説明

脱硝触媒及び当該脱硝触媒を用いた脱硝方法

【課題】より高い脱硝性能を有する脱硝触媒を提供する。
【解決手段】窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いるための触媒であって、
前記触媒が、(1)Ga−Al系結晶性酸化物であって、(2)炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素を前記Ga−Al系結晶性酸化物に吸着処理させて得られる処理済み酸化物のUVスペクトルにおいて、波長340nmでのピーク面積I340と波長430nmでのピーク面積I430との比I340/I430が2以上である、ことを特徴とする脱硝触媒に係る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱硝触媒及び当該脱硝触媒を用いた脱硝方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境汚染が問題となっており、その中でも酸性雨による森林、湖沼、建築物等への被害が深刻化している。酸性雨の原因の一つに、自動車や工場等から排出されるガスに含まれる窒素酸化物がある。このため、窒素酸化物を除去する技術が望まれており、窒素酸化物を除去するための触媒として、共沈法により製造されるアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を主成分とする複合酸化物が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、この触媒は活性が十分なものとはいえない。特に、従来の触媒は、水蒸気が存在するとその活性が著しく低下することが知られている。従って、水蒸気の存在下であっても高い活性を有する脱硝触媒が求められている。
【0004】
これに対し、本発明者は、先にソルボサーマル法で得られるGa−Al系酸化物が脱硝触媒として効果的であることを見出した(特許文献2)。ところが、この脱硝触媒についても、触媒性能という点ではさらなる改良の余地がある。
【特許文献1】特開平10−151346号公報
【特許文献2】特開2006−51448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の主な目的は、より高い脱硝性能を有する脱硝触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、従来技術の問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の方法により製造された材料が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の脱硝触媒及び当該脱硝触媒を用いた脱硝方法に係る。
1. 窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いるための触媒であって、
前記触媒が、
(1)Ga−Al系結晶性酸化物であって、
(2)炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素を前記Ga−Al系結晶性酸化物に吸着処理させて得られる処理済み酸化物のUVスペクトルにおいて、波長340nmでのピーク面積I340と波長430nmでのピーク面積I430との比I340/I430が2以上である、
ことを特徴とする脱硝触媒。
2. Ga−Al系結晶性酸化物におけるGa:Alがモル比で1:0.5〜10である、上記項1に記載の脱硝触媒。
3. 前記オレフィン系炭化水素がプロピレンである、上記項1又は2に記載の脱硝触媒。
4. 水蒸気を含む雰囲気下において、窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いる、上記項1〜3のいずれかに記載の脱硝触媒。
5. 上記項1〜4のいずれかに記載の脱硝触媒の存在下において、窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換することを特徴とする脱硝方法。
6. 反応系が水蒸気を含む雰囲気である、上記項5に記載の脱硝方法。
7. 窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いるための触媒を製造する方法であって、
1)有機溶媒中でGa及びAlを含む原料を前記有機溶媒の沸点以上の温度で熱処理することによってGa−Al系結晶性酸化物を得る第1工程及び
2)炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素を前記Ga−Al系結晶性酸化物に吸着処理させ、それにより得られた処理済み酸化物のUVスペクトルにおいて、波長340nmでのピーク面積I340と波長430nmでのピーク面積I430との比I340/I430が4以上のものを選出する第2工程、
を含むことを特徴とする脱硝触媒の製造方法。
8. 前記第1工程の後、第2工程に先立って、前記Ga−Al系結晶性酸化物を水熱反応に供する工程をさらに含む、上記項7に記載の製造方法。
