説明

脆性材料−金属構造体

【課題】脆性材料を気密に封止可能であり、かつ熱サイクルや腐食性物質に対する信頼性の高い構造を提供する。
【解決手段】脆性材料−金属構造体は、脆性材料からなる管状支持体14、この管状支持体14の内側または外側に設けられており、脆性材料からなり、管状支持体14よりも短いパイプ状支持体23、および管状支持体14とパイプ状支持体12との間に挟まれている板状金属片13を備える。管状支持体と板状金属片とが直接接触しており、板状金属片とパイプ状支持体とが直接接触しており、更に管状支持体とパイプ状支持体とが直接接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脆性材料−金属構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミック材料やサーメット材料及びガラス材料は耐熱性・耐磨耗性・耐蝕性に優れており、金属材料や有機材料が使用できないような厳しい環境下に於いても、充分に使用できるような優れた性質を持つものの、基本的に硬くて脆い脆性材料であるため機械加工が困難で、実質的にコスト高となり使用される領域が制限されてきた。
【0003】
また限定された部位にセラミックス材料やサーメット材料或いはガラス材料を使用し、他の金属材料等との組合せ使い勝手を改善し全体的なコストを低減させる工夫がなされてはいるものの、硬くて脆い脆性材料である性質が災いし他の材料との組合せ部位で熱膨張の差などによる応力が発生して破損にいたるケースが多々有り、使用領域が極めて狭い領域に限定されてきた。
【0004】
このような問題を解決するために、従来より種々の脆性材料と金属の複合化が試みられている。例えば特許文献1(特許登録番号1809176号では、セラミックスとAl部材を接合するために熱膨張係数が両者の中間の鉄系部材及び中間金属体を介して、熱応力を緩和させたセラミック・金属複合材料を提案している。
【0005】
また、特許文献2(特許登録番号2050428号では、セラミック母材と金属母材とを、特定組成の中間複合層を介して接合することにより、耐熱衝撃性が高く信頼性に優れ、高寿命のセラミックスと金属の接合製品を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許登録番号1809176号
【特許文献2】特許登録番号2050428号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許登録番号1809176号、特許登録番号2050428号記載のような、従来のセラミックスと金属との複合材料は、熱膨張係数が両者の中間の材料が必要であるため、中間材料の種類も限定され、工程的にも複雑なためコスト高である。さらに発生する応力は、総体的には、中間材を挟まない場合と同等であり、実用上問題があった。
【0008】
本発明の課題は、信頼性が高く、コスト的にも安価な脆性材料と金属の複合体を提供することである。
【0009】
本発明の課題は、脆性材料を気密に封止可能であり、かつ熱サイクルや腐食性物質に対する信頼性の高い構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一の態様は、脆性材料からなる管状支持体、この管状支持体の内側または外側に設けられており、脆性材料からなり、管状支持体よりも短いパイプ状支持体、および管状支持体とパイプ状支持体との間に挟まれている板状金属片を備えており、管状支持体と板状金属片とが直接接触しており、板状金属片とパイプ状支持体とが直接接触しており、更に管状支持体とパイプ状支持体とが直接接触していることを特徴とする、脆性材料−金属構造体に係るものである。
【0011】
第二の態様は、脆性材料からなる略円筒形の内側支持体、脆性材料からなり、前記内側支持体を包囲する略円筒形の外側支持体、および略円筒形の板状金属片を備える脆性材料−金属構造体であって、
板状金属片は、内側支持体と外側支持体との間に圧着把持される把持部と把持されない非把持部とを備えており、内側支持体と把持部とが直接接触しており、外側支持体と把持部とが直接接触しており、内側支持体と外側支持体とが直接接触しており、板状金属片の把持部と脆性材料との接触界面に発生する応力が、板状金属片の変形により緩和されていることを特徴とする。
【0012】
発明は、金属部材の形状を板状とし、脆性材料を金属部材の厚み方向の両側から圧着把持して固定する。金属材料の厚みと脆性材料の厚みとの相対値を限定することにより、脆性材料と金属材料の物性の差(主に熱膨張係数や硬度及びヤング率等)に起因する応力は、圧着把持工程後であっても、温度変化を伴う使用条件下に於いても、主に金属材料の塑性及び弾性変形により緩和吸収される。
【0013】
本発明によれば、板状金属材料の厚み方向の両側は、熱膨張係数が同等かまたは同じ脆性材料で圧着把持されているために、脆性材料間の応力発生は殆ど無く、金属材料に発生する応力は金属材料の厚み中心を対称にしてほぼ等価な応力分布となり、更に脆性材料に比べて圧倒的に薄い厚みのため、発生した応力は金属材料の塑性変形により緩和される。従って、圧着把持工程後であっても、温度変化を伴う使用条件下に於いても、金属材料が折損したり割れたり、大変形を起こす等の致命的な損傷が発生することは無い。
【0014】
また、脆性材料に圧着把持された把持部に連続して、非把持部が設けてある。非把持部は、脆性材料とは独立して存在し、脆性材料との相互作用がないために、脆性材料との物性差による応力は全く発生しない。
【0015】
さらに非把持部の形状は、把持部とは独立して選定できるため、この部分を利用して他の金属部材を、溶接、ロウ付け、機械的締結法により、ほぼ制約無しに一体化することが可能となる。
【0016】
金属部材同士の締結方法は、既に確立した極めて汎用的・実用的技術である。従って、本発明との組合せにより、セラミックやガラス等のこれまで使用範囲が限定されてきた材料を、他の種々の形態の金属部材と自由に一体化可能となり、使用範囲が大きく拡大される点で画期的といえる。
【0017】
好ましくは、板状金属片が脆性材料に埋設されることにより、圧着把持される。
脆性材料がセラミックスの場合には、板状金属片は、一般的に成形体中に成形段階で埋め込まれた後に、焼成され、焼結に伴う収縮により圧着把持される。また、脆性材料がガラスの場合は、溶融したガラス中に板状金属片を挿入し、そのまま溶融ガラスを冷却することにより、冷却時の収縮により板状金属片が圧着保持される。
【0018】
本発明では、板状金属片の把持部と脆性材料との接触界面に発生する応力が、板状金属片の変形により緩和される。把持部と脆性材料との接触界面に発生する応力は、例えば以下の原因によって発生する。金属材料の熱膨張係数がα1、ヤング率がE1、脆性材料の熱膨張係数がα2、ヤング率がE2とする。金属材料を脆性材料の中に埋設し、焼結温度T1により圧着把持させ、室温まで冷却したとき、両者が全く変形せずまた界面での滑りも生じなかった場合、金属側の発生応力σ1は次式のように表される。
σ1∝E1x(T1−室温)x(α1−α2) (1)
同様に脆性材料側の発生応力σ2は次式の様に表される。
σ2∝E2x(T1−室温)x(α2−α1) (2)
【0019】
モリブデンとアルミナの組合せを例に取ると、モリブデンの熱膨張係数は約5ppm/℃、ヤング率は約330Gpa、アルミナの熱膨張係数は約8ppm/℃、ヤング率は約360Gpaであるので、例えば焼結温度が1,500℃で室温まで冷却したときに、モリブデン側に塑性変形が全く無ければ、モリブデン側には約1,500MPaの圧縮応力が発生する。同様にアルミナ側では約1,600MPaの引張応力が発生することになる。
【0020】
