説明

膜セパレータを有する燃料処理システム

炭化水素燃料を改質するための燃料処理システムが提供される。この燃料処理システムは、膜セパレータを利用して改質油の流れから水素を分離している。CO還元および浄化システムは、膜セパレータと協同して、生成する水素の量を増加させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料処理システムに関し、より詳細には、燃料の改質を促進するための膜セパレータを有する燃料処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、内燃機関に取って代わる電気車両発電を始めとする様々なアプリケーションのための電力源として提案されている。陽子交換膜(PEM)タイプの燃料電池では、水素が燃料電池のアノードに供給され、酸素が酸化剤として燃料電池のカソードに供給されている。PEM燃料電池には、一方の面にアノードを有し、反対側の面にカソードを有する、薄い陽子透過性非導電性固体重合体膜電解液を備えた膜電極アセンブリ(MEA)が含まれている。MEAは、アノードおよびカソードの集電体として機能する一対の導電エレメントの間に挟まれており、燃料電池のガス状反応物質をそれぞれアノード触媒およびカソード触媒の表面全体に分散させるための適切なチャネルおよび/またはチャネル内に穿たれた開口を備えている。本発明の譲受人に譲渡された、Swathirajanらに対する米国特許第5,272,017号および第5,316,817号に、典型的なPEM燃料電池およびそのMEAが記載されている。複数の個別の燃料電池が通俗的にまとめて積み重ねられ、PEM燃料電池スタックを形成している。
【0003】
PEM燃料電池では、水素(H)がアノード反応物質として実施され、酸素(O)がカソード反応物質として実施されている。酸素は、純粋な形で供給することも、あるいは空気(主としてOとNからなる混合物)として供給することも可能である。車両アプリケーションの場合、メタノール、ガソリン、ディーゼルなどの液体燃料を燃料電池の水素源として使用することが望ましい。他の燃料には、エタノールおよび天然ガスがある。オンボード蓄積にはこのような燃料が優先され、このような燃料のいくつかを供給するための国および国際インフラストラクチャが存在している。しかしながら、このような燃料は、その燃料に含まれている水素を放出するために解離させなければならない。この解離反応は、通常、自己熱改質器の中で達成されている。従来の例示的プロセスは、ガソリンと水(蒸気)が理想的に反応して水素および二酸化炭素を生成する蒸気/ガソリン改質器である。一酸化炭素などの余計な成分が存在していることもある。
【0004】
燃料処理システムは、当分野で良く知られている。典型的な燃料処理システムは、炭化水素燃料を水素を含有した改質油の流れに変えるための一連の改質器を使用して動作している。これらの改質器には、大型になり、かつ、パッケージが困難である傾向があるため、水素を抽出するための代替が提供されることが望ましい。
【0005】
パラジウムもしくはパラジウム合金が被覆された膜を使用して改質油の流れから水素を除去することができることは知られている。しかしながら、水素分離膜には、競争相手である内燃機関の性能レベルを維持するために燃料電池に必要な水素の流れを提供することができない傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、コンポーネントのサイズが小さい燃料処理システムおよび性能を制限することのない水素分離デバイスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、燃料処理システムと共に使用するための膜が提供される。燃料処理システムには、炭化水素燃料を水素を含有した改質油の流れに改質するための反応器が使用されている。改質油の流れは、解離した水素を除去するための膜セパレータを通って流れる。水素が減損した残りの改質油の流れは、改質油の流れからさらに水素を解離させる改質システムを通過する。この膜セパレータは、改質システムのサイズの縮小を可能にしている。CO還元および浄化システムの上流側の改質油の流れから水素を除去することにより、CO還元および浄化システムの下流側で、より大量の改質油が水素に変換される。改質油の流れから水素を分離するための膜セパレータと改質システムのこの両方の組合せが性能の改善を可能にしている。
【0008】
本発明については、以下の詳細な説明および添付の図面から、より完全に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
1つまたは複数の好ましい実施形態についての以下の説明は、単なる例示的なものに過ぎず、本発明、本発明のアプリケーションあるいは用途の制限を何ら意図したものではない。
【0010】
