説明

脱酸素剤用包装材およびそれを用いた脱酸素剤

【課題】メチレンブルーのような酸化還元指示薬が移行しない酸素検知層(部)6を有する脱酸素剤用包装材8及びそれを用いた脱酸素剤を提供する。
【解決手段】少なくとも通気性基材2に熱融着可能なシーラント材1を積層してなる脱酸素剤用包装材において、通気性基材2のシーラント材1を積層した反対の面に、酸素の有無を検知可能な酸素検知層6を設け、さらに酸素検知層成分非透過の、ポリエステル樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂層、環状ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等の透明樹脂層7を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸、還元糖、ビタミン類、アミノ酸などを含有する食品や医薬品、電子材料などの酸素による劣化を防止するために使用される脱酸素剤用包装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装体内の酸素を除去する目的で使用される脱酸素剤としては、アスコルビン酸、没食子酸、鉄などの酸化反応により酸素を吸収するものが主に使用されており、この脱酸素剤は小袋に充填包装され、食品などの内容物と共に酸素遮断性の包装材料に充填密封され使用される。
【0003】
脱酸素剤が正常に機能しているか、包装体にピンホールやシール不良が生じているかを確認するものとして、包装内の酸素の有無を確認可能な酸素検知剤が脱酸素剤と共に使用される。酸素検知剤は主に「酸化還元指示薬」および「還元剤」からなり、特許文献1には酸化還元指示薬としてメチレンブルーを、還元剤としてL−アスコルビン酸を使用した例が示されている。
【0004】
酸素検知剤の形状は、酸素検知成分をセルロースなどに含浸し錠剤型に成形したものや、脱酸素剤包装材上に酸素検知剤インキを印刷したもの、酸素検知剤成分を濾紙などに含浸させ脱酸素剤包装材上に貼り付けたものなどがある。
【0005】
脱酸素剤と検知剤が一体化されたものは、簡便に使用できるため、種々提案されている。脱酸素剤の包装上に酸素検知剤(酸素検知部)を設ける例は、特許文献2、特許文献3に開示されている。また、特許文献4には不織布などの通気性基材上に酸素検知剤層を設け、更に酸素透過度が200cc/m2・day・atm以上のポリエチレンなどの透明保護層を最外層に設けたことを特徴とする多層包材からなる酸素インジケーター付脱酸素剤包装袋が例示されている。特許文献5には、最外層を形成するポリメチルペンテンフィルムと、ガーレー式透気度が1000秒/100ml以下の紙、不織布、または微多孔膜との間に酸素検知層を設けたことを特徴とする脱酸素剤用包装体が例示されている。また、特許文献6には、ポリメチルペンテンフィルム、ポリフェニレンオキサイドフィルム、エチルセルロースフィルムなどのように水や油を通さず酸素透過性の高いフルムを最外層に配し、酸素検知マークを印刷した繊維質フィルムと有孔熱融着性フィルムを介して熱間ラミネートにより積層した脱酸素剤包装袋が示されている。
【0006】
以下に公知文献を示す。
【特許文献1】特開昭54−48294号公報
【特許文献2】特開昭62−183834号公報
【特許文献3】実開平7−44507号公報
【特許文献4】実開昭58−102475号公報
【特許文献5】特開平3−205560号公報
【特許文献6】実用新案登録第3072593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酸素検知剤の酸化還元色素としては、例えばメチレンブルーがあげられる。メチレンブルーは染色性が著しく強く、特許文献2や特許文献3に示されたように脱酸素剤用包装材上に直接酸素検知剤層を設けると、内容物などに接触した場合にメチレンブルーの移行が生じる恐れがあった。
【0008】
これを防止するために、特許文献4、特許文献5、特許文献6では、酸素検知部上にさらにポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド、エチルセルロースなどの酸素透過性のフィルムを積層し、酸素検知部と内容物などが直接接触しない構造を有する酸素検知層(部)を有する脱酸素剤用包装材が提案されている。
