説明

脱穀機のささり粒回収装置

【課題】脱穀済み排藁にささっているささり粒を、確実に取り除こうとするものである。
【解決手段】穀稈を脱穀室6の扱胴軸6bへ設けた扱胴6aで脱穀する穀稈へささった、ささり粒を取るささり粒落し室7を、脱穀室6の移送終端部の後側へ設けた構成である。又、脱穀済み排藁の穂先側と、株元側とを機外へ移送する排藁穂先移送装置20と、排藁根元移送装置21とは、ささり粒落し室7の後側の空間部(イ)へ設けた伝動ケース22の伝動機構22aの同一軸である伝動軸22bで回転駆動する。又、脱穀室6と、ささり粒落し室7との全巾(L)は、扱胴6aの外径(D)より大きくして設けた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
脱穀室内の扱胴で脱穀する穀稈へささったささり粒を取るささり粒落し室を脱穀室の移送終端部の後側へ設けた技術であり、脱穀機のささり粒回収装置として利用できる。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンバインの走行車台の前部へ設けた刈取機で穀稈は刈取りされ、この刈取り穀稈は、走行車台の上側へ載置した脱穀装置へ引継ぎされて、挟持移送中にこの脱穀装置で脱穀される。
【0003】
脱穀済み穀稈にささっているささり粒の取り除きは、特開平9−191758号公報で示す如く脱穀装置の後側外側には、突起付きの無端回動体を巻回した第一輪体を、無端回動体が扱胴軸の後端側で扱胴軸心にほぼ直交して、この扱胴軸心に沿う軸心周りに回動する状態に、扱胴軸の後端部に連動連結すると共に、無段回動体の一端をフィードチェン側へ延出して、突起がフィードチェンにより、搬送される排藁に、このフィードチェンの近くで上方から作用しながら穂先側へ向くように構成され、無端回動体の一端部を、フィードチェンに対して、遠近調節自在に作用位置変更機構を設けて、移送される穀稈の移送量に対して対応させている。この無端回動体の突起部で穀稈へささっているささり粒は落とされて、脱穀室内へ還元され、四番口へ飛散する飛散粒の減少を図っている。
【特許文献1】特開平9−191758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
穀稈にささっているささり粒を取る突起付きの無端回動体は、扱胴軸の後端部側へ設けられていることにより、無端回動体の突起部で掻き落とした穀粒は、全て脱穀室内へ回収することができず、四番口の穀粒ロスになることがあったが、この発明により、これらの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このために、この発明は、請求項1に記載の発明においては、挟持移送中の穀稈を脱穀する扱胴軸6bへ軸支した扱胴6aを回転自在に内装した脱穀室6と、脱穀済み排藁の穂先側を移送する排藁穂先移送装置20と、株元側を移送する排藁株元移送装置21等とを設けた脱穀機において、前記脱穀室6の移送終端部の後側には、穀稈へささったささ穀粒を取るささり粒落し室7を形成して設けると共に、該ささり粒落し室7の後外側と、扱胴軸6bの右側と、排藁穂先移送装置20の移送始端部側等とによって、形成される空間部(イ)には、該排藁穂先移送装置20等を回転駆動する伝動機構22aを内装した伝動ケース22を設けたことを特徴とする脱穀機のささり粒回収装置としたものである。
【0006】
例えば、コンバインへ載置した脱穀機3であると、このコンバインの走行車台の前部へ設けた刈取機で穀稈は刈取りされ、この刈取り穀稈は、走行車台の上側へ載置した脱穀機3へ引継ぎされて、挟持移送中に脱穀される。
【0007】
前記脱穀機3へ引継ぎされた穀稈は、この脱穀室6内へ回転自在に軸支して設けた扱胴軸6bへ軸支した扱胴6aにより、脱穀処理される。脱穀済み穀稈へささったささり粒は、この脱穀室6の移送終端部の後側へ設けたささり粒落し室7内を、移送中に取り除かれて、一番口の穀粒として処理される。
【0008】
脱穀済み排藁は、前記ささり粒落し室7の後外側と、扱胴軸6bの右側と、排藁穂先移送装置20の移送始端部側等とによって形成される空間部(イ)には、この排藁穂先移送装置20等を回転駆動する伝動機構22aを内装した伝動ケース22を設け、この伝動ケース22の伝動機構22aで排藁穂先移送装置20等を回転駆動させて、機外へ排藁を排出させる。
【0009】
請求項2に記載の発明においては、前記排藁穂先移送装置20と、排藁根元移送装置21とは、伝動ケース22の伝動機構22aの同一の軸である伝動軸22bで回転駆動すべく設けたことを特徴とする請求項1に記載の脱穀機のささり粒回収装置としたものである。
