説明

脱揮押出機、並びに、それを用いた重合体組成物の脱揮押出方法及びメタクリル系重合体の製造方法

【課題】 重合体組成物や製造するメタクリル系重合体の汚染を抑制することができる脱揮押出機を提供する。
【解決手段】 重合体組成物供給口12、ガス排出口14、重合体出口16及び貫通穴18を有するシリンダ10と、貫通穴18を貫通してシリンダ10内に挿入された回転可能なスクリュー20と、スクリュー20の貫通穴18からシリンダ10の外部に伸びたシャフト部分20aを支持する軸封軸受け部30と、を備える、メタクリル系重合体を製造するための脱揮押出機であって、軸封軸受け部30の軸シール部32は、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、ジイソ酪酸エステル及びアセチル化グリセライドからなる群より選ばれる少なくとも1種をメカニカルシール液として用いたメカニカルシールにより形成されている、脱揮押出機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタクリル系重合体を製造する際に使用する脱揮押出機、並びに、それを用いた重合体組成物の脱揮押出方法及びメタクリル系重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メタクリル系重合体の製造方法として、溶液重合法や塊状重合法によりメタクリル系重合体及び揮発成分を含む重合体組成物を得た後、これをスクリュー式脱揮押出機に供給して揮発成分を除去し、メタクリル系重合体を得る方法が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
上記方法で使用する脱揮押出機の内部に挿入されているスクリューは、脱揮押出機の軸封軸受け部により支持されており、軸封軸受け部において、スクリューの周囲には軸シール部が設けられている。この軸シール部を形成するシール構造としては様々な形式が知られているが、代表的なシール構造の一つとしてメカニカルシールが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−49925号公報
【特許文献2】特開2003−96105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メカニカルシールは、シール面の潤滑液としてメカニカルシール液を使用する。そのため、メカニカルシールを用いた従来の脱揮押出機では、長期間連続して運転を行った場合、軸シール部からメカニカルシール液の一部が漏れ出して、重合体組成物や製造するメタクリル系重合体を汚染する可能性があるという問題を有していた。重合体組成物や製造するメタクリル系重合体が汚染された場合、メタクリル系重合体の透明性が低下したり、成形時に着色しやすくなるといった問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、重合体組成物や製造するメタクリル系重合体の汚染を抑制することができる脱揮押出機、並びに、それを用いた重合体組成物の脱揮押出方法及びメタクリル系重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、重合体組成物供給口、ガス排出口、重合体出口、及び、貫通穴を有するシリンダと、上記貫通穴を貫通して上記シリンダ内に挿入された回転可能なスクリューと、上記スクリューの上記貫通穴から上記シリンダの外部に伸びたシャフト部分を支持する軸封軸受け部と、を備える、メタクリル系重合体を製造するための脱揮押出機であって、上記軸封軸受け部の軸シール部は、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、ジイソ酪酸エステル及びアセチル化グリセライドからなる群より選ばれる少なくとも1種をメカニカルシール液として用いたメカニカルシールにより形成されている、脱揮押出機を提供する。
【0008】
上記メカニカルシール液として使用しているアジピン酸エステル、フタル酸エステル、ジイソ酪酸エステル及びアセチル化グリセライドからなる群より選ばれる少なくとも1種は、重合体組成物中に混入した場合であっても、メタクリル系重合体の透明性が低下したり、成形時に着色しやすくなるといった悪影響を与えにくいという性質を有する。したがって、上記脱揮押出機においては、軸シール部がメカニカルシールにより形成されており、且つ、メカニカルシール液としてアジピン酸エステル、フタル酸エステル、ジイソ酪酸エステル及びアセチル化グリセライドからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いていることにより、長期間の連続運転によりメカニカルシール液がシリンダ内に漏れ出したとしても、重合体組成物や製造するメタクリル系重合体の汚染を抑制することができる。よって、上記脱揮押出機によれば、長期間の運転を連続して行った場合であっても、汚染が抑制されたメタクリル系重合体を効率よく製造することができる。
