説明

脂性の頭皮の処置のためにビフィズス菌種の溶解物を用いる化粧的方法

【課題】頭皮の脂性の状態を処理する及び/又は防ぐための、頭皮の脂性のフケ状態を処理する及び/又は防ぐための、脂漏性皮膚炎、脂性の頭皮の掻痒を防ぐ及び/又は処理するための、脂性の頭皮のバランスのとれたエコフローラを再構築ための、脂性の頭皮の抗菌性防御を改善する及び/又は回復するための、化粧料組成物及び/又は皮膚科学組成物の提供。
【解決手段】Bifidobacterium species属の少なくとも1の微生物の溶解物又はその画分を含有する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂性の頭皮に関する異常、特に審美的な異常、を防ぐ及び/又は処理するために新規な活性物質(active)を提案することを主に目的とする。
【0002】
頭皮は、皮膚組織の残りと同様に、常に更新されている皮膚であり、たくさんの皮脂腺を有する。
【0003】
皮脂の分泌は正常な現象であり、皮膚及び毛髪のために有益である。皮脂は、頭皮を保護し、キューティクルを滑らかにすることにより毛髪に輝きを与える。
【0004】
不幸なことに、皮脂の分泌過多、すなわち脂漏症、は不快であり、不快感、審美上の異常、又は皮膚の病変さえも引き起こす可能性がある。すなわち、皮脂の過剰な分泌は脂性皮膚又はニキビさえもたらし、頭皮の脂性のフケ状態の進展又は脂性フケを促進する。
【0005】
脂性のフケ状態は、慢性であり、一般的であり、再発し、かつその明白な見た目の悪さのために社会的に能力を奪う状態である。非常にたくさんの要因がこれらの現象を増幅し得、さらなる問題、例えば頭皮の炎症状態、をもたらし得る。これらの脂性のフケ状態及び/又は頭皮の炎症状態は、表皮のバリヤー機能の変化に反映される。さらに、これらの状態はかゆみ即ち掻痒の感覚を起し、引っ掻くという行動をもたらし、該行動は、フケの進行の現象を悪化させる。
【0006】
例えば、ストレス、冬の季節、又は酵母Malassezia spによる皮膚若しくは毛嚢のコロニー形成は、多くの患者におけるこれらの状態を強める要因である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酵母Malassezia spは、フケのない被験者における頭皮の表面の正常な常在菌(commensal flora)の約45%を占めるが、フケ症の場合には75%、関連する脂漏性皮膚炎の場合には85%までを占めることができる。頭皮の表面に存在する他の微生物はミクロコッカス及びプロピオニバクテリウムである。
【0008】
今、Malasseziaタイプの酵母はかなりのリパーゼ活性を有し、皮脂のトリグリセリドの脂肪酸への加水分解をもたらすことが最近示された。そして、これらの脂肪酸は、敏感な人、即ちバリヤー機能が損なわれている人、及びしたがって皮膚バリヤー上の脂肪酸の分解作用に対してより特に敏感である人においてフケ状態を起こすことができる。
【0009】
即ち、脂性フケはより多くの皮脂が存在するときより容易に進行する。さらに、より痒疹性になりやすい。
【0010】
この審美上の異常は、種々の局所的又は全身の抗菌処理により部分的に中和されることができる。即ち、抗菌及び抗脂漏剤(anti-seborrhoeic)を組み合わせる種々の製剤が、ひどい脂性のフケ状態を処理するために提案されてきた。抗菌剤に基づく処理は脂性のフケ状態に、ある程度の有効性を示す。
【0011】
しかし、これらの処理の有効性は不安定に過ぎず、ユーザーの側で厳しいフォローアップを必要とする(頻繁な使用及び施与の十分な時間)。
【0012】
結果として、これらの処理の適用において多くの失敗が起き、通常以下の要因に帰せられる:プロコルに対する不十分な遵守;使用の頻度の不遵守;製品の化粧品らしくない外観;洗浄用主成分の刺激;使用の持続期間の不十分な遵守;飽きること(tiredness)。
【0013】
従って、脂性の頭皮の状態に役立つ化粧料又は治療作用を発揮することのできる新規な活性物質に対するニーズはなおある。
【0014】
頭皮のエコフローラを修復し、特に、Malassezia spによる頭皮の過剰なコロニー化を防ぐことを可能にする活性物質に対するニーズもまたなおある。
【0015】
脂肪質頭皮の状態を防ぐ及び/又は処理するための有効な新規な組成物であって、使用するのが楽しくかつ快適であり、即ち処理との適合性を促進する組成物に対するニーズもまたある。
【0016】
脂性の頭皮の炎症状態、特に掻痒状態及び脂漏性皮膚炎、を防ぐ及び/又は処理することができる新規な活性物質に対するニーズもまたある。
【0017】
本発明の目的はこれらのニーズを満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
即ち、第一の目的に従うと、本発明は、Bifidobacterium species属の少なくとも1の微生物の溶解物又はその画分を脂性の頭皮の状態を処理する及び/又は防ぐために化粧的に使用する方法に関する。
【0019】
好ましい実施態様に従うと、本発明は属Bifidobacterium longumの少なくとも1の微生物の溶解物の化粧的使用に関する。
【0020】
意外なことに、本発明者らは、ある種のプロバイオチックな微生物、特にBifidobacteriaタイプ、は脂性の頭皮の状態を改善しそして修復するために特に効果的であり得ることを観察した。
【0021】
即ち、実施例に示されたデータからわかるように、本発明者らは、これらの微生物のあるものの能力であって、表皮の抗菌性の防御を促進しかつ強化し得る、驚くほどたくさんの数のたんぱく質の合成を刺激する能力を特に記載する。
【0022】
特に、本発明者らはBifidobacterium longumの溶解物が、たんぱく質、例えばリボヌクレアーゼ7(Q9H1E1)、ダーミシジン(P81605)、プロラクチン誘発たんぱく(P12273)、タンパク質S100A8及びA9(P05109及びP06702)、及び病原性の微生物による過剰なコロニー化に対して表皮の防御を強化することのできるタンパク質ヒストン(Q5R2W0)の合成を刺激することができることを示した。
【0023】
即ち、本発明の化粧料又は皮膚科学若しくは薬学組成物の適用は、Malassezia spによる頭皮及び毛嚢のコロニー化の減少を促進する。
【0024】
結果として、本発明の組成物は、表皮防御のタンパク質の誘起を通してバランスのとれたエコフローラの復興を有利に許すことができる。
【0025】
別の長所に従うと、本発明に従う使用は、Malassezia spによる皮脂の脂質の代謝から生じる刺激性の代謝物の存在による頭皮の掻痒を減少させる及び/又は処理することができる。
【0026】
その別の側面に従うと、本発明はBifidobacterium species属の少なくとも1の微生物の溶解物又はその画分を、組成物、特に薬学的又は皮膚科学的な組成物であって、脂性の頭皮の炎症を防ぐ及び/又は処理するためのものである組成物を製造するために使用する方法に関する。