9. 窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いるための触媒を製造する方法であって、
1)Gaイオン及びAlイオンを含む水溶液からアルカリの存在下で沈殿物を析出させた後、前記沈殿物を焼成することによりGa−Al系結晶性酸化物を得る第1工程及び
2)炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素を前記Ga−Al系結晶性酸化物に吸着処理させ、それにより得られた処理済み酸化物のUVスペクトルにおいて、波長340nmでのピーク面積I340と波長430nmでのピーク面積I430との比I340/I430が2以上のものを選出する第2工程、
を含むことを特徴とする脱硝触媒の製造方法。
10. 前記第1工程において、前記沈殿物を析出させた後、前記沈殿物のX線回折パターンにおいて、2θ=14.5〜16度、21〜22度、25.5〜26.5度、26.6〜28度、33〜35度及び43〜45度の各範囲でそれぞれ1つ以上のピークを有するものを選出し、選出された前記沈殿物を焼成する上記項9に記載の製造方法。
11. 窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いるための触媒を選出するための方法であって、
1)炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素をGa−Al系結晶性酸化物に吸着処理させる第1工程、
2)第1工程で得られた処理済み酸化物のUVスペクトルを分析する第2工程、
3)前記UVスペクトルにおいて、波長340nmでのピーク面積I340と波長430nmでのピーク面積I430との比I340/I430が2以上のものを選出する第3工程
を含む触媒選出方法。
12. 前記オレフィン系炭化水素がプロピレンである、上記項11に記載の触媒選出方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の脱硝触媒は、還元剤として炭化水素を使用することにより、効率良く窒素酸化物を分解除去することができる。特に、本発明触媒は、水蒸気の存在下でも、優れた触媒活性を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
1.脱硝触媒
本発明の脱硝触媒は、窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いるための触媒であって、
前記触媒が、
(1)Ga−Al系結晶性酸化物であって、
(2)炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素を前記Ga−Al系結晶性酸化物に吸着処理させて得られる処理済み酸化物のUVスペクトルにおいて、波長340nmでのピーク面積I340と波長430nmでのピーク面積I430との比I340/I430が2以上である、
ことを特徴とする。
【0010】
前記(1)について
本発明の触媒は、Ga−Al系結晶性酸化物である。前記酸化物におけるGaとAlとの比率は特に限定されないが、モル比でGa:Al=1:0.5〜10程度、好ましくは1:1〜4程度とすれば良い。
【0011】
この酸化物の製法は、特に限定されないが、有機溶媒中でGa及びAlを含む原料を前記有機溶媒の沸点以上の温度で熱処理することによってGa−Al系結晶性酸化物を得る工程を含む製法(製法1)並びにGaイオン及びAlイオンを含む水溶液からアルカリの存在下で沈殿物を析出させた後、前記沈殿物を焼成することによりGa−Al系結晶性酸化物を得る工程を含む製法(製法2)がある。
【0012】
<製法1>
上記製法1としては、下記の2つの方法が好ましい。
【0013】
1)グリコサーマル法
グリコサーマル法では、有機溶媒としてグリコールを用い、当該有機溶媒中でGa及びAlを含む原料を前記有機溶媒の沸点以上の温度で熱処理する方法である。
【0014】
Ga及びAlを含む原料としては、特に限定されない。例えば、Ga及びAlを含む化合物、Ga化合物とAl化合物との混合物等のいずれであっても良い。これらの化合物の形態としては、例えばアルコキシド(ノルマルプロポキシド、イソプロポキシド等)、アセチルアセトナート、オキシン錯体等の金属錯体;酢酸塩、シュウ酸塩(カルボン酸塩)等の有機酸塩;硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物等の無機酸塩のほか、各種の金属化合物を使用することができる。
【0015】
より詳細には、ガリウム化合物としては、ガリウムアセチルアセトナート、酢酸ガリウム、シュウ酸ガリウム、塩化ガリウム、硝酸ガリウム、硫酸ガリウム等の少なくとも1種を使用することができる。これらの中でも、酢酸ガリウム、シュウ酸ガリウム等のガリウムのカルボン酸塩;ガリウムアセチルアセトナート等の少なくとも1種が好ましい。
【0016】
アルミニウム化合物としては、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等の少なくとも1種を使用することができる。これらの中でも、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド等のアルミニウムアルコキシド、アルミニウムアセチルアセトナート等の少なくとも1種が好ましい。
