の幅
2.フィルムの積層構造の接着層の厚さ
3.プリントヘッドIC74が押し込まれるときの接着層の「剛性」
4.積層体の中央のフィルム材料の弾性率
25ミクロンというポリマーシールフィルム71の厚さが、図示のプリントヘッドアセンブリ22にとって適切である。しかしながら、50、100、さらには200ミクロンへと厚さを増すと、もたらされるシールの信頼性も、それに従って向上する。
【0055】
インク配送用導入口73が、プリントヘッドIC74の「前」面に形成されている。導入口73が、導入口に配置されたそれぞれのノズル(上記の米国特許出願11/014769(当方事件番号:RRC001US)の図23〜36に記載されている)へとインクを供給する。インクは、個々の導入口73のすべてへと供給されるように、ICへと届けられなければならない。したがって、個々のプリントヘッドIC74の導入口73が、インクの供給の複雑さおよび配線の複雑さを低減すべく物理的にまとめられる。また、電力の消費を最小限にするため、およびさまざまな印刷速度を可能にするため、論理的にもまとめられる。
【0056】
それぞれのプリントヘッドIC74は、5つの異なる色のインク(C、M、Y、K、およびIR)を受け取って印刷するように構成され、各色ごとに1280個のインク導入口を含んでおり、これらのノズルが偶数番目および奇数番目のノズル(それぞれ640個)へと分割されている。各色の偶数番目および奇数番目のノズルは、プリントヘッドIC74上の異なる列に設けられており、真の1600dpiの印刷を実行すべく縦に整列しており、すなわち図5に明確に示されているとおり、ノズル801が10列に配置されている。1つの列において隣り合う2つのノズル801の間の水平距離は、31.75ミクロンである。一方、ノズル列の間の垂直距離は、ノズルの噴射順序にもとづくが、列は、典型的には、[ドット線の正確な数]+[列の噴射の間に用紙が移動する距離に対応するドット線の分数]によって隔てられている。また、所与の色のための偶数番目および奇数番目のノズルの列の間隔は、後述のようにインクチャネルを共有できるような間隔でなければならない。
【0057】
すでに示唆されているとおり、本発明はページ幅印刷に関するものであり、したがってプリントヘッドIC74が、プリントヘッドアセンブリ22の全幅を横切って水平方向に延びている。これを達成するため、個々のプリントヘッドIC74が、図2および3に示されるとおり、接着層71の表面を横断して当接の関係で一体に連結されている。プリントヘッドIC74を、ICを接着層の融点を上回って加熱し、次いでシールフィルム71へと押し付けることによってポリマーシールフィルム71へと取り付けることができ、あるいはICの下方の接着層をICをフィルムへと押し付ける前にレーザで融解させることによって取り付けることができる。他の選択肢は、ICをフィルム71へと押し付ける前に、ICの加熱(接着剤の融点を超えない)および接着層の加熱の両方を行うことである。
【0058】
個々のプリントヘッドIC74の長さは、おおよそ20〜22mmである。A4/USレターサイズのページを印刷するために、11または12個の個々のプリントヘッドIC74が連続的に連結される。個々のプリントヘッドIC74の数を、他の幅の用紙に対応すべく変更することができる。
【0059】
プリントヘッドIC74を、様々なやり方で連結することができる。IC74を連結するための1つの特定のやり方が、図6に示されている。この構成においては、IC74の端部が、連結によって隣り合うIC間に垂直方向のオフセットが存在しないICの水平線が形成されるように形作られている。実質的に45°の角度を有する斜めの接合部が、IC間に設けられている。接続縁は真っ直ぐではなく、位置合わせを容易にするための鋸歯形状を有しており、IC74は、約11ミクロン(接続縁に垂直に測定)だけ離間して位置するように意図されている。この構成において、各列の最も左側のインク送出ノズル73は、線ピッチ10個分ずつ下げられ、三角形の構成に配置されている。この構成は、接合部に或る程度のノズルの重なり合いをもたらし、ノズルのピッチを維持して、インクの液滴が印刷領域に沿って一貫して届けられるように保証している。また、この構成は、充分な連結を保証すべくIC74の縁により多くのシリコンがもたらされるように保証している。ノズルの動作の制御が、SoPEC装置(上記の米国特許出願11/014769(当方事件番号:RRC001US)で後述)によって実行される一方で、ノズルの補償は、記憶装置の要件に応じて、プリントヘッドにおいて実行することができ、あるいはやはりSoPEC装置によって実行することができる。この点に関し、IC74の一端においてノズルの三角形配置を下げて配置することで、プリントヘッド上の記憶装置の要件が最小限となることを理解できるであろう。しかしながら、記憶装置の要件があまり重要でない場合には、三角形以外の形状も使用可能であり、例えば下げられた列が、台形の形状をとってもよい。
【0060】
プリントヘッドICの上面は、プリントヘッドICの縁に沿って設けられたいくつかの接続パッド75を有している。これらの接続パッド75が、SoPEC装置からノズル73の動作を制御するためのデータおよび/または電力を受け取るための手段をもたらしている。さらに、IC74が接着層71に形成された穴72に正確に整列するよう、接着層71の表面へのIC74の正しい配置およびIC74の整列を容易にするために、IC74の表面に基準76が設けられている。基準76は、隣のICおよび接着層71の表面に対するIC74の真の位置を知らせるために、適切な位置決め設備によって容易に認識できるマーカの形態であり、戦略的にIC74の縁に配置され、接着層71の全長にわたって配置されている。
【0061】
ポリマーシールフィルム71に形成された穴72からインクを受け取ってインク導入口73へと分配するために、それぞれのプリントヘッドIC74の下面は、図7に示すとおりに構成されている。いくつかのチャネル77がエッチングによって設けられており、それぞれのチャネル77が、1つの特定の色または種類のインクを届けるために専用に、導入口73の1対の列との間で流体が流れるよう連通している。チャネル77は、約80ミクロンの幅(ポリマーシールフィルム71の穴72の幅と同等)であり、IC74の全長にわたって延びている。チャネル77は、シリコンの壁78によってセクションへと分割されている。導入口73までの流路を短くし、個々のノズルのインクの欠乏の可能性を少なくするため、各セクションに直接的にインクが供給される。この点に関し、それぞれのセクションが、およそ128個のノズル801について各ノズルの導入口73を介して供給を行う。
【0062】
図9が、どのようにしてインクがノズル73への供給のためにIC74の下面に形成されたエッチングによるチャネル77へと送られるのかを、さらに分かり易く示している。図示のとおり、ポリマーシールフィルム71を貫いて形成された穴72が、シリコン壁78がチャネル77をセクションへと分割している地点において、チャネル77のうちの1つに整列している。穴72は、1つの穴72がチャネル77の2つのセクションへとインクを供給するよう、チャネル77の幅と実質的に同じ約80ミクロンの幅である。これにより、ポリマーシールフィルム71において必要とされる穴72の密度が半分になることを、理解できるであろう。
【0063】
それぞれのプリントヘッドIC74をポリマーシールフィルム71の表面へと配置して整列させた後で、可撓PCB79(図4を参照)が、ノズルの制御および動作のために接続パッド75へと制御信号および電力を供給できるよう、IC74の縁に沿って取り付けられる。図1にさらに分かり易く示されているように、可撓PCB79は、プリントヘッドアセンブリ22から延びてプリントヘッドアセンブリ22の周囲に折り曲げられている。
【0064】
