説明

膨張可能な微小球体とイオン性化合物とを含有する組成物、およびこれらの組成物の製造法と使用法

本発明は、膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物を含有し、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上のゼータ電位を有する組成物、ならびにこうした組成物を製造および使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物とを含有し、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上のゼータ電位を有する組成物、および前記組成物の製造法と使用法に関する。本出願は、“膨張可能な微小球体とイオン性化合物とを含有する組成物、およびこれらの組成物の製造法と使用法”と題する、2005年3月11日付け出願の米国仮出願第60/660,703号(該仮出願の全開示内容を参照により本明細書に含める)のもたらす恩恵を主張する。
【背景技術】
【0002】
紙基材中に組み込む高コストのセルロース繊維の量によって、ある程度は、紙基材の密度が決まる。したがって、高コストのセルロース繊維が紙基材中に多量に存在すると、より高い密度の基材が高コストにて得られ、一方、セルロース繊維が紙基材中に少量存在すると、より低い密度の基材が低コストにて得られる。コートおよび/または非コートの紙製品、板紙、および/または紙基材の密度を下げると、必然的にこれらの製造コストが低下する。このことは、全ての紙基材の製造およびそれらの用途に対して当てはまる。このことは、例えば、封筒、折り畳み式段ボール箱、および他の包装用品にて使用される紙基材に対して特に当てはまる。封筒や包装用品等において使用される基材は、特定の厚さすなわちキャリパー(caliper)を有する。
【0003】
ターゲットキャリパーにおける紙基材の密度を下げることにより、ターゲットキャリパーを達成するのに必要とされるセルロース繊維の量はより少なくて済むようになる。製造コストの低下のほかに、紙基材の密度を低下させたときに認識・達成される製造効率がある。この製造効率は、ある程度は、製造時における紙基材の乾燥要件(例えば、時間、労働力、および資本など)の減少によるものである。
【0004】
原紙基材(base paper substrate)の密度を減少させる例は、
1) BCTMPや他のメカニカル繊維(mechanical fibers)等のバルキー繊維を板紙のセンタープライに組み込むマルチプライ・マシン(multi-ply machines);
2) 水の除去時における緻密化を少なくするための拡張ニッププレス・セクション;および
3) 高温ソフトカレンダリング、高温スチールカレンダリング、スチーム保湿、およびシューニップカレンダリング等のカレンダリング技術;
を使用することを含む。しかしながら、これらの有望な解決策は、必然的に高い資本経費を伴うので実行不可能である。
【0005】
さらに、上記のようなコストのかかる密度低下法が達成されるとしても(したがって、ターゲットキャリパーを有する紙基材が得られるとしても)、基材は、このような方法が、受け入れ可能な程度に平滑で且つ圧縮可能な紙基材表面の生成を促進する場合にのみ有用となる。現在、紙基材がプリントモトル(print mottle)の大幅な減少と許容しうる平滑度を有するように、許容しうる平滑度と圧縮性を有する紙基材の密度を低下させるための低コストの有望な解決策はほとんどない。
【0006】
外観および経済上の観点から、低密度でコートおよび/または非コートの紙製品、板紙、および/または紙基材が強く求められている。しかしながら現在の方法では、不満足な印字品質および/または印刷適性品質を有する基材がもたらされている。さらに、許容しうる平滑度のターゲットを、従来の方法を使用して達成するのは困難である。
【0007】
1つの方法は、紙基材中に膨張可能な微小球体を使用することにより、上記の問題をより低いコストで対処するというものである。これらの方法の一部が下記の米国特許に記載されている:米国特許第6,846,529号;第6,802,938号;第5,856,389号;および第5,342,649号;ならびに公開特許出願第20040065424号;第20040052989号;および第20010038893号(これら特許文献の全開示内容を参照により本明細書に含める)。
【0008】
しかしながらこのような微小球体は、紙製造プロセスにおいて適用した場合には、得られる紙基材中への保持率が比較的低いことがわかっている。この結果、膨張可能な微小球体が失われて白色紙となり、結果として得られる紙基材中に膨張可能な微小球体を導入する効率が低くなり、これにより上記した多くの高コストの解決策にさらに別のコストが加わることになる。
【0009】
したがって、密度を下げ、バルクを増大させ、そして優れた性能特性を保持するための、より低コストでより高効率の解決策が依然として求められている。
【発明の開示】
【0010】
本発明の1つの態様は、少なくとも1種の膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物とを含有する組成物である。1つの実施態様においては、本発明の組成物は、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上のゼータ電位を有する。他の実施態様においては、イオン性化合物は、イオン性有機化合物とイオン性無機化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物は少なくとも1種のポリ有機化合物(polyorganic compound)である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物は少なくとも1種のポリアミン化合物である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物は、架橋化合物、分岐化合物、またはこれらの組み合わせ物である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物は少なくとも1種のポリエチレンイミン化合物である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物は、少なくとも600の重量平均分子量を有する。さらに他の実施態様は、上記組成物の製造法と使用法に関する。
【0011】
他の態様においては、本発明は、少なくとも1種の膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物とを含有する組成物に関する。1つの実施態様においては、本発明の組成物が、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上のゼータ電位を有する。他の実施態様においては、イオン性化合物が、イオン性有機化合物とイオン性無機化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物がカチオン性である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物が、アルミナとシリカからなる群から選択される少なくとも1種の物質である。他の実施態様においては、イオン性化合物が、シリカ、アルミナ、酸化スズ、ジルコニア、酸化アンチモン、酸化鉄、および希土類金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の物質を含有するコロイドおよび/またはゾルである。
さらに他の実施態様は、上記組成物の製造法と使用法に関する。
【0012】
他の態様においては、本発明は、少なくとも1種の膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物とを含有する粒子に関する。1つの実施態様においては、本発明の組成物が、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上のゼータ電位を有する。他の実施態様においては、少なくとも1種の膨張可能な微小球体の外面がイオン性化合物に結びつけられている。他の実施態様においては、少なくとも1種の膨張可能な微小球体の外面がイオン性化合物に非共有結合的に結びつけられている。さらに他の実施態様においては、少なくとも1種の膨張可能な微小球体の外面がアニオン性である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物がカチオン性である。他の実施態様においては、イオン性化合物が、イオン性有機化合物とイオン性無機化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物が少なくとも1種のポリ有機化合物である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物が少なくとも1種のポリアミン化合物である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物が、架橋化合物、分岐化合物、またはこれらの組み合わせ物である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物が少なくとも1種のポリエチレンイミン化合物である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物が、少なくとも600の重量平均分子量を有する。さらに他の実施態様は、上記組成物の製造法と使用法に関する。
【0013】
他の態様においては、本発明は、少なくとも1種の膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物とを含有する粒子に関する。1つの実施態様においては、本発明の組成物が、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上のゼータ電位を有する。他の実施態様においては、少なくとも1種の膨張可能な微小球体の外面がイオン性化合物に結びつけられている。他の実施態様においては、少なくとも1種の膨張可能な微小球体の外面がイオン性化合物に非共有結合的に結びつけられている。さらに他の実施態様においては、少なくとも1種の膨張可能な微小球体の外面がアニオン性である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物がカチオン性である。他の実施態様においては、イオン性化合物が、イオン性有機化合物とイオン性無機化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物がカチオン性である。さらに他の実施態様においては、イオン性化合物が、アルミナとシリカからなる群から選択される少なくとも1種の物質である。他の実施態様においては、イオン性化合物が、シリカ、アルミナ、酸化スズ、ジルコニア、酸化アンチモン、酸化鉄、および希土類金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の物質を含有するコロイドおよび/またはゾルである。さらに他の実施態様は、上記組成物の製造法と使用法に関する。
【0014】
さらに他の態様においては、本発明は、少なくとも1種の膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物とを接触させて混合物を形成させることによって組成物を製造する方法に関する。さらに他の実施態様においては、混合物をさらに遠心分離にかけて、少なくとも1種のイオン性化合物を含んだ第1の相と、本発明の粒子を含んだ第2の相を形成させることができる。
【0015】
さらに他の態様においては、本発明は、少なくとも1種の膨張可能な微小球体に少なくとも1種のイオン性化合物を吸着させることによって組成物を製造する方法に関する。
さらに他の態様においては、本発明は、本発明の上記および/または下記態様のいずれかを含有し、そして本発明の上記および/または下記態様のいずれかから製造されたコートおよび/または非コートの紙基材および/または板紙基材に関する。したがって1つの実施態様においては、本発明の組成物は複数種のセルロース繊維を含有してよい。
【0016】
さらに他の態様においては、本発明は、本明細書に記載のコートおよび/または非コートの紙基材および/または板紙基材から製造された物品と包装材料に関する。
さらに他の態様においては、本発明は、0.1〜5重量%の複数種の膨張可能な微小球体を含有する基材、物品、および/または包装材料に関し、このとき前記の基材、物品、および/または包装材料は、TAPPI試験法T538om-1による測定にて250SU未満のシェフィールド平滑度、および6以下のスキャニング2ndシアンプリントモトル(a scanning 2nd cyan print mottle)を有する。本発明の1つの実施態様においては、基材、物品、および/または包装材料はカレンダーにかけることができる。本発明のさらに他の実施態様においては、膨張可能な微小球体の外面がイオン性化合物に結びつけられている。さらに他の実施態様においては、基材、物品、および/または包装材料は、0.1〜3重量%の複数種の膨張可能な微小球体を含有する。さらに他の実施態様においては、基材、物品、および/または包装材料は、0.1〜2重量%の複数種の膨張可能な微小球体を含有する。本発明のさらに他の実施態様においては、基材、物品、および/または包装材料は、少なくとも1つのコーティング層を含有する。本発明のさらに他の実施態様においては、コーティング層は、少なくとも1つのトップコートと少なくとも1つのベースコートで構成されている。さらに他の実施態様においては、基材、物品、および/または包装材料は、TAPPI試験法T538om-1による測定にて250SU未満のシェフィールド平滑度、およびカレンダリングした後に6未満のスキャニングプリントモトルを有する。さらに他の実施態様においては、基材、物品、および/または包装材料は、TAPPI試験法T555om-99による測定にて約1.0〜0.5のパーカープリント表面平滑度を有する。
【0017】
他の態様においては、本発明は、少なくとも1種の紙基材もしくは板紙基材を含有し、少なくとも1種の基材がセルロース繊維のウェブと増量剤を含有する物品または包装材料に関する。1つの実施態様においては、物品の重量が1オンス以下である。さらに他の実施態様においては、物品は、1オンスとの差が、同じ数の層を有する従来の包装材料のそれより大きい絶対値となるような重量を有する。
【0018】
上記の態様と実施態様を、製造法と使用法を含めて、以下により詳細に説明する。
(発明の詳細な説明)
本発明者らは、密度を下げるための、バルクを増大させるための、そして優れた性能特性(例えば、紙基材中の平滑度やプリントモトル)を保持するための、より低コストでより効率的な解決策を見出した。
【0019】
本発明は、紙基材もしくは板紙基材を製造する従来のいかなる方法にも組み込むことができる。例えば、「“Handbook for pulp and paper technologies”by G.A.Smook(1992),Angus Wilde Publications」(該文献の全開示内容を参照により本明細書に含める)等のハンドブック中に記載されている。
【0020】
したがって、本発明の1つの実施態様は、膨張可能な微小球体を含有する紙基材もしくは板紙基材である。
膨張可能な微小球体の量は変わってよく、基材、または最終的な紙製品もしくは板紙製品の総重量に依存する。紙基材は、基材の総重量を基準として0.001重量%より多い、さらに好ましくは0.02重量%より多い、そして最も好ましくは0.1重量%より多い膨張可能な微小球体を含有してよい。紙基材はさらに、基材の総重量を基準として20重量%未満の、さらに好ましくは10重量%未満の、そして最も好ましくは5重量%未満の膨張可能な微小球体を含有してよい。膨張可能な微小球体の量は、基材の総重量を基準として0.001重量%、0.002重量%、0.005重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、6.0重量%、7.0重量%、8.0重量%、9.0重量%、10.0重量%、11.0重量%、12.0重量%、13.0重量%、14.0重量%、15.0重量%、16.0重量%、17.0重量%、18.0重量%、19.0重量%、および20.0重量%であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0021】