【0017】
原料におけるGa及びAlの比率は限定的でなく、モル比でGa:Al=1:0.5〜10程度、好ましくは1:1〜4程度とすれば良い。
【0018】
グリコールとしては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール等の少なくとも1種が挙げられ、1,4−ブタンジオールがより好ましい。2種以上のグリコールを混合して使用することも可能である。また、溶媒中には、その他のグリコサーマル法を促進できる化合物を添加することも可能である。
【0019】
グリコサーマル法を行う条件としては、例えば、必要に応じて撹拌しながら、不活性ガス雰囲気下で200〜500℃程度、好ましくは250〜400℃程度で反応を行うことができる。また、この反応は、不活性ガスで置換したオートクレーブ内の反応容器中で行うことが好ましい。オートクレーブ内の圧力も限定されず、目的とする化合物の種類等に応じて適宜選択することができる。不活性ガスの種類は限定されないが、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の少なくとも1種が使用できる。反応時間も限定されず、0.5〜10時間程度、好ましくは1〜5時間程度が例示できる。
【0020】
このようにしてグリコサーマル法により得られた化合物を、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等の有機溶剤で洗浄、乾燥した後、例えば250〜800℃程度、好ましくは300〜500℃程度で焼成すれば良い。焼成時間も限定されず、焼成する化合物の種類、量等により適宜選択することができる。例えば、0.5〜10時間程度、好ましくは0.5〜3時間程度焼成すれば良い。
【0021】
なお、酸化物の成分は、ICP発光分析等の公知の手段により確認することができる。また、酸化物における結晶の有無については、粉末X線回折等の公知の手段によって確認
することができる。
【0022】
2)ソルボサーマル法
ソルボサーマル法は、有機溶媒中に出発物質(前駆体)を溶解し、有機溶媒の沸点以上の温度で反応させることによって、結晶性の高い酸化物微結晶を合成できる技術である。
【0023】
Ga及びAlを含む原料としては、前記1)のグリコサーマル法で挙げたものと同様のものを使用することができる。
【0024】
ソルボサーマル法で用いる有機溶媒(有機溶媒を構成する分子)は限定的ではないが、非共有電子対を3〜6個(3〜6対)有するものを使用することが望ましい。
【0025】
非共有電子対を3〜6個有する有機溶媒は、通常は、Ga及びAlを含む原料のGa又はAlの1つの金属イオンに対して3〜6座に配位し、そのような状態で本発明に係るソルボサーマル法に供されることによって、より高い結晶性を有する酸化物が得られると考えられる。非共有電子対が1〜2個の場合にはキレート効果が小さくなり、所望の触媒性能を有する触媒を得ることができないことがある。一方、希土類元素等の特定の金属を除き、金属イオンの飽和配位数が6であることから、7個以上の非共有電子対は本発明では特に必要でない。
【0026】
非共有電子対を3〜6個有する有機溶媒としては、例えばジエタノールアミン、ジエチレングリコール、ジエチレントリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン等の非共有電子対を3個有する溶媒;例えばトリエタノールアミン、トリエチレングリコール、トリエチレンテトラアミン、ニトリロトリ酢酸、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン等の非共有電子対を4個有する溶媒;例えばテトラエチレングリコール、テトラエチレンペンタミン等の非共有電子対を5個有する溶媒;ペンタエチレングリコール、ペンタエチレンヘキサミンの非共有電子対を6個有する溶媒が挙げられる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。これらの溶媒の中でも、分子中に窒素原子を含む溶媒(特にアミン系有機溶媒)が好ましい。
【0027】
有機溶媒に前記原料を存在させるに際しては、前記原料のGa及びAlに有機溶媒の非共有電子対が3〜6座に配位した錯体が形成されるようにする。この場合、前記原料を有機溶媒に積極的に溶解させる必要はない。前記有機溶媒を用いる限り、反応条件下では、溶媒の配位能力により原料の一部が溶解するからである。従って、Ga及びAlの濃度は、そのような錯体が形成される限り特に制限されない。一般的には、両者の合計量で0.01〜1mol/L程度、特に0.1〜0.3mol/L程度とすることが好ましい。
【0028】
熱処理は、有機溶媒中で上記原料をその有機溶媒の沸点以上の温度に加熱することにより行う。熱処理温度は、用いる有機溶媒の種類等によって異なるが、通常は200〜500℃程度、好ましくは250〜330℃程度とすれば良い。反応時間(加熱時間)は、熱処理温度等により異なるが、一般的には0.5〜10時間程度、好ましくは1〜5時間程度とすれば良い。上記熱処理は、必要に応じて、撹拌下に熱処理を行うことができる。撹拌することにより、金属化合物が十分に懸濁され、均質な触媒を得ることができる。