【0009】
本発明はまた、メタクリル系重合体及び揮発成分を含む重合体組成物を、上記本発明の脱揮押出機における上記重合体組成物供給口から上記シリンダ内に供給し、揮発成分を上記ガス排出口から、脱揮後のメタクリル系重合体を上記重合体出口からそれぞれ排出する、重合体組成物の脱揮押出方法を提供する。
【0010】
かかる脱揮押出方法によれば、上記本発明の脱揮押出機を用いているため、重合体組成物や製造するメタクリル系重合体の汚染を抑制することができる。よって、上記脱揮押出方法によれば、長期間の運転を連続して行った場合であっても、汚染が抑制されたメタクリル系重合体を効率よく製造することができる。
【0011】
本発明は更に、メタクリル系単量体を主成分とする単量体成分、ラジカル重合開始剤、及び連鎖移動剤を含む原料を重合反応槽へ連続的に供給する工程と、上記重合反応槽内で上記単量体成分を重合させて、メタクリル系重合体と、未反応単量体を含有する揮発成分とを含む重合体組成物を得る工程と、上記重合体組成物を、請求項1記載の脱揮押出機における上記重合体組成物供給口から上記シリンダ内に供給し、上記揮発成分を上記ガス排出口から、脱揮後のメタクリル系重合体を上記重合体出口からそれぞれ排出する工程と、を有する、メタクリル系重合体の製造方法を提供する。
【0012】
かかるメタクリル系重合体の製造方法によれば、上記本発明の脱揮押出機を用いているため、重合体組成物や製造するメタクリル系重合体の汚染を抑制することができる。よって、上記脱揮押出方法によれば、長期間の運転を連続して行った場合であっても、汚染が抑制されたメタクリル系重合体を効率よく製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、重合体組成物や製造するメタクリル系重合体の汚染を抑制することができる脱揮押出機、並びに、それを用いた重合体組成物の脱揮押出方法及びメタクリル系重合体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好適な実施形態に係る脱揮押出機の内部構造を示す概略図である。
【図2】本発明の好適な実施形態に係る脱揮押出機の軸封軸受け部の部分断面図である。
【図3】本発明の脱揮押出機を用いたメタクリル系重合体の製造システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0016】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る脱揮押出機の内部構造を示す概略図である。図1に示すように、脱揮押出機100は、メタクリル系重合体及び揮発成分を含む重合体組成物を供給するための重合体組成物供給口12、揮発成分を排出するためのガス排出口14、脱揮後のメタクリル系重合体を排出するための重合体出口16、並びに、貫通穴18を有するシリンダ10と、貫通穴18を貫通してシリンダ10内に挿入された回転可能なスクリュー20と、スクリュー20の貫通穴18からシリンダ10の外部に伸びたシャフト部分20aを支持する軸封軸受け部30と、を備えている。シリンダ10には、4つのガス排出口14が設けられており、重合体組成物供給口12から見て軸封軸受け部30側に1つのガス排出口(バックベント)14aが、重合体出口16側に3つのガス排出口(フォアベント)14b,14c,14dが、それぞれ設けられている。また、軸封軸受け部30は、軸シール部32を有している。
【0017】
図2は、本発明の好適な実施形態に係る脱揮押出機の軸封軸受け部の部分断面図である。図2に示すように、軸シール部32はメカニカルシールにより形成されている。また、軸シール部32のシリンダ10とは反対側には、スクリュー20を回転駆動させるための駆動装置(図示せず)が設けられている。
【0018】