この応力値ははるかにそれぞれの材料の強度を超えており、通常このような脆性材料と金属の構造体では界面で破壊が生じて、実現することが不可能である。
しかしながら金属に降伏応力以上の応力が発生すると塑性変形が起こる。その際破壊に至るまでの変形の大きさは伸びで表され、一般的に伸びは数%〜数10%と非常に大きい値をとる。
【0021】
本発明では、セラミックス材料に対して、金属材料側を相対的に薄肉にし、金属側のみに降伏応力以上の応力を発生させて塑性変形するように設計することにより、熱膨張差による応力を緩和しようとするものである。
【0022】
例えばモリブデンを100ミクロンの厚みの薄板とし、アルミナの厚みが10mmのブロックとすると、モリブデン薄板が変形して応力を緩和するのに必要なモリブデン側の歪は(3)式で表される。
ε=(T1−室温)x(α1−α2)〜0.5% (3)
厚み方向での変形量は
Δt=εxt〜0.5ミクロン (4)
となり非常に僅かな変形で発生する応力を緩和することができる。
【0023】
白金とアルミナの組合せを例に取ると、白金の熱膨張係数は約9ppm/℃、ヤング率は約170GPa、アルミナの熱膨張係数は約8ppm/℃、ヤング率は約360GPaであるので、例えば焼結温度が1,500℃で室温まで冷却したときに、白金側に塑性変形が全く無ければ、白金側には約250MPaの引張応力が発生する。同様にアルミナ側では約530MPaの圧縮応力が発生することになる。
【0024】
この場合も白金を100ミクロンの厚みの薄板とし、アルミナの厚みが10mmのブロックとすると、白金薄板が変形して応力を緩和するのに必要な白金側の歪は(3)式で表され約0.1%となる。白金側には圧着把持面方向に対して引張応力が発生するが、その深さ方向の僅か0.1%の変形が起これば引張応力は緩和される。これは10mmの圧着把持深さであれば、僅か10μmである。
【0025】
このように脆性材料と金属材料との構造体において主に両者の熱膨張差に起因して発生する応力は、約1%以下の歪みに起因している。一方金属材料の降伏強度は引張強度より小さく、その破断に至るまでの伸びは、数%〜数10%の大きさのため、金属材料側の厚みを脆性材料厚みより相対的に薄くして金属側にのみ降伏応力以上の応力を発生させて塑性変形させ、熱膨張差を緩和させても、その変形量は伸びの値以内となり、金属材料が破壊することはない。また金属材料が変形することにより、脆性材料側に発生した応力も緩和され、脆性材料と金属の複合構造体を実現することができる。一体化には種々の方法があるが、焼成収縮を利用して一体化するような高温での熱操作が必要な製法を用いる場合、金属材料は高温クリープ等の変形によっても応力緩和が可能である。
【0026】
好ましくは、予め準備した脆性材料からなる内側支持体の表面に、板状金属片を種々の方法で予備固定しておき、内側支持体の周囲を取り囲む形状の脆性材料からなる外側支持体を嵌合することにより、板状金属片が圧着把持される。この場合、内側支持体と外側支持体の材料は、熱膨張係数が同じである同一材料が好ましいが、熱膨張係数が近ければ異なった材料を選定することもできる。
【0027】
この実施形態において、外側支持体の嵌合方法を以下に述べる。
外側支持体がセラミックスの場合、内側支持体と外側支持体を焼結前の成形体として予め別々に準備し、その間に板状金属片を設置した組合せ体を同時に焼結することにより、焼結に伴う収縮を利用して圧着把持できる。板状金属片の形状を工夫し、内側支持体と外側支持体が直接接触している部分を設けることにより、内側支持体と外側支持体が実質的に一体化し、気密性に一層優れた封止構造とすることができる。
【0028】
内側支持体は予め焼結した焼結体とし、外側支持体を成形体として焼結すれば、外側支持体の焼結に伴う収縮作用により、より緊密な嵌合が可能となる。この場合も、前記の成形体同士の組合せと同様に板状金属片の形状を工夫し、内側支持体と外側支持体が直接接触している部分を設けることにより、内側支持体と外側支持体が実質的に一体化し、気密性に優れた封止構造とすることもできる。
【0029】
内側支持体も外側支持体も焼結体の場合は、外側支持体の温度を内側支持体より高温にし、低温に保持した内側支持体とその表面に仮固定された板状金属片に、外側支持体を焼き嵌めることにより、圧着把持が可能となる。
【0030】
外側支持体がガラスの場合、予め準備した内側支持体とその表面に予備固定した板状金属片の周りを溶融したガラスで取り囲むことにより、ガラスが溶融固化した後に外側支持体が形成され、板状金属片が圧着把持される。この場合も、前記の成形体同士の組合せと同様に板状金属片の形状を工夫し、内側支持体と外側支持体が直接接触している部分を設けることにより、内側支持体と外側支持体が実質的に一体化し、気密性に優れた封止構造とすることもできる。
【0031】
好ましくは、脆性材料が、ガラス、セラミックス、単結晶材料およびサーメットからなる群より選ばれている。
【0032】
このガラスとしては石英ガラス、アルミシリケートガラス、硼珪酸ガラス、シリカ−アルミナ−リチウム系結晶化ガラス等を例示できる。
このセラミックスとしては、例えばハロゲン系腐食性ガスに対する耐蝕性を有するセラミックスを例示でき、特に好ましくは、アルミナ、イットリア、イットリウム−アルミニウムガーネット、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素である。またこれらの内のいずれかからなる単結晶でもよい。
サーメットとしては、アルミナ、イットリア、イットリウム−アルミニウムガーネット、窒化アルミニウムのようなセラミックスと、モリブデン、タングステン、ハフニウム、レニウムなどの金属との複合物であるサーメットを例示できる。
【0033】
好ましくは、板状金属片の両側の各脆性材料の熱膨張係数差が2ppm以下であり、特に好ましくは1ppm以下である。最も好ましくは両者の熱膨張係数が同じである。このように両者の熱膨張係数を合わせることによって、本発明の脆性材料−金属構造体の熱サイクルに対する安定性、信頼性を一層向上させることができる。
【0034】
好ましくは、板状金属片の厚さが1,000μm以下であり、特に好ましくは200μm以下である。このように板状金属片を薄板状とすることによって、板状金属片の変形によって板状金属と脆性材料間に発生する応力を低減し、構造体の気密性を一層高くすることが可能となる。ただし、板状金属片が薄すぎると、かえって板状金属片の構造体としての強度が不足するため、板状金属片の厚さは20μm以上とすることが好ましく、50μm以上とすることが一層好ましい。
【0035】
好ましくは、外側支持体の厚さが0.1mm以上である。これによって、外側支持体から板状金属片に対して径方向に向かって加わる圧力を十分に大きくし、両者の気密性を一層向上させることができる。この観点からは、外側支持体の厚さを0.3mm以上とすることが一層好ましい。この実施形態は、外側支持体および内側支持体の焼成収縮差によって板状金属片を圧接シールする場合に特に好適である。
【0036】
好適な実施形態においては、板状金属片の最小厚みをtとした場合において、把持部における最小圧着長さが10t以上であり、非把持部における前記板状金属片の最小長さが5t以上であり、板状金属片の最小厚み方向における脆性材料の最小厚みが5t以上である。これによって、信頼性、板状金属片の引張強度の特に高い構造体を得ることができる。
【0037】
第一の態様によれば、脆性材料からなる管状部、この管状部の外側に設けられている脆性材料からなる外側支持体、および管状部と外側支持体との間に挟まれている板状金属片を備えており、管状部と板状金属片とを直接接触させ、板状金属片と外側支持体とを直接接触させている。このような構造は、従来構造に於いては必須のフリット材料やセメント材料を必要としないため、強度的な信頼性が高く耐食性にも優れ、気密封止性能も高くできる。