膨張可能な微小球体は、その内側にボイドを形成する膨張可能なシェルを含有してよい。膨張可能なシェルは、炭素原子および/またはヘテロ原子を含有する化合物を含んでよい。炭素原子および/またはヘテロ原子を含有する化合物の例としては、有機ポリマーおよび/または有機コポリマーが挙げられる。これらのポリマーおよび/またはコポリマーは、架橋化合物および/または分岐化合物であってよい。
【0022】
膨張可能な微小球体は、熱的に活性化可能な発泡剤を含有する熱膨張可能な熱可塑性ポリマー中空球体であるのが好ましい。膨張可能な微小球体組成物の例、前記組成物の内容、前記組成物の製造法、および前記組成物の用途が、米国特許第3,615,972号、第3,864,181号、第4,006,273号、第4,044,176号、および第6,617,364号(これら特許文献の全開示内容を参照により本明細書に含める)に記載されている。さらに、公開されている米国特許出願第20010044477号、第20030008931号、第20030008932号、および第20040157057号(これら特許文献の全開示内容を参照により本明細書に含める)にも記載されている。このような膨張可能な微小球体は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアルキルメタクリレート、ポリスチレン、またはポリ塩化ビニルから製造することができる。
【0023】
本発明の膨張可能な微小球体は、いかなるポリマーおよび/またはコポリマーを含有してもよいが、ポリマーは、−150℃〜+180℃の範囲のTg(すなわちガラス転移温度)を有するのが好ましく、50℃〜150℃の範囲のTgを有するのがさらに好ましく、75℃〜125℃の範囲のTgを有するのが最も好ましい。Tgは、−150℃、−140℃、−130℃、−120℃、−110℃、−100℃、−90℃、−80℃、−70℃、−60℃、−50℃、−40℃、−30℃、−20℃、−10℃、0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、100℃、105℃、120℃、125℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、および180℃であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0024】
微小球体はさらに、ある量の熱エネルギーを加えると、微小球体の内壁に内部圧力をもたらす(このような圧力により球体が膨張する)よう作用する少なくとも1種の発泡剤を含有してよい。発泡剤は、液体および/またはガスであってよい。発泡剤はさらに、低沸点化合物(low boiling molecules)とこれら化合物の組み合わせ物から選択することができる。このような発泡剤は、ネオペンタン、ネオヘキサン、ヘキサン、プロパン、ブタン、ペンタン、これらの異性体、およびこれらの混合物等の低級アルカンから選択することができる。イソブタンは、ポリ塩化ビニリデン微小球体に対する好ましい発泡剤である。適切にコーティングされた膨張微小球体と非膨張微小球体が、米国特許第4,722,943号と第4,829,094号(該特許の全開示内容を参照により本明細書に含める)に開示されている。
【0025】
本発明の膨張可能な微小球体は、膨張していない状態にて約0.5〜200ミクロンの範囲の平均直径を有してよく、2〜100ミクロンの範囲の平均直径を有するのが好ましく、5〜40ミクロンの範囲の平均直径を有するのが最も好ましい。平均直径は、0.5ミクロン、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロン、5ミクロン、10ミクロン、15ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、35ミクロン、40ミクロン、45ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、110ミクロン、120ミクロン、130ミクロン、140ミクロン、150ミクロン、160ミクロン、170ミクロン、180ミクロン、190ミクロン、および200ミクロンであってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0026】
さらに、本発明の膨張可能な微小球体は、平均直径の約1〜15倍の最大膨張度を果たしてよく、1.5〜10倍の最大膨張度を果たすのが好ましく、2〜5倍の最大膨張度を果たすのが最も好ましい。最大膨張度は、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0027】
膨張可能な微小球体は、プラスに帯電していても、マイナスに帯電していてもよい。膨張可能な微小球体はさらに、中性であってもよい。膨張可能な微小球体はさらに、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上の正味のゼータ電位を有する本発明の組成物および/または粒子中に組み込むことができる。
【0028】
本発明の1つの実施態様は、膨張可能な微小球体を含有する組成物または粒子である。
本発明の組成物および/または粒子において、膨張可能な微小球体は、中性であっても、マイナスに帯電していても、あるいはプラスに帯電していてもよいが、マイナスに帯電しているのが好ましい。
【0029】
本発明の組成物および/または粒子はさらに、前述・後述にて開示の特性と同じ物理的特性を有する膨張可能な微小球体を含有してよく、膨張可能な微小球体に関して前述・後述したのと同じ仕方および同じ量にて、本発明にしたがって紙基材中に組み込むことができる。
【0030】
本発明の他の実施態様は、少なくとも1種の膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物とを含有する組成物および/または粒子である。膨張可能な微小球体は、プラスに帯電していても、中性であっても、および/またはマイナスに帯電していてもよい。イオン性化合物はさらに、プラスに帯電していても、および/またはマイナスに帯電していてもよい。イオン性化合物は、膨張可能な微小球体の正味の電荷とは反対の正味の電荷を有するのが好ましい。例えば、膨張可能な微小球体の正味の電荷がマイナスである場合、イオン性化合物の正味の電荷は、いかなる正味の電荷であってもよいが、正味の正電荷を有するのが好ましい。
【0031】
好ましい実施態様においては、本発明の組成物および/または粒子が膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物とを含有するとき、本発明の組成物および/または粒子は、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上の正味のゼータ電位を有する。正味のゼータ電位は、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV〜+500mVであるのが好ましく、ゼロmV〜+200mVであるのがさらに好ましく、ゼロmV〜+150mVであるのがさらに好ましく、+20mV〜+130mVであるのが最も好ましい(ゼータ電位は、分析および物理的技術において知られている、従来の標準的なゼータ電位測定法により測定;室温でのマイクロ電気泳動を使用する方法が好ましい)。
【0032】
本発明の組成物および/または粒子は、0mV、10mV、15mV、20mV、25mV、30mV、35mV、40mV、45mV、50mV、55mV、60mV、65mV、70mV、75mV、80mV、85mV、90mV、95mV、100mV、105mV、110mV、115mV、120mV、125mV、130mV、140mV、150mV、160mV、170mV、180mV、190mV、200mV、225mV、250mV、300mV、350mV、400mV、450mV、および500mVである正味のゼータ電位を有し、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0033】
本発明の組成物および/または粒子の正味のゼータ電位を測定するとき、このような電位は、分析および物理的技術において知られている、従来の標準的なゼータ電位測定法によって測定するのが好ましく(室温でのマイクロ電気泳動を使用する方法が好ましい)、pHが任意のpH値である場合、10-6M〜0.1Mのイオン強度にて約9.0以下であるのが好ましく、約8.0以下であるのがさらに好ましく、約7.0以下であるのが最も好ましい。pHは、約9.0、8.5、8.0、7.5、7.0、6.5、6.0、5.5、5.0、4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、および0.5であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0034】
本発明の組成物および/または粒子の正味のゼータ電位を測定するとき、このような電位は、分析および物理的技術において知られている、従来の標準的なゼータ電位測定法によって測定するのが好ましく(室温でのマイクロ電気泳動を使用する方法が好ましい)、pHが約9.0以下である場合、10-6M〜0.1Mの任意のイオン強度にて約8.0以下であるのが好ましく、約7.0以下であるのが最も好ましい。イオン強度は、10-6M、10-5M、10-4M、10-3M、10-2M、および10-1Mであってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0035】
イオン性化合物は、アニオン性および/またはカチオン性であってよく、膨張可能な微小球体がアニオン性であるとき、イオン性化合物はカチオン性であるのが好ましい。イオン性化合物はさらに、イオン性有機化合物、イオン性無機化合物、および/またはこれらの混合物であってよい。イオン性化合物はさらに、スラリーおよび/またはコロイドの形態であってよい。最後に、イオン性化合物は、1nm〜1ミクロン(好ましくは2nm〜400nm)の範囲の粒径を有してよい。イオン性化合物は、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、12nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、175nm、200nm、225nm、250nm、275nm、300nm、325nm、350nm、375nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、および1000nmである粒径を有してよく(1000nmは1ミクロンに等しい)、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0036】
イオン性化合物は、後述の、及び/又は製紙業界において一般的に知られている任意の物質および従来の添加剤のいずれであってもよい。イオン性化合物は、後述の定着剤(retention aids)のいずれか又は組み合わせ物であってよい。
【0037】
本発明の組成物および/または粒子中の、イオン性化合物と膨張可能な微小球体との重量比は、組成物および/または粒子が、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上の正味のゼータ電位を有する限り、1:500〜500:1であってよく、1:50〜50:1であるのが好ましく、1:10〜10:1であるのがさらに好ましい。イオン性化合物と膨張可能な微小球体との重量比は、1:500、1:400、1:300、1:200、1:100、1:50、1:40、1:30、1:20、1:10、1:5、1:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、100:1、200:1、300:1、400:1、および500:1であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0038】
イオン性化合物はイオン性無機化合物であってもよい。イオン性無機化合物の例としては、シリカ、アルミナ、酸化スズ、ジルコニア、酸化アンチモン、酸化鉄、および希土類金属酸化物などがあるが、これらに限定されない。イオン性無機化合物は、膨張可能な微小球体と接触したときに、スラリーおよび/またはコロイドおよび/またはゾルの形態となるのが好ましく、1nm〜1ミクロン(好ましくは2nm〜400nm)の範囲の粒径を有する。イオン性無機化合物がコロイドおよび/またはゾルの形態をとる場合、好ましいイオン性無機化合物はシリカおよび/またはアルミナを含有するのが好ましい。
【0039】
イオン性化合物はイオン性有機化合物であってよい。イオン性有機化合物の例としては、炭素含有化合物がある。イオン性有機化合物はさらに、窒素、酸素、および/またはハロゲン等のヘテロ原子を含有してよい。イオン性有機化合物はさらに、ヒドロキシル基、アミン基、アミド基、カルボニル基、およびカルボキシ基等のヘテロ原子含有官能基を有してよい。イオン性有機化合物はさらに、1より多い正電荷、負電荷、またはこれらが混ざり合った電荷を含有してよい。イオン性有機化合物はポリマーおよび/またはコポリマーであってよく、さらに環状ポリマー、分岐ポリマー、および/または架橋ポリマーであってよい。イオン性有機化合物がポリマーおよび/またはコポリマーであるとき、該化合物は、600〜5,000,000の重量平均分子量を有するのが好ましく、1000〜2,000,000の重量平均分子量を有するのがさらに好ましく、20,000〜800,000の重量平均分子量を有するのが最も好ましい。イオン性有機化合物の重量平均分子量は、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、7500、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、1,000,000、1,250,000、1,500,000、1,750,000、2,000,000、3,000,000、4,000,000、および5,000,000であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0040】
イオン性有機化合物は、アミン含有化合物であるのが好ましい。イオン性有機化合物は、ポリアミンであるのがさらに好ましい。例としては、ポリ(DADMAC)、ポリ(ビニルアミン)、および/またはポリ(エチレンイミン)などがあるが、これらに限定されない。
【0041】
本発明の組成物および/または粒子は、少なくとも1種の膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物を含有してよい。膨張可能な微小球体とイオン性化合物は、互いに接触していてもよい。例えば、イオン性化合物は、膨張可能な微小球体の外面および/または内面と接触している。イオン性化合物は、膨張可能な微小球体の外面と接触しているのが好ましい。こうした接触としては、膨張可能な微小球体がイオン性化合物でコーティングされている、および/または、膨張可能な微小球体にイオン性化合物が含浸されているという状況があるが、これらに限定されない。特定の理論で拘束されるつもりはないが、内側の膨張可能な微小球体と、その上に層状になった外側のイオン性化合物とを有する粒子を形成させるために、イオン性化合物が、共有結合力および/または非共有結合力によって(好ましくは非共有結合力によって)、膨張可能な微小球体の外面に結びつけられる。しかしながら、膨張可能な微小球体層の外面のある部分は、外側のイオン性化合物層によって完全に被覆することはできず、一方、膨張可能な微小球体層の外面の他の部分は、外側のイオン性化合物層によって実質的に完全に被覆することができる。このため、膨張可能な微小球体層の外面の幾つかの部分が露出状態になる。さらに、膨張可能な微小球体の外面は、少なくとも1種のイオン性化合物を含有する層によって完全に被覆することもできる。
