説明

脱臭装置、脱臭装置を用いたトイレ装置、脱臭装置を用いた空調装置、脱臭装置を用いた空調装置の運転方法、プログラム、並びに記録媒体

【課題】 より簡易にメンテナンスが可能な、又、エネルギー消費量がより少ない脱臭装置を提供すること。
【解決手段】 冷媒が流通する冷媒流路33上に設けられた圧縮機6、蒸発部、膨張手段7、及び凝縮部を有するヒートポンプサイクル34と、水を加熱する加熱部2、及び臭気を含む空気が流入する空気流入部30を有する水蒸気発生室1と、水蒸気発生室1で発生した水蒸気を冷却するための冷却部4、及び空気を排出する空気排出部31を有する水蒸気凝縮室3と、水蒸気発生室1から水蒸気凝縮室3へと空気を導入するための連通部32とを備え、加熱部2は、凝縮部で構成され、冷却部4は、蒸発部で構成された、脱臭装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省エネ性、利便性に優れ、高い脱臭性能を有する脱臭装置、これを用いたトイレ装置ならびに空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の脱臭装置では、活性炭等の吸着剤の充填層内を臭気成分を含んだ空気を流通させることにより臭気成分を吸着、除去するものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
又、触媒層内を流通させることにより、臭気成分を酸化、分解するものがあった(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2では、小便臭を金を含んだ触媒で分解し、大便臭を二酸化マンガンを含んだ触媒で酸化分解している。又、これらの触媒に芳香剤の臭い成分や煙草の煙などが吸着し、性能が低下するのを防ぐために中性能集塵フィルタや活性炭等が設置されている。
【特許文献1】特開平6−108509号公報
【特許文献2】特開2004−425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の脱臭装置では、活性炭等の吸着剤を用いる場合には、飽和吸着量に達すると、吸着剤を再生、又は交換する必要があり、メンテナンス上、不便であった。
【0005】
また、特許文献2の脱臭装置では、中性能集塵フィルタや活性炭は、ある程度の時間使用すると性能が劣化するため、交換する必要があった。また、金を含んだ触媒や二酸化マンガンを含んだ触媒についても、中性能集塵フィルタで大半が除去されてはいるが、長時間の使用によって、芳香族の臭い成分や煙草の煙等によって劣化するため、交換する必要があった。さらに、臭気成分によっては、触媒を数100℃以上の高温にする必要があるため、エネルギー消費量が大きいという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来の課題を考慮して、より簡易にメンテナンスが可能な、又、エネルギー消費量がより少ない脱臭装置、脱臭装置を用いたトイレ装置、及び脱臭装置を用いた空調装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
冷媒が流通する冷媒流路上に設けられた圧縮機、蒸発部、膨張手段、及び凝縮部を有するヒートポンプサイクルと、
水を加熱する加熱部、及び臭気を含む空気が流入する空気流入部を有する水蒸気発生室と、
前記水蒸気発生室で発生した水蒸気を冷却するための冷却部、及び前記空気を排出する空気排出部を有する水蒸気凝縮室と、
前記水蒸気発生室から前記水蒸気凝縮室へと前記空気を導入するための連通部とを備え、
前記加熱部は、前記凝縮部で構成され、
前記冷却部は、前記蒸発部で構成された、脱臭装置である。
【0008】
又、第2の本発明は、
前記冷媒は、二酸化炭素である、第1の本発明の脱臭装置である。
【0009】
又、第3の本発明は、
第1の本発明の脱臭装置と、
便器と、
前記便器の洗浄を行うための水を貯蔵する水タンクと、
前記水蒸気発生室へと水を供給する水供給経路と、
前記水蒸気凝縮室で発生した凝縮水を排出する凝縮水排出経路とを備えた、トイレ装置である。
【0010】
又、第4の本発明は、
前記凝縮水排出経路は、前記水タンクへと前記凝縮水を排出するために前記水タンクに接続されている、第3の本発明のトイレ装置である。
【0011】
又、第5の本発明は、