軸シール部32を形成するメカニカルシールの形式は特に限定されず、公知の形式のメカニカルシールを用いることができる。例えば、図2に示すように、メカニカルシールは、スクリュー20側に固定された回転環32aと、軸封軸受け部本体(ケーシング)側に固定された固定環32bとを有し、スプリング(図示せず)等により回転環32aと固定環32bとが一定の力で押し付けられて密着するように構成されている。また、回転環32aと固定環32bとの接触面の摩擦を低減するために、メカニカルシール32の内部にはメカニカルシール液32cが充填されている。図2では、回転環32aと固定環32bとの組み合わせを二組有するメカニカルシール、すなわちダブルメカニカルシールによる構成が示されている。メカニカルシール液32cは、通常、メカニカルシール液投入口(図示せず)からポンプ等を使用して連続的に供給され、メカニカルシール液排出口(図示せず)から連続的に排出される。メカニカルシール液は、循環供給されるのが好ましい。充填圧力は、脱揮押出機のサイズや押出条件等によって適宜設定されるが、脱揮押出機100のガス排出口14aの圧力よりも高く設定する。また、脱揮押出機には、最高使用圧力に応じて圧力計及び安全弁が設けられるので、安全弁が作動しない範囲で上記充填圧力を調整する。
【0019】
メカニカルシール液32cには、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、ジイソ酪酸エステル及びアセチル化グリセライドからなる群より選ばれる少なくとも1種が用いられる。アジピン酸エステルとしては、例えば、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等が挙げられる。フタル酸エステルとしては、例えば、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル等が挙げられる。ジイソ酪酸エステルとしては、例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチラート等が挙げられる。アセチル化グリセライドとしては、例えば、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンジアセトモノリノレート、グリセリンジアセトモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンジアセトモノミリステート、グリセリンジアセトモノパルミテート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンモノアセトモノミリステート、グリセリンモノアセトモノパルミネート、グリセリンモノアセトモノリシノレート、グリセリンモノアセトモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンモノアセトモノベヘネート、グリセリンモノアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトジオレート、グリセリンモノアセトジリシノレート、グリセリンモノアセトジカプリレート、グリセリンモノアセトジラウレート、グリセリンモノアセトジステアレート等が挙げられる。中でも、アジピン酸エステル、ジイソ酪酸エステルが好ましく、アジピン酸エステルが特に好ましい。アジピン酸エステル、フタル酸エステル、ジイソ酪酸エステル、アセチル化グリセライドは、重合体組成物中に混入しても未反応のメタクリル系単量体を主成分とする単量体の重合反応を促進せず、また、得られるメタクリル系重合体の着色を引き起こす等の悪影響が生じ難いといった利点がある。
【0020】
回転環32a及び固定環32bの材質は特に限定されず、公知の材質で構成されていればよい。回転環32a及び固定環32bの材質としては、例えば、カーボン、シリコーンカーバイド、超硬合金、酸化クロムコーティング等が挙げられる。
【0021】
脱揮押出機100において、重合体組成物は重合体組成物供給口12から供給される。このとき、液状の重合体組成物は重合体組成物供給口12付近で圧力の調整により霧状になり、重合体組成物に含まれる揮発成分の少なくとも一部が重合体組成物供給口12に近いガス排出口14a,14bから排出される。また、重合体組成物はスクリュー20の回転により重合体出口16側に進み、重合体出口16に到達するまでに、重合体組成物に含まれる揮発成分の大部分が気化し、ガス排出口14b,14c,14dから排出される。また、ガス排出口14から排出する揮発成分には、未反応単量体の他に、必要に応じて用いられる溶剤や添加剤、重合過程で生成する揮発性副生物などが含まれる。以上により、揮発成分の大部分が除去された脱揮後のメタクリル系重合体を、重合体出口16から得ることができる。メタクリル系重合体は、例えばペレットの状態で得ることができる。
【0022】
上述した脱揮押出機100は、メタクリル系重合体の中でも、メタクリル酸メチルを主成分とする単量体混合物を重合して得られるメタクリル系重合体の製造に好適に使用することができる。
【0023】