本発明は、燃料処理システム12および燃料電池スタック14を備えた燃料電池システム10を対象としている。以下、図1〜6に示す燃料電池システム10について説明する。これらの図においては、共通の参照番号を利用して同じエレメントもしくは類似のエレメントが示されている。要約すると、燃料電池システム12は、自己熱改質器16、膜セパレータ18、CO還元および浄化セクション20および燃焼器システム22を備えている。以下でより詳細に説明するように、燃料処理システム12は、水素を含有したガスを生成するべく、燃料、空気および水を取り入れるように機能している。次に、当分野で知られている電流を生成するために、燃料電池スタック14内でこの水素を含有したガスが使用される。
【0011】
ここで図1を参照すると、自己熱改質器16は、一次反応器24を備えている。一次反応器24は、3つの入口26、28および30を有している。一次反応器24は、それぞれ入口26、28および30を介して、燃料、空気および水を受け取っている。この一次反応器24には、たとえば蒸気改質、部分酸化もしくは自己熱改質など、燃料を化学的に改質することができ、かつ、改質油中に水素ガスを出力することができる任意のタイプの反応器を使用することができる。一次反応器24は膜セパレータ18と流体連絡しており、水素を含有した改質油の流れを自己熱改質器16から膜セパレータ18へ移送している。
【0012】
膜セパレータ18はCO還元および浄化セクション20と流体連絡して改質油を移送し、また、燃料電池スタック14と流体連絡して、純水素もしくは水素−パージ混合物を引き渡している。
【0013】
一般的には、膜セパレータ18は、水素による膜の透過を選択的に許容することによってガス混合物から水素を除去する機構を提供している。Edlundに対する米国特許第6,152,995号に、この目的に使用することができる例示的膜セパレータが記載されている。膜セパレータ18は、膜の供給側と浸透液側の間の所望の成分の分圧差によって駆動される。所望の成分は、高圧供給側からより圧力の低い浸透液側へ向かって流れる。パラジウム膜もしくはパラジウム合金膜の場合、水素は、濃密金属膜を選択的に透過することができる。膜を通って流れる水素のフラックスすなわち流量は、供給側の水素の分圧を高くし、浸透液側の水素の分圧を低くするか、あるいは金属膜の厚さを薄くすることによって速くすることができる。膜の厚さに対する制限は、膜中の孔を通る許容漏れ速度によって決まる。これらの孔によって膜の選択性が減少し、すべての成分が無差別に通過する。膜セパレータ18に使用される膜材料は、パラジウムもしくはパラジウム合金などの水素透過性材料である。パラジウム合金には、それらに限定されないが、パラジウム−銀合金あるいはパラジウム−銅合金がある。
【0014】
膜セパレータ18には任意の構成を使用することができることが意図されている。膜セパレータ18および18’に可能な2つの構成は、図2に示す管および殻構成と、図3に示すプレート構成である。
【0015】
図2を簡単に参照すると、膜セパレータ18の管および殻構成が示されており、管構成は、殻34内に密閉された多数の管32を備えている。管32は、パラジウム、パラジウム合金もしくはサポート材料を覆っているパラジウム層でできている。サポート材料には、それらに限定されないが、細孔セラミック、金属サポートもしくはそれらの組合せを使用することができる。管32を覆っているパラジウム層もしくはパラジウム合金層の厚さは10ミクロン未満である。このパラジウム層もしくはパラジウム合金層は、サポート管の内側に被覆することも可能である。自己熱改質器16からの改質油は、管32によって膜セパレータ18を通って流れるか、あるいは殻34の上方を通過する。この流れは、横断流であっても、逆流であっても、あるいは共流であっても良い。改質油の流れの中の非水素成分は、パラジウムを含有した管32を透過することはできないが、水素がパラジウム中に解離する。浸透液側では水素の分圧がより低いため、膜を通って水素原子が自然に拡散し、浸透液側である低水素分圧側で再結合する。パージ流は、膜の浸透液側を流れるため、改質油の流れから水素を除去することができる。パージ流は、これを、水素の分圧を改質油の流れより低くすることによって実施している。水素の流れは、供給側と浸透液側の間の水素の分圧差によって駆動される。パージ流は、浸透液側の水素の分圧をさらに低くすることによって透過を促進することができる。したがってパージ流は、改質油の流れから水素を抽出して、CO還元および浄化セクション20と流体連絡した、水素の少ない改質油の流れを残し、また、燃料電池スタック14と流体連絡した、水素が豊富なパージ流を残している。パージ流は、水素の分圧が改質油の流れより低い任意の流れにすることができる。管構成における膜セパレータ18の表面積は、管の直径、管の数および管の長さを変更することによって調整することができる。管32の表面積が広くなると、抽出することができる水素の量が増加する。また、殻34を触媒で被覆することも可能である。