前記水供給経路は、水道管に接続されている、第3の本発明のトイレ装置である。
【0012】
又、第6の本発明は、
前記水供給経路は、前記水タンクから前記水を供給するために前記水タンクに接続されている、第3の本発明のトイレ装置である。
【0013】
又、第7の本発明は、
前記水蒸気発生室は、前記便器の縁に沿って設けられており、
前記空気流入部は、前記便器の内側に向かって開口している、第3の本発明のトイレ装置である。
【0014】
又、第8の本発明は、
便座を更に備え、
前記水蒸気発生室は、前記便座の裏面に設けられている、第7の本発明のトイレ装置である。
【0015】
又、第9の本発明は、
前記空気流出口は、前記便器の方向に向けて前記空気を排出するように設置されている、第3の本発明のトイレ装置である。
【0016】
又、第10の本発明は、
前記水蒸気発生室と前記便座の間に設けた温度調節部と、
前記水タンク内の水と熱交換可能に設置された加熱量調節部と、
前記温度調節部と前記加熱量調節部の間に設置され、温度調節用冷媒が循環する循環経路と、
前記循環経路内を流れる前記温度調節用冷媒の量を制御することにより、前記便座の温度を制御する制御手段とを備えた、第8の本発明のトイレ装置である。
【0017】
又、第11の本発明は、
第1の本発明の脱臭装置と、
前記水蒸気凝縮室を流通した後の前記臭気を含んだ空気を加熱又は冷却する室内熱交換器と、
大気と熱交換を行う室外熱交換器と、
前記室外熱交換器と前記室内熱交換器の間を結ぶ、第2の冷媒が流通する第2の冷媒流路とを備えた、空調装置である。
【0018】
又、第12の本発明は、
冷房時の前記第2の冷媒流路及び前記第2の冷媒の流通方向を基準にして、
前記室内熱交換器の下流側且つ前記室外熱交換器の上流側に設けられた第2の圧縮機と、
前記室外熱交換器の下流側且つ前記室内熱交換器の上流側に設けられた第2の膨張手段と、
前記水蒸気発生室に供給するための水を、大気から吸熱することによって生成する、前記第2の膨張弁の下流側且つ前記室内熱交換器の上流側に設けられた大気凝縮部と、
前記大気凝縮部と前記水蒸気蒸発室の間に設けられている凝縮水供給経路と、
前記室内熱交換器の下流側且つ前記第2の圧縮器の上流側の前記第2の冷媒流路と、前記室外熱交換器の下流側且つ前記第2の膨張手段の上流側の前記第2の冷媒流路との間に設置された第1の四方弁と、
前記第2の圧縮機の下流側且つ前記室外熱交換器の上流側の前記第2の冷媒流路と、前記大気凝縮部の下流側且つ前記室内熱交換器の上流側の間の前記第2の冷媒流路との間に設置された第2の四方弁と、
暖房時には、前記第2の冷媒が、前記室内熱交換器、前記第2の膨張手段、前記大気凝縮部、前記室外熱交換器、及び前記第2の圧縮機の順に流通するように、前記第1の四方弁及び前記第2の四方弁を切り替える制御手段とを備えた、第11の本発明の空調装置である。
【0019】
又、第13の本発明は、
請求項12記載の空調装置を用いた空調装置の運転方法であって、
冷房時には、前記第2の冷媒が、前記室内熱交換器、前記第2の圧縮機、前記室外熱交換器、前記第2の膨張手段、及び前記大気凝縮部の順に流通し、
暖房時には、前記第2の冷媒が、前記室内熱交換器、前記第2の膨張手段、前記大気凝縮部、前記室外熱交換器、及び前記第2の圧縮機の順に流通するように、
前記第1の四方弁及び前記第2の四方弁を切り替える制御工程を備えた空調装置の運転方法である。
【0020】
又、第14の本発明は、
第13の本発明の空調装置の運転方法の、
冷房時には、前記第2の冷媒が、前記室内熱交換器、前記第2の圧縮機、前記室外熱交換器、前記第2の膨張手段、及び前記大気凝縮部の順に流通し、
暖房時には、前記第2の冷媒が、前記室内熱交換器、前記第2の膨張手段、前記大気凝縮部、前記室外熱交換器、及び前記第2の圧縮機の順に流通するように、前記第1の四方弁及び前記第2の四方弁を切り替える制御工程をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0021】
又、第15の本発明は、