脱揮押出機100において、シリンダ10に形成されるガス排出口14の数は特に限定されない。図1では4つのガス排出口14が設けられた構成を示したが、ガス排出口14の数は1〜3つであってもよく、5つ以上であってもよい。重合体組成物中の揮発成分を効率的に排出する観点では、シリンダ10は、重合体組成物供給口12と軸封軸受け部30との間に設けられたガス排出口(バックベント)と、重合体組成物供給口12と重合体出口16との間に設けられたガス排出口(フォアベント)とを、それぞれ1つ以上有していることが好ましく、1つのバックベントと1〜3つのフォアベントを有していることがより好ましい。
【0024】
脱揮押出機100に用いるスクリュー20の本数は特に限定されないが、1〜2本であることが好ましく、2本であることがより好ましい。スクリュー20を2本備える二軸脱揮押出機は、メタクリル系重合体を効率的に製造できるため好ましい。スクリュー20の直径は特に制限されないが、通常、φ100〜450mmである。
【0025】
次に、本発明の重合体組成物の脱揮押出方法及びメタクリル系重合体の製造方法について説明する。
【0026】
本発明のメタクリル系重合体の製造方法は、メタクリル系単量体を主成分とする単量体成分、ラジカル重合開始剤、及び連鎖移動剤を含む原料を重合反応槽へ連続的に供給する工程と、重合反応槽内で単量体成分を重合させて、メタクリル系重合体と、未反応単量体を含有する揮発成分とを含む重合体組成物を得る工程と、重合体組成物を、上記本発明の脱揮押出機における重合体組成物供給口からシリンダ内に供給し、揮発成分をガス排出口から、脱揮後のメタクリル系重合体を重合体出口からそれぞれ排出する工程と、を有する方法である。以下、各工程について詳細に説明する。
【0027】
図3は、メタクリル系重合体の製造システムを示す概略構成図である。図3に示すように、まず、開始剤調合槽101及び単量体調合槽102において、開始剤組成物と単量体組成物とをそれぞれ調合する。開始剤組成物は、ラジカル重合開始剤、メタクリル系単量体を主成分とする単量体成分及び連鎖移動剤を混合したものである。単量体組成物は、メタクリル系単量体を主成分とする単量体成分及び連鎖移動剤を混合したものである。そして、調合した開始剤組成物と単量体組成物とを重合反応槽103へ連続的に供給し、重合反応を行う。
【0028】
ここで、メタクリル系単量体を主成分とする単量体成分、ラジカル重合開始剤及び連鎖移動剤としては、製造するメタクリル系重合体に応じて選択される。以下、各成分について詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味する。
【0029】
メタクリル系単量体を主成分とする単量体成分は、メタクリル系単量体単独、或いは、メタクリル系単量体及び該メタクリル系単量体と共重合可能な他の単量体の混合物である。メタクリル系単量体以外の単量体を混合する場合、メタクリル系単量体の含有量は、単量体全量を基準として50質量%以上であり、75質量%以上であることが好ましい。
【0030】
メタクリル系単量体としては特に限定されないが、例えば、メタクリル酸アルキル(アルキル基の炭素数が1〜4であるもの)が挙げられる。メタクリル酸アルキル(アルキル基の炭素数が1〜4であるもの)のアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチルなどが挙げられ、メタクリル酸アルキルのなかでも、メタクリル酸メチルであることが好ましい。これらのメタクリル系単量体は、単独でも、2種以上を併用することもできる。2種以上を併用する場合、上記のメタクリル系単量体を主成分とする単量体成分は、2種以上のメタクリル系単量体の混合物、或いは、2種以上のメタクリル系単量体及び該メタクリル系単量体と共重合可能な他の単量体の混合物である。2種以上のメタクリル系単量体に該メタクリル系単量体と共重合可能な他の単量体を混合する場合、2種以上のメタクリル系単量体の合計含有量は、単量体全量を基準として50質量%以上であり、75質量%以上であることが好ましい。
【0031】
また、メタクリル系単量体と併用可能な他の単量体としては、メタクリル系単量体と共重合可能な他のビニル単量体が挙げられる。他のビニル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル等の炭素数1〜18のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル:アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、その酸無水物:アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセロール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロール等のヒドロキシル基含有単量体:アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有単量体:アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体:スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体:が挙げられる。