しかしながら、本発明者らは、メチレンブルーはこれらの樹脂層を移行、透過し、内容物に移行する事例を確認した。
【0009】
メチレンブルーは安全性の高い物質であるが、例えば水中にわずか数百ppb移行しても青色に呈色することが確認されており、このような酸化還元指示薬が移行しない酸素検知層(部)を有する脱酸素剤用包装材が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。
【0011】
本発明の請求項1の発明は、少なくとも通気性基材に熱融着可能なシーラント材を積層してなる脱酸素剤用包装材において、通気性基材のシーラント材を積層した反対の面に、酸素の有無を検知可能な酸素検知層を設け、さらに酸素検知層成分非透過の透明樹脂層を設けたことを特徴とする酸素検知機能を有する脱酸素剤用包装材としたものである。
【0012】
本発明の請求項2の発明は、透明樹脂層がポリエステル樹脂またはポリエステル樹脂層を含む多層体であることを特徴とする請求項1記載の脱酸素剤用包装材としたものである。
【0013】
本発明の請求項3の発明は、透明樹脂層がエチレンビニルアルコール共重合樹脂層またはエチレンビニルアルコール共重合樹脂層を含む多層体であることを特徴とする請求項1記載の脱酸素用包装材としたものである。
【0014】
本発明の請求項4の発明は、透明樹脂層がポリアクリロニトリル樹脂層またはポリアクリロニトリル樹脂層を含む多層体であることを特徴とする請求項1記載の脱酸素用包装材としたものである。
【0015】
本発明の請求項5の発明は、透明樹脂層が環状ポリオレフィン樹脂層、または環状ポリオレフィン樹脂層を含む多層体であることを特徴とする請求項1記載の脱酸素用包装材としたものである。
【0016】
本発明の請求項6の発明は、透明樹脂層がポリ塩化ビニリデン樹脂層またはポリ塩化ビニリデン樹脂層を含む多層体であることを特徴とする請求項1記載の脱酸素用包装材としたものである。
【0017】
本発明の請求項7の発明は、酸素の有無を検知可能な酸素検知層が、少なくとも酸化還元色素とこの色素を還元型に変えうる量の還元剤を含有することを特徴とする請求項1から6記載の脱酸素剤用包装材としたものである。
【0018】
本発明の請求項8の発明は、酸化還元色素がメチレンブルーであることを特徴とする請求項7記載の脱酸素剤用包装材としたものである。
【0019】
本発明の請求項9の発明は、透明樹脂層の酸素検知層に接触する部分以外の全て、または一部に貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1から8記載の脱酸素剤用包装材としたものである。
【0020】
本発明の請求項10の発明は、少なくとも一部に、請求項1から9記載の脱酸素材用包装材を用いたことを特徴とする脱酸素剤としたものである。
【0021】
本発明の請求項11の発明は、脱酸素包装材を三方シール袋に形成してなる請求項10記載の脱酸素剤において、折れ線部上に酸素検知層を設けたことを特徴とする脱酸素剤としたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の脱酸素材用包装剤及びそれを用いた脱酸素剤は、以上のような構成であるから、酸化還元指示薬が移行しない酸素検知層(部)を有する脱酸素剤用包装材及びそれを用いた脱酸素剤とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に本発明の実施の形態について具体的に説明する。
【0024】
本発明者らの検討により、酸素検知層成分非透過の透明樹脂としては、ポリエステル樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂層、環状ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂が選択された。
【0025】
ポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0026】
環状ポリオレフィン樹脂としては、環状オレフインコポリマ−、または、環状オレフインの開環重合体またはその水素添加体などが挙げられる。
