説明

脂肪酸エステル結晶の調製方法

本発明は、濃縮された流体脂肪酸エステル結晶成分を調製する改善された方法、および前記濃縮流体成分の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸エステルをベースとする結晶をベースとする流体濃縮成分を調製する改善された方法、およびこの流体濃縮成分の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪酸エステルの結晶、例えばエチレングリコールジステアラート(EGDS)の結晶は、一定量のパール光沢を与える作用剤として、ならびに/または増粘剤および/もしくは安定化剤として、化粧品製剤に一般に用いられる生成物である。これらの結晶は、化粧品組成物の調製中に形成され得る。しかしながら、実用的および経済的理由から、これらの結晶は多くの場合、化粧品製剤の他の成分と混合することを意図した、そのまま使用できる流体濃縮成分の形態で販売されている。
【0003】
従って、脂肪酸エステルをベースとする流体濃縮成分を調製する方法は知られている。これらの方法は、界面活性剤の存在下、水に融解している、脂肪酸エステルをベースとする化合物のエマルションを冷却することによって前記化合物を固化することに基づくものである。この同じエマルションの場合、生じる結晶の特性は、冷却条件によって決まる可能性がある。このステップは、慣習的に攪拌タンクなどの攪拌反応器で行われる。典型的に、例えばジャケット付きタンク技法によって、タンクに充填したエマルションを冷却壁に接触させる。
【0004】
例えば、文献DE3617306(Henkel)は、脂肪酸エステルをベースとする加熱したエマルションを、流動させることなくゆっくりと冷却する、脂肪酸エステルをベースとする生成物を調製する方法を記載している。
【0005】
文献DE19511571およびUS6306916(Henkel)は、脂肪酸エステルをベースとする加熱したエマルションを、流動させることなくゆっくりと冷却する、脂肪酸エステルをベースとする生成物を調製する方法を記載している。
【0006】
文献EP581193(Hoechst)は、脂肪酸エステルをベースとする加熱したエマルションをゆっくりと冷却する、脂肪酸エステルをベースとする生成物を調製する方法を記載している。この冷却は、毎分約0.5℃で行うことができることが示されている。
【0007】
文献WO9503782(ICI)は、脂肪酸エステルをベースとする加熱したエマルションをゆっくりと冷却する、脂肪酸エステルをベースとする生成物を調製する方法を記載している。この冷却は、毎分約0.25℃(毎時15℃)までで行うことができることが示されている。
【0008】
文献US4486334(Lion)は、界面活性剤と共に溶解した液晶形態の脂肪酸エステルをゆっくりと冷却する、脂肪酸エステルをベースとする生成物を調製する方法を記載している。この冷却法は示されていない。このような方法は界面活性剤に応じて液晶を形成する能力に大きく依存するため、比較的に非実用的であり、調節可能ではない。
【0009】
文献DE4103551、WO9213512、CA2103578、およびEP0570398(Henkel)は、脂肪酸エステルをベースとする加熱したエマルションを、流動させることなくゆっくりと冷却する、脂肪酸エステルをベースとする生成物を調製する方法を記載している。
【0010】
冷却工程の均一性および動態は、特に反応器における攪拌条件に関係する。媒質の攪拌条件が遅いほど、冷却は長く、均一でない。
【0011】
全体として攪拌エマルションの冷却挙動は、濃縮物の光学特性の著しい低下なしには困難であることが判明し得る。この場合、高いパール光沢性の濃縮物を得るために、冷却の一部は攪拌の不在下で行う必要がある。この制約はこの工程の工業化への応用を困難にし、生産効率を著しく低下させる。例えば、標準的な冷却条件下、工業的な10から25m反応器の使用は、この操作を完了するために1日から数日を要する可能性がある。このような時間は低い生産効率を示す。同時に、同等の製剤の場合、工業的に得られた濃縮物の特性は、一般に実験室規模で得られたものより劣る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許第3617306号明細書
【特許文献2】独国特許第19511571号明細書
【特許文献3】米国特許第6306916号明細書
【特許文献4】欧州特許第581193号明細書
【特許文献5】国際公開第9503782号
【特許文献6】米国特許第4486334号明細書
【特許文献7】独国特許第4103551号明細書
【特許文献8】国際公開第9213512号
【特許文献9】カナダ特許第2103578号明細書
【特許文献10】欧州特許第0570398号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の少なくとも1つの困難または少なくとも1つの期待に応えることのできる改善された方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本発明は、脂肪酸エステルをベースとする結晶を含む流体濃縮成分を調製する方法であって、以下の
ステップa)水、脂肪酸エステルをベースとする化合物、および界面活性剤を含むエマルションを調製するステップであって、前記エマルションが、脂肪酸エステルをベースとする化合物の融点より高い温度であるステップ、
ステップb)エマルションのストリームを導入し、これ自体の流れによって生じるストリームの攪拌を可能にする冷却装置内を流動させて冷却の少なくとも1段階を用いることによって、エマルションを化合物の融点より低い温度に冷却して、結晶を形成するステップ、
ステップc)冷却装置の下流で結晶および界面活性剤を含む流体のストリームを回収するステップ、
ステップd)場合により、さらにストリームの冷却を行うステップ、
ステップe)場合により、他の化合物を流体に添加し、ならびに/または流体を希釈および/もしくは混合するステップ、
ステップf)流体濃縮成分を回収するステップを含む方法を提示する。
【0015】
本発明はまた、典型的にこれらの製剤の他の成分と混合することによる、発泡製剤、特に化粧品製剤における得られた生成物の使用に関する。本発明はまた、典型的に流体濃縮成分を調製する段階、続いて他の成分と混合する段階を含む、このような製剤を調製する方法に関する。
【0016】
この方法は、特に以下の改善の少なくとも1つを提供することを可能にする。
【0017】
生産効率の改善、
特に光学特性に関して、より高い生産規則性、
実験室規模で得られた操作条件、工程データ、組成、および適用特性(例えば、光学特性)のより容易な工業規模への応用、
工業化の高い容易性。
【0018】
さらに、この方法の実施は、本発明の方法によって実験室規模で調製された流体濃縮成分を、工業規模で同様に調製できるかどうかの判定を可能にする。従来技術による方法を用いた場合、実験室規模で試験を行った流体濃縮成分を工業化することは、非常に長期にわたり、非常に困難であるか、または場合によっては不可能であることが判明する可能性がある。
【0019】
定義
