説明

脆性破壊するトルク感応表示体。

【課題】 構造物乃至部材の変形規模、トンネルなど壁面のひび割れの変化を簡易な構成で表示する歪感応表示体とナットの締付けトルクを目視で確認できるトルク感応表示体を得ること。
【解決手段】 構造物乃至部材の変形規模を脆性破壊する歪感応表示体の破断又はひび割れで表示し、又は塗料として所定形状に塗布乾燥させて形成し、また着色した着色歪感応表示体と異色の対比表示層を設け、また破壊点を変更可能な略V字状の切欠部又は溝部を設け、また破壊点が相違する複数枚の歪感応表示体を並設し、また導電性を有する導電性歪感応表示体とし、またトンネルなど壁面のひび割れに横断して設け、またUボルトなど取付保持金具のナットによる締付けトルクを検知するトルク感応表示体とし、また側面側に設けるとし、それら各歪感応表示体で構造物又は該部材が変形する有無と規模を表示する、脆性破壊する歪感応表示体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨構造又はコンクリートなどで構築される大規模構造物の撓み量の表示、又はトンネルなど壁面のひび割れの変化など大規模構造物の変形量の表示乃至小物単品部材の一対のボルト部を有するUボルトなどの取付保持金具のナット締付けによる変形量をトルク値として検出して表示する、前記構造物から該部材まで規模に係わらず適用して使用する、予め設定する所定の弾性変形の変形量で、脆性破壊して塑性変形する歪感応表示体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加わる外力値を表示する変形量表示体において、大規模構造物から小物単品部材まで、そのものに附設して加わる圧力又は屈曲などの撓み量を検出するセンサー、又はその外力値又はそれによる変形量に比例して該表示体の色変化で変形状態を表示するものが知られている。
【0003】
また、前記加わる外力値の管理に応用されるネジ締結力の締付けトルク値を設定表示すると共に締め付け管理をするトルクレンチが知られ、そのネジ締結力の管理は、一般的に使用される該トルクレンチにより作業者が一定のトルクにて締め付けの作業と、そのトルク確認用として用いられ、またUボルトなど一対のボルト部を有する取付保持金具又は鉄筋などで格子状に組み立てる鉄筋篭に使用する一対のボルト部を有する取付保持金具であって、その使用するナット及びボルトの締結時の、該一対の締め付けバランスの確認及びその締め付けトルクの管理をするのに該トルクレンチが知られている。
【0004】
而して、先行技術として、力が伝達される構造物表面に取付けられる固定部およびこの固定部から延び出した延長部より成る第1のブロツクと、前記構造物表面と同一表面に取付けられる固定部およびこの固定部から延び出し前記第1のブロツクの延長部と対向する延長部より成る第2のブロツクと、前記第1のブロツクおよび前記第2のブロツクの各延長ブロツク間を弾性的に結合する結合部材と、前記各延長部間に備えられこれら各延長部間の変位を検出する変位検出手段の実施例を示す「構造物の変形検出器」がある。(例えば、特許文献1参照)
【0005】
また、他の先行技術として、高分子および染料からなるポリマー組成物を含む、外力による変形量を表示するための変形量表示体であって、該ポリマー組成物は、高分子中に染料が特定の分子分散状態で固定されたものであり、また、染料は、そのエキシマー状態とモノマー状態とで異なる蛍光波長を有する会合性の蛍光染料であり、該変形量表示体は、外力により一定量以上変形されたときに、初期の色相とは異なる色相に変色可能であり、外力により一定量以上の変形が加えられたポリマー成型体からなる物品における該変形またはその変形量の検知に用いられる実施例を示す「変形量表示体およびそれを用いた変型またはその変形量の検知方法」がある。(例えば、特許文献2参照)
【0006】
さらに、他の先行技術として、締付けトルクの確認に関連する先行技術として、雄ねじを有するボルト2と、ボルト2の雄ねじに螺合される雌ねじをもち、被締着部材100を締め付けるナット7と、ボルト2の頭部あるいはナット7と、被締着部材100との間に挿入され、所定の締め付けトルクに達した時点で平坦化するように、互いに逆方向に湾曲した一対のトルク座金4,5とを設けたとする実施例を示す「ねじ締着具およびトルク座金」がある。(例えば、特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2730596号公報
【特許文献2】特開2009−300411号公報
【特許文献3】特開2006−9823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、加わる外力値を表示する歪感応表示体は、大規模構造物から小物単品部材まで、それぞれ個別に対応する手段の歪みセンサーなど高価なもの、また大きく変形したとき、その変形に応じて色が変わるものがあるが、それは変形量が大きいものが対象で、微細な変形に対しては使用できなく、その微細な変形にも対応するものが求められ、またその歪感応表示体の構成のみで大規模構造物から小物単品部材まで、それぞれの変形量を知るものも求められ、またその変形の表示と変形量からトルクレンチに見られるようなトルク値を設定表示するものであって、そのトルク値の上限から下限値という所定範囲のトルク値を知るものもなく、またそのように変形量を応用することも提案されてなかった。
【0009】
