説明

膜分離活性汚泥処理装置および膜分離活性汚泥処理方法

【課題】 水環境の汚染を抑制し且つろ過膜の目詰まりを抑制しつつ、純度の高い浄化水を得ることができる膜分離活性汚泥処理装置を提供することにある。
【解決手段】 廃水及び活性汚泥を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理部と、ろ過膜により汚泥含有生物処理水を膜ろ過する膜ユニット部と、脱水により汚泥含有生物処理水を脱水汚泥及び脱水ろ液に分離する汚泥脱水部とを備えてなる膜分離活性汚泥処理装置であって、
前記膜ユニット部で生成された透過水と前記脱水ろ液とを混合して浄化水を得る混合部と、脱水ろ液を生物処理及び膜ろ過せずに前記混合部に移送する第1脱水ろ液移送経路と、前記生物処理部に脱水ろ液を返送する第2脱水ろ液移送経路とを備え、第1脱水ろ液移送経路と第2脱水ろ液移送経路とにそれぞれ移送される脱水ろ液の移送割合が調節されるように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜分離活性汚泥処理装置および膜分離活性汚泥処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、膜分離活性汚泥処理装置は、例えば、廃水及び活性汚泥を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理部と、ろ過膜により汚泥含有生物処理水を膜ろ過する膜ユニット部とが備えられてなり、有機物等が含有されてなる廃水を浄化するのに用いられている。
【0003】
また、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、生物処理により生物種が増殖し活性汚泥が増加してしまうことによって、余剰汚泥が発生してしまうことから、更に、余剰汚泥を有する汚泥含有生物処理水を脱水により脱水汚泥及び脱水ろ液に分離する汚泥脱水部が備えられてなる。
さらに、汚泥脱水部で生成された脱水ろ液は直接海洋や河川等の水環境に放流されてしまうと水環境が汚染されてしまう虞があることから、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、脱水ろ液が生物処理部に返送されるように構成されてなる(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−305926号公報
【特許文献2】特開2009−28614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、斯かる脱水ろ液に含まれる溶解性微生物代謝物(SMP:Soluble Microbial Products)によりろ過膜が目詰まりしてしまい、ろ過効率の低下が生じてしまう等の問題を有している。
【0006】
斯かる問題の対処としては、膜ろ過によって得られる透過水は十分に高い水質を有し且つ豊富に生成され得ることから、該透過水及び脱水ろ液を混合して混合水を生成し該混合水を浄化水として得るように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置が考えられる。
【0007】
しかしながら、より一層純度の高い浄化水が求められている昨今に於いて、斯かる膜分離活性汚泥処理装置では、この要望に十分に応えることができない虞がある。
【0008】
本発明は、上記問題点及び要望に鑑み、水環境の汚染を抑制し、且つろ過膜の目詰まりを抑制しつつ、純度の高い浄化水を得ることができる膜分離活性汚泥処理装置および膜分離活性汚泥処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、廃水及び活性汚泥を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理部と、ろ過膜により汚泥含有生物処理水を膜ろ過する膜ユニット部と、脱水により汚泥含有生物処理水を脱水汚泥及び脱水ろ液に分離する汚泥脱水部とを備えてなる膜分離活性汚泥処理装置であって、
前記膜ユニット部で生成された透過水と前記脱水ろ液とを混合して浄化水を得る混合部と、脱水ろ液を生物処理及び膜ろ過せずに前記混合部に移送する第1脱水ろ液移送経路と、前記生物処理部に脱水ろ液を返送する第2脱水ろ液移送経路とを備え、第1脱水ろ液移送経路と第2脱水ろ液移送経路とにそれぞれ移送される脱水ろ液の移送割合が調節されるように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置にある。
【0010】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、ろ過膜の目詰まりの原因となり得る脱水ろ液の生物処理部への移送量を抑制しつつ、浄化水の純度を低下し得る脱水ろ液の混合部への移送量を抑制するように、第1脱水ろ液移送経路と第2脱水ろ液移送経路とに移送される脱水ろ液の移送割合を調節することが可能であるため、ろ過膜の目詰まりを抑制しつつ、純度の高い浄化水を得ることができる。また、水環境に脱水ろ液をそのまま排出することも抑制し得るため、水環境の汚染を抑制し得る。
【0011】
また、本発明に係る膜分離活性汚泥処理装置においては、好ましくは、前記膜ユニット部で膜ろ過される汚泥含有生物処理水中または脱水ろ液中の溶解性微生物代謝産物(SMP)の濃度を測定するSMP測定装置を備え、測定値に基づいて、前記移送割合が調節されるように構成されてなる。