本特許出願において、用語「流体濃縮成分」は、結晶少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは35重量%未満、典型的には15重量%から30重量%、例えば15%から18%、または18%から22%、または22%から26%、または26%から30%を含む組成物を意味する。この成分は通常、他の成分を含むシャンプー、ヘアコンディショナー、またはシャワージェルなどの化粧品製剤の調製に用いられ、さらに結晶として希釈されることが意図される。従って、用語「流体濃縮成分」は、特に完成した化粧品製剤に対立するものとして用いられる。従って、流体濃縮成分は、冷パール濃縮物と称することもできる。
【0020】
用語「脂肪酸エステルをベースとする」化合物は、脂肪酸少なくとも75重量%、および場合により他の化合物を含む化合物または組成物を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ステップb)を実施するために、単独でまたはモジュールとして用いることのできる冷却装置の実施形態を示す図である。
【図2】急冷(chilling)を行い、ステップd)およびe)を行わない、本方法の特定の実施形態のブロック図である。
【図3】Sulzer(登録商標)Mixer Reactor(SMR(登録商標))型の交換器を用いる冷却装置の実施形態を示す図である。 これらの図において、括弧内の数字は材料のストリームを示し、括弧のない数字は装置の構成部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
脂肪酸エステルをベースとする化合物
脂肪酸エステルをベースとする化合物は、室温、好ましくは温度25℃で固体の化合物である。特にこの融点が30℃超、好ましくは40℃超、好ましくは50℃超の化合物であることができる。
【0023】
結晶のベースである脂肪酸エステルは、特に脂肪酸と下式(I)のジオールまたはポリオールとのエステルであることができ、
[R−COO−]−A−[−OH](I)
式中、
Rは、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖C13−C21、好ましくはC15−C21炭化水素ベース基であり、
Aは、場合により1つ以上のヘテロ原子で中断された、価数x+yの炭化水素ベース基であり、
xは、平均数1から5であり、
yは、平均数0から5であり、
x+yは、平均数1から10、好ましくは2から5である。
【0024】
本特許出願において、平均数は、整数または小数を示すことができる。本特許出願において、語句「XからY」は、限界値XおよびYを含む。
【0025】
yが0以外である場合、部分エステルであることを意味する。y=0である場合、完全にエステル化された化合物であることを意味する。例えば、x+y=2、y=0、およびx=0である場合、ジエステルである(完全エステル化)。
【0026】
基Aは、式A−(−OH)x+yの化合物がジオールまたはポリオールである基である。これは特にエチレングリコールなどのジオール、またはグリセロールなどのポリオールであることができる。
【0027】
有利には、
Aは、2価の基(x+y=2、A−(−OH)x+yはジオールである。)であり、
y=0である。
【0028】
基Aは、特に下式を有することができ、
−(CH−[EO]−[PO]−(CH
式中、
zは、同一であるかまたは異なることができ、1から10の整数であり、
EOは、任意のエチレンオキシド基であり、nは、平均数0から100、好ましくは0から10であり、
POは、任意のプロピレンオキシド基であり、mは、平均数0から100、好ましくは0から10である。
【0029】
基EOおよび/またはPOの1つが存在する場合、式A−(−OH)の化合物は、(ポリ)エトキシ化および/もしくは(ポリ)プロポキシ化、またはエチレングリコールおよび/もしくはプロピレングリコールの縮合の生成物であることができる。
【0030】
好ましくは、基Aは、EOおよび/またはPO基を含まず、C−C10、好ましくはC−Cアルキレン基である。基Aは、特にメチレン、エチレン、プロピレン、もしくはブチレン基、またはこれらの基の混合物であることができる。
【0031】
基Rは、炭化水素ベース基、例えば飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖C13−C21、好ましくはC15−C21アルキル基である。これは式R−COOHのC14−C22、好ましくはC16−C22脂肪酸に相当するアルキル基である。これらの脂肪酸およびアルキル基は知られている。これらは一般に植物油の誘導体である。これらは混合物として存在することができる。これらが混合物である場合、重量による量において優勢である(相対過半数、好ましくは絶対過半数、好ましくは少なくとも75%)基(または対応する酸)が定義を満たすならば、炭素原子数に関係なく、すべての基は定義に含まれる。基(または対応する酸)の名称は優勢な基(または酸)に単純化するのが一般的である。
【0032】
基Rは、特にC14またはC16またはC18またはC22脂肪酸、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、またはベヘン酸に相当することができる。好ましくは、基R−COO−は、C18脂肪酸、好ましくはステアリン酸に相当する。
【0033】
特に有利には、エチレングリコールジステアラート(EGDS)をベースとする化合物を用いることが可能である。用語「エチレングリコールジステアラートをベースとする」化合物は、エチレングリコールジステアラート少なくとも75重量%、および場合により他の化合物、特にエチレングリコールモノステアラート(EGMS)を含む化合物または組成物を意味する。特に他の化合物の存在に関して、以下に別段の言及または指定のないかぎり、用語エチレングリコールジステアラートまたは頭字語EGDSは、エチレングリコールジステアラートをベースとする化合物を示すことになる。特定の一実施形態によれば、脂肪酸エステルは、エチレングリコールジステアラート少なくとも80重量%、および場合によりエチレングリコールモノステアラートを含む。これは特に、
エチレングリコールジステアラート80重量%から99重量%、好ましくは80重量%から90重量%、好ましくは約85重量%、および
エチレングリコールモノステアラート1重量%から20重量%、好ましくは10重量%から20重量%、好ましくは約15重量%を含むことができる。
【0034】
界面活性剤系
本発明の方法は、少なくとも1種の界面活性剤を用いる。界面活性剤は、特にエマルションの形成を可能にする。単一の界面活性剤または幾つかの界面活性剤が用いられるにしても、以下において「界面活性剤系」と言及され得る。
【0035】
界面活性剤系は、特に非イオン性界面活性剤および/またはアニオン性界面活性剤を含むことができる。ベタイン(例えば、アルキルジメチルベタインまたはアルキルジメチルアミドアルキルベタイン)またはイミダゾリン誘導体(例えば、アルキルアンホアセタートまたはアルキルアンホジアセタート)などの少なくとも1種の両性界面活性剤を含むことも除外されない。製剤の成分として用いることのできる界面活性剤は以下の別の場所に挙げる。アニオン性および/または非イオン性界面活性剤に関して、例えば、場合により硫酸化されたエトキシ化脂肪アルコール、例えばエトキシ化脂肪アルコール(非イオン性界面活性剤)、または硫酸化エトキシ化脂肪アルコール(非イオン性界面活性剤)であることができる。界面活性剤がアニオン性界面活性剤、例えば硫酸化エトキシ化脂肪アルコールである場合、一般に塩、例えばナトリウムまたはアンモニウム塩の形態であることが言及される。