【0010】
脱穀済み排藁を機外へ移送排出する排藁穂先移送装置20と、排藁根元移送装置21とは、伝動ケース22の伝動機構22aの同一の軸である伝動軸22bにより、回転駆動されて、排藁の穂先部と、根元部との両方が移送され、機外へ排出させる。
【0011】
請求項3に記載の発明においては、前記脱穀室6と、ささり粒落し室7との全巾(L)は、扱胴6aの外径(D)より、大きくして設けたことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の脱穀機のささり粒回収装置としたものである。
【0012】
穀粒を脱穀する前記脱穀室6と、この脱穀室6の移送終端部の後側へ設けたささり粒落し室7との全巾(L)は、扱胴6aの外径(D)より、大きくして設け、脱穀性能、及びささり粒取りの性能の向上を図っている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明においては、穀稈を脱穀室6内の扱胴軸6bへ軸支した扱胴6aで脱穀する、該脱穀室6の移送終端部の後側には、穀稈へささった穀粒を取るささり粒落し室7を形成すると共に、該ささり粒落し室7の後外側と、扱胴軸6bの右側と、排藁を移送する排藁穂先移送装置20の移送始端部側等とによって、形成される空間部(イ)には、該排藁穂先移送装置20等を回転駆動する伝動機構22aを内装した伝動ケース22を設けたことにより、穀稈に作用する部分を長くして設けることができ、このために、穀稈へささったささり粒を確実に取ることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明においては、前記排藁穂先移送装置20と、排藁根元移送装置21とは、伝動ケース22の伝動機構22aの同一の軸である伝動軸22bにより、回転駆動する構成としたことにより、これら両者の伝動構成が簡単となり、コスト低減ができる。
【0015】
請求項3に記載の発明においては、前記脱穀室6と、ささり粒落し室7との全巾(L)は、扱胴6aの外径(D)より、大きくして設けたことにより、脱穀室6へ軸支する扱胴6aを後方へ延長したこととなり、機体のバランスの向上を図ることができる。又、脱穀性能、及びささり粒取りの性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1へ載置した脱穀機3について説明する。コンバイン1の走行車台2の前方部に設けた刈取機4で刈取りされた刈取り穀稈は、刈取機4で後方上部へ移送され、脱穀機3のフィードチェン5aと、挟持杆5bとで引継ぎされ、脱穀機3の脱穀室6内を挟持移送中に扱胴6aで脱穀され、脱穀処理物は脱穀室6から漏下し、選別室7内で選別される構成である。脱穀室6の移送終端部の後側には、穀稈へささっているささり粒を取るささり粒落し室7を形成して設けた構成である。このささり粒落し室7の後側と、扱胴軸6bの右側と、脱穀済みの排藁の穂先側を移送する排藁穂先移送装置20の移送始端部側等とによって、形成される空間部(イ)には、この排藁穂先移送装置20等を回転駆動する伝動機構22aを内装した伝動ケース22を設けた構成である。これら脱穀室6と、ささり粒落し室7と、排藁穂先移送装置20と、伝動ケース22等を主に図示して説明する。
【0017】
前記コンバイン1の走行車台2の下側には、図5で示す如く土壌面を走行する左右一対の走行クローラ8aを張設した走行装置8を配設し、走行車台2の上側面には、脱穀機3を載置した構成である。走行車台2の前方部の刈取機4で立毛穀稈を刈取りし、この刈取り穀稈は、この刈取機4で後方上部へ移送され、脱穀機3のフィードチェン5aと、挟持杆5bとで引継ぎされて、挟持移送されながら脱穀される。脱穀済みで選別済み穀粒は、脱穀機3の右横側に配設した穀粒貯留タンク3a内へ一時貯留される。
【0018】
前記走行車台2の前方部には、図5で示す如く前端位置から立毛穀稈を分離するナローガイド9a、及び各分草体9bと、立毛穀稈を引起す各引起装置9cと、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置10の各掻込装置10aと、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置9dと、刈取りされた穀稈を挟持移送して、脱穀機3のフィードチェン5aと、挟持杆5bとへ受渡しする穀稈掻込移送装置10の根元・穂先移送装置11a・11b等からなる刈取機4を設けている。該刈取機4は、油圧駆動による伸縮シリンダ12により、土壌面に対して、昇降自在に移動する構成である。