【0038】
第三の態様は、セラミックまたはサーメットからなる第一の部分、セラミックまたはサーメットからなる第二の部分、第一の部分と第二の部分との間に挟まれている板状金属片を備えており、第一の部分と第二の部分とによって板状金属片が圧接され、気密に封止されていることを特徴とする構造体に係るものである。
【0039】
第三の態様に係る発明によれば、セラミックまたはサーメットからなる第一の部分、セラミックまたはサーメットからなる第二の部分、および第一の部分と第二の部分との間に挟まれている板状金属片を備えており、第一の部分と第二の部分とによって板状金属片が圧接されている。これによって、セラミックやサーメットによって金属材を圧着し、好ましくは気密にシールする新規構造を提供できる。従来、ガラス容器の端部開口に金属箔を挟んでガラスを軟化変形させ、金属箔を用いて気密シールする、いわゆるピンチシールは知られている。しかし、セラミックやサーメットのように軟化変形しにくい材料を用いて金属材で気密シールする手法は知られていない。
【0040】
第二の態様に係る発明において好ましくは、脆性材料が、ガラス、セラミックスおよびサーメットからなる群より選ばれている。また、第三の態様に係る発明においては、脆性材料が、セラミックスまたはサーメットである。
【0041】
このガラスとしては、石英ガラス、アルミシリケートガラス、硼珪酸ガラス、シリカ−アルミナ−リチウム系結晶化ガラス等を例示できる。
このセラミックスとしては、例えばハロゲン系腐食性ガスに対する耐蝕性を有するセラミックスを例示でき、特に好ましくは、アルミナ、イットリア、イットリウム−アルミニウムガーネット、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素である。
サーメットとしては、アルミナ、イットリア、イットリウム−アルミニウムガーネット、窒化アルミニウムのようなセラミックスと、モリブデン、タングステン、ハフニウム、レニウムなどの金属との混合物であるサーメットを例示できる。
【0042】
好ましくは、管状部と外側支持体との熱膨張係数差が2ppm以下であり、特に好ましくは1ppm以下である。最も好ましくは両者の熱膨張係数が同じである。このように両者の熱膨張係数を合わせることによって、本発明の脆性材料−金属構造体の熱サイクルに対する安定性、信頼性を一層向上させることができる。
【0043】
好ましくは、管状部および外側支持体が焼成収縮率の異なる焼結体であり、板状金属片が焼成時の収縮差によって圧接されている。このときの収縮率差の好適値については後述する。
管状部に焼成収縮の起こらない焼結体、単結晶材料、ガラスを選び、外側支持体が焼成収縮する成形体の組合せでも良い。
【0044】
好ましくは、板状金属片の厚さが1000μm以下であり、特に好ましくは200μm以下である。このように板状金属片を薄くすることによって、板状金属片の変形によって板状金属と脆性材料間に発生する応力を低減し、構造体の気密性を一層高くすることが可能となる。ただし、板状金属片が薄すぎると、構造体としての強度が不足するため、板状金属片の厚さは20μm以上とすることが好ましく、50μm以上とすることが一層好ましい。
【0045】
好ましくは、外側支持体の厚さが0.1mm以上である。これによって、外側支持体から板状金属片に対して径方向に向かって加わる圧力を十分に大きくし、外側支持体と管状部との間の気密性を一層向上させることができる。この観点からは、外側支持体の厚さを0.5mm以上とすることが一層好ましい。この実施形態は、外側支持体および管状部の焼成収縮差によって板状金属片を圧接シールする場合に特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1(a)は構造体26の斜視図であり、図1(b)は図1(a)の構造体の断面図である。
【図2】図2(a)は構造体26の斜視図であり、図2(b)は図2(a)の構造体の断面図である。
【図3】図3は、構造体26の斜視図であり、湾曲した板状金属片が外側支持体と内側支持体との間に挟まれている。
【図4】図4は、円筒形状の板状金属片、これを挟む内側支持体および外側支持体からなる構造体を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は、円筒形状の板状金属片、これを挟む内側支持体および外側支持体からなる構造体を模式的に示す断面図である。
【図6】図6は、先端がナイフエッジ状、C面、R面をなす各板状金属片を把持する構造体を模式的に示す斜視図である。
【図7】図7は、円筒形状の板状金属片21Fを外側支持体と内側支持体との間に挟むことによって得られた構造体を示す斜視図である。
【図8a】図8(a)、図8(b)は、それぞれ、円筒形状の板状金属片21Fを外側支持体と内側支持体との間に挟むことによって得られた構造体を示す断面図である。
【図8c】ヘリウムリークディテクターによるリーク試験の方法を模式的に示す断面図である。
【図9】図9は、円筒形状の板状金属片21Fを外側支持体と内側支持体との間に挟むことによって得られた構造体を模式的に示す断面図である。
【図10】図10は、図7の構造体を外部の金属部材36に接合した状態を模式的に示す斜視図である。
【図11】図11は、円筒形状の板状金属片21Gを外側支持体と内側支持体との間に挟むことによって得られた構造体を模式的に示す断面図であり、板状金属片に蓋部41が設けられている。
【図12】図12は、本発明の一実施形態に係る脆性材料−金属複合体を作製するための外側支持体用成形体12、金属部材13および管状部用成形体14を示す断面図である。
【図13】図13は、図12の成形体12および14を焼成することによって得られた脆性材料−金属複合体1Aを示す断面図である。
【図14】図14は、図13の脆性材料−金属複合体1Aにおいて貫通孔6を設けてなる複合体1Bを示す断面図である。
【図15】図15は、外側支持体2、内側支持体4、板状金属片3aを含む金属部材3からなる密閉された構造体15を示す断面図である。
【図16】図16は、外側支持体4、内側支持体2、板状金属片3aを含む金属部材3からなる密閉された構造体15を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1(a)、(b)に示す例においては、構造体26は、脆性材料からなる第一の部分24と第二の部分25との間に、平板状の板状金属片21が把持されている。具体的には、板状金属片21の下半分の把持部23が脆性材料24と25とによって挟まれており、上半分は非把持部22として脆性材料の上方に突出している。把持部23の両面27、28は矢印Aのように押圧されており、これによって板状金属片21の把持部23が変形し、脆性材料24、25と金属との物性の相違に起因する応力を吸収し、緩和している。応力緩和に必要な変形量は、後述するようにごく僅かであり、図面上は、非把持部と把持部との差異はほとんどない(以下同様)。
【0048】
図2(a)、(b)に示す構造体26では、脆性材料からなる第一の部分24と第二の部分25との間に、平板状の板状金属片21が把持されている。具体的には、板状金属片21の下半分の把持部23が脆性材料24と25とによって挟まれており、上半分は非把持部22として脆性材料の上方に突出している。把持部23の両面27、28は矢印Aのように押圧されており、これによって板状金属片21の把持部23が変形し、脆性材料24、25と金属との物性の相違に起因する応力を吸収し、緩和している。本例では、第一の部分24と第二の部分25に加えて、把持部23を脆性材料がとり囲んでおり、これによって把持部23が脆性材料内に埋設された形態となっている。
【0049】