【0027】
特に、そのような組成物は頭皮の掻痒又は頭皮の脂漏性皮膚炎を処理するために効果的であることが分かる。
【0028】
本発明の組成物は、皮膚の感染、及びMalassezia spによる頭皮を防ぐ及び/又は処理するために有利に使用されることができる。
【0029】
本発明の意味において、用語「防ぐ」は、問題の現象の発現のリスクを減じることを意味する。
【0030】
その別な側面に従うと、本発明はそれを必要とする個人の脂性の頭皮の審美上の異常を処理する及び/又は防ぐための特に化粧的方法であって、Bifidobacterium species属の微生物の少なくとも1の溶解物又はその画分を該個人に投与する少なくとも1のステージを含む方法に関する。
【0031】
本発明に従う使用は、さらに、Bifidobacterium species属の微生物の少なくとも1の溶解物又はその画分を、有効量の少なくとも1の追加の微生物、特にプロバイオチックなバクテリア及び/又はその画分であって上記溶解物と異なるものと組み合わせて施与することを含む。
【0032】
本発明の意味において、表現「上記溶解物とは異なる」は、組成物内において、2つの異なる微生物又は同一の微生物の2つの異なる形態のいずれかを区別することが可能であることを意味する。即ち、追加の微生物がBifidobacterium species属のものであり、かつ本発明に従って必要とされる溶解物を表す同じ種に対応するとき、この追加の微生物は、溶解物以外の形で存在する。
【0033】
さらに、本発明に従う使用は、Bifidobacterium species属の少なくとも1の微生物の溶解物又はその画分と、皮脂の過剰な分泌を減少させる及び/又は正すための少なくとも1の活性物質、例えば特に下記の抗脂漏性活性物質の有効量とを組み合わせて施与することを含む。
【0034】
一つの実施態様に従うと、本発明に従う使用は、さらに、Bifidobacterium species属の少なくとも1の微生物の溶解物又はその画分と、フケを減少させる及び/又は抑制するための少なくとも1の活性物質、例えば特に下記の抗フケ活性物質の有効量とを組み合わせて施与することを含む。
【0035】
その別な側面に従うと、本発明は、脂性の頭皮状態、特に頭皮の脂性のフケ状態を防ぐ及び/又は処理するために使用されることのできる化粧料及び/又は皮膚科学組成物であって、生理学的に許容される媒体中に、Bifidobacterium species属の少なくとも1の微生物の少なくとも1の溶解物又はその画分を、少なくとも1の抗脂漏性活性物質及び/又は少なくとも1の抗フケ活性物質、特に下記に記載したもの、と組み合わせて含む化粧料及び/又は皮膚科学組成物に関する。
【0036】
本発明の変形の実施態様に従うと、本発明に従う溶解物は、経口経路により使用されることができる。
【0037】
本発明の別の変形の実施態様に従うと、本発明に従う溶解物は局所的に使用されることができる。
【0038】
下記に記載するように、それを含む本組成物は、採用される投与方法と両立するように配合される。
【0039】
本発明は、化粧料又は皮膚科学的又は薬学的組成物の形の本発明に従う溶解物の施与に関する。
【0040】
脂性のフケ状態
前述したように、皮脂の過剰な分泌から生じる脂性の頭皮は、脂性フケの発達、又は表皮の炎症を反映する掻痒により明示される得る。
【0041】
脂性のフケ状態は、脂漏症皮膚炎の形の一つを表す。
【0042】
これらの状態に冒された患者は、積み上がり塊を形成したひどい、黄色の、脂性鱗屑で覆われた紅班頭皮を有する。該患者は、痒みのある頭皮を有し、冒された領域において焼けるような感覚をしばしば有する。これらの現象は、病原性の微生物、特にMalassezia sp、の存在により増幅され得る。これらの微生物は、皮脂から脂肪酸を放出するという特徴を有し、表皮のバリヤー機能を損ない、炎症状態を発生させることができる。
【0043】
脂漏性皮膚炎は、顔の領域(中央の部分、目の回り、耳)並びに腋の下を冒すことができる。
【0044】
頭皮の脂肪性のフケ状態において、皮膚のバリヤーはバランスを失っており、その完全性は損なわれており、そのエコフローラは乱されている。頭皮の皮膚は、炎症を起こしており、痒みがあり、脆く、乾燥している。
【0045】
本発明に従うBifidobacterium spの溶解物の施与は、エコフローラの再構築及び掻痒の減少をもたらす。この減少は、頭皮を引っかく相及びその結果のバリヤー機能の損傷の減少に反映される。
【0046】
そうすると、皮膚は、刺激が少なくなり、痒みが少なくなり、脂性フケの存在が減少するか又は除かれさえする。
【0047】
即ち、本発明に従う使用、方法及び組成物は
皮脂の過剰な排出(excessive excretion)及び/又は分泌(secretion)に関連する頭皮の異常、特に審美上のもの、を防ぐ及び/又は処理するために、
脂性の頭皮、特に頭皮の脂性のフケ状態、を防ぐ及び/又は処理するために、
脂性皮膚を防ぐ及び/又は処理するために、
脂性の頭皮の掻痒及び/又は脂漏性皮膚炎を防ぐ及び/又は処理するために、
脂性の頭皮のバランスのとれたエコフローラを再構築するために、
脂性の頭皮の抗菌性防御を改良する及び/又は再構築するために、
脂性皮膚及び頭皮の快適さを改良するために、及び
脂性の頭皮の状態を改良する及び/又は処理するために
非常に特に効果的であることが分かる。
【0048】
微生物
前述したように、本発明に従う活性物質として使用されたBifidobacterium species属の微生物は、溶解物の形で使用される。
【0049】
溶解物は、細胞溶解(cell lysis)と呼ばれる現象、即ち問題の微生物の細胞に天然に含まれる細胞間生物学的成分の放出を起こすこと、により生物学的な細胞の分解(destruction)又は溶解(dissolution)の後に得られる物質を意味する。
【0050】
本発明の意味において、用語溶解物は、問題の微生物の分解により得られる溶解物のすべて又はその画分のみを区別することなく意味する。
【0051】
即ち、本発明はBifidobacterium speciesの溶解物及び/又はその画分の施与に関する。
【0052】
従って、使用された溶解物は、細胞間生物学的成分から及び細胞壁及び膜の成分から全体的に又は部分的に構成されている。
【0053】
より詳しくは、それは酵素、例えば乳酸デヒドロゲナーゼ、ホスファターゼ、ホスホケトラーゼ、及びトランスアルドラーゼ及び代謝物を含む細胞の細胞質画分(cellular cytoplasmic fraction)を含む。説明のために、細胞壁の成分は特にペプチドグリカン、ムレイン又はムコペプチド及びタイコ酸であり、細胞膜の成分はグリセロホスホリピッド化合物である。
【0054】
この細胞溶解は、種々の技術、例えば浸透圧衝撃、熱衝撃により、超音波で、又は機械的応力(mechanical stress)、例えば遠心分離、下で行われることができる。
【0055】
好ましい実施態様に従うと、溶解物は超音波による分解により得られる。
