説明

膜処理設備

【課題】特別な動力を要することなく、被分離物質の濁質成分を除去するための微細気泡を発生可能な膜処理設備を提供することを課題とする。
【解決手段】原水W0をRO膜処理装置1へ送水する高圧ポンプ2と、RO膜処理装置1で原水W0から分離される濃縮水W2が流れる濃縮水流路11と、濃縮水流路11に備わって濃縮水W2にオゾンガスを混合するオゾン混合器3と、オゾンガスが溶解した濃縮水W2を所定の設定圧力で排出する圧力調整装置4と、圧力調整装置4から排出された濃縮水W2を反応槽5に減圧放出してマイクロバブルを発生するマイクロバブル発生ノズル6と、を備えて構成され、マイクロバブルによって、濃縮水W2に含まれる被分離物質の濁質成分を濃縮水W2から分離する膜処理設備とする。そして、圧力調整装置4では、オゾンガスを濃縮水W2に溶解するとともに、濃縮水流路11を流れる濃縮水W2の圧力を一定に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水の淡水化や下水の再生処理に使用される膜処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
海水の淡水化や下水の再生処理には、例えば非特許文献1に記載される逆浸透膜(RO膜)法がよく知られている。
また、非特許文献2には、海水を淡水化する典型的なフローが示されている。
【0003】
非特許文献2によると、原水である海水は、前処理設備で塩素や凝集剤が添加された後に砂ろ過され、高圧ポンプでRO膜モジュールに送られる。
RO膜モジュールでは、クロスフロー方式で原水(海水)の一部がRO膜を透過して淡水として回収される。
【0004】
一方、RO膜を透過しない海水は、塩分や有機物などの被分離被分解物質が濃縮された濃縮水として排水される。濃縮水は、例えば非特許文献1に示されるように、海洋環境を保全するため排水処理施設を経由して海洋に放出される。
【0005】
また、非特許文献2には、下水を再生処理する典型的なフローも示されている。
例えば、畜産によって生ずる下水(畜産排水)が、生物処理、精密ろ過膜(MF膜)からなる前処理設備を通った後にRO膜を透過する処理水とRO膜を透過しない濃縮水に分離された後、濃縮水は醗酵処理後に堆肥として環境に戻される。
【0006】
例えば、特許文献1によると、RO膜を利用する処理設備においては、海水の淡水化や下水の再生処理に用いられる高圧ポンプの吐出圧力が5.5〜7.0MPaであり、RO膜の圧力損失が最大で0.3MPaであることから、RO膜によって分離される濃縮水は5.2〜6.7MPaの圧力がかかった状態にある。
【0007】
そこで、RO膜で分離される濃縮水の圧力を高圧ポンプの駆動力に利用する方法が非特許文献2に示されている。非特許文献2に示される方法によると、濃縮水の圧力の100%を高圧ポンプの駆動力に利用することは困難であり、濃縮水の圧力の90%が高圧ポンプの駆動力に利用される場合、当該圧力が高圧ポンプの駆動力に利用された後であっても、濃縮水は、0.5〜0.6MPaの残圧を有すると考えられる。
【0008】
ところで、RO膜処理による海水の淡水化や下水の再生処理では、非特許文献1に示すように、外的要因によって生ずる膜の性能低下(ファウリング)防止が課題であり、そのためには、原水の前処理による固形物、コロイド、微生物及び有機物の除去が有効である。
そこで、特許文献2には、原水中の微生物(細菌等)、有機物等を除去するため、海水の淡水化に用いられるRO膜モジュールの前段、または下水の再生処理における前処理のMF膜の前段に、空気、オゾンガスの微細気泡を発生する微細気泡発生装置を配設する技術が開示されている。
この微細気泡発生装置として、散気管と攪拌翼を組み合わせたものや、超音波を用いるものが記載され、直径が100μm以下の微細気泡を発生する。
【0009】
また、特許文献3には、砂ろ過、限外ろ過膜(UF膜)を有する前処理設備において、UF膜に原水を送り込むためのポンプを用いて、UF膜処理用の貯水槽に微細気泡を発生させる技術が開示されている。そして、この微細気泡で、例えば、イソプロピルアルコール等の低分子有機物を原水から蒸発させて除去している。
【0010】
また、特許文献4には、前処理装置として、ろ過装置の後段でRO膜処理装置の前段に、接触槽と微細気泡発生装置を配設する技術が開示されている。特許文献4に示される微細気泡発生装置はエゼクタ型であり、オゾンガスを吹き込んで微細気泡を発生し、原水中の汚濁物質や不溶性凝縮物を凝集させて回収する。この微細気泡発生装置は直径が300μm以下の微細気泡を発生できる。
【0011】
また、特許文献5には、貯水槽の水面上方にホッパを配設して水面の高さを上下に変化させて、水面上に浮遊分離するスカムを貯水槽外に排出する技術が開示されている。
【0012】
微細気泡のうち、直径が50μm前後のものをマイクロバブルと称する。非特許文献3に示されるように、マイクロバブルは、直径の大きな気泡に比べて比表面積が大きく上昇速度が小さいため、液体中における気体の溶解度が高い。
また、非特許文献4に示されるように、マイクロバブルは、気泡の上昇と気泡界面が物質を吸着する特性による浮上分離効果を有する。
そこで、例えば、濃縮水に含まれて濁質成分となる固形浮遊物をRO膜によって濃縮水から分離するとともに、濃縮水から分離した固形浮遊物をマイクロバブルの浮上分離効果で水面に浮上させ、例えば、特許文献5に示されるホッパで除去することが実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−46842号公報
【特許文献2】特開2007−245003号公報
【特許文献3】特開2009−95774号公報
【特許文献4】特開平11−207394号公報
【特許文献5】特開2009−34558号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「膜の劣化とファウリング対策」、株式会社エヌ・ティー・エス、3−7頁、324−335頁、417−421頁、2008年
【非特許文献2】「膜を利用した新しい水処理」、株式会社エヌ・ティー・エス、303−316頁、2000年
【非特許文献3】「水の特性と新しい利用技術」、株式会社エヌ・ティー・エス、142−146頁、2004年
【非特許文献4】「マイクロバブルの世界」、ケイ・ブックス192、株式会社工業調査会、111−121頁、2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、例えば特許文献2に開示される技術では、微細気泡の発生に攪拌翼や超音波発生装置が必要なため、これらを駆動するための動力が必要になることから、RO膜処理設備の運転コストが増大するという問題がある。
【0016】
また、例えば特許文献3に開示される技術では、UF膜処理用のポンプを利用して微細気泡を発生させているが、そのポンプの流量は、UF膜処理に供給する流量に微細気泡発生に同伴する液相流量が加わるため、ポンプの駆動に必要な動力が増大するという問題がある。
【0017】
また、例えば特許文献4に開示される技術では、膜処理の高圧ポンプの水流で微細気泡発生用のエゼクタを駆動しているため、膜処理に要する動力に加えてエゼクタ駆動に要する動力が必要になり、ポンプの駆動に必要な動力が増大するという問題がある。
【0018】
以上のように、特許文献2〜4に開示される微細気泡を発生する技術は、RO膜処理に必要な動力に加えて、微細気泡を発生するための特別な動力が必要になるという問題がある。
【0019】