また、従来使用されているトルクレンチは、作業者自身が作業時、締付けトルクを設定し、そのトルクで締め付け作業をするもので、作業後に検査等で行われる締め付け確認は、実質、所定トルクの締め付けが確認できても、締め付けすぎである過大トルクの確認ができるものはなく、特にその過大トルクを目視で確認できるものがなく、よって作業者自身の確認とその作業後の締付けトルクの検査でも、適正及びその過大トルクの締め付けの確認ができるものが求められ、特に過大締め付けは、破損につながることから、目視で確認できる簡易手段のものが求められていた。
【0010】
つまり、過大トルクの締め付けは、ボルトの破断に直接結びつくことが予想され、特にトルクレンチを使用しない、他の締め付け手段と、締め付け確認手段を有するもので、締結作業をしたとき、適正トルク値で締め付けられたとしても、後日のトルク検査において、過大締め付けの確認はできず、よって所定トルクから過大トルクまでの所定適正トルクの範囲を知る簡易手段のものが求められていた。
【0011】
而して、開示される特許文献1の「構造物の変形検出器」は、変形検出器10をフレーム1にボルト11b1,11b2で固定するひずみゲージであり、外力により平板13a,13bおよびせん断板14が変形し、その変形により伸縮することで抵抗値が変化する該変化を、表裏4つのひずみゲージと、電子回路で構成される図示しないブリッジ回路で検出することが記載されており、その電子回路により連続する変化量を知るもので、このような高度な検出は高価となり、むしろ用途により所定値の変化が有るか無いかの簡易な検出で安価なものが求められ、またその取付もボルト11b1,11b2で固定するものであり、そのように固定できないものには使用できず、貼着など簡易に取り付けられるものが求められていた。
【0012】
而して、開示される特許文献2の「変形量表示体およびそれを用いた変型またはその変形量の検知方法」は、「変形量表示体を当該物品に付着または貼着させ、変形量表示体の色相の変化に基づいて、当該物品の変形またはその変形量を検知し、当該物品に生じる変形の態様および程度は、伸び、やぶれ、折れ(折れ曲がり)、引き裂き、へこみ、ひずみ、膨れなどを挙げ、また変形量表示体の色相の変化の程度(変化量)を検知することにより、当該物品がどの程度物理的に劣化しているか、または、当該物品がその寿命に達したどうかの寿命センサーとして使用することもできる」とし、その変形量表示体の具体的形態およびその用途を、ボトル等のキャップ、シュリンクフィルム、包装体などの開封状体又は破損状態を知るものとしていることから、寿命センサーの経過変化による物理的に劣化派別として、一定以上の外力による変形を検知するもので、微少変形に対応する分野のものでなく、微少変形を表示するものには使用できなかった。
【0013】
而して、開示される特許文献3の「ねじ締着具およびトルク座金」は、所定の締付けトルクに達した時点で平坦化するように湾曲したトルク座金を挿入しているので、締付けトルクが所定値に達していない状態では、目視できる隙間があり、ナットを所定の締付けトルクで締め付けることにより、トルク座金が平坦化して隙間がなくなり、作業者及びその作業後の締付けトルク検査でも所定トルクの締め付け確認はできるが、トルク座金が平坦化して隙間がなくなる手段では、過剰締め付けの確認はできず、よってその手段では、過剰締め付けによるネジ部の破損の恐れの確認ができず、これらのことから作業後の締め付け検査でも適正及び過剰締め付けの確認できるものが求められていた。
【0014】
以上のように、変形検出を電子回路に置き換えて検出するもの、また大きく加わる変形量を色変化に置き換え破損状態を表示するもの、また経過による劣化を知るもの、その他部材の変形量から所定の外力が加わったことを知るものまで、先行技術が開示されているが、使用において、特定のものに対応して使用するもので、広く汎用性に欠け、本願の脆性破壊で塑性変形する歪感応表示体で歪みを検出表示することで、安価で簡便な多くの用途の課題を解決するものはなく、また単体での使用と電子回路との組合せで、所定の外力に対応して警報等を発するものも無く、長く待たれていた。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を有効に達成するために、第1の解決手段として、構造物又は該部材が変形する有無と、その変形規模を、破断又はひび割れで表示する歪感応表示体であって、その変形させる外力により、脆性破壊して塑性変形するようにセラミックスなどの脆性材料で、脆性破壊するその所望の破壊点の違いの外力に対応させて所定長さ、幅及び厚さの各寸法を組み合わせて所定形状の板状体に形成し、又はその形成を、直接、前記構造物又は該部材の所定位置に塗料として所定形状に塗布乾燥させて歪感応表示体として形成することにより、
前記構造物又は該部材の所定位置に設けられる歪感応表示体を、その各構造物又は該部材に加わる外力で脆性破壊により塑性変形させることで、その加わる外力の大きさを検知して表示する。
【0016】
また、第2の解決手段として、歪感応表示体を着色した着色歪感応表示体とし、該着色歪感応表示体を前記構造物又は該部材に設けると共に該構造物又は該部材に接する側の該着色歪感応表示体に、該着色歪感応表示体と同系色以外の色で着色した薄膜で延性を有する軟質の対比表示層を設けたことにより、
外力により歪感応表示体が脆性破壊した亀裂である隙間を通して下地である異色の対比表示層が目立って見えるようにして、脆性破壊が起きて一定以上の外力が加わったことを知る。