【0029】
また、上記熱処理は、有機溶媒の酸化を防ぐことができるという見地より、不活性ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。使用する不活性ガスの種類は限定されず、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等を使用することができる。
【0030】
熱処理は、オートクレーブ内で行うこともできる。オートクレーブは、温度の調節が容易である点で好ましい。その際、オートクレーブ内の雰囲気を不活性ガスで置換又は加圧
しても良い。オートクレーブ内の圧力は、所望の脱硝触媒が得られる限り限定されず、適宜調節すれば良い。例えば、溶媒の蒸気圧下でも良いし、不活性ガスによる加圧下でも良い。
【0031】
熱処理により得られた生成物は、必要に応じて有機溶媒で洗浄した後、乾燥すれば良い。上記有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類のほか、アセトン等を使用することができる。乾燥した後は、そのまま脱硝触媒として使用することができる。
【0032】
本発明では、必要に応じて、さらに大気雰囲気下で焼成することもできる。焼成を行う場合には、触媒中又は触媒表面に存在する有機溶媒を完全に除去でき、より高い触媒活性を発揮することができる。焼成の条件としては、得られた触媒が所望の脱硝活性を有する限り限定されない。特に、焼成温度は、例えば250〜800℃程度、特に500〜700℃程度とすることが望ましい。また、焼成時間は、例えば0.5〜10時間程度、好ましくは0.5〜3時間程度とすれば良い。
【0033】
上記のようにして得られた酸化物は、実質的にGa−Al系結晶性酸化物から構成される。GaとAlとの比率は特に限定されないが、前記と同様にモル比でGa:Al=1:0.5〜10程度、好ましくは1:1〜4程度とすれば良い。
【0034】
なお、酸化物の成分は、ICP発光分析等の公知の手段により確認することができる。また、酸化物における結晶の有無については、粉末X線回折等の公知の手段によって確認することができる。
【0035】
このようにしてソルボサーマル法で得られた前記酸化物は、さらに水熱反応に供することもできる。すなわち、水の存在下で高温・高圧下で前記酸化物を処理することもできる。
【0036】
水熱反応における加熱条件は通常100〜250℃程度の範囲内で適宜設定することができる。特に、150〜200℃の範囲内とすることが望ましい。また、加圧条件は、前記温度における飽和水蒸気圧に設定すれば良い。
【0037】
水熱反応は、例えばオートクレーブ等を用いて好適に行うことができる。具体的には、オートクレーブ中に水を装填し、水中に前記酸化物を浸漬した後、密閉状態で加熱すれば良い。この場合、オートクレーブ内の雰囲気を不活性ガスで置換又は加圧しても良い。
【0038】
水熱反応に供する時間は、加熱温度等に応じて適宜設定すれば良いが、一般的には0〜120分程度とすれば良い。
【0039】
水熱反応に供する時、前記酸化物の形態は特に限定されないが、粉粒体の形態としておくことが好ましい。例えば、粒径0.1〜5mm程度の粉粒体とすれば、効率的に水熱反応処理を施すことができる。
【0040】
水熱反応が終了した後は、上記酸化物を水中から回収し、必要に応じて乾燥すれば良い。
【0041】
本発明では、必要に応じて、さらに大気雰囲気下で焼成することもできる。焼成は、グリコサーマル法の場合と同様にして実施することができる。
【0042】
<製法2>
上記製法2では、前記沈殿物を析出させた後、前記沈殿物のX線回折パターンにおいて、2θ=14.5〜16度、21〜22度、25.5〜26.5度、26.6〜28度(好ましくは27〜28度)、33〜35度及び43〜45度の各範囲でそれぞれ1つ以上のピークを有するものを選出し、選出された前記沈殿物を焼成することが望ましい。前記条件で選出された沈殿物を焼成することにより、脱硝性能に優れた触媒をより確実に得ることができる。
【0043】
上記沈殿物の析出工程を工程aとし、上記沈殿物の選出工程を工程bとし、上記選出された沈殿物の焼成工程を工程cとして、製法2について具体的に説明する。
【0044】
工程a
工程aでは、Gaイオン及びAlイオンを含む水溶液からアルカリの存在下で沈殿物を析出させる。
【0045】
Gaイオン及びAlイオンを含む水溶液は、例えば水溶性ガリウム化合物及び水溶性アルミニウム化合物を水に溶解して得られる水溶液を使用することができる。前記水溶性ガリウム化合物及び前記水溶性アルミニウム化合物の形態、具体例、並びにGa及びAlの比率については、前記1)グリコサーマル法にて説明したGa及びAlを含む化合物等の形態、ガリウム化合物及びアルミニウム化合物の具体例並びにGa及びAlの比率と同様である。特に、水溶性ガリウム化合物としては、硝酸ガリウム等の硝酸塩;酢酸ガリウム、シュウ酸ガリウム等のガリウムのカルボン酸塩;ガリウムアセチルアセトナート等の少なくとも1種が好ましい。また、アルミニウム化合物としては、硝酸アルミニウム等の硝酸塩;アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド等のアルミニウムアルコキシド、アルミニウムアセチルアセトナート等の少なくとも1種が好ましい。さらに、原料におけるGa及びAlの比率は、1:1〜4程度が好ましい。