図3に示す構造体26においては、脆性材料からなる外側支持体24Aが略円筒形状をなしており、脆性材料からなる内側支持体25Aは、略円柱形状、あるいは略円筒形状をなしている。そして、外側支持体24Aと内側支持体25Aとの間に、湾曲した板状金属片21Aが把持され、固定されている。図3においては、非把持部22Aが脆性材料から突出しており、把持部は脆性材料内に埋設されているために外観には現れていない。
【0050】
図4に示す構造体26においては、脆性材料からなる外側支持体24Aが略円筒形状をなしており、脆性材料からなる内側支持体25Aは、略円柱形状、あるいは略円筒形状をなしている。そして、外側支持体24Aと内側支持体25Aとの間に、継目のない円筒形状の板状金属片21Bが把持され、固定されている。非把持部22Bが脆性材料から突出しており、把持部23Bは脆性材料内に埋設されている。把持部23Bの両面27、28は矢印Aのように押圧されており、これによって板状金属片21Bの把持部23Bが変形し、脆性材料24A、25Aと金属との物性の相違に起因する応力を吸収し、緩和している。また、外側支持体と内側支持体とは、把持部の直下において互いに直接接触している。
【0051】
図5に示す構造体26においては、脆性材料からなる外側支持体24Bが略円筒形状をなしており、脆性材料からなる内側支持体25Bは、略円柱形状、あるいは略円筒形状をなしている。そして、外側支持体24Bと内側支持体25Bとの間に、円筒形状の板状金属片21Bが把持され、固定されている。非把持部22Bが脆性材料から突出しており、把持部23Bは脆性材料内に埋設されている。把持部23Bの両面27、28は矢印Aのように押圧されており、これによって板状金属片21Bの把持部23Bが変形し、脆性材料24B、25Bと金属との物性の相違に起因する応力を吸収し、緩和している。また、外側支持体と内側支持体とは、把持部の直下において互いに焼結あるいは溶融することにより実質的に一体化され、セラミックスあるいはガラス組織が連続化している。
【0052】
図6に示す例においては、脆性材料24C、25C、24C、25Cが一列に配列されており、各脆性材料の間に、それぞれ、平板状の板状金属片21C、21D、21Eが把持されている。具体的には、板状金属片21C、21D、21Eの下半分の把持部23C、23D、23Eが脆性材料24Cと25Cとによって挟まれており、上半分は非把持部22C、22D、22Eとして脆性材料の上方に突出している。把持部23C、23D、23Eの両面27、28は押圧されており、これによって各把持部が変形し、脆性材料と金属との物性の相違に起因する応力を吸収し、緩和している。
【0053】
把持部23Eの先端には、例えばナイフエッジ状部31が設けられており、把持部23Dの先端にはC面32が設けられており、把持部23Cの先端にはR面33が設けられている。これによって、石英ガラスと金属片の先端接触部でのなじみが良好となる。例えば図1に示すように把持部の先端にコーナー(角部)が残っていると、コーナーから延びる微小なクラックが観察される試料があった。しかし、図6に示すように、把持部先端の形状をナイフエッジ状、C取形状、R形状にすると、このようなクラックは見られず、応力の低減効果が認められた。
【0054】
図7および図8(a)に示す構造体26においては、脆性材料からなる外側支持体24Fが略円筒形状をなしており、脆性材料からなる内側支持体25Fは略円筒形状をなしている。そして、外側支持体24Fと内側支持体25Fとの間に、円筒形状の板状金属片21Fが把持され、固定されている。非把持部22Fが脆性材料から突出しており、把持部23Fは脆性材料内に埋設されている。把持部23Fの両面27、28は矢印Aのように押圧されており、これによって板状金属片21Fの把持部23Fが変形し、脆性材料24F、25Fと金属との物性の相違に起因する応力を吸収し、緩和している。また、外側支持体と内側支持体とは、把持部の直下において接触している。外側支持体24Fは内側支持体25Fより短い。
【0055】
図8(b)に示す構造体26においては、脆性材料からなる外側支持体24Fが略円筒形状をなしており、脆性材料からなる内側支持体25Fは略円筒形状をなしている。そして、外側支持体24Fと内側支持体25Fとの間に、継目のない円筒形状の板状金属片21Fが把持され、固定されている。非把持部22Fが脆性材料から突出しており、把持部23Fは脆性材料内に埋設されている。把持部23Fの両面27、28は矢印Aのように押圧されており、これによって板状金属片21Fの把持部23Fが変形し、脆性材料24F、25Fと金属との物性の相違に起因する応力を吸収し、緩和している。外側支持体24Fは内側支持体25Fより短い。
【0056】
図9に示す構造体26は、図8(b)に示すものとほぼ同様のものである。内側支持体25Fの内側に貫通孔29が形成されている。また内側支持体25F、外側支持体24Fおよび継目のない円筒状の板状金属片21Fの各管軸36がほぼ一致している。
【0057】
図10に示す例では、図9の構造体に外部の金属部材を接合している。即ち、外側支持体24Fから上方へと突出する非把持部22Fを、他の円柱形状の金属部品36に対して、溶接等の公知の金属接合方法によって37で接合する。この金属部材36にはキャピラリー38が取り付けられている。キャピラリーは例えば棒状の電流貫通導体及び電極材料の挿入のためのガイドや気密シールを形成するための溶接部として使用される。
【0058】
図11に示す構造体26においては、脆性材料からなる外側支持体24Fが略円筒形状をなしており、脆性材料からなる内側支持体25Fは貫通孔を有する略円柱形状をなしている。そして、外側支持体24Fと内側支持体25Fとの間に、円筒形状の板状金属片21Gが把持され、固定されている。非把持部22Gが脆性材料から突出しており、把持部23Gは脆性材料内に埋設されている。把持部23Gの両面27、28は矢印Aのように押圧されており、これによって板状金属片21Gの把持部23Gが変形し、脆性材料24F、25Fと金属との物性の相違に起因する応力を吸収し、緩和している。また、外側支持体と内側支持体とは、把持部の直下において接触している。この把持部23Gの上端部には蓋部41が継目なく一体的に設けられており、蓋部41の内側に閉空間42が形成されている。
【0059】
図12は、焼成前の外側支持体用被焼成体12、板状金属片13aと突出部(蓋部)13cからなる金属部材13、および管状部用焼結体14を組み立てた状態を概略的に示す断面図である。図13は、図12の外側支持体の焼成収縮によって形成された脆性材料−金属構造体1Aを概略的に示す断面図である。
【0060】
図12において、被焼成体12は、セラミック粉末、あるいはサーメット用のセラミック−金属混合粉末からなる。これには有機バインダーや焼結助剤などの添加剤が含有されていてよい。また、被焼成体12は、各粉末の成形体であってよく、この成形体の仮焼体あるいは脱脂体であってよい。ただし、被焼成体の本焼成によって、被焼成体の寸法が収縮する性質を有することが必要である。
【0061】
被焼成体14は被焼成体12と同様にセラミック粉末、あるいはサーメット用のセラミック−金属混合粉末からなる。これには有機バインダーや焼結助剤などの添加剤が含有されていてよい。また、被焼成体14は、各粉末の成形体であってよく、この成形体の仮焼体あるいは脱脂体であってよい。但し被焼成体12と14の焼成収縮率は12の方が大きい必要がある。
【0062】
被焼成体14に焼成収縮の起こらないような焼結体、単結晶、ガラス等の既に緻密化が完了しているような材料を選んでも良い。