【0042】
本発明の組成物および/または粒子は、膨張可能な微小球体とイオン性化合物とを接触させることによって、膨張可能な微小球体とイオン性化合物とを混合することによって、膨張可能な微小球体にイオン性化合物を吸収させることによって、膨張可能な微小球体にイオン性化合物を吸着させることによって、あるいは他のやり方によって作製することができる。膨張可能な微小球体とイオン性化合物の相対的な量は、従来の方法によって調整することができる。膨張可能な微小球体とイオン性化合物の相対的な量は、得られる本発明の組成物および/または粒子が、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上の正味のゼータ電位を有するような仕方で調整するのが好ましい。本発明の組成物および/または粒子における、接触状態にあるイオン性化合物と膨張可能な微小球体との重量比は、組成物および/または粒子が、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上の正味のゼータ電位を有する限り、1:100〜1001:1であってよく、好ましくは1:80〜80:1であり、さらに好ましくは1:1〜1:60であり、最も好ましくは1:2〜1:50である。本発明の組成物および/または粒子における、接触状態にあるイオン性化合物と膨張可能な微小球体との重量比は、1:100、1:90、1:80、1:70、1:60、1:50、1:40、1:30、1:20、1:10、1:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、および100:1であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0043】
イオン性化合物と膨張可能な微小球体との間の接触時間は、得られる組成物および/または粒子が、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上の正味のゼータ電位を有する限り、ミリ秒〜数年の範囲で変わってよい。接触は、0.01秒〜1年の範囲で起こるのが好ましく、0.1秒〜6ヶ月の範囲で起こるのがさらに好ましく、0.2秒〜3週間の範囲で起こるのがさらに好ましく、0.5秒〜1週間の範囲で起こるのが最も好ましい。
【0044】
膨張可能な微小球体とイオン性化合物とを接触させる前に、膨張可能な微小球体および/またはイオン性化合物のそれぞれは、乾燥状態であってもよいし、および/または、スラリー、湿潤ケーク、固体、液体、分散液、コロイド、もしくはゲルであってもよい。さらに、膨張可能な微小球体および/またはイオン性化合物のそれぞれは、希釈されていても、および/または濃縮されていてもよい。
【0045】
本発明の組成物および/または粒子は、膨張していない状態にて、約0.5〜200ミクロンの範囲の平均直径を有し、2〜100ミクロンの範囲の平均直径を有するのが好ましく、5〜40ミクロンの範囲の平均直径を有するのが最も好ましい。組成物および/または粒子の平均直径は、0.5ミクロン、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロン、5ミクロン、10ミクロン、15ミクロン、20ミクロン、25ミクロン、30ミクロン、35ミクロン、40ミクロン、45ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、110ミクロン、120ミクロン、130ミクロン、140ミクロン、150ミクロン、160ミクロン、170ミクロン、180ミクロン、190ミクロン、および200ミクロンであってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0046】
本発明の組成物および/または粒子はさらに、平均直径の約1〜15倍の最大膨張度を有してよく、1.5〜10倍の最大膨張度を有するのが好ましく、2〜5倍の最大膨張度を有するのが最も好ましい。最大膨張度は、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0047】
本発明の組成物および/または粒子は、紙製造プロセスの前に、および/または紙製造プロセス時に、上記の接触方法によって作製することができる。膨張可能な微小球体とイオン性化合物は、本発明の組成物および/または粒子が得られるように接触させるのが好ましく、こうして得られる本発明の組成物および/または粒子を、引き続きおよび/または同時に下記の繊維と接触させる。
【0048】
本発明の紙基材が本発明の組成物および/または粒子を含有する場合、本発明の組成物および/または粒子の量は変わってよく、基材または最終的な紙製品もしくは板紙製品の総重量に依存する。紙基材は、基材の総重量を基準として、本発明の組成物および/または粒子を0.001重量%より多い量にて含有してよく、0.02重量%より多い量にて含有するのがさらに好ましく、0.1重量%より多い量にて含有するのが最も好ましい。紙基材はさらに、基材の総重量を基準として、本発明の組成物および/または粒子を20重量%未満の量にて含有してよく、10重量%未満の量にて含有するのがさらに好ましく、5重量%未満の量にて含有するのが最も好ましい。本発明の組成物および/または粒子の量は、基材の総重量を基準として、0.001重量%、0.002重量%、0.005重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、6.0重量%、7.0重量%、8.0重量%、9.0重量%、10.0重量%、11.0重量%、12.0重量%、13.0重量%、15.0重量%、16.0重量%、17.0重量%、18.0重量%、19.0重量%、および20.0重量%であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0049】
本発明の紙基材は、セルロース繊維の織物を含有する。本発明の紙基材は、リサイクル繊維および/または未使用繊維を含有してよい。リサイクル繊維は、乾燥プロセスを少なくとも1回経ているという点で未使用繊維とは異なる。特定の実施態様においては、セルロース繊維/パルプ繊維の少なくとも一部を、非木質の葉状植物(ケナフ、アサ、ジュート、アマ、サイザル、またはマニラアサなどがあるが、これらに限定されない)から供給することができるが、法的規制や他の考慮すべき事項により、アサや他の繊維供給源の利用が非現実的もしくは不可能となっている。本発明のプロセスにおいては、漂白処理したパルプ繊維も、漂白処理していないパルプ繊維も使用することができる。
【0050】
本発明の紙基材は、基材の総重量を基準として1〜99重量%(1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、および99重量%を含む)のセルロース繊維を含有してよく、5〜95重量%のセルロース繊維を含有するのが好ましく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0051】
セルロース繊維の供給源は、針葉樹および/または広葉樹であるのが好ましい。
本発明の紙基材は、針葉樹から得られるセルロース繊維を、紙基材中のセルロース繊維の総重量を基準として1〜100重量%の量にて含有してよく、10〜60重量%の量にて含有するのが好ましい。この範囲は、紙基材中のセルロース繊維の総重量を基準として1重量%、2重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、および100重量%を含み、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0052】
本発明の紙基材は、針葉樹から得られる繊維を、紙基材の総重量を基準として0.01〜100重量%の量にて交互または重なり合った状態で含有してよく、10〜60重量%の量にて交互または重なり合った状態で含有するのが最も好ましい。本発明の紙基材は、紙基材の総重量を基準として針葉樹を0.01重量%以下、0.05重量%以下、0.1重量%以下、0.2重量%以下、0.5重量%以下、1重量%以下、2重量%以下、3重量%以下、4重量%以下、5重量%以下、6重量%以下、7重量%以下、8重量%以下、9重量%以下、10重量%以下、12重量%以下、15重量%以下、20重量%以下、25重量%以下、30重量%以下、35重量%以下、40重量%以下、45重量%以下、50重量%以下、55重量%以下、60重量%以下、65重量%以下、70重量%以下、75重量%以下、80重量%以下、85重量%以下、90重量%以下、95重量%以下、および100重量%以下の量にて含有し、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0053】
本発明の紙基材は、300〜750(好ましくは450〜750)のカナディアンスタンダードフリーネス(csf)を有する針葉樹からの針葉樹繊維を含有してよい。この範囲は、300csf、310csf、320csf、330csf、340csf、350csf、360csf、370csf、380csf、390csf、400csf、410csf、420csf、430csf、440csf、450csf、460csf、470csf、480csf、490csf、500csf、510csf、520csf、530csf、540csf、550csf、560csf、570csf、580csf、590csf、600csf、610csf、620csf、630csf、640csf、650csf、660csf、670csf、680csf、690csf、700csf、710csf、720csf、730csf、740csf、および750csfを含み、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。カナディアンスタンダードフリーネスは、TAPPI T-227標準試験によって測定される。
【0054】
本発明の紙基材は、広葉樹から得られるセルロース繊維を、紙基材中のセルロース繊維の総重量を基準として1〜99重量%の量にて含有してよく、30〜90重量%の量にて含有するのが好ましい。この範囲は、紙基材中のセルロース繊維の総重量を基準として1重量%、2重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、および100重量%を含み、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0055】
本発明の紙基材は、広葉樹から得られる繊維を、紙基材の総重量を基準として0.01〜100重量%の量にて交互または重なり合った状態で含有してよく、60〜90重量%の量にて交互または重なり合った状態で含有するのが最も好ましい。本発明の紙基材は、紙基材の総重量を基準としてファイン(fines)を0.01重量%以下、0.05重量%以下、0.1重量%以下、0.2重量%以下、0.5重量%以下、1重量%以下、2重量%以下、3重量%以下、4重量%以下、5重量%以下、6重量%以下、7重量%以下、8重量%以下、9重量%以下、10重量%以下、12重量%以下、15重量%以下、20重量%以下、25重量%以下、30重量%以下、35重量%以下、40重量%以下、45重量%以下、50重量%以下、55重量%以下、60重量%以下、65重量%以下、70重量%以下、75重量%以下、80重量%以下、85重量%以下、90重量%以下、95重量%以下、および100重量%以下の量にて含有し、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0056】
本発明の紙基材は、300〜750csf(さらに好ましくは450〜750csf)のカナディアンスタンダードフリーネス(csf)を有する広葉樹からの繊維を含有してよい。この範囲は、300csf、310csf、320csf、330csf、340csf、350csf、360csf、370csf、380csf、390csf、400csf、410csf、420csf、430csf、440csf、450csf、460csf、470csf、480csf、490csf、500csf、510csf、520csf、530csf、540csf、550csf、560csf、570csf、580csf、590csf、600csf、610csf、620csf、630csf、640csf、650csf、660csf、670csf、680csf、690csf、700csf、710csf、720csf、730csf、740csf、および750csfを含み、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。カナディアンスタンダードフリーネスは、TAPPI T-227標準試験によって測定される。
【0057】
紙基材が広葉樹繊維と針葉樹繊維の両方を含有する場合、広葉樹/針葉樹の比は0.001〜1000であるのが好ましく、90/10〜30/60であるのがさらに好ましい。この範囲は、0.001、0.002、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、および1000を含んでよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含むだけでなく、このような比を逆にしたときの全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0058】
さらに、本発明の紙基材が含有する針葉樹繊維および/または広葉樹繊維は、物理的および/または化学的な方法によって改良することができる。物理的方法の例としては、電磁気的な方法と機械的な方法があるが、これらに限定されない。電気的な改良方法としては、繊維と電磁エネルギー源(例えば、光および/または電流)とを接触させることを含む方法があるが、これに限定されない。機械的な改良方法としては、無生物(an inanimate object)と繊維とを接触させることを含む方法があるが、これに限定されない。このような無生物の例としては、鋭い刃および/または鈍い刃を有する物体がある。このような方法はさらに、例えば、切断、混練、ポウンディング(pounding)、およびインペイリング(impaling)などの方法を含む。
【0059】
化学的な方法の例としては、繊維上へのコンプレックス(complexes)の架橋と沈着を含めた従来の化学繊維改質法があるが、これに限定されない。このような繊維改質の例が、米国特許第6,592,717号、第6,592,712号、第6,582,557号、第6,579,415号、第6,579,414号、第6,506,282号、第6,471,824号、第6,361,651号、第6,146,494号、第H1,704号、第5,731,080号、第5,698,688号、第5,698,074号、第5,667,637号、第5,662,773号、第5,531,728号、第5,443,899号、第5,360,420号、第5,266,250号、第5,209,953号、第5,160,789号、第5,049,235号、第4,986,882号、第4,496,427号、第4,431,481号、第4,174,417号、第4,166,894号、第4,075,136号、および第4,022,965号(これらの特許文献の全開示内容を参照により本明細書に含める)に記載されているが、これらに限定されない。繊維のさらなる改質が、2005年2月19日付け出願の米国特許出願第60/654,712号〔該特許出願中に記載の蛍光増白剤(すなわちOBA)を加えることを含む〕に記載されている(該特許出願の全開示内容を参照により本明細書に含める)。
【0060】
“ファイン”の供給源は、Save All繊維、再循環流れ(recirculated streams)、リジェクト流れ(reject streams)、およびくず繊維流れにおいて見出すことができる。紙基材中に存在する“ファイン”の量は、このような流れを紙製造プロセスに加えられる速度を調整することによって変更することができる。