【0012】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、SMPが脱水ろ液に多く存在し、また、SMPがろ過膜の目詰まりの原因物質であることから、より一層確実にろ過膜の目詰まりを抑制しつつ、純度の高い浄化水を得ることができるという利点がある。
【0013】
さらに、前記SMP測定装置を備え測定値に基づいて前記移送割合が調節されてなる膜分離活性汚泥処理装置においては、好ましくは、前記SMPの濃度を基準値以下若しくは未満にすべく前記移送割合が調節されるように構成されてなる。
【0014】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、より一層確実にろ過膜の目詰まりを抑制することができるという利点がある。
【0015】
また、前記SMPの濃度を基準値以下若しくは未満にすべく前記移送割合が調節されるように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置においては、好ましくは、前記基準値が20mg/L以下である。
【0016】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、より一層確実にろ過膜の目詰まりを抑制することができるという利点がある。
【0017】
また、本発明に係る膜分離活性汚泥処理装置においては、好ましくは、前記脱水ろ液中の有機物の濃度を測定する有機物濃度測定装置を備え、測定値に基づいて、前記移送割合が調節されるように構成されてなる。
【0018】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、脱水ろ液中の有機物のほとんどがSMPであることから、有機物の濃度を測定することで、SMPの濃度を把握することが可能であるという利点がある。また、現状では、脱水ろ液中の有機物の濃度を測定するほうが、SMPの濃度を測定するよりも簡便であることから、簡便に測定することができるという利点もある。
【0019】
さらに、前記有機物濃度測定装置を備え測定値に基づいて前記移送割合が調節されてなる膜分離活性汚泥処理装置においては、好ましくは、前記有機物の濃度を基準値以下若しくは未満にすべく前記移送割合が調節されるように構成されてなる。
【0020】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、より一層確実にろ過膜の目詰まりを抑制することができるという利点がある。
【0021】
また、前記有機物の濃度を基準値以下若しくは未満にすべく前記移送割合が調節されるように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置においては、好ましくは、有機物濃度が全有機炭素濃度であって、前記基準値が30mg/L以下である。
【0022】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、より一層確実にろ過膜の目詰まりを抑制することができるという利点がある。
【0023】
さらに、本発明に係る膜分離活性汚泥処理装置においては、好ましくは、前記浄化水を第1浄化水として得るように構成され、透過水を混合部に移送する第1透過水移送経路を備え、脱水ろ液と混合せずに透過水を第2浄化水として得るように構成され、第2浄化水を貯留する第2浄化水貯留槽と、透過水を該第2浄化水貯留槽に移送する第2透過水移送経路とを備え、第1透過水移送経路と、第2透過水移送経路とにそれぞれ移送される透過水の移送割合が調節されるように構成されてなる。
【0024】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、第1浄化水を系外の水環境に排出する際に、水環境の汚染を抑制しつつ、残りの透過水を再生水(各種用水)として利用することができるという利点がある。
【0025】
また、前記透過水の移送割合が調節されるように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置においては、好ましくは、透過水の不純度を測定する透過水不純度測定装置と、脱水ろ液の不純度を測定する脱水ろ液不純度測定装置と、混合部に移送される透過水の単位時間当たりの量を測定する透過水量測定装置と、混合部に移送される脱水ろ液の単位時間当たりの量を測定する脱水ろ液量測定装置とを備え、前記透過水不純度測定装置、脱水ろ液不純度測定装置、透過水量測定装置、及び脱水ろ液量測定装置のそれぞれの測定値から第1浄化水の不純度を求め、第1浄化水の不純度に基づいて、前記透過水の移送割合が調節されるように構成されてなる。
【0026】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、より一層確実に第1浄化水が該放流水としての基準値を満たすように脱水ろ液を透過水で希釈しつつ、より多く再生水を得ることができるという利点がある。
【0027】
また、第1浄化水の不純度に基づいて、前記透過水の移送割合が調節されるように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置においては、好ましくは、前記第1浄化水の不純度を基準値以下若しくは未満にすべく前記透過水の移送割合が調節されるように構成されてなる。