そこで、本発明は、特別な動力を要することなく、被分離物質の濁質成分を除去するための微細気泡を発生可能な膜処理設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するため本発明は、RO膜処理装置から排出される濃縮水の圧力を利用して微細気泡を発生する膜処理設備とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、特別な動力を要することなく、被分離物質の濁質成分を除去するための微細気泡を発生可能な膜処理設備を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態に係る膜処理設備の構成を示す図である。
【図2】(a)は、背圧弁を備える圧力調整装置の構成を示す図、(b)は、圧力伝送器を備える圧力調整装置の構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る反応槽の構造を示す側面図である。
【図4】濁質除去ホッパによってスカムが反応槽から排出される状態を示す図であり、(a)は、水位が上昇している状態を示す図、(b)は、スカムが濁質除去ホッパに取り込まれる状態を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係る膜処理設備の構成を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係る膜処理設備の構成を示す図である。
【図7】第3の実施形態に係る反応槽の構造を示す側面図である。
【図8】第4の実施形態に係る膜処理設備の構成を示す図である。
【図9】第5の実施形態に係る膜処理設備の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1に示す、第1の実施形態に係る膜処理設備100は、例えば、海水を淡水化する淡水化装置を構成する。
原水W0となる海水は、前処理装置16Aにおいて、塩素や凝集剤が添加されて砂ろ過される前処理が施された後に高圧ポンプ(ポンプ)2の上流に備わる混合器(上流混合器9)を経由して原水流路35を流れ、高圧ポンプ2で5.5〜7.0MPaに加圧されてRO膜処理装置(膜処理装置)1に送水(圧送)される。
RO膜処理装置1に送水された原水W0の一部はRO膜処理装置1に備わるRO膜を透過して被分離物質が除去され、被分離物質を含まない処理水W1が生成される。
この処理水W1は、処理水流路10を介して膜処理設備100から淡水として取り出される。
なお、RO膜処理装置1のRO膜を透過するときに原水W0から除去される被分離物質は、塩分、有機物、微生物、菌類、ホウ素、濁質成分となる固形浮遊物など、原水W0である海水に含まれる物質である。
【0024】
一方、RO膜を透過しない原水W0は、被分離物質を含む濃縮水W2となって、RO膜処理装置1から排出される。
濃縮水W2は、RO膜処理装置1での圧力損失が最大0.3MPa程度であることから、5.2〜6.7MPaの圧力でRO膜処理装置1から排出され、その圧力の一部が高圧ポンプ2の駆動に利用される。そして濃縮水W2は、0.5〜0.3MPaの圧力がかかった状態で濃縮水流路11を流れてガス混合器(オゾン混合器3)に流入し、オゾン発生器7で発生したオゾンガスが混合される。オゾン混合器3は、例えば、濃縮水W2の圧力でオゾンガスを混合するエゼクタ形式のものが好ましい。
【0025】
エゼクタ形式のオゾン混合器3は、例えば、オゾン発生器7に備わる図示しないブロアによる圧力に加えて、濃縮水流路11を流れるときの圧力からエゼクタ絞り部を流れる際に発生する圧力降下でオゾンガスを吸引し、濃縮水W2に混合する構成とすればよい。
この構成によってオゾン混合器3は、濃縮水W2が濃縮水流路11を流れるときの圧力で、オゾンガスを濃縮水W2に混合することができる。又は、ブロアを増設してオゾンガスを加圧して混合することも可能である。
【0026】
そして、オゾン混合器3でオゾンガスが混合された濃縮水W2は圧力がかかった状態で濃縮水流路11を流れて圧力調整装置4に流入する。
圧力調整装置4には、濃縮水W2にオゾンガスを溶解するための溶解水槽4aが備わる。濃縮水W2は溶解水槽4aに流入して、濃縮水流路11を流れるときの圧力で溶解水槽4aの内部圧力が加圧される。
なお、濃縮水W2の圧力の一部を高圧ポンプ2の駆動に利用する方法は、例えば、前記した非特許文献2に示される技術を利用すればよい。
【0027】
圧力調整装置4は、濃縮水W2と混合しているオゾンガスを濃縮水W2に溶解させて、オゾンガスが溶解した濃縮水W2を所定の設定圧力で排出する装置である。
第1の実施形態に係る圧力調整装置4は、溶解水槽4aの内部圧力を、ポンプ等の動力を使用せず、濃縮水W2が濃縮水流路11を流れるときの圧力(残圧)で加圧し、オゾンガスが濃縮水W2に溶解するように構成されている。
さらに圧力調整装置4は、オゾンガスが溶解した濃縮水W2を溶解水槽4aの内部圧力で排出するように構成されている。
【0028】
RO膜処理装置1で0.5〜0.3MPaの残圧がかかった状態で濃縮水流路11からオゾン混合器3を経て溶解水槽4aに流入した濃縮水W2は、混合しているオゾンガスの一部が溶解して、図2の(a)に示すように液相部4Lを形成し、濃縮水W2に溶解せずに残存するオゾンガスが気相部4Gを形成する。
【0029】
また、図2の(a)に示すように、圧力調整装置4の溶解水槽4aには調圧器4bが備わり、溶解水槽4aの内部を所定の内部圧力に維持するように構成される。
調圧器4bには、液相部4Lの水位下降で開弁するエアベント14と気相部4Gの圧力上昇で開弁する背圧弁15が備わっている。
エアベント14は気相部4Gのオゾンガス量が所定量を超えて液相部4Lの水位が所定水位より下降した場合に開弁して気相部4Gのオゾンガスを排出し、液相部4Lの水位を上昇させる。また、背圧弁15は、気相部4Gの圧力が予め設定される所定の内部圧力以上になると開弁して気相部4Gのオゾンガスを排出し、溶解水槽4aの内部を所定の内部圧力に維持する。
このように、調圧器4bは溶解水槽4a内の液相部4Lの水位を所定水位に維持し、溶解水槽4a内を所定の内部圧力に維持する機能を有する。
【0030】
調圧器4bの調圧によってエアベント14又は背圧弁15を介して溶解水槽4aから排出されたオゾンガスは、オゾン流路12を流れ、原水流路35に備わる上流混合器9で原水W0に混合される。そして、オゾンガスの酸化作用によって、原水W0に含まれる有機物を分解除去するとともに原水W0に含まれる微生物(主に細菌)を殺菌する。
【0031】
なお、例えば、図2の(b)に示すように、背圧弁15(図2の(a)参照)の代わりに、圧力伝送器40と、濃縮水流路11に配設されて溶解水槽4aから排出される濃縮水W2の流量を調整する流量調整弁11aと、流量調整弁11aの弁開度を調節するアクチュエータ11bが備わる調圧器4bとしてもよい。
流量調整弁11aは、弁開度によって濃縮水流路11を流れる濃縮水W2の流量を調整可能な弁装置で、アクチュエータ11bによって弁開度が調節される構成とする。
アクチュエータ11bは、圧力伝送器40が計測する溶解水槽4a内部の圧力に応じて流量調整弁11aの弁開度を調節する機能を有し、溶解水槽4a内部の圧力が所定の内部圧力以上の場合は流量調整弁11aの弁開度を大きくする。溶解水槽4aからの濃縮水W2の排出量が増加して溶解水槽4a内部の圧力が低下する。
一方、アクチュエータ11bは、溶解水槽4a内部の圧力が所定の内部圧力未満の場合は流量調整弁11aの弁開度を小さくする。溶解水槽4aからの濃縮水W2の排出量が減少し、濃縮水流路11から流入する濃縮水W2の圧力によって溶解水槽4a内部の圧力が上昇する。アクチュエータ11bは、電動式、油圧式、ガス駆動式などであればよく、その構成は限定されない。