【0027】
通気性基材上に酸素検知層を設け、さらに酸素検知層成分非透過透明樹脂を設ける方法としては、あらかじめ酸素検知層成分非透過透明樹脂フィルム上に印刷により酸素検知層を設け、さらに酸素検知層を設けた面に通気性基材を積層する方法や、通気性基材上に印刷により酸素検知層を設け、酸素検知層成分非透過透明樹脂を積層する方法が考えられる。
【0028】
酸素検知剤の構成成分である酸化還元色素としては、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、ニュートラルレッド、インジゴカルミン、アシッドレッド、サフラニンT、フェノサフラニン、カプリブルー、ナイルブルー、ジフェニルアミン、キシレンシアノール、ニトロジフェニルアミン、フェロイン、N−フェニルアントラニル酸等が使用できるが、一般にはメチレンブルーが広く利用されている。
【0029】
また、還元剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩や、D−アラビノース、D−エリスロース、D−ガラクトース、D−キシロース、D−グルコース、D−マンノース、D−フラクトース、D−ラクトース等の還元糖、第一錫塩、第一鉄塩等の金属塩等が使用可能である。
【0030】
また、酸化還元色素の色調を補う目的で他の色素を添加しても良い。例えばメチレンブルーは還元型で無色であるため、脱酸素時の確認性を高める目的で赤色色素が添加される場合がある。
【0031】
本発明による包装材中に充填する脱酸素剤としては、アスコルビン酸またはその塩、没食子酸等の有機化合物や、鉄粉、コバルト粉等の金属粉をそれぞれ主成分とする、公知の脱酸素剤が用いられる。
【0032】
包装袋としての構成は、本発明による包装材を片面に配し、もう片面は通常の脱酸素剤用包装材を用いて四方シール袋としたり、本発明による包装材を三方シール袋としてもよい。
【0033】
三方シール袋とする場合には、折れ線部上に酸素検知層(部)を設けると、両面から酸素の検知を確認可能となる。
【0034】
インキ化した酸素検知剤を印刷する際に、表示インキを同時に印刷すると、工程が簡略化可能である。
【0035】
本発明による包装材を用いた脱酸素剤の酸素吸収速度を高めるために、酸素検知剤部に接する以外の透明樹脂層に、レーザー、針などを用いて貫通孔を設けることが可能である。
【実施例1】
【0036】
以下本発明の実施例を説明する。
図1は本実施例の脱酸素材用包装材を、断面で示した説明図である。
【0037】
通気性基材(2)として紙(40g/m2)を用いた。その片面に貫通孔(9)を有するシーラント層(1)として低密度ポリエチレン(LDPE)層(25μm)を積層した。その反対面に貫通孔(10)を有するLDPE層(15μm)(3)を、さらに貫通孔(10)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)層(12μm)(4)をこの順に積層して従来の脱酸素剤用包装材(5)とした。この脱酸素材用包装材(5)のポリエチレンテレフタレート(PET)層上に、グラビア校正機にてインキ化した酸素検知剤を印刷(6)した。さらにその上に、ウレタン系接着剤を用いて透明樹脂層(7)としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm)を積層し、本発明による酸素検知機能を有する脱酸素剤用包装材(8)を得た。なお、貫通孔(9)(10)は、孔径が同じで、脱酸素材用包装材(5)として積層したとき、それぞれの中心位置が一致するように形成した。
【0038】
酸素検知剤インキ組成は以下の通りとした。
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・0.05重量部
アスコルビン酸・・・・・・・・・・・・・・2.0重量部
食用赤色106号・・・・・・・・・・・・・0.01重量部
グリセロール・・・・・・・・・・・・・・・10重量部
ポリビニルアセタール樹脂・・・・・・・・・10重量部
1−ペンタノール・・・・・・・・・・・・・・50重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10重量部