【0017】
さらに、第3の解決手段として、脆性破壊する歪感応表示体を、略長方形板状の該長手方向の略中央近傍の側面側から略V字状の切欠部を設けると共に該切欠部の深さで、破壊点を変更可能に形成するとしたことで、
該略V字状の切欠部に応力集中させて、歪感応表示体の脆性破壊による塑性変形を起こさせ、また脆性破壊して塑性変形するその破壊点が変更して、任意に設定する歪感応表示体の破壊点で、一定以上の外力が加わったことを表示するとしている。
【0018】
加えて、第4の解決手段として、脆性破壊する歪感応表示体を、略長方形板状の該長手方向の略中央近傍の平面を横断する略V字状の溝部を設けると共に該溝部の深さで、破壊点を変更可能に形成するとしたことで、
該略V字状の溝部に応力集中させて、歪感応表示体の脆性破壊による塑性変形を起こさせ、また脆性破壊して塑性変形するその破壊点が変更して、任意に設定する歪感応表示体の破壊点で、一定以上の外力が加わったことを表示するとしている。
【0019】
さらに加えて、第5の解決手段として、脆性破壊する歪感応表示体が、脆性破壊して塑性変形するその破壊点が相違する複数枚の歪感応表示体を並設するとしたことで、
複数枚の歪感応表示体が、それぞれ加わる外力に対応して当該する歪感応表示体が脆性破壊して塑性変形することで、その破壊点の違いにより加わる外力がどの程度か知り、そこから該構造物又は該部材に加わる外力を所定範囲で設定して、その上下限の範囲の加わる外力を知ると同時に、加わる外力に対してその対策管理をする
【0020】
またさらに、第6の解決手段として、脆性破壊する歪感応表示体を、金属又は炭素などの導電性を有する材質を含有する導電性歪感応表示体とし、該導電性歪感応表示体を、断線を検出する電子回路の破断センサーとして設けるとしたことで、
外力が加わって導電性歪感応表示体が脆性破壊による塑性変形すると、断線を検出する電子回路により、破断センサーである該導電性歪感応表示体の断線を検出して、該破断センサーにより脆性破壊による塑性変形を検知して表示するとしている。
【0021】
さらにまた、第7の解決手段として、脆性破壊する歪感応表示体が、高架橋又はトンネルなど壁面のひび割れに対して横断するように設けられるとしたことで、
歪感応表示体が高架橋又はトンネルなど壁面のひび割れの大、小及びずれなどの変化に対して脆性破壊による塑性変形することで、該ひび割れの大、小及びずれなどの変化を捉え表示する。
【0022】
加えてまた、第8の解決手段として、Uボルトなど一対のボルト部を有する取付保持金具であって、該取付保持金具の保持板がナットで締結保持されるとき、その所定の締付けトルク値で保持板が撓むその撓みによる歪を利用して所定の締付けトルクが検知できるトルク感応表示体として、前記歪感応表示体を保持板に設けるとしたことで、
該トルク感応表示体の脆性破壊による塑性変形で、一対のボルト部を有する取付保持金具のナットにより締結保持するその締付けトルクを検知して表示するとしている。
【0023】
加えてまた、第9の解決手段として、脆性破壊する歪感応表示体が、トルク感応表示体として保持板側面側の略中央近傍の撓み部に設けられるとしたことで、
該トルク感応表示体の脆性破壊による塑性変形で、一対のボルト部を有する取付保持金具のナットによる締結保持の締付けトルクを保持板の側面側で検知して表示するとしている。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、上述したそれぞれの手段によって有効な効果が得られるようにしたもので、特に、第1の解決手段の、鉄骨構造又はコンクリートなどで構築される大規模構造物乃至取付金具又は保持板など小物単品部材が変形する有無と、その変形規模を、破断又はひび割れで表示する歪感応表示体であって、その変形させる外力により、脆性破壊して塑性変形するようにセラミックス、アルミナ、ガラス、プラスチックなどの脆性材料で、脆性破壊するその所望の破壊点の違いの外力に対応させて所定長さ、幅及び厚さの各寸法を組み合わせて所定形状の板状体に形成し、又はその形成を、直接、前記構造物又は該部材の所定位置に塗料として所定形状に塗布乾燥させて歪感応表示体として形成することにより、 鉄骨構造又はコンクリートなどで構築される大規模構造物乃至取付金具の保持板など小物単品部材に至る該構造物又は該部材の外力による変形量を簡易な構成で知ることができ、また脆性破壊する破壊点の違いに対応させて設けることで、その外力の大きさも容易に知ることができ、よってその加わる外力の大きさに対応して、該構造物又は該部材のメンテナンスなどの管理に利用して、その劣化対策の目安にできる。
【0025】
また、第2の解決手段の、脆性破壊する歪感応表示体を、着色した着色歪感応表示体とし、該着色歪感応表示体を前記構造物又は該部材に設けると共に該構造物又は該部材に接する側の該着色歪感応表示体に、該着色歪感応表示体と同系色以外の色で着色した薄膜で延性を有する軟質の対比表示層を設けたことにより、
外力により脆性破壊したとき、該脆性破壊した亀裂である隙間が生じ、その隙間を通して異色である対比表示層が目立ってよく見え、例えば、着色歪感応表示体を白色に着色し、対比表示層を赤色に着色することで、着色歪感応表示体の白色の該隙間から下地の赤色が見えることで、脆性破壊が起きて一定以上の外力が加わったことを容易に知ることができる。
【0026】