【0019】
前記刈取機4の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆13aの上端部には、左右方向に支持パイプ杆13bを設け、この支持パイプ杆13bを走行車台2の上側面に設けた支持装置13cで回動自在に支持させて、伸縮シリンダ12の作動により、刈取機4は支持パイプ杆13bを回動中心として、上下に回動する構成である。
【0020】
前記刈取機4の穀稈掻込移送装置10によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送される穀稈に接触作用することにより、脱穀機3へ穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ4aを設けた構成である。
【0021】
前記走行車台2の前端部に装架した走行用のミッションケース14内の伝動機構14aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ14bを設けた構成である。
【0022】
前記穀粒貯留タンク3a側の前部には、図1で示す如くコンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う制御装置15aと、これら操作を行う作業者が搭乗する操縦席15bとを設け、この操縦席15bの下側で、走行車台2の上側面には、エンジン16を載置すると共に、後方部には、穀粒貯留タンク3aを配設する。これら走行装置8と、刈取機4と、脱穀機3と、エンジン16等により、コンバイン1の機体1aを形成した構成である。
【0023】
前記穀粒貯留タンク3a、及び操縦席15bの左側で、走行車台2の上側面には、図1、及び図2で示す如く脱穀機3を載置した構成である。
前記脱穀機3は、図1、及び図2で示す如くこの脱穀機3の上方左側部には、刈取機4の根元・穂先移送装置11a,11bで移送される刈取り穀稈を引継ぎして、脱穀機3の脱穀室6内を挟持移送するフィードチェン5aと、挟持杆5bとを設けた構成である。
【0024】
前記脱穀機3の上部には、前後方向に脱穀室6を所定巾(L1)に形成して設け、この脱穀室6には、多種類で、多数本の扱歯6cを外周部へ植設した扱胴6aを、回転自在な扱胴軸6bへ軸支して設けた構成である。又、脱穀室6部の扱胴6aの扱歯6cの回転外周下部には、脱穀処理物が漏下する脱穀室網6dを張設した構成である。
【0025】
前機脱穀室6の移送終端部で後側には、穀稈にささった穀粒を取るささり粒落し室7を所定巾(L2)に形成して設けた構成であり、このささり粒落し室7の移送終端近傍部までは、扱胴6aを延長して設けた構成である。又、ささり粒落し室7部の扱胴6aの扱歯6cの回転外周下部には、ささり粒が漏下するささり粒漏下具7aを張設した構成であり、このささり粒漏下具7aは、脱穀室網6dより、穀粒の漏下を良好にした構成である。
【0026】
前記脱穀室6と、ささり粒落し室7とを覆う状態に上側には、扱胴カバー17を設けた構成である。この扱胴カバー17の内側面で、脱穀室6内には、図1で示す如く脱穀処理物へ抵抗を付加して、この脱穀処理物のこなれと、穀粒の漏下の向上を図る脱穀室用抵抗体18を設けた構成である。この脱穀室抵抗体18は、取付板18aへ複数本の抵抗板18bを所定間隔に設けた構成であり、移送始端部側の抵抗板18bには、調節板18cを設けて、脱穀処理物へ加える抵抗を調節できる構成である。
【0027】
前記扱胴カバー17の内側面で、ささり粒落し室7内には、図1で示す如く脱穀処理物へ抵抗を付加すると共に、移送穀稈へささったささり粒の取り除きを良好にするささり粒用抵抗体19を設けた構成である。このささり粒用抵抗体19は、抵抗板19aへ調節板19bを設けて、脱穀処理物へ加える抵抗を調節できる構成である。このささり粒用抵抗体19は、ささり粒落し室7の移送始端部側の所定位置には、抵抗板19aを装着して設けた構成である。これらにより、穀稈にささったささり粒を取り、ささり粒漏下具7aより、漏下させる構成である。
【0028】
前機脱穀室6の移送終端部の後側には、穀稈へささったささり粒を取るささり粒落し室7を形成して設けると共に、詳細は後述するが、図1で示す如くこのささり粒落し室7の後外側と、扱胴軸6bの右側と、脱穀済みの排藁の穂先側を機外へ移送する前部左側から後部右側へ所定角度に傾斜させて設けた排藁穂先移送装置20の移送始端側等とによって、形成される空間部(イ)には、この排藁穂先移送装置20等を回転駆動する伝動機構22aを内装した伝動ケース22を設けた構成である。この伝動ケース22の伝動機構22aは、扱胴軸6bへ軸支したプーリ6eと、伝動機構22aのプーリ22cとに掛け渡したベルト22dを介して、回転動力を入力する構成である。