本検知剤の色調変化は以下の通りである。
酸素あり:青色、酸素なし:赤色
【実施例2】
【0039】
透明樹脂層(7)としてエチレンビニルアルコール共重合樹脂フィルム(12μm)に代えた他は実施例1と同様な本発明による脱酸素剤用包装材を得た。
【実施例3】
【0040】
透明樹脂層(7)としてポリアクリロニトリル樹脂フィルム(12μm)に代えた他は実施例1と同様な本発明による脱酸素剤用包装材を得た。
【実施例4】
【0041】
透明樹脂層(7)として環状オレフインコポリマ−フィルム(15μm)に代えた他は実施例1と同様な本発明による脱酸素剤用包装材を得た。
【実施例5】
【0042】
透明樹脂層(7)としてポリ塩化ビニリデン(PVDC)コート延伸ポリプロピレン(20μm)に代えた他は実施例1と同様な本発明による脱酸素剤用包装材を得た。ただし、PVDCコート面が酸素検知層に接触するように積層し、本発明による脱酸素剤用包装材を得た。
【実施例6】
【0043】
本実施例は、比較のための例である。
透明樹脂層(7)として低密度ポリエチレンフィルム(60μm)に代えた他は実施例1と同様な脱酸素剤用包装材を得た。
【実施例7】
【0044】
本実施例は、比較のための例である。
透明樹脂層(7)として延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)に代えた他は実施例1と同様な脱酸素剤用包装材を得た。
【実施例8】
【0045】
本実施例は、比較のための例である。
透明樹脂層(7)として延伸ナイロンフィルム(15μm)に代えた他は実施例1と同様な脱酸素剤用包装材を得た。
【実施例9】
【0046】
本実施例は、比較のための例である。
透明樹脂層(7)としてポリメチルペンテンフィルム(20μm)に代えた他は実施例1と同様な脱酸素剤用包装材を得た。
【実施例10】
【0047】
本実施例は、比較のための例である。
透明樹脂層(7)としてポリフェニレンオキサイドフィルム(20μm)に代えた他は実施例1と同様な脱酸素剤用包装材を得た。
【実施例11】
【0048】
本実施例は、比較のための例である。
透明樹脂層(7)としてエチルセルロース(20μm)に代えた他は実施例1と同様な脱酸素剤用包装材を得た。
【実施例12】
【0049】
図5は、本実施例の本願発明の脱酸素剤用包装材を断面で見た説明図である。まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)/接着性樹脂/低密度ポリエチレン(LDPE)の
構成の透明樹脂層として共押出しフィルム(総層厚20μm)(27)を用意した。そして、低密度ポリエチレン(LDPE)側をコロナ処理した。
【0050】
さらに共押出フィルム(27)の低密度ポリエチレン上に、グラビア校正機にてインキ化した酸素検知剤を印刷(26)した。さらに、印刷面が接すようにして、通気性基材(紙(40g/m2))(22)/貫通孔(29)を有するシーラント層として低密度ポリエチレン(LDPE)層(25μm)(21)の構成の積層体の通気性基材(22)面に、熱溶融低密度ポリエチレン(LDPE)(23)を介して積層した。積層後のLDPE層の厚みは15μmであった。
【0051】
さらにレーザーを用いて検知部およびその周囲を除いて“LDPE層/PET層”に貫通孔(30)、(32)を設け、本発明による脱酸素剤用包装材28を得た。なお、酸素検知剤は直径10mmの円形状に印刷した。また貫通孔は、前記の円形状の中心部から直径15mmの円形状部内を避けて設け、両円形状の間に非貫通孔部31を設けた。脱酸素剤用包装材の大きさは、90mm×60mmとした。
【0052】
酸素検知剤インキ組成は以下の通りとした。
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・0.05重量部
アスコルビン酸・・・・・・・・・・・・・・2.0重量部
グリセロール・・・・・・・・・・・・・・・10重量部
ポリビニルアセタール樹脂・・・・・・・・・10重量部
1−ペンタノール・・・・・・・・・・・・・50重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10重量部