さらに、可撓PCB79は、受信される電力およびデータ信号を制御するために、複数の減結合キャパシタ81を可撓PCB79の長さに沿って配置して有することができる。図2に最もよく示されているとおり、可撓PCB79は、クレードルユニット12の制御回路から電力および/またはデータ信号を受け取るために、可撓PCB79の長さに沿って形成された複数の電気接点180を有している。また、複数の穴80が、可撓PCB79の遠位縁に沿って形成され、可撓PCBを本体20の剛板34のフランジ部40へと取り付けるための手段をもたらしている。可撓PCB79の電気接点とクレードルユニット12の電力およびデータ接点との接触の様相は、後述される。
【0065】
図4に示されているとおり、媒体シールド82が、通過する媒体との接触に起因して生じ得る損傷からプリントヘッドIC74を保護している。媒体シールド82は、適切なクリップ‐ロック機構または接着剤によって、プリントヘッドIC74の上流において上部部材62へと取り付けられている。このやり方で取り付けられたとき、プリントヘッドIC74は、通過する媒体の経路から外れて、媒体シールド82の表面の下方に位置する。
【0066】
媒体シールド82と上部部材62および下部部材65との間に、空気圧縮機などからの圧縮空気を受け取ることができる空間83が設けられている。この空間83がプリントヘッドアセンブリ22の全長に沿って延びているため、圧縮空気をプリントヘッドアセンブリ22のいずれかの端部から空間56へと供給し、アセンブリに沿って一様に分布させることができる。媒体シールド82の内表面に、一連のフィン84が設けられており、媒体シールド82の全長にわたって一様に分布した複数の空気出口を定めている。圧縮空気が、これらの空気出口を通過し、プリントヘッドIC74を横切るように媒体の送出方向に案内される。この構成は、媒体と一緒に運ばれる塵埃および他の異物のプリントヘッドICの表面への付着(ノズルの閉塞または損傷を引き起こしかねない)を防止するように機能する。
【0067】
能動式のインク流制御システム
本発明は、プリンタの動作寿命において考えられる多数の不都合な状況を矯正するための万能な制御システムをユーザに提供する。さらには、プリントヘッドを、輸送、長期保管、および再使用のために準備することが可能である。また、この制御システムによれば、ユーザがプリントヘッドICのノズルに所望の負圧を設定することが可能である。この制御システムは、上述した従来技術のプリンタ設計について、容易に取り入れることができる変更しか必要としない。
【0068】
プリントヘッドの保守の要件
プリンタの保守システムは、いくつかの要件を満たさなければならない。
【0069】
1.脱水防止(hydration)のためのシール
1.粒子状物質を排除するためのシール
1.脱水防止のための液滴の射出
1.インクのパージのための液滴の射出
1.乾燥したノズルの是正
1.溢れの是正
1.粒子状物質の付着の是正
1.ガス発生(outgassing)の是正
1.色の混ざりの是正
1.デプライム(deprime)の是正
プリンタアセンブリの種々の機構部品が、プリントヘッド保守システムによる対処が必要とされる問題を最小限にするという観点において設計されている。しかしながら、プリンタアセンブリの構成部品の設計でプリントヘッド保守システムに関して生じるすべての問題に対処できると期待することは、現実的でない。脱水防止のためのノズル面のシールおよび粒子状物質の排除のためのノズルのシールに関して、保守システムは、これら2つの要件を達成する外周シール付きのキャップ部材を取り入れることができる。
【0070】
脱水防止のための液滴の射出(あるいは、塗れた液滴の維持)およびインクのパージのための液滴の射出は、印刷エンジンコントローラ(PEC)がプリントヘッド保守システムの全体において或る役割を果たすことを必要とする。
【0071】
粒子状物質の付着については、プリントヘッドの上流に配置されるフィルタを使用することによって対処することができる。しかしながら、小さなサイズのフィルタによって流れが過剰に妨げられることにならないよう、考慮を払わなければならない。フィルタの表面積を増すことによって、プリントヘッドへの適切なインク供給速度を維持することができる。
【0072】
プリントヘッドの溢れの是正は、典型的には、プリントヘッドのノズル面上のインク滴を取り除くために、何らかの種類の吸い取りまたは拭き取り機構を必要とする。プリントヘッドのインク射出面を横切って溢れたインクを取り除くための方法およびシステムが、いずれも2005年10月11日付の我々の以前の米国出願第11/246,707号(「Printhead Maintenance Assembly with Film Transport of Ink」)、第11/246,706号(「Method of Maintaining a Printhead using Film Transport of Ink」)、第11/246,705号(「Method of Removing Ink from a Printhead using Film Transfer」)、および第11/246,708号(「Method of Removing Particulates from a Printhead using Film Transfer」)に記載されている。これらの米国出願のそれぞれの内容は、ここでの言及によって本明細書の一部をなすものとされる。
【0073】
乾いたノズル、ガス発生、色の混合、およびノズルのデプライムは、典型的には強力なインクのパージを必要とするため、是正がより困難である。インクのパージは比較的無駄が多く、キャップ機構にとってインクの除去という問題を引き起こす。やはり、上記引用の米国出願に記載されている機構は、インクの収集およびインク溜めへの輸送の機能を取り入れている。
【0074】
ガス発生は、ミクロン規模の流体の流路を有しているプリントヘッドにとって重大な問題である。ガス発生は、インクに溶けている気体(典型的には、チッ素)が溶液から脱け出して気泡を形成する場合に生じる。これらの気泡が、インク配管にとどまり、場合によってはインク射出チャンバにとどまって、下流のノズルの射出を妨げる可能性がある。
【0075】
図10が、LCP成型品65の下面を示している。水路69が、プリントヘッドIC(図示されていない)の取り付け点と穴69との間を延びている。ガス発生からの気泡100が、上流のインク配管に形成され、下流のプリントヘッドICへと送られる。
【0076】
図11が、ガス発生の気泡によって生じるアーチファクトを示している。気泡100がプリントヘッドICへと送られると、ノズルがデプライムされ、インクではなくて気泡のガスが射出され始める。これが、得られる印刷物において矢じり形のアーチファクト102として現われる。うまくいけば、上流のインクの流れからの圧力によってプリントヘッドICの気泡が最終的に解消され、アーチファクトは消える。しかしながら、気泡100が、水路の不連続部に付着する傾向を有する可能性がある。プリントヘッドICのチャネル77を横切るシリコン壁78(図9を参照)などといった不連続部が、いくらかの気泡を捕捉して、このチャネル77の端部から供給を受けるノズルにとって、インクの閉塞を実質的に形成する傾向にある。これらは、通常は、矢じり形のアーチファクト102の底部の角から延びる筋状のアーチファクト104をもたらす。これらの気泡が印刷を続けても解消されず、アーチファクトが永続し、あるいはインクによる冷却を欠いてノズルが焼損し得るという重大な危険が存在する。
【0077】
部品の設計を利用するだけでは対処の難しいもう1つの問題が、色の混ざり合いである。色の混ざり合いは、或る色のインクが、ノズル板の面を介して別の色のインクとの流通を確立した場合に生じる。1つのインクローンからのインクが、各配管の流体の圧力がわずかに異なることによって、浸透圧の相違によって、さらには単純な拡散によって、別の色のインクローンへと駆動され得る。