【0032】
本発明において、反応槽に供給される重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤が挙げられる。上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸などのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、カプリエルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシビパレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、イソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキシジカーボネート、s−ブチルパーオキシジカーボネート、n−ブチルパーオキシジカーボネート、2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサエノート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−エチルヘキサノエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソノナエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ−イソノナエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0033】
ラジカル重合開始剤の配合量としては、特に限定されるものではないが、通常、原料の単量体成分100質量部に対して0.001〜1質量部である。2種以上のラジカル重合開始剤を混合して使用する場合、その合計使用量がこの範囲となるようにすればよい。反応槽に供給する重合開始剤は、生成するメタクリル系重合体や使用する原料単量体成分の種類に応じて選定されるものであって、本発明において特に限定されるものではないが、例えば、ラジカル重合開始剤については、重合温度での半減期が1分以内であるものが好ましい。重合温度での半減期が1分を超えると、反応速度が遅くなるために、連続重合装置での重合反応に適さなくなるおそれがある。ラジカル重合開始剤の温度と半減期の関係は、ラジカル重合開始剤の種類毎に各種文献や製造会社の技術資料に記載がある。本発明では、和光純薬(株)または化薬アクゾ(株)等の公知の製品カタログに記載の値を用いた。
【0034】
本発明において、反応槽には、生成するメタクリル系重合体の分子量を調整するために、連鎖移動剤を配合することができる。上記連鎖移動剤としては、単官能および多官能のいずれの連鎖移動剤であってもよく、具体的には、例えば、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、2−エチルヘキシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、などのアルキルメルカプタン;フェニルメルカプタン、チオクレゾールなどの芳香族メルカプタン;エチレンチオグリコールなどの炭素数18以下のメルカプタン類;エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコール類;水酸基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したもの、1,4−ジヒドロナフタレン、1,4,5,8−テトラヒドロナフタレン、β−テルピネン、テルピノーレン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4シクロヘキサジエン、硫化水素などが挙げられる。これらは、単体で使用してもよく、2種以上を組合わせて使用してもよい。
【0035】
連鎖移動剤の配合量としては、使用する連鎖移動剤の種類などによって相違することから、特に限定されるものではないが、例えば、メルカプタン類を使用する場合には、原料の単量体成分100質量部に対して0.01〜3質量部であることが好ましく、0.05〜1質量部であることがより好ましい。この範囲の使用量が、メタクリル系重合体の機械的性質を損なわず、熱安定性を良好に保つので好ましい。2種以上の連鎖移動剤を組み合わせて使用する場合、その合計使用量がこの範囲となるようにすればよい。