【0028】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、より一層確実に第1浄化水が該放流水としての基準値を満たすように脱水ろ液を透過水で希釈しつつ、より多く再生水を得ることができるという利点がある。
【0029】
また、本発明は、前記膜分離活性汚泥処理装置を用いて、廃水から浄化水を得る膜分離活性汚泥処理方法にある。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明によれば、水環境の汚染を抑制し、且つろ過膜の目詰まりを抑制しつつ、純度の高い浄化水を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略ブロック図。
【図2】同実施形態の一状態を示す概略ブロック図。
【図3】同実施形態の一状態を示す概略ブロック図。
【図4】同実施形態の一状態を示す概略ブロック図。
【図5】他実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略ブロック図。
【図6】他実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略ブロック図。
【図7】SMP濃度に対する5Cろ紙ろ過量。
【図8】参考例1に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略ブロック図。
【図9】参考例2に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略ブロック図。
【図10】参考例3に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0033】
図1に示すように、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、廃水A及び活性汚泥を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理部2と、ろ過膜により汚泥含有生物処理水を膜ろ過する膜ユニット部3と、脱水により汚泥含有生物処理水を脱水汚泥C及び脱水ろ液に分離する汚泥脱水部4と、前記膜ユニット部3で生成された透過水と前記脱水ろ液とを混合して浄化水Bを得る混合部5とを備えてなる。
【0034】
前記生物処理としては、具体的には、活性汚泥処理等を挙げることができる。
該活性汚泥処理は、細菌、原生動物、後生動物等の生物種を有する活性汚泥と、有機物を含む廃水とを曝気しながら混合して、該有機物を前記生物種で分解する処理である。
【0035】
前記廃水Aとしては、生物分解することができる有機物等を含有する廃水であれば、特に限定されるものではないが、例えば、生活廃水や、食品工場、化学工場、電子産業工場、パルプ工場等の工場の廃水等が挙げられる。
【0036】
前記生物処理部2は、生成した汚泥含有生物処理水を貯留する汚泥含有生物処理水貯留槽21と、汚泥含有生物処理水貯留槽21内を曝気する曝気手段(図示せず)とを備えてなる。
【0037】
前記膜ユニット部3は、前記汚泥含有生物処理水貯留槽21内の液面下に浸漬膜として設置されてなる。
尚、前記膜ユニット部3が前記汚泥含有生物処理水貯留槽21外に設置されるように構成されていてもよい。
【0038】
前記膜ユニット部3が有するろ過膜の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、限外ろ過膜(UF膜)、精密ろ過膜(MF膜)等のSMPが透過しない膜が挙げられる。
【0039】
前記ろ過膜の構造としては、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニールアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどの素材により形成された直径数mmの中空糸状に形成されたいわゆる中空糸膜などと呼ばれるタイプのものや、薄い板状の膜たる平膜と呼ばれるタイプのものなど従来公知のものを採用することができる。
【0040】
前記汚泥脱水部4は、前記汚泥含有生物処理水貯留槽21から排出された汚泥含有生物処理水が供給され、該汚泥含有生物処理水が脱水により脱水汚泥C及び脱水ろ液に分離されるように構成されてなる。
【0041】
前記汚泥脱水部4としては、特に限定されるものではないが、例えば、真空脱水機、遠心脱水機、フィルタープレス、ベルトプレス、スクリュープレス、多重円板脱水機、多重円板外胴型スクリュープレス等が挙げられる。
【0042】
また、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、汚泥含有生物処理水が汚泥脱水部4に、脱水汚泥Cが脱水汚泥貯留部(図示せず)に、脱水ろ液が混合部5及び生物処理部2に、透過水が混合部5に、浄化水Bが浄化水貯留部(図示せず)に移送されるように構成されてなる。
具体的には、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、図1に示すように、汚泥含有生物処理水を汚泥脱水部4に移送する汚泥含有生物処理水移送経路6aと、脱水汚泥Cを移送する脱水汚泥移送経路6bと、脱水ろ液を生物処理及び膜ろ過せずに前記混合部5に移送する第1脱水ろ液移送経路6cと、前記生物処理部2に脱水ろ液を返送する第2脱水ろ液移送経路6dと、透過水を移送する透過水移送経路6eと、浄化水Bを移送する浄化水移送経路6fとを備えてなる。