【0046】
Gaイオン及びAlイオンの濃度は、特に制限されない。一般的には、両者の合計量で0.01〜1mol/L程度、特に0.1〜0.3mol/L程度とすることが好ましい。
【0047】
次いで、上記水溶液にアルカリ(塩基)を添加して沈殿物を析出させる。アルカリは、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、ジエチレントリアミン等の公知のアルカリを使用することができる。特に、本発明では、後記のピークをもつ沈殿物をより確実に得ることができるという点で炭酸アンモニウムを用いることが望ましい。
【0048】
アルカリの添加量は、沈殿物を生成させるのに十分な量(当量又はそれ以上)とすれば良いが、特に当量の2倍以上、さらに3倍以上とすることが望ましい。これによって、後記に示す特定のピークをもつ沈殿物をより確実に調製することが可能となる。
【0049】
工程b
工程bでは、前記沈殿物(熱処理していないもの(前駆体))のX線回折パターンにおいて、2θ=14.5〜16度、21〜22度、25.5〜26.5度、26.6〜28度(好ましくは27〜28度)、33〜35度及び43〜45度の各範囲でそれぞれ1つ以上のピークを有するものを選出する。
【0050】
本発明では、それぞれの2θの各範囲において、少なくとも1つずつのピークがあれば良い。すなわち、合計で少なくとも6つのピークがある。各範囲のいずれかに2つ以上のピークがあっても良い。このようなピークを示す前駆体を用いて触媒を製造することによって、高い反応活性(脱硝性能)を得ることができる。
【0051】
工程c
工程cでは、工程bで選出された前記沈殿物を焼成することによりGa−Al系結晶性酸化物を得る。
【0052】
なお、工程cに先立って、沈殿物を水洗、乾燥等の処理を施しておいても良い。乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥等のいずれであっても良い。
【0053】
工程cにおける焼成温度は、例えば250〜800℃程度、特に500〜750℃程度とすることが望ましい。また、焼成時間は、例えば0.5〜10時間程度、好ましくは0.5〜3時間程度とすれば良い。焼成雰囲気は、大気中又は酸化性雰囲気とすれば良い。
【0054】
上記のようにして得られた酸化物は、実質的にGa−Al系結晶性酸化物から構成される。GaとAlとの比率は特に限定されないが、前記と同様にモル比でGa:Al=1:0.5〜10程度、好ましくは1:1〜4程度とすれば良い。
【0055】
なお、酸化物の成分は、ICP発光分析等の公知の手段により確認することができる。また、酸化物における結晶の有無については、粉末X線回折等の公知の手段によって確認することができる。
【0056】
本発明の脱硝触媒の形態は限定的ではないが、一般的には粒状、粉末状等の形態で使用
することも可能である。また、例えばハニカム状、格子状、板状等の形態で使用することも可能である。これらの形態は、公知の粉砕方法、造粒方法、分級方法、成型方法等を適宜組み合わせて実現できる。
【0057】
本発明の脱硝触媒は、公知の脱硝触媒と同様にして使用することができる。特に、後記の脱硝方法に従って使用することが望ましい。
【0058】
前記(2)について
本発明の触媒は、炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素を前記Ga−Al系結晶性酸化物に吸着処理させて得られる処理済み酸化物のUVスペクトルにおいて、波長340nmでのピーク面積I340と波長430nmでのピーク面積I430との比I340/I430が2以上である。
【0059】
まず、炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素をGa−Al系結晶性酸化物に吸着処理させる(吸着処理工程)。
【0060】
前記オレフィン系炭化水素としては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン等の少なくとも1種が挙げられる。本発明では、特にプロピレンが好ましい。
【0061】
処理方法としては特に限定されない。例えば、Ga−Al系結晶性酸化物3〜5gを容器内(石英管等)に入れ、真空排気しながら200℃で熱処理し、100Torrで酸素ガスを導入して650℃まで昇温した後、650℃で酸素ガスを排気した後、再び100Torrにて酸素ガスを導入して1時間保持し、20℃に冷却した後に酸素ガスを排気し、次いで30Torrでオレフィン系炭化水素を導入し、300℃で15分保持することにより、処理済み酸化物を好適に得ることができる。なお、上記処理方法で650℃まで昇温するのは、触媒に吸着しているHOを除去するためである。ただし、昇温中に触媒の酸素原子が離脱するため、好ましくは酸素導入下で行なう。また、650℃で一度排気し、再び酸素ガスを導入する理由は、遊離HOを適切に系外に排気するためである。