第14の本発明のプログラムを担持した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、より簡易にメンテナンスが可能な、又、エネルギー消費量がより少ない脱臭装置、脱臭装置を用いたトイレ装置、及び脱臭装置を用いた空調装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、従来から広く採用されている公知の手段については、詳細な説明を省略する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における脱臭装置の構成図である。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態1の脱臭装置は、臭気成分を含む空気が流入する空気流入部30と、水蒸気を発生させるために水を加熱するための加熱部2とを有する水蒸気発生室1を備えている。又、臭気成分が吸着された水蒸気を冷却し凝縮するための冷却部4と、脱臭後の空気を排出する空気排出部31とを有する水蒸気凝縮室3が設置されている。さらに、水蒸気発生室1と水蒸気凝縮室3を連通させるための、本発明の連通部の一例である連通管32が設置されている。又、凝縮した水を排出するための凝縮水排出手段5が設置されている。
【0026】
又、本実施の形態1の脱臭装置は、冷媒の流通する冷媒流路33上に、圧縮機6、加熱部2、膨張手段7、及び冷却部4を有するヒートポンプ回路34(ここでは、冷媒として二酸化炭素を使用)を備えている。この加熱部2がヒートポンプ回路34の冷媒の凝縮器として機能し、冷却部4が冷媒の蒸発器として機能する。
【0027】
以下に、図1に示す本実施の形態1の脱臭装置について、その動作を説明する。
【0028】
最初に、ヒートポンプ回路34を動作させることにより、水蒸気発生室1に設けた加熱部2で、水が約80℃まで加熱され水蒸気が発生する。そして、空気流入部30から供給された臭気成分を含むガスが、水蒸気中に溶解される。
【0029】
次に、溶解した臭気成分を含む水蒸気は連通管32を通って水蒸気凝縮室3に供給され、冷却部4で冷却されて凝縮する。このとき、臭気成分は凝縮水に含まれたままである。この凝縮水は、凝縮水排出手段5から排出される。
【0030】
このように、ヒートポンプ回路34を用いて水を蒸発させるため、小さい電力消費量で運転することができ、また装置の構成要素を交換する必要もない。このことから、脱臭性能を確保しつつ、優れた省エネ性とメンテナンスの際の利便性とを実現することができる。
【0031】
さらに、ヒートポンプ回路34の冷媒として二酸化炭素を用いているため、水の加熱温度を高くすることができる。これによって、水の蒸発量が多くなり、溶解する臭気成分量も増加するため、高い脱臭性能を実現することができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、ヒートポンプ回路の冷媒として二酸化炭素を使用しているが、これに限定されるものではなく、HFC、炭化水素等の冷媒を使用しても良い。ただし、高温に加熱できる二酸化炭素を使用すると、最も大きな効果が得られる。
【0033】
さらに、臭気成分としては水溶性のものに特に適しており、アンモニア、硫化水素やアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等の低級アルデヒド等に対して高い脱臭性能を有する。
【0034】
(実施の形態2)
図2、図3は、それぞれ本実施の形態2における脱臭装置を用いたトイレ装置の構成図、側断面図である。本実施の形態2におけるトイレ装置に用いられている脱臭装置は、実施の形態1と同じ構成である。尚、実施の形態1と同一の構成要素については同一符号を付している。
【0035】
図2に示すように、本実施の形態2のトイレ装置は、便座13、便器14、及び水タンク15を備えている。又、水蒸気発生室1は、便座13の下側に設けられており、本発明の空気流入部の一例に相当する吸い込み口9が、便座13の内側に向かって開口している。この水蒸気発生室1へと水道水を供給するための水道水供給部8が設置されている。又、水蒸気凝縮室3は、水タンク15の近傍に設置されており、凝縮水排出手段5は水タンク15へと接続されている。更に、水蒸気凝縮室3に、本発明の空気排出部の一例に相当する吹き出し口10が設けられており、吹き出し口10は便座13の方向に空気を排出するように開口されている。
【0036】