【0056】
より特に、該溶解物は、米国特許第4,464,362号に記載された技術、特に以下のプロトコルに従って得られることができる。
【0057】
考慮されているBifidobacterium speciesタイプの微生物は、適切な培地で、例えば米国特許第4,464,362号及び欧州特許出願公開第0043128号に記載された条件に従って嫌気的に培養される。発育の定常期が到達されたとき、培地は、例えば60〜65℃の温度における30分間の低温殺菌により不活性化されることができる。次に、該微生物は慣用の分離技術、例えば膜濾過、により回収され、遠心分離され、生理学的濃度の無菌NaCl溶液中に再懸濁される。溶解物は、その細胞質画分、細胞壁のフラグメント及び代謝物から生じる生成物を放出するために、上記媒体の超音波分解により得られる。次に、自然な分布におけるすべての成分が弱酸性の水性溶液中で安定化される。
【0058】
このようにして、合計重量に対して0.1〜50重量%のオーダー、特に1〜20重量%、特に約5重量%の活性物質の濃度を有する溶解物が一般的に得られる。
【0059】
該溶解物は、種々の形、溶液の形又は粉体の形で使用されることができる。
【0060】
Bifidobacterium species属に属する微生物は、より特に以下の種:Bifidobacterium longum,Bifidobacterium bifidum,Bifidobacterium breve,Bifidobacterium animalis,Bifidobacterium lactis,Bifidobacterium infantis,Bifidobacterium adolescentis又はBifidobacterium pseudocatenulatum,及びそれらの混合物から選択される。
【0061】
Bifidobacterium longum種は、特に本発明に適する。
【0062】
それは、有利に、INCI名:Bifidat ferment Lysateで、EINECS名:Bifidobacterium longumで、EINECS No.:No.306−168−4で及びCAS No.:No.96507−89−0で登録されている溶解物であることができる。
【0063】
K.RICHTER GmbH社によりRepair Complex CLR(商標)の名称で市販されており、Bifidobacterium longum種の不活性化された溶解物からなる製品は、本発明の範囲に該当する。
【0064】
溶解物を形成し、Bifidobacterium species属に属する活性物質は、それを含む組成物のキャリアーの合計重量に対して(乾燥重量で表されて)少なくとも0.0001%、特に0.001〜20%、より特に0.01〜2%の活性物質の乾燥重量の割合で、組成物に配合されることができる。
【0065】
微生物が経口投与のための組成物に配合される特定の場合には、微生物の濃度は(微生物の当量で表されて)5.10〜1013CFU/d、特に10〜1011CFU/dの範囲の投与量に相当するように調節されることができる。
【0066】
本発明の変形に従うと、本発明に適する溶解物は、少なくとも1の他の微生物と組み合わせて使用される。
【0067】
即ち、本発明はBifidobacterium species属の微生物に加えて、少なくとも1の追加の微生物、特にプロバイオチックタイプのもの、及び/又はその画分及び/又はその代謝物であって該溶解物とは異なるものの少なくとも有効量の使用に関する。
【0068】
本発明の意味において、「プロバイオチックな微生物」とは、適切な量で消費されるとき、宿主の健康に好ましい効果を有し(「生きた乳酸バクテリアを有する粉ミルクを含む食品におけるプロバイオチックの健康と栄養の性質の評価に関するFAO/WHO専門家合同会議」2001年10月6日(Joint FAO/WHO Expert Consultation on Evaluation of Health and Nutritional Properties of Probiotic in Food Including Powder Milk with Live Lactic Acid Bacteria))、かつ腸の微生物のバランスを特に改良することができる、生きている微生物を意味する。
【0069】
本発明に適する追加の微生物は、特に子嚢菌,例えばSaccharomyces,Yarrowia,Kluyveromyces,Torulaspora,Schizosaccharomyces pombe、Debaryomyces、Candida,Pichia,Aspergillus及びPenicillium,Bifidobacterium属のバクテリア,バクテロイド,Fusobacterium,Melissococcus,Propionibacterium,Enterococcus,Lactococcus,Staphylococcus,Peptostreptococcus,Bacillus,Pediococcus,Micrococcus,Leuconostoc,Weissella,Aerococcus,Oenococcus,Lactobacillus,及びその混合物から選択されることができる。
【0070】
特に,本発明における使用に特に適する子嚢菌として,Yarrowia lipolytica及びKluyveromyces lactis,並びにSaccharomyces cerevisiae,Torulaspora,Schizosaccharomyces pombe,Candida及びPichiaを挙げ得る。
【0071】
追加のプロバイオチック微生物の具体的な例は,Lactobacillus acidophilus,Lactobacillus alimentarius,Lactobacillus curvatus,Lactobacillus delbrueckii subsp.lactis,Lactobacillus gasseri,Lactobacillus johnsonii,Lactobacillus reuteri,Lactobacillus rhamnosus(LactobacillusGG),Lactobacillus sake,Lactobacillus paracasei,Lactococcus lactis,Streptococcus thermophilus,Staphylococcus carnosus,Staphylococcus xylosus,及びその混合物である。
【0072】
より特に、それらは乳酸菌バクテリア,例えば特にLactobacillusの群からのプロバイオチック微生物である。これらの乳酸バクテリアの例として、より特にLactobacillus johnsonii,Lactobacillus reuteri,Lactobacillus rhamnosus及びそれらの混合物を挙げ得る。
【0073】
前述したように、追加の微生物は溶解物を構成する種と同じであっても無くてもよい。しかし、それが同じ種であるときは、溶解物以外の形、例えば生きた形で存在する。