【0078】
ノズル板のキャップおよび払拭によって、ノズル間に流体の流路を生じさせる粒子状物質の大部分は取り除かれる。しかしながら、高いノズル密度を有するプリントヘッドICにおいては、プリンタを数時間または一晩のあいだ休止させておくとき、ただ1片の紙ぼこりまたは薄い表面の膜だけで、色の混合が大いに生じてしまう。
【0079】
プリントヘッドの保守の問題を引き起こす要因に対処するために、本発明は、プリントヘッドアセンブリの構成部品の設計に大きく依存するのではなく、問題が生じたときに是正を行うためのプリントヘッド保守の仕組みのための能動式の制御システムを使用する。
【0080】
図12Aおよび12Bは、図1〜11に示したプリントヘッドのための流体アーキテクチャの概念図である。異なるインク色が、LCP成型品のチャネル67へと供給され、穴69を介し、プリントヘッドIC74につながるより小さな水路70へと供給される。図12Dに最もよく見て取ることができるとおり、このアーキテクチャでは、インクの配管がプリントヘッドIC74を終端としている。したがって、プリントヘッドIC74におけるインクの流れの状況を変えようとする試みは、上流での介入によって行われる必要がある。
【0081】
図13Aおよび13Bが、プリントヘッドIC74がインク配管の終端ではない流体インクアーキテクチャを示している。LCP成型品の小さな水路70が、プリントヘッドIC74への供給の穴を終端とするのではなく、LCP成型品の下流側チャネル106への供給穴110につながる下流側チャネル108へと続いている。このやり方で、インク配管の気泡をプリントヘッドIC74を通ってパージする必要がない。代わりに、気泡は、下流側のインク水路108を好んで、プリントヘッドIC74を完全にバイパスする。
【0082】
図13Bに示されているように、プリントヘッドIC74の上流のインク配管は、ポンプ114を有しており、下流側のインク配管も、同様にポンプ116を有している。これにより、広くはインク配管、特にはプリントヘッドIC74に所望の流れの状況を生み出すために、はるかに高い柔軟性を有する制御システムがもたらされる。
【0083】
下流側のポンプ116は、インク溜め118へと供給を行い、これは、このシステムの流体アーキテクチャが、図12Aおよび12Bに示したアーキテクチャよりも多くのインクを無駄にすることを浮き彫りにしている。
【0084】
図14は、LCP成型品、ポリマーシールフィルム21、およびプリントヘッドIC74の概略の断面図である。LCPチャネル67から上流側の水路70に至り、プリントヘッドIC74への導入口72(図9を参照)を過ぎて下流側のインク水路108へと至り、下流側のLCPチャネル106へと送られるインクの流れが示されている。上流側の水路17および下流側の水路108が、実質的にただ1つの水路120であることを理解できるであろう。
【0085】
図15A、15B、および15Cが、インク配管に不可避的に存在する気泡の位置をよりよく制御するために、水路120の壁をどのように形作ることができるかを示している。図15Aは、上流側のLCPチャネル67と下流側のLCPチャネル106との間でインクを送る2つの水路120を示しており、両方の水路において、インクの流れに気泡が混入している。しかしながら、左方の水路120の気泡126は、右方の水路の気泡124よりも有意に小さい。上流側の水路70をプリントヘッドICから上流側のLCPチャネル67に向かって先細りにすることで、気泡124は、その表面により高い曲率半径122の部位を有することになる。小さい方の気泡126は、比較的大きな曲率半径128を有する。122におけるより高度な曲率が、右方のインク水路120の上流端70を下ってインクを引き込むより強力な毛管力を生じさせる。
【0086】
図15Bに示されるとおり、インク水路120の側面の形状が、プリントヘッドIC74がより一様にプライムおよびデプライムされるよう、気泡の混入126および124を一様なサイズにしようとする傾向を有している。
【0087】
図15Cに示されるとおり、インク水路120の形状を、射出ノズルおよびチャンバにおける気泡の混入の量を最小限にすべく、プリントヘッドIC74を過ぎてインクの気泡100を移動させるために使用することができる。インク水路120の側面を下流側のLCPチャネル106から上流側のLCPチャネル67へと先細りにすることで、気泡100が、下流側の端部において上流側の端部128よりも小さな曲率半径122を有する傾向になる。表面張力および毛管現象ゆえ、気泡100が下流側のLCPチャネル106に向かって付勢され、プリントヘッドIC74への導入口にとどまろうとしなくなる。プリントヘッドIC74は、少量の気泡100を吸い込むかもしれないが、図12Aおよび12Bに示したアーキテクチャと異なり、気泡のすべてを吐き出すように強いられることはない。
【0088】
次に、制御システムの万能性を、図16〜21を参照して説明する。図16に示されているように、上流側および下流側のポンプ114および116の両者は、並列なバイパス配管に遮断バルブ(それぞれ113および132)を有している。流体システムをプリントヘッドIC74の背後までインクでプライミングするために、コントローラが、両方の遮断バルブ113および132を「閉鎖」に設定する。上流側のポンプ114が、上流側のLCPチャネル67を通り、水路120の上流側の端部を下ってインクを押し込む。下流側のポンプ116は、わずかに高い速度で駆動される。典型的には、上流側のポンプ114よりもおよそ20%だけ大きな能力にて駆動される。上流側のポンプが下流側のポンプよりも小さな能力を有しているため、流量の差が、プリントヘッドIC74を通って吸い込まれる空気によって埋め合わせされる。これにより、流体アーキテクチャがプリントヘッドIC74の背後までインクでプライミングされ、すべての気泡の混入が上流側のLCPチャネル67および上流側の水路70から取り除かれることが保証される。
【0089】
図17は、プリントヘッドIC74の下流のアーキテクチャをデプライミングするためのシステムの設定を示している。両方の遮断バルブ113および132が閉じられる一方で、上流側のポンプが停止される。停止しているポンプは、実質的に閉じた遮断バルブとして機能する。これは、インク配管の上流端が、インクの供給に関して閉められたことを意味する。一方で、下流側のポンプ116は、水路120の下流側の端部108および下流側のLCPチャネル106からインクをゆっくりと吸い出す。最終的に、下流側のポンプ116は、単にプリントヘッドIC74を通って空気のみを引き込む。この設定は、システムのプリントヘッドIC74の下流側のデプライミングを保証する。
【0090】
図18は、プリントヘッドIC74の上流の流体アーキテクチャをデプライミングするためのシステムの設定を示している。この設定においては、上流側の遮断バルブ130が閉じられ、上流側のポンプが逆方向に運転される。一方で、下流側の遮断バルブ132は開かれ、下流側のポンプ116は停止される。上流側のポンプ114が、インクを上流側の配管70および67を通ってカートリッジ(図示されていない)に向かって吸い戻す。開いた遮断バルブ132が、インク配管106および108の下流端のインクの一部を許す。しかしながら、最終的には、上流側のポンプ114は、プリントヘッドIC74から上流側の水路70および67を通って空気のみを引き込む。
【0091】