このような構成の調圧器4bであっても、溶解水槽4a内を所定の内部圧力に維持できる。
【0032】
圧力調整装置4の溶解水槽4aでオゾンガスが溶解した濃縮水W2は、溶解水槽4aの内部圧力に等しい水圧がかかった状態で圧力調整装置4から排出され、図1に示す濃縮水流路11を流れてマイクロバブル発生ノズル6に流入する。すなわち、溶解水槽4aの内部圧力を所定の設定圧力として濃縮水W2が圧力調整装置4から排出され、マイクロバブル発生ノズル6には、溶解水槽4aの内部圧力に等しい水圧(所定の設定圧力)で濃縮水W2が流入する。
【0033】
マイクロバブル発生ノズル6は、所定の設定圧力に加圧された状態の濃縮水W2を反応槽5Aに減圧放出するノズルであり、第1の実施形態においては、オゾンガスが溶解して所定の設定圧力に加圧されている濃縮水W2を、反応槽5Aの雰囲気圧力まで減圧してオゾンマイクロバブルを発生する。
【0034】
本願発明者らの実験によると、溶解水槽4aの内部圧力が0.15MPa未満になるとオゾンガスが濃縮水W2に充分に溶解しないことが確認された。
したがって、溶解水槽4aは、充分な量のオゾンガスを濃縮水W2に溶解するため、内部圧力が0.15MPa以上に維持されることが好適である。
また、溶解水槽4aでオゾンガスが溶解した濃縮水W2を図1に示す反応槽5Aに送水する(圧送する)ため、溶解水槽4aの内部圧力を、濃縮水W2が濃縮水流路11を流れるときの圧力以下で、且つ、反応槽5Aの雰囲気圧力以上に維持することが好適である。
溶解水槽4aの内部圧力、すなわち、濃縮水W2が圧力調整装置4から排出されるときの所定の設定圧力は、マイクロバブル発生ノズル6での減圧発泡量を増加するため、濃縮水流路11を流れる濃縮水W2の圧力以下で反応槽5Aの雰囲気圧力以上、且つ、0.15MPa以上であることが好適である。
【0035】
オゾンマイクロバブルは、直径が約50μm前後の微細気泡で、比表面積が大きく上昇速度が小さいため液体中における気体の溶解度が高い。また、気泡界面が物質を吸着する特性と気泡が上昇する特性によって浮上分離効果を有する。
そこで、反応槽5Aでは、オゾンマイクロバブルの浮上分離効果を利用して濃縮水W2に含まれる被分離物質の濁質成分(固形浮遊物)をオゾンマイクロバブルに吸着させて浮上させ、濃縮水W2と濁質成分を分離(浮上分離)する。
【0036】
図3に側面視で内部構造を示すように、反応槽5Aは、マイクロバブル発生ノズル6が接続される流入口5aと排水流路13が接続される排出口5bが対向する面に形成される箱状部材である。
【0037】
反応槽5Aの内部は、例えば、流入口5aの側から排出口5bの側に向かって、3枚の仕切板17a,17b,17cで4つの領域(流入口5aの側から第1領域51、第2領域52、第3領域53、第4領域54)に区分されている。
【0038】
最も流入口5a側の仕切板17aは、流入口5aの側に第1領域51を形成するとともに第1領域51と隣接する第2領域52を区分する。仕切板17aの上部と下部は開放され、第1領域51と第2領域52が上部と下部で連通している。
最も排出口5b側の仕切板17cは、排出口5bの側に第4領域54を形成するとともに第4領域54と隣接する第3領域53を区分する。仕切板17cの上部と下部は開放され、第3領域53と第4領域54が上部と下部で連通している。
また、仕切板17aと仕切板17cの間に配設される仕切板17bは、第2領域52と第3領域53を区分する。仕切板17bは上部のみが開放されて、第2領域52と第3領域53が上部で連通している。
【0039】
排出口5bは第4領域54に開口して排水流路13が接続される。
排水流路13は、第4領域54の濃縮水W2が排水W3として流れる流路であって、排水W3の流れを止めるための排水流路弁20が備わる。排水流路弁20は、制御装置23によって開閉が制御される。
【0040】
仕切板17a及び仕切板17cの上端部は同じ高さで、且つ、仕切板17bの上端部より高い位置にあり、排出口5bは、仕切板17a及び仕切板17cの上端部と仕切板17bの上端部の間の高さに形成されている。
排出口5bが形成される高さを第1水位WL1、仕切板17a及び仕切板17cの上端部の高さを第2水位WL2とする。第2水位WL2は第1水位WL1より高い水位となる。
【0041】
また、第2領域52と第3領域53の上方には、濁質除去ホッパ21が備わっている。濁質除去ホッパ21は、例えば、上方が水面に平行に広がって開口部21aが開口している漏斗状を呈する。濁質除去ホッパ21は下方も開口し、下方の開口部には、制御装置23によって開閉が制御される排出弁19を備える排出管18が接続されている。
そして、濁質除去ホッパ21の上方の開口部21aの高さは、第1水位WL1と第2水位WL2の間に設定される。
【0042】
オゾンガスが溶解した濃縮水W2は、マイクロバブル発生ノズル6から反応槽5Aの第1領域51に放出されるとオゾンマイクロバブルを発生するとともに第1領域51から第4領域54に向かって迂流する。
そして、スカム32を第2領域52及び第3領域53の水面に浮上させた後のオゾンマイクロバブルは、反応槽5Aの上方にオゾンガス層Gを形成して排オゾンガスとして溜まる。反応槽5Aには図示しない排オゾン処理装置が備わり、オゾンガス層Gの排オゾンガスが排オゾン処理装置を介して大気に放出され、オゾンガス層Gの圧力はほぼ大気圧に維持される。ここでは、反応槽5Aにおけるオゾンガス層Gの圧力を反応槽5Aの雰囲気圧力と称する。
そして、第1の実施形態において、反応槽5Aの雰囲気圧力は、ほぼ大気圧になる。
【0043】
排水流路弁20が開弁した状態の場合、反応槽5A内の水位は、第1水位WL1の高さまで上昇するが、被分離物質の濁質成分が分離した後の濃縮水W2は、第4領域54の排出口5bから排水W3として排水流路13を流れて排水されるため、図3に示すように、反応槽5A内の水位は第1水位WL1より高く上昇しない。
そして、流入口5aから流入する濃縮水W2からオゾンマイクロバブルの浮上分離効果によって分離する濁質成分が、主に第2領域52及び第3領域53の水面にスカム32として堆積する。
【0044】
例えば、制御装置23は、所定の時間間隔で排水流路弁20を閉弁するとともに排出弁19を開弁する。
第4領域54の濃縮水W2は、排水流路13の流れが止められて排水されず、図4の(a)に示すように、反応槽5A内の水位が第1水位WL1以上に上昇する。
そして、図4の(b)に示すように、反応槽5A内の水位が濁質除去ホッパ21の開口部21aの高さに達すると、第2領域52及び第3領域53の水面に堆積されたスカム32は濁質除去ホッパ21に流れ込み、排出管18を流れて反応槽5Aから排出される。
【0045】
なお、制御装置23が排水流路弁20を閉弁して排出弁19を開弁する時間間隔は、例えば、スカム32の堆積速度等に基づいて適宜設定し、スカム32の堆積量が濁質除去ホッパ21の処理能力(スカム32の排出能力)を超えない状態で、制御装置23が排水流路弁20を閉弁して排出弁19を開弁するように構成すればよい。
【0046】
そして、制御装置23は、排水流路弁20の閉弁と排出弁19の開弁を所定の設定時間に亘って維持した後、排水流路弁20を開弁するとともに排出弁19を閉弁する。
図3に示すように、第4領域54の濃縮水W2は排水流路13を流れて排水W3として排水され、反応槽5A内の水位が第1水位WL1の高さに維持される。
制御装置23が排水流路弁20の閉弁と排出弁19の開弁を維持する時間は、濁質除去ホッパ21の処理能力等に基づいて適宜設定すればよい。
【0047】
なお、制御装置23が所定の設定時間ごとに排水流路弁20を閉弁し、排出弁19を開弁する構成のほか、例えば、図示しないスカム検知装置を備え、スカム検知装置が検知するスカム32の堆積量に基づいて、制御装置23が排水流路弁20を閉弁し、排出弁19を開弁する構成としてもよい。