被焼成体12は、板状金属片13aの圧接部12c、圧接部12cから下方に延びるフランジ部12a、圧接部12cから端部側に延びる筒状部12f、および筒状部12fから内側へと向かって延びるリング状の突出部12dを備えている。また、被焼成体14は、筒状あるいは樽状をなしている。14aは外壁面、14bは末端面、14cは内壁面である。図12(焼成前)の時点では、被焼成体12と金属部材13との間にクリアランスがあり、金属部材13と被焼成体14との間にもクリアランスが設けられている。
【0063】
この状態で、被焼成体12および14を焼成させ、緻密化させる。すると、図13に示すように、それぞれ径が小さくなった管状部4および外側支持体2Aが生成する。外側支持体2Aは、板状金属片3aの圧接部2c、圧接部2cから下方に延びるフランジ部2a、圧接部2cから端部側に延びる筒状部2f、および筒状部2fから内側へと向かって延びるリング状の突出部2dを備えている。管状部4は筒状あるいは樽状をなしている。4aは外壁面、4bは末端面、4cは内壁面である。管状部4と外側支持体2Aとは界面11に沿って直接接触し、組織的に一体化している。
【0064】
ここで、焼成工程においては、外側支持体である外側支持体2Aの成形体12を単独で焼成したときの内径よりも、管状部4用の成形体14を単独で焼成したときの外形が大きくなるようにする。これによって、焼成時に、板状金属片3aに対して外側支持体2Aおよび管状部4から径方向へと向かって圧着力が加わり、密着性および気密性が向上する。
【0065】
この観点からは、管状部4用成形体14を単独で焼成したときの外径ROの、外側支持体2A用成形体12を単独で焼成したときの内径RIに対する比率(RO/RI)は、1.04以上であることが好ましく、1.05以上であることが更に好ましい。
(RO/RI)が大きくなりすぎると、管状部4や外側支持体2Aにクラックが発生しやすくなる。この観点からは、(RO/RI)は、1.20以下であることが好ましく、1.15以下であることが一層好ましい。
【0066】
好適な実施形態においては、本発明の脆性材料−金属構造体が、板状金属片3aと連続する金属製の筒状部を備えている。これによって、熱処理時に、板状金属片3aを所定場所に位置決めすることが容易であり、板状金属片3aに圧力が加わったときに板状金属片3aの位置ずれ(特に中心軸X方向の位置ずれ)を防止できる。
【0067】
また、好適な実施形態においては、金属部材3が、内側へと向かって突出する突出部3cを備えており、突出部3cが管状部4の末端面4bと対向する。これによって、板状金属片3aの位置決めが一層確実となる。更に、突出部3cを突出させることで、突出部3cそれ自体を、管状部4の開口を封止するのに使用できるようになる。
【0068】
例えば、図12、図13に示すように、突出部3cによって管状部4の開口の全面を被覆することができ、この場合には他の封止部材が不要となる。あるいは、図14に示すように、突出部3cをリング状とし、突出部3cに貫通孔6を設けることができる。この場合には、貫通孔6を他の金属部材によって閉塞することができる。この閉塞方法は例えば金属溶接であってよい。
【0069】
また、好ましくは、外側支持体2Aが内側へと向かって突出するリング状部2dを備えている。すなわち、熱処理時に金属部材3に対して圧力が加わったときに、金属部材3の過大な変形を抑制する一種のストッパーとして、リング状部2dが作用する。
【0070】
図15の構造体1Bは、脆性材料からなる管状部を内側支持体4とし、内側支持体4の外側に、脆性材料からなり、内側支持体4より短い外側支持体2、および内側支持体4と外側支持体2との間に挟まれている板状金属片3aとを備えている。内側支持体4と板状金属片3aとが直接接触しており、板状金属片3aと外側支持体2とが直接接触し、更に内側支持体4と外側支持体2が直接接触している。略円筒状の板状金属片3aの一端は略円板形状の突出部3cによって閉塞されている。一対の構造体1Bによって、閉塞、密閉された部材15が形成されている。
【0071】
図16の構造体1Cは、脆性材料からなる管状部を外側支持体4とし、外側支持体4の内側に、脆性材料からなり、外側支持体4より短い内側支持体2、および外側支持体4と内側支持体2との間に挟まれている板状金属片3aとを備えている。内側支持体2と板状金属片3aとが直接接触しており、板状金属片3aと外側支持体4とが直接接触し、更に内側支持体2と外側支持体4が直接接触している。略円筒状の板状金属片3aの一端は略円板形状の突出部3cによって閉塞されている。一対の構造体1Cによって、閉塞、密閉された部材15が形成されている。
【0072】
また、外側支持体の肉厚n(図13参照)は、板状金属片3aを強く圧接して密着性および気密性を向上させるという観点からは、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上が更に好ましい。この上限は特にない。
【0073】
板状金属片3aの材質や形態は特に限定されない。板状金属片の材質は、高融点金属や導電性セラミックスが好ましい。高融点金属としては、モリブデン、タングステン、レニウム、ハフニウム、ニオブおよびタンタルからなる群より選ばれた一種以上の金属、またはこの金属を含む合金が好ましい。また、板状金属片以外の金属部分、例えば筒状部、リング状部、キャピラリ部も、板状金属片用の上記金属からなっていてよい。
【0074】
好適な実施形態においては、管状部がサファイアからなり、管状部を構成するサファイアのc軸と、管状部の管軸Xとのなす角が10°以下である。サファイアからなる管状部のc軸を、管状部の管軸(中心軸)Xとほぼ同じ方向に整列させることによって、管状部と、管状部端部に固定される外側支持体との界面付近において、サファイアのクラック発生率を著しく低減できる。この観点からは、外側支持体を構成するサファイアのc軸と、管軸Xとのなす角を5°以下とすることが更に好ましい。
【0075】
本発明を気密封止体として採用すると、金属箔同士を重ねて管状構造とした場合、半径方向内側部で三角状すきまが出来るので、重ねるなら同部分の両端をテーパー形状とすることが好ましい。最も望ましい形態はシームレスである。板状金属片はパイプ形状でも良いし、前述のように一枚の金属箔を巻き込み、適切な溶接で継ぎ目を解消することも同様に好ましい。
【0076】
また板状金属片は略キャップ形状でも良い。キャップ製法は絞り加工等が挙げられるが、製法には特に限定は無い。但し、絞り加工の場合、加工前が例えば圧延体であれば、圧延方向と垂直な方向では加熱時脆化が進行しやすい場合があるので、絞り加工はこの点に充分注意する必要がある。この金属部材のバリエーションは、適宜接合体設計に合わせて調整できる。
【0077】
圧接された把持部のしわや浮きを解消するために、接合体が管状の場合には、圧接金属環(管)と両脆性材料部とが、軸方向に見たときに、各管径が連続的に変化していても良い。また適宜、例えば接合部金属埋設出口近傍等に補助的にオキシナイトライドガラスなどの高耐熱性ガラスを用いてもよい。
【実施例】
【0078】
参考例1)
図1(a)、(b)に示すような構造体を製造した。具体的には、厚さが100μm、幅20mm、長さ40mmのモリブデン製板状金属片21の長手方向の40mm部分の内の20mm部分23を、アルミナ純度99.6%の易焼結性アルミナ予備成形体(成形圧力300kg/cm2)ブロック(60x40x30mm)2個で挟んだものを準備した。この成形体の全体を覆う様にラテックスゴム液を塗布して乾燥させて、全体をゴム被覆する。このゴム被覆した成形体を1,000kg/cm2の静水圧で加圧して一体化後、大気中500℃でバインダーを除去し、更に水素雰囲気中1,400℃で3時間焼成して、アルミナ成形体を焼結することにより、長さ約20mmの非圧着把持部22が突出した脆性材料-板状金属構造体を作製した。
【0079】
参考例2)