【0036】
一実施形態によれば、界面活性剤系は、
非イオン性界面活性剤、好ましくはエトキシ化脂肪アルコール、および
場合により別の界面活性剤、好ましくはアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、およびエトキシ化脂肪アルコール以外の非イオン性界面活性剤、ならびにこれらの混合物から選択された界面活性剤を含む。
【0037】
別の実施形態によれば、界面活性剤系は、
アニオン性界面活性剤、好ましくは硫酸化エトキシ化脂肪アルコール、および
別の界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、および硫酸化エトキシ化脂肪アルコール以外のアニオン性界面活性剤、ならびにこれらの混合物から選択された界面活性剤を含む。
【0038】
エトキシ化脂肪アルコール(非イオン性界面活性剤)のなかで、より具体的には、脂肪アルコールが飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖、ならびにC−C22、好ましくはC−C20、および好ましくはC10−C14のもの、特にラウリルアルコールである化合物が挙げられる。脂肪アルコールは一般に、植物製品または石油留分に由来する混合物であることが指摘される。炭素原子数は、優勢な種類の平均数または炭素数であることができる。これらの脂肪アルコールはエトキシ化されている。エトキシ単位の数平均数は1から25、好ましくは5から9.5であることができる。特に有利なエトキシ化脂肪アルコールは、エトキシ単位の数平均数が5から9.5、好ましくは5から9、例えば7または9である、エトキシ化C10−C14脂肪アルコールである。
【0039】
アニオン性界面活性剤は、例えば飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖、エトキシ化および硫酸化C10−C14アルコールから選択することができる。これは例えば、好ましくは分岐鎖であり、2から10回エトキシ化、例えば3回エトキシ化され、硫酸化されている、トリデシルアルコールであることができる。例として、Rhodiaから販売されているRhodapex EST 30(INCI:トリデセス−3硫酸ナトリウム)が挙げられる。
【0040】
両性界面活性剤は、特にアルキルアミドプロピルベタイン、例えばコカミドプロピルベタイン、および/またはイミダゾリン誘導体、例えばアルキルアンホアセタートもしくはアルキルアンホジアセタート、特にラウロアンホアセタートもしくはジアセタート、またはココアンホアセタートもしくはジアセタートから選択することができる。
【0041】
流体濃縮成分
有利には、流体濃縮成分は、
結晶少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、通常30重量%以下、
界面活性剤少なくとも2.5重量%、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、通常25重量%以下を含む。
【0042】
用いられる脂肪酸エステルおよび界面活性剤の量は、本方法の実施時の結果として調節することができる。工程の最後またはその後に、水または他の成分を添加することによって希釈を行うことも除外されない。
【0043】
流体濃縮成分は、特に保存剤(一般に少量、例えば約0.1重量%)、緩衝剤、安定化剤、および光学特性を改変する作用剤などの添加剤を含むことができる。
【0044】
流体濃縮成分は、50mmスピンドルを備えたRheometrics(登録商標)ARESレオメータなどのプレート/プレート・フロー・レオメータを用いて測定された、20℃、剪断速度0.1s−1での粘度10から10000Pa.s、例えば100または500から5000Pa.sを有することができる。
【0045】
工程
ステップa)において、水、脂肪酸エステルをベースとする化合物、および界面活性剤を含むエマルションが調製され、前記エマルションは、脂肪酸エステルをベースとする化合物の融点より高い温度である。ステップa)は、脂肪酸エステルをベースとする化合物の融点より高い温度でエマルションを形成するための任意の方法によって、既知の様式で行うことができる。この工程は、特に脂肪酸エステルを融解し、これに続いてまたは同時に界面活性剤系の存在下で乳化することによって行うことができる。
【0046】
特定の一実施形態によれば、ステップa)は、以下の
a1)水、脂肪酸エステルをベースとする固体粒子、および界面活性剤を含む分散体を調製するステップ、
a2)分散体を加熱して、脂肪酸エステルをベースとする粒子を液化するステップを含む。
【0047】
ステップa)は、特にバッチ方式、半連続的、または連続的に、好ましくはタンクで、例えば攪拌タンク(11)で行うことができる。
【0048】
冷却ステップb)の前、エマルションの温度は、典型的に脂肪酸エステルの融点より1℃以上、好ましくは5℃以上、好ましくは10℃以上高い。EGDSの場合、この工程は、好ましくは55℃以上、好ましくは60℃以上、好ましくは55℃から70℃、好ましくは60℃から70℃または65℃の温度で行われる。
【0049】
ステップb)において、エマルションを化合物の融点より低い温度に冷却して、結晶を形成する。このステップは、エマルションのストリーム(1)を導入し、これ自体の流れによって生じるストリームの攪拌を可能にする冷却装置(2)を流動させることによる冷却段階を含む。ステップb)で行われる冷却のすべてまたは一部は、冷却装置を用いて行うことができる。冷却の一部は、冷却装置の上流、冷却装置内、または下流でも、急冷操作によって行うことができることに留意されたい。ステップb)は特に、
場合により、冷却装置の上流または冷却装置内で、急冷流体をストリームと混合する急冷操作、および/または
場合により、脂肪酸エステルをベースとする化合物をベースとする結晶を含む種晶添加流体をストリームと混合する任意の種晶添加操作を含むことができる。
【0050】
急冷および/または種晶添加操作に関する詳細は後に示す。
【0051】
エマルションのストリームを導入するために、ステップa)で得られたエマルションを特に連続して取り出して、これを冷却ステップb)の下流に提供することができる。この工程は、例えばポンプ(12)を用いて行うことができる。
【0052】
ステップb)において、物質のストリームを流動装置に流動させ、このストリームを冷却する。従って、エマルション導入時点の温度は、出口時点での温度より高い。流動装置で、物質のストリームは、エマルションから流動装置の出口での結晶を含む流体へと変換される。ステップb)は典型的に連続的に行われる。
【0053】