【0061】
本発明の紙基材は、広葉樹繊維と針葉樹繊維と“ファイン”繊維との組み合わせ物を含有するのが好ましい。“ファイン”繊維は、前述のように再循環され、平均の長さが、一般には100μm以下であり、好ましくは90μm以下であり、さらに好ましくは80μm以下であり、最も好ましくは75μm以下である。ファインの長さは、好ましくは5μm以下、10μm以下、15μm以下、20μm以下、25μm以下、30μm以下、35μm以下、40μm以下、45μm以下、50μm以下、55μm以下、60μm以下、65μm以下、70μm以下、75μm以下、80μm85以下、90μm以下、95μm以下、および100μm以下であり、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0062】
本発明の紙基材は、基材の総重量を基準として0.01〜100重量%のファインを含有し、0.01〜50重量%のファインを含有するのが好ましく、0.01〜15重量%のファインを含有するのが最も好ましい。紙基材は、基材の総重量を基準として0.01重量%以下、0.05重量%以下、0.1重量%以下、0.2重量%以下、0.5重量%以下、1重量%以下、2重量%以下、3重量%以下、4重量%以下、5重量%以下、6重量%以下、7重量%以下、8重量%以下、9重量%以下、10重量%以下、12重量%以下、15重量%以下、20重量%以下、25重量%以下、30重量%以下、35重量%以下、40重量%以下、45重量%以下、50重量%以下、55重量%以下、60重量%以下、65重量%以下、70重量%以下、75重量%以下、80重量%以下、85重量%以下、90重量%以下、95重量%以下、および100重量%以下のファインを含有し、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0063】
本発明の紙基材は、紙基材に含まれる繊維の総重量を基準として0.01〜100重量%のファインを交互または重なり合った状態で含有してよく、0.01〜50重量%のファインを交互または重なり合った状態で含有するのが好ましく、0.01〜15重量%のファインを交互または重なり合った状態で含有するのが最も好ましい。紙基材は、紙基材に含まれる繊維の総重量を基準として0.01重量%以下、0.05重量%以下、0.1重量%以下、0.2重量%以下、0.5重量%以下、1重量%以下、2重量%以下、3重量%以下、4重量%以下、5重量%以下、6重量%以下、7重量%以下、8重量%以下、9重量%以下、10重量%以下、12重量%以下、15重量%以下、20重量%以下、25重量%以下、30重量%以下、35重量%以下、40重量%以下、45重量%以下、50重量%以下、55重量%以下、60重量%以下、65重量%以下、70重量%以下、75重量%以下、80重量%以下、85重量%以下、90重量%以下、95重量%以下、および100重量%以下のファインを含有し、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0064】
好ましい実施態様においては、上記ファインのいずれかを、高いISO明度(ISO brightness)を有するように処理することができる。このように処理される繊維の例としては、“PULP AND PAPER HAVING INCREASED BRIGHTNESS”と題する、2006年2月21日付け出願の米国特許出願第11/358,543号(該特許出願の全開示内容を参照により本明細書に含める);および“PULP AND PAPER HAVING INCREASED BRIGHTNESS”と題する、2006年2月21日付け出願のPCT特許出願番号PCT/US06/06011(該特許出願の全開示内容を参照により本明細書に含める);に記載の繊維があるが、これらに限定されない。
【0065】
パルプ、繊維、および/または紙基材は、任意の明度および/またはCIE白色度を有してよいが(好ましくは本実施態様内において)、このような明度および/またはCIE白色度は下記のとおりである。
【0066】
本発明の繊維および/またはパルプおよび/または紙基材は、任意のCIE白色度を有してよいが、70より大きいCIE白色度を有するのが好ましく、100より大きいCIE白色度を有するのがさらに好ましく、そして125より大きい(さらには150より大きい)CIE白色度を有するのが最も好ましい。CIE白色度は、125〜200の範囲であってよく、130〜200の範囲であるのが好ましく、150〜200の範囲であるのが最も好ましい。CIE白色度は、70CIE白色度ポイント以上、80CIE白色度ポイント以上、90CIE白色度ポイント以上、100CIE白色度ポイント以上、110CIE白色度ポイント以上、120CIE白色度ポイント以上、125CIE白色度ポイント以上、130CIE白色度ポイント以上、135CIE白色度ポイント以上、140CIE白色度ポイント以上、145CIE白色度ポイント以上、150CIE白色度ポイント以上、155CIE白色度ポイント以上、160CIE白色度ポイント以上、165CIE白色度ポイント以上、170CIE白色度ポイント以上、175CIE白色度ポイント以上、180CIE白色度ポイント以上、185CIE白色度ポイント以上、190CIE白色度ポイント以上、195CIE白色度ポイント以上、および200CIE白色度ポイント以上であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。CIE白色度を測定し、繊維とそれから製造される紙においてこのような白色度を得る例が、例えば米国特許第6,893,473号(該特許の全開示内容を参照により本明細書に含める)に記載されている。
【0067】
本発明の繊維、パルプ、および/または紙基材は、任意のISO明度ポイントを有してよいが、80より大きいISO明度ポイントを有するのが好ましく、90より大きいISO明度ポイントを有するのがさらに好ましく、95より大きいISO明度ポイントを有するのが最も好ましい。ISO明度は、80〜100のISO明度ポイントであるのが好ましく、90〜100のISO明度ポイントであるのがさらに好ましく、95〜100のISO明度ポイントであるのが最も好ましい。この範囲は、80ISO明度ポイント以上、85ISO明度ポイント以上、90ISO明度ポイント以上、91ISO明度ポイント以上、92ISO明度ポイント以上、93ISO明度ポイント以上、94ISO明度ポイント以上、95ISO明度ポイント以上、96ISO明度ポイント以上、97ISO明度ポイント以上、98ISO明度ポイント以上、99ISO明度ポイント以上、および100ISO明度ポイント以上を含み、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。ISO明度を測定し、紙製造用の繊維とそれから製造される紙においてこのような明度を得る例が、例えば米国特許第6,893,473号(該特許の全開示内容を参照により本明細書に含める)に記載されている。
【0068】
本発明の紙基材は、1.0〜14.0のpH〔pHマーカー/ペンおよび従来のTAPPI法252や529(高温抽出試験および/または表面pH試験)などの、任意の従来法によって測定〕を有してよく、4.0〜9.0のpHを有するのが好ましい。この範囲は、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、および9.0のpHを含み、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0069】
本発明の紙基材は、任意の基本重量(basis weight)を有する抄紙機によって製造することができる。紙基材の基本重量は、高くても低くてもよく、少なくとも10ポンド/3000ft2の基本重量を含み、少なくとも20〜500ポンド/3000ft2であるのが好ましく、少なくとも40〜325ポンド/3000ft2であるのがさらに好ましい。基本重量は、10ポンド/3000ft2、20ポンド/3000ft2、30ポンド/3000ft2、40ポンド/3000ft2、50ポンド/3000ft2、60ポンド/3000ft2、70ポンド/3000ft2、80ポンド/3000ft2、90ポンド/3000ft2、100ポンド/3000ft2、110ポンド/3000ft2、120ポンド/3000ft2、130ポンド/3000ft2、140ポンド/3000ft2、150ポンド/3000ft2、160ポンド/3000ft2、170ポンド/3000ft2、180ポンド/3000ft2、190ポンド/3000ft2、200ポンド/3000ft2、210ポンド/3000ft2、220ポンド/3000ft2、230ポンド/3000ft2、240ポンド/3000ft2、250ポンド/3000ft2、260ポンド/3000ft2、270ポンド/3000ft2、280ポンド/3000ft2、290ポンド/3000ft2、300ポンド/3000ft2、310ポンド/3000ft2、320ポンド/3000ft2、330ポンド/3000ft2、340ポンド/3000ft2、350ポンド/3000ft2、360ポンド/3000ft2、370ポンド/3000ft2、380ポンド/3000ft2、390ポンド/3000ft2、400ポンド/3000ft2、425ポンド/3000ft2、475ポンド/3000ft2、および500ポンド/3000ft2であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。当然ながら、これらの基本重量は、1300ft2が基準となるよう容易に変換することができる。
【0070】
本発明の紙基材は、1〜20ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さの見掛け密度を有してよく、4〜14ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さの見掛け密度を有するのが好ましく、5〜10ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さの見掛け密度を有するのが最も好ましい。紙基材は、1ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、2ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、3ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、4ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、5ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、6ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、7ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、8ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、9ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、10ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、11ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、12ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、13ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、14ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、15ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、16ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、17ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、18ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、19ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、および20ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さの見掛け密度を有してよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。当然ながら、これらの重量は、1300ft2が基準となるよう容易に変換することができる。
【0071】
本発明の紙基材は、2〜35ミルのキャリパー(caliper)を有してよく、5〜30ミルのキャリパーを有するのが好ましく、10〜28ミルのキャリパーを有するのがさらに好ましく、12〜24ミルのキャリパーを有するのが最も好ましい。紙基材は、2ミル、3ミル、4ミル、5ミル、6ミル、7ミル、8ミル、9ミル、10ミル、11ミル、12ミル、13ミル、14ミル、15ミル、16ミル、17ミル、18ミル、19ミル、20ミル、21ミル、22ミル、23ミル、24ミル、25ミル、26ミル、27ミル、28ミル、29ミル、30ミル、31ミル、32ミル、33ミル、34ミル、および35ミルのキャリパーを有してよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。本発明の上記キャリパーはいずれも、本発明の紙基材における、カレンダリング手段を施す前のキャリパーであっても、あるいはカレンダリング手段を施した後のキャリパーであってもよい。
【0072】
本発明の紙基材は、400シェフィールドユニット(SU)未満のシェフィールド平滑度を有してよい。しかしながら、好ましいシェフィールド平滑度は、最終製品である紙基材が対象とする用途によって変わる。本発明の紙基材は、350SU未満のシェフィールド平滑度(TAPPI試験法T-538om-1によって測定)を有するのが好ましく、250SU未満のシェフィールド平滑度を有するのがさらに好ましく、そして200SU未満のシェフィールド平滑度を有するのが最も好ましく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。紙基材は、400SU、350SU、300SU、275SU、250SU、225SU、200SU、190SU、180SU、170SU、160SU、150SU、140SU、130SU、120SU、110SU、100SU、90SU、80SU、70SU、60SU、50SU、40SU、30SU、20SU、および10SUのシェフィールド平滑度を有してよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0073】
本発明の紙基材のシェフィールド平滑度は、本発明の膨張可能な微小球体および/または組成物および/または粒子を含有しない従来の紙基材のシェフィールド平滑度と比較して、少なくとも1%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%、そして最も好ましくは少なくとも50%だけ改良される。本発明の紙基材のシェフィールド平滑度は、本発明の膨張可能な微小球体および/または組成物および/または粒子を含有しない従来の紙基材のシェフィールド平滑度と比較して、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、700%、800%、900%、および100%だけ改良される。
【0074】