図示しないスカム検知装置は、例えば、前記した特許文献5に記載されるものを利用できる。
【0048】
以上のように、図1に示す膜処理設備100は、原水W0となる海水に含まれる被分離物質をRO膜処理装置1及び反応槽5Aで除去することができる。
本実施形態によれば、オゾンマイクロバブルの酸化力で濃縮水W2に含まれる有機物を分解することができ、さらに、オゾンマイクロバブルの浮上分離効果で被分離物質の濁質成分を除去できるので、海水の淡水化にともなって排出される排水W3の水質を向上でき、環境への負荷を軽減できる。
【0049】
また、RO膜処理装置1に流入する前の原水(海水)W0にオゾンガスを混合し、原水W0に含まれる有機物を分解することができるとともに細菌を殺菌できる。
したがって、RO膜処理装置1に備わるRO膜のファウリング(汚染)を防止でき、膜処理設備100の運転コストを低減できるという優れた効果を奏する。
また、特別の動力を用いることなく、RO膜処理装置1(図1参照)から排出された濃縮水W2が濃縮水流路11(図1参照)を流れるときの圧力(残圧)を利用して微細気泡(オゾンマイクロバブル)を発生できるので、エネルギ消費の少ない高い経済性で膜処理設備100(図1参照)を運転できるという優れた効果を奏する。
【0050】
《第2の実施形態》
図5を参照して、第2の実施形態について説明する。なお、図5においては、図1に示す膜処理設備100と同じ構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
図5に示すように、第2の実施形態に係る膜処理設備101は、原水流路35に上流混合器9(図1参照)が配設されず、前処理装置16Aで前処理された原水W0は高圧ポンプ2で5.5〜7.0MPaに加圧された後にRO膜処理装置1に圧送される。
そして、RO膜処理装置1に圧送された原水W0の一部はRO膜を透過して被分離物質が除去され、被分離物質を含まない処理水W1が生成される。
この処理水W1は処理水流路10を介して膜処理設備101から排出される。
なお、第2の実施形態に係る膜処理設備101は、例えば海水の淡水化装置を構成し、原水W0は海水とする。
【0051】
一方、RO膜を透過しない原水W0は、被分離物質を含む濃縮水W2となってRO膜処理装置1から排出される。
RO膜処理装置1での圧力損失は最大0.3MPa程度であることから、濃縮水W2は5.2〜6.7MPaの圧力でRO膜処理装置1から排出され、その圧力の一部が高圧ポンプ2の駆動に利用される。その後、濃縮水W2は、0.5〜0.3MPaの圧力がかかった状態で濃縮水流路11を流れてオゾン混合器3に流入し、オゾン発生器7で発生したオゾンガスが混合された後に圧力調整装置4に流入して溶解水槽4aの内部圧力を加圧する。
【0052】
そして、圧力調整装置4に流入した濃縮水W2には、調圧器4bによって内部圧力が所定の設定圧力(濃縮水流路11を流れる濃縮水W2の圧力以下で反応槽5Bの雰囲気圧力以上、且つ、0.15MPa以上)に調整される溶解水槽4aでオゾンガスが溶解する。
このように、第2の実施形態に係る膜処理設備101に備わる圧力調整装置4の溶解水槽4aも第1の実施形態と同様に、濃縮水W2がRO膜処理装置1から排出されるときの圧力(残圧)で加圧され、濃縮水W2にオゾンガスが溶解するように構成される。
また、第2の実施形態に係る反応槽5Bの雰囲気圧力は、第1の実施形態に係る反応槽5A(図1参照)の雰囲気圧力と同様に定義され、ほぼ大気圧になる。
【0053】
圧力調整装置4の溶解水槽4aでオゾンガスが溶解した濃縮水W2は、マイクロバブル発生ノズル6で反応槽5Bに減圧放出されてオゾンマイクロバブルが発生し、オゾンマイクロバブルの浮上分離効果によって、濃縮水W2に含まれる被分離物質の濁質成分がスカム32として浮上分離した後、排水W3として排水流路13を流れて排水される。
一方、浮上分離して水面に堆積するスカム32は、反応槽5Bに備わる濁質除去ホッパ21によって反応槽5Bから排出される。
スカム32を濁質除去ホッパ21によって反応槽5Bから排出する方法は、第1の実施形態に係る反応槽5A(図3参照)からスカム32を排出する方法と同じ方法とすればよい。
【0054】
第2の実施形態に係る膜処理設備101に備わる反応槽5Bは、図3に示す反応槽5Aとほぼ同じ構成であり、図5に示すように、溶解水槽4aの調圧器4bがオゾン流路12を介して接続される点が異なっている。
【0055】
第2の実施形態に係る膜処理設備101において、溶解水槽4aに配設される調圧器4bの圧力調整によってエアベント14(図2の(a)参照)又は背圧弁15(図2の(a)参照)から排出されるオゾンガスは、オゾン流路12を流れて反応槽5Bの内部に注入される。
この構成によって、反応槽5Bの溶存オゾン濃度が増加して反応槽5Bにおける濃縮水W2の酸化がさらに促進される。反応槽5B内の濃縮水W2に残存する有機物はさらに分解されるとともに濃縮水W2内に残存する細菌はさらに殺菌され、排水流路13からの排水W3の水質がさらに向上する。
【0056】
第2の実施形態に係る膜処理設備101(図5参照)では、オゾンマイクロバブルの酸化力によって濃縮水W2に含まれる被分離物質の有機物を分解できるとともに、オゾンマイクロバブルの浮上分離効果によって濃縮水W2に含まれる被分離物質の濁質成分を除去できるので、海水の淡水化にともなって排出される濃縮水W2の水質を向上することができ、環境への負荷を軽減できる。また、溶解水槽4aから排出されて反応槽5Bに注入されるオゾンガスで、反応槽5B内の濃縮水W2を酸化処理できるので、排水W3として排出される濃縮水W2の水質をさらに向上できるという優れた効果を奏する。
また、特別の動力を用いることなく、RO膜処理装置1(図5参照)から排出された濃縮水W2が濃縮水流路11(図5参照)を流れるときの圧力(残圧)を利用して微細気泡(オゾンマイクロバブル)を発生できるので、エネルギ消費の少ない高い経済性で膜処理設備101を運転できるという優れた効果を奏する。
【0057】
《第3の実施形態》
図6を参照して、第3の実施形態について説明する。なお、図6においては、図1に示す膜処理設備100と同じ構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
図6に示す、第3の実施形態に係る膜処理設備102は、例えば下水再生処理装置を構成し、原水W0は下水(下水処理水)、又は工場廃液等を含んだ産業廃水である。
【0058】
図6に示すように、第3の実施形態に係る膜処理設備102には、最初沈殿池25、生物反応槽嫌気槽26、生物反応槽好気槽27及び最終沈殿池28を含んで構成される前処理装置16Bが備わっている。
生物反応槽嫌気槽26、生物反応槽好気槽27は、原水W0に含まれる有機物を生物分解する機能を有し、生物反応槽を構成する。
【0059】
原水W0は、最初沈殿池25を低流速で流れながら浮遊する固形物を沈殿させた後、生物反応槽に流れ込み、含まれる有機物が生物分解される。
【0060】
さらに、原水W0は最終沈殿池28に流れ込み、生物反応槽で生物分解に使用した細菌を含んだ汚泥(活性汚泥)を沈殿させて取り除く。
このため、最終沈殿池28の底部には活性汚泥が沈殿する。この活性汚泥は生物分解に利用できる細菌を含んでいることから、その一部を返送汚泥として生物反応槽嫌気槽26に戻して生物分解に再利用し、残った汚泥が余剰汚泥として最終沈殿池28に堆積する。
【0061】