又、図3に示すように、本実施の形態2のトイレ装置は、便座13と水蒸気発生室1の間に設けられた温度調節部12と、水タンク15内の底部近傍に水と熱交換可能に設置された加熱量調節部11とを備えている。これら温度調節部12と加熱量調節部11を連結し、水が流通する水循環経路42が設置されており、水を循環させるための熱交換用ポンプ24が水循環経路42上に設置されている。さらに、便座13には温度センサー43が配置されており、この温度センサー43の値に基づいて熱交換用ポンプ24を制御する制御手段44が設置されている。
【0037】
尚、冷媒流路33を流通する冷媒としては、実施の形態1と同様に二酸化炭素を用いている。又、本発明の水供給経路の一例は、本実施の形態2の水道水供給部8に相当し、本発明の凝縮水排出経路の一例は、本実施の形態2の凝縮水排出手段5に相当する。又、本発明の循環経路の一例は、本実施の形態2の水循環経路42に相当し、本発明の温度調節用冷媒の一例は、本実施の形態2では水に相当するが、これに限定されるものではなく、HFC、炭化水素等の冷媒を使用しても良い。
【0038】
以下に、図2、図3に示す本実施の形態2における脱臭装置を用いたトイレ装置について、その動作を説明する。
【0039】
最初に、水蒸気発生室1に設けた加熱部2で、水が約80℃まで加熱され水蒸気が発生する。ここに水蒸気発生室1に備えられ、便器14の内側に向けて開口した吸い込み口9から取り込んだ空気が供給され、臭気成分が水蒸気中に溶解される。ここで、加熱部2で蒸発させる水は、水道水供給部8から水道水を供給したものである。
【0040】
このとき、加熱部2で発生した熱の一部は便座13の加熱に利用され、便座13の暖房が行われる。便座13の温度調整は、温度センサー43に基づいて制御手段44が熱交換用ポンプ24を制御し、水タンク15から温度調節部12に循環する水の流量を調節することで行われる。具体的には、温度調節部12での熱交換量は一定に保ちながら、夏場には流量を多くして便座13の表面温度を低くし、冬場には流量を少なくして便座13の温度を高くなるように制御する。
【0041】
次に、溶解した臭気成分を含む水蒸気は水蒸気凝縮室3に供給され、冷却部4で冷却されて凝縮する。このとき、臭気成分は凝縮水に含まれたままである。この凝縮水は、凝縮水排出手段5から水タンク15内に排出される。
【0042】
最終的に、臭気成分を取り除いた空気は、吹き出し口10から便座13に座っている人の方向に向けて吹き出される。
【0043】
なお、上記の動作は人が便座13に着座していることを検出して行われるものである。
【0044】
このようにヒートポンプ回路34を利用して加熱、冷却を行っているため、エネルギー効率が高くなり、省エネ性に優れる。
【0045】
上記構成によって、水は水道管から供給され、凝縮水もトイレに流す水として再利用される。このことから、水を供給する手間がなく、また水を無駄なく有効に利用することができる。また、水を供給し続けさえすれば、脱臭性能は維持されるため、メンテナンスを行う必要がなく、利便性が高い。さらに、水道水を供給し、凝縮水を水タンク15に排出するため、水周りがまとまっており、構成が簡便である。尚、本実施の形態2では外部から水道水供給部8を介して、水道水を供給しているが、水タンク15から供給しても良い。
【0046】
また、加熱量調節部11で加熱量を制御しているため、余った熱量はトイレ空間内ではなく、水タンク内の水に放熱される。このことから、トイレ空間内の温度を快適に維持することができる。
【0047】
また、便座13の裏面に水蒸気発生室1を配置し、便器14の内側から吸い込み口9を介して臭気成分を含んだ空気を吸い込むため、臭気成分を確実に取り込むことができ、高い脱臭性能を実現することができる。また、便座13の暖房も兼用して行うことができる。
【0048】
また、脱臭後の空気を吹き出し口10から便座に座っている人の方向に向けて吹き出しているため、トイレ利用者が清涼感を得ることができる。
【0049】
さらに、ヒートポンプ回路34の冷媒として二酸化炭素を用いているため、水の加熱温度を高くすることができる。これによって、水の蒸発量が多くなり、溶解する臭気成分量も増加するため、高い脱臭性能を実現することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、ヒートポンプ回路34の冷媒として二酸化炭素を使用しているが、これに限定されるものではなく、HFC、炭化水素等の冷媒を使用しても良い。ただし、高温に加熱できる二酸化炭素を使用すると、最も大きな効果が得られる。