本発明の紙基材はさらに、定着剤、サイジング剤、バインダー、充填剤、増粘剤、および保存剤を含めた任意の物質を含んでよい。充填剤の例としては、クレー、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム半水和物、および硫酸カルシウム無水物などがあるがこれらに限定されない。好ましい充填剤は炭酸カルシウムであり、好ましい形態は沈降炭酸カルシウムである。バインダーの例としては、ポリビニルアルコール、アムレス(Amres)〔キメン(Kymene)タイプ〕、バイエル・パレッツ(Bayer Parez)、ポリクロライドエマルジョン、変性スターチ(ヒドロキシエチルスターチなど)、スターチ、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ポリオール、ポリアールカルボニル付加物、エタンジオール/ポリオール縮合物、ポリアミド、エピクロロヒドリン、グリオキサール、グリオキサールウレア、エタンジオール、脂肪族ポリイソシアネート、イソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネート、ポリイソシアネート、ポリエステル、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート、ポリアクリレート樹脂、アクリレート、およびメタクリレートなどがあるが、これらに限定されない。他の任意の物質としては、コロイドおよび/またはゾル等のシリカがあるが、これに限定されない。シリカの例としては、ケイ酸ナトリウムおよび/またはホウケイ酸塩等があるが、これらに限定されない。任意物質の他の例としては、水(これに限定されない)を含めた溶媒がある。
【0075】
本発明の紙基材は、凝固剤、凝集剤、および取り込み剤(entrapment agents)からなる群から選択される定着剤を、セルロース系繊維のバルク・多孔性増大用添加剤内に分散させた状態で含有してよい。
【0076】
添加剤の相当量の割合を板紙の周縁ではなく中央部に定着させるための、バルク増大用添加剤に対する定着剤。適切な定着剤は、多量の添加剤の凝固、凝集、または取り込みを通して作用する。凝固は、最初に分散されたコロイド粒子の沈降を含む。この沈降は、電荷を中和することで、あるいは粒子表面上に高電荷密度のパッチを形成させることで適切に達成される。ファイン、繊維、およびクレー等の天然の粒子はアニオン性であるので、凝固は、全体としての系にカチオン性物質を加えることによって行うのが有利である。このような選定されるカチオン性物質は、高い電荷対質量比を有するのが適切である。適切な凝固剤としては、ミョウバンや塩化アルミニウム等の無機塩、およびそれらの重合生成物(例えば、PACすなわちポリ塩化アルミニウムおよび合成ポリマー);ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)(すなわちDADMAC);ポリ(ジメチルアミン)-co-エピクロロヒドリン;ポリエチレンイミン;ポリ(3-ブテニルトリメチルアンモニウムクロライド);ポリ(4-エテニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド);ポリ(2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド);ポリ(5-イソプレニルトリメチルアンモニウムクロライド);およびポリ(アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド);などがある。高い電荷対質量比を有する他の適切なカチオン性化合物としては、全てのポリスルホニウム化合物(例えば、2-クロロメチル、1,3-ブタジエン、およびジアルキルスルフィドの付加物から得られるポリマー);アミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、もしくは種々のジアルキルアミン)とビス-ハロ化合物、ビス-エポキシ化合物、またはクロロヒドリン化合物(例えば、1,2-ジクロロエタン、1,5-ジエポキシヘキサン、もしくはエピクロロヒドリン)との反応によって得られる全てのポリアミン;全てのグアニジンポリマー〔例えば、グアニジンとホルムアルデヒドとの生成物(ポリアミンを使用する場合と、使用しない場合)〕;などがある。好ましい凝固剤は、約90,000〜200,000の分子量を有するポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)(すなわちDADMAC)、および約600〜5000,000の分子量を有するポリエチレンイミンである。本明細書中のポリマーとコポリマーの分子量は全て、ポリマー系の分子量を測定するのに一般的に使用されている重量平均分子量に基づいている。
【0077】
本発明の板紙の製造に適した他の有利な定着系(retention system)は凝集である。これは基本的には、反対に帯電した高分子量巨大分子を介しての粒子のブリッジングとネットワーキングである。これとは別に、ブリッジングは、二元ポリマー系を使用することによって達成される。単一添加剤のアプローチに対して有用な巨大分子は、カチオン性スターチ(アミラーゼとアミロペクチン)、カチオン性ポリアクリルアミド〔例えば、ポリ(アクリルアミド)-co-ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリ(アクリルアミド)-co-アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド〕、カチオン性ガム、キトサン、およびカチオン性ポリアクリレートである。スターチやガム等の天然巨大分子は通常、それらを2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(例えば、2-クロロエチル-ジアルキルアミン、アクリロイルオキシエチルジアルキルアンモニウムクロライド、およびアクリルアミドエチルトリアルキルアンモニウムクロライド等の他の化合物も使用することができる)で処理することによってカチオン性になる。二元ポリマーのアプローチに対して有用な二元添加剤は、〔凝固剤+高分子量のアニオン性巨大分子〕として作用する全ての化合物である。高分子量のアニオン性巨大分子としては、例えば、アニオン性スターチ、CMC(カルボキシメチルセルロース)、アニオン性ガム、アニオン性ポリアクリルアミド〔例えばポリ(アクリルアミド)-co-アクリル酸〕、または微細分散したコロイド粒子(例えば、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、ベントナイトクレー、またはサイテックインダストリーズ社からポリフレックスとして市販されているポリマーマイクロ粒子)などがある。セルロース、スターチ、およびガム等の天然巨大分子は通常、それらをクロロ酢酸で処理することによって(リン酸化反応等の他の方法も使用することができる)アニオン性になる。適切な凝集剤は、約100,000〜30,000,000の分子量を有する窒素含有有機ポリマーである。好ましいポリマーは、約10,000,000〜20,000,000の分子量を有する。最も好ましいポリマーは、約12,000,000〜18,000,000の分子量を有する。適切な高分子量ポリマーは、ポリアクリルアミド、アニオン性のアクリルアミド-アクリレートポリマー、約500,000〜30,000,000の分子量を有するカチオン性のアクリルアミドコポリマー、および約500,000〜2,000,000の分子量を有するポリエチレンイミンである。
【0078】
多量の添加剤を繊維板中に定着させるための第3の方法は取り込み(entrapment)である。これは、繊維ネットワーク中への粒子の機械的な取り込みである。取り込みは、ネットワーク形成をできるだけ多くすることによって〔例えば、高分子量のアニオン性ポリアクリルアミドまたは高分子量のポリエチレンオキシド(PEO)の存在下でネットワークを形成させることによって〕適切に達成される。これとは別に、二元添加剤(例えば、PEOとフェノール樹脂)の反応によって、ネットワーク中に分子ネット(molecular nets)が形成される。
【0079】
任意の物質を、紙基材の断面全体にわたって分散させることができ、あるいは紙基材の断面の内部でより濃縮させることもできる。さらに、他の任意の物質(例えば、バインダーおよび/またはサイジング剤)を、紙基材の断面の外面に向かってより高度に濃縮することもできる。さらに、高い割合の任意物質(例えば、バインダーやサイジング剤)を、基材の外面から、基材の全厚さの25%以下(さらに好ましくは10%以下)であるような距離に配置するのが好ましい。このような任意物質(例えば、バインダー/サイジング剤)を紙基材の断面の機能として局在化させている例が、たとえば“I-ビーム”構造を有する紙基材であり、“多量の表面サイジング剤と少量の内部サイジング剤を含有し、高い寸法安定性を有する紙基材”と題する米国仮特許出願第60/759,629号(該特許出願の全開示内容を参照により本明細書に含める)に記載されている。増量剤(bulking agents)を加えることを含むさらなる例が、“増量剤、多量の表面サイジング剤、および少量の内部サイジング剤を含有し、高い寸法安定性を有する紙基材”と題する米国仮特許出願第60/759,630号(該特許出願の全開示内容を参照により本明細書に含める);および“改良された剛性とバルクを有する紙、およびその製造法”と題する、公開番号2004-0065423として公開されている米国特許出願第10/662,699号(該特許出願の全開示内容を参照により本明細書に含める);に記載されている。
【0080】
バインダーの1つの例はポリビニルアルコール〔例えば、100%〜75%の範囲の加水分解率(%)を有するポリビニルアルコール〕である。ポリビニルアルコールの加水分解率(%)は、75%、76%、78%、80%、82%、84%、85%、86%、88%、90%、95%、94%、95%、96%、98%、および100%の加水分解率であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0081】
本発明の紙基材は、紙基材の総重量を基準として0.05重量%〜20重量%のPVOHを含有してよい。この範囲は、紙基材の総重量を基準として0.001重量%、0.002重量%、0.005重量%、0.006重量%、0.008重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、2重量%、4重量%、5重量%、6重量%、8重量%、10重量%、12重量%、14重量%、15重量%、16重量%、18重量%、および20重量%を含み、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0082】
本発明の紙基材はさらに、表面サイジング剤(例えば、スターチおよび/またはスターチの変性同等物および/またはスターチの機能性同等物)を、紙基材の総重量を基準として0.05〜20重量%の量にて含有してよく、5〜15重量%の量にて含有するのが好ましい。紙基材が含有するスターチの重量%は、紙基材の総重量を基準として0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、2重量%、4重量%、5重量%、6重量%、8重量%、10重量%、12重量%、14重量%、15重量%、16重量%、18重量%、および20重量%であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。変性スターチの例としては、例えば、酸化スターチ、カチオン性スターチ、エチル化スターチ、ヒドロエトキシル化スターチなどがある。機能性同等物の例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、アルギン酸塩、およびカルボキシメチルセルロースなどがあるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明の紙基材は、本発明の膨張可能な微小球体および/または組成物および/または粒子とセルロース繊維とを、逐次的および/または同時的に接触させることによって製造することができる。接触はさらに、上記した量のセルロースと、本発明の膨張可能な微小球体および/または組成物および/または粒子を、単独にて又は任意の組み合わせにて含有するよう、本発明の紙基材が得られる許容しうる濃度レベルにて行うことができる。本出願の紙基材はさらに、セルロース繊維1トン当たり0.25〜20ポンドの膨張可能な微小球体および/または組成物および/または粒子を加えることによって製造することができる。セルロース繊維1トン当たりの膨張可能な微小球体および/または組成物および/または粒子の量は、0.25ポンド、0.5ポンド、1ポンド、2ポンド、3ポンド、4ポンド、5ポンド、6ポンド、7ポンド、8ポンド、9ポンド、10ポンド、11ポンド、12ポンド、13ポンド、14ポンド、15ポンド、16ポンド、17ポンド、18ポンド、19ポンド、および20ポンドであってよい。
【0084】
接触は、スィックストック(thick stock)、スィンストック(thin stock)、ヘッドボックス(head box)、およびコーター(coater)を含めた(これらに限定されない)紙製造プロセスにおけるどの時点においても行うことができ、好ましい付加ポイントはスィンストックである。さらなる付加ポイントとしては、マシンチェスト、スタッフボックス、およびファンポンプのサクションなどがある。
【0085】
本発明の紙基材は、さらに他の任意物質とセルロース繊維とを接触させることによって製造することができる。接触は、スィックストック、スィンストック、ヘッドボックス、サイズプレス、ウォーターボックス、およびコーターを含めた(これらに限定されない)紙製造プロセスにおけるどの時点においても行うことができる。さらなる付加ポイントとしては、マシンチェスト、スタッフボックス、およびファンポンプのサクションなどがある。セルロース繊維、膨張可能な微小球体、および/または任意成分は、互いに任意の組み合わせにて、連続的に、逐次的に、および/または同時的に接触させることができる。セルロース繊維と膨張可能な微小球体は、紙製造プロセスに加える前に、あるいは紙製造プロセスの進行時に、いかなる組み合わせでも予備混合することができる。
【0086】
本発明の紙基材は、1つ以上のニップを含むプレスセクションにおいてプレスすることができる。しかしながら、製紙業界において一般的に知られているいかなるプレス手段も使用することができる。ニップは、プレスにおいて、シングルフェルテッド・ニップ(single felted nip)、ダブルフェルテッド・ニップ(double felted nip)、ロール・ニップ(roll nip)、およびエクステンデッド・ニップ(extended nip)であってよい(これらに限定されない)。しかしながら、製紙業界において一般的に知られているいかなるニップも使用することができる。
【0087】
本発明の紙基材は、乾燥セクションにおいて乾燥することができる。製紙業界において一般的に知られているいかなる乾燥手段も使用することができる。乾燥セクションは、乾燥缶(a drying can)、シリンダー乾燥手段、コンデベルト乾燥手段、IR乾燥手段、他の乾燥手段、および当業界に公知のメカニズムを含んでよい。紙基材は、任意の選定量の水を含有するように乾燥することができる。基材は、10%以下の水を含有するように乾燥するのが好ましい。
【0088】
本発明の紙基材は、サイズプレスに通すことができ、このとき製紙業界において一般的に知られているいかなるサイジング手段も許容しうる。サイズプレスは、例えば、パドルモードのサイズプレス(例えば、傾斜式、垂直式、水平式)であっても、あるいは計量式サイズプレス(例えば、ブレード計量式、ロッド計量式)であってもよい。サイズプレスにおいて、サイジング剤(例えばバインダー)と基材とを接触させることができる。これらの同じサイジング剤を、必要に応じて、紙製造プロセスのウェットエンドにて加えることができる。サイジング後、紙基材は、上記の代表的な手段、および製紙業界において一般的に知られている乾燥手段にしたがって再び乾燥してもよいし、あるいは乾燥しなくてもよい。紙基材は、任意の選定量の水を含有するように乾燥することができる。基材は、10%以下の水を含有するように乾燥するのが好ましい。