【0029】
前記排藁穂先移送装置20の後側で、所定の隙間を設けて、略平行状態に、詳細は後述するが、図1で示す如く脱穀済み排藁の根元側を機外へ移送する前部左側から後部右側へ所定角度に傾斜させて、排藁根元移送装置21を設けた構成である。
【0030】
前記刈取機4から供給を受けた穀稈を脱穀室6の扱胴軸6bへ軸支した扱胴6aで脱穀する。この脱穀室6の移送終端部の後側には、穀稈へささったささり粒を取るささり粒落し室7を形成すると共に、ささり粒落し室7の後側と、扱胴軸6bの右側と、排藁の穂先を機外へ移送する排藁穂先移送装置20の移送始端部側等とによって、形成される空間部(イ)には、この排藁穂先移送装置20等を回転駆動する伝動機構22aを内装した伝動ケース22を設けたことにより、穀稈を脱穀する扱胴6aを長くして設けることができ、四番口の穀粒のロスを防止することができる。又、排藁の引継が良好になる。
【0031】
脱穀済み排藁を機外へ移送する前記排藁穂先移送装置20と、排藁根元移送装置21とは、図1で示す如く伝動ケース22の伝動機構22aの同一の軸である伝動軸22bにより、回転駆動する構成である。
【0032】
前記排藁穂先移送装置20と、排藁根元移送装置21とは、伝動ケース22の伝動機構22aの同一の軸である伝動軸22bにより、回転駆動する構成としたことにより、これら両者の伝動構成が簡単となり、コスト低減ができる。
【0033】
前記脱穀機3の脱穀室6と、ささり粒落し室7との全巾(L)は、図1で示す如く扱胴6aの外径(D)より、所定寸法大きくして設けた構成である。
前記脱穀室6と、ささり粒落し室7との全巾(L)は、扱胴6aの外径(D)より、大きくして設けたことにより、脱穀室6へ軸支した扱胴6aを後方へ延長したこととなり、機体1aの前後バランスの向上を図ることができる。又、脱穀性能、及びささり粒取りの性能の向上を図ることができる構成である。
【0034】
前記ささり粒落し室7の移送終端部には、図1で示す如く脱穀室6、及びささり粒落し室7内で未脱穀処理の排塵物を排塵処理室23へ排出供給する落し室排出口7bを設けた構成である。
【0035】
前記ささり粒落し室7の扱胴カバー17の内側面へ設けた、ささり粒用抵抗体19の抵抗板19aと、脱穀機3の一側部、又は走行車台2の上側面、又は刈取機4部のいずれか一箇所へ設けたささり粒用モータ19cとは、図9、及び図11で示す如くワイヤ19dで接続した構成である。
【0036】
前記走行装置8の走行車速に連動して、ささり粒用モータ19cが回動駆動制御され、ささり粒用抵抗体19が回動移動制御される構成である。走行車速が速くなると、ささり粒用抵抗体19は、図11で示す如く脱穀処理物へ掛かる抵抗が大きくなるように制御させる構成である。
【0037】
これにより、走行車速が速いときには、脱穀室6内での処理量が多く、このときは、抵抗を付加して排塵処理室23へ連通させる。走行車速が遅いときには、処理量が少ないことにより、抵抗を緩めることにより、排塵物の発生を抑えることができる。
【0038】
前記脱穀室抵抗板18の抵抗板18bと、ささり粒用抵抗体19の抵抗板19aとは、図10で示す如く上下方向の巾、及び左右方向の長さは、正面視略同じ形状に形成した構成である。又、抵抗板19aの上下方向の巾、及び左右方向の長さを大きくし、ささり粒をより確実に除去する構成とするもよい。
【0039】
これにより、同じ部品を使用することにより、コスト低減が可能である。
前機脱穀室抵抗体18の抵抗板18bは、手動操作に抵抗の付加調節を行うと共に、ささり粒用抵抗体19の抵抗板19aと、フィードチェン5aと、挟持杆5bとの間へ挟持されて、挟持移送される穀稈の層厚を検出する層厚検出具36を設け、この層厚検出具36とは、図9で示す如くワイヤ36aで接続した構成である。厚い層厚の検出に連動して、ささり粒用抵抗体19の抵抗板19aは、脱穀処理物に対する抵抗の付加が増加する側へ変更制御される構成である。
【0040】
これにより、ささり粒用抵抗体19の抵抗板19aは、脱穀する穀稈の層厚に連動してワイヤ36aにより、脱穀処理物量に対する抵抗が変更制御される。