【0016】
次に図3を簡単に参照すると、膜セパレータ18’のプレート構成が示されている。この構成では、プレート36が積み重ねられ、各々の層と層の間にチャネルを備え、プレート36の両側を、自己熱改質器16からの改質油すなわち水素が豊富なパージが流れている。プレート36は、パラジウム、パラジウム合金あるいはサポート材料を覆っているパラジウム層もしくはパラジウム合金層でできている。パラジウムもしくはパラジウム層の厚さは10ミクロン未満である。自己熱改質器16からの改質油は、横断流、逆流もしくは共流で、プレート構成の膜セパレータ18’中に供給される。膜セパレータ18の、パラジウムを含有した管32と同様、改質油の流れの中の非水素成分は、プレート36を透過することはできないが、水素がパラジウム中に解離する。パージ流は、より低い水素分圧を有しており、したがってパージ流がプレート36の上を流れると、膜を通して水素原子が拡散し、浸透液側である低水素分圧側で再結合する。したがってパージ流は、改質油の流れから水素を抽出して、CO還元および浄化セクション20と流体連絡した、水素の少ない改質油の流れを残し、また、燃料電池スタック14と流体連絡した、水素が豊富なパージ流を残している。プレート構成の場合、膜セパレータ18’の表面積は、プレートの面積およびプレートの数によって調整することができ、また、マニホルディングによって調整することができる。プレート36の表面積が広くなると、パージ流によって抽出することができる水素の量が増加する。また、プレート36もしくはチャネル内の基板を触媒で被覆することも可能である。
【0017】
図1を参照すると、CO還元および浄化セクション20は、膜セパレータ18と流体連絡している。CO還元および浄化セクション20は、水−ガス転換38および/または優先酸化反応器すなわちPrOx40のうちの少なくとも一方を備えることができ、あるいは当分野で知られている他の任意のタイプのCO還元および浄化反応器であっても良い。図1に示すように、一酸化炭素と水の反応から水素を生成するように機能する水−ガス転換38は、膜セパレータ18と流体連絡している。水−ガス転換38は、水素が形成される平衡反応である。水−ガス転換38はPrOx40と流体連絡しており、水素を含有した改質油の流れを引き渡している。
【0018】
PrOx40は、水−ガス転換38と流体連絡しており、水−ガス転換38から受け取る改質油から一酸化炭素を除去するために使用されている。PrOx40は、スタックグレード水素を生成している。PrOx40は、燃料電池スタック14と流体連絡しており、PrOx40から燃料電池スタック14へ改質油を引き渡している。
【0019】
燃料電池スタック14は、CO還元および浄化セクション20と流体連絡しており、また、膜セパレータ18もしくは18’と流体連絡している。燃料電池スタック14は、水素が豊富な流れを膜セパレータ18から受け取り、水素が減損した改質油をCO還元および浄化セクション20から受け取っている。入口44を介して空気が燃料電池スタック14に流入する。燃料電池スタック14は、空気から得られる酸素との水素の制御された反応から、電力および熱を生成している。燃料電池スタック14は、空気とあらゆる未使用水素、一酸化炭素もしくは炭化水素を反応させるための燃焼器システム22と流体連絡している。
【0020】
図1を参照すると、燃焼器システム22は、燃料電池スタック14と流体連絡した燃焼器46を備えている。詳細には、燃焼器46は、燃料電池スタック14からの残留改質油を燃焼させ、自己熱改質器16に使用される熱を生成している。燃焼器46は、自己熱改質器16と伝熱関係にあり、熱ガスの形態の熱を燃焼器46から自己熱改質器16へ伝達し、自己熱改質器16の一次反応器24の入口蒸気温度の維持を補助している。燃焼器からの排気ガスは、出口48を介して燃焼器46から流出する。
【0021】
車両を運転している間、燃料、水および空気が一次反応器24に流入し、化学的に改質する。一次反応器24からの改質油は、膜セパレータ18に流入する。膜セパレータ18は、改質油の流れから水素の一部を除去している。水素が豊富な浸透液は、膜セパレータ18から燃料電池スタック14に流入する。水素が減損した改質油の流れは、水−ガス転換38に流入し、改質油の流れの中の一酸化炭素および水からより多くの水素が生成される。水−ガス転換38からの改質油はPrOx40に流入し、そこで一酸化炭素が選択的に酸化される。一酸化炭素がほとんどない改質油が燃料電池スタック14に流入し、そこで、空気から得られる酸素と反応し、改質油が化学反応して電気が生成される。燃料電池スタック14に流入した未使用の水素改質油は、燃焼器46に流入する。燃焼器46は、その未使用の改質油を空気と混合し、その混合物を消費して、一次反応器24の蒸気入口30を暖めるために使用する熱、および出口48を介してシステムから流出する排気ガスを生成する。
【0022】