図19は、プリントヘッドIC74に所望の負圧を生成するためのシステムの設定を示している。プリントヘッドICのノズルに負の静水圧を持たせる利点は、上記で引用した2004年12月20日に出願された米国特許出願11/014769(事件番号:RRC001US)において詳しく検討されている。上流および下流の両方の遮断バルブ113および132が開かれる。しかしながら、上流側のポンプ114は停止され、閉じた遮断バルブとして機能する。プリントヘッドIC74の下流では、下流側のポンプ116が比較的ゆっくりと運転される。遮断バルブ132が開いているため、下流のバルブ116が、ポンプから下流側の遮断バルブ132を通って循環してポンプ116へと戻る流れを生成する。上流側の遮断バルブ130が開いているため、下流側の水路108および106から少量のインクが、ベンチュリ効果によってインクの循環ループへと吸い込まれる。流れの維持のため、少量のインクがインク溜めへと流れ出る。
【0092】
循環するインクによるベンチュリ効果によって、下流側の水路108および106の静水圧が低下するため、プリントヘッドIC74における静水圧もやはり低下する。
【0093】
図20を参照し、インクの流通または「パージ」のための設定を示す。上流側の遮断バルブ130が閉じられる一方で、上流側のポンプ114が運転され、上流側の水路67および70にインクを供給する。下流側の遮断バルブ132が開かれる一方で、下流側のポンプ116は停止され、したがって流体システムの該当の分岐を閉鎖する。この設定は、インクを供給源から直接的に引き込み、インク溜めへと供給する。これは、或る程度のインクの無駄を伴うが、ガス発生によって生じる気泡をアーキテクチャの全体からパージする。
【0094】
図21は、プリントヘッドIC74をパージするために必要とされる設定を示している。この設定においては、下流側のポンプ116および下流側の遮断バルブ132が停止および閉鎖される。これは、実質的に、プリントヘッドIC74の下流に流れの妨げを生成する。プリントヘッドICの上流において、上流側のポンプ114が運転されるが、上流側の遮断バルブ130は閉じられる。これにより、ノズル面の表面において滴となって集まるまで、インクがプリントヘッドICのノズルから押し出される。ここから、このパージされたインクを、上記で引用した現在係属中の2005年10月11日に出願された米国特許出願11/246707(当方事件番号:FNE001US)に記載されているような機構を用いて、インク溜めへと収集および運搬することができる。
【0095】
この流体アーキテクチャによる能動式の制御システムは、ユーザがアーチファクトに気が付いたときにいつでもプリントヘッドを回復させることができる多目的な動作範囲を提供する。また、製造者がプリントヘッドICをデプライミングして出荷し、ユーザが最初の始動時にプリントヘッドICをプライミングすることができる。例えば、プリントヘッドの最終の印刷テストの後で、アセンブリが乾燥状態とされて出荷される。制御システムが、プリントヘッドIC74の上流側をデプライミングし、次いで下流側をデプライミングするために使用される。
【0096】
始動時に、図16に示した設定が上流側をプライミングするために使用され、次いで図20の設定が、コンディションを通過する流れを生成し、その後に図19の設定が、プリントヘッドICに負圧を確立する。印刷の際、図19の設定が、プリントヘッドのノズルに所望の負圧の状態を維持することができる。
【0097】
ノズルの乾燥または浸透による色の混ざりを是正するため、ユーザは下流側をデプライミングし、次いで上流側をプライミングし、その後に負圧を確立させることができる。
【0098】
インク配管におけるガス発生に対処するために、ユーザは、図20に示したとおり流通パージを行うことができる。
【0099】
プリントヘッドICの外側の何らかの汚染またはインク配管内のインクの汚染を取り除くために、制御システムは、図21に示すとおりプリントヘッドを溢れさせ、その後に図19に示すとおり再び負圧を確立させることができる。
【0100】
印刷ジョブの終わりにおいて、制御システムを、キャップ装置がプリントヘッドICの周囲に外周シールを配置する前に、プリントヘッドICの下流側を自動的にデプライミングするように設定することができる。
【0101】
上流および下流のポンプ114および116を、蠕動ポンプによってもたらすことが可能である。上記で引用した米国特許出願11/014769(当方事件番号:RRC001US)に示されている形式のプリンタにおいては、蠕動ポンプが、10マイクロリットルという容積の分解能を有している。これは、適切な寸法の蠕動チューブ上での約5mmの行程に一致する。これらの仕様は、約3ミリリットル/分という最大流量をもたらし、得られる流れにおける脈動はきわめて小さい。
【0102】
バルブは、好ましくは、容積ゼロであり、漏れゼロであり、迅速かつ容易に動作させることができなくてはならない。この分野の当業者であれば、これらの要件を満たすバルブ機構の範囲を容易に特定できるであろう。
【0103】
ポンプが1つだけの実施例
図22が、ポンプが1つだけである流体制御システムの第1の実施例を示している。この実施例は、インクの流れをプリントヘッドIC74を過ぎて最終的にインク溜め118へと導くために、4つの遮断バルブ134、135、136、および137を使用する。下記の表1に、このアーキテクチャにおいて種々の制御状態をもたらすためのバルブおよびポンプのそれぞれの動作状態が示されている。ポンプの状態を示している列において、「下り」は、蠕動ポンプ114がインクの流れを図22に示されているとおり下流へと駆動していることを示しており、「上り」は、図22について見たときの上方向へのインクの流れを示している。
【0104】
表1:ただ1つのポンプ/4つのバルブの実施例
【表1】


図23は、ポンプが1つだけである第2の実施例を示しており、この実施例は、上述の実施例において可能なすべての制御状態を達成するために、2つのバルブしか使用しない。しかしながら、この実施例においては、バルブ138および140が3方弁であり、したがってわずかにより高価な構成部品である。
【0105】
下記の表2が、ポンプが2つである実施例によって達成される流れの状態を実現するためのシステムの構成部品のそれぞれの動作状態を示している。
【0106】
表2:ただ1つのポンプ/2つのバルブの実施例
【表2】


図24は、ポンプがただ1つである第3の実施例を示しており、流体アーキテクチャがさらに簡素化されている。ただ1つのインク配管だけが図示されており、カラープリンタが各色のインクのために別個の配管(当然ながら、別個のインクタンク112も)を有することを理解できるであろう。図24に示されるとおり、このアーキテクチャは、LCP成型品164の下流にただ1つのポンプ114を有し、LCP成型品の上流に遮断バルブ138を有している。LCP成型品は、接着ポリマーフィルム71(図2を参照)を介してプリントヘッドIC74を支持している。遮断バルブ138が、プリンタがオフであるときは常に、インクタンク112のインクをプリントヘッドIC74から切り離している。これは、プリントヘッドIC74における色の混ざり合いが停止期間の間にインクタンク112へと達することがないようにしている。これらの問題については、図29および30に示した遮断バルブを参照してさらに詳しく後述する。
【0107】
インクタンク112は、ノズルにおけるインクに比較的一定の負の静水圧を維持するために、通気の泡立ち点圧力調節器200を有している。インクリザーバ内の泡立ち点圧力調節器は、ここでの言及によって本明細書の一部をなすものとされる現在係属中の2006年12月18日に出願された米国特許出願11/640355号(当方事件番号RMC007US)に包括的に記載されている。しかしながら、この記載の目的のため、調節器202は、タンク112のインクに沈められ、空気導入口206へと延びるシール付きの導管204によって大気へと通気された気泡出口202として示されている。プリントヘッドIC74がインクを消費するにつれ、タンク112内の圧力が低下し、気泡出口202における圧力差によって空気がタンクへと吸い込まれる。この空気が、インク内に気泡を形成し、タンクのヘッドスペースへと上昇する。この圧力差は、泡立ち点圧力であり、気泡出口202の直径(または、最小寸法)および空気の進入に抵抗している出口におけるインクメニスカスのラプラス圧力に依存する。