ステップb)で行われる冷却は、好ましくは少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃である。流動冷却装置で行われる冷却段階は、好ましくは少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃である。
【0054】
流動装置は典型的に、閉鎖壁(4)として知られる壁で境界を定められた流動域(3)を有する。これらの壁は、ストリームが流動する空間の境界を定める。流動域は典型的に、この横断面が様々な形状、例えば円形、正方形、長方形、または楕円形であることのできる管状装置内部であることができる。管状装置の管は、閉鎖壁の全部、または閉鎖壁の一部を構成することができる。
【0055】
ステップb)において、流動するストリームは、この流れ自体によって生じる攪拌に供される。流動という単純な事実によって攪拌が生じ得る。好ましくは、攪拌は、流動障害物(5)によって生じる。これらの障害物は典型的に、流動域の内部に提供される。これらの障害物は、好ましくは静止している。しかしながら、移動攪拌子などの移動装置を用いてさらなる攪拌を生じることも除外されない。有利な一実施形態によれば、障害物は、流動域の容積の少なくとも1%、例えば1%から5%、または5%から10%、または10%から15%、または15%から20%、または20%から25%、または25%から30%、または30%から40%、または40%から50%、または50%から75%の容積に相当する。
【0056】
静止または非静止障害物は、特に様々な形状の幾何学的挿入物であることができる。障害物はまた、流動脈(flow−vein)分離器および/または収集器のアセンブリで構成されることもできる。冷却挿入物は、流動域内部で障害物として用いることもできる。
【0057】
ステップb)の冷却は、任意の適切な手段によって行うことができる。このような手段は当業者に知られている。特に冷却流体を用いることができる。このような冷却操作および適切な装置は当業者に知られている。特に管式交換器、多管式交換器、コイル式交換器、プレート式交換器、またはSulzer(登録商標)Mixer Reactor(SMR(登録商標))型の交換器を用いることが可能である。
【0058】
冷却ステップb)は、例えば冷却回路(7)を循環する冷却流体(6)によって達成することができる。冷却回路は典型的に、少なくともこの一部がストリームに接触している、冷却壁(8)として知られる壁で境界を定められている。ストリームに接触している壁の部分は、冷却域の境界とみなすことができる。閉鎖壁および冷却壁は、少なくとも一部にわたって、流動域を冷却回路から分離する、即ちストリームを冷却流体から分離する共通壁を構成することに留意されたい。これらは、壁または壁の一部に接触している(例えば、接着、溶接、または取り付けられている)同じ構成部分または幾つかの構成部分の壁または壁の一部であってよいことに留意されたい。図1に示した実施形態において、閉鎖壁(4)および冷却壁(8)は同一である。
【0059】
第1の実施形態によれば、冷却回路は流動域の内部に置かれ、回路は流動の障害物を構成する。この実施形態の特定の一変形を、図3によって例示する。この実施形態を実施するために、特にSulzer(登録商標)Mixer Reactor(SMR(登録商標))型の交換器を用いることができる。
【0060】
第2の実施形態によれば、冷却回路は流動域の外部に置かれる。
【0061】
第2の実施形態の一変形によれば、流動域は、例えば静止型ミキサと共に内部に提供された、閉鎖壁を構成する少なくとも1つの管状導管で構成されることができ、閉鎖壁の少なくとも一部は冷却回路の少なくとも一部との共通壁を構成する。冷却装置は、例えばジャケット付き管式交換器であることができ、冷却回路は管状回路であり、ストリームが流動する内部管状導管がこの内部に置かれている。このような変形を図1に例示する。
【0062】
特定の一実施形態において、同じ導入温度、または可変、例えば上昇もしくは下降導入温度で、一連の冷却流体が流動する一連の冷却回路が用いられる。このような実施形態は、流動を通じて冷却プロファイルを制御および/または変更することを可能にする。
【0063】
特定の一実施形態において、ステップb)の冷却装置は、上記の冷却装置を構成する一連のモジュール(9)で構成される。図2はこのような特定の実施形態を例示する。モジュール(9)は図1に例示した装置であることができる。
【0064】
特定の一実施形態において、ステップb)で、混合が行われる時点のストリームの温度以下の温度、好ましくは脂肪酸エステルをベースとする化合物の融点以下の温度で、ストリームを低温急冷流体(10)と混合することによって、急冷が行われる。この混合は、流動装置および/もしくは流動域および/もしくは冷却回路と接触している帯域の上流、または流動装置および/もしくは冷却装置の流動域、例えば冷却域の最初の4分の1、好ましくは最初の8分の1、好ましくは最初の16分の1に位置する流れの時点で行うことができる。急冷流体は、特に25℃以下の温度であることができる。急冷流体は、純水、または添加剤を含む水であることができる。
【0065】
急冷流体は、プライマまたは種晶として、脂肪酸エステルをベースとする化合物をベースとする結晶を含むことができる。急冷流体は、ステップc)、d)、またはe)から回収された流体の一部であることができる。プライミングまたは種晶添加は、結晶の出現を促進し、および/またはある種の結晶形態の生成を増進し、従って得られる光学特性の制御を促進することができる。急冷流体の使用を図2に例示する。
【0066】
同様に、種晶添加は、脂肪酸エステルをベースとする化合物の融点以上の温度で、ストリームを種晶添加流体と混合することによって行うことができる。この混合は、流動装置および/もしくは流動域および/もしくは冷却回路と接触している帯域の上流、または流動装置および/もしくは冷却装置の流動域、例えば冷却域の最初の4分の1、好ましくは最初の8分の1、好ましくは最初の16分の1に位置する流れの時点で行うことができる。種晶添加流体は、プライマまたは種晶として、脂肪酸エステルをベースとする化合物をベースとする結晶を含むことができる。種晶添加流体は、ステップc)、d)、またはe)後に回収された流体の一部であることができる。プライミングまたは種晶添加は、結晶の出現を促進し、および/またはある種の結晶形態の生成を増進し、従って得られる光学特性の制御を促進することができる。
【0067】
慣例により本特許出願において、結晶を含む流体が混合されている場合、この流体は温度に応じて、急冷流体または種晶添加流体とみなされる。
【0068】
冷却装置は、特にストリームの温度および/もしくは圧力、ならびに/または熱交換流体の温度を測定するプローブを備えていてもよいことが言及される。このようなプローブは特にこの工程の制御を可能にすることができる。
【0069】
ステップb)の実施は、特に静止型ミキサの存在下、流動装置にどのような遮断または遮蔽も起こさないことが観察されている。
【0070】
好ましくは、ステップa)およびb)において、以下のとおり
ステップc)で回収される生成物が、脂肪酸エステル少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%を含むような脂肪酸エステルをベースとする化合物の量、