加えて、第3の解決手段の、脆性破壊する歪感応表示体を、略長方形板状であって、脆性破壊して塑性変形するその破壊点が変更でき、且つ所定部位に応力が集中するように、該長手方向の略中央近傍の側面側から略V字状の切欠部を設けると共に該切欠部の深さで、破壊点を変更可能に形成することにより、
該歪感応表示体のV字状の狭小部に応力集中が起き、外力に対し敏感に反応して脆性破壊が起こることで、その分、外力に対する歪感応度合いの設定が精密にできると共に脆性破壊が起こる場所が切欠部と特定でき、その加わる外力の管理も容易となり、またその使用部位が平面又は側面側に貼着して使用し、特に側面側に用いることで、脆性破壊による塑性変形が、平面側表面より大きくなり、つまり平面側表面では歪感応表示体の厚みの量に対する歪み量で、側面側表面では歪感応表示体の幅の量に対する歪み量となり、その厚みと幅の距離差だけ、加わる外力が部分的に大きくなり、上記と同様の外力に対して歪感応度合いが良くなり、よってその加わる外力の管理も容易となる。
【0027】
さらに加えて、第4の解決手段の、脆性破壊する歪感応表示体を、略長方形板状であって、脆性破壊して塑性変形するその破壊点が変更でき、且つ所定部位に応力が集中するように、該長手方向の略中央近傍の平面を横断する略V字状の溝部を設けると共に該溝部の深さで、破壊点を変更可能に形成することにより、
該歪感応表示体のV字状の溝部の狭小部に掛かる応力集中により、外力による撓みに対し、微少な変形量でも脆性破壊が起こることで、微少な変形量に対して歪み感応度合いを良くすると共にその変形量に対応した破壊点を設定できるようV字状の溝部の深さを変えることで、簡易な構成で精密な所望のトルク設定ができ、その加わる外力の管理も容易となる。
【0028】
さらに、第5の解決手段の、脆性破壊する歪感応表示体を、脆性破壊して塑性変形するその破壊点が相違する複数枚の歪感応表示体を並設することにより、
それぞれ加わる外力により複数枚の歪感応表示体が、その外力に対応して脆性破壊して塑性変形するので、その破壊点の違いによる複数枚の歪感応表示体に加わる外力が、どの程度まで加わったのか知ることができ、よって予めその破壊点の違いをそれぞれ設定しておけば、上下限の範囲の加わる外力を知ると同時に加わる外力に対してその対策とその管理をすることができる。
【0029】
またさらに、第6の解決手段の、脆性破壊する歪感応表示体を、金属又は炭素などの導電性を有する材質を含有する導電性歪感応表示体とし、該導電性歪感応表示体を、断線を検出する電子回路の破断センサーとして設けることにより、
外力により導電性歪感応表示体が脆性破壊して塑性変形すると、該導電性歪感応表示体を破断センサーとして電子回路により断線を検出して警報を発し、または無線又は有線通信で管理部署に知らせることにより破断の集中管理ができ、よって外力による該構造物又は該部材の変形管理又は遠隔による変形管理が容易にできる。
【0030】
さらにまた、第7の解決手段の、脆性破壊する歪感応表示体を、高架橋又はトンネルなど壁面のひび割れに対して横断するように設けることにより、
高架橋又はトンネルなど壁面に加わる外力により小さなひび割れが進み、それにより歪感応表示体が脆性破壊して塑性変形することで、そのひび割れの危険度を知ることができ、また上記導電性歪感応表示体と電子回路により警報を発し又は無線又は有線通信で破断の集中管理をすることで、ひび割れの遠隔管理ができ、また歪感応表示体又は導電性歪感応表示体をひび割れの管理として、上記第5の解決手段の複数枚使用することで、そのひび割れの進む課程も管理ができ、補修などの管理も容易となる。
【0031】
加えてまた、第8の解決手段の、脆性破壊する歪感応表示体が、一対のボルト部に保持板を橋架してナットで締結保持するUボルトなど該一対のボルト部を有する取付保持金具であって、該取付保持金具の保持板がナットで締結保持されるとき、その所定の締付けトルク値で保持板が撓むその撓みによる歪を利用して所定の締付けトルクが検知できるトルク感応表示体として、該保持板平面側の略中央近傍の該撓み部に設けることにより、
ナットの締結の締付けトルクを作業者自身が、簡易な表示で知ることができるので、高価なトルクレンチを使用することなく一般工具のレンチなどで所定トルクを知ることができ、また後日、そのナットの締付けトルクが、基準範囲で行われているのかの締付けトルク検査などで、第5の解決手段の複数枚を用いることで、所定トルクから過大トルク直前の適正範囲、つまり上限値、下限値のトルク範囲を目視で知る手段が得られ、その簡易な構成で、締め付けの過不足によるトラブルの防止などの効果によりコストダウンができる。
【0032】
加えてまた、第9の解決手段の、保持板に設けられる歪感応表示体を、トルク感応表示体として保持板側面側の略中央近傍の撓み部に設けることにより、
トルク検知表示体の脆性破壊による塑性変形が、平面側表面の歪みより大きくなり、つまり平面側表面ではトルク検知表示体の厚さのその距離に対する歪み量で、側面側表面ではトルク検知表示体の幅のその距離に対する歪み量となり、その厚さと幅の距離差だけ、加わる歪力が部分的に大きくなり、その分微少変形で脆性破壊が起こりやすくなり、合わせて上記歪感応表示体のV字状の切欠部のものとすると、その狭小部に掛かる応力集中が作用し、湾曲する歪力に対し、微少な変形で脆性破壊が起こることで、その分、精密なトルク値の設定ができ、その管理も容易となる。
よって、これらのことから本発明は、実用上著大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】 本発明の第1実施例の歪感応表示体1の斜視図である。