図2(a)、(b)に示す構造体を製造した。具体的には、厚さが200μm、幅20mm、長さ40mmのニッケル製板状金属片21の長手方向の40mm部分の内の10mm部分が非圧着把持部となるようなゴム容器中に入れ、このゴム容器内にアルミナ純度99.6%の易焼結性アルミナ粉末を充填する。アルミナ粉体を充填後ゴム容器を密閉シールし、2,000kg/cm2の静水圧を印加後ゴム容器から取り出し、アルミナ成形体中にニッケル製板状金属片が埋設された成形体を得た。この成形体を大気中500℃でバインダーを除去し、更に水素雰囲気中1,400℃で3時間焼成して、アルミナ成形体を焼結することにより、脆性材料−板状金属構造体を作製した。
【0080】
参考例3)
図3に示す構造体を製造した。具体的には、厚さが50μm、幅40mm、長さ30mmの純銅製板状金属片21Aを直径20mm高さ50mmのジルコニア焼結体(3mol%のイットリア添加セラミックス)で作製した円柱状の内側支持体25Aに巻き付け、接着剤で仮固定した。更に内径が20.05mmで外径が50mm高さ50mmの円筒状のジルコニア焼結体(3モルパーセントイットリア添加セラミックス)で作成した外側支持体24Aを1,000℃迄加熱して熱膨張させた状態で、常温で保管された前記純銅製板状金属片21Aが巻かれたジルコニア製内側支持体25Aを挿入して、全体を徐冷することにより、20mmの非圧着把持部22Aが突出した脆性材料−板状金属構造体を作製した。
【0081】
参考例4)
図4に示す構造体を製造した。具体的には、厚さが50μm、幅15mm、長さ65mmの純銅製板状金属片21Bを直径20mm高さ30mmのジルコニア焼結体(3モルパーセントのイットリア添加セラミックス)で作製した円柱状の内側支持体25Aの上部10mm部分に先端部分が約2mm重なるように巻き付け、接着剤で仮固定した。更に内径が20.05mmで外径が30mm高さ30mmの円筒状のジルコニア焼結体製(3モルパーセントのイットリア添加セラミックス)の外側支持体24Aを1,000℃迄加熱して熱膨張させた状態で、常温で保管された純銅製板状金属片21Bが巻かれたジルコニア製内側支持体25Aを挿入して、全体を徐冷することにより、5mmの非圧着把持部22Bが突出した脆性材料−板状金属構造体を作製した。
【0082】
参考例5)
図5に示す構造体を製造した。具体的には、厚さが100μm、幅10mm、長さ27mmのモリブデン製板状金属片を直径8mm、高さ15mmの高純度アルミナ焼結体(アルミナ純度99.9%)で作製した円柱状の内側支持体の上部8mm部分に先端部分が約2mm重なるように巻き付け、接着剤で仮固定した。別に内径が8.3mmで外径が22.5mm高さ19mmのリング状になるように1,000kg/cm2の圧力で成形した高純度アルミナ成形体を作製し、大気中500℃でバインダーを除去した。
【0083】
このリング状の高純度アルミナ成形体を外側支持体とし、リングの穴の中に、先程のモリブデン製板状金属片を巻き付けたアルミナ製内側支持体を挿入して、外側支持体と内側支持体とが組立てられた状態にした。この組立品を更に水素雰囲気中1,800℃で3時間焼成して、外側支持体であるアルミナ成形体を焼結した。外側支持体は焼結することにより、焼結に伴う収縮が起こり、内側支持体を周りから締め付け力が発生して内側支持体と一体化する。同時に内側支持体25Bに巻き付けられたモリブデン製板状金属片21Bは、焼結時の高温度下では軟化しており、外側支持体24Bからの締め付け力でアルミナ部材の表面形状に倣うように塑性変形するため、気密性の良い封止構造が達成される。アルミナ部材同士が直接接触している部分ではアルミナ同士の焼結作用により界面が一体化し、強度・気密性共に優れた封止構造が達成される。
【0084】
冷却過程においてモリブデンが圧着された部分では、アルミナ(約8ppm/℃)とモリブデン(約5ppm/℃)の熱膨張差により、アルミナの厚み方向及び面方向に熱応力が発生するが、モリブデンの厚み(100μm)がアルミナの厚み(5または8mm)に比較して薄いため、アルミナ側の発生応力は小さく破壊は起こらない。また応力が発生してもモリブデンが金属特有の弾性変形や塑性変形を起こすことにより、応力は緩和する。モリブデンが圧着されていない部分は熱膨張率の同じアルミナ同士の構造体であるため、熱膨張差による応力は全く発生しない。
【0085】
非圧着部は、熱膨張率の異なるアルミナとの相互作用は全く無いため、応力は全く発生せず極めて信頼性の高い脆性材料-金属構造体が実現可能となる。
【0086】
参考例6)
図2に示すような構造体を製造した。具体的には、厚さが100μm、幅10mm、長さ50mmのモリブデン製板状金属片をアルミナ純度99.6%の易焼結性アルミナ予備成形体(成形圧力300kg/cm2)ブロック(60x40x30mm)2個で挟み、全体を覆う様にラテックスゴム液を塗布して乾燥させて全体をゴム被覆した。このとき圧着されるモリブデン片の圧着長さが後述するような色々な長さになるよう調整した。このゴム被覆した成形体を1,000kg/cm2の静水圧で加圧して一体化後、大気中500℃でバインダーを除去し、更に水素雰囲気中1,400℃x3時間焼成して、アルミナ成形体を焼結することにより、圧着把持部の長さが0.5mm、1.0mm、3.0mm、5.0mm、10.0mmである把持力評価用のアルミナ-モリブデン試験片を作製した。
【0087】
この試験片のアルミナ部分を固定し、モリブデンの非圧着把持部を引張る事により、アルミナ−モリブデン間の把持力を測定した。モリブデンの圧着把持部の両面のサンドブラスト処理を行って、表面粗度を粗くした試料も合わせて準備した。表1の星印付きのデータは圧着把持部の表面をサンドブラスト処理により、表面粗度を粗くしたものの評価結果である。
【0088】
モリブデン製の板状金属片のみ(把持部長さ無し)を長手方向に引張したときの強度を100としたときの、アルミナ−モリブデンの把持力は表1に示す通りであり、モリブデン厚みの10倍以上の把持部長さがあれば、モリブデン自体の引張強度と同等の把持力を発現できる。また把持部長さが同じでも、サンドブラスト等の処理により表面粗さを粗くした試験片では把持力の改善が可能である。
【0089】
【表1】

【0090】
また、上記と同様の試験片において、圧着把持部長さを10mmと一定にし、非圧着把持部を種々の長さに変更した試験片を準備した。使用条件によるが、金属片厚みの5倍程度の長さがないと、溶接やロウ接合等の手段による他部材との接合が困難となる。
【0091】
【表2】

【0092】
(実施例
図7及び図8(a)に示すような構造体を製造した。具体的には、厚さが100μm、幅17.5mm、長さ18mmのモリブデン製板状金属片21Fを直径5mm内径2mm高さ20mmの高純度アルミナ焼結体(アルミナ純度99.9%)で作製したチューブ状の内側支持体25Fの上端より17.5mm部分にモリブデン金属片の先端部分が約2mm重なるように巻き付け、接着剤で仮固定した。別途内径が5.3mmで外径がそれぞれ5.9mm、6.5mm、8.4mm、10.4mm、13.4mmで高さが6mmの円筒状になるように1,000kg/cm2の圧力で成形した高純度アルミナ成形体を作製し、大気中500℃でバインダーを除去した。
【0093】
この円筒状の高純度アルミナ成形体を外側支持体24Fとし、その外側支持体の円筒の穴の中に、先程のモリブデン製板状金属片21Fを巻き付けたアルミナ製内側支持体25Fを挿入して、外側支持体と内側支持体とが組立てられた状態にした。この組立品を更に水素雰囲気中1,800℃で3時間焼成して、外側支持体であるアルミナ成形体を焼結した。外側支持体が焼結することにより、焼結に伴う収縮が起こり、内側支持体を周りから締め付け力が発生して内側支持体と一体化する。
【0094】