【0036】
本実施形態で用いられる重合反応槽103は、攪拌装置を備えた槽型反応器である。そして、該攪拌装置は、槽内溶液を実質的に完全混合状態とするものである。攪拌翼の形状としては、住友重機械工業(株)マックスブレンド翼、パドル翼、ダブルヘリカルリボン翼、MIG(ミグ)翼、神鋼パンテック(株)のフルゾーン翼等が用いられるが、特に限定されない。なお、攪拌効果を高めるためにも、バッフルを取り付けることが望ましい。
【0037】
攪拌効率が高い程、好ましいことは言うまでもないが、必要以上の攪拌動力は、反応槽に余分な熱量を加えるだけであり好ましくない。従って、攪拌動力は0.5〜20kW/m、好ましくは1〜15kW/mである。この攪拌動力は、内容液の粘度、つまり重合体の含有率が高くなる程大きくする必要がある。
【0038】
重合反応槽103の内部は、実質的に気相のない満液状態とすることが好ましい。満液にすることにより、気相部や気液界面の槽内壁面での重合体の付着、生成が抑制され、これらの製品への混入による品質低下を抑制することができる。その上、重合反応槽103の容積を全て有効利用できるので、生産性を向上させることができる。
【0039】
重合反応槽103内を満液とするには、槽内溶液の出口を反応槽の最上部に設置するのが最も簡便である。この場合、原料(開始剤組成物及び単量体組成物)の供給口は、重合反応槽103の下部に設けることが好ましい。なお、重合反応槽103内に単量体の気体が発生しないようにするにことが望ましく、そのために、槽内の圧力を、内容液の温度における蒸気圧以上の圧力とすることが好ましい。この圧力としては、概ね10〜20kg/cm程度である。
【0040】
また、重合反応槽103内は、外側から実質的に熱の出入りのない断熱状態にすることが好ましい。つまり、反応槽内の温度と反応槽外壁面側の温度とをほぼ同じ温度にすることが好ましい。具体的には、例えば反応槽外壁面側にジャケットを設置し、スチームや他の熱媒等を用いて反応槽外壁温度を反応槽内温度に追従させてほぼ同じ温度とすることによって行うことができる。
【0041】
重合反応槽103を、断熱状態とするのは、反応槽内壁面に重合体が形成するのを防止できることと、重合反応を安定化させ、暴走反応を抑制する自己制御性をもたらすためである。なお、反応槽内壁面の温度を内溶液の温度よりも高くし過ぎるのは、反応槽内に余分な熱が加わるので好ましくない。反応槽内と反応槽外壁の両者の温度差が少ない程好ましいが、現実的には±5℃程度の振れ幅の範囲内で調整すればよい。
【0042】
本実施形態において重合反応槽103内で発生する熱、つまり重合熱及び攪拌熱は、重合反応槽103から出ていく液状(シロップ状)の重合体組成物が持ち去る熱量とでバランスさせることが好ましい。重合体組成物が持ち去る熱量は、重合体組成物の量、比熱、温度(重合温度)によって定まる。
【0043】
重合温度は、用いるラジカル重合開始剤の種類にもよるが、好ましくは120〜180℃程度であり、より好ましくは130〜180℃である。この温度が高過ぎると、得られるメタクリル系重合体のシンジオタクチック性が低くなり、オリゴマーの生成量が増え、樹脂の耐熱性が低くなる傾向がある。
【0044】
重合反応槽103内での平均滞留時間は、好ましくは15分以上2時間以下、より好ましくは20分以上1.5時間以下である。この時間が必要以上に長いと、ダイマー、トリマー等のオリゴマーの生成量が多くなり、製品の耐熱性が低下する傾向がある。平均滞留時間は、単位時間当たりの単量体の供給量を変更することにより調節できる。
【0045】
本実施形態で用いられる開始剤調合槽101及び単量体調合槽102は、上述した重合反応槽103と同様の攪拌装置を備えた調合槽を使用することができる。開始剤調合槽101では、ラジカル重合開始剤を単量体に完全に溶解させて開始剤液とする。また、開始剤調合槽101内の温度は、重合反応が進行しない温度に維持し、好ましくは−20〜10℃に維持する。一方、単量体調合槽102内の温度は、単量体が揮発しない温度に維持し、好ましくは−20〜10℃に維持する。これら開始剤調合槽101及び単量体調合槽102から、メタクリル系重合体の原料である開始剤組成物及び単量体組成物がポンプ等によって重合反応槽103に連続的に供給される。
【0046】
開始剤調合槽101から重合反応槽103への開始剤組成物の供給量は、重合反応槽103の容量等により異なるが、例えば重合反応槽103の容量を10Lとした場合、好ましくは0.1〜10kg/hrであり、より好ましくは0.5〜5kg/hrである。また、単量体調合槽102から重合反応槽103への単量体組成物の供給量は、重合反応槽103の容量等により異なるが、例えば重合反応槽103の容量を10Lとした場合、好ましくは4〜40kg/hrであり、より好ましくは10〜30kg/hrである。