【0043】
また、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、第1脱水ろ液移送経路6cと第2脱水ろ液移送経路6dとにそれぞれ移送される脱水ろ液の移送割合が調節されるように構成されてなる。
具体的には、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、前記第1脱水ろ液移送経路6c及び前記第2脱水ろ液移送経路6dに、それぞれ第1バルブ7a及び第2バルブ7bが介装されており、各バルブ(第1バルブ7a及び第2バルブ7b)の開閉操作によって流路や流量が決定されるバルブ機構(図示せず)を備え、該バルブ機構(図示せず)により前記移送割合が調節されるように構成されてなる。
【0044】
さらに、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、前記膜ユニット部3で膜ろ過される汚泥含有生物処理水中または脱水ろ液中の溶解性微生物代謝産物(SMP)の濃度を測定するSMP測定装置(図示せず)を備えてなる。
前記SMP測定装置(図示せず)は、後述する実施例に記載の溶解性微生物代謝産物(SMP)の濃度の測定方法に従って測定する装置を意味する。
【0045】
また、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、前記SMP測定装置(図示せず)の測定値に基づいて、前記移送割合が調節されるように構成されてなり、具体的には、前記SMPの濃度を基準値以下若しくは未満にすべく前記移送割合が調節されるように構成されてなる。
【0046】
前記基準値は、好ましくは、100mg/L以下であり、より好ましくは、30mg/L以下であり、さらに好ましくは、20mg/L以下である。
【0047】
本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置は、上記の如く構成されてなるが、次ぎに、本実施形態の膜分離活性汚泥処理方法について説明する。
【0048】
本実施形態の膜分離活性汚泥処理方法では、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置を用いて、廃水Aから浄化水Bを得る。
【0049】
具体的には、本実施形態の膜分離活性汚泥処理方法では、廃水Aを生物処理部2に供給し、生物処理部2において該廃水Aと活性汚泥を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得、膜ユニット部3で該汚泥含有生物処理水を膜ろ過して透過水を得る。
そして、余剰汚泥が発生された場合には、余剰汚泥を有する汚泥含有生物処理水を汚泥脱水部4に移送し、汚泥脱水部4において脱水により該汚泥含有生物処理水を脱水汚泥C及び脱水ろ液に分離する。
【0050】
前記汚泥脱水部4において脱水した場合に於いては、前記SMPの濃度を基準値以下若しくは未満に保持し得る状態では、図2に示すように、第2バルブ7bを解放し且つ第1バルブ7aを閉塞して第2脱水ろ液移送経路6dから生物処理部2に脱水ろ液を返送する。また、膜ユニット3で得られた透過水を浄化水Bとして浄化水貯留部(図示せず)に移送する。
一方で、前記SMPの濃度を基準値以下若しくは未満に保持し得ない状態になりそうな場合には、図3に示すように、第1バルブ7aを解放し且つ第2バルブ7bを閉塞して第1脱水ろ液移送経路6aから混合部5に脱水ろ液を移送する。また、膜ユニット3で得られた透過水と該移送された脱水ろ液とを混合して浄化水Bとして浄化水貯留部(図示せず)に移送する。
【0051】
尚、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置および膜分離活性汚泥処理方法は、上記構成を有するものであったが、本発明の膜分離活性汚泥処理装置および膜分離活性汚泥処理方法は、上記構成に限定されず、適宜設計変更可能である。
【0052】
即ち、本実施形態の膜分離活性汚泥処理方法は、第1バルブ7a及び第2バルブ7bの何れか一方を解放し他方を閉塞するが、本発明の膜分離活性汚泥処理方法は、図4に示すように、第1バルブ7a及び第2バルブ7bを解放してもよい。
【0053】
また、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、前記SMP測定装置(図示せず)を備えてなるが、本発明の膜分離活性汚泥処理装置は、前記脱水ろ液中の有機物の濃度を測定する有機物濃度測定装置を備えてもよい。
【0054】
また、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、前記有機物濃度測定装置の測定値に基づいて、前記移送割合が調節されるように構成されてなり、具体的には、前記有機物濃度を基準値以下若しくは未満にすべく前記移送割合が調節されるように構成されてなる。
【0055】
前記基準値は、有機物濃度が全有機炭素濃度である場合、好ましくは、110mg/L以下であり、より好ましくは、40mg/L以下であり、さらに好ましくは、30mg/L以下である。
尚、脱水ろ液の全有機炭素濃度は、廃水が生活廃水である場合、通常、脱水ろ液のSMP濃度よりも10mg/L程度高い値である。
【0056】
さらに、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置は、浄化水Bの不純度を測定する不純度測定装置を備えてもよい。