図8(c)に示すようにしてヘリウムリーク試験を行った。焼成後一体化した外側支持体の外側面を真空チューブ41に挿入し、内側支持体の穴を接着剤等40で塞ぎ、チューブ41を真空に引きながら、外側支持体と内側支持体の接合部にヘリウムガスを矢印Dのように吹き付け、この構造体の気密性をヘリウムリークディテクターで評価した。即ち、矢印Eのように漏出するヘリウムガスのリーク量を測定した。その結果、外側支持体の厚さが0.25mmでも比較的良好な気密性が発現した。外側支持体の厚さが0.5mm以上ではヘリウムリークディテクターの測定限界レベルの良好な気密性を示した。
【0095】
【表3】

【0096】
参考例7
図6に示す構造体を製造した。具体的には、厚さが200μm、幅20mm、長さ50mmのニッケル製板状金属片21C、21D、21Eの長手方向の50mm部分の内の10mm部分が非圧着把持部22C、22D、22Eとなるように温度が1500℃の軟化した石英ガラスのブロックの中に挿入し、冷却して脆性材料−板状金属構造体を作製した。このときニッケル金属片の圧着把持部23C、23D、23Eの先端は全く切りっ放しの矩形形状の物と、ナイフエッジ状、C取形状、R形状のものとした。
【0097】
金属片先端部分がナイフエッジ状、C取形状、R形状のものでは、石英ガラスと金属片の先端接触部でのなじみが良好であったが、先端部が矩形形状であると、コーナー部に微小なクラックが観察される試料があった。先端部分の形状をナイフエッジ状、C取形状、R形状にした方には、応力の低減効果が認められた。
【0098】
(実施例
図8(b)に示すような構造体を作製した。具体的には、厚さが100μm、内径2.05mm、長さ10mm、のモリブデン製チューブに、直径5mm、内径2mm、長さ20mmの単結晶アルミナ(サファイヤ)で作製したチューブ状の内側支持体25Fを挿入する。また内径が5.3mmで外径が13.4mmで高さが6mmの円筒状になるように1,000kg/cm2の圧力で成形した高純度アルミナ成形体を作製し、大気中500℃でバインダーを除去した。この円筒状の高純度アルミナ成形体を外側支持体24Fとし、外側支持体の円筒の穴の中に、先程のモリブデン製チューブ21Fをセットしたサファイヤ製内側支持体25Fを挿入して、外側支持体と内側支持体とが組立てられた状態にした。このときサファイヤ管とアルミナ成形体の先端は同じ面になるように調整し、モリブデン管はサファイヤ管の先端より5mm及び7.5mm突出して非圧着把持部となるように組立てた。
【0099】
この組立品を更に水素雰囲気中1,800℃x3時間焼成して、外側支持体であるアルミナ成形体を焼結した。外側支持体は焼結することにより、焼結に伴う収縮が起こり、内側支持体を周りから締め付け力が発生して内側支持体と一体化した。
【0100】
非圧着把持部が5mm長さの場合、圧着把持部全体に渡って板状金属片であるモリブデン管が存在する。非圧着把持部が7.5mmの場合、圧着把持部は約2mm程度で外側支持体と内側支持体が直接接触した部分を作ることができる。この部分は焼成プロセスにより、界面の焼結現象が起こり、強固に一体化し気密性も高くなる。図8(b)は非圧着把持部が7.5mmの場合を模式的に示している。
【0101】
更にこのモリブデン管の非圧着把持部を利用し、他の形状の金属部品を溶接、ロウ付け、機械的締結法等により、結合することができる。
例えば、図10に示すように、内径が0.5mmのより小さなキャピラリー38を有する、モリブデン製のフランジ36をレーザー溶接により接合した。
【0102】
(実施例
図11の構造体を製造した。具体的には、厚さが100μm、内径3.05mm、高さ5mm、のニッケル製の深絞り加工して作成したキャップ22G(一方の端部は蓋部41をなす)を準備した。内側支持体25Fとして直径3mm内径2mm長さ10mmの高純度アルミナ焼結体で作製したチューブ状の内側支持体を準備する。また内径が3.3mmで外径が7mmで高さが12mmのリング状になるように1,000kg/cm2の圧力で成形したアルミナ純度99.6%の易焼結性アルミナ成形体を作製し、大気中500℃でバインダーを除去した。
【0103】
このリング状の易焼結性アルミナ成形体を外側支持体24Fとしその外側支持体のリングの穴の中に、先程のニッケル製キャップ21Gをセットした高純度アルミナ製内側支持体25Fを挿入して、外側支持体と内側支持体とが組立てられた状態にした。このとき高純度アルミナ管とアルミナ成形体外側リングの先端はほぼ同じ面になるように調整し、ニッケルキャップはサファイヤ管の先端を塞ぐ様に突出して非圧着把持部となるように組立てた。
【0104】
この組立品を更に水素雰囲気中1,350℃x3時間焼成して、外側支持体であるアルミナ成形体を焼結した。外側支持体は焼結することにより、焼結に伴う収縮が起こり、内側支持体を周りから締め付け力が発生して内側支持体と一体化した。
非圧着把持部であるキャップ状を有する脆性材料−金属複合構造体を利用し、この部分に他の金属部品を溶接、ロウ付け、機械的締結結合することが可能となる。
【0105】
(実施例
図9に示す構造体を製造した。具体的には、厚さが100μm、内径3.05mm、長さ10mm、のニッケル製のチューブ21Fを準備した。内側支持体25Fとして直径3mm、内径2mm、長さ10mmの高純度アルミナ仮焼体(仮焼温度1,250℃)で作製したチューブ状の内側支持体を準備した。また内径が3.3mmで外径が10mmで高さが11mmのリング状になるように1,000kg/cm2の圧力で成形したアルミナ純度99.6%の易焼結性アルミナ成形体を作製し、大気中500℃でバインダーを除去した。
【0106】
この高純度アルミナ仮焼体の先端及びリング状の易焼結性アルミナ成形体の内径側の先端はC又はR加工を施し、焼結による一体化後の金属への応力集中を除く設計とした。
このアルミナ成形体を外側支持体24Fとし、外側支持体のリングの穴の中に、先程のニッケル製チューブ21Fをセットした高純度アルミナ製内側支持体25Fを挿入して、外側支持体と内側支持体とが組立てられた状態にした。このとき高純度アルミナ管とアルミナ成形体リングの先端はほぼ同じ面になるように調整し、ニッケルチューブはアルミナ管から5mm突出して非圧着把持部22Fとなるように組立てた。
【0107】
この組立品を更に水素雰囲気中1,350℃x3時間焼成して、外側支持体であるアルミナ成形体を焼結した。外側支持体は焼結することにより、焼結に伴う収縮が起こり、内側支持体を周りから締め付け力が発生して内側支持体と一体化し脆性材料−金属複合構造体を作製することができた。
【0108】
(実施例
図12〜図13を参照しつつ説明した手順に従い、図15に示すアルミナ−金属複合構造体を作製した。具体的には、純度99.9%以上の高純度アルミナ粉末に、酸化マグネシウム750ppm、ポリビニルアルコール2重量%、ポリエチレングリコール0.5重量%、水50重量部を加え、1時間ボールミルによって粉砕し、混合した。混合物をスプレードライヤーで200℃付近で乾燥および造粒し、平均粒径約70μm、静嵩密度0.7g/cmの造粒粉末を得た。
【0109】
この造粒粉末を、1000kg/cmの圧力下でプレス成型し、図12に示す外側支持体用成形体12、管状部用成形体14を得た。この際、管状部用成形体14を単独で焼成したときの外径ROの、外側支持体用成形体12を単独で焼成したときの内径RIに対する比率(RO/RI)が、表4に示す値となるように、両者の寸法を調整した。
【0110】
各成形体12、14およびモリブデン金属製の部材13を、図12に示すように組み立て、水素雰囲気中1400℃で焼成した。ただし、成形体14の一方の端部は図14に示すように穴開きのモリブデン金属部材とした。得られた管状部4の直径φは2mmであり、内径は1mmであり、長さは20mmである。また、板状金属片3aの厚さWは150μmとし、圧接把持部の長さmは3mmとし、外側支持体の肉厚nは1.5mmとし、非把持部の蓋状部分の金属の厚さtは0.5mmとした。