【図2】 本発明の第2実施例の着色歪感応表示体1aの斜視図である。
【図3】 本発明の第2実施例の着色歪感応表示体1aの脆性破壊状態を示す正面図である。
【図4】 本発明の第3実施例の切欠部4を形成した歪感応表示体1bの斜視図である。
【図5】 本発明の第4実施例の溝部5を形成した歪感応表示体1cの斜視図である。
【図6】 本発明の第3実施例の使用例で、鉄骨大規模構造物に使用する要部の斜視図である。
【図7】 本発明の第5実施例の使用例で、壁面8のひび割れ9に使用する状態を示す要部の正面図である。
【図8】 本発明の第6実施例の使用例で、Uボルト13に使用する要部の斜視図である。
【図9】 本発明の第6実施例の使用例で、交差状に保持する取付保持金具20に使用する要部の斜視図である。
【図10】 本発明の第6実施例のトルク感応表示体1eで、の使用状態を示す要部の正面断面図である。
【図11】 本発明の第6実施例のトルク感応表示体gで、使用状態を示す要部の平面図である。
【図12】 本発明の第6実施例のトルク感応表示体gで、他の使用状態を示す要部の平面図である。
【図13】 本発明の第6実施例のトルク感応表示体gで、他の使用状態を示す要部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
構造物又は部材が変形する有無とその変形規模を破断又はひび割れで表示する歪感応表示体であって、その変形する歪力で、脆性破壊して塑性変形するようにセラミックスなどの脆性材料で、その所望の脆性破壊する破壊点の違いに対応させて所定長さ、幅及び厚さの各寸法を組み合わせて所定形状の板状体に形成し、又はその形成を、塗料として所定形状に塗布乾燥させて形成した歪感応表示体とし、
また、歪感応表示体を着色した着色歪感応表示体として、該着色歪感応表示体と、その同系色以外の色で着色した延性を有する対比表示層を組み合わせて設けるとし、
また、歪感応表示体を長手方向の略中央近傍の側面側から略V字状の切欠部を設けると共に該切欠部の深さで、破壊点を変更可能とし、
また、歪感応表示体を長手方向の略中央近傍の平面を横断するように略V字状の溝部を設けると共に該溝部の深さで、破壊点を変更可能とし、
また、脆性破壊して塑性変形するその破壊点が相違する複数枚の歪感応表示体を並設するとし、
また、導電性を有する材質を含有する導電性歪感応表示体とし、該導電性歪感応表示体を、断線を検出する電子回路の破断センサーとして設けるとし、
また、歪感応表示体が高架橋及びトンネルなど壁面のひび割れに対して横断するように設けるとし、
また、Uボルトなど一対のボルト部を有する取付保持金具であって、該取付保持金具の保持板がナットで締結保持されるとき、所定の締付けトルクで保持板が撓むその撓みによる歪み歪を利用して所定の締付けトルクが検知できるトルク感応表示体とし、
また、トルク感応表示体として保持板側面側の略中央近傍の撓み部に設けるとし、それら該各感応表示体で構造物又は該部材が変形する有無とその変形規模を、脆性破壊で表示する歪感応表示体の提供を実現させた。
【実施例】
【0035】
本発明の第1実施例を図面に基づいて説明すると、図1において、1は歪感応表示体で、該歪感応表示体1は、セラミックス、アルミナ、ガラス、プラスチックなどの脆性材料で、その所望の脆性破壊する破壊点の違いに対応させて所定長さ、幅及び厚さの各寸法を組み合わせて所定形状の板状体に脆性破壊するように形成し、又はその形成を、直接、所定位置に塗料として所定形状に塗布乾燥させて歪感応表示体とし、該歪感応表示体1が、脆性破壊による塑性変形で、特定部位が変形する有無と、その変形規模を表示できるようにしている。
【0036】
なお、塗布材料は、乾燥時、所定形状を成し、且つ脆性破壊の起きやすい脆性材料であれば、上記以外の材料を使用しても良く、また、歪感応表示体1を使用するとき、その使用時の貼着するときの変形などの歪みで脆性破壊が生じやすいことから、貼着前は未乾燥の柔らかい延性を有する状態でシート状の密封材で乾燥しないように密封し、開封、貼着して乾燥すると脆性破壊が起きる使用状態となるように形成しても好ましいが、図示は省略した。
【0037】
而して、図2は、本発明の第2実施例の着色歪感応表示体1aで、該着色歪感応表示体1aは、前記歪感応表示体1を着色してその下層部に薄膜で延性を有する軟質の対比表示層2を設け、該着色歪感応表示体1aと対比表示層2の着色を、該着色歪感応表示体1aと同系色以外の色で着色している。
【0038】
そして、該着色歪感応表示体1aが脆性破壊して塑性変形すると、図3に示すように、脆性破壊部3が形成され、該脆性破壊部3を通して下層の対比表示層2色が見え、その時着色歪感応表示体1aと同系色以外の色で着色していることで、目立つように下層の対比表示層2の色を、例えば、着色歪感応表示体1aを白色に着色し、対比表示層2を赤色に着色することで、着色歪感応表示体1aの白色の該隙間から下層の赤色が見えることで、その脆性破壊部3の確認が容易となる。
【0039】
而して、図4は本発明の第3実施例の切欠歪感応表示体1bで、該切欠歪感応表示体1bは、前記歪感応表示体1の一方の側面側から略V字状の切欠部4を形成したもので、その略V字状の切欠部4の深さ(歪感応表示体1の幅の距離)を調整することにより、脆性破壊して塑性変形する破壊点を変更可能に形成したものである。
【0040】