前記排塵処理室23内には、図1、及び図2で示す如くささり粒落し室7の落し室排出口7bより、排出供給される排塵物を受けて、再脱穀処理する排塵胴23bを軸支した回転自在な排塵軸23aを軸支した構成である。排塵胴23bの外周部には、移送始端部より、順次螺旋プレート23cと、複数個の排塵爪23dと、排塵排出爪23eとを設けた構成である。又、排塵胴23bの螺旋プレート23c等の回転外周下側には、再脱穀処理物が漏下する漏下具23fを設けると共に、排塵処理室23の移送終端部には、漏下具23fから漏下しなかった再脱穀処理した主として、藁屑、及び稈切等が排出される排塵排出口23hを設けた構成である。
【0041】
前記排塵処理室23の前側には、図1、及び図2で示す如く二番処理室24を設け、この二番処理室24内には、未脱穀処理物の供給を受けて、再脱穀処理する二番胴24aを、回転自在に軸支して設けた排塵軸23aの前方部側へ軸支した構成である。二番胴24aの外周部には、移送始端部より、複数の二番爪24bと、二番排出爪24cとを設けた構成である。二番胴24aの二番爪24b等との回転外周下側には、再脱穀処理物が漏下する二番室網24dを張設した構成である。二番処理室24の移送終端部には、二番室網24dから漏下しなかった再脱穀処理物が、排出される二番排出口24eを設けた構成である。
【0042】
前機脱穀室6の下側には、図2で示す如く選別室25を設け、この選別室25内には、脱穀室網6dから漏下する脱穀処理物、及び排塵処理物23と、二番処理室24とから漏下する再脱穀処理物等の供給を受けて、揺動移送しながら、揺動選別する揺動選別装置26を吊り下げ状態に設け、揺動カム26aと、ローラ26bとにより、揺動移送しながら穀粒と、藁屑、及び塵埃とに揺動選別される構成である。
【0043】
前記脱穀機3の選別室25へ設けた揺動選別装置26は、図1で示す如く移送始端部より、移送棚37aと、上グレンシーブ37bと、チャフシーブ37cと、ストローラック37dと、下チャフシーブ38aと、下グレンシーブ38bと、流下棚38cとよりなる構成である。
【0044】
前記送風機27の後側の上部と、下部に設けた上・下風割40c,40d間で形成する副選別風路40aを形成して設けると共に、後側の下部には、主選別風路40bを二段に形成して設けた構成である。
【0045】
前記揺動選別装置26の上側の前部には、ガイド板39を設けると共に、このガイド板39の下側には、図2で示す如く短フィン板39aと、長フィン板39bとを、左右方向に所定間隔で、後方へ延長させて設けると共に、移送終端部は短フィン板39aを上部に形成して設けた構成である。
【0046】
前記ガイド板39は、図2で示す如くささり粒落し室7の落し室排出口7bの下側へ位置させて設けると共に、揺動選別装置26の左右方向の全巾に亘って設けた構成である。
これにより、前記ガイド板39を上方へ近接させることが可能であり、又、揺動選別装置26と、ガイド板39との間のスペースを大きく取ることができる。更に、短・長フィン板39a,39bが副選別風路40aのガイド板となる。
【0047】
図2で示す前記ガイド板39に変えて、図12、及び図14で示す如く移送棚37aと略同じ形状でラック状で、漏下孔41aを有するガイド板41を設けた構成であり、このガイド板41は揺動選別装置26の左右方向の全巾に亘って設けた構成である。又、このガイド板41の下側には、後方へ突出する各短フィン板39aと、各長フィン板39bとを設けた構成である。
【0048】
これにより、前記ガイド板41をラック状に形成して設けたことにより、このガイド板41の上側面での送り作用が良好になる。又、穀粒は漏下する。
前記ガイド板39と、長フィン板39bとの全長(A)は、図2で示す如くストローラック37dの全長(B)より、所定寸法長くして設けた構成である。全長(A)寸法は、各チャフシーブ37cの全長(C)と略同じ長さか、又は(A)寸法を長くして設けた構成である。各チャフシーブ37cと、各ストローラック37dとの上側へガイド板39と、各長・短フィン板39b,39aとを設けた構成である。又、副選別風路40aを通過する副選別風は、これら各長・短フィン板39b,39a間を通過する構成である。
【0049】
これにより、前記各長・短フィン板39b,39aは、前半部は副選別風が送風され、後半部は主選別風が送風されることにより、揺動選別が良好になる。又、各チャフシーブ37cへ落下する選別物が減少し、各ストローラック37d上へ案内されることにより、各チャフシーブ37c上での揺動選別が良好である。更に、各ストローラック37dを長くすることができる。
【0050】