【0074】
特に適する種は,Lactobacillus johnsonii,特に、パスツール研究所(F−75024,パリ,セデックス15,ドクタールーの28番地)で,ブダペスト条約に従って以下の表示CNCM I−1225で寄託された株である。本発明の溶解物が有効量で使用されることは言うまでもない。
【0075】
「有効量」とは、本発明の意味において、期待される効果を得るために十分である量を意味する。
【0076】
一般的に、本発明に従う局所施与のための組成物は、一般的に0.0001〜30%,特に0.001〜15%、より特に0.1〜10%の1以上の追加の、特にプロバイオチックな微生物を含む。
【0077】
これ又はこれらの微生物は、生きた形,半活性の形若しくは不活性な形、又は死んだ形で本発明に従う組成物に含まれることができる。
【0078】
それ又はそれらは細胞成分の画分の形又は代謝物の形で含まれることもできる。微生物、代謝物又は画分は、粉末、液体、培養上澄み、又は希釈された若しくは希釈されていない又は濃縮された若しくは濃縮されていないその画分の形でもまた含まれることができる。
【0079】
該微生物が生きた形で組成物に配合される場合,生きた微生物の量は,組成物1グラム当たり,10〜1015CFU/g,特に10〜1015CFU/g,より特に10〜1012CFU/gの範囲であることができる。
【0080】
本発明に従う組成物は、採用される投与の方法に通常利用可能なすべての剤型(galenical form)であることができる。
【0081】
考慮される組成物のタイプに依存してキャリアーは種々の性質であることができる。
【0082】
局所投与のための組成物に関してはより特に、これらは水性,水性−アルコール性若しくはオイル状の溶液,溶液のタイプの分散物又はローション若しくはセラム(serum)タイプの分散物,油相を水相に(O/W)分散させること又はその逆(W/O)により得られる乳液タイプの液体若しくは半液体の粘稠性のエマルジョン,又はクリームタイプの、ソフト、半固体若しくは固体の粘稠性の懸濁物若しくはエマルジョン,水性若しくは無水のジェル,又はマイクロエマルジョン,マイクロカプセル,マイクロ粒子,又はイオン性及び/若しくは非イオン性タイプのベシクル性分散物であり得る。
【0083】
これらの組成物は通常の方法に従って製造される。
【0084】
これらの組成物は,クリーニング、保護、処理若しくはケアのためのクリーム、頭皮のケアのためのローション、ジェル若しくはムース、例えばクリーニング又は殺菌のためのローション又は風呂のための組成物、を特に構成する。
【0085】
本発明に従う組成物は、石鹸又はクリーニングバーの成分としての固体の調合剤(solid preparation)から成ることもまた可能である。
【0086】
それらは、溶液、クリーム、ジェル、エマルジョン、ムースの形で、又は加圧下、プロペラントをもまた含むエアロゾル組成物の形で、頭皮のために使用されることもまた可能である。
【0087】
本発明の組成物がエマルジョンであるとき、脂肪相の割合は、組成物の合計重量に対して5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%であることができる。エマルジョンの形の該組成物において使用されるオイル、乳化剤、及び共乳化剤は化粧料及び/又は皮膚科学の領域において古典的に使用されるものから選択される。乳化剤及び共乳化剤は、組成物の合計重量に対して0.3〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲の割合で組成物に含まれることができる。
【0088】
本発明の組成物が溶液又はオイル状のジェルであるとき、脂肪相は、組成物の合計重量の90重量%超であることができる。
【0089】
知られているように、局所的投与のための剤型は、化粧料、薬学及び/又は皮膚科学の分野で一般的である添加剤、例えば親水性又は親油性ジェル化剤、親水性又は親油性活性物質、保存料、抗酸化剤、溶媒、香料、フィラー、フィルター、臭気吸収剤、及び着色剤をもまた含むことができる。これらの種々の添加剤の量は、問題の分野で古典的に使用される量、例えば組成物の合計重量に対して0.01〜20重量%である。その性質に応じて、これらの添加剤は、脂肪相及び/又は水性相に導入されることができる。
【0090】
本発明における使用のための脂肪として、鉱物油例えば水素化されたポリイソブテン及びワセリンオイル、植物油例えばシアバター、ヒマワリ油、及びアプリコットアーモンド油の液状画分、動物油例えばパーヒドロスクワレン、合成油特にプルセリンオイル、ミリスチン酸イソプロピル、及びパルミチン酸エチルヘキシル、不飽和の脂肪酸及びフッ素化された油例えばパーフルオロポリエーテルを挙げることができる。脂肪族アルコール、脂肪酸例えばステアリン酸及び例えばワックス、特にパラフィンワックス、カルナウバワックス及びビーズワックスを使用することも可能である。シリコーン化合物例えばシリコーンオイル、及び例えばシクロメチコーン及びジメチコーン、ワックス、樹脂及びシリコーンラバーを使用することもまた可能である。
【0091】
本発明において使用されることのできる乳化剤として、例えばステアリン酸グリセリル、ポリソルベート60、ヘンケル社によりSinnowax AO(商標)の名前で販売されているセチルステアリルアルコール/33モルのエチレンオキシドを含むエトキシル化セチルステアリルアルコールの混合物、Gattefosse社によりTefose(商標)63の名前で販売されているPEG−6/PEG−32/ステアリン酸グリコールの混合物、PPG−3ミリスチルエーテル、シリコーン乳化剤、例えばセチルジメチコーンコポリオール、及びソルビタンモノ又はトリステアレート、PEG−40のステアレート又はエトキシル化ソルビタンモノステアレート(20EO)を挙げ得る。
【0092】
本発明において使用されることのできる溶媒として、低級アルコール、特にエタノール及びイソプロパノール、又はプロピレングリコールを挙げ得る。
【0093】
本発明の組成物は、熱水及び/又はミネラルウォーター、特にビッテル社の水、Vichy basin社の水、及びRoche Posay社の水から選択された水を含むこともできる。
【0094】
親水性のジェル化剤として、カルボキシルポリマー、例えばカーボマー、アクリルコポリマー例えばアクリレート/アクリルアクリレートコポリマー、ポリアクリルアミド、特にポリアクリルアミド、C13〜14のイソパラフィン、及びラウレス−7の混合物(SEPPIC社によりSepigel305(商標)の名前で販売されている)、多糖類例えばセルロース誘導体例えばヒドロキシアルキルセルロース、特にヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース、天然ガム、例えばグアーガム、キャロブガム、及びキサンタンガム、及び粘土を挙げ得る。
【0095】