本検知剤の色調変化は以下の通りである。
酸素あり:青色、酸素なし:無色。
【0053】
<実験1>
実施例1から11で得られた脱酸素剤用包装材(8)を片面に、従来の脱酸素剤用包装材(5)(図2)を片面にし、低密度ポリエチレン(LDPE)層(1)面同士をヒートシールし、市販の鉄系脱酸素剤(11)を3g充填密封し、脱酸素剤とした(図3、図4)。図2は従来の脱酸素剤用包装材(5)であり、図1の従来の脱酸素材用包装材(5)と同様の構成である。図3は、脱酸素剤を正面から見た説明図であり、図4はそれを断面で見た説明図である。酸素検知剤の形成は半径10mmの円形状に印刷し、脱酸素剤は、大きさを45mm×60mmとした。
【0054】
それぞれを透明バリア包材に、空気250mlと共に充填密封し、25℃・65%RH環境中で24時間放置し、検知部の色調の観察を行った。
【0055】
その結果、保存前には青色を呈していた検知部は、実施例1から11の全てにおいて赤色を呈しており、包材内が脱酸素されたことが確認された。
【0056】
その後、開封し、25℃で24時間放置後、色調を観察したところ、すべて検知部は青色を呈しており、酸素の有無により色調変化を行い、酸素検知機能を有することが確認された。
【0057】
<実験2>
<実験1>と同様に、実施例1から11で得られた脱酸素剤用包装材(8)を片面に、従来の脱酸素剤用包装材(5)(図2)を片面にし、低密度ポリエチレン(LDPE)層(1)面同士をヒートシールし、市販の鉄系脱酸素剤(11)を3g充填密封し、脱酸素剤とした(図3、図4)。
【0058】
それぞれをポリエチレン製アンプル(注射用水20mL入り)に検知部が接触するように密着させ、透明バリア包材に、空気250mlと共に充填密封し、60℃・75%RH環境中で4週間放置後、注射用水の色調観察を行った。
【0059】
結果を表1に示した。
【0060】
【表1】

(検知部は全て赤色を示していた)。
【0061】
<実験3>
実施例12で得られた本発明による脱酸素剤用包装材を酸素検知部の上に折れ線を配する様にして三方袋として、市販の鉄系脱酸素剤33を3g充填密封し、本発明の脱酸素剤とした(図7、図8)。
さらに透明バリア包材に、空気250mlと共に充填密封し、25℃・65%RH環境中で放置し、検知部の色調観察と酸素濃度の測定を行った。結果を表2に示した。
【0062】
【表2】

次に透明バリア包材より脱酸素剤を取り出し、25℃・65%RH環境中に放置し、経時で酸素検知部の色調を観察した。結果を表3に示した。
【0063】
【表3】

(時間が経過すると共に、色調が無色に変化した)。
【0064】
<実験4>
実施例12で得られた包装材を両面に使用し、両面に酸素検知部を有する四方袋として、市販の鉄系脱酸素剤を3g充填密封した(図6)。ただし、包装材の大きさは、45mm×60mmとした。
さらに透明バリア包材に、空気250mlと共に充填密封し、25℃・65%RH環境中で放置し、検知部の色調観察と酸素濃度の測定を行った。結果を表4に示した。
【0065】
【表4】

(酸素濃度が減少すると共に、色調が無色に変化した)。
【0066】
次に透明バリア包材より脱酸素剤を取り出し、25℃・65%RH環境中に放置し、経時で酸素検知部の色調を観察した。結果を表5に示した。
【0067】
【表5】

(時間ヶ経過すると共に、色調が青色に変化した)。
【0068】
<実験5>
実験4で得られた脱酸素剤包装体をポリエチレン製アンプル(注射用水20mL入り)に検知部が接触するように密着させ、透明バリア包材に、空気250mlと共に充填密封し、60℃で4週間放置後、注射用水の色調観察を行った。
【0069】
その結果、4週間経過後も、注射用水の色調変化はなく無色透明を呈しており、色素(メチレンブルー)の移行が無いことが確認された。
【0070】
実験1の結果より、本発明による実施例を含めて、酸素検知機能を有することが確認された。
【0071】
実験2の結果より、本発明による実施例は、検知剤成分で有る色素の移行が無いの対し、その他の実施例(比較のための例)ではポリエチレン製アンプル中の注射用水に検知剤成分で有る色素が移行しているのが確認された。脱酸素状態に有るのもかかわらず酸化色の青色を呈するのは、還元剤であるL−アスコルビン酸は移行しないためと考えられた。