【0089】
紙基材は、製紙業界において一般的に知られているいかなるカレンダリング手段によってもカレンダー仕上げすることができる。さらに具体的に言えば、例えば、湿潤スタックカレンダリング、乾燥スタックカレンダリング、スチールニップカレンダリング、ホットソフトカレンダリング、またはエクステンデッドニップカレンダリング等を使用することができる。特定の理論で拘束されるつもりはないが、本発明の膨張可能な微小球体および/または組成物および/または粒子が存在すると、意図する用途に応じて、過酷なカレンダリング手段および特定の紙基材のための環境に対する要件が緩和される、と考えられる。カレンダリング時、紙基材を任意のニップ圧力にて処理することができる。しかしながら、ニップ圧力は5〜50psiであるのが好ましく、5〜30psiであるのがさらに好ましい。ニップ圧力は、5psi、10psi、15psi、20psi、25psi、30psi、35psi、40psi、45psi、および50psiであってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0090】
本発明の紙基材は、製紙業界において一般的に知られている任意のミクロ仕上げ手段にしたがってミクロ仕上げすることができる。ミクロ仕上げは、紙基材の表面を仕上げるための摩擦プロセスを含んだ方法である。紙基材は、逐次的および/または同時的に適用されるカレンダリング手段を使用しても、使用しなくてもミクロ仕上げすることができる。ミクロ仕上げ手段の例が、米国公開特許出願第20040123966号と該特許出願中の引用文献(該特許出願とこれら文献の全開示内容を参照により本明細書に含める)中に記載されている。
【0091】
本発明の1つの実施態様においては、本発明の紙基材はコートされた紙基材であってよい。本実施態様によれば、本発明の板紙および/または紙基材は、少なくとも1つのコーティング層(必要に応じて、2つのコーティング層および/またはそれより多い複数のコーティング層を含めて)を含んでよい。コーティング層は、板紙および/または紙基材の少なくとも1つの表面(2つの表面を含めて)に施すことができる。コーティング層はさらに、板紙および/または紙基材に貫入していてもよい。コーティング層はバインダーを含有してよい。コーティング層はさらに、必要に応じて顔料を含有してもよい。コーティング層の他の任意成分は、界面活性剤、分散助剤、および組成物をプリントするための他の従来の添加剤である。
【0092】
コーティング層は、分岐および/または架橋していてもよいコーティングポリマーおよび/またはコーティングコポリマーを含有してよい。この目的に適したポリマーとコポリマーは、270℃未満の融点と−150℃〜+120℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有するポリマーである。ポリマーとコポリマーは、炭素および/またはヘテロ原子を含有する。適切なポリマーの例としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ニトロセルロース、ポリエチレンテレフタレート、サラン(Saran)、およびスチレンアクリル酸コポリマーが挙げられる。代表的なコーティングポリマーとしては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースアセテートコポリマー、ビニルアセテートコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、およびスチレン-アクリルコポリマーなどがある。任意の標準的な板紙および/または紙基材のコーティング組成物を使用することができ、こうした組成物と方法が米国特許第6,379,497号(該特許の全開示内容を参照により本明細書に含める)に記載されている。使用できる好ましいコーティング組成物の例が、2004年9月20日付け出願の米国特許出願第10/945,306号(該特許出願の全開示内容を参照により本明細書に含める)に記載されている。
【0093】
コーティング層は、必要に応じて従来の任意の厚さを有する、標準的な方法(特に、プリント法)によって作製される単一もしくは複数の層を含んでよい。例えば、コーティング層は、ベースコート層とトップコート層を含んでよい。ベースコート層は、例えば、低密度の熱可塑性粒子と、任意の第1のバインダーを含有してよい。トップコート層は、例えば、少なくとも1種の顔料と、第1のバインダーとは異なっていてもいなくてもよい任意の第2のバインダーを含有してよい。ベースコート層の粒子と、トップコート層の少なくとも1種の顔料を、それぞれのバインダー中に分散させることができる。
【0094】
コーティング層の厚さは広い範囲で変わってよく、いかなる厚さも使用することができる。一般には、コーティング層の厚さは約1.8μm〜約9.0μmであり、コーティング中の各成分について平均の密度/重量比に基づいて算出される。コーティング層の厚さは、約2.7μm〜約8.1μmであるが好ましく、約3.2μm〜約6.8μmであるのがさらに好ましい。コーティング層の厚さは、1.8μm、2.0μm、2.2μm、2.5μm、2.7μm、3.0μm、3.2μm、3.5μm、3.7μm、4.0μm、4.2μm、4.5μm、4.7μm、5.0μm、5.2μm、5.5μm、5.7μm、6.0μm、6.2μm、6.5μm、6.7μm、7.0μm、7.2μm、7.5μm、7.7μm、8.0μm、8.2μm、8.5μm、8.7μm、および9.0μmであってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0095】
コーティング層のコート重量は広い範囲で変わってよく、従来のいかなるコートも使用することができる。ベースコートは一般に、約4gsm〜約20gsmの量にて紙基材に施される。ベースコートのコート重量は、約6gsm〜約18gsmであるのが好ましく、約7gsm〜約15gsmであるのがさらに好ましい。ベースコートのコート重量は、4gsm、5gsm、6gsm、7gsm、8gsm、9gsm、10gsm、11gsm、12gsm、13gsm、14gsm、15gsm、16gsm、17gsm、18gsm、19gsm、および20gsmであってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0096】
コート紙基材または非コート紙基材はいかなる基本重量を有してもよいが、1つの実施態様においては本発明のコート紙基材は、少なくとも20ポンド/3000ft2の基本重量を有してよく、140〜325ポンド/3000ft2の基本重量を有するのが好ましい。コート紙基材は、20ポンド/3000ft2、40ポンド/3000ft2、60ポンド/3000ft2、80ポンド/3000ft2、100ポンド/3000ft2、120ポンド/3000ft2、140ポンド/3000ft2、150ポンド/3000ft2、160ポンド/3000ft2、170ポンド/3000ft2、180ポンド/3000ft2、190ポンド/3000ft2、200ポンド/3000ft2、210ポンド/3000ft2、220ポンド/3000ft2、240ポンド/3000ft2、250ポンド/3000ft2、260ポンド/3000ft2、270ポンド/3000ft2、280ポンド/3000ft2、290ポンド/3000ft2、300ポンド/3000ft2、310ポンド/3000ft2、320ポンド/3000ft2、および325ポンド/3000ft2の基本重量を有してよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0097】
コート紙基材または非コート紙基材はいかなる見掛け密度を有してもよいが、1つの実施態様においては本発明のコート紙基材は、4〜12ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さの見掛け密度を有してよく、5〜10ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さの見掛け密度を有するのが好ましい。本実施態様のコート紙基材の見掛け密度は、4ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、5ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、6ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、7ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、8ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、9ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、10ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、11ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さ、および12ポンド/3000ft2・0.001インチ厚さであってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0098】
コート紙基材または非コート紙基材はいかなるキャリパーを有してもよいが、1つの実施態様においては本発明のコート紙基材は、8〜32ミルのキャリパーを有してよく、12〜24ミルのキャリパーを有するのがさらに好ましい。本実施態様のコート紙基材のキャリパーは、8ミル、10ミル、12ミル、13ミル、14ミル、15ミル、16ミル、17ミル、18ミル、19ミル、20ミル、21ミル、22ミル、23ミル、24ミル、26ミル、28ミル、30ミル、および32ミルであってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0099】
コート紙基材または非コート紙基材はいかなるシェフィールド平滑度を有してもよいが、1つの実施態様においては本発明のコート紙基材は、50未満のシェフィールド平滑度(TAPPI試験法T538om-1によって測定)を有してよく、30未満のシェフィールド平滑度を有するのが好ましく、20未満のシェフィールド平滑度を有するのがさらに好ましく、15未満のシェフィールド平滑度を有するのが最も好ましい。本実施態様のコート紙基材のシェフィールド平滑度は、50SU、45SU、40SU、35SU、30SU、25SU、20SU、15SU、10SU、および5SUであってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0100】
シェフィールド平滑度は、カレンダリングの前でも後でも測定することができる。本発明のコート紙基材のシェフィールド平滑度は、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、および/または粒子を含有しない従来のコート紙基材のシェフィールド平滑度と比較して10%だけ向上し、好ましくは20%だけ向上し、さらに好ましくは30%だけ向上し、そして最も好ましくは50%だけ向上する。
【0101】
コート紙基材または非コート紙基材はいかなるパーカープリント平滑度(10kgf/cm2)を有してもよいが、1つの実施態様においては本発明のコート紙基材は、2以下のパーカープリント平滑度(10kgf/cm2)(TAPPI試験法T555om-99によって測定)を有してよく、1.5以下のパーカープリント平滑度を有するのが好ましく、1.3以下のパーカープリント平滑度を有するのがさらに好ましく、そして約1.0〜0.5のパーカープリント平滑度を有するのが最も好ましい。本発明のコート紙基材のパーカープリント平滑度(10kgf/cm2)は、2.0、1.8、1.6、1.4、1.2、1.0、0.8、0.6、0.4、および0.2であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。本発明のコート紙基材のパーカープリント平滑度は、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、および/または粒子を含有しない従来のコート紙基材のパーカープリント平滑度と比較して5%だけ向上し、好ましくは20%だけ向上し、さらに好ましくは30%だけ向上し、そして最も好ましくは40%だけ向上する。パーカープリント平滑度の好ましい向上は、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、および/または粒子を含有しない従来のコート紙基材のパーカープリント平滑度と比較して10〜20%の範囲である。
【0102】
本発明のコート紙基材は、改良されたプリントモトル(2ndシアンスキャナーモトルによって測定)を有する。スキャナーモトルは下記の手順に従って測定される:シアンプロセスインクを1.35±0.05の反射濃度で使用する工業用のオフセット・リソ・プロダクション(offset litho production)に一般的な制御された条件下でプリントされた顔料コート紙または顔料コート板紙から代表的なサンプルを選択する。100%ソリッドのシアンプリント反射画像をデジタル処理でスキャンし、ゼロ〔モトルのない完全に均一なインクレイ(ink lay)〕と10(目視により分かる;プリントモトルのために、好ましくなくて不合格となりうる;視覚の反射濃度またはプリントエリアの色がランダムで不均一)との間のプリントモトル指数が得られるよう、ニュートラルネットワークモデル(a neutral network model)を介して変換する。この2ndシアンスキャナーモトルシステムからのデータを、zero-to-tenガイドラインを使用して主観的視覚認知に相関づけることもできるし、あるいは下記の式を使用して同等のモトル値〔トビアス・アソシエーツ(Tobias Associates)から市販のトビアスモトル試験機を使用して測定〕に変換することもできる:
トビアス=スキャナーモトル*8.8+188
上記の式をセットアップする手順と詳細が、2004年9月20日付け出願の米国特許出願第10/945,306号(該特許出願の全開示内容を参照により本明細書に含める)に記載されている。
【0103】
好ましい実施態様においては、本発明の板紙基材のコート紙または非コート紙は、任意の2ndシアンスキャナープリントモトルを有する。しかしながら、2ndシアンスキャナープリントモトルは0〜10であってよく、6以下であるのが好ましく、5以下であるのがさらに好ましく、4以下であるのが最も好ましい。2ndシアンスキャナープリントモトルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0104】
本発明のコート紙基材のプリントモトルは、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、および/または粒子を含有しない従来のコート紙基材のプリントモトルと比較して5%だけ向上し、好ましくは30%だけ向上し、そして最も好ましくは50%だけ向上する。プリントモトルの好ましい向上は、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、および/または粒子を含有しない従来のコート紙基材のプリントモトルと比較して10〜20%の範囲である。本発明のコート紙基材は、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、および/または粒子を含有しない従来のコート紙基材のプリントモトルと比較して1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、700%、800%、900%、および1000%だけ向上した2ndシアンスキャナープリントモトルを有する。
【0105】