【0108】
泡立ち点調節器は、出口の静水圧を実質的に一定(空気の凸状メニスカスが気泡を形成してインクタンクのヘッドスペースへと上昇するときにわずかな変動が存在する)に保つべく、沈められた気泡出口202において気泡を生成するために必要な泡立ち点圧力を使用する。出口における静水圧が泡立ち点にあるならば、インクタンク内の静水圧の推移も、どれだけのインクがタンクから消費されたかにかかわらず既知である。タンク内のインクの表面における圧力は、インクの水位が出口へと低下するにつれて、泡立ち点圧力に向かって減少する。当然ながら、ひとたび出口202が露出されると、ヘッドスペースが大気へと通気され、負圧が失われる。インクの水位が気泡出口202に達する前に、インクタンクを再び満たすか、あるいは交換(カートリッジである場合)しなければならない。
【0109】
インクタンク112は、再充填が可能な固定のリザーバであってよく、交換式のカートリッジであってよく、あるいは(援用される米国特許出願11/014769(当方事件番号RRC001US)に開示されているような)再充填可能なカートリッジであってよい。粒子状物質による汚染に対する防護のために、インクタンク112の出口162は、フィルタ160を有している。このシステムにおいて、少量の逆流も想定されるため、一部のプリンタは、プリントヘッドIC74の下流にも同様にフィルタを取り入れることができる。しかしながら、フィルタの寿命は有限であるため、単純にインクカートリッジを交換することによって古いフィルタが交換されることが、ユーザにとってとくに好都合である。上流側および/または下流側のフィルタが、別途の消耗品であるならば、定期的な交換は、ユーザの勤勉さに依存する。
【0110】
気泡出口202が泡立ち点圧力にあり、遮断バルブ138が開かれているとき、ノズルにおける静水圧も、一定かつ大気圧未満である。しかしながら、遮断バルブ138が或る時間期間にわたって閉じられると、ガス発生の気泡がLCP成型品164またはプリントヘッドIC74において形成され、ノズルにおける圧力を変化させる可能性がある。同様に、1日の間の温度変化からの気泡の膨脹および収縮が、遮断バルブ138の下流のインク配管67の圧力を変化させる可能性がある。同様に、非動作の期間の間に、溶けていた気体が溶液から出てくることによってインクタンクの圧力が変化する可能性がある。
【0111】
LCP164からポンプ114につながる下流側のインク配管106は、ポンプの電子コントローラ154へと接続されたインクセンサ152を備えることができる。センサ152は、下流側のインク配管106にインクが存在するか否かを検出する。あるいは、システムにおいてセンサ152を省略し、ポンプ114を、種々の動作のそれぞれについて適当な時間期間にわたって動作するように構成することができる。これは、インクの無駄が増えるため、動作コストに悪影響を及ぼすかもしれない。
【0112】
ポンプ114は、インク溜め184へと供給を行う(ポンプが順方向に動作しているとき)。インク溜め184は、プリンタにおいてプリントヘッドIC74よりも高くないように物理的に配置されている。これにより、待機の期間の間、下流側のインク配管106内のインクの列がLCP164から「垂れ下がる」ことができ、プリントヘッドIC74に負の静水圧を生み出すことができる。ノズルにおける負の圧力が、インクのメニスカスを内側へと引っ張り、色の混ざり合いを防止する。当然ながら、蠕動ポンプ114を、LCP164とインク溜め184のインク出口との間に流体の連通が存在するよう、開いた状態に停止させる必要がある。
【0113】
上述のように、非動作の期間の間に、異なる色のインク配管の間に圧力の差が生じる可能性がある。さらに、ノズル板の表面に紙ぼこりまたは他の粒子状物質が存在することで、インクが或るノズルから別のノズルへと滲む可能性がある。それぞれのインク配管の間のわずかな圧力差によって駆動され、プリンタが動作していないときに色の混ざり合いが生じる可能性がある。遮断バルブ138が、色の混ざり合いがインクタンク112まで広がることがないよう、インクタンク112をプリントヘッドIC74のノズルから絶縁する。ひとたびタンク内のインクが別の色で汚染されてしまうと、回復は不可能であり、交換が必要である。これを、バルブの上流側および下流側の間の圧力差がきわめて小さい場合にシールの完全性を維持できるという遮断バルブの能力に関して、以下でさらに説明する。
【0114】
キャップ装置150は、プリントヘッドIC74の脱水の防止ならびに紙ぼこりおよび他の粒子状物質からのノズル板の保護のために、待機期間のあいだノズルをシールするプリントヘッド保守ステーションである。さらに、キャップ装置150は、乾いたインクおよび他の汚染物質を取り除くためにノズル板を拭くように構成されている。プリントヘッドIC74の脱水は、インクの溶媒(典型的には、水)が蒸発して、インクの粘度が高くなる場合に生じる。インクの粘度が高すぎると、インク射出アクチュエータが、インク液滴の射ち出しに失敗する。万が一にキャップ装置によるシールが損なわれると、電源オフまたは待機の期間の後にプリンタを再び動作させるときに、脱水したノズルが問題となる可能性がある。
【0115】
上述の問題は、プリンタの動作の寿命において珍しいものではないが、図24に示した比較的単純な流体アーキテクチャによって効果的に是正することが可能である。また、ユーザが、簡単なトラブル解決手順を使用して、最初にプリンタをプライミングし、プリンタを移動させる前にデプライミングし、あるいはプリンタを既知の印刷準備完了状態へと復帰させることができる。これらの状況のいくつかの例を下記に示す。
【0116】
最初のプライミング
プリントヘッド(または、完全に組み立てられたプリンタ)は、インクのない状態で出荷される。設置後の新品の乾いたプリントヘッドのプライミングが、図25Aおよび25Bに示されている。キャップ装置150がプリントヘッドIC74に適用され、遮断バルブ138が最初は閉じられる。図25Aに示されているとおり、上流側のLCPチャネル70または下流側のLCPチャネル108にはインクが存在しない。蠕動ポンプ114のインクセンサ156が、インクの不在をコントローラ154へと知らせる。
【0117】
図25Bを参照すると、遮断バルブ138が開かれ、ポンプ114が順方向(インクタンク112からインク溜め184へ)の送出を行う。インクが、LCP成型品の上流側および下流側チャネル70および108に注入される。インクが、毛管作用によってプリントヘッドIC74へと送られる。多チャネル(各色に1つのチャネル)のポンプ114は、センサ156がすべてのインク配管についてインクの存在を記録したときに停止する。ノズルが、気泡出口202における圧力を泡立ち点圧力へと下げるために、キャップ装置150へと発射を行うことができる。他方で、単純に印刷ジョブを印刷することで、インクタンク112の圧力はすぐに通常の動作圧力へと下げられる。
【0118】
色の混ざり合い
ノズル板が清浄なままであれば、異なるインク配管の間の毛管橋絡は存在しない。多くの場合、キャップ装置150がノズル板を効果的に清浄化するが、紙ぼこりがノズル間でインクを滲ませる場合には、遮断バルブ138がインクタンク112を汚染から保護する。遮断バルブ138の下流での混ざり合いであれば、後述の「待機‐準備」の手順の際に容易に是正が可能である。
【0119】
色の混ざり合いに対する他の防護技法として、ノズルの脱水、ポンプ114の開状態の維持、および希薄な濡れ維持ドットが挙げられる。濡れ維持ドットは、通常は、ノズルの連続する発射の間の期間がデキャップ時間を超える場合に、ノズルの乾燥を防止するために使用される。デキャップは、ノズルからの蒸発によってインクの粘度がもはや発射が不可能な点まで高まるときに生じる。しかしながら、待機の際に発射される希薄かつ頻繁でない濡れ維持ドットが、品質の落ちたインクを、上流の配管に沿ってはるか遠くへと移動し得る前に、ノズルからパージする。