【0047】
なお、重合反応槽103で調合する単量体としては、新鮮な単量体だけでなく、図3に示すように、未反応で分離回収された単量体を用いてもよい。また、単量体調合の際に、溶存酸素による影響を防ぐために、単量体調合槽102中に不活性ガスをバブリングしたり、減圧脱気して溶存酸素を除去するのが一般的であるが、本実施形態の方法では、必ずしも厳密に除去する必要はなく、1.5〜3ppm程度存在していても重合反応を安定して行うことができる。調合した単量体組成物を重合反応槽103に供給する際に、異物除去のため、目的に応じた大きさのフィルターでろ過することが、得られるメタクリル系重合体を光学機器用材料に用いる場合、特に望ましい。
【0048】
本実施形態のメタクリル系重合体の製造方法では、上述のように、開始剤調合槽101及び単量体調合槽102からメタクリル系重合体の原料である開始剤組成物及び単量体組成物を重合反応槽103へ連続的に供給し、重合反応槽103内で単量体の少なくとも一部を重合させて、メタクリル系重合体と未反応単量体とを含む重合体組成物を得る。重合反応槽103において、メタクリル系重合体の重合方法は、溶媒を使用しない塊状重合でも、溶媒を使用した溶液重合でも良いが、特に好ましくは塊状重合である。
【0049】
連続溶液重合法にて重合を行う場合、重合反応に溶媒が使用される以外は、上述の連続塊状重合法と同様に実施される。重合反応に使用する溶媒としては、連続溶液重合反応の原料単量体成分などに応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルイソブチルケトン、メチルアルコール、エチルアルコール、オクタン、デカン、シクロヘキサン、デカリン、酢酸ブチル、酢酸ペンチルなどが挙げられる。中でも、トルエン、メタノール、エチルベンゼン、酢酸ブチルが好ましい。溶媒は、開始剤組成物及び単量体組成物の一方又は両方に添加して用いることができる。溶媒の割合は、特に限定されないが、重合体組成物全体の5〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
【0050】
重合体組成物の重合体含有率は、40〜70質量%であることが好ましい。重合体含有率が高すぎると、混合および伝熱の効率が低下し安定性が悪くなる傾向がある。重合体含有率が低すぎると、未反応単量体を主成分とする揮発成分の分離が難しくなる傾向がある。
【0051】
重合反応槽103で製造された重合体組成物は、重合反応槽103から連続的に抜き出され、必要に応じて加熱器104に導かれる。加熱器104では、続く脱揮押出機100での脱揮効率を高める目的で液状の重合体組成物を予熱する。このときの予熱温度は、180〜220℃とすることが好ましい。予熱温度が上記範囲より高いと、揮発成分がガス化し、一定流量での送液が困難になる可能性がある。
【0052】
次に、重合体組成物を脱揮押出機100に供給する。脱揮押出機100には、上述した本発明の脱揮押出機100が用いられる。脱揮押出は、重合体組成物を脱揮押出機100における重合体組成物供給口12からシリンダ10内に連続的に供給し、未反応単量体を主成分とする揮発成分をガス排出口14から、脱揮後のメタクリル系重合体を重合体出口16からそれぞれ排出することにより行われる。
【0053】
脱揮押出は、連続的に供給される重合体組成物を、200〜290℃に加熱することで、未反応単量体を主成分とする揮発成分の大部分を連続的に分離除去することで実施できる。脱揮押出時の圧力条件としては、例えば、ガス排出口(バックベント)14aの圧力を−0.05〜0.15MPaG(ゲージ圧表記)程度に、ガス排出口(フォアベント)14b,14c,14dの圧力を−0.09〜−0.02MPaG(ゲージ圧表記)程度にそれぞれ調整される。ガス化した揮発成分とメタクリル系重合体とが、重合体組成物供給口12から脱揮押出機100内に入るが、このとき、バックベントの圧力が−0.05MPaGより減圧状態であると、バックベントで飛沫同伴現象(エントレインメント)が起きるため、上記範囲の圧力とすることが好ましい。一方、揮発成分を除去するために、フォアベントの圧力は上記範囲とすることが好ましい。通常、加熱器104と脱揮押出機100との間には、圧力調整弁が設置され、脱揮押出時の圧力が調整される。
【0054】
上記の脱揮押出と同時に、またはその後に、必要に応じて、高級アルコール類、高級脂肪酸エステル類等の滑剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、帯電防止剤等を、メタクリル系重合体に添加することができる。