このように、前処理装置16Bで前処理されて有機物が生物分解された後の原水W0は、高圧ポンプ2の上流に備わる上流混合器9を経由して原水流路35を流れ、高圧ポンプ2で5.5〜7.0MPaに加圧された後にRO膜処理装置1に圧送される。
そして、RO膜処理装置1に圧送された原水W0の一部はRO膜を透過して被分離物質が除去され、被分離物質を含まない処理水W1が生成される。
この処理水W1は処理水流路10を介して膜処理設備102から排出される。
なお、RO膜処理装置1のRO膜を透過するときに原水W0から除去される被分離物質は、有機物、微生物、菌類、化学物質、濁質成分となる固形浮遊物など、原水W0である下水や産業廃水に含まれる物質である。
【0062】
一方、RO膜を透過しない原水W0は、被分離物質を含む濃縮水W2となってRO膜処理装置1から排出される。
【0063】
第3の実施形態に係る膜処理設備102に備わる圧力調整装置4の溶解水槽4aも第1の実施形態と同様に濃縮水W2がRO膜処理装置1から排出されて濃縮水流路11を流れるときの圧力(残圧)で加圧され、濃縮水W2にオゾンガスが溶解するように構成される。
【0064】
また、調圧器4bの調圧によって溶解水槽4aから排出されたオゾンガスは、第1の実施形態と同様、原水流路35に備わる上流混合器9で原水W0に混合される。そして、オゾンガスの酸化作用によって、原水W0に含まれる有機物を分解除去するとともに原水W0に含まれる細菌を殺菌する。
【0065】
圧力調整装置4の溶解水槽4aでオゾンガスが溶解した濃縮水W2は、マイクロバブル発生ノズル6で反応槽5Cに減圧放出されてオゾンマイクロバブルが発生し、オゾンマイクロバブルの浮上分離効果によって、濃縮水W2に含まれる被分離物質の濁質成分が浮上分離する。
【0066】
図7に側面視で内部構造を示すように、第3の実施形態に係る膜処理設備102(図6参照)に備わる反応槽5Cは、第1の実施形態に係る反応槽5A(図3参照)とほぼ同じ構成であり、第1領域51に余剰汚泥流路31が接続される点、及び、排水流路13(図3参照)の代わりに返流水流路29が排出口5bに接続される点が異なっている。
余剰汚泥流路31は、最終沈殿池28と反応槽5Cの第1領域51を接続する管路で、最終沈殿池28に蓄積している余剰汚泥が原水W0の一部からなる同伴水W4に含まれて余剰汚泥流路31を流れ、第1領域51に流入する。
【0067】
最終沈殿池28から余剰汚泥流路31を流れて反応槽5Cの第1領域51に流入する余剰汚泥の成分である有機物は、マイクロバブル発生ノズル6からの減圧放出によって発生するオゾンマイクロバブルの酸化作用で分解され、余剰汚泥に含まれる細菌は、オゾンマイクロバブルの酸化作用で殺菌される。したがって、最終沈殿池28に蓄積する余剰汚泥を反応槽5Cで分解して減らすことができる。
また、余剰汚泥の同伴水W4と濃縮水W2に含まれる被分離物質の濁質成分及び分解されない余剰汚泥は、オゾンマイクロバブルの浮上分離効果によって、主に第2領域52及び第3領域53の水面にスカム32として堆積する。
【0068】
被分離物質の濁質成分が分離した後の濃縮水W2及び、被分離物質の濁質成分と余剰汚泥が分離した後の同伴水W4は、返流水W5として、第4領域54から返流水流路29に排出される。
図6に示すように、返流水流路29は前処理装置16Bの最初沈殿池25に接続され、反応槽5Cから排出された返流水W5は返流水流路29を流れて最初沈殿池25に流入(返流)する。
【0069】
また、図7に示すように、反応槽5Cには制御装置23が備わり、濁質除去ホッパ21に接続される排出管18に備わる排出弁19、及び返流水流路29に備わる返流流路弁30を開閉する。
【0070】
返流流路弁30が閉弁すると、第4領域54から返流水W5が排出されず、反応槽5C内の水位が第1水位WL1以上に上昇する。そして、反応槽5C内の水位が濁質除去ホッパ21の開口部21aの高さに達すると、第2領域52及び第3領域53の水面に堆積しているスカム32が、濁質除去ホッパ21に流れ込み、排出管18を流れて反応槽5Cから排出される。
【0071】
そこで、制御装置23は、所定の時間間隔で返流流路弁30を閉弁するとともに排出弁19を開弁し、堆積するスカム32を濁質除去ホッパ21によって反応槽5Cから排出する。
なお、制御装置23が返流流路弁30を閉弁して排出弁19を開弁する時間間隔は、例えば、スカム32の堆積速度等に基づいて適宜設定し、スカム32の堆積量が濁質除去ホッパ21の処理能力(スカム32の排出能力)を超えない状態で、制御装置23が返流流路弁30を閉弁して排出弁19を開弁するように構成すればよい。
【0072】
そして、制御装置23は、返流流路弁30の閉弁と排出弁19の開弁を所定の設定時間に亘って維持した後、返流流路弁30を開弁するとともに排出弁19を閉弁する。
第4領域54の濃縮水W2は返流水W5として返流水流路29を流れて排出され、反応槽5C内の水位が第1水位WL1の高さに維持される。
【0073】
制御装置23が返流流路弁30の閉弁と排出弁19の開弁を維持する所定時間は、濁質除去ホッパ21の処理能力等に基づいて適宜設定すればよい。
このように、第3の実施形態に係る反応槽5Cは、制御装置23が返流流路弁30及び排出弁19を開閉して堆積するスカム32を排出する。
【0074】
第3の実施形態に係る膜処理設備102(図6参照)は、反応槽5C(図6参照)で被分離物質の濁質成分が除去されて浄化された返流水W5を最初沈殿池25(図6参照)に返流する構成であり、最終沈殿池28から反応槽5Cに流入する余剰汚泥の同伴水W4を原水W0とともにRO膜処理に利用できる。
【0075】
なお、反応槽5Cで有機物や濁質成分が除去されて浄化された返流水W5を最初沈殿池25に返流せず、膜処理設備102の系外、すなわち、外部環境に排水として排出する構成であってもよい。
【0076】
第3の実施形態に係る膜処理設備102(図6参照)によると、オゾンマイクロバブルの酸化力によって最終沈殿池28(図6参照)に蓄積する余剰汚泥を分解できるので余剰汚泥を減量することができる。
また、オゾンマイクロバブルの浮上分離効果によって濃縮水W2に含まれる被分離物質の濁質成分を除去できる。したがって、環境への負荷を軽減できるという優れた効果を奏する。
また、上流混合器9(図6参照)で原水W0にオゾンガスを混合することで、原水W0に含まれる有機物を分解し、且つ、細菌を殺菌できる。したがって、RO膜のファウリングを防止でき、膜処理設備102の運転コストを軽減できるという優れた効果を奏する。
また、特別の動力を用いることなく、RO膜処理装置1(図6参照)から排出された濃縮水W2の圧力(残圧)を利用して微細気泡(オゾンマイクロバブル)を発生できるので、エネルギ消費の少ない高い経済性で膜処理設備102を運転できるという優れた効果を奏する。
【0077】
《第4の実施形態》
図8を参照して、第4の実施形態に係る膜処理設備103を説明する。なお、図8においては、図6に示す膜処理設備102と同じ構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
図8に示す、第4の実施形態に係る膜処理設備103は、例えば下水再生処理装置を構成し、原水W0は下水(下水処理水)又は工場廃液等を含んだ産業廃水である。
【0078】
図8に示すように、第4の実施形態に係る膜処理設備103には、最初沈殿池25、膜分離活性汚泥法によって原水W0を生物処理する活性汚泥処理槽34を含んで膜分離活性汚泥処理装置を構成する前処理装置16Cが備わっている。
さらに、活性汚泥処理槽34には固液分離膜33が備わっている。
【0079】