図2で示す前記ガイド板39に変えて、図13で示す如く網材によって形成するガイド板42を設けた構成である。このガイド板42は揺動選別装置26の左右方向の全巾に亘って設けた構成である。又、このガイド板42の下側には、後方へ突出する各短フィン板39aと、各長フィン板39bとを設けた構成である。
【0051】
これにより、前記ガイド板42より、穀粒が漏下することにより、揺動選別が良好になる。
前記揺動選別装置26で揺動選別されて落下する穀粒と、一部の藁屑、及び塵埃とは、この揺動選別装置26の下側前部に設けた送風機27から発生する起風により、風選別される構成である。
【0052】
前記揺動選別装置26で揺動選別され、送風機27で風選別された穀粒は、一番選別装置28の一番選別棚28a上を流下中に再風選別され、選別済み穀粒は、一番移送受樋28b内へ供給され、この一番移送受樋28bへ内装した一番螺旋28cで一方側(右側)へ移送され、揚送装置29へ引継ぎされ、この揚送装置29で揚送して、穀粒貯留タンク3a内へ供給され、この穀粒貯留タンク3aで一時貯留する構成である。
【0053】
前記揺動選別装置26で揺動選別された一部の穀粒と、藁屑、及び塵埃は後方部へ移送されて、後端部より、落下中に風選別されると共に、二番選別装置30の二番選別棚30a上を流下中に再風選別され、選別済みの小枝梗付着粒と、一部の藁屑、及び稈切等は、二番移送受樋30b内へ供給され、この二番移送受樋30bへ内装した二番螺旋30cで一方側(右側)へ移送され、二番還元装置31へ引継ぎされ、この二番還元装置31で揚送して、二番処理室24内へ還元して、再脱穀処理する構成である。
【0054】
前記揺動選別装置26の移送終端部の上側には、図2で示す如く吸引ファン32を設けた構成である。この吸引ファン32により、揺動選別装置26上を揺動移送中に、揺動選別された藁屑、及び稈切等を吸引して機外へ排出する構成である。
【0055】
前記ささり粒落し室7の後外側の空間部(イ)へ設けた伝動ケース22の伝動機構22aの伝動軸22bにより、図1で示す如く排藁穂先移送装置20と、排藁根元移送装置21との両者を回転駆動する構成である。
【0056】
前記排藁穂先移送装置20は、図1で示す如く前後両側には、チェンケース20a,20aを設け、この各チェンケース20aの移送始端部側には、伝動ケース22の伝動機構22aの伝動軸22bを貫通させて設けた構成である。各チェンケース20a内で伝動軸22bには、前スプロケット20bを軸支すると共に、チェンケース20a,20aの移送終端部には、略箱形状の補助ケース20cを設け、この補助ケース20cには、後伝動軸20dを軸支して設け、この後伝動軸20dには、後スプロケット20eを軸支して設け、これら前・後スプロケット20c,20eには、所定間隔で穂先ラグ20fを装着した穂先移送チェン20hを、回転自在に掛け渡して設けた構成である。この各穂先ラグ20fで排藁の穂先側を機外へ移送排出する構成である。
【0057】
前記排藁根元移送装置21は、図2で示す如く伝動ケース22の伝動軸22bの後方側を、軸支する支持メタル22eを設けた構成である。この伝動軸22bの後端部には、根元移送チェン21aを回転駆動する根元駆動スプロケット21bを軸支して設けた構成である。この根元駆動スプロケット21bと、前・後根元スプロケット21c,21dとには、根元移送チェン21aを掛け渡して、この根元移送チェン21aで排藁の根元側を移送する構成である。
【0058】
前記排藁穂先移送装置20の左右両側のチェンケース20a,20aの内側面には、図3、及び図4で示す如く伝動軸22bへ挿入部には、丸孔を設けて、L時形で先端部を半円形状に形成すると共に、所定長さの直線部を設けた起立用ラグガイド33aを対称に個別に装着して設けた構成である。穂先移送チェン20hへ装着した各穂先ラグ20fを起立させる起立範囲を拡大する構成である。
【0059】
前記補助ケース20cの移送終端部には、図3、及び図4で示す如く穂先移送チェン20hへ装着した各穂先ラグ20fを倒伏用ラグガイド33bを設けた構成である。一方側の移送始端部の近傍部から、他方側の移送終端部までの間は、各穂先ラグ20fは起立状態となり、一方側の移送終端部から、一方側の移送始端部の近傍部の間は、各穂先ラグ20fは倒伏状態になる構成である。33cは倒伏ラグ取付板である。
【0060】
これにより、前記起立用ラグガイド33aを設けたことにより、穂先ラグ20fの作用範囲を拡大することができる。又、排藁の引継が良好となり、排藁移送の向上を図つている。
【0061】