ステップc)で回収される生成物が、界面活性剤少なくとも2.5重量%、好ましくは5重量%、好ましくは少なくとも10重量%を含むような界面活性剤の量である、脂肪酸エステルをベースとする化合物および界面活性剤の量が用いられる。
【0071】
特定の一実施形態によれば、
ステップa)は、連続的、バッチ方式、または逐次的に行われ、
ステップb)は、連続的に行われる。
【0072】
ステップb)の後、ステップc)において、結晶および界面活性剤を含む流体のストリーム(13)が、冷却デバイスの下流で回収される。これは室温のストリーム、または依然として高温のストリームであることができる。高温のストリームである場合、流体を冷却する追加ステップd)を行うことができる。このようなステップd)は、流動を伴う装置で連続的に、または流動を伴わない装置で静的に、バッチ方式でもしくは半連続的に行うことができる。ステップd)は、特に放置して室温に冷ますことによって、または冷却を制御することによって、攪拌することのできるタンクで行うことができる。このタンクは、ジャケット付き冷却回路および/または内部コイルなどの冷却手段を用いてまたは用いずに、冷却することができる。結晶の形成後の追加の冷却ステップd)は、調製される流体濃縮成分の特性にとってそれほど重要ではない。このステップは生産効率および/または特性に影響を及ぼすことなく行うことができる。
【0073】
ステップc)および/またはステップd)で回収された結晶および界面活性剤を含む流体は、所望の流体濃縮成分を構成することができる。一実施形態によれば、流体の組成は、所望の流体濃縮成分が得られるように調節することができる。この目的のために、他の化合物を流体に添加する、ならびに/または流体を希釈および/もしくは混合する、任意のステップe)を行うことができる。従って、ステップe)において、流体濃縮成分の組成を、意図される最終製剤に適合させることができる。ステップe)は、特にタンクで、好ましくは攪拌しながら行うことができる。ステップe)において、水もしくは溶媒、保存剤、pH調整剤、光学特性改変剤、安定化剤もしくは懸濁剤、他の界面活性剤(またはすでに存在する界面活性剤の濃度を調節)、または分散剤を特に添加することができる。
【0074】
ステップd)およびe)は、同時に、またはd)次いでe)、もしくはe)次いでd)の順に続いて行ってもよいことが言及される。
【0075】
ステップd)およびe)が行われないとき、ステップc)およびf)は同一であることが指摘される。
【0076】
ステップc)および/またはf)において、例えば、ストリームおよび/または濃縮物をタンクおよび/または輸送用の容器(14)に回収することが可能である。
【0077】
本発明の方法は特に、良好で安定なパール光沢および光学特性を有する流体濃縮成分の調製を可能にする。
【0078】
驚いたことに、またどのような理論にも拘束されることを望むものではないが、ステップb)の実施は、エマルションの冷却が熱交換能力によって制限されないことを可能にし、これが結晶動態によって制御され得ると結論づけることができる。これは特に、実験室規模で調製された流体濃縮成分が工業規模において実行可能性を有するかどうか、従ってこれらの特性を保存して工業規模に移行できるかどうかをより容易に判定することを可能にする。
【0079】
流体濃縮成分を含む製剤
本発明の方法によって得られた流体濃縮成分は、さらに他の成分を含む製剤に用いることができる。これらの製剤は、好ましくは消費者製品製剤である。これらは特に化粧品製剤または家庭用保守製剤であることができる。これらの製剤は特に発泡製剤であることができる。これらは、例えば洗浄(washing−up)または食器洗浄用製品であることができる。これらはまた、硬質表面を洗浄する、例えば床またはトイレを洗浄するための製品であることができる。これらはまた、毛髪洗浄、ヘアケア、もしくは毛髪成形用製剤、例えばシャンプーもしくはヘアコンディショナー、または皮膚洗浄またはスキンケア用製剤、例えばシャワージェル、衛生製品、もしくは化粧落とし製品であることができる。このような製剤において、結晶は特に製剤の視覚を改変するための作用剤(特に光沢および/または不透明および/またはパール光沢の外観)、および/または毛髪の外観を改変するための作用剤(特につやおよび/または不透明および/またはパール光沢の外観)、および/または固体もしくは液体粒子の懸濁を促進する(エマルション)ための作用剤(例えば、安定化剤)として用いることができる。これは特に光沢および不透明性を調整する、好ましくは幾つかの色の反射を有する相当な光沢および不透明の真珠様効果をもたらす作用剤として用いることができる。
【0080】
用いる流体濃縮成分の量は、製剤に含まれる結晶の量が5重量%未満、典型的には1重量%から4重量%であるような量であることができる。
【0081】
流体濃縮成分の形態で導入される結晶の他に、これらの製剤は、考慮される適用分野で一般に用いられる任意の成分を含むことができる。従って、これらの製剤は、特に界面活性剤を含むことができる。化粧品製剤の場合、特に以下が挙げられる。
【0082】
化粧品として許容される媒体(vector)、特に水性、アルコール、またはヒドロキシアルコール媒体、
非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両性(双性イオン性を含む)界面活性剤、およびこれらの混合物、特に流体濃縮成分に存在できるとして挙げたもの、
溶解形態または固体もしくは液体粒子の形態の活性剤、例えば、ふけ防止粒子、および鉱物または有機UV遮断剤、
天然、鉱物、もしくは植物油、これらの誘導体、または合成油、特にシリコーン。シリコーンは、特に溶解または分散形態、特にジメチコーン、アモジメチコーン、ジメチコノール、カチオン性シリコーン、およびポリエチレングリコールブロックを含むシリコーン、油の形態、または平均寸法2μm超または未満を有するエマルションの形態、または0.15μmより小さいマイクロエマルションの形態、またはさらに溶解形態であることもできる。エマルションの場合、乳化はその場で、または事前に行うことができる。シリコーンの粘度は、例えば50000cP未満、または50000から200000cP、または200000cP超であることができる、
天然または合成由来のコンディショニングおよび/もしくは安定化ポリマー、ならびに/または懸濁剤、ならびに/または粘度改変剤、特に
カチオン性または両性ポリマー、例えばカチオン性グアー、カチオン性多糖類、例えばPQ−10、カチオン性合成ポリマー、例えばPQ−7、ならびに両性合成ポリマー、例えばPQ−22、PQ−39、およびPQ−47、
pHを改変することによって粘度を上昇させる粉末または水性分散液の形態であり、架橋していてもよい、アクリラート型(メタクリラートを含む。)の増粘剤および/または安定化剤、特にNoveonから商標名Carbopol(登録商標)で販売されている化合物、ならびに/またはこのINCI名がカルボマー、アクリラートコポリマー、およびアクリラート/C10−30アルキルアクリラートクロスポリマーである化合物、
天然ポリマーから誘導された増粘剤および/または安定化剤、例えば部分的に解重合されていてもよい非グラフト化グアー、ヒドロキシプロピルグアー、キサンタンガム、
塩、例えば塩化ナトリウム、