原水W0は、最初沈殿池25を低流速で流れながら浮遊する固形物を沈殿させ、その後、活性汚泥処理槽34に流れ込んで膜分離活性汚泥法によって、有機物等が生物分解処理される。そして、固液分離膜33を通過した原水W0は、高圧ポンプ2の上流に備わる上流混合器9を経由して原水流路35を流れ、高圧ポンプ2で5.5〜7.0MPaに加圧された後にRO膜処理装置1に圧送される。
そして、RO膜処理装置1に圧送された原水W0の一部はRO膜を透過して被分離物質が除去され、被分離物質を含まない処理水W1が生成される。
【0080】
一方、RO膜を透過しない原水W0は、被分離物質を含む濃縮水W2となってRO膜処理装置1から排出される。
【0081】
そして、オゾン混合器3でオゾンガスを混合し圧力調整装置4に流入した濃縮水W2には、調圧器4bによって内部圧力が所定の設定圧力(濃縮水流路11を流れる濃縮水W2の圧力以下で反応槽5Cの雰囲気圧力以上、且つ、0.15MPa以上)に調整される溶解水槽4aでオゾンガスが溶解する。
このように、第4の実施形態に係る膜処理設備103に備わる圧力調整装置4の溶解水槽4aも第1の実施形態と同様に濃縮水W2がRO膜処理装置1から排出されるときの圧力(残圧)で加圧され、濃縮水W2にオゾンガスが溶解するように構成される。
【0082】
また、調圧器4bの調圧によって溶解水槽4aから排出されたオゾンガスは、第1の実施形態と同様、原水流路35に備わる上流混合器9で原水W0に混合される。そして、オゾンガスの酸化作用によって、原水W0に含まれる有機物を分解除去するとともに原水W0に含まれる細菌を殺菌する。
【0083】
圧力調整装置4の溶解水槽4aでオゾンガスが溶解した濃縮水W2は、マイクロバブル発生ノズル6で反応槽5Cに減圧放出されてオゾンマイクロバブルが発生する。
第4の実施形態に係る膜処理設備103に備わる反応槽5Cは、図7に示すように構成され、オゾンマイクロバブルの浮上分離効果によって濃縮水W2から分離して水面にスカム32として堆積する被分離物質の濁質成分は、濁質除去ホッパ21によって反応槽5Cから排出される。
なお、スカム32を濁質除去ホッパ21によって反応槽5Cから排出する方法は、第3の実施形態に係る反応槽5Cからスカム32を排出する方法と同じ方法とすればよい。
そして、濁質成分が除去された濃縮水W2は、返流水W5として返流水流路29を流れ、前処理装置16Cの最初沈殿池25に流入(返流)する。
【0084】
一方、図8に示す活性汚泥処理槽34の固液分離膜33で原水W0から分離された固形物は、汚泥となって活性汚泥処理槽34に堆積する。この汚泥の一部は、活性汚泥として原水W0の生物処理に用いられるが、生物処理に用いられない汚泥は余剰汚泥となって、原水W0の一部からなる同伴水W4に含まれて余剰汚泥流路31を流れ、反応槽5Cの第1領域51(図7参照)に流入する。
【0085】
反応槽5Cに流入した余剰汚泥の成分である有機物は、マイクロバブル発生ノズル6からの減圧放出によって発生するオゾンマイクロバブルの酸化作用で分解され、余剰汚泥に含まれる細菌は、オゾンマイクロバブルの酸化作用で殺菌される。したがって、活性汚泥処理槽34に蓄積する余剰汚泥を反応槽5Cで分解して減量できる。
また、同伴水W4に含まれる被分離物質の濁質成分や分解されない余剰汚泥は、オゾンマイクロバブルの浮上分離作用によって同伴水W4と分離し、主に第2領域52(図7参照)及び第3領域53(図7参照)の水面にスカム32として堆積する。そして、スカム32は、濁質除去ホッパ21によって反応槽5Cから排出される。
【0086】
このように、オゾンマイクロバブルの酸化力で酸化処理され、さらに、余剰汚泥及び被分離物質の濁質成分が分離した同伴水W4は、濃縮水W2とともに返流水W5となって返流水流路29を流れて最初沈殿池25に流入(返流)する。
【0087】
第4の実施形態に係る膜処理設備103は、活性汚泥処理槽34から反応槽5Cに取り込まれる余剰汚泥の同伴水W4を原水W0とともにRO膜処理に利用できる。
【0088】
なお、第3の実施形態に係る膜処理設備102(図6参照)と同様、反応槽5Cで有機物や濁質成分が除去されて浄化された返流水W5を最初沈殿池25に返流せず、膜処理設備103の系外、すなわち、外部環境に排水として排出する構成であってもよい。
【0089】
図8に示す、第4の実施形態に係る膜処理設備103によると、オゾンマイクロバブルの酸化力によって活性汚泥処理槽34に蓄積される余剰汚泥を分解できるので余剰汚泥を減量することができる。
また、オゾンマイクロバブルの浮上分離効果によって濃縮水W2に含まれる被分離物質の濁質成分を除去できる。したがって、環境への負荷を軽減できるという優れた効果を奏する。
また、上流混合器9で原水W0にオゾンガスを混合することで、原水W0に含まれる有機物を分解し、細菌を殺菌できるので、RO膜のファウリングを防止できる。これにより、膜処理設備103の運転コストを軽減できるという優れた効果を奏する。
また、特別の動力を用いることなく、RO膜処理装置1(図8参照)から排出された濃縮水W2の圧力(残圧)を利用して微細気泡(オゾンマイクロバブル)を発生できるので、エネルギ消費の少ない高い経済性で膜処理設備103を運転できるという優れた効果を奏する。
【0090】
《第5の実施形態》
図9を参照して、第5の実施形態に係る膜処理設備104を説明する。なお、図9においては、図6に示す膜処理設備102と同じ構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
図9に示すように、第5の実施形態に係る膜処理設備104は、例えば海水を淡水化する淡水化装置、下水又は工場廃液等を含んだ産業廃水を処理する下水再生処理装置を構成する。そして、海水の淡水化装置を構成する場合、原水W0は海水になり、下水再生処理装置を構成する場合、原水W0は下水(下水処理水)又は産業廃水になる。
【0091】
図9に示すように、第5の実施形態に係る膜処理設備104には、貯水槽39、砂ろ過装置36、ろ過ポンプ38を含んで構成される前処理装置16Dが備わっている。
原水W0は、貯水槽39に一時貯水され、浮遊する固形物が沈殿除去される。そして、ろ過ポンプ38によって砂ろ過装置36に送水(圧送)される。
【0092】
砂ろ過装置36に送水された原水W0は、砂ろ過されて固形物等が除去された後、高圧ポンプ2の上流に備わる上流混合器9を経由して原水流路35を流れ、高圧ポンプ2で5.5〜7.0MPaに加圧された後にRO膜処理装置1に圧送される。
そして、RO膜処理装置1に圧送された原水W0の一部はRO膜を透過して被分離物質が除去され、被分離物質を含まない処理水W1が生成される。
この処理水W1は処理水流路10を介して膜処理設備104から排出される。
【0093】
一方、RO膜を透過しない原水W0は、被分離物質を含む濃縮水W2となってRO膜処理装置1から排出される。
【0094】
そして、圧力調整装置4に流入した濃縮水W2には、調圧器4bによって内部圧力が所定の設定圧力(濃縮水流路11を流れる濃縮水W2の圧力以下で反応槽5Dの雰囲気圧力以上、且つ、0.15MPa以上)に調整される溶解水槽4aでオゾンガスが溶解する。
このように、第5の実施形態に係る膜処理設備104に備わる圧力調整装置4の溶解水槽4aも第1の実施形態と同様に濃縮水W2がRO膜処理装置1から排出されるときの圧力(残圧)で加圧され、濃縮水W2にオゾンガスが溶解するように構成される。
【0095】
また、調圧器4bの調圧によって溶解水槽4aから排出されたオゾンガスは、第1の実施形態と同様、原水流路35に備わる上流混合器9で原水W0に混合される。そして、オゾンガスの酸化作用によって、原水W0に含まれる有機物を分解除去するとともに原水W0に含まれる細菌を殺菌する。
【0096】
圧力調整装置4の溶解水槽4aでオゾンガスが溶解した濃縮水W2は、マイクロバブル発生ノズル6で反応槽5Dに減圧放出されてオゾンマイクロバブルが発生する。