コーティング紙(a coating paper)の他の好ましい実施態様においては、コーティング層の好ましい例は、基材の表面上にベースコートを含む。ベースコートは、低密度の熱可塑性粒子を、ポリマーバインダー中に分散させた状態で含む。本明細書で使用している“低密度の熱可塑性粒子”とは、ボイド体積を含めて、乾燥状態にて1.2kg/リットル未満の密度を有する熱可塑性もしくは弾性ポリマーから形成される粒子を表わしている。密度は0.8kg/リットル未満であるのが好ましく、0.6kg/リットル未満であるのがさらに好ましく、約0.3kg/リットル〜約0.6kg/リットルであるのが最も好ましい。低密度の熱可塑性粒子は、膨張可能ではないのが好ましく、約3ミクロン未満の直径を有するのがさらに好ましく、約2ミクロン未満の直径を有するのがさらに好ましく、約0.1〜約1.0ミクロンの直径を有するのが最も好ましい。特定の理論で拘束されるつもりはないが、低密度の熱可塑性粒子を組み込むと、ベースコートがより圧縮可能となり、材料の有用な特性が増強される、と考えられる。改良される特性としては、ベースコート中に低密度の熱可塑性粒子が存在すること以外は同じ特性を有する類似材料と比較した場合の、2ndシアンスキャナーモトルの減少、シートとプリントの光沢の増大、および/またはシェフィールド平滑度とパーカープリント平滑度の増大、などがある。
【0106】
特定の理論で拘束されるつもりはないが、コーティング厚さおよび[圧縮性(圧縮の範囲)荷重]対[バックトラップ・オフセットプリントモトルを減少させるのに必要なコーティング高さの減少]比の量は、オフセット印刷圧力にてベース板紙形成のZ方向非均一性に正比例する、と考えられる。例えば、オフセット印刷圧力は、一般には約10kg/cm2の範囲であり、パーカープリント表面粗度(PPS、ミクロン)のR(ゴム)10kg/cm2として標準化されている。これらの荷重範囲が使用される場合、ポイント-to-ポイントの印刷圧力の変動を防ぐか又は少なくするために、使用される荷重範囲でのベースコートの圧縮性により、Z方向ハードの繊維-to-繊維のクロスオーバーポイントを“遊動(float)または緩和(cushion)”させなければならない。こうした変動が存在する場合、これらの変動によってさらに、初期にインクフィルム転写の変動の移動が起こり、引き続きプリントユニットの変動が起こり(したがって、インクフィルムのバックトラッピングパートにむらが生じ)、引き続きオフセットブランケット(圧胴)が生じる。
【0107】
使用できる低密度の熱可塑性粒子は広い範囲で変わってよく、少なくとも約175nmの粒径を有する中空ポリマープラスチックの顔料とバインダーがあるが、これらに限定されない。これらの例としては、ローム&ハース社から市販のROPAQUE(登録商標)HP1055とAF1353、およびダウケミカル社から市販のHS2000NAとHS3000NAプラスチック顔料などがある。ベースコート中に存在する低密度熱可塑性粒子の量は広い範囲で変わってよいが、好ましくはベースコート組成物の約30重量%未満の量である。低密度熱可塑性粒子は、ベースコート組成物の約1〜約15重量%の量にて存在するのがさらに好ましく、ベースコート組成物の約2〜約10重量%の量にて存在するのがさらに好ましく、そしてベースコート組成物の約3〜約7重量%の量にて存在するのが最も好ましい。
【0108】
ベースコートは、炭酸カルシウム(またはその同等物)と低密度熱可塑性粒子との組み合わせ物を含有してよい。低密度熱可塑性粒子の量は、低密度熱可塑性粒子と炭酸カルシウム(またはその同等物)のと組み合わせ物の総重量を基準として0.5〜30重量%であってよく、1〜8重量%であるのが好ましく、3〜7重量%であるのがさらに好ましく、4〜6重量%であるのが最も好ましい。
【0109】
ベースコートの他の必須成分としては、1種以上のポリマーバインダーがある。有用なバインダーの例としては、コート紙において従来使用されているものがあり、例えば、スチレンブタジエンゴムラテックス、スチレンアクリレート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルアセテートとそのコポリマー、ビニルアセテートコポリマー、カルボキシル化SBRラテックス、スチレン/アクリレートコポリマー、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル、スチレン/ブタジエン/アクリレート/アクリロニトリル、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリエステル樹脂、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸塩、セルロース誘導体、アクリルビニルポリマー、大豆タンパクポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、スターチ、エトキシル化・酸化された酵素変換スターチ、カチオン性スターチ、水溶性ガム、および水溶性もしくは水不溶性樹脂とポリマーラテックスとの混合物などを使用することができる。好ましいポリマーバインダーは、カルボキシル化SBRラテックス、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、スチレン/アクリロニトリルコポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー、およびビニルアセテートポリマーとコポリマーである。
【0110】
十分な粒径を有するバインダーラテックス粒子はさらに、無機もしくは有機バルキング顔料と共に組み込まれる場合は初期バルキングをもたらす。ラテックス粒子は一般に、紙コーティング用途向けに約100〜約300nmの粒径を有する。圧縮性をもたらすための、十分な粒径を有するラテックス粒子は、一般には少なくとも175nmの粒径を有する。圧縮性をもたらすラテックスの粒径は、ベースコートに使用される無機顔料および有機顔料の平均粒径に正比例する。一般には、板紙ベースコートに使用される重質炭酸カルシウム(GCC)の供給源は、OMYAから市販のハイドロカーブ(HYDROCARB)(登録商標)60である。この重質炭酸カルシウムは、粒子の60%が2ミクロン未満の粒径を有する、湿式ボールミル粉砕製品である。反対に、粒子の40%は約2ミクロン以上である。ラテックス粒子の粒径は、主としてハイドロカーブ60炭酸カルシウムまたはその類似品で構成されるベースコート向けに少なくとも175nmであるのが好ましい。ラテックス粒子の粒径は少なくとも185nmであるのがさらに好ましく、少なくとも190nmであるのがさらに好ましい。
【0111】
炭酸カルシウム源は任意の量にて混合することができる。例えば、粒子の60%が2ミクロン未満の粒径を有する重質炭酸カルシウム源は、炭酸カルシウムの総重量を基準として10〜90重量%の量にて存在してよい。粒子の60%が2ミクロン未満の粒径を有する炭酸カルシウム源の量は、炭酸カルシウムの総重量を基準として10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、および90重量%であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0112】
炭酸カルシウム源は任意の量にて混合することができる。例えば、粒子の40%が2ミクロン未満の粒径を有する重質炭酸カルシウム源は、炭酸カルシウムの総重量を基準として10〜90重量%の量にて存在してよい。粒子の40%が2ミクロン未満の粒径を有する炭酸カルシウム源の量は、炭酸カルシウムの総重量を基準として10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、および90重量%であってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0113】
本発明のより好ましい実施態様においては、追加の顔料または充填剤が、コート紙および板紙の特性を改良するように使用される。これらの追加顔料は広い範囲で変わってよく、コート紙および板紙において一般的に使用される無機顔料(例えば、シリカ、クレー、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、活性クレー、珪藻土、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、および水酸化アルミニウムなど)を含む。追加の初期コーティングバルク(initial coating bulk)を加えるために、バルキー構造を有する沈降炭酸カルシウム(例えばロゼット結晶)等の無機粒子も組み込むことができる。本発明の最も好ましい実施態様においては、ロゼット構造または他のバルキー構造を有する無機顔料をベースコートに組み込んで、より大きな初期バルクまたは初期厚さを有するベースコートを作製することができる。ロゼット構造は、より大きなコーティング厚さをもたらし、したがって所定のコート重量に対するコーティングの有効範囲が改良される。これにより、コーテッドSBSペーパーボードマシン(coated SBS paperboard machines)にてホットソフトグロスカレンダー(hot soft gloss calendars)によって圧縮したときに、より簡単にZ方向に移動するための、したがって低スポット数の減少したレベルコーテッド表面(a level coated surface)を形成させるための乾燥コーティングが可能となる。好ましい無機顔料としては、沈降炭酸カルシウム、機械的または化学的に処理されたクレー、焼成クレー、および乾燥時にコーティングの平均密度を低下させるように作用する他の顔料タイプなどがあるが、これらに限定されない。これらの顔料は、乾燥されたベースコートに対して圧縮性をもたらさない。これらの顔料は、平均コーティング密度を相乗的に低下させ、所定のコート重量での平均コーティング厚さを増大させ、したがって、圧縮性の材料(例えば、大きな粒径のバインダーや中空プラスチック球体)は、オフセット印刷ニップにおける印刷圧力のポイント-to-ポイント変動が生じないよう、ベース板紙の形成のZ方向非均一性を緩和させる上でより効率的になる。
【0114】
ベースコートのコート重量は広い範囲で変わってよく、従来のいかなるコート重量も使用することができる。ベースコートは、約4〜約20gmsの量にて紙基材に施される。ベースコートのコート重量は、約6〜約18gmsであるのが好ましく、約7〜約15gmsであるのがさらに好ましい。ベースコートの厚さは広い範囲で変わってよく、いかなる厚さも使用することができる。一般には、ベースコートの厚さは、少なくとも約1.8〜約9.0μmであり、これは平均密度とコーティング中の各成分の重量比に基づいて算出されている。ベースコートの厚さは、約2.7〜約8.1μmであるのが好ましく、約3.2〜約6.8μmであるのがさらに好ましい。異なった形状に対する包装ファクター(packing factors)を考慮に入れると、不浸透性の表面に施すときの平均厚さは、ここに記載の理論値よりかなり大きい。しかしながら、板紙の粗い特性、およびベースコートを12g/m2の平均コート重量にて施し、計量するのに使用される塗被・計量システムのために、紙の粗い高スポット(rough high spots)におけるコーティング厚さは2〜3ミクロンという小さな値であってよく、一方、大きな表面繊維間のくぼみは、10+ミクロンという大きなコーティング厚さを有してよい。ベースコートの剛性ブレード計量により平らな表面がもたらされ、この表面に極めて均一なトップコートが施される。
【0115】
材料のさらなる成分はトップコートである。トップコートは、1種以上の無機顔料を、1種以上のポリマーバインダー中に分散させた状態で含む。ポリマーバインダーと無機顔料は、コート紙と板紙のコーティングにおいて一般的に使用されているものである。有用な顔料およびバインダーの例としては、ベースコートに使用されているものが挙げられる。
【0116】
トップコートのコート重量は広い範囲で変わってよく、従来のいかなるコート重量も使用することができる。トップコートは一般に、約4〜約20gmsの量にて紙基材に施される。ベースコートのコート重量は、約6〜約18gmsであるのが好ましく、約7〜約15gmsであるのがさらに好ましい。トップコート16の厚さは広い範囲で変わってよく、いかなる厚さも使用することができる。一般には、ベースコートの厚さは、少なくとも約1.8〜約9.0μmであり、これは平均密度とコーティング中の各成分の重量比に基づいて算出されている。ベースコートの厚さは、約2.7〜約8.1μmであるのが好ましく、少なくとも約3.2〜約6.8μmであるのがさらに好ましく、これは平均密度とコーティング中の各成分の重量比に基づいて算出されている。ボイド体積が、全ての顔料間にてバインダーと添加剤によって充填されるポイントを“臨界ボイド体積”と呼ぶ。ペイント業界においては、このポイントを“艶消しペイントから艶出しペイントへの移行”と呼ぶ。
【0117】
本発明のコート紙または板紙は、公知の従来法を使用して製造することができる。コーティング配合物を作製し、紙基材に施すための方法と装置は、紙・板紙業界においてよく知られている。例えば、「前出の文献G.A.Smookおよび該文献中の引用文献」(これらの文献を参照により本明細書に含める)を参照。このような公知の方法は全て、本発明を実施する上で使用することができ、ここでは詳細には説明しない。例えば、必須の顔料と、必須のポリマーもしくはコポリマーバインダーと、任意の成分との混合物を、適切な液体媒体(好ましくは水)中に溶解もしくは分散させる。
【0118】
トップコートコーティング配合物とベースコートコーティング配合物の固形分(%)は広い範囲で変わってよく、従来の固形分を使用することができる。ベースコートコーティング配合物の固形分は約45%〜約70%であるのが好ましい。なぜなら、この範囲内において、乾燥要求の増大した材料によって優れたスキャナーモトル特性が示されるからである。ベースコートコーティング配合物中の固形分は、約57%〜約69%であるのが好ましく、約60%〜約68%であるのが最も好ましい。好ましい実施態様におけるベースコートコーティング配合物中の固形分は約63%〜約67%である。
【0119】
コーティング配合物は、任意の適切な方法〔例えば、キャストコーティング、ブレードコーティング、エアナイフコーティング、ロッドコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、メイヤーロッドコーティング、リバースロールコーティング、または押出コーティングなど〕によって基材に施すことができる。コーティング配合物はさらに、ロッド計量法または他の計量法を使用して、抄紙機のサイズプレスにて施すこともできる。本発明の好ましい実施態様においては、ベースコートコーティング配合物がブレードコーターを使用して施され、トップコートコーティング配合物がブレードコーターまたはエアナイフコーターを使用して施される。最も好ましい実施態様においては、ベースコートが剛性ブレードコーターを使用して施され、トップコートがベントブレードコーターまたはエアナイフコーターを使用して施される。
【0120】
コート紙もしくは非コート紙基材または板紙基材は、コーティング配合物で処理した後に乾燥される。コーティング配合物で処理された紙ウェブまたは板紙ウェブを乾燥するための方法と装置は、紙・板紙業界においてよく知られている。例えば、「前出の文献G.A.Smookおよび該文献中の引用文献」を参照。従来のいかなる乾燥法および装置も使用することができる。したがって、これらの方法と装置については、ここでは詳細には説明しない。乾燥後、紙ウェブと板紙ウェブは、約10重量%以下の含水率を有するのが好ましい。乾燥した紙ウェブまたは板紙ウェブ中の水分の量は、約5〜約10重量%であるのが好ましい。
【0121】