前記不純度測定装置としては、例えば、SS濃度を測定するSS測定装置、生物化学的酸素要求量(BOD)を測定するBOD測定装置等が挙げられる。
前記SS測定装置、BOD測定装置は、それぞれ、後述する実施例に記載のSS濃度、BODの測定方法に従って測定する装置を意味する。
【0057】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、前記SMP測定装置の測定値及び前記不純度測定装置の測定値の少なくとも一方の測定値に基づいて、前記移送割合が調節されるように構成されてなり、具体的には、前記SMPの測定濃度を基準値以下若しくは未満にすべく、及び/又は前記不純度測定装置の測定濃度を基準値以下若しくは未満にすべく、前記移送割合が調節されるように構成されてなる。
【0058】
前記不純度の基準値は、前記不純度がSSの濃度である場合には、好ましくは、40mg/L以下であり、より好ましくは、20mg/L以下であり、前記不純度がBODである場合には、好ましくは、20mg/L以下であり、より好ましくは、10mg/L以下である。
【0059】
また、図5に示すように、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、脱水ろ液を貯留する脱水ろ液貯留部8を備え、脱水ろ液が生物処理部に返送される前若しくは混合部に移送される前に脱水ろ液貯留部8に貯留されるように構成されてもよい。
【0060】
また、図6に示すように、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、前記膜ユニット部3で生成された透過水の一部が混合部5に移送され、混合部5により第1浄化水B1が得られ、混合部5により得られた第1浄化水B1が第1浄化水貯留槽(図示せず)に移送され、残りの透過水が混合部5に移送されずに第2浄化水B2として第2浄化水貯留槽(図示せず)に移送されるように構成されてもよい。
【0061】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置1は、透過水の一部を混合部5に移送する第1透過水移送経路6e1と、残りの透過水を、脱水ろ液と混合せずに、第2浄化水B2として第2浄化水貯留槽(図示せず)に移送する第2透過水移送経路6e2とを備えてなる。
【0062】
また、斯かる膜分離活性汚泥処理装置1は、第1透過水移送経路6e1と、第2透過水移送経路6e2とにそれぞれ移送される透過水の移送割合が調節されるように構成されてなる。具体的には、斯かる膜分離活性汚泥処理装置1は、第1透過水移送経路6e1、及び第2透過水移送経路6e2に、それぞれ第3バルブ7c及び第4バルブ7dが介装されており、各バルブ(第3バルブ7c及び第4バルブ7d)の開閉操作によって流路や流量が決定されるバルブ機構(図示せず)を備え、該バルブ機構(図示せず)により前記移送割合が調節されるように構成されてなる。
【0063】
さらに、斯かる膜分離活性汚泥処理装置1は、透過水の不純度を測定する透過水不純度測定装置(図示せず)と、脱水ろ液の不純度を測定する脱水ろ液不純度測定装置(図示せず)と、混合部5に移送される透過水の単位時間当たりの量を測定する透過水量測定装置(図示せず)と、混合部5に移送される脱水ろ液の単位時間当たりの量を測定する脱水ろ液量測定装置(図示せず)とを備えてなる。
該透過水不純度測定装置及び脱水ろ液不純度測定装置としては、例えば、化学的酸素要求量(COD)を測定するCOD測定装置、生物化学的酸素要求量(BOD)を測定するBOD測定装置等が挙げられる。
該COD測定装置は、下水試験方法上巻−1997年版−((社)日本下水道協会)に従って測定する装置を意味する。具体的には、CODは、試料に規定量の過マンガン酸カリウム、硫酸及び硝酸銀を加え、沸騰水浴中で30分間反応させたときに消費された過マンガン酸カリウム量から酸素要求量を求める方法で、以下の手順によって測定したものを意味する。
(1)試料の適量を三角フラスコ300mlにとり蒸留水を加えて100mlとする。
(2)該三角フラスコを振り混ぜながら該三角フラスコ内に硝酸銀溶液(200g/L)5mlと硫酸(1+2)10mlを加える。
(3)さらに、該三角フラスコ内に0.005mol/L過マンガン酸カリウム溶液10mlを加えて振り混ぜる。
(4)沸騰水浴中に該三角フラスコを入れ30分間加熱する。
(5)水浴から該三角フラスコを取り出し、直ちに該三角フラスコ内に蓚酸ナトリウム溶液(0.0125mol/L)10mlを加えて振り混ぜよく反応させる。
(6)該三角フラスコ内の水温を約60℃に保ちながら、0.005mol/L過マンガン酸カリウム溶液を用いて、微紅色(約30秒間保つようにする。)を呈するまで滴定する(滴定量a1(mL))。
(7)試料の代わりに蒸留水100mlについて全操作((1)〜(6))にわたり空試験を行い、滴定量をb1(mL)を求める。
(8)次式によって、100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素要求量(CODMn)の濃度を算出する。
CODMn(mg/L)=(a1−b1)×F×(1,000/試料量 ml)×0.2
F:0.005mol/L過マンガン酸カリウム溶液のファクター(無次元)