図1に示すように、スタックグレード水素を水−ガス転換38およびPrOx40をバイパスして燃料電池スタック14に直接供給することにより、車両を運転するためのスタートアップ時間が短縮される。また、膜セパレータ18を水−ガス転換38の上流側に使用することにより、水−ガス転換反応の平衡をさらに生産側に強制することができ、それにより、より多くの水素が得られ、効率が改善される。また、膜セパレータ18によって水素が除去されるため、反応物質の流れがより濃縮され、水−ガス転換反応器38のサイズを縮小することができるか、あるいはPrOx40への一酸化炭素の供給を少なくして、PrOx40をより小型にすることができるように平衡を強制することができる。また、燃料プロセッサの動作圧力(これは、膜セパレータ18のより良好な動作点である)を高くすることによって、PrOx40および水−ガス転換反応器38のサイズを縮小することも可能である。
【0023】
図4は、自己熱改質器16、膜セパレータ18、CO還元および浄化セクション20および燃焼器システム22を備えた燃料処理システム12の代替実施形態を示したものであるが、この実施形態では、膜セパレータ18は、水−ガス転換38内に組み込まれている。この第2の実施形態では、水素は、水素が生成された時点で膜セパレータ18によって除去される。この実施形態は、単一ユニットの中で水−ガス転換平衡をさらに生産側に強制する利点を提供している。また、この実施形態は、PrOx40への一酸化炭素の供給が少なくなっている。
【0024】
図5は、自己熱改質器16、膜セパレータ18、CO還元および浄化セクション20および燃焼器システム22を備えた本発明による燃料プロセッサの他の実施形態を示したものであるが、膜セパレータ18は、一次反応器24内に配置されている。同様に、この実施形態では、水素は、水素が生成された時点で膜セパレータ18によって除去される。この実施形態は、より多くの水素を生成し、それにより水−ガス転換およびPrOx40の体積を縮小するために、蒸気改質平衡を強制する利点を提供している。
【0025】
図6は、蒸気をパージガスとして使用した燃料電池システム100の他の実施形態を略図で示したものである。燃料電池システム100は、自己熱改質セクション102、膜システム104、CO還元および浄化セクション106、燃料電池スタックシステム108および燃焼器システム107を備えている。
【0026】
自己熱改質セクション102は自己熱改質器110を備えている。自己熱改質器110は、自己熱改質器110にそれぞれ燃料、空気および蒸気をもたらしている3つの入口112、114および116を有している。自己熱改質器110は、導管111を介して膜システム104と流体連絡している。膜システム104は、1つが水素を含有した改質油111であり、もう1つが蒸気120である2つの入口を有している。また、膜システム104は、1つが空気/蒸気の流れ129であり、もう1つが水素の流れ127であり、残りの1つが改質油の流れ131である3つの出口を有している。流れ129は、そうでない場合は流れ114および116によって提供されることになる供給の一部をサポートするために使用することができることに留意されたい。
【0027】
自己熱改質システム102からの水素含有改質油111は、既に考察したように、膜システム104の膜セパレータ118に流入する。膜セパレータ118は、混合改質油の流れ111からの水素の分離を容易にするためのパージガスとして使用される蒸気のための入口120を有している。入口120からの蒸気は、膜セパレータ118の表面からの水素の抽出を容易にしており、それにより蒸気と水素からなる流れ126を生成している。
【0028】
水素と蒸気の流れ126は、膜システム104内で膜セパレータ118から水蒸気転換デバイス122へ引き渡される。
図7を参照すると、水蒸気転換デバイス122は、ここでは三次元通路で示す複数の導管123を有している。これらの導管123は、一次ガスがすべての導管を通って流れることができるように接続されている。一次流体の方向は、二次ガスが流れる方向とは逆方向であることが好ましい。この実施形態では、図に示すように、一次ガスの流れ126は蒸気と水素からなり、二次ガスの流れ128は空気である。デバイス122は、ある流体の流れから他の流体の流れへの水蒸気もしくは蒸気の転換を可能にする任意の材料から構築される水転換膜124を備えている。このような材料は、水素などの他のガスの転換を同時に許容することなく蒸気の転換を選択的に許容する。通常、水転換膜124は、ポリ[テトラフルオロスルホン]酸、硫酸化ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、硫酸化ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、その他の硫酸化材料およびそれらの混合物でできた材料を含む材料でできている。