【0051】
また、臭気成分としては、便から発生するアンモニアや硫化水素等のように水溶性のものに特に適しており、高い脱臭性能を有し、室内空間を快適に維持することができる。
【0052】
また、本実施の形態2のトイレ装置は便座13を備えた洋式トイレであるが、和式トイレにも適用可能である。この場合、便座13がないため、水蒸気発生室1は便器14の縁に沿って設けられていればよい。
【0053】
また、図2及び図3では、加熱量調節部11は水タンク15の底部近傍設けられているが、水タンク15の上部に設けても良い。しかしながら、加熱によって温められた水は対流によって上昇するため、水タンク15の底部に加熱量調節部11を設けた方が、加熱量調節部11近傍に冷たい水(加熱されていない水)が存在することとなり、放熱効率が良いためより好ましい。
【0054】
(実施の形態3)
図4は、本実施の形態3における脱臭装置を用いた空調装置の冷房時の構成図である。本実施の形態3における空調装置に用いられている脱臭装置は、実施の形態1と同じ構成である。そのため、脱臭装置の詳細については説明を省略する。尚、実施の形態1と同一の構成要素については同一符号を付している。
【0055】
図4に示すように、本実施の形態3の空調装置は、室内機16と室外機18を備えている。この室内機16は、実施の形態1の脱臭装置35と、脱臭装置35の水蒸気凝縮室3と連通し、脱臭された空気の加熱又は冷却を行うための室内熱交換器17を有している。
【0056】
又、室外機18は、室外熱交換器19と、大気凝縮部20、凝縮水ポンプ21、第2の圧縮機22、及び第2の膨張手段23とを有している。この大気凝縮部20から水蒸気発生室1へと水を供給するための凝縮水供給経路36が設置されており、凝縮水供給経路36上に凝縮水ポンプ21が設置されている。
【0057】
又、室内熱交換器17と室外熱交換器19を結ぶ第2の冷媒が流通する第2の冷媒流路37が設置されている。
【0058】
ここで、第2の冷媒流路37は、冷房時と暖房時によって切り替え弁によって流路構成が異なるため、冷房時を基準にして第2の冷媒流路上に設置されている構成の説明を行う。
【0059】
第2の冷媒の流通方向を基準として、室内熱交換器17の下流側且つ室外熱交換器19の上流側に第2の圧縮機22が設置されており、室外熱交換器19の下流側であって室内熱交換器17の上流側に第2の膨張手段23が設置されている。この第2の膨張手段23の下流側であって室内熱交換器17の上流側に、大気を冷却することによって水蒸気発生室1に供給するための凝縮水を生成する大気凝縮部20が設置されている。
【0060】
又、第2の冷媒流路37の室内熱交換器17の下流側であって第2の圧縮機22の上流側の部分と、室外熱交換器19の下流側であって第2の膨張手段23の上流側の部分に流路を切り替えるための四方弁38が設置されている。更に、第2の冷媒流路37の、第2の圧縮機22の下流側であって室外熱交換器19の上流側の部分と、大気凝縮部20の下流側であって室内熱交換器17の上流側の部分に流路を切り替えるための四方弁39が設置されている。なお、第2の冷媒としては二酸化炭素が使用されている。又、四方弁38、39を切り替えるための制御手段40が設置されている。
【0061】
すなわち、冷房時には、第2の冷媒は、室内熱交換器17、第2の圧縮機22、室外熱交換器19、第2の膨張手段23、及び大気凝縮部20の順に第2の冷媒流路37内を流通することになり、これらによって第2のヒートポンプ回路41が構成されている。尚、図4の実線の矢印は、第2の冷媒の流通方向を示している。
【0062】
又、図5は、暖房時における本実施の形態3の空調装置の構成図である。暖房時には、図5に示すように四方弁38、39が切り替えられ、第2の冷媒は、室内熱交換器17、第2の膨張手段23、大気凝縮部20、室外熱交換器19、及び第2の圧縮機22の順に第2の冷媒流路37内を流通する。尚、図5の実線の矢印は、第2の冷媒の流通方向を示している。尚、本発明の第1の四方弁の一例は、本実施の形態2の四方弁38に相当し、本発明の第2の四方弁の一例は、本実施の形態2の四方弁39に相当する。
【0063】
すなわち、本実施の形態3では、ヒートポンプ回路34と第2のヒートポンプ回路41の2つのヒートポンプ回路を使用している。ヒートポンプ回路34は加熱部2、冷却部4等から構成されるものであり、冷房、暖房運転に関わらず、加熱部2が冷媒の凝縮器として機能し、冷却部4が冷媒の蒸発器として機能する。