香料、
保存剤、例えばGlydantの名称で販売されている化合物、およびパラベン、
EGDSベースの作用剤以外の鉱物作用剤、
EGDS以外の、C10−C30、好ましくはC16−C22脂肪酸とポリオールもしくはモノアルコールのエステル、またはC10−C30、好ましくはC16−C22脂肪アルコールのエーテル、例えばジステアリルエーテル、ならびにポリエトキシ化および/またはポリプロポキシ化ステアラートまたはジステアラート、例えばPEG−3ジステアラート、PEG/PPGジステアラート、PEG−200ジステアラート、PEG−150ジステアラート、およびPEG−100ジステアラート、
pH調節剤。
【0083】
製剤に用いることのできるある種の成分に関する幾つかの詳細を以下に示す。
【0084】
化粧品として許容される媒体
両性ポリマーを製剤化し、意図される用途の所望の形態の化粧品組成物を得ることを可能にする化粧品として許容される任意の媒体を用いることができる。様々なタイプの製剤用の化粧品として許容される種々の媒体が当業者に知られている。
【0085】
化粧品として許容される媒体の例として、水性媒体(水を含む。)、アルコール媒体(アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、またはポリエチレングリコールを含む。)、プロピレングリコール、および水性−アルコール媒体(水とアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、またはポリエチレングリコールとの混合物を含む。)を挙げることができる。ある種の揮発性または不揮発性油も用いることができる。例えば、シクロペンタシロキサンなどの流体シリコーン、例えばRhodiaから販売されているMirasil CM5が挙げられる。
【0086】
当業者は、所望のタイプの製剤および意図される用途に適合した媒体をどのように選択するか承知している。例えば、水性媒体は、一般にシャンプーまたはシャワージェルに用いられる。プロピレングリコール媒体は、クリームの形態の組成物に用いることができる。シクロメチコーン媒体は、化粧組成物、例えばファンデーションに用いることができる。
【0087】
製剤用の界面活性剤
製剤は少なくとも1種の界面活性剤(iv)を含むことができる。これは種々の界面活性剤の混合物であることができる。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、もしくは両性界面活性剤、または混合物もしくは組み合わせであることができる。組成物に含まれる界面活性剤は、好ましくは少なくとも1種のアニオン性またはカチオン性界面活性剤を含む。界面活性剤はまた、両性(真の両性、または双性イオン性)界面活性剤、および中性界面活性剤(非イオン性界面活性剤)を含むことができる。少なくとも1種のアニオン性界面活性剤および少なくとも1種の両性界面活性剤を含む製剤は、特に柔らかさのために、特に有利である。組成物中の界面活性剤の総含有量は、一般に0から30重量%である。
【0088】
洗い流すまたは洗い流さないヘアコンディショニング製剤の場合、界面活性剤は、好ましくは不在であるか、または5重量%未満の量で存在し、好ましくはカチオン性界面活性剤であることができる。
【0089】
シャンプーなどの毛髪を処理するための製剤の場合、界面活性剤含有量は、有利には10重量%から20重量%である。このような製剤は、塩、例えば塩化ナトリウムまたは塩化アンモニウムを、有利には3重量%未満の量で含むことができる。
【0090】
シャワージェルなどの皮膚を処理するための製剤の場合、界面活性剤含有量は、有利には5重量%から15重量%である。このような製剤も好ましくは、少なくとも2重量%の塩、例えば塩化ナトリウムまたは塩化アンモニウムを含む。
【0091】
ヘアコンディショナーの場合、界面活性剤含有量は、5重量%未満であることができる。
【0092】
界面活性剤の総量に対するアニオン性界面活性剤の重量の割合は、好ましくは50%超、好ましくは70%超である。
【0093】
アニオン性界面活性剤は、以下の界面活性剤から選択することができる。
【0094】
アルキルエステルスルホナート、例えば式R−CH(SOM)−CHCOOR’のもの、またはアルキルエステルスルホナート、例えば、式R−CH(OSOM)−CHCOOR’(式中、RはC−C20、好ましくはC10−C16アルキル基を表わし、R’はC−C、好ましくはC−Cアルキル基を表わし、Mはアルカリ土類金属カチオン、例えばナトリウム、またはアンモニウムカチオンを表わす。)のもの。もっとも具体的には、基RがC14−C16であるメチルエステルスルホナートを挙げることができる。
【0095】
アルキルベンゼンスルホナート、より具体的にはC−C20のもの、第1級または第2級アルキルスルホナート、特にC−C22のもの、およびアルキルグリセリルスルホナート、
アルキルスルファート、例えば式ROSOM(式中、RはC10−C24、好ましくはC12−C20アルキルまたはヒドロキシアルキル基を表わし、Mは上記と同じ定義のカチオンを表わす。)のもの、
アルキルエーテルスルファート、例えば式RO(OA)SOM(式中、RはC10−C24、好ましくはC12−C20アルキルまたはヒドロキシアルキル基を表わし、OAはエトキシまたはプロポキシ基を表わし、Mは上記と同じ定義のカチオンを表わし、nは一般に1から4の範囲であり、例えばn=2のラウリルエーテルスルファートである。)のもの、
アルキルアミドスルファート、例えば式RCONHR’OSOM(式中、RはC−C22、好ましくはC−C20アルキル基を表わし、R’はC−Cアルキル基を表わし、Mは上記と同じ定義のカチオンを表わす。)のもの、さらにこれらのポリアルコキシ化(エトキシ化および/またはプロポキシ化)誘導体(アルキルアミドエーテルスルファート)、
飽和または不飽和脂肪酸の塩、例えばC−C24、好ましくはC14−C20および/またはアルカリ土類金属カチオンのもの、N−アシル−N−アルキルタウラート、アルキルイセチオナート、アルキルスクシナート、およびアルキルスルホスクシナート、アルキルグルタマート、スルホスクシナートモノエステルまたはジエステル、N−アシルサルコシナート、およびポリエトキシカルボキシラート、
モノエステルおよびジエステルホスファート、例えば次式のもの、
(RO)−P(=O)(OM)(式中、Rは、場合によりポリアルコキシ化されている、アルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、またはアリール基を表わし、xおよびx’は、xおよびx’の合計が3に等しいという条件で、1または2に等しく、Mは、アルカリ土類金属カチオンを表わす。)。
【0096】
非イオン性界面活性剤は、以下の界面活性剤から選択することができる。
【0097】
アルコキシ化脂肪アルコール、例えばラウレス−2、ラウレス−4−、ラウレス−7、またはオレス−20、
アルコキシ化トリグリセリド、
アルコキシ化脂肪酸、
アルコキシ化ソルビタンエステル、
アルコキシ化脂肪アミン、
アルコキシ化ビス(1−フェニルエチル)フェノール、
アルコキシ化トリス(1−フェニルエチル)フェノール、
アルコキシ化アルキルフェノール、