而して、図5は本発明の第4実施例のV溝歪感応表示体1cで、該V溝歪感応表示体1cは、前記歪感応表示体1の長手方向の略中央近傍の平面を横断するように略V字状の溝部5を形成したもので、その略V字状の溝部5の深さ(歪感応表示体1の厚さの距離)を調整することにより、脆性破壊して塑性変形する破壊点を変更可能に形成したもので、該V溝歪感応表示体1cは、後述する壁面など比較的広い平面を対象に、またその平面側に設ける必要がある場合に有効で、そしてまたその平面側の小さく湾曲する歪力に対して検知する必要がある部分に使用するときに有効である。
【0041】
而して、前記各実施例を使用するときにおいて、適宜、使用する対象物に合わせて選ばれ、図6に示す使用例は、鉄骨構造で構築される鉄塔6など大規模構造物に使用するもので、切欠歪感応表示体1bを鉄塔6の鉄骨7の所定位置に貼着して、鉄塔6全体の撓み状態を知るための使用例で、該鉄塔6は全体の撓みに対して部分的な撓みはごく小さく、よって通常より長い切欠歪感応表示体1bを使用すると共に略V字状の切欠部4の深さを大きくしてその撓み変形を捉えやすくし、また図示するように、略V字状の該切欠部4,4aの深さの違う、切欠歪感応表示体1b,1bを並設して、撓みの変形規模の変化を上限、下限として表示できるようにしたものである。
【0042】
而して、図7に示す第5実施例の導電性歪感応表示体1dは、高架橋又はトンネルなど壁面8のひび割れ9が拡大する、変化を検知するもので、その使用例は、上記第1実施例の歪感応表示体1の脆性破壊で、そのひび割れ9が拡大する変化を検知できるように、導電性歪感応表示体1dを該壁面8のひび割れ9に対して横断させて設け、図示では略V字状の切欠部4,4aの深さが違う、導電性歪感応表示体1d,1dを並設し、壁面8のひび割れ9に加わる、外力による変形規模の大きさを表示できるようにしている。
【0043】
そして、そのひび割れ9の拡大などの変化を無人監視させて検知するのに、第2実施例の切欠歪感応表示体1bの形状で、金属又は炭素などの導電性を有する材質を含有する第5実施例の導電性歪感応表示体1dとして形成したものを破断センサーとし、断線を検出する電子回路10と共に使用し、図示では、ひび割れ9を横断するように並設する導電性歪感応表示体1d,1dの各両端から電子回路10にそれぞれ接続されて信号が印加され、導電性歪感応表示体1d,1dが脆性破壊すると電子回路10が断線を検出して送信装置11にてひび割れ9が拡大など変化したことを送信する構成としている。
【0044】
なお、送信装置11の送信は、設置現場に対応して有線若しくは無線が選ばれ、また断線を検出する電子回路10は、一般的に知られる断線を検出する電子回路10であり、また上記第2実施例の切欠歪感応表示体1bとしているが、それに拘らず、他の実施例のものを使用した導電性を有するものとしても良く、また単に、第1実施例の歪感応表示体1として使用して、そのひび割れ9が拡大したなどの変化を脆性破壊で塑性変形する表示として、目視で確認するものとしても利用できる。
【0045】
而して、図8及び図9に示す第6実施例の使用例は、前記歪感応表示体1をその脆性破壊による塑性変形で、特定部位が変形する有無と、その変形規模を表示するのに対して、その脆性破壊による塑性変形で、所定の力が加わったとする指標を締付けトルクに置き換え、それにより締付けトルクを知ることができる第6実施例のトルク感応表示体1e,1fとして使用される。
【0046】
そこで、まず図8に示す使用対象部材において、柱状に立設された棒状部材12に、継ぎ足しの棒状部材12aを平行に連結する使用例で、一般的に併設する2本の棒状部材12,12aを連結、保持固定する場合に一般市販されるUボルト13が使用され、該棒状部材12,12aを該Uボルト13及び保持板14で狭持すると共にナット15,15で保持固定される。
【0047】
そして、その一般市販されるUボルト13は、U字状の曲部16とその両端から連続して平行する一対の直線部17,17と、該先端側にネジ部18,18を形成したもので、通常、上記した保持板14と共に使用され、その使用は図8に示すように、保持板14に形成された穴に該ネジ部18,18を挿通して該ナット15,15で螺着し、該曲部16と保持板14との間で棒状部材12,12aを狭持状に保持固定して連結するように使用される。
【0048】
また、図9に示す他の使用対象部材は、棒状部材をクロス状態に保持するとき一般的に使用されるもので、例えば橋脚等の耐震基礎などに使用される鉄筋篭の補強枠を組み立てるときに使用され、その取付保持金具の形状において、上述Uボルト13の平行する一対の直線部17,17部分を略コの字状に折り曲げ形成し、その略コの字状の底部にあたる部分に棒状支持部19,19が形成され、上述Uボルト13と同様、U字状の曲部16と、ネジ部18,18を設けた取付保持金具20として形成されている。
【0049】
そして、図8及び図9に示す該Uボルト13と取付保持金具20の締付けトルク管理において、図8に示すUボルト13の使用例は、棒状部材12,12aを保持板14で狭持すると共にナット15,15で締結保持した該保持板14表面略中央部にトルク感応表示体1eを貼着し、また図9図に示す取付保持金具20の使用例は、棒状支持部19,19に、板状の補強枠21を載置すると共に該補強枠21に、丸棒状の主筋22を曲部16及び該ネジ部18,18に設ける保持板14とで狭持するようにクロス状に重装して該主筋22を支持して、ナット15,15で締結保持した該保持板14表面略中央部にトルク感応表示体1e,1fを並設して貼着し、その各締結保持による締付けトルク値の歪力量に対応してそれぞれ保持板14,14が湾曲する、その撓みによりトルク感応表示体1e,1fが脆性破壊して塑性変形することで、所定の締付けトルク値を表示する。