【0062】
次に、処理済み酸化物のUVスペクトルを分析する(分析工程)。UVスペクトルは容器(石英管)に入れたBaSO4をBackgroundとして室温で測定し、Kubelka-Munkで表わした。
他の吸着質を用いた場合も同様にして測定する。得られたスペクトルはGaussian関数で波形分離し、ピークエリア比を求める。図5には、Kubelka-Munkのグラフの一例を示す。縦軸に強度、横軸に波長をとり、通常の処理回路によって波長340nmでのピーク「α」及び波長430nmでの「ピークβ」を分離した上で、それぞれのピーク面積I340(Iα)及びI430(Iβ)を計算し、その比[Iα/Iβ]を求める。
【0063】
このようにして上記比を求め、その値が2以上のものを選出する。上記比が2以上の触媒は、より優れた脱硝性能を発揮することができる。特に、水蒸気を含む雰囲気下でも高い脱硝性能を発揮することができる。このとき、前記処理済み酸化物が前記製法1により得られる酸化物を処理したものである場合、前記値は、4以上が好ましく、4.5以上がより好ましい。
【0064】
2.脱硝方法
本発明の脱硝方法は、前記脱硝触媒の存在下において、窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換することを特徴とする。
【0065】
本発明に適用される窒素酸化物(NO)の種類は限定されない。例えば、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、一酸化二窒素(NO)、三酸化二窒素(N)等の気体の窒素酸化物を使用することができる。これらの中でも、NO、NOが比較的安定という点でより好適である。
【0066】
炭化水素としては、特に限定されない。本発明では、特に炭素数1〜4の炭化水素を好適に使用することができる。炭素数1〜4の炭化水素としては、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン等の低級炭化水素の少なくとも1種が好ましく、この中でもメタンがより好ましい。
【0067】
用いる炭化水素の濃度は限定されない。例えば、窒素酸化物1molに対して炭化水素1〜200mol程度、好ましくは炭化水素2〜50mol程度とすれば良い。
【0068】
反応系には、酸素が通常10〜20vol%、好ましくは12〜15vol%含まれている。上記範囲内の酸素が存在することにより、より効果的に脱硝反応を進行させることができる。
【0069】
また、反応系に水蒸気を含む場合、反応ガス中に含まれる水蒸気の量は限定されないが、例えば、反応ガス全量中25vol%程度以下、好ましくは10vol%程度以下とすることが好ましい。換言すれば、本発明では、2vol%以上の水蒸気を含む雰囲気下であっても、優れた触媒活性を得ることができる。
【0070】
なお、反応ガス中には、本発明の効果を妨げない範囲内で他の成分が含まれていても良い。
【0071】
脱硝触媒による反応形式は特に限定されず、例えば固定床、流動床等のいずれの形式であっても良い。また、回分式又は連続式のいずれであっても良い。
【0072】
脱硝触媒の形態は、特に4〜200メッシュ、好ましくは10〜22メッシュの篩いを通過する程度の大きさの粒子の形態で使用するのがより好ましい。このような範囲の粒子径を有する触媒を使用することにより、高流速条件下でも差圧を生じにくく、安定した触媒作用が得られる。
【0073】
反応ガスの流速、流量等は限定されず、反応ガス中の窒素酸化物等の濃度、反応温度等に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の触媒1gに対して、50〜5000mL/分程度、好ましくは200〜2000mL/分程度とすれば良い。脱硝を行う際の温度は、例えば、300〜800℃程度、好ましくは450〜700℃程度とすれば良い。
【0074】
反応終了後、得られたガスをガスクロマトグラフィー等の公知の手段に供することにより、窒素酸化物が分解(除去)されたことを確認することができる。
【0075】
3.触媒選別方法
本発明は、窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いるための触媒を選出するための方法であって、
1)炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素をGa−Al系結晶性酸化物に吸着処理させる第1工程、
2)第1工程で得られた処理済み酸化物のUVスペクトルを分析する第2工程、
3)前記UVスペクトルにおいて、波長340nmでのピーク面積I340と波長430nmでのピーク面積I430との比I340/I430が2以上のものを選出する第3工程
を含む触媒選出方法を包含する。
【0076】
第1工程は、前記1.の「吸着処理工程」と同様にして実施すれば良い。また、第2工
程は、前記1.の「分析」と同様にして実施すれば良い。
【0077】