エチレンオキシドと、プロピレンオキシドとプロピレングリコールの縮合によって生じる疎水性化合物との縮合によって生じる生成物、例えばBASFから販売されているPluronic製品など、
エチレンオキシドと、プロピレンオキシドとエチレンジアミンの縮合によって生じる化合物との縮合によって生じる生成物、例えばBASFから販売されているTetronic製品など、
アルキルポリグリコシド、例えばUS4565647に記載されているものなど、またはアルキルグルコシド、
脂肪酸アミド、例えばC−C20のもの、特に脂肪酸モノアルカノールアミド、例えばコカミドMEAまたはコカミドMIPA。
【0098】
両性界面活性剤(イオン基および反対の電荷の潜在的イオン基を含む真の両性界面活性剤、または2つの反対の電荷を同時に含む両性イオン性界面活性剤)は、以下の界面活性剤から選択することができる。
【0099】
ベタイン一般、特にカルボキシベタイン、例えばラウリルベタイン(Rhodia社のMirataine BB)、またはオクチルベタインもしくはココベタイン(RhodiaのMirataine BB−FLA)、アミドアルキルベタイン、例えばコカミドプロピルベタイン(CAPB)(Rhodia社のMirataine BDJまたはRhodiaのMirataine BET C−30)、
スルホベタインまたはスルタイン、例えばコカミドプロピルヒドロキシスルタイン(Rhodia社のMirataine CBS)、
アルキルアンホアセタートおよびアルキルアンホジアセタート、例えばココイルまたはラウリル鎖を含むもの(Rhodia社のMiranol C2M Conc.NP、C32、および特にL32)、
アルキルアンホプロピオナートまたはアルキルアンホジプロピオナート(Miranol C2M SF)、
アルキルアンホヒドロキシプロピルスルタイン(Miranol CS)、
アルキルアミンオキシド、例えばラウラミンオキシド(INCI)。
【0100】
カチオン性界面活性剤は、場合によりポリエトキシ化されている第1級、第2級、または第3級脂肪アミンの塩、第4級アンモニウム塩、例えばテトラアルキルアンモニウム、アルキルアミドアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、トリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウム、またはアルキルピリジニウムクロリドもしくはブロミド、イミダゾリン誘導体、およびカチオン性のアミンオキシドから選択することができる。カチオン性界面活性剤の例は、セトリモニウムクロリドまたはブロミド(INCI)である。
【0101】
挙げることのできる有用な製剤の例には、以下のものが含まれる。
【0102】
典型的に、アルキルエーテル硫酸ナトリウム(例えば、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム「SLES」)またはアルキルエーテル硫酸ナトリウムとアルキル硫酸ナトリウム(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム「SLS」)の混合物12重量%から16重量%、両性界面活性剤(例えば、コカミドプロピルベタイン「CAPB」)1%から3%、および塩(例えば、塩化ナトリウム)0.5%から2%を含むシャンプー用「ナトリウム」製剤、
典型的に、アルキルエーテル硫酸アンモニウム(例えば、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム「ALES」)またはアルキルエーテル硫酸アンモニウムとアルキル硫酸アンモニウム(例えば、ラウリル硫酸アンモニウム「ALS」)の混合物12重量%から16重量%、両性界面活性剤(例えば、コカミドプロピルベタイン「CAPB」)1%から3%、および塩(例えば、塩化アンモニウム)0から2%を含むシャンプー用「アンモニウム」製剤、
典型的に、アルキルエーテル硫酸ナトリウム(例えば、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム「SLES」)またはアルキルエーテル硫酸ナトリウムとアルキル硫酸ナトリウム(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム「SLS」)の混合物6重量%から10重量%、両性界面活性剤(例えば、コカミドプロピルベタイン「CAPB」)1%から3%、および塩(例えば、塩化ナトリウム)2%から4%を含むシャワージェル用「ナトリウム」製剤、
典型的に、アルキルエーテル硫酸アンモニウム(例えば、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム「ALES」)またはアルキルエーテル硫酸アンモニウムとアルキル硫酸アンモニウム(例えば、ラウリル硫酸アンモニウム「ALS」)の混合物6重量%から10重量%、両性界面活性剤(例えば、コカミドプロピルベタイン「CAPB」)1%から3%、および塩(例えば、塩化アンモニウム)0から4%を含むシャワージェル用「アンモニウム」製剤。
【0103】
他の詳細または利点は、以下の非限定的な実施例に照らして明らかとなり得る。
【0104】
実施例
【実施例1】
【0105】
下記の組成を有する(材料自体の重量による量)エマルションを攪拌タンクで調製する。
【0106】
EGDS 23.50%
水 47.79%
Rhodasurf LA7**(Rhodia) 14.20%
Mirataine BET C−30**(Rhodia) 12.50%
Rhodapex 3N−70**(Rhodia) 1.24%
Miranol Ultra C−32**(Rhodia) 0.13%
Glydant*** 0.64%
85%/15%EGDS/EGMS混合物
** 界面活性剤
*** 保存剤
【0107】
エマルションの温度は65℃である。
【0108】
ピストンポンプを用い、エマルションをタンクから取り出し、下記の冷却装置に65℃で導入する。
【0109】
装置は、静止型ミキサを備え、それぞれ対向流冷却回路で被覆された管状導管で構成された、一連の管状導管中の6つの冷却モジュールで形成されている。図1はモジュールのスキームである。冷却流体は図1の右から左に流動する。エマルションは図1の左から右に流動する。
【0110】
各モジュールの特徴を示す。
内径15mmを有する金属管、
Kenics静止型ミキサ径14mm、
長さ:500mm、
作動容積:70ml、
入口および出口を含む、冷却流体(水)を流動させるための外径18mmを有する環状ジャケット、
温度および圧力を測定するための手段。
【0111】
冷却操作条件は以下のとおりである。
最終モジュール(流れの方向に対して)上の入口および第1モジュール上の出口を有する、冷却水の対向流循環。モジュールの連結点で、1つのモジュールの冷却回路の出口は、別のモジュールの入口に連結されている、
冷却水の入口温度:50℃、
冷却水の流速:10L/時、
エマルション流速1160g/時(滞留時間:22分)、
管状導管の出口での生成物の温度:50℃。
【0112】