また、有機性組成の変動が小さく、浮遊物質が少ない試料に対しては、紫外線吸光光度法(UV吸光光度法)を用いることもできる。UV吸光光度法とは、水中の有機物質量と波長250nm付近の紫外線吸光度との間に相関があることから、試料の紫外線吸光度を測定し、あらかじめ求めた紫外線吸光度とCOD値との関係線より試料のCOD値を推定するものである。
前記BOD測定装置は、後述する実施例に記載のBODの測定方法に従って測定する装置を意味する。
【0064】
また、斯かる膜分離活性汚泥処理装置1は、前記透過水不純度測定装置、脱水ろ液不純度測定装置、透過水量測定装置、及び脱水ろ液量測定装置のそれぞれの測定値から第1浄化水の不純度を求め、第1浄化水の不純度に基づいて、前記透過水の移送割合が調節されるように構成されてなる。具体的には、これらの測定値から求められる第1浄化水の不純度を基準値以下若しくは未満にすべく、前記移送割合が調節されるように構成されてなる。
第1浄化水の不純度の基準値は、前記不純度がCODである場合には、好ましくは40mg/L以下、より好ましくは20mg/L以下であり、前記不純度がBODである場合には、好ましくは20mg/L以下、より好ましくは10mg/L以下である。
【実施例】
【0065】
次に、試験例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
【0066】
(試験例1:SMPの濃度と膜透過性との関係)
有機性廃水と活性汚泥とを混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得、該汚泥含有生物処理水を脱水して、SMPの濃度(以下、「SMP濃度」ともいう。)が異なる脱水ろ液を複数採取した。ろ過器上に5種C(JIS P 3801−1995)のろ紙(アドバンテック東洋社製、直径15cm)を載置し、SMPの濃度が異なる脱水ろ液を該ろ紙上にそれぞれ50mL滴下し、滴下してから5分経過した時にろ紙を透過した透過水の量(5Cろ紙ろ過量)を測定した。
尚、SMP濃度は、汚泥含有生物処理水を前記5種C(JIS P 3801−1995)のろ紙でろ過して透過水(5C透過水)を得、また、最大孔径0.1μmのろ紙(ミリポア社製、DURAPORE 0.1μm VVPP、直径4.7cm)でろ過して透過水(0.1μm透過水)を得、これらの透過水に含まれる全有機炭素(TOC)濃度をTOC計(商品名:TOC−5000A、島津製作所社製)(燃焼触媒酸化方式)で測定して、下記式(1)により算出した。
SMP濃度=TOC濃度(5C透過水)−TOC濃度(0.1μm透過水) (1)
【0067】
尚、最大孔径0.1μmのろ紙は、「精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイント試験方法」(JIS K 3832)に従って測定したバブルポイント値が480kPaであるろ紙を意味する。ここで、バブルポイント値は、水に対する値を意味する。
【0068】
上記試験例1の結果を、表1、図7に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
SMP濃度が低いものほど、5Cろ紙ろ過量が高い値を示した。すなわち、SMP濃度が低いほど、膜透過性が良好であることが示された。
また、SMP濃度が20mg/L以下になると、SMP濃度が低いもの程、顕著に5Cろ紙ろ過量が高くなることが示された。
さらに、5Cろ紙ろ過量が10mL/分以上であれば膜透過性が良好であるとされていることから、SMP濃度が20mg/L以下であれば、膜透過性が良好であることがわかる。
【0071】
(試験例2)
参考例1
図8に示すように、汚泥含有生物処理水貯留槽21(水の収容容積:14.4L)に、膜ユニット部3としての浸漬膜(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、孔径:0.1μm、表面積:0.05m2 )が水面下に位置し得るように該浸漬膜を入れ、更に、廃水A(BOD濃度:1300mg/L)と活性汚泥を入れ、該廃水Aと活性汚泥とを混合して混合水を生成した。
その後、前記廃水Aを29L/dで入れ、前記膜ユニット部3によって透過水たる浄化水Bを28.95L/dで得、さらに汚泥含有生物処理水を0.5L/dで汚泥脱水部4に移送し脱水して、脱水汚泥Cを0.05L/d、脱水ろ液を0.45L/dで得、該脱水ろ液を汚泥含有生物処理水貯留槽21に全量返送した。このように、廃水Aから浄化水Bを得る作業を30日間以上継続実施した。作業終了直前における透過水たる浄化水BのBOD、脱水汚泥CのSS濃度、並びに汚泥含有生物処理水貯留槽21内の汚泥含有生物処理水のMLSS濃度、SMP濃度、及び5Cろ紙ろ過量を測定した。結果を図8に示す。
尚、BOD、MLSS濃度及びSS濃度は、下水試験方法上巻−1997年版−((社)日本下水道協会)に従って測定した。
<BODの測定方法>
BODは、溶存酸素の存在のもとで、水中の分解可能な物質が、生物化学的に安定化するために要求する酸素の量をいい、20℃の環境下で5日間に消費された酸素量を表したものである。BODは、具体的には、以下の手順によって測定した。
(1)蒸留水をとり、あらかじめ20℃近くでエアレーションして放置し、溶存酸素を飽和させた。そして、この蒸留水1Lに対して、緩衝液、硫酸マグネシウム溶液、塩化カルシウム溶液、及び塩化鉄(III)溶液それぞれ1mLずつ加えて、希釈水を得た。
(2)培養瓶に、希釈倍率に応じた瓶の容量に対する計算量の試料を加え、残りの瓶内の空間を希釈水で満たした後、瓶を密栓した。
(3)20±1℃の温度に調整した恒温器、又は恒温水槽に入れて5日間培養した。