【0064】
又、第2のヒートポンプ回路41は、室内熱交換器17、室外熱交換器19、大気凝縮部20等から構成されるものであり、冷房運転時には、室外熱交換器19が第2の冷媒の凝縮器として機能し、室内熱交換器17、大気凝縮部20が第2の冷媒の蒸発部として機能する。また、暖房運転時には、室内熱交換器17が第2の冷媒の凝縮器として機能し、室外熱交換器19、大気凝縮部20が第2の冷媒の蒸発部として機能する。
【0065】
以下に、図4及び図5に示す脱臭装置を用いた空調装置について、その動作を説明する。
【0066】
最初に、ヒートポンプ回路34及び第2のヒートポンプ回路41を動作させることにより、水蒸気発生室1に設けた加熱部2で、水が約80℃まで加熱され水蒸気が発生する。そして、室内から空気流入部30を介して取り込まれた臭気成分を含む空気が水蒸気発生室1に供給され、臭気成分が水蒸気中に溶解される。ここで、加熱部2で蒸発させる水は、大気凝縮部20で大気を冷却することにより水分が凝縮し、この水分が凝縮水ポンプ21によって凝縮水供給経路36を通って供給されたものである。
【0067】
次に、溶解した臭気成分を含む水蒸気は連通管32を通って水蒸気凝縮室3に供給され、冷却部4で冷却されて凝縮する。このとき、臭気成分は凝縮水に含まれたままである。この凝縮水は、室外機18を経て、凝縮水排出手段5から屋外に排出される。
【0068】
最終的に、水蒸気を取り除いた空気は、冷房運転時には室内熱交換器17で冷却され、暖房運転時には室内熱交換器17で加熱され、再度室内に送り出される。
【0069】
又、上述したように、ヒートポンプ回路34を用いて水を蒸発させるため、小さい電力消費量で運転することができ、また装置の構成要素を交換する必要もない。このことから、脱臭性能を確保しつつ、優れた省エネ性と利便性とを実現することができる。
【0070】
また、室外機18に室外熱交換器19と、大気を冷却して水分を凝縮させる大気凝縮部20とを備え、大気凝縮部20で生じた凝縮水を加熱部2に供給し、冷却部4で生じた凝縮水を屋外に排出しているために、空調装置を水道と接続したり、都度水を供給したりする必要がなくなる。また、屋外に凝縮水を排出しても、臭気成分が揮発するほど高温にならないため、臭いも問題にならない。このことから、水を供給する手間のない、優れた利便性を実現することができる。
【0071】
また、室内熱交換器17と、加熱部2と、冷却部4とを有する室内機16を備え、室内から吸い込んだ空気を加熱部2、冷却部4、室内熱交換器17の順に流通させており、空調性能を確保しつつ、高い脱臭性能を実現することができる。
【0072】
また、冷房運転時には、大気凝縮部20、室内熱交換器17、第2の圧縮機22、室外熱交換器19、第2の膨張手段23の順に第2の冷媒が循環し、暖房運転時には、大気凝縮部20、室外熱交換器19、第2の圧縮機22、室内熱交換器17、第2の膨張手段23の順に第2の冷媒が循環する。このため、大気凝縮部20は、冷房時、暖房時のともに、第2の冷媒の蒸発器として機能し、大気凝縮部20の冷媒温度を低温にすることができ、多くの水を凝縮させることができる。このことから、確実に脱臭に必要な水量を確保することができる。なお、上記のような冷房時、暖房時の流路構成となるように四方弁38、39の切り替えを行うことが、本発明の空調装置の運転方法における制御工程の一例に相当する。
【0073】
さらに、ヒートポンプ回路34の冷媒として二酸化炭素を用いているため、水の加熱温度を高くすることができる。これによって、水の蒸発量が多くなり、溶解する臭気成分量も増加するため、高い脱臭性能を実現することができる。
【0074】
なお、本実施の形態3では、ヒートポンプ回路34、及び第2のヒートポンプ回路41の冷媒として二酸化炭素を使用しているが、これに限定されるものではなく、HFC、炭化水素等の冷媒を使用しても良い。ただし、高温に加熱できる二酸化炭素を使用すると、最も大きな効果が得られる。
【0075】
また、臭気成分としては、人間の皮膚等から発生するアンモニアや建材等から発生するホルムアルデヒド等の低級アルデヒド等のように水溶性のものに特に適しており、高い脱臭性能を有し、室内空間を快適に維持することができる。
【0076】