好ましい膜材料は、ポリ[テトラフルオロスルホン]酸からなっている。とりわけ好ましい膜材料は、E.I.DuPont de Nemours社が「NAFION」の商標名で販売している。また、水蒸気転換デバイスについては、それぞれ参照によりその全体が教示ツールとして本明細書に組み込まれている、本発明の譲受人に譲渡された、2001年7月20日出願の「Water Vapor Transfer Device for a Fuel Cell Power Plant」という名称の出願USSN 09/910,331、および2001年7月20日出願の「Water Vapor Transfer Device for Fuel Cell Reformer」という名称の出願USSN 09/910,307に記載されている。
【0029】
水転換膜124は、流れ126から空気の流れ128への水素の顕著な通過(漏れ)を許容することなく、水素と蒸気を含有した流れ126から空気を含有した流れ128への蒸気の転換を選択的に可能にしている。詳細には、水素と蒸気の流れ126は、水蒸気転換デバイス122に流入している。また、空気の流れ128も同じく水蒸気転換デバイス122に流入している。水素と蒸気の一次流126は、水蒸気転換デバイス122の導管123を通って膜124の面を横切って流れる。二次空気流128は、膜124の反対側の面を横切って流れる。流れ126の蒸気は、水蒸気転換材料124を介して空気の流れ128に選択的に転換し、蒸気と空気の流れ129を形成する。一次流126から蒸気が除去されると、水素が流れ127の中に残留する。次に、この水素の流れ127が燃料電池スタックシステム108に供給される。
【0030】
膜セパレータ118の出口131は、CO還元および浄化システム106と流体連絡して、水素の少ない改質油の流れを引き渡している。CO還元および浄化システム106は、水−ガス転換130および/またはPrOx132を備えることができる。水−ガス転換130は、膜システム104と流体連絡して改質油の流れを受け取っている。水−ガス転換130は、水素が形成される平衡反応である。水−ガス転換130からの改質油の流れはPrOx132に流入する。このPrOx132を使用して、水−ガス転換130後に受け取る改質油から一酸化炭素が除去される。PrOx132は、燃料電池スタックシステム108と流体連絡しており、酸素を含有した、燃料電池スタックシステム108のためのスタックグレード流135を生成している。
【0031】
したがって燃料電池スタックシステム108は、CO還元および浄化システム106と流体連絡して、水素を含有したスタックグレード流135を受け取り、かつ、燃料電池スタック134を備えている。CO還元および浄化システム106からの水素改質油の流れ135は、膜システム104から供給される水素の流れ127と共に燃料電池スタック134に流入する。燃料電池スタック134は、空気入口136を有している。燃料電池スタック134は、水素と空気から得られる酸素の制御された反応から電力熱を生成している。
【0032】
本発明についての以上の説明は、単なる例示的なものに過ぎず、したがって、本発明の骨子を逸脱しない変形形態は、すべて本発明の範囲内であるものとする。このような変形形態を本発明の精神および範囲を逸脱するものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態による膜セパレータを使用した燃料処理システムの略図である。
【図2】本発明の原理による膜セパレータの略斜視図である。
【図3】本発明の原理による膜セパレータの略斜視図である。
【図4】本発明の原理による水−ガス転換改質器に統合された膜セパレータを使用した代替燃料処理システムの略図である。
【図5】本発明の原理による一次反応器に統合された膜セパレータを使用した第2の代替燃料処理システムの略図である。
【図6】本発明の原理による膜セパレータを使用した燃料処理システムの詳細略図である。
【図7】図6に示す燃料電池システムに従って使用される水転換デバイスの略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素燃料の流れを水素と他の構成成分からなる改質油の流れに改質するための反応器と、
前記改質油の流れから水素を除去するための、水素に対する透過性が比較的大きく、かつ、前記他の構成成分に対する透過性が比較的小さい膜を備えた膜セパレータと、
前記改質油の流れをさらに改質するためのCO還元および浄化システムとを備えた燃料処理システム。
【請求項2】
前記CO還元および浄化システムが、水−ガス転換およびPrOxを備えた、請求項1に記載の燃料処理システム。
【請求項3】
前記膜セパレータが、前記改質油が前記膜を横切って流れ、それにより前記改質油の流れから前記水素が分離する複数の管を備えた、請求項1に記載の燃料処理システム。
【請求項4】