(4)培養前の希釈試料(希釈試料を調製してから15分後のもの)の溶存酸素量(DO1)(mgO/L)と、培養後の希釈試料の溶存酸素量(DO2)(mgO/L)とを測定した。尚、溶存酸素量は、隔膜電極法により測定した。
(5)希釈試料の培養前後の溶存酸素量の差から次式によって、試料中のBODを算出した。
BOD(mg/L)=(DO1−DO2)/(試料量 mL/希釈試料量 mL)
尚、緩衝液は、りん酸水素二カリウム(K2HPO4)21.75g、りん酸二水素カリウム(KH2PO4)8.5g、りん酸水素二ナトリウム十二水和物(Na2HPO4・12H2O)44.6g及び塩化アンモニウム(NH4Cl)1.7gを蒸留水に溶かして1Lとしたものを意味する。硫酸マグネシウム溶液は、硫酸マグネシウム七水和物(MgSO4・7H2O)22.5gを蒸留水に溶かして1Lとしたものを意味する。塩化カルシウム溶液は、塩化カルシウム(CaCl2)27.5gを蒸留水に溶かして1Lとしたものを意味する。塩化鉄(III)溶液は、塩化鉄(III)六水和物(FeCl3・6H2O)0.25gを蒸留水に溶かして1Lとしたものを意味する。
<MLSSの測定方法>
MLSS濃度は、以下の手順(遠心分離法)によって測定した。
(1)試料50mlを沈殿管にとり、回転数3,000rpmで10分間遠心分離した。
(2)上澄み液をていねいに捨て去り、沈殿物に水10mlを加えてガラス棒を用いてよくかき混ぜ、再び遠心分離して上澄み液を捨てた。
(3)あらかじめ質量(a2)(mg)をはかってある蒸発皿に沈殿物を水で洗浄しながら流し込んだ。
(4)水浴上で蒸発皿上の沈殿物を蒸発乾固した。
(5)蒸発皿上の沈殿物を105〜110℃で2時間加熱乾燥した後、デシケ―タ―中で放冷して、沈殿物及び蒸発皿の合計質量(b2)(mg)をはかった。
(6)次式によって、浮遊物質の濃度(mg/L)を算出した。
浮遊物質(mg/L)=(b2−a2)×(1,000/試料量(50ml))
<SSの測定方法>
さらに、SS濃度は、以下の手順(ガラス繊維ろ紙法)によって測定した。
(1)ガラス繊維ろ紙をろ過器に取り付け、網目2mmのふるいに通した試料の適量を注ぎ入れて吸引ろ過した。
(2)ろ過器の壁に付着した浮遊物質を水でろ紙上に洗い落とし、ろ紙をろ過器から取り外した。
(3)ろ紙を時計皿に移し、時計皿ごと乾燥器に入れて、105〜110℃で2時間加熱乾燥し、デシケ―タ―中で放冷した後、ろ紙の質量をはかった。
(4)ろ過前後のろ紙の質量の差(a3)(mg)を求め、次式によって試料中の浮遊物質の濃度(mg/L)を算出した。
浮遊物質(mg/L)=a3×(1,000/試料量 ml)
【0072】
参考例2
図9に示すように、汚泥含有生物処理水貯留槽21(水の収容容積:14.4L)に、膜ユニット部3としての浸漬膜(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、孔径:0.1μm、表面積:0.05m2 )が水面下に位置し得るように該浸漬膜を入れ、更に、廃水A(BOD濃度:1300mg/L)と活性汚泥を入れ、該廃水Aと活性汚泥とを混合して混合水を生成した。
その後、前記廃水Aを29L/dで入れ、前記膜ユニット部3によって透過水を28.5L/dで得、さらに汚泥含有生物処理水を0.5L/dで汚泥脱水部4に移送し脱水して、脱水汚泥Cを0.05L/d、脱水ろ液を0.45L/dで得、透過水を全量混合部5に移送し、汚泥含有生物処理水貯留槽21の代わりに混合部5に脱水ろ液を全量移送し、混合部5で透過水と該脱水ろ液とを混合して浄化水Bを得た。このように、廃水から浄化水Bを得る作業を参考例1と同じ期間継続実施した。作業終了直前における透過水のBOD、浄化水BのBOD、脱水汚泥CのSS濃度、並びに汚泥含有生物処理水貯留槽21内の汚泥含有生物処理水のMLSS濃度、SMP濃度、及び5Cろ紙ろ過量を測定した。結果を図9に示す。
【0073】
参考例3
図10に示すように、汚泥含有生物処理水貯留槽21(水の収容容積:14.4L)に、膜ユニット部3としての浸漬膜(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、孔径:0.1μm、表面積:0.05m2 )が水面下に位置し得るように該浸漬膜を入れ、更に、廃水A(BOD濃度:1300mg/L)と活性汚泥を入れ、該廃水Aと活性汚泥とを混合して混合水を生成した。
その後、前記廃水Aを29L/dで入れ、前記膜ユニット部3によって透過水を28.5L/dで得、透過水の一部(13.5L/d)を混合部5に移送し、残りの透過水(15L/d)を混合部5に移送せずに第2浄化水B2として得、さらに汚泥含有生物処理水を0.5L/dで汚泥脱水部4に移送し脱水して、脱水汚泥Cを0.05L/d、脱水ろ液を0.45L/dで得、汚泥含有生物処理水貯留槽21の代わりに混合部5に脱水ろ液を全量移送し、混合部5で透過水と該脱水ろ液とを混合して第1浄化水B1を得た。このように、廃水から第1浄化水B1及び第2浄化水B2を得る作業を参考例1と同じ期間継続実施した。作業終了直前における透過水のBOD、第1浄化水B1のBOD、第2浄化水B2のBOD、脱水汚泥CのSS濃度、並びに汚泥含有生物処理水貯留槽21内の汚泥含有生物処理水のMLSS濃度、SMP濃度、及び5Cろ紙ろ過量を測定した。結果を図10に示す。
【0074】
参考例2、3における汚泥含有生物処理水の5Cろ紙ろ過量は、参考例1に比して、極めて高い値を示した。従って、参考例2、3は、参考例1よりも膜透過性が良いことが示された。