第2工程で分析した結果、ピーク面積の比I340/I430が2以上のものを選出する。上記比が2以上の場合は、脱硝触媒として高い活性を示す。このとき、前記処理済み酸化物が前記製法1により得られる酸化物を処理したものである場合、前記値は、4以上が好ましく、4.5以上がより好ましい。特に、窒素酸化物に炭化水素(特にメタン)を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いるための触媒として高い活性を示す。
【実施例】
【0078】
以下、本発明の特徴を実施例によりさらに詳述する。ただし、本発明はこれら実施例の範囲に限定されない。
【0079】
製造例1
触媒の調製を行った。容量200mLの試験管において、所定量のガリウムアセチルアセトナート(Ga(acac))とアルミニウムイソプロポキシド(AIP)を80mLの溶媒(ジ
エチレントリアミン(dEtA))中に懸濁させた。その試験管をオートクレーブに設置した。オートクレーブに仕込み、オートクレーブと試験管との間隙にも少量の溶媒を加えた。その後、系内を窒素置換した後、300℃で2時間反応させた。得られた反応生成物は、アセトンで洗浄した後、風乾させた後、700℃で焼成した。
【0080】
製造例2
溶媒として1,5−ペンタンジオールを用いたほかは、実施例1と同様にして反応生成物を得た。
【0081】
製造例3
共沈法により触媒の調製を行った。所定量のGa硝酸塩とAl硝酸塩を水100mLに溶解させ、炭酸アンモニウムを室温で滴下し、沈殿を得た。得られた沈殿を中性になるまで純水で洗浄し、80℃乾燥機で一晩乾燥させた。得られた生成物を700℃で30分焼成した。
【0082】
製造例4〜8
溶媒として表1に示す有機溶媒に代えたほかは、製造例1と同様にして触媒を調製した。
【0083】
製造例9〜13
Ga仕込み比を表1に示す割合に変えて製造したほかは、製造例1と同様にして触媒を調製した。
【0084】
製造例14〜16
Ga仕込み比を図4に示す割合に変えて製造したほかは、製造例3と同様にして触媒を調製した。
【0085】
実施例1
各製造例で調製された試料について、プロピレン吸着実験及び解析(ピーク面積の強度比)をそれぞれ行った。
(1)プロピレン吸着実験
石英管に触媒0.3〜0.5 gを入れ、真空排気しながら200 ℃で前処理を行い、O2:100 Torrを導入し650 ℃まで昇温した。650 ℃で一度O2を排気した後に再度O2を100 Torr導入し、1 h保持した。室温まで冷却したのちにO2を排気し、C3H6 30 Torrを導入し、300 ℃で15 min保持した。
(2)解析
石英管内部の雰囲気の影響を避けるためにC3H6を排気し、airを導入した直後のUVスペクトルを測定した。UVスペクトルは石英管に入れたBaSO4をBackgroundとして室温で測定し、Kubelka-Munkで表わした。他の吸着質を用いた場合も同様にして測定した。得られたスペクトルはGaussian関数で波形分離し、ピークエリア比を求めた。その結果を表1に示す。
【0086】
なお、表1中、ソルボサーマル法で得られた試料をST(x)、グリコサーマル法のものをGT(x)、共沈法で得られたものをCP(x)とする。但し、xはGaの仕込み比である。
【0087】
試験例1
各製造例で調製された試料について、脱硝作用を調べた。各製造例で得られた触媒をそれぞれ篩いにかけ、10〜22メッシュを通過するサイズのものを使用した。このような触媒を、それぞれ0.5gずつ、別々に直径10mmの石英製反応管の中に詰めた。
【0088】
前処理として、上記ガラス管にヘリウムガスを通した。当該ヘリウムガスは10℃/分の速度で昇温させ、600℃になってから30分間通した。
【0089】
その後、反応ガスを100ml/分の速度で反応管に流入させた。反応ガスの組成(体積比)は、乾燥ガス及び湿潤ガスの2種を使用し、前者はNO:1000ppm,CH:1000ppm,O:6.7%,He:残部、後者は水蒸気2.5%、NO:1000ppm,CH:2000ppm,O:6.7%,He:残部とした。
【0090】
反応後のガスをガスクロマトグラフィーにより分析した。得られた脱硝率(反応前のNOの濃度に対する反応後のNOの割合)(%)の結果を表1に示す(転化率は、反応により変化した各ガス成分の初期濃度に対する割合を示す。)。また、乾燥ガスに対する500℃での脱硝率とピーク面積比との関係を図1、湿潤ガスに対する600℃での脱硝率とピーク面積比との関係を図2、製造例9〜13の触媒における乾燥ガスに対する450℃での脱硝率とピーク面積比との関係を図3、製造例14〜16の触媒における乾燥ガスに対する550℃での脱硝率とピーク面積比との関係を図4にそれぞれ示す。
【0091】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】乾燥ガスに対する500℃での脱硝率とピーク面積比との関係を示す。
【図2】湿潤ガスに対する600℃での脱硝率とピーク面積比との関係を示す。
【図3】製造例9〜13の触媒における乾燥ガスに対する450℃での脱硝率とピーク面積比との関係を示す。
【図4】製造例14〜16の触媒における乾燥ガスに対する550℃での脱硝率とピーク面積比との関係を示す。
【図5】Kubelka-Munkのグラフの一例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いるための触媒であって、