【0120】
待機に先立ってプリントヘッドIC74で意図的に脱水を生じさせることで、インクの粘度が高くなり、したがってノズル板を横切って滲むことができなくなる。単純にインクを温めることで脱水を生じさせることができ、これは、プリントヘッドIC74への発射未満のパルスによって達成可能である。
【0121】
上述のように、蠕動ポンプ114を開状態にすることで、ノズルがインク溜め184の廃インク出口に流通した状態に保たれる。下流側のインク配管106のインクの重量が、ノズルに負の圧力を生み出す。ノズルにおける負の圧力が、ノズル板へとにじみ出る傾向の少ない凹状のメニスカスを生成する。
【0122】
待機から準備へ
図26Aが、待機状態のプリンタを示している。遮断バルブ138が閉じられ、ポンプ114は開かれている。キャップ装置150がプリントヘッドIC74を覆ってシールを行っている。プリンタが比較的短い時間(例えば、一晩)だけ待機状態であった場合、インクに或る程度の脱水が生じているが、おそらくはノズルが乾ききるほどではない。しかしながら、たとえ軽い脱水であっても、インクが視認可能に濃くなる可能性があり、色の混ざり合いが生じている可能性もある。図26Bが、プリントヘッドICの上流のインクをパージするためのシステムの設定を示している。遮断バルブ138が開かれ、ポンプ114が、閉鎖位置(プリントヘッドIC74とインク溜め184との間の流通がない)へと動かされる。次いで、プリントヘッドIC74が、キャップ装置150をパージされるインクを吸い取るべくその場に位置させたままで、液滴の爆発を印刷する必要がある。パージされるインクの量は、プリンタに依存するが、目安として、図1および2に示したプリントヘッドでは、プロセスブラックのページの約10%〜30%相当を印刷する必要がある。
【0123】
プリンタがより長い期間にわたって待機状態にあった場合、プリントヘッドが、プリントヘッドIC74を支持しているLCP成型品まで脱水されることによって、プライミングされることができる。この場合、プリントヘッドICを、発射可能なインクによってプライミングする必要がある。図26Cが、これを達成するためのプロセスを示している。遮断バルブ138を閉じた状態で、ポンプ114が、インクの溢れ158を各IC74のノズル板へと押し出すべく、少量だけ逆方向に駆動される。図26Dに示されるとおり、キャップ装置150が、溢れ158をノズル板を横切って分布させるべくプリントヘッドIC74を拭う一方で、LCP成型品へのインクの戻りを防止すべくノズルが発射される。これがすぐには成功しない場合、すべてのノズルの脱水が回復されるまで、このプロセスを繰り返すことができる。
【0124】
プリントヘッドIC74が脱水から回復されたとき、遮断バルブ138が開かれ(図26Eを参照)、ポンプ114が再び順方向に駆動され、開位置に停止する。プリントヘッドIC74のノズルが、ノズル板を横切ってインクの溢れを拭ったことに起因する色の混ざりが存在しないことを保証するため、最後に一度だけ発射される。
【0125】
電源オフ/プリンタの移動
図27Aおよび27Bが、制御下での(すなわち、ユーザが主電源スイッチをオフにする)電源オフの手順を示している。これは、ユーザがプリンタを移動させ、保管場所等に配置する場合に使用されると考えられる。色の混ざり合いおよび溢れ(移動時の振動に起因する)を防止するために、プリントヘッドIC74がデプライミングされる。図27Aに示されているとおり、遮断バルブ138が閉じられる一方で、キャップ装置150によるプリントヘッドIC74のシールが解除され、ポンプ114がインク溜めへと順方向の送りを行う。
【0126】
図27Bを参照すると、ノズルを通って引き込まれる空気が、プリントヘッドIC74およびポンプ114までの下流側インク配管をデプライミングする。センサ156がインクがない旨を記録したとき、ポンプ114が閉鎖位置に停止し、キャップ装置150がプリントヘッドICをシールする。
【0127】
停電
突然に電力の供給が断たれる場合、遮断バルブ138は閉じるように付勢されている。これは、インクタンクにおける色の混ざり合いを防止する。電源断の時点におけるプリンタの状態に応じて、ポンプ114は、開または閉のいずれの可能性もあり、キャップ装置150は、シールを行っている可能性も、シールを行っていない可能性もある。しかしながら、遮断バルブがインクタンクを保護すべく閉じている限り、他のすべての状況は、電源が回復したときにユーザによって是正可能である。
【0128】
電源オン
図28A〜28Cは、スイッチオフの期間の後にプリンタをオンにするためのプロセスを示している。デプライミングまたは色の混ざりの程度が知られていないため、最悪の場合が仮定され、すなわち混ざり合ったインクがポンプ114まで、遮断バルブ138の下流の全体に存在すると仮定される。これが、図28Aを参照すると、プリントヘッドIC74およびポンプ114までの下流側配管をデプライミングすることによって修正される。遮断バルブ138が閉じられたままである一方で、キャップ装置150によるノズルのシールが解除され、ポンプ114がインク溜めへと順方向にインクを送る。センサ156がインクの不在を読み取ると、図28Bに示されているとおり、キャップ装置150がプリントヘッドIC74を再びシールし、遮断バルブ138が開かれる。図28Cに示されるとおり、プリントヘッドIC74の上流のインクが、ポンプ114へと流される。センサ156がインクの存在を記録すると、遮断バルブが閉じられ、ポンプ114を、ノズルにおける静水圧が大気圧未満となるよう、好ましくは開放状態に停止させることができる。今やプリンタは待機状態にあり、印刷のためには、単純に上述の待機から準備への手順が開始される。
【0129】
デプライムからの回復
プリントヘッドICのうちの1つが動作の最中にデプライム状態になってしまうという可能性の低い出来事においては、ユーザは、(図28Bに示されるとおり)ノズルをキャップ装置でシールし、遮断バルブ138を開き、順方向への送りを行うことによって、この問題に素早く対処することができる。LCP成型品が再びインクで満たされ、これがプリントヘッドICに注入される。
【0130】
溢れの回復
万が一にプリンタが衝撃または振動を受けると、プリントヘッドICにおいてノズル板へとインクが溢れる可能性がある。ユーザは、上述の図26C〜26Eに記載のプロセスを始めることによって、これを是正することができる。
【0131】
完全な色の混ざり合い
印刷された画像から完全な色の混ざり合い(遮断バルブの下流での色の交差汚染)が明らかである場合、ユーザは、図28A〜28Cに示した電源オンの手順に速やかに従うべきである。プリントヘッドICのデプライミング、およびその後の再プライミングは、(インクに関して最も経済的なやり方ではないかもしれないが)プリンタを大部分の不具合状態から回復させ、したがってユーザによって最も頻繁に使用される救済手段であり得る。
【0132】
遮断バルブ
上述のように、インクタンクを色の混ざり合いから保護することは不可欠である。ひとたび供給タンクのインクが汚染されてしまうと、回復は不可能であり、交換が必須である。これを達成するため、遮断バルブ138(図24を参照)は、プリントヘッドIC74へとインクを送るとき、または色の混ざったインクをLCP成型品164から洗い流すときに、開かれるべきである。他の時間は、インクタンク112が、流体に関して絶縁された状態に保たれていなければならない。
【0133】