また、参考例3では、放流水としては耐えうるBOD濃度の浄化水(浄化水B1)を得つつ、参考例2に比してBOD濃度が極めて低い(65mg/L)浄化水(浄化水B2)を得ることができた。
【符号の説明】
【0075】
1:膜分離活性汚泥処理装置、2:生物処理部、3:膜ユニット部、4:汚泥脱水部、5:混合部、6a:汚泥含有生物処理水移送経路、6b:脱水汚泥移送経路、6c:第1脱水ろ液移送経路、6d:第2脱水ろ液移送経路、6e:透過水移送経路、6e1:第1透過水移送経路、6e2:第2透過水移送経路、6f:浄化水移送経路、7a:第1バルブ、7b:第2バルブ、7c:第3バルブ、7d:第4バルブ、8:脱水ろ液貯留部、21:汚泥含有生物処理水貯留槽、A:廃水、B:浄化水、B1:第1浄化水、B2:第2浄化水、C:脱水汚泥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水及び活性汚泥を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理部と、ろ過膜により汚泥含有生物処理水を膜ろ過する膜ユニット部と、脱水により汚泥含有生物処理水を脱水汚泥及び脱水ろ液に分離する汚泥脱水部とを備えてなる膜分離活性汚泥処理装置であって、
前記膜ユニット部で生成された透過水と前記脱水ろ液とを混合して浄化水を得る混合部と、脱水ろ液を生物処理及び膜ろ過せずに前記混合部に移送する第1脱水ろ液移送経路と、前記生物処理部に脱水ろ液を返送する第2脱水ろ液移送経路とを備え、第1脱水ろ液移送経路と第2脱水ろ液移送経路とにそれぞれ移送される脱水ろ液の移送割合が調節されるように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項2】
前記膜ユニット部で膜ろ過される汚泥含有生物処理水中または前記脱水ろ液中の溶解性微生物代謝産物(SMP)の濃度を測定するSMP測定装置を備え、測定値に基づいて、前記移送割合が調節されるように構成されてなる請求項1記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項3】
前記SMPの濃度を基準値以下若しくは未満にすべく前記移送割合が調節されるように構成されてなる請求項2記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項4】
前記基準値が20mg/L以下である請求項3記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項5】
前記脱水ろ液中の有機物の濃度を測定する有機物濃度測定装置を備え、測定値に基づいて、前記移送割合が調節されるように構成されてなる請求項1記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項6】
前記有機物の濃度を基準値以下若しくは未満にすべく前記移送割合が調節されるように構成されてなる請求項5記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項7】
有機物濃度が全有機炭素濃度であって、前記基準値が30mg/L以下である請求項6記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項8】
前記浄化水を第1浄化水として得るように構成され、透過水を混合部に移送する第1透過水移送経路を備え、脱水ろ液と混合せずに透過水を第2浄化水として得るように構成され、第2浄化水を貯留する第2浄化水貯留槽と、透過水を該第2浄化水貯留槽に移送する第2透過水移送経路とを備え、第1透過水移送経路と、第2透過水移送経路とにそれぞれ移送される透過水の移送割合が調節されるように構成されてなる請求項1〜7の何れかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項9】
透過水の不純度を測定する透過水不純度測定装置と、脱水ろ液の不純度を測定する脱水ろ液不純度測定装置と、混合部に移送される透過水の単位時間当たりの量を測定する透過水量測定装置と、混合部に移送される脱水ろ液の単位時間当たりの量を測定する脱水ろ液量測定装置とを備え、前記透過水不純度測定装置、脱水ろ液不純度測定装置、透過水量測定装置、及び脱水ろ液量測定装置のそれぞれの測定値から第1浄化水の不純度を求め、第1浄化水の不純度に基づいて、前記透過水の移送割合が調節されるように構成されてなる請求項8記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項10】
前記第1浄化水の不純度を基準値以下若しくは未満にすべく前記透過水の移送割合が調節されるように構成されてなる請求項9記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかに記載の膜分離活性汚泥処理装置を用いて、廃水から浄化水を得る膜分離活性汚泥処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−45871(P2011−45871A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157695(P2010−157695)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】