【0050】
また、図9に示す第6実施例のトルク感応表示体1e,1fは、脆性破壊値の違いで並設して上限、下限値を知るもので、つまりトルク感応表示体1fが先に脆性破壊して所定のトルク値として設定し、それに対してトルク感応表示体1eが脆性破壊するときは過大トルク値となるように、トルク感応表示体1fより大きな撓みで脆性破壊するように設定し、このことでトルク値の上限、下限値を知ることができる。
【0051】
それは、図9に示すトルク感応表示体1e,1fの使用において、保持板14表面に、長方形板状のトルク感応表示体1eと、それに併設して該長方形板状の中央部を狭窄させて形成したトルク感応表示体1fを貼着し、そして該トルク感応表示体1fは、前記切欠歪感応表示体1bとV溝歪感応表示体1cと略同様の機能を持たせるように、狭窄の幅に対応した歪力により脆性破壊が生じる締付けトルク値の設定が行えるようにしている。
【0052】
そこで上述した、図8及び図9に示す保持板14の湾曲により、トルク感応表示体1e,1fで締付けトルク値の管理をすることについて、図8の実施例を代表例としてさらに詳述すると、図8に示すように、Uボルト13のネジ部18,18の間に該棒状部材12,12aを挿入すると共に保持板14を挿入してナット15,15で螺着することで、曲部16と保持板14及びナット15,15で該棒状部材12,12aが保持固定される。
【0053】
そして、図10に示すように、そのナット15,15を所定のトルク値まで締め付けたとき、保持板14がフラットな状態からその締結力により湾曲し、その撓みによりトルク感応表示体1eの一部(図示ではトルク感応表示体1eの略中央部)が、図示すように脆性破壊して脆性破壊部3が形成され、その塑性変形により、所定の締付けトルクに達したことを知ることができる。
【0054】
なお、上記脆性破壊に達する値は、使用される保持板14の要求される設計上の仕様の材質及び寸法上の厚さ、長さなどによって設定され、またその所定トルクの値も同様に各仕様によって設定される。
【0055】
さらに、他の第6実施例の使用例を示す図11のトルク感応表示体1g,1gは、締結力による歪力の強さに各対応して脆性破壊の起きるように、その側面側の一方にそれぞれ略V字状で深さの違う大小それぞれ2種類の切欠部4,4aを形成して保持板14の平面上に貼着して使用し、それは所定トルク値の該締結力の強さで、切り欠きの深い切欠部4が最初に脆性破壊し、また過大締付けトルク値で脆性破壊するように設定される切り欠きの浅い切欠部4aが次に脆性破壊し、このように予め設定された締付けトルクで、最初に切欠部4が脆性破壊して、図示する脆性破壊部3が現れ、所定の締付けトルク値で締結されたことを知ることができ、また過大締結があると切欠部4aが脆性破壊して知ることができる。
【0056】
その上述、使用例の切り欠きの深さの違うトルク感応表示体1g,1gにより、切り欠きの深い切欠部4を所定トルクの値と、切り欠きの浅い切欠部4aを過大トルクの値とすることで、一定の範囲内で締め付けられたことを表示することができ、また該脆性破壊は、塑性変形であることから、作業後の締め付け検査であっても確認することができる。
【0057】
つまり、図10に示すナット5,5を所定トルクの値まで締め付けたとき、その歪力により保持板14が湾曲することで、上述した切欠部4が脆性破壊して所定トルクに達したことを知ることができ、このことは一般的に使用されるトルクレンチを使うことなく、通常工具のレンチを使用しても、所定トルクで締め付けることができる。
【0058】
また、そのV字状の切り欠きは、該V字状の狭小部に応力集中が起こるため、歪力が起こると、必ずそのV字状の狭小部から脆性破壊し、またそのV字状の狭小部に応力集中させることで、延性を少なくし、よって該締結の歪力により正確に脆性破壊を起こさせ、その所定トルクを知ることができる。
【0059】
また、図12及び図13に示す使用例は、保持板14の側面側に貼着して使用するものを示し、それぞれ切欠部4,4aの深さの違うトルク感応表示体1g,1gを該両側面に貼着し、上述した締め付けの歪力により保持板14が湾曲することで、トルク感応表示体1g,1gの幅側から切欠部4,4aを開くように歪力が掛かり、そのことで脆性破壊が起き、図13に示す脆性破壊部3が形成され、この開くように歪力が掛かることで小さい歪力でも脆性破壊が起きやすく、その分、精密なトルク値の設定ができる。
【0060】
つまり、この側面側に設ける実施例では、平面側に設ける実施例より湾曲する歪力に敏感に反映して脆性破壊が起こり、それは平面側では、該V字状の狭小部に掛かる応力集中が小さく、また側面側では、該V字状の狭小部に掛かる応力集中が大きく作用し、その保持板14の湾曲に対応した撓みに対し、平面側の場合では、トルク感応表示体1g,1gの厚み方向の歪みで、対する側面側の場合では、幅方向の歪みであるから撓みに対して曲げ幅が大きく、その厚みの差の分だけ歪力が大きく、このことからナット5,5による締結が小さく、また撓みが少ない場合は、側面側に設けることで撓みが少ないときでも敏感に脆性破壊の反応が起き、その平面側で対応しきれないほど歪力が小さいときは側面側で対応でき、また精密なトルク値の設定もできる。
【0061】