【0055】
ガス排出口14から排出された未反応単量体を主成分とする揮発成分は、単量体回収塔105に送られる。未反応単量体を主成分とする揮発成分中には、単量体に元々含まれる不純物や、ダイマー及びトリマーなどのオリゴマー、ラジカル重合開始剤残渣などの不純物が含まれている。また、連続溶液重合法により重合が行われた場合は、これらの不純物に加え、溶媒も含まれ得る。不純物が蓄積してくると、得られるメタクリル系重合体が着色してくるので、単量体回収塔105において蒸留や吸着等の手段によって未反応単量体から不純物を除去し、重合用の単量体として再利用される。例えば、単量体回収塔105では、連続蒸留により単量体回収塔105の塔頂からの留出液として単量体を回収し、単量体調合槽102へリサイクルされる。単量体回収塔105で除去された不純物は、廃棄物として廃棄される。なお、未反応単量体を主成分とする揮発成分とは、通常、揮発成分中に30質量%以上の未反応単量体を含有するものをいう。
【0056】
以上説明した重合体組成物の脱揮押出方法及びメタクリル系重合体の製造方法によれば、長期間の運転を連続して行った場合であっても、汚染が抑制されたメタクリル系重合体を効率よく製造することができる。
【0057】
上述した重合体組成物の脱揮押出方法及びメタクリル系重合体の製造方法は、メタクリル系重合体の中でも、メタクリル酸メチルを主成分とする単量体混合物を重合して得られるメタクリル系重合体の製造に好適に使用することができる。
【0058】
上記の方法で得られたメタクリル系重合体は、優れた透明性や耐候性が得られるため、照明、看板、車両等の多くの分野で好適に使用できる。また、メタクリル系重合体は、特に、光ディスク基盤用材料、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、液晶ディスプレイのバックライトシステムに使用される導光板、拡散板や、液晶ディスプレイの保護前面板などの光学機器用材料、テールランプカバー、ヘッドランプカバー、バイザー、メーターパネル等の車両部材などに好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0059】
10…シリンダ、12…重合体組成物供給口、14…ガス排出口、16…重合体出口、18…貫通穴、20…スクリュー、20a…シャフト部分、30…軸封軸受け部、32…軸シール部、100…脱揮押出機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体組成物供給口、ガス排出口、重合体出口、及び、貫通穴を有するシリンダと、
前記貫通穴を貫通して前記シリンダ内に挿入された回転可能なスクリューと、
前記スクリューの前記貫通穴から前記シリンダの外部に伸びたシャフト部分を支持する軸封軸受け部と、
を備える、メタクリル系重合体を製造するための脱揮押出機であって、
前記軸封軸受け部の軸シール部は、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、ジイソ酪酸エステル及びアセチル化グリセライドからなる群より選ばれる少なくとも1種をメカニカルシール液として用いたメカニカルシールにより形成されている、脱揮押出機。
【請求項2】
メタクリル系重合体及び揮発成分を含む重合体組成物を、請求項1記載の脱揮押出機における前記重合体組成物供給口から前記シリンダ内に供給し、揮発成分を前記ガス排出口から、脱揮後のメタクリル系重合体を前記重合体出口からそれぞれ排出する、重合体組成物の脱揮押出方法。
【請求項3】
メタクリル系単量体を主成分とする単量体成分、ラジカル重合開始剤、及び連鎖移動剤を含む原料を重合反応槽へ連続的に供給する工程と、
前記重合反応槽内で前記単量体成分を重合させて、メタクリル系重合体と、未反応単量体を含有する揮発成分とを含む重合体組成物を得る工程と、
前記重合体組成物を、請求項1記載の脱揮押出機における前記重合体組成物供給口から前記シリンダ内に供給し、前記揮発成分を前記ガス排出口から、脱揮後のメタクリル系重合体を前記重合体出口からそれぞれ排出する工程と、
を有する、メタクリル系重合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−16886(P2012−16886A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155688(P2010−155688)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】