これに鑑み、遮断バルブ138は、閉状態へと付勢されている必要がある。電力が断たれたならば必ず、インクタンクとプリントヘッドIC74との間の流体の連通が停止されなくてはならない。シールがわずかに損なわれるだけで、長期にわたるプリンタの不動作の間に汚染物がインクタンクへと移動することができるため、バルブにおける流体シールが確実であることが重要である。これは、上流側のインク配管の場合のように、バルブをまたいだ圧力差がきわめて小さい場合に、困難である。大きな圧力差は、可動のバルブ部材をバルブシートに対して押し付け、シールの完全性を助ける傾向を有している。
【0134】
図29および30に示したバルブ138は、各色の上流側インク配管を同時に開閉する。バルブ本体200が、インクタンク(図示されていない)から続く入り口チャネル202を定めている。出口チャネル67が、LCP成型品(図示されていない)へと続いている。アクチュエータアーム204が、操作力206が加えられたときに複数のバルブのためのリフタ208がバルブステム210を持ち上げるように、バルブ本体に枢支されている。
【0135】
図30は、1つのバルブを示している部分断面図である。バルブ部材212が、ダイアフラム214の付勢作用のもとでバルブシート216に当接してシールを行っている。操作力206が、ダイアフラムの付勢に逆らってバルブステム210を持ち上げ、バルブ部材214をシートから離すように作用する。しかしながら、アクチュエータアーム204は第1種のてこであり、したがって操作力206は、ステム210を持ち上げるために機械的な利点を使用している。
【0136】
上述のように、バルブをまたぐ圧力差は小さいが、バルブシート216に対するシールの完全性は、弾性的に変形したダイアフラム214によって維持される。バルブ本体212は、バルブシート216に当接して流体を通さないシールを形成するため、ポリウレタンなどの弾性材料である。しかしながら、バルブステム210は、フランジ付きの金属ピン218を軸方向の凹所220に取り付けて有している。これは、バルブ部材212の(比較的)柔らかい弾性材料を圧縮することによって、バルブリフタ208が単純にステム210の端部から滑り出てしまうことがないように保証している。
【0137】
ダイアフラム214は、バルブが開くときにインク配管の内容積を増加させるというもう1つの重要な利点を有している。ダイアフラム214の比較的大きな表面積が、バルブ部材216から離れて上昇するときにインク配管に吸引を生み出す。上述のように、上流側のインク配管にいくらかの吸引を生成することは、インクタンクを泡立ち点調節器(図24を参照)がプリントヘッドICにおける負圧を制御している圧力へと低下させるうえで助けとなる。
【0138】
ダイアフラムを持ち上げることによってインク配管の静水圧が低下する一方で、バルブを閉じるときにダイアフラムを急激に下降させすぎると、圧力のスパイクが生じる可能性がある。これは、特には蠕動ポンプが閉鎖状態にある場合に、プリントヘッドICのノズル板上に溢れを生じさせる可能性があるため、望ましくない。しかしながら、バルブをゆっくりと閉じることで、インク配管を通ってパルスを送ることが避けられる。ダイアフラムの下降によって生じる内容積の減少は、インクタンクの水位を上昇させることによって吸収される。この点に関し、アクチュエータは、バルブを、バルブを閉じるときよりも高速で開かなければならない。戻りの行程が減速されているソレノイドを使用することができる。他の簡潔なアクチュエータは、形状記憶合金を使用する。ニチノール(商標)ワイヤなどの形状記憶合金は、もとより戻りの行程がゆっくりとなる傾向を有している。加熱電流が、最初のマルテンサイトからオーステナイトへの相変化を駆動する一方で、マルテンサイトへの復帰は、より低速な傾向にある伝導による冷却に拠っている。このゆっくりとした相変化を、プリントヘッドICにおける圧力パルスを回避するために使用することができる。
【0139】
本明細書においては、本発明をあくまで例として説明した。この分野の当業者であれば、幅広い本発明の考え方の精神および範囲から外れることのない多数の変種および変更を、容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】従来技術のプリントヘッドアセンブリの上方からの斜視図である。
【図2】図1に示したプリントヘッドアセンブリの分解図である。
【図3】図1に示したプリントヘッドアセンブリの反対側からの分解図である。
【図4】図1のプリントヘッドアセンブリの断面端面図である。
【図5】図2〜4に示したプリントヘッド集積回路モジュールの三角形状に下げられた端部の部分拡大の斜視図である。
【図6】図2〜5に示した2つのプリントヘッド集積回路モジュールの間の接合部の拡大した斜視図である。
【図7】図5に示したプリントヘッド集積回路の下面の図である。
【図8】図15のプリントヘッドアセンブリの上面透視図であり、特にはインクをプリントヘッド集積回路へと供給するためのインク水路を示している。
【図9】図8の部分拡大図である。
【図10】LCP成型品の水路内の気泡の拡大図である。
【図11】インク配管への気泡の混入によって生じ得るアーチファクトの図である。
【図12A】従来技術の流体システムにおけるLCP成型品およびプリントヘッドICの図である。
【図12B】従来技術の流体システムにおけるインク配管の分岐を示す図である。
【図13A】本発明の流体システムにおけるLCP成型品およびプリントヘッドICの図である。
【図13B】本発明の流体システムにおけるインク配管の分岐を示す図である。
【図14】本発明の流体システムにおけるLCP成型品およびプリントヘッドICの概略の断面図である。
【図15A】受動的な気泡制御のためのLCP水路の形状を示す図である。
【図15B】受動的な気泡制御のためのLCP水路の形状を示す図である。
【図15C】受動的な気泡制御のためのLCP水路の形状を示す図である。
【図16】本発明によってもたらされる能動制御によって可能になる種々の単位動作を示す図である。
【図17】本発明によってもたらされる能動制御によって可能になる種々の単位動作を示す図である。
【図18】本発明によってもたらされる能動制御によって可能になる種々の単位動作を示す図である。
【図19】本発明によってもたらされる能動制御によって可能になる種々の単位動作を示す図である。
【図20】本発明によってもたらされる能動制御によって可能になる種々の単位動作を示す図である。
【図21】本発明によってもたらされる能動制御によって可能になる種々の単位動作を示す図である。
【図22】流体システムについて、ただ1つのポンプ/4つのバルブの実施例を示す図である。
【図23】流体システムについて、ただ1つのポンプ/2つのバルブの実施例を示す図である。
【図24】ポンプが1つである他の流体システムの図である。
【図25A】図24の流体システムについて、最初のプリントヘッドICのプライミングを概略的に示している。
【図25B】図24の流体システムについて、最初のプリントヘッドICのプライミングを概略的に示している。
【図26A】図24の流体システムについて、待機から印刷準備モードへの移行の動作の各段階を概略的に示している。
【図26B】図24の流体システムについて、待機から印刷準備モードへの移行の動作の各段階を概略的に示している。
【図26C】図24の流体システムについて、待機から印刷準備モードへの移行の動作の各段階を概略的に示している。
【図26D】図24の流体システムについて、待機から印刷準備モードへの移行の動作の各段階を概略的に示している。
【図26E】図24の流体システムについて、待機から印刷準備モードへの移行の動作の各段階を概略的に示している。
【図27A】図24の流体システムについて、長期オフモード/プリンタ移動モードへの移行を概略的に示している。
【図27B】図24の流体システムについて、長期オフモード/プリンタ移動モードへの移行を概略的に示している。
【図28A】図24の流体システムについて、長期オフモード/デプライミング状態/色が完全に混ざり合った状態からの回復を概略的に示している。