前記膜セパレータが、水素の選択的な透過を容易にするためのパラジウムもしくはパラジウム合金からなる、請求項1に記載の燃料処理システム。
【請求項5】
前記パラジウムもしくはパラジウム合金が、前記複数の管の各々の表面を画定する層の形態である、請求項4に記載の燃料処理システム。
【請求項6】
前記膜セパレータが、前記改質油が前記膜を横切って流れ、それにより前記改質油の流れから前記水素が分離する複数のプレートを備えた、請求項1に記載の燃料処理システム。
【請求項7】
前記パラジウムもしくはパラジウム合金の形態が、前記複数のプレートの各々の表面を画定する層の形態である、請求項6に記載の燃料処理システム。
【請求項8】
前記層の厚さが10ミクロン未満である、請求項5または7に記載の燃料処理システム。
【請求項9】
前記膜セパレータが前記CO還元および浄化システムに統合された、請求項1に記載の燃料処理システム。
【請求項10】
前記膜セパレータが前記反応器に統合された、請求項1に記載の燃料処理システム。
【請求項11】
前記膜セパレータと連絡した、前記膜セパレータからの水素の移送を容易にするためのパージ流体システムをさらに備えた、請求項1に記載の燃料処理システム。
【請求項12】
前記パージ流体システムが、除去された水素を前記膜セパレータから導くための、水素の分圧が前記改質油より低い流れを備えた、請求項11に記載の燃料処理システム。
【請求項13】
除去された水素から蒸気を分離するための、水に対する透過性が比較的大きく、かつ、水素に対する透過性が比較的小さい膜を備えた水転換デバイスをさらに備えた、請求項12に記載の燃料処理システム。
【請求項14】
前記水転換デバイスが、分離した蒸気を前記水転換デバイスから導くための運動量を提供する空気源をさらに備えた、請求項13に記載の燃料処理システム。
【請求項15】
燃料を改質するための方法であって、
炭化水素燃料を水素と他の構成成分からなる改質油の流れに改質するために、前記炭化水素燃料を反応器に導入するステップと、
前記改質油の流れから水素を除去するために、前記改質油の流れを膜セパレータに沿って通過させるステップと、
さらに改質するために、残りの流れをCO還元および浄化システムに導くステップとを含む方法。
【請求項16】
前記膜セパレータから水素を除去するために、前記膜セパレータの反対側の面を流体でパージするステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記CO還元および浄化システムが、水−ガス転換およびPrOxを備えた、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記他の構成成分が、一酸化炭素(CO)および水(HO)からなり、前記水−ガス転換によって前記改質油の流れの中の前記COとHOが反応し、前記PrOxが前記改質油の流れからあらゆる残留一酸化炭素の少なくとも一部を除去する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
炭化水素燃料の流れを水素を含有した改質油の流れに改質するための反応器と、
前記水素を含有した改質油の流れから水素を除去するための膜セパレータと、
前記改質油の流れをさらに改質するための水−ガス転換と、
前記膜セパレータによって除去された水素を受け取るために前記膜セパレータと流体連絡した燃料電池スタックとを備えた燃料電池システム。
【請求項20】
前記水−ガス転換の下流側にPrOxをさらに備えた、請求項19に記載の燃料電池システム。
【請求項21】
前記膜セパレータが前記水−ガス転換に統合され、それにより、水素が前記転換反応器中に形成されると、相俟って前記水素を除去するためのパラジウムをベースとする膜分離および水−ガス転換触媒が提供される、請求項19に記載の燃料処理システム。
【請求項22】
前記膜セパレータが前記反応器に統合された、請求項19に記載の燃料処理システム。
【請求項23】
前記膜セパレータと連絡した、除去された水素を前記膜セパレータから移送するためのパージ流体をさらに備えた、請求項19に記載の燃料処理システム。
【請求項24】
前記流れが蒸気からなる、請求項12に記載の燃料処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−524553(P2007−524553A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518564(P2005−518564)
【出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/001315
【国際公開番号】WO2004/068613
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505212049)ジーエム・グローバル・テクノロジー・オペレーションズ・インコーポレーテッド (221)
【Fターム(参考)】