親油性のジェル化剤として、変性された粘土、例えばベントーン、脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸アルミニウム、及び疎水性シリカ、又はエチルセルロース及びポリエチレンを挙げ得る。
【0096】
本発明に従う組合せの使用が経口ルートにより使用される場合、消化可能なキャリヤーの使用が好ましい。
【0097】
消化可能なキャリアーは、考慮される組成物のタイプに応じて種々の種類であることができる。
【0098】
特に、以下が、食品キャリア又は薬学的キャリアとして適当である:乳、ヨーグルト、チーズ、発酵された乳、乳に基づく発酵製品、氷菓、発酵された穀物に基づく製品、乳に基づく粉、子供及び乳児のための調合乳(formula)、菓子類タイプの食品製品、チョコレート、シリアル、動物、特には家畜のための飼料、タブレット、カプセル又は薬用ドロップ、乾燥形態の経口サプリメント及び液体形態の経口サプリメント。
【0099】
さらに、本発明の微生物及び/又はその溶解物は、そのような経口組成物又は食品サプリメントのための通常の賦形剤及び成分、すなわち特には、食品製品の領域において通常である脂質及び/又は水性成分、湿潤剤、増粘剤、保存料、テクスチャー剤、香味剤及び/又は着衣剤(enrobing agent)、抗酸化剤、保存料及び着色料、と一緒に配合されることができる。
【0100】
経口組成物のための、特には食品サプリメントのための配合剤及び賦形剤は、この分野において知られており、そして本明細書において詳細に記載されないであろう。摂取のために、経口組成物のための及び特には食品サプリメントの多数の実施態様が可能である。それらは、通常の方法により配合されて、被覆されたピル、カプセル、ゲル、徐放性ハイドロゲル、エマルジョン、タブレット、カプセルを生成する。
【0101】
特に、本発明に従う微生物の溶解物は、圧縮された又は圧縮されていない、任意の他の形の食品サプリメント又は強化食品、例えばフードバー(food bar)、又はパウダー、の中に組み込まれうる。該パウダーは、水により、ソーダ中に、乳製品中に、又は大豆誘導物中に希釈されてよく、又はフードバー中に組み込まれうる。
【0102】
特定の実施態様に従うと、本発明に従い考えられる該追加の微生物は、それらの生存時間を有意に改善するためのカプセル化形態で、組成物内に配合されうる。そのような場合、カプセルの存在は、特に、胃腸管内における微生物の分解を減速し又は防ぐことができる。
【0103】
考慮された投与の方法にかかわらず、本発明の溶解物は、少なくとも1の他の活性物質と有利に組み合わされることができる。
【0104】
すなわち、本発明に従う局所的組成物若しくは経口組成物又は組み合わせは、少なくとも1の抗脂漏性活性物質及び/又は少なくとも1の抗フケ活性物質をさらに含むことができる。
【0105】
そのような配合物は、本発明の溶解物の有利な効果を増幅することを可能にする。
【0106】
「抗脂漏性活性物質」は、脂肪分泌性の腺の活性を調節することのできる化合物を意味する。
【0107】
本発明にとって適当な抗脂漏性活性物は特には、レチノイン酸、ベンゾイルパーオキシド、硫黄、ビタミンB6(又はピリドキシン)、塩化セレン、サムファイア;シナモンの抽出物の混合物、茶の抽出物の混合物、及びオクタノイルグリシンの混合物、例えばSeppicからのSepicontrol A5 TEA(商標)など;特には商品名称Sepicontrol A5(商標)下で会社SEPPICにより市販される、シナモンの、サルコシンの、及びオクタノイルグリシンの混合物;亜鉛塩、例えばグルコン酸亜鉛、亜鉛ピロリドンカルボキシレート(又は亜鉛ピドレート(zinc pidolate))、乳酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、カルボン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、システイン酸亜鉛;銅の誘導体及び特には銅ピドレート、例えばSolabiaからのCuivridone(商標)など;種Arnca montana、Cinchona succirubra、Eugenia caryophyllata、Humulus lupulus、Hypericum perforatum、Mentha piperita、Rosmarinus officinalis、Salvia officinalis及びThymus vulgarisの植物の抽出物、全て例えば会社MARUZENにより市販されている;シモツケソウ(Spiraea ulamaria)の抽出物、例えば会社Silabにより名称Sebonormine(商標)下で販売されるものなど;藻類Laminaria saccharinaの抽出物、例えば会社Biotechmarineにより名称Phlorogine(商標)下で販売されるものなど;ワレモコウ(Sanguisorba officinalis/Poterium officinale)の根(burnet roots)の抽出物の、ショウガ根茎(Zingiber officinalis)の、及び桂皮(Cinnamomum cassia)の混合物、例えば会社Solabiaにより名称Sebustop(商標)下で販売されるものなど;会社Lucas Meyerにより名称Lunumine(商標)下で販売されるような亜麻仁抽出物;Phellodendronの抽出物、例えば会社Maruzenにより名称Phellodendron抽出物BG下で又は会社Ichimaru Pharcosにより名称Oubaku liquid B下で販売されるものなど;アルガンオイルの混合物、Serenoa serrulata(ソー・パルメット)の抽出物、及びゴマ種子抽出物、例えば、会社Pentapharmにより名称Regu SEB(商標)下で販売されるものなど;エピローブ(epilobe)の抽出物、Terminalia chebulaの、ナスターチウムの、及び生物学的に利用可能な亜鉛(微細藻類)の混合物、例えば会社Green Techにより名称Seborilys(商標)下で販売されるものなど;Pygeum afrianumの抽出物、例えば会社Euromedにより名称Pygeum afrianum sterolic lipid抽出物下で販売されるものなど;Serenoa serrulataの抽出物、例えば会社Actives Internationalにより名称Viapure Sabal下で販売されるもの又は会社Eruromedにより販売されるものなど;プランテーンの抽出物、Berberis aquifoliumの抽出物及びサリチル酸ナトリウムの混合物、例えば会社Rahnにより名称Seboclear(商標)下で販売されるものなど;クローブ抽出物、例えば例えば会社Maruzenにより名称Clove extract Powder下で販売されるものなど;アルガンオイル、例えばLaboratoires