また、Uボルト13及び取付保持金具20に限らず、一対の直線部17,17と、該先端側にネジ部18,18を有し、該ネジ部18,18にナット15,15で締結して保持板14を保持固定する、ボルトなど一対のネジ部材で保持板14を締結保持し、且つ湾曲して歪力が生じる位置に使用するものであれば特にこだわらないが、図示は省略した。
【0062】
さらに、上記各使用例は、それぞれ一実施例を特定して示めしているが、この各使用例に囚われることなく、各実施例を相互に変更し、また第1から第6の各実施例のものを組み合わせて使用するようにしても良いが、図示は省略した。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の脆性破壊する各歪感応表示体は、鉄骨構造又はコンクリートなどで構築される大規模構造物の撓み変形量の表示、又はトンネルなど壁面のひび割れの変化など大規模構造物の変形量の表示乃至小物単品部材のUボルト又は鉄筋などで組み立てる鉄筋篭に使用する一対のボルト部を有する取付保持金具の取付のトルクの確認及びその点検管理として利用できる。
【符号の説明】
【0064】
1 歪感応表示
1a 着色歪感応表示体
1b 切欠歪感応表示体
1c V溝歪感応表示体
1d 導電性歪感応表示体
1e,1f,1g トルク感応表示体
2 対比表示層
3 脆性破壊部
4 切欠部
5 溝部
6 鉄塔
8 壁面
9 ひび割れ
10 電子回路
13 Uボルト
14 保持板
15 ナット
18 ネジ部
20 取付保持金具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨構造又はコンクリートなどで構築される大規模構造物乃至取付金具又は保持板など小物単品部材が変形する有無と、その変形規模を、破断又はひび割れで表示する歪感応表示体であって、その変形させる外力により、脆性破壊して塑性変形するようにセラミックス、アルミナ、ガラス、プラスチックなどの脆性材料で、脆性破壊するその所望の破壊点の違いの外力に対応させて所定長さ、幅及び厚さの各寸法を組み合わせて所定形状の板状体に形成し、又はその形成を、直接、前記構造物又は該部材の所定位置に塗料として所定形状に塗布乾燥させて歪感応表示体として形成することを特徴とした脆性破壊する歪感応表示体。
【請求項2】
請求項1記載の脆性破壊する歪感応表示体が、着色した着色歪感応表示体とし、該着色歪感応表示体を前記構造物又は該部材に設けると共に該構造物又は該部材に接する側の該着色歪感応表示体に、該着色歪感応表示体と同系色以外の色で着色した薄膜で延性を有する軟質の対比表示層を設けるとした歪感応表示体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の脆性破壊する歪感応表示体が、略長方形板状であって、脆性破壊して塑性変形するその破壊点が変更でき、且つ所定部位に応力が集中するように、該長手方向の略中央近傍の側面側から略V字状の切欠部を設けると共に該切欠部の深さで破壊点を変更可能に形成するとした歪感応表示体。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の脆性破壊する歪感応表示体が、略長方形板状であって、脆性破壊して塑性変形するその破壊点が変更でき、且つ所定部位に応力が集中するように、該長手方向の略中央近傍の平面を横断する略V字状の溝部を設けると共に該溝部の深さで破壊点を変更可能に形成するとした歪感応表示体。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の脆性破壊する歪感応表示体が、脆性破壊して塑性変形するその破壊点が相違する複数枚の歪感応表示体を並設されるとした歪感応表示体。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の脆性破壊する歪感応表示体が、金属又は炭素などの導電性を有する材質を含有する導電性歪感応表示体とし、該導電性歪感応表示体を、断線を検出する電子回路の破断センサーとして設けられるとした歪感応表示体。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の脆性破壊する歪感応表示体が、高架橋又はトンネルなど壁面のひび割れに対して横断するように設けられるとした歪感応表示体。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の脆性破壊する歪感応表示体が、一対のボルト部に保持板を橋架してナットで締結保持するUボルトなど該一対のボルト部を有する取付保持金具であって、該取付保持金具の保持板がナットで締結保持されるとき、その所定の締付けトルク値で保持板が撓むその撓みによる歪を利用して所定の締付けトルクが検知できるトルク感応表示体として、該保持板平面側の略中央近傍の該撓み部に設けられるとした歪感応表示体。
【請求項9】
請求項8記載の保持板に設けられる歪感応表示体が、トルク感応表示体として保持板側面側の略中央近傍の撓み部に設けられるとした歪感応表示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−73214(P2012−73214A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231974(P2010−231974)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(508283875)株式会社恵信工業 (7)
【Fターム(参考)】