【0072】
実験3,4,5の結果より、実施例12のように本発明による包装材の最外層を形成する透明樹脂層に、検知部を除いて貫通孔を設けることにより、検知剤成分である色素の移行が無い、酸素検知機能を有する脱酸素剤が得られることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例の脱酸素材用包装材を断面で示した説明図である。
【図2】従来の脱酸素剤用包装材を断面で示した説明図である。
【図3】実施例の脱酸素剤を正面から見た説明図であ。
【図4】他の実施例の脱酸素剤を断面で見た説明図である。
【図5】本願発明の他の実施例の脱酸素剤用包装材を断面で見た説明図である。
【図6】本願発明の他の実施例の脱酸素剤用包装材を用いた脱酸素剤を正面から見た説明図である。
【図7】本願発明の他の実施例の脱酸素剤用包装材を用いた他の脱酸素剤を正面から見た説明図である。
【図8】本願発明の他の実施例の脱酸素剤用包装材を用いた他の脱酸素剤を断面で見た説明図である。
【符号の説明】
【0074】
(1)(21)・・・・シーラント層
(2)(22)・・・・通気性基材
(3)(23)・・・・低密度ポリエチレン層
(4)・・・・ポリエチレンテレフタレート層
(5)・・・・脱酸素剤用包装材
(6)(26)・・・・酸素検知剤
(7)(27)・・・・透明樹脂層
(8)(28)・・・・酸素検知機能を有する脱酸素剤用包装材
(9)(10)(29)(30)(32)・・・・貫通孔
(31)・・・・透明樹脂層非貫通孔部
(11)(33)・・・・鉄系脱酸素剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも通気性基材に熱融着可能なシーラント材を積層してなる脱酸素剤用包装材において、通気性基材のシーラント材を積層した反対の面に、酸素の有無を検知可能な酸素検知層を設け、さらに酸素検知層成分非透過の透明樹脂層を設けたことを特徴とする酸素検知機能を有する脱酸素剤用包装材。
【請求項2】
透明樹脂層がポリエステル樹脂またはポリエステル樹脂層を含む多層体であることを特徴とする請求項1記載の脱酸素剤用包装材。
【請求項3】
透明樹脂層がエチレンビニルアルコール共重合樹脂層またはエチレンビニルアルコール共重合樹脂層を含む多層体であることを特徴とする請求項1記載の脱酸素用包装材。
【請求項4】
透明樹脂層がポリアクリロニトリル樹脂層またはポリアクリロニトリル樹脂層を含む多層体であることを特徴とする請求項1記載の脱酸素用包装材。
【請求項5】
透明樹脂層が環状ポリオレフィン樹脂層、または環状ポリオレフィン樹脂層を含む多層体であることを特徴とする請求項1記載の脱酸素用包装材。
【請求項6】
透明樹脂層がポリ塩化ビニリデン樹脂層またはポリ塩化ビニリデン樹脂層を含む多層体であることを特徴とする請求項1記載の脱酸素用包装材。
【請求項7】
酸素の有無を検知可能な酸素検知層が、少なくとも酸化還元色素とこの色素を還元型に変えうる量の還元剤を含有することを特徴とする請求項1から6記載の脱酸素剤用包装材。
【請求項8】
酸化還元色素がメチレンブルーであることを特徴とする請求項7記載の脱酸素剤用包装材。
【請求項9】
透明樹脂層の酸素検知層に接触する部分以外の全て、または一部に貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1から8記載の脱酸素剤用包装材。
【請求項10】
少なくとも一部に、請求項1から9記載の脱酸素材用包装材を用いたことを特徴とする脱酸素剤。
【請求項11】
脱酸素包装材を三方シール袋に形成してなる請求項10記載の脱酸素剤において、折れ線部上に酸素検知層を設けたことを特徴とする脱酸素剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−17650(P2006−17650A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197715(P2004−197715)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】