【0111】
ここで、本構造体の高温における気密性を評価するために、各組み立て体10A(図15)内に、水銀を、一方のモリブデン金属部材の蓋の穴を利用して、1200℃で150気圧となるような量入れた後、穴をモリブデン製の栓で塞ぎ溶接封入した。更にこの試験片を真空石英外菅の中に収容した。1200℃での5分間保持と、室温での25分間保持とを1サイクルとし、1000サイクルの熱サイクル試験を負荷した。熱サイクル試験を付加した後、テスラコイルによって、石英製外菅内の発光を観測し、気密性を評価した。5個の試験片を作製し、発光が観測されなければ合格とし、発光が観測されるときには不合格とし、合格率を表4に示す。
【0112】
【表4】

【0113】
このように,本発明によって、封止部分の信頼性に優れた構造を提供できる。また、いわゆる焼き嵌め率(RO/RI)は、1.04以上が特に好ましいことも判明した。
【0114】
(実施例
内側支持体に外径1mm、内径0.5mm、長さ5mmの高純度アルミナ焼結体を用い、モリブデン製の金属部材3と組み合わせ、外径2.5mm、内径1.25mm、長さ25mmの高純度アルミナ成形体を準備し、水素雰囲気中1,400℃で焼結した例を図16に示す。焼きハ゛メ率は(RO/RI)は1.20とした。
【0115】
脆性材料−金属構造体の用途は特に限定されないが、例えば、高温反応容器、熱交換器、半導体製造装置用部材など、高温環境で気密性を要求されるセラミック製品への応用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆性材料からなる管状支持体、この管状支持体の内側または外側に設けられており、脆性材料からなり、前記管状支持体よりも短いパイプ状支持体、および前記管状支持体と前記パイプ状支持体との間に挟まれている板状金属片を備えており、前記管状支持体と前記板状金属片とが直接接触しており、前記板状金属片と前記パイプ状支持体とが直接接触しており、更に前記管状支持体とパイプ状支持体が直接接触していることを特徴とする、脆性材料−金属構造体。
【請求項2】
前記パイプ状支持体が前記管状支持体の内側に設けられていることを特徴とする、請求項1記載の構造体。
【請求項3】
前記パイプ状支持体が前記管状支持体の外側に設けられていることを特徴とする、請求項1記載の構造体。
【請求項4】
前記脆性材料が、ガラス、セラミックスおよびサーメットからなる群より選ばれていることを特徴とする、請求項1〜いずれか一つの請求項に記載の構造体。
【請求項5】
前記管状支持体と前記パイプ状支持体との熱膨張係数差が2ppm/K以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の構造体。
【請求項6】
前記管状支持体と前記パイプ状支持体とのうち外側にある支持体の内側面が湾曲しているか、あるいは前記管状支持体と前記パイプ状支持体とのうち内側にある支持体の中心軸に対して傾斜していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の構造体。
【請求項7】
前記管状支持体と前記パイプ状支持体とのうち外側にある支持体が、内側へと向かって突出するリング状部を備えており、このリング状部によって前記板状金属片の変形を防止することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の構造体。
【請求項8】
前記管状支持体と前記パイプ状支持体とのうち外側にある支持体の焼成収縮率が内側にある支持体の焼成収縮率より大きく、前記板状金属片が焼成時の収縮差によって圧接されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つの請求項に記載の構造体。
【請求項9】
前記管状支持体と前記パイプ状支持体とのうち内側にある支持体を構成する脆性材料の焼成収縮率が殆ど零であり、前記板状金属片が、前記管状支持体と前記パイプ状支持体とのうち外側にある支持体の焼成時の収縮によって圧接されていることを特徴とする、請求項記載の構造体。
【請求項10】
前記板状金属片の厚さが20〜1000μmであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つの請求項に記載の構造体。
【請求項11】
前記管状支持体と前記パイプ状支持体とのうち外側にある支持体の厚さが0.1mm以上であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つの請求項に記載の構造体。
【請求項12】
前記板状金属片が、前記管状支持体と前記パイプ支持体との間に圧着把持される把持部と把持されない非把持部とを備えており、前記非把持部が蓋状部構造を備えていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つの請求項に記載の構造体。
【請求項13】
脆性材料からなる略円筒形の内側支持体、脆性材料からなり、前記内側支持体を包囲する略円筒形の外側支持体、および略円筒形の板状金属片を備える脆性材料−金属構造体であって、
前記板状金属片は、前記内側支持体と前記外側支持体との間に圧着把持される把持部と把持されない非把持部とを備えており、前記内側支持体と前記把持部とが直接接触しており、前記外側支持体と前記把持部とが直接接触しており、前記内側支持体と前記外側支持体とが直接接触しており、前記板状金属片の前記把持部と前記脆性材料との接触界面に発生する応力が、前記板状金属片の変形により緩和されることを特徴とする、脆性材料−金属構造体。
【請求項14】
前記板状金属片の最小厚みをtとした場合において、前記把持部における最小圧着長さが10t以上であり、前記非把持部における前記板状金属片の最小長さが5t以上であり、前記板状金属片の最小厚み方向における前記脆性材料の最小厚みが5t以上であることを特徴とする、請求項13記載の構造体。
【請求項15】
前記把持部の先端がナイフエッジ状、C面、又はR面の形状であることを特徴とする、請求項13または14記載の構造体。
【請求項16】
前記把持部、前記内側支持体および前記外側支持体の各円筒軸が実質的に同軸上にあることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか一つの請求項に記載の構造体。
【請求項17】
前記非把持部が、他の金属部材と接続するために用いられることを特徴とする、請求項13〜16のいずれか一つの請求項に記載の構造体。
【請求項18】
前記板状金属片が継目のない円筒形状であることを特徴とする、請求項13〜17のいずれか一つの請求項に記載の脆性材料−金属構造体。
【請求項19】
前記非把持部が蓋状部構造を備えていることを特徴とする、請求項13〜18のいずれか一つの請求項に記載の構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8c】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−225448(P2011−225448A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138277(P2011−138277)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2006−519597(P2006−519597)の分割
【原出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】