第5の実施形態に係る膜処理設備104に備わる反応槽5Dは、図7に示す反応槽5Cとほぼ同じ構成であるが、余剰汚泥流路31の替わりに洗浄排水流路(逆洗流路37)が接続され、第1領域51と砂ろ過装置36(図9参照)が逆洗流路37で接続される。
【0097】
砂ろ過装置36内には、原水W0を砂ろ過したときに原水W0から分離する被分離物質の濁質成分が蓄積することから、蓄積する濁質成分を除去してろ過機能を維持するために、図示しない逆洗ポンプで原水W0の流れを反転して砂ろ過装置36を洗浄(逆洗)する。逆洗流路37は、砂ろ過装置36を逆洗した後の洗浄排水(逆洗排水W6)を反応槽5Dの第1領域51(図7参照)に送水するための流路であり、この構成によって砂ろ過装置36の逆洗で生じる逆洗排水W6を反応槽5Dに導入できる。
この逆洗排水W6には、砂ろ過装置36で原水W0から除去されて蓄積されている有機物や被分離物質が含まれている。
【0098】
反応槽5Dに流入した逆洗排水W6に含まれる有機物は、マイクロバブル発生ノズル6からの減圧放出によって発生するオゾンマイクロバブルの酸化作用によって分解される。また、濃縮水W2及び逆洗排水W6に含まれる被分離物質の濁質成分は、オゾンマイクロバブルの浮上分離効果によって浮上分離して水面にスカム32として堆積し、濁質除去ホッパ21によって反応槽5Dから排出される。
このように、オゾンマイクロバブルの酸化力で酸化処理され、さらに、被分離物質の濁質成分が分離されて浄化された濃縮水W2及び逆洗排水W6は、返流水W5となって返流水流路29を流れ、前処理装置16Dの貯水槽39に流入(返流)する。
なお、スカム32を濁質除去ホッパ21によって反応槽5Dから排出する方法は、第3の実施形態に係る反応槽5C(図7参照)からスカム32を排出する方法と同じ方法とすればよい。
【0099】
第5の実施形態に係る膜処理設備104は、砂ろ過装置36を逆洗するときの逆洗排水W6を原水W0とともにRO膜処理に利用できる。
【0100】
なお、第4の実施形態に係る膜処理設備103(図8参照)と同様、反応槽5Dで浄化された返流水W5を貯水槽39に返流せず、膜処理設備104の系外、すなわち、外部環境に排水として放出する構成であってもよい。
【0101】
第5の実施形態に係る膜処理設備104(図9参照)によると、オゾンマイクロバブルの酸化力によって逆洗排水W6及び濃縮水W2に含まれる有機物を分解し、オゾンマイクロバブルの浮上分離効果によって被分離物質の濁質成分を除去できる。
また、オゾンマイクロバブルの浮上分離効果によって濃縮水W2に含まれる被分離物質の濁質成分を除去できる。したがって、環境への負荷を軽減できるという優れた効果を奏する。また、上流混合器9(図9参照)で原水W0にオゾンガスを混合することで、原水W0に含まれる有機物を分解し、且つ、細菌を殺菌することができ、RO膜のファウリングを防止できる。これにより、膜処理設備104の運転コストを軽減できるという優れた効果を奏する。
また、特別の動力を用いることなく、RO膜処理装置1(図9参照)から排出された濃縮水W2が濃縮水流路11(図9参照)を流れるときの圧力(残圧)を利用して微細気泡(オゾンマイクロバブル)を発生できるので、エネルギ消費の少ない高い経済性で膜処理設備104を運転できるという優れた効果を奏する。
【符号の説明】
【0102】
1 RO膜処理装置(膜処理装置)
2 高圧ポンプ(ポンプ)
3 オゾン混合器(ガス混合器)
4 圧力調整装置
4a 溶解水槽
4b 調圧器
5A〜5D 反応槽
6 マイクロバブル発生ノズル
7 オゾン発生器
9 上流混合器
11 濃縮水流路
11a 流量調整弁
11b アクチュエータ
16A〜16D 前処理装置
25 最初沈殿池
26 生物反応槽嫌気槽(生物反応槽)
27 生物反応槽好気槽(生物反応槽)
28 最終沈殿池
29 返流水流路
31 余剰汚泥流路
33 固液分離膜
34 活性汚泥処理槽
37 逆洗流路(洗浄排水流路)
100〜104 膜処理設備
W0 原水
W1 処理水
W2 濃縮水
W3 排水
W4 同伴水
W5 返流水
W6 逆洗排水(洗浄排水)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を加圧して膜処理装置へ送水するポンプと、
前記膜処理装置で前記原水から除去される被分離物質を含む濃縮水が流れる濃縮水流路と、
前記濃縮水流路に備わって前記濃縮水にガスを混合するガス混合器と、
前記ガスが溶解した後の前記濃縮水を所定の設定圧力で排出する圧力調整装置と、
前記圧力調整装置から排出された前記濃縮水を反応槽に減圧放出してマイクロバブルを発生するマイクロバブル発生ノズルと、を備えて構成され、
前記反応槽内で、前記マイクロバブルによって前記濃縮水に含まれる前記被分離物質の濁質成分を当該濃縮水から分離する膜処理設備であって、
前記圧力調整装置は、前記濃縮水流路を流れる前記濃縮水の圧力で、前記ガスを当該濃縮水に溶解することを特徴とする膜処理設備。
【請求項2】
前記所定の設定圧力は、前記濃縮水流路を流れる前記濃縮水の圧力以下で前記反応槽の雰囲気圧力以上、且つ、0.15MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の膜処理設備。
【請求項3】
前記圧力調整装置は、前記濃縮水に混合した前記ガスを当該濃縮水に溶解する溶解水槽及び前記溶解水槽の内部圧力を前記所定の設定圧力に維持する調圧器を含んでなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の膜処理設備。
【請求項4】
前記調圧器は、前記濃縮水に溶解しないで残存する前記ガスを前記溶解水槽から排出して当該溶解水槽の内部圧力を前記所定の設定圧力に維持し、
前記溶解水槽から排出された前記ガスを、前記ポンプの上流に備わる上流混合器で前記原水に混合することを特徴とする請求項3に記載の膜処理設備。
【請求項5】
前記調圧器は、前記濃縮水に溶解しないで残存する前記ガスを前記溶解水槽から排出して当該溶解水槽の内部圧力を前記所定の設定圧力に維持し、
前記溶解水槽から排出された前記ガスを、前記反応槽に注入することを特徴とする請求項3に記載の膜処理設備。
【請求項6】
前記調圧器は、前記溶解水槽から排出される前記濃縮水の流量を調整する流量調整弁と、前記流量調整弁の弁開度を調節するアクチュエータを備え、
前記アクチュエータが、前記溶解水槽の内部圧力に応じて前記流量調整弁の弁開度を調節して当該溶解水槽の内部圧力を前記所定の設定圧力に維持することを特徴とする請求項3に記載の膜処理設備。
【請求項7】
前記ガスはオゾンガスであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の膜処理設備。
【請求項8】
海水の淡水化装置を構成し、前記原水が海水であり、前記膜処理装置で前記原水から前記被分離物質が除去されて生成される処理水が淡水であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の膜処理設備。
【請求項9】
前処理装置で生物処理された原水を加圧して膜処理装置へ送水するポンプと、
前記膜処理装置で前記原水から除去される被分離物質を含む濃縮水が流れる濃縮水流路と、
前記濃縮水流路に備わって前記濃縮水にガスを混合するガス混合器と、
前記ガスが溶解した後の前記濃縮水を所定の設定圧力で排出する圧力調整装置と、
前記圧力調整装置から排出された前記濃縮水を反応槽に減圧放出してマイクロバブルを発生するマイクロバブル発生ノズルと、
前記原水の一部からなる同伴水が前記前処理装置で発生する余剰汚泥を含んで当該前処理装置から前記反応槽まで流れる余剰汚泥流路と、を備えて構成され、