Serobiologiquesにより名称Lipofructyl(商標)下で販売されるものなど;乳のタンパク質のろ過物、例えば会社Sedermaにより名称Normaseb(商標)下で販売されるものなど;藻類Laminariaの抽出物、例えば会社Biotechmarineにより名称Laminarghane(商標)下で販売されるものなど;藻類Laminaria digitataのオリゴ糖、例えば会社Codifにより名称Phycosaccharide AC下で販売されるものなど;甘蔗糖の抽出物、例えば会社Sabinsaにより名称Policosanol(商標)下で市販されるものなど;スルホン化シェール油、例えば会社Ichthyolにより名称Ichtyol Pale(商標)下で販売されるものなど;シモツケソウ(Spiraea ulmaria)の抽出物、例えば会社Libiolにより名称Cytobiol(商標)Ulmaire下で販売されるものなど;セバシン酸、特には会社Sedermaにより名称Sebosoft(商標)下でポリアクリル酸ナトリウムのジェルの形で販売される;コンニャク塊茎から抽出され且つアルキルスルホネート鎖により修飾されたグルコマンナン、例えば会社Arch Chemicalにより名称Biopol Beta下で販売されるものなど;Sophora angustifoliaの抽出物、例えば会社Biolandにより名称Sophora powder又はSophora extract下で販売されるものなど;Cinchona succirubra皮の抽出物、例えば会社Alban Mullerにより名称Red bark HS下で販売されるものなど;Quillaja saponariaの抽出物、例えば会社Alban Mullerにより名称Panama wood HS下で販売されるものなど;ウンデシレン鎖にグラフト化されたグリシン、例えば会社Seppicにより名称Lipacide UG OR下で販売されるものなど;オレアノール酸及びノルジヒドログアイアレチック酸の混合物、例えば会社Sedermaにより名称AC.Net下でジェルの形で販売されるものなど;フタルイミドパーオキシヘキサン酸;会社Sasolにより名称COSMACOL(商標)ECI下で販売されるクエン酸トリアルキル(C12〜C13);会社Sasolにより名称COSMACOL(商標)ECL下で販売されるクエン酸トリアルキル(C14〜C15);10−ヒドロキシデカン酸、及び特には10−ヒドロキシデカン酸、セバシン酸及び1,10−デカンジオールの混合物、例えば会社Vincienceにより名称Acnacidol(商標)BG下で販売されるものなど;並びにそれらの混合物から選ばれうる。
【0108】
抗脂漏症活性物は例えば、該組成物の全重量に対し、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%の含有量で存在する。
【0109】
「抗フケ活性物質」は、フケの成長を防ぎ、その程度を減少させ及び/又はそれが完全に消すことのできる化合物を意味する。
【0110】
本発明のために適する抗フケ活性物質は、特に、
ピリジンチオン塩、特にカルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、錫、ジルコニウム塩(ピリジンチオンの亜鉛塩が、特に好ましく、ピリジンチオンの亜鉛塩は、OLIN社によりジンクオマジン(Zinc omadine)の表示で特に販売されている)、
下記式のトリハロゲンカルバミド、
【0111】
【化1】

【0112】
ここでZはハロゲン原子、例えば塩素、又はC〜Cのトリハロゲンアルキル基、例えばCFを表す、
下記式により表されるトリクロサン:
【0113】
【化2】

【0114】
アゾール化合物、例えばクリムバゾール、ケトコナゾール、クロトリナゾール、エコナゾール、イソコナゾール及びミコナゾール、
抗菌性ポリマー例えばアムホテリシンB又はナイスタチン、
硫化セレン、特に式SSe8−xのもの、ここでXは1〜7の範囲である、
種々の形の硫黄、硫化カドミウム、アラントイン、石炭又は木のタール及びその誘導体、特にケードオイル(cade oil)、サリチル酸、ウンデシレン酸、フマール酸、アリルアミン、例えばテルビナフィン、
から選択されることができる。
【0115】
抗フケ剤の好ましい例として、ピリチオン亜鉛、サリチル酸、硫化セレン、及びその混合物を特に挙げ得る。
【0116】
本発明に従う組成物は、組成物の合計重量に対して0.001〜10重量%,好ましくは0.1〜5%重量%、0.2〜2重量%さえの抗フケ剤を有利に含む。
【0117】
本発明に従う局所又は経口組成物又は組合せは、追加の活性物質として、特に、皮膚のバリヤーを強化するための活性物質、例えば角質層の成熟を促進する活性物質、例えば水和活性物質、プロ落屑剤(prodesquamation agent)又は表皮の遅れた分化を促進する活性物質及び関連する酵素活性物質をもまた含むことができる。
【0118】
慣用的に使用される活性物質として、ビタミンB3、B5、B6、B8、C、E若しくはPP、ナイアシン、カロテノイド、ポリフェノール、及びミネラル、例えば、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等が挙げられ得る。「プロ落屑剤」とは、
落屑に対して直接に作用し、剥離を促進することができる任意の化合物、例えばβ−ヒドロキシ酸、特にはサリチル酸及びその誘導体(n−オクタノイル−5−サリチル酸を含む);α−ヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸又はマンデル酸など;尿素及びその誘導体のいくつか;ゲンチシン酸;オリゴフコース;桂皮酸;二酸;Saphora japonicaの抽出物;レスベラトロール;界面活性剤及びジャスモン酸のいくつかの誘導体;
及び/又はコルネオデスモソームの分解に関与する酵素の活性に対し作用することができる任意の化合物、例えば角質層キモトリプシン酵素(SCCE)又は他のプロテアーゼ(トリプシン様、キモトリプシン様、カテプシンD)さえ並びに他のカテゴリーのヒドロラーゼ(例えばグリコシダーゼ、セラミダーゼ)など、
を意味する。我々は、鉱物塩のキレート剤:EDTA;N−アシル−N,N’,N’−エチレンジアミントリ酢酸;アミノスルホン化合物及び特には(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N−2−エタン)スルホン酸(HEPES);2−オキソチアゾリジン−4−カルボン酸の誘導体(プロシステイン);グリシンタイプのαアミノ酸の誘導体(例えば欧州特許出願公開第0852949号明細書において記載される、並びに商品名TRILON M下でBASFにより市販されるメチルグリシンニ酢酸ナトリウムなど);ハチミツ;糖誘導体、例えばO−オクタノイル−6−D−マルトース及びN−アセチルグルコサミン;尿素又はその誘導体のいくつか、例えばHydrovance;C−グリコシドの誘導体、を挙げ得る。
【0119】