さらに、脱臭用のヒートポンプ回路34と空調用の第2のヒートポンプ回路41を並列に設置し、各々のヒートポンプ回路に圧縮機6、第2の圧縮機22を設けているが、圧縮機を共用しても良い。また、2つのヒートポンプ回路を直列に設置しても良い。ただし、並列に設置すると、構成をより簡便にすることができる。
【0077】
尚、本発明のプログラムは、上述した本発明の空調装置の運転方法の制御工程の動作をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0078】
又、本発明のプログラムは、上述した本発明の空調装置の運転方法の制御工程の動作をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0079】
又、本発明の上記「制御工程の動作」とは、前記制御工程の全部又は一部の動作を意味する。
【0080】
又、本発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0081】
又、本発明のプログラムの一利用形態は、伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読みとられ、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0082】
又、記録媒体としては、ROM等が含まれ、伝送媒体としては、インターネット等の伝送媒体、光・電波・音波等が含まれる。
【0083】
又、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。
【0084】
尚、以上説明した様に、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明にかかる脱臭装置およびこれを用いたトイレ装置ならびに空調装置は、より簡易にメンテナンス出来、又、よりエネルギー消費量が少ない効果を有し、住宅用機器等として有用であるが、ごみや屎尿処理施設等にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1における脱臭装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態2における脱臭装置を用いたトイレ装置の構成図
【図3】本発明の実施の形態2における脱臭装置を用いたトイレ装置の側断面図
【図4】本発明の実施の形態3における脱臭装置を用いた空調装置の冷房時の構成図
【図5】本発明の実施の形態3における脱臭装置を用いた空調装置の暖房時の構成図
【符号の説明】
【0087】
1 水蒸気発生室
2 加熱部
3 水蒸気凝縮室
4 冷却部
5 凝縮水排出手段
6 圧縮機
7 膨張手段
8 水道水供給部
9 吸い込み口
10 吹き出し口
11 加熱量調節部
12 温度調節部
13 便座
14 便器
15 水タンク
16 室内機
17 室内熱交換器
18 室外機
19 室外熱交換器
20 大気凝縮部
21 凝縮水ポンプ
22 第2の圧縮機
23 第2の膨張手段
24 熱交換用ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流通する冷媒流路上に設けられた圧縮機、蒸発部、膨張手段、及び凝縮部を有するヒートポンプサイクルと、
水を加熱する加熱部、及び臭気を含む空気が流入する空気流入部を有する水蒸気発生室と、
前記水蒸気発生室で発生した水蒸気を冷却するための冷却部、及び前記空気を排出する空気排出部を有する水蒸気凝縮室と、
前記水蒸気発生室から前記水蒸気凝縮室へと前記空気を導入するための連通部とを備え、
前記加熱部は、前記凝縮部で構成され、
前記冷却部は、前記蒸発部で構成された、脱臭装置。
【請求項2】
前記冷媒は、二酸化炭素である、請求項1記載の脱臭装置。
【請求項3】
請求項1記載の脱臭装置と、
便器と、
前記便器の洗浄を行うための水を貯蔵する水タンクと、
前記水蒸気発生室へと水を供給する水供給経路と、
前記水蒸気凝縮室で発生した凝縮水を排出する凝縮水排出経路とを備えた、トイレ装置。
【請求項4】