【図28B】図24の流体システムについて、長期オフモード/デプライミング状態/色が完全に混ざり合った状態からの回復を概略的に示している。
【図28C】図24の流体システムについて、長期オフモード/デプライミング状態/色が完全に混ざり合った状態からの回復を概略的に示している。
【図29】遮断バルブの斜視図である。
【図30】遮断バルブの部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク供給源と、
ノズルのアレイを有しており、上流側インク配管を介して前記インク供給源との間で流体が流れるよう連通しているプリントヘッド集積回路(IC)であって、それぞれのノズルが印刷媒体へとインクの滴を射出するためのそれぞれのアクチュエータを備えている当該プリントヘッドICと、
下流側インク配管を介して前記プリントヘッドICとの間で流体が流れるよう連通している廃インク出口と、
前記上流側インク配管に位置する上流側遮断バルブと、
前記下流側インク配管に位置する下流側ポンプ機構と、
を備えているインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記ポンプ機構が、インクを前記廃インク出口または前記インクマニホールドに向かって送るために可逆である請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記ポンプ機構が、蠕動ポンプである請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記インクジェットプリンタは、
前記ノズルのインクを大気圧未満の静水圧に維持するための前記プリントヘッドICの上流側の圧力調節器
をさらに備えている請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記インク供給源が、前記遮断バルブの上流のインクタンクであり、
前記圧力調節器が、前記インクタンクに配置されている、請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記圧力調節器が、前記インクタンクのインクに沈められた気泡出口と、大気へと通気された空気導入口とを有している泡立ち点調節器であり、
インクの消費に起因する前記インクタンク内の静水圧の低下によって、空気が前記空気導入口を通って引き込まれ、前記気泡出口において気泡を形成して、前記インクタンク内の圧力を一定に保つ、請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記インクジェットプリンタは、
インクから粒子状物質を取り除くための前記プリントヘッドICの上流のフィルタ
をさらに備えている請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記インクタンクが、シールされて前記遮断バルブとの間で流体が流れるよう連通している出口を有しており、前記フィルタが、前記出口を覆って前記インクタンクに位置している請求項7に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記インクタンクが、着脱式のインクカートリッジであり、前記出口を、前記上流側インク配管に解放可能に係合させることができる請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項10】
前記遮断バルブが、閉鎖方向に付勢されており、当該プリンタの電源が断たれたときに閉鎖位置へと戻る請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項11】
前記遮断バルブが、閉鎖位置へと移動するときにインクを変位させることで、該遮断バルブが開くときに、有限の量のインクが前記インクタンクから引き出されて、前記気泡出口における静水圧が泡立ち点圧力に向かって低下する請求項6に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項12】
前記インクジェットプリンタは、
前記プリントヘッドICの前記ノズルから離間した非シール位置と、前記ノズルを覆って気密のシールを生成するシール位置との間で可動なキャップ装置
をさらに備えている請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項13】
前記ノズルのアレイが、ノズル板に形成され、
前記キャップ装置が、前記ノズル板に付着したインクおよび粒子状物質を取り除くように構成されている請求項12に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項14】
前記インクジェットプリンタは、
インクの存在の有無を検出するための前記プリントヘッドICの下流のセンサ
をさらに備えている請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項15】
前記センサが、前記蠕動ポンプの上流側にある請求項14に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項16】
前記インクジェットプリンタは、別個のインク色のための複数のインクタンク、ならびにそれぞれの色のための複数の上流側インク配管および複数の下流側インク配管をさらに備えており、
前記蠕動ポンプが、各インク色を同時に送ることができる多チャネルの蠕動ポンプである請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項17】
前記インクジェットプリンタは、
前記センサおよび前記蠕動ポンプへと動作可能に接続され、前記センサからの出力に応答して前記ポンプを動作させるコントローラ
をさらに備えている請求項14に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項18】
前記インクジェットプリンタは、
前記プリントヘッドICを選択的にプライミングおよびデプライミングするために、前記遮断バルブおよび前記ポンプへと動作可能に接続された電子コントローラ
をさらに備えている請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項19】
前記インクジェットプリンタは、
前記プリントヘッドICを選択的にプライミングおよびデプライミングするために、前記遮断バルブ、前記センサ、および前記ポンプへと動作可能に接続された電子コントローラ
をさらに備えている請求項14に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項20】
前記インクジェットプリンタは、
前記プリントヘッドICを選択的にプライミングおよびデプライミングするために、前記遮断バルブ、前記キャップ装置、および前記ポンプへと動作可能に接続された電子コントローラ
をさらに備えている請求項12に記載のインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図26D】
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【図26E】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2009−528184(P2009−528184A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556611(P2008−556611)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000186
【国際公開番号】WO2007/098527
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】