前記排藁穂先移送装置20は、図6で示す如く伝動ケース22の伝動軸22bへ軸支した前スプロケット20bの前方左下部には、下軸34aを設け、この下軸34aには、下スプロケット34bを軸支して設けると共に、後伝動軸20dには、後スプロケット20eを軸支して設けた構成である。これら前・後スプロケット20b,20eと、下スプロケット34bとには、各穂先ラグ20fを所定間隔に装着した穂先移送チェン20hを回転自在に掛け渡した構成である。この各穂先ラグ20fで排藁の穂先側を機外へ移送排出する構成である。
【0062】
これにより、排藁の穂先側を移送する前記各穂先ラグ20fを所定間隔に装着した穂先移送チェン20hの移送始端を下方へ下げて設けたことにより、作用位置が上になることを防止した。
【0063】
前記排藁穂先移送装置20は、図7で示す如く伝動ケース22の伝動軸22bへ軸支した前スプロケット20bの所定距離前部には、前軸35aを設け、この前軸35aには、上下用スプロケット35bを軸支した構成である。又、伝動軸22bの前スプロケット20bへ軸支した前スプロケット20bの所定距離後部には、後伝動軸20dを設け、この後伝動軸20dには、後スプロケット20eを軸支した構成である。これら前・後スプロケット20b,20eと、上下用スプロケット35bとには、所定間隔で穂先ラグ20fを装着した穂先移送チェン20hを掛け渡した構成である。
【0064】
前記伝動ケース22の伝動軸22bを回動中心として、穂先移送チェン20aの移送始端部側を上下に回動自在な構成である。
前記排藁穂先移送装置20の穂先移送チェン20hの移送始端部の上方へ回動移動制御は、フィードチェン5aと、挟持杆5bとにより、挟持移送される穀稈の移送量により、穂先移送チェン20hの移送始端部側を回動移動制御する構成である。穂先移送チェン20hの移送始端部の下側の下限位置は、フィードチェン5aの位置より、上方部へ位置させて設けた構成である。
【0065】
前記排藁穂先移送装置20の穂先移送チェン20hの移送始端部側と、脱穀機3の挟持杆5bとは、ワイヤ35cを設けて接続した構成である。このワイヤ35cは支持板35dへ設けた取付板35eで支持した構成である。
【0066】
又、上記構成において、前記走行装置8の走行車速に連動して、排藁穂先移送装置20の穂先移送チェン20hの移送始端部側の傾斜角度を、図8で示す如く変更制御する構成である。走行車速の高速により、傾斜角度を大に制御する構成である。
【0067】
これにより、前記排藁穂先移送装置20の穂先移送チェン20hの移送始端部を上下回動移動方式とすると共に、走行車速に連動して、上下回動移動を制御したことにより、排藁の詰まりが防止でき。良好な排藁処理ができる。
【0068】
前記排藁処理室25の排塵胴23aへ装置した螺旋プレート23cの取付の傾斜角度(θ1)と、ささり粒用抵抗体19の抵抗板19aの取付の傾斜角度(θ2)とは、図9で示す如く略同じ傾斜角度にして設けた構成である。
【0069】
これにより、排塵処理物の前記排塵処理室25への引継ぎが良好になる。
前機脱穀室6の脱穀室抵抗体18の抵抗板18bの上下方向の高さ(H)は、ささり粒抵抗体19の抵抗板19aの上下方向の高さ(H)の方を高くして設けて、抵抗を増加した構成である。
【0070】
これにより、前記ささり粒落し室7では、穀粒が脱ぷすることが少なく、このために、大きな抵抗を掛けることができ、ささり粒を確実に取ることができる。
前機脱穀室6の扱胴カバー17の内側面へ設けた、脱穀室抵抗体18の抵抗板18bと、脱穀機3の一側部、又は走行車台2の上側面、又は刈取機4部のいずれか一箇所へ設けた扱室用モータ18dとは、図9で示す如くワイヤ19eで接続した構成と、脱穀室抵抗体18の抵抗板18bと、ささり粒用抵抗体19の抵抗板19aとの両者は、個別の各モータ18d,19bとにより、個別に抵抗を変更制御できる構成である。
【0071】
これにより、二番還元量が増加すると、排塵物が多くなることにより、後方部へ移送して、ささり粒落し室7で抵抗を増加させて、排塵処理室23へ連通させて、排出供給させることができる。
【0072】
前記ささり粒落し室7へ設けたささり粒用抵抗体19の抵抗板19aは、図9で示す如く常に抵抗を付加した構成である。
これにより、前記ささり粒落し室7では、脱穀処理物の排塵物を後方へ移送する必要がないことにより、常に抵抗を付加することができる。
【0073】