はるかに劣る生産効率条件下で(例えば時間当たり、および場合により占有容積当たりの冷却材料の重量で表わされる。)冷却攪拌タンク型のバッチ反応器におけるバッチ式結晶化を含む方法を用いて得られたものと類似の光学特性(パール光沢)を有する、EGDSベースの結晶を有する流体濃縮成分が流動装置の出口で得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸エステルをベースとする結晶を含む流体濃縮成分を調製する方法であって、以下の
ステップa)水、脂肪酸エステルをベースとする化合物、および界面活性剤を含むエマルションを調製するステップであって、前記エマルションが、脂肪酸エステルをベースとする化合物の融点より高い温度であるステップ、
ステップb)エマルションのストリームを導入し、これ自体の流れによって生じるストリームの攪拌を可能にする冷却装置内を流動させて冷却の少なくとも1段階を用いることによって、エマルションを化合物の融点より低い温度に冷却して、結晶を形成するステップ、
ステップc)冷却装置の下流で結晶および界面活性剤を含む流体のストリームを回収するステップ、
ステップd)場合により、さらにストリームの冷却を行うステップ、
ステップe)場合により、他の化合物を流体に添加し、ならびに/または流体を希釈および/もしくは混合するステップ
ステップf)流体濃縮成分を回収するステップを含む方法。
【請求項2】
ストリームが、閉鎖壁によって境界を定められた少なくとも1つの流動域を流動し、好ましくは静止している障害物が、流動域内部に提供されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)が、
場合により、冷却装置の上流または冷却装置内で、急冷流体をストリームと混合する急冷操作、および/または
場合により、脂肪酸エステルをベースとする化合物をベースとする化合物をベースとする結晶を含む種晶添加流体をストリームと混合する任意の種晶添加操作を含むことを特徴とする、請求項1および2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
ステップb)の冷却が、少なくともこの一部がストリームに接触している壁に境界を定められている冷却回路を循環する冷却流体によって達成されることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の方法。
【請求項5】
冷却回路が流動域の内部に置かれ、回路が流動の障害物を構成することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
冷却回路が、流動域の外部に置かれることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
流動域が、静止型ミキサと共に内部に提供された、閉鎖壁を構成する少なくとも1つの管状導管で構成され、閉鎖壁の少なくとも一部が、冷却回路の少なくとも一部との共通壁を構成することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
冷却装置がジャケット付き管式交換器であり、冷却回路は管状回路であり、ストリームが流動する管状導管がこの内部に置かれていることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
冷却装置が、管式交換器、多管式交換器、コイル式交換器、プレート式交換器、およびSulzer(登録商標)Mixer Reactor(SMR(登録商標))型の交換器から選択されることを特徴とする、請求項4から8の一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップb)において導入されるエマルションのストリームの温度が、脂肪酸エステルをベースとする化合物の融点より1℃以上、好ましくは5℃以上高いことを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップb)で行われる冷却が、少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃であることを特徴とする、請求項1から10の一項に記載の方法。
【請求項12】
脂肪酸エステルが、脂肪酸と下式(I)のジオールまたはポリオールとのエステルであり、
[R−COO−]−A−[−OH](I)
式中、
Rは、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖C11−C21、好ましくはC15−C21炭化水素ベース基であり、
Aは、場合により1つ以上のヘテロ原子で中断された、価数x+yの炭化水素ベース基であり、
xは、平均数1から5であり、
yは、平均数0から5であり、
x+yは、平均数1から10、好ましくは2から5であることを特徴とする、請求項1から11の一項に記載の方法。
【請求項13】
基Aが、下式を有し、
−(CH−[EO]−[PO]−(CH
式中、
zは、同一であるかまたは異なることができ、1から10の整数であり、
EOは、任意のエチレンオキシド基であり、nは、平均数0から100、好ましくは0から10であり、
POは、任意のプロピレンオキシド基であり、mは、平均数0から100、好ましくは0から10であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
脂肪酸エステルが、エチレングリコールジステアラート(EGDS)をベースとすることを特徴とする、請求項1から13の一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップa)およびb)において、以下のとおり
ステップc)で回収される生成物が、脂肪酸エステル少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%を含むような脂肪酸エステルをベースとする化合物の量、
ステップc)で回収される生成物が、界面活性剤少なくとも2.5重量%、好ましくは5重量%、好ましくは少なくとも10重量%を含むような界面活性剤の量である、脂肪酸エステルをベースとする化合物および界面活性剤の量が用いられることを特徴とする、請求項1から14の一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15の一項に記載の方法によって得られた流体濃縮成分の発泡製剤における使用。
【請求項17】
化粧品製剤、好ましくはシャンプー、ヘアコンディショニング、もしくはシャワージェル、衛生製品、もしくは化粧落とし製品、または
家庭用保守製剤における、請求項16に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2011−517693(P2011−517693A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504432(P2011−504432)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054310
【国際公開番号】WO2009/127596
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(508183151)ロデイア・オペラシヨン (70)
【Fターム(参考)】