前記凝縮水排出経路は、前記水タンクへと前記凝縮水を排出するために前記水タンクに接続されている、請求項3記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記水供給経路は、水道管に接続されている、請求項3記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記水供給経路は、前記水タンクから前記水を供給するために前記水タンクに接続されている、請求項3記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記水蒸気発生室は、前記便器の縁に沿って設けられており、
前記空気流入部は、前記便器の内側に向かって開口している、請求項3記載のトイレ装置。
【請求項8】
便座を更に備え、
前記水蒸気発生室は、前記便座の裏面に設けられている、請求項7記載のトイレ装置。
【請求項9】
前記空気流出口は、前記便器の方向に向けて前記空気を排出するように設置されている、請求項3記載のトイレ装置。
【請求項10】
前記水蒸気発生室と前記便座の間に設けた温度調節部と、
前記水タンク内の水と熱交換可能に設置された加熱量調節部と、
前記温度調節部と前記加熱量調節部の間に設置され、温度調節用冷媒が循環する循環経路と、
前記循環経路内を流れる前記温度調節用冷媒の量を制御することにより、前記便座の温度を制御する制御手段とを備えた、請求項8記載のトイレ装置。
【請求項11】
請求項1記載の脱臭装置と、
前記水蒸気凝縮室を流通した後の前記臭気を含んだ空気を加熱又は冷却する室内熱交換器と、
大気と熱交換を行う室外熱交換器と、
前記室外熱交換器と前記室内熱交換器の間を結ぶ、第2の冷媒が流通する第2の冷媒流路とを備えた、空調装置。
【請求項12】
冷房時の前記第2の冷媒流路及び前記第2の冷媒の流通方向を基準にして、
前記室内熱交換器の下流側且つ前記室外熱交換器の上流側に設けられた第2の圧縮機と、
前記室外熱交換器の下流側且つ前記室内熱交換器の上流側に設けられた第2の膨張手段と、
前記水蒸気発生室に供給するための水を、大気から吸熱することによって生成する、前記第2の膨張弁の下流側且つ前記室内熱交換器の上流側に設けられた大気凝縮部と、
前記大気凝縮部と前記水蒸気蒸発室の間に設けられている凝縮水供給経路と、
前記室内熱交換器の下流側且つ前記第2の圧縮器の上流側の前記第2の冷媒流路と、前記室外熱交換器の下流側且つ前記第2の膨張手段の上流側の前記第2の冷媒流路との間に設置された第1の四方弁と、
前記第2の圧縮機の下流側且つ前記室外熱交換器の上流側の前記第2の冷媒流路と、前記大気凝縮部の下流側且つ前記室内熱交換器の上流側の間の前記第2の冷媒流路との間に設置された第2の四方弁と、
暖房時には、前記第2の冷媒が、前記室内熱交換器、前記第2の膨張手段、前記大気凝縮部、前記室外熱交換器、及び前記第2の圧縮機の順に流通するように、前記第1の四方弁及び前記第2の四方弁を切り替える制御手段とを備えた、請求項11記載の空調装置。
【請求項13】
請求項12記載の空調装置を用いた空調装置の運転方法であって、
冷房時には、前記第2の冷媒が、前記室内熱交換器、前記第2の圧縮機、前記室外熱交換器、前記第2の膨張手段、及び前記大気凝縮部の順に流通し、
暖房時には、前記第2の冷媒が、前記室内熱交換器、前記第2の膨張手段、前記大気凝縮部、前記室外熱交換器、及び前記第2の圧縮機の順に流通するように、
前記第1の四方弁及び前記第2の四方弁を切り替える制御工程を備えた空調装置の運転方法。
【請求項14】
請求項13記載の空調装置の運転方法の、
冷房時には、前記第2の冷媒が、前記室内熱交換器、前記第2の圧縮機、前記室外熱交換器、前記第2の膨張手段、及び前記大気凝縮部の順に流通し、
暖房時には、前記第2の冷媒が、前記室内熱交換器、前記第2の膨張手段、前記大気凝縮部、前記室外熱交換器、及び前記第2の圧縮機の順に流通するように、前記第1の四方弁及び前記第2の四方弁を切り替える制御工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項14記載のプログラムを担持した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−129941(P2006−129941A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319654(P2004−319654)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】