前記脱穀機3は、図15、及び図16で示す如く脱穀室6と、ささり粒落し室7とを有する構成において、フィードチェン5aを2分割した構成として、ささり粒落し室7の左外側には、内フィードチェン5cと、脱穀室6の左外側で、内フィードチェン5cの外側には、外フィードチェン5dとを設けた構成である。外フィードチェン5dの移送終端部と、内フィードチェン5cの移送始端部とは、所定寸法(L3)重合させた構成であると共に、内フィードチェン5cは、脱穀室6側へ所定寸法(L4)重合状態に設けた構成である。
【0074】
前記内フィードチェン5cは、一定回転数で回転駆動する構成である。又、外フィードチェン5dは、変速装置(図示せず)により、走行車速に連動して、変速回転駆動する構成である。
【0075】
これにより、内フィードチェン5cと、排藁穂先・根元移送装置20,21との回転速度を同じにすることにより、排藁の引継が良好になる。又、ささり粒落し室7内で排藁の層厚を薄くでき、ささり粒の回収が良好になる。
【0076】
前記穀粒貯留タンク3a内に貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク3aの後側には、図5で示す如く縦移送螺旋43aを内装した排出支持筒43を略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒43の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋44aを伸縮自在に内装した排出オーガ44を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設した構成である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】脱穀機の全体拡大平断面図
【図2】脱穀機の全体拡大側断面図
【図3】排藁穂先移送装置の拡大側面図
【図4】排藁穂先移送装置の拡大平面図
【図5】コンバインの左側全体側面図
【図6】他の実施例を示す図で、排藁穂先移送装置の拡大側面図
【図7】他の実施例を示す図で、排藁穂先移送装置の拡大側面図
【図8】他の実施例を示す図で、排藁穂先移送装置の傾斜角度と、車速との関係図
【図9】他の実施例を示す図で、脱穀機の全体拡大平面図
【図10】他の実施例を示す図で、脱穀室抵抗体の正面図
【図11】他の実施例を示す図で、脱穀室抵抗体と、車速との関係図
【図12】他の実施例を示す図で、揺動選別装置部の拡大側面図
【図13】他の実施例を示す図で、揺動選別装置部の拡大側面図
【図14】他の実施例を示す図で、揺動選別装置部の一部の拡大側面斜視図
【図15】他の実施例を示す図で、フィードチェン部の拡大平面図
【図16】他の実施例を示す図で、フィードチェン部の拡大側面図
【符号の説明】
【0078】
6 脱穀室
6a 扱胴
6b 扱胴軸
7 ささり粒落し室
20 排藁穂先移送装置
21 排藁根元移送装置
22 伝動ケース
22a 伝動機構
22b 伝動軸
イ 空間部
L 全巾
D 外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挟持移送中の穀稈を脱穀する扱胴軸6bへ軸支した扱胴6aを回転自在に内装した脱穀室6と、脱穀済み排藁の穂先側を移送する排藁穂先移送装置20と、株元側を移送する排藁株元移送装置21等とを設けた脱穀機において、前記脱穀室6の移送終端部の後側には、穀稈へささったささ穀粒を取るささり粒落し室7を形成して設けると共に、該ささり粒落し室7の後外側と、扱胴軸6bの右側と、排藁穂先移送装置20の移送始端部側等とによって、形成される空間部(イ)には、該排藁穂先移送装置20等を回転駆動する伝動機構22aを内装した伝動ケース22を設けたことを特徴とする脱穀機のささり粒回収装置。
【請求項2】
前記排藁穂先移送装置20と、排藁根元移送装置21とは、伝動ケース22の伝動機構22aの同一の軸である伝動軸22bで回転駆動すべく設けたことを特徴とする請求項1に記載の脱穀機のささり粒回収装置。
【請求項3】
前記脱穀室6と、ささり粒落し室7との全巾(L)は、扱胴6aの外径(D)より、大きくして設けたことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の脱穀機のささり粒回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−67814(P2006−67814A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252014(P2004−252014)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】