前記触媒が、
(1)Ga−Al系結晶性酸化物であって、
(2)炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素を前記Ga−Al系結晶性酸化物に吸着処理させて得られる処理済み酸化物のUVスペクトルにおいて、波長340nmでのピーク面積I340と波長430nmでのピーク面積I430との比I340/I430が2以上である、
ことを特徴とする脱硝触媒。
【請求項2】
Ga−Al系結晶性酸化物におけるGa:Alがモル比で1:0.5〜10である、請求項1に記載の脱硝触媒。
【請求項3】
前記オレフィン系炭化水素がプロピレンである、請求項1又は2に記載の脱硝触媒。
【請求項4】
水蒸気を含む雰囲気下において、窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いる、請求項1〜3のいずれかに記載の脱硝触媒。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の脱硝触媒の存在下において、窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換することを特徴とする脱硝方法。
【請求項6】
反応系が水蒸気を含む雰囲気である、請求項5に記載の脱硝方法。
【請求項7】
窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いるための触媒を製造する方法であって、
1)有機溶媒中でGa及びAlを含む原料を前記有機溶媒の沸点以上の温度で熱処理することによってGa−Al系結晶性酸化物を得る第1工程及び
2)炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素を前記Ga−Al系結晶性酸化物に吸着処理させ、それにより得られた処理済み酸化物のUVスペクトルにおいて、波長340nmでのピーク面積I340と波長430nmでのピーク面積I430との比I340/I430が4以上のものを選出する第2工程、
を含むことを特徴とする脱硝触媒の製造方法。
【請求項8】
前記第1工程の後、第2工程に先立って、前記Ga−Al系結晶性酸化物を水熱反応に供する工程をさらに含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いるための触媒を製造する方法であって、
1)Gaイオン及びAlイオンを含む水溶液からアルカリの存在下で沈殿物を析出させた後、前記沈殿物を焼成することによりGa−Al系結晶性酸化物を得る第1工程及び
2)炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素を前記Ga−Al系結晶性酸化物に吸着処理させ、それにより得られた処理済み酸化物のUVスペクトルにおいて、波長340nmでのピーク面積I340と波長430nmでのピーク面積I430との比I340/I430が2以上のものを選出する第2工程、
を含むことを特徴とする脱硝触媒の製造方法。
【請求項10】
前記第1工程において、前記沈殿物を析出させた後、前記沈殿物のX線回折パターンにおいて、2θ=14.5〜16度、21〜22度、25.5〜26.5度、26.6〜28度、33〜35度及び43〜45度の各範囲でそれぞれ1つ以上のピークを有するものを選出し、選出された前記沈殿物を焼成する請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
窒素酸化物に炭化水素を還元剤として作用させることによって、当該窒素酸化物を窒素及び水に変換する反応に用いるための触媒を選出するための方法であって、
1)炭素数2〜5のオレフィン系炭化水素をGa−Al系結晶性酸化物に吸着処理させる第1工程、
2)第1工程で得られた処理済み酸化物のUVスペクトルを分析する第2工程、
3)前記UVスペクトルにおいて、波長340nmでのピーク面積I340と波長430nmでのピーク面積I430との比I340/I430が2以上のものを選出する第3工程
を含む触媒選出方法。
【請求項12】
前記オレフィン系炭化水素がプロピレンである、請求項11に記載の触媒選出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−50842(P2009−50842A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53109(P2008−53109)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ▲1▼発行所 触媒学会 刊行物名 Catalysts & Catalysis Vol.49,No.6 2007 発行日 平成19年9月5日 ▲2▼発行所 社団法人石油学会 刊行物名 第37回石油・石油化学討論会札幌大会 招待講演(講演要旨) 発行日 平成19年10月25日 ▲3▼主催者名 触媒学会 研究集会名 第17回キャラクタリゼーション講習会「グリーンキャットシンポジウム」 公開日 平成19年11月19日
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】