特に、ビタミンC及びE並びに少なくとも1のカロテノイド、特にβ−カロテン、リコペン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、及びルテインから選択された少なくとも1のカロテノイド、フラボノイド、例えば、カテキン、ヘスペリジン、プロアントシアニジン、及びアントシアニン、ユビキノン、ポリフェノールを含むコーヒー抽出物、及び/又はジテルペン類、チコリ抽出物、イチョウ(ginkgo biloba)の抽出物、プロアントシニジンの多いぶどう抽出物、ペッパー抽出物、大豆抽出物、抗酸化性を有するフラボノイドの他の源、脂肪酸、プレバイオチック(prebiotic)、タウリン、レスベラトロール、セレンのアミノ酸、グルタチオンの前駆体を含む抗酸化剤錯体が活性物質として特に使用され得る。
【0120】
フラボノイドの中では、カテキン及びOPC(プロシアニジンオリゴマー(procyanidolic oligomers))が好ましく選択される。
【0121】
少なくとも1のプレバイオチック又はプレバイオチックの混合物もまた含まれ得る。より特に、これらのプレバイオチックは、例えば、グルコース、ガラクトース、キシロース、マルトース、スクロース、ラクトース、澱粉、キシラン、ヘミセルロース、イヌリン、例えばアカシアタイプのガム、又はそれらの混合物から製造されたオリゴ糖類から選択されることができる。より特に、オリゴ糖類は、少なくとも1のフルクトオリゴ糖類を含む。より特に、このプレバイオチックはフルクトオリゴ糖類とイヌリンとの混合物を含むことができる。
【0122】
局所用剤型の形では、親水性活性物質として、たんぱく質又はたんぱく質加水分解物、アミノ酸、ポリオール、特にC〜C10のポリオール、例えば、グリセロール、ソルビトール、ブチレングリコール、及びポリエチレングリコール、ウレア、アラントイン、糖及び糖誘導体、水溶性ビタミン、澱粉、バクテリア又は植物抽出物、例えば、アロエベラからのものを使用することが可能である。
【0123】
親油性活性物質としては、レチノール(ビタミンA)及びその誘導体、トコフェロール(ビタミンE)及びその誘導体、セラミド、精油、及び鹸化可能ではない油(トコトリエノール、セサミン、γ−オリザノール、フィトステロール、スクワレン、ワックス、テルペン)を使用することが可能である。
【0124】
経口配合物において溶解物と、より特に混合されることのできる活性物質として、一般的に使用され及び/又は許されるすべての成分をも考え得る。
【0125】
例として、ビタミン、ミネラル、必須リピッド、希少元素、ポリフェノール、フラボノイド、フィト−エストロゲン、抗酸化剤、例えば、リポ酸及びコエンザイムQ10、カロテノイド、プレバイオチックス、タンパク質及びアミノ酸、単糖類及び多糖類、アミノ糖、フィトステロール及び植物起源のトリテルペンアルコールを挙げ得る。
【0126】
それらは特にビタミンA、C、D、E、PP及び群Bのビタミンである。カロテノイドの中では、β−カロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、及びアスタキサンチンが好ましい。特に使用されるミネラル及び希少元素は、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、銅、鉄、ヨウ素、マンガン、セレン、又はクロム(III)である。ポリフェノールの中では、特にブドウ、茶、オリーブ、ココア、コーヒー、リンゴ、コケモモ、ニワトコ、イチゴ、クランベリー、及び玉葱からのポリフェノールもまた特に使用される。好ましくは、フィト−エストロゲンの中では、遊離の形又はグリコシレート化された形のイソフラボン、例えば、ゲニステイン、ダイゼイン、又はグリシテイン、又はリグナン、特にアマからのもの、及びチョウセンゴミシ(schizandra chinensis)からのものが使用される。アミノ酸又はペプチド及びそれらを含むタンパク質、例えば、タウリン、トレオニン、システイン、トリプトファン、メチオニン。モノ不飽和及び多不飽和脂肪酸を含むオイルの群に属するリピッド、例えば、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、又はステアリドン酸、長鎖のω−3の魚の脂肪酸、例えば、EPA及びDHA、植物又は動物から得られる共役脂肪酸、例えば、CLA(共役リノール酸)。
【0127】
本発明の化粧的処置の方法は、特に、該組成物の使用のための通常の技術にしたがって、上で定義された化粧料組成物及び/若しくは皮膚科学組成物又は組み合わせを投与することにより使用されることができる。例えば、頭皮へのクリーム、ジェル、セラム、及びローションの施与、湿った毛髪へのローション又は局所的施与の場合にはシャンプーの施与。
【0128】
即ち、本発明に従う化粧的方法は、例えば毎日、本発明に従う考慮下に溶解物の局所又は経口投与により施与されることができる。
【0129】
本発明に従う方法は、単独の投与を含むことができる。別の実施態様に従うと、投与は、毎日例えば、2〜3回、1日以上、一般的には少なくとも4週間の延長された期間の間、又は4〜15週間の間でさえ、もし必要であれば、1以上の中断期間をおいて、繰り返される。
【0130】
詳細な説明及び以下の実施例において、別に明記されなければ、百分率は、重量百分率であり、「〜と〜の間」の形で述べられる値の範囲は、述べられた下限及び上限を含む。
【0131】
成分は、当業者により容易に決定される順序及び条件で、形成される前に混合される。
【0132】
本発明の組成物において使用される成分の含有量及び性質は、本発明の組成物に必要とされる性質が実質的に影響されないように当業者により調節される。
【0133】
下記に与えられた実施例は説明のためであり、本発明の範囲を制限しない。
【0134】
[実施例]
実施例1

*INCI名Bifidat ferment Lysate下で登録されている溶解物であって、5重量%の活性物質を含む配合物として使用される。
**合計製品に基づく量
【0135】
実施例2

*INCI名Bifidat ferment Lysate下で登録されている溶解物であって、5重量%の活性物質を含む配合物として使用される。
**合計製品に基づく量
【0136】
実施例3

*INCI名Bifidat ferment Lysate下で登録されている溶解物であって、5重量%の活性物質を含む配合物として使用される。
**合計製品に基づく量
【0137】
実施例4

*INCI名Bifidat ferment Lysate下で登録されている溶解物であって、5重量%の活性物質を含む配合物として使用される。
**合計製品に基づく量
【0138】
実施例5

*INCI名Bifidat ferment Lysate下で登録されている溶解物であって、5重量%の活性物質を含む配合物として使用される。
**合計製品に基づく量
【0139】
実施例6

*INCI名Bifidat ferment Lysate下で登録されている溶解物であって、5重量%の活性物質を含む配合物として使用される。
**合計製品に基づく量
【0140】
実施例7
表皮へのBifidobacterium longumの溶解物の効果の評価
【0141】