前記反応槽内で、前記マイクロバブルによって前記濃縮水に含まれる前記被分離物質の濁質成分を当該濃縮水から分離するとともに、前記同伴水に含まれる前記被分離物質の濁質成分と前記余剰汚泥を当該同伴水から分離し、
前記濁質成分が分離した後の前記濃縮水と、前記濁質成分及び前記余剰汚泥が分離した後の前記同伴水と、を排水として前記反応槽から排出する膜処理設備であって、
前記圧力調整装置は、前記濃縮水流路を流れる前記濃縮水の圧力で、前記ガスを当該濃縮水に溶解することを特徴とする膜処理設備。
【請求項10】
前記反応槽と前記前処理装置を接続する返流水流路をさらに備え、
前記排水として前記反応槽から排出される前記濃縮水と前記同伴水を、前記返流水流路で前記前処理装置に返流することを特徴とする請求項9に記載の膜処理設備。
【請求項11】
前記前処理装置は、最初沈殿池、生物反応槽、及び最終沈殿池を含んで構成され、前記余剰汚泥は、前記最終沈殿池に堆積する汚泥からなることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の膜処理設備。
【請求項12】
前記前処理装置は、最初沈殿池、及び固液分離膜を備える活性汚泥処理槽を含んで構成される膜分離活性汚泥処理装置で、前記余剰汚泥は、前記活性汚泥処理槽に堆積する汚泥からなることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の膜処理設備。
【請求項13】
前記所定の設定圧力は、前記濃縮水流路を流れる前記濃縮水の圧力以下で前記反応槽の雰囲気圧力以上、且つ、0.15MPa以上であることを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の膜処理設備。
【請求項14】
前記圧力調整装置は、前記濃縮水に混合した前記ガスを当該濃縮水に溶解する溶解水槽及び前記溶解水槽の内部圧力を前記所定の設定圧力に維持する調圧器を含んでなることを特徴とする請求項9乃至請求項13のいずれか1項に記載の膜処理設備。
【請求項15】
前記調圧器は、前記濃縮水に溶解しないで残存する前記ガスを前記溶解水槽から排出して当該溶解水槽の内部圧力を前記所定の設定圧力に維持し、
前記溶解水槽から排出された前記ガスを、前記ポンプの上流に備わる上流混合器で前記原水に混合することを特徴とする請求項14に記載の膜処理設備。
【請求項16】
前記調圧器は、前記濃縮水に溶解しないで残存する前記ガスを前記溶解水槽から排出して当該溶解水槽の内部圧力を前記所定の設定圧力に維持し、
前記溶解水槽から排出された前記ガスを、前記反応槽に注入することを特徴とする請求項14に記載の膜処理設備。
【請求項17】
前記調圧器は、前記溶解水槽から排出される前記濃縮水の流量を調整する流量調整弁と、前記流量調整弁の弁開度を調節するアクチュエータを備え、
前記アクチュエータが、前記溶解水槽の内部圧力に応じて前記流量調整弁の弁開度を調節して当該溶解水槽の内部圧力を前記所定の設定圧力に維持することを特徴とする請求項14に記載の膜処理設備。
【請求項18】
前記ガスはオゾンガスであることを特徴とする請求項9乃至請求項17のいずれか1項に記載の膜処理設備。
【請求項19】
下水再生処理装置を構成し、前記原水が下水処理水で、前記膜処理装置で前記原水から前記被分離物質が除去されて生成される処理水が再生水であることを特徴とする請求項9乃至請求項18のいずれか1項に記載の膜処理設備。
【請求項20】
産業廃水の再生処理装置を構成し、前記原水が産業廃水で、前記膜処理装置で前記原水から前記被分離物質が除去されて生成される処理水が再生水であることを特徴とする請求項9乃至請求項18のいずれか1項に記載の膜処理設備。
【請求項21】
前処理装置で砂ろ過された原水を加圧して膜処理装置へ送水するポンプと、
前記膜処理装置で前記原水から除去される被分離物質を含む濃縮水が流れる濃縮水流路と、
前記濃縮水流路に備わって前記濃縮水にガスを混合するガス混合器と、
前記ガスが溶解した後の前記濃縮水を所定の設定圧力で排出する圧力調整装置と、
前記圧力調整装置から排出された前記濃縮水を反応槽に減圧放出してマイクロバブルを発生するマイクロバブル発生ノズルと、
前記前処理装置を前記原水の一部で洗浄した後の洗浄排水が当該前処理装置から前記反応槽まで流れる洗浄排水流路と、を備えて構成され、
前記反応槽内で、前記マイクロバブルによって前記濃縮水に含まれる前記被分離物質の濁質成分を当該濃縮水から分離するとともに、前記洗浄排水に含まれる前記被分離物質の濁質成分を当該洗浄排水から分離し、
前記濁質成分が分離した後の前記濃縮水と前記洗浄排水を排水として前記反応槽から排出する膜処理設備であって、
前記圧力調整装置は、前記濃縮水流路を流れる前記濃縮水の圧力で、前記ガスを当該濃縮水に溶解することを特徴とする膜処理設備。
【請求項22】
前記反応槽と前記前処理装置を接続する返流水流路をさらに備え、
前記排水として前記反応槽から排出される前記濃縮水と前記洗浄排水を、前記返流水流路で前記前処理装置に返流することを特徴とする請求項21に記載の膜処理設備。
【請求項23】
前記所定の設定圧力は、前記濃縮水流路を流れる前記濃縮水の圧力以下で前記反応槽の雰囲気圧力以上、且つ、0.15MPa以上であることを特徴とする請求項21又は請求項22に記載の膜処理設備。
【請求項24】
前記圧力調整装置は、前記濃縮水に混合した前記ガスを当該濃縮水に溶解する溶解水槽及び前記溶解水槽の内部圧力を前記所定の設定圧力に維持する調圧器を含んでなることを特徴とする請求項21乃至請求項23のいずれか1項に記載の膜処理設備。
【請求項25】
前記調圧器は、前記濃縮水に溶解しないで残存する前記ガスを前記溶解水槽から排出して当該溶解水槽の内部圧力を前記所定の設定圧力に維持し、
前記溶解水槽から排出された前記ガスを、前記ポンプの上流に備わる上流混合器で前記原水に混合することを特徴とする請求項24に記載の膜処理設備。
【請求項26】
前記調圧器は、前記濃縮水に溶解しないで残存する前記ガスを前記溶解水槽から排出して当該溶解水槽の内部圧力を前記所定の設定圧力に維持し、
前記溶解水槽から排出された前記ガスを、前記反応槽に注入することを特徴とする請求項24に記載の膜処理設備。
【請求項27】
前記調圧器は、前記溶解水槽から排出される前記濃縮水の流量を調整する流量調整弁と、前記流量調整弁の弁開度を調節するアクチュエータを備え、
前記アクチュエータが、前記溶解水槽の内部圧力に応じて前記流量調整弁の弁開度を調節して当該溶解水槽の内部圧力を前記所定の設定圧力に維持することを特徴とする請求項24に記載の膜処理設備。
【請求項28】
前記ガスはオゾンガスであることを特徴とする請求項21乃至請求項27のいずれか1項に記載の膜処理設備。
【請求項29】
下水再生処理装置を構成し、前記原水が下水処理水で、前記膜処理装置で前記原水から前記被分離物質が除去されて生成される処理水が再生水であることを特徴とする請求項21乃至請求項28のいずれか1項に記載の膜処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−72939(P2011−72939A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228265(P2009−228265)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【特許番号】特許第4649529号(P4649529)
【特許公報発行日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】