試験された製品は、名称Repair Complex CLR(商標)下で市販される、弱酸性の水性媒体中で(超音波により)分解された懸濁状態におけるBifidobacterium longumの溶解物である。
【0142】
活性物質は、それ自身について、無作為化された二重盲検試験において試験された。
【0143】
乾燥肌を有する66人の女性が、2つの集団、プラセボ(n=33集団A)、Repair Complex CLR(商標)(n=33集団B)、に分けられた。処理は、58日間、局所的に適用された。活性物は試験配合物の10%で配合された。キャリア配合物は、5%のParleam、15%のシクロペンタシロキサン、3%のグリセロール及び2%のワセリンを含む油/脱ミネラル化水エマルジョンArlacel/myrj(商標)である。
【0144】
偽薬配合物では、溶解物の不存在は水で補われる。
【0145】
被験者は、第1日、第29日、第43日及び第57日において評価される。
【0146】
種々の皮膚マーカーの変動が、分離された角質層の試料についてのディファレンシャルプロテオミクス(differential proteomics)により調査された。
【0147】
試料は、皮膚から第1日、第29日、第43日及び第57日の時にワニス剥がしにより角質層の一部だけ、すなわち角質層の多くとも4〜5層を除去するように、とられる。
【0148】
ナイロンフィルター41μmタイプNY41 Milliporeの布が、左足の前もって定義された領域に施与される。次に、参照番号614254/T.D.を有する透明なワニスであって、ニトロセルロース6.86g;イソプロパノール2.94g;低刺激性アルキル樹脂7.35g;クエン酸アセチルトリブチル7.7g;エチルアセテート75.15gを含むものが、ブラシ(15mm)によりひろげられ、そして次に、15分間置かれて乾燥する。該ナイロン布は次に、バネ鉗子を用いて、該ワニス剥離物をすばやくはがすことにより、回収される。
【0149】
該ワニス剥離物は、−20℃で、プラスチックバッグ中で平らに、貯蔵される。
【0150】
これらの皮膚試料(角質層のワニス剥離物)は次に、種々のタンパク質の発現を評価するために、“同重体マーキング(isobaric marking)”と呼ばれる技術を用いたプロテオミクスにより分析された。
【0151】
この“同重体マーキング”技術即ちiTRAQは、一連の試薬によるトリプシンペプチドのマーキングに基づき、これは、それら全てが145Daの分子量を有し、且つアミノ末端の1級アミン又はリジン残基の側鎖の1級アミンとの共有結合を形成するので、同重体的と呼ばれる。
【0152】
マークされたペプチドは、ペプチド+145Da(試薬から)の固有の質量により、マススペクトロメトリーによって検出される。ペプチドの断片化の段階で、夫々の試薬の寄与は、種々の特定の質量を有するイオン(断片)の放出から評価される。
【0153】
そのような方法は、Zieske(J.Exp.Bot.,2006年,第57巻:1501ページ)又はWieseら(Proteomics,2007年,第7巻:340ページ)により、より詳細に記載されている。
【0154】
プロテオミクスによる分析の結果は、Bifidobacterium longumの溶解物が、表皮の種々の抗微生物的防御タンパク質、例えばリボヌクレアーゼ7(Uniref accession No.Q9H1E1)、ダームシジン(P81605)、プロラクチン誘発性タンパク質(P12273)、タンパク質S100 A8及びA9(P05109及びP06702)、及びタンパク質ヒストン(Q5R2W0)、の発現を刺激することを示した。
【0155】
従って、本発明の溶解物は、表皮のバリヤー機能を強化し、特に脂性の頭皮に関して、Malassezia spによる表皮の過剰なコロニー化の有害な効果を処理し及び/又は防ぐことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Bifidobacterium species属の少なくとも1の微生物の溶解物又はその画分を、脂性の頭皮の状態を処理する及び/又は防ぐために化粧的に使用する方法。
【請求項2】
上記溶解物が、頭皮の脂性のフケ状態を防ぐ及び/又は処理するためのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記溶解物が、脂肪質頭皮の脂漏性皮膚炎を防ぐ及び/又は処理するためのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記溶解物が、脂性の頭皮の掻痒を防ぐ及び/又は処理するためのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記溶解物が、脂性の頭皮のバランスのとれたエコフローラを再構築するためのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記溶解物が、脂性の頭皮の抗菌性防御を改善する及び/又は回復するためのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
Bifidobacterium species属の微生物が、Bifidobacterium longumである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記溶解物が、0.1〜50重量%の活性物質を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
上記溶解物が、少なくとも1の追加の微生物の少なくとも有効量及び/又はその画分であって上記溶解物とは異なるものと混合される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
Bifidobacterium species属の少なくとも1の微生物の溶解物又はその画分を、脂性の頭皮の炎症を防ぐ及び/又は処理するための組成物を製造するために使用する方法。
【請求項11】
脂性の頭皮状態を防ぐ及び/又は処理するために使用されることのできる化粧料及び/又は皮膚科学組成物において、生理学的に許容される媒体中に、Bifidobacterium species属の少なくとも1の微生物の少なくとも1の溶解物又はその画分を、少なくとも1の抗フケ活性物質の有効量と組み合わせて含む、化粧料及び/又は皮膚科学組成物。
【請求項12】
患者の脂性の頭皮の審美上の異常を処理する及び/又は防ぐための化粧的方法において、上記患者にBifidobacterium species属の少なくとも1の微生物の溶解物又はその画分を投与する少なくとも1のステージを含む方法。

【公開番号】特開2010−111670(P2010−111670A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−246823(P2009−246823)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】