乾燥後、コート紙もしくは非コート紙基材または板紙基材は、1つ以上の後乾燥工程(例えば、「前出の文献G.A.Smookおよび該文献中の引用文献」に記載の工程)に付すことができる。例えば、紙ウェブまたは板紙ウェブをカレンダーに掛けて平滑度を向上させ、そして、例えばカレンダーによって形成されるニップにコート紙を通すことによって、紙のプリントモトル性能および他の特性を改良することができる。トップコート紙または板紙の表面に光沢を付与するのに、グロスカレンダー(クロムめっきを施したスチールがゴムロールに対向している)またはホットソフトグロスカレンダー(クロムめっきを施したスチールが複合ポリマー表面に対向している)が使用される。これらのカレンダーにおいて必要とされる熱と圧力の量は、ニップに進入するウェブの速度、ロールのサイズ、ロールの組成と硬度、個別の荷重、トップコートとベースコートの重量、下側に存在する粗い板紙の粗さ、コーティングのバインダー強度、およびコーティング中に存在する顔料の粗さに依存する。一般には、トップコートは、極めて微細な粒径のクレーと重質もしくは沈降炭酸カルシウム、バインダー、レオロジー助剤、および他の添加剤を含有する。一般には、ホットソフトカレンダーは直径が1m以上であり、非常に高温の熱伝導流体を使用して内部が加熱される。加熱されるスチールロールの直径は、抄紙機の幅に直接依存する。一般には、400"というより幅の広い抄紙機(300"や250"幅の抄紙機と比較して)は、はるかに大きな直径のロールを必要とし、したがってロールの重量が中心部におけるロールのたるみを引き起こすことはない。クラウンコンペンセーティング(crown compensating)であるような、水圧荷重で内部荷重の加熱ロールが使用される。使用される表面温度は、一般には100〜200℃の範囲である。好ましい範囲は130℃〜185℃であり、このときニップ荷重は20kN/m〜300kN/mである。
【0122】
含浸手段を含めた従来の任意のコーティング層塗布手段によって、基材とコーティング層を互いに接触させる。コーティング層を施す好ましい方法は、1つ以上のステーションを含んだインラインコーティングプロセスを使用する方法である。コーティングステーションは、製紙業界において一般的に知られているコーティング手段(例えば、ブラシ、ロッド、エアナイフ、スプレー、カーテン、ブレード、トランスファーロール、リバースロール、および/またはキャストコーティング手段、ならびにこれらの任意の組み合わせを含む)のいずれであってもよい。
【0123】
コート基材は、乾燥セクションにおいて乾燥することができる。製紙および/またはコーティングの業界において一般的に知られているいかなる乾燥手段も使用することができる。乾燥セクションは、IR、圧搾空気乾燥機、および/またはスチーム加熱乾燥缶、あるいはコーティング業界に公知の他の乾燥手段とメカニズムを含んでよい。
【0124】
コート基材は、製紙業界において一般的に知られている任意の仕上げ手段によって仕上げることができる。1つ以上の仕上げステーションを含むこのような仕上げ手段の例としては、グロスカレンダー、ソフトニップカレンダー、および/またはエキステンデッドニップカレンダーなどがある。
【0125】
本発明の組成物、粒子、および/または紙基材を製造する上記方法は、研磨、サンダー仕上げ、スリッティング、スコーリング(scoring)、孔あけ、スパーキング、カレンダリング、シート仕上げ、コンバーティング(converting)、コーティング、貼り合わせ、およびプリント等を含めた転化プロセス(converting processes)だけでなく、従来のあらゆる紙製造プロセスに適用することができる。従来の好ましいプロセスは、コートおよび/または非コートの紙製品、ボード、および/または基材として使用することができる紙基材が得られるように調整されたプロセスを含む。
【0126】
基材はさらに、他の従来の添加剤(例えば、スターチ、無機充填剤とポリマー充填剤、サイジング剤、定着剤、および強化用ポリマーなど)を含んでよい。使用できる充填剤としては、有機顔料と無機顔料(例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、発泡微小球体、および膨張可能な微小球体など)がある。他の従来の添加剤としては、湿潤紙力増強用樹脂、内部サイズ剤、乾燥紙力増強用樹脂、ミョウバン、充填剤、顔料、および染料などがあるが、これらに限定されない。
【0127】
本発明の膨張可能な微小球体、組成物、粒子、および/または紙基材は、当業界において一般的に知られている、紙基材および/または板紙基材を使用するいかなる最終用途に対しても使用することができる。このような最終用途としては、紙および/または板紙による包装材料および/または物品(それぞれの基材において高い基本重量や低い基本重量を要求するものを含み、封筒形態物から折り畳み式段ボール箱までの範囲があってよい)の製造がある。さらに、最終製品、最終物品、および/または最終包装材料は、複数の紙基材層を有してよく(例えばコルゲート構造)、この場合、少なくとも1つの層が、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、粒子、および/または紙基材を含有する。
【0128】
1つの実施態様においては、物品が複数の紙基材を含有し、このときいずれかおよび/または全てが、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、粒子、および/または紙基材を含んでよい。
【0129】
この特定の実施態様においては、膨張可能な微小球体、組成物、および/または粒子が、紙物品や紙基材を増量させるための手段となっている。しかしながら、本実施態様においては、いかなる増量手段も使用することができ、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、粒子、および/または紙基材は好ましい増量手段である。さらに、本発明の物品/包装材料/基材においては、複数種の増量手段を使用することができる。
【0130】
他の増量手段の例としては、界面活性剤、リアクトペイク(Reactopaque)、予備発泡球体、BCTMP(漂白ケミサーモメカニカルパルプ)、ミクロ仕上げ剤(microfinishing)、および紙基材もしくは板紙基材においてIビーム構造物をつくり上げるための多数重なり構造物などがあるが、これらに限定されない。このような増量手段は、紙基材中に組み込まれるか、あるいは紙基材に施されると、厳しいカレンダリング条件の非存在下にて十分な印刷品質、キャリパー、および基本重量等をもたらし〔すなわち、カレンダリング手段1つ当たりの、単一ニップおよび/またはレスニップ(less nip)での圧力〕、さらに物品が下記の物理的仕様と性能特性を有する紙基材を含有するのを可能にする。
【0131】
本発明のこの実施態様による物品は、増量手段が添加剤であるとき、最終製品1トン当たり0.01〜20ポンド(好ましくは0.5〜10ポンド)の範囲の増量手段を含有してよい。増量手段は、増量手段が添加剤であるとき、最終製品1トン当たり0.01ポンド、0.05ポンド、0.1ポンド、0.25ポンド、0.5ポンド、0.75ポンド、1ポンド、1.5ポンド、2ポンド、2.5ポンド、3ポンド、3.5ポンド、4ポンド、4.5ポンド、5ポンド、6ポンド、7ポンド、8ポンド、9ポンド、10ポンド、11ポンド、12ポンド、13ポンド、14ポンド、15ポンド、16ポンド、17ポンド、18ポンド、19ポンド、および20ポンドにて存在してよい。
【0132】
物品が封筒および/または特定の形態物であるとき、本発明のこの実施態様による物品は、本発明の紙基材を、3.5〜8ミルの範囲のキャリパーにて含有してよく、4.2〜6.0ミルの範囲のキャリパーにて含有するのがさらに好ましく、4.9〜5.2ミルの範囲のキャリパーにて含有するのが最も好ましい。
【0133】
物品が封筒および/または特定の形態物であるとき、本発明のこの実施態様による物品は、本発明の紙基材を、12〜30ポンド/1300ft2の範囲の基本重量にて含有してよく、16〜24ポンド/1300ft2の範囲の基本重量にて含有するのがさらに好ましく、16〜22ポンド/1300ft2の範囲の基本重量にて含有するのが最も好ましい。
【0134】
物品が封筒および/または特定形態物であるとき、本発明のこの実施態様による物品は、本発明の紙基材を、3.0〜7.0ポンド/1300ft2・0.001インチ厚さの密度にて含有してよく、3.5〜5.0ポンド/1300ft2・0.001インチ厚さの密度にて含有するのがさらに好ましく、3.75〜4.25ポンド/1300ft2・0.001インチ厚さの密度にて含有するのが最も好ましい。
【0135】
物品が封筒および/または特定形態物であるとき、本発明のこの実施態様による物品は、本発明の紙基材を、500msf以下のMDガーレイ剛性にて含有してよく、150〜500msfのMDガーレイ剛性にて含有するのが好ましく、225〜325msfのMDガーレイ剛性にて含有するのがさらに好ましい。MDガーレイ剛性は、標準的な変換手段(converting means)に適応するほどに十分な値でなければならず、好ましい変換手段は、封筒や特定形態物を製造する業界において一般的に知られているものである。
【0136】
物品が封筒および/または特定形態物であるとき、本発明のこの実施態様による物品は、本発明の紙基材を、250msf以下のCDガーレイ剛性にて含有してよく、50〜250msfのCDガーレイ剛性にて含有するのが好ましく、100〜200msfのCDガーレイ剛性にて含有するのがさらに好ましい。CDガーレイ剛性は、標準的な変換手段に適応するほどに十分な値でなければならず、好ましい変換手段は、封筒や特定形態物を製造する業界において一般的に知られているものである。
【0137】
物品が封筒および/または特定形態物であるとき、本発明のこの実施態様による物品は、350SU未満のシェフィールド平滑度を有する本発明の紙基材を含有してよく、150〜300SUのシェフィールド平滑度を有する本発明の紙基材を含有するのが好ましく、175〜275SUのシェフィールド平滑度を有する本発明の紙基材を含有するのが最も好ましい。
【0138】
物品が封筒および/または特定形態物であるとき、本発明のこの実施態様による物品は多層構造物であってよく、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、粒子、および/または紙基材を含有する少なくとも1つの層を含んでよく、このとき層は、1〜15インチの幅と1〜15インチの長さを有する。幅は、1インチ、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、7インチ、8インチ、9インチ、10インチ、11インチ、12インチ、13インチ、14インチ、および15インチであってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。長さは、1インチ、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、7インチ、8インチ、9インチ、10インチ、11インチ、12インチ、13インチ、14インチ、および15インチであってよく、このとき全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0139】
本発明の物品は、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、粒子、および/または紙基材を含有する多層構造物(連続状態であっても、そうでなくてもよい)を含んでよい。
本発明の物品の例は、封筒業界において一般的に知られている任意のサイズと形状の封筒であってよい。本発明の物品はさらに、複数の形態を含んだ封筒であってもよい。本発明の封筒は、増量手段を有する紙基材を含有するのが好ましく、このとき好ましい増量手段は、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、および粒子である。
【0140】
本発明の物品は、増量手段を有する紙基材から作製される複数の形態物を含有するのが好ましく、このとき好ましい増量手段は、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、および粒子である。
【0141】
本発明の物品は、増量手段を有する紙基材から作製される複数の形態物を含有するのが最も好ましく、このとき好ましい増量手段は、本発明の膨張可能な微小球体、組成物、および粒子である。
【0142】
本発明の物品は、上記の増量手段を有する基材を含有しない物品より少なくとも1形態物だけ大きな数の、複数の形態物を含有するのが特に好ましい。本発明の物品は、上記の増量手段を有する基材を含有する少なくとも1つの層(連続していても、不連続であってもよい)を有する。最も好ましい増量手段は、物品の少なくとも1つの層が含有する基材に施される膨張可能な微小球体、組成物、および/または粒子の増量手段である。さらに、物品の層は形態物であってよい。
【0143】
本発明の包装材料は、平均すると1オンス以下であり、好ましくは1オンス未満である。本発明の包装材料は1つ又は複数の層を有し、1オンスとの差が、同数の層を有する従来の包装材料のそれより大きい絶対値であるような重量を有する。したがって、1オンス未満である包装材料の総重量を保持しつつ、本発明の包装材料中に、従来の包装材料の層より多くの層を組み込むことができる。
【0144】
本発明の包装材料は、平均すると1オンス以下であり、好ましくは1オンス未満である。本発明の包装材料は1つ又は複数の層を有し、100オンスとの差が、同数の層を有する従来の包装材料のそれより大きい絶対値であるような重量を有する。したがって、1オンス未満である包装材料の総重量を保持しつつ、本発明の包装材料中に、従来の包装材料の層より多くの層を組み込むことができる。
【0145】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例によって本発明が限定されることはない。
【実施例】
【0146】
(実施例1) 膨張可能な微小球体を含有するコート紙基材
例えば折り畳み式段ボール箱として有用なコート紙基材を、通常の紙製造プロセスを使用して製造する。コート紙基材を10psiの圧力にてカレンダー仕上げし、従来の塗被手段を使用してコート紙基材に従来のコーティングを施した。基材にコーティング層を塗被した後、プリントモトルの測定〔目視によって、および極めて感覚的かつ客観的な基準によって(スキャニング)〕を行った。この2ndシアンスキャナーモトルシステムからのデータ間の関係を、主観的な視覚認識に相関付けることもできるし(ゼロ-to-テン・ガイドラインを使用して)、あるいはトビアス・アソシエーツ社から市販のトビアスモトル試験機を使用して、下記の式に基づいて測定される同等のモトル値に変換することもできる。
【0147】
トビアス=スキャナーモトル*8.8+188
上記の式をセットアップする手順と詳細が、2004年9月20日付け出願の米国特許出願第10/945,306号(該特許出願の全開示内容を参照により本明細書に含める)に記載されている。次いでその後の実験において、基材の総重量を基準として1重量%〜2重量%の膨張可能な微小球体を含有する紙が得られるよう、上記の従来のプロセスに膨張可能な微小球体を組み込んだ。それぞれ10psiと20psiに等しいカレンダー圧力手段を使用して、2セットの実験を行った。得られた結果を、それぞれに関して表1に示す。
【0148】
表1の結果から、膨張可能な微小球体を含有する基材は、塗被されると、プリントモトル(2ndシアンスキャナーモトルシステムによって測定)の顕著な向上をもたらす、ということが明確にわかる。
【0149】
(実施例2) 膨張可能な微小球体を含有する他のコート紙基材
例えば折り畳み式段ボール箱として有用なコート紙基材を、通常の紙製造プロセスを使用して製造する。基材にコーティング層を塗被した後、プリントモトルの測定〔目視によって、および極めて感覚的かつ客観的な基準によって(スキャニング)〕ならびに他の特性の測定を行った(表2)。次いでその後の実験において、膨張可能な微小球体を含有する紙が得られるよう、上記の従来のプロセスに膨張可能な微小球体を、10ポンド/トン、5ポンド/トン、2ポンド/トン、および1ポンド/トンの量にて組み込んだ。得られた結果を、それぞれに関して表2に示す。図1はさらに、2ndシアンスキャナーモトルを、紙製造プロセスに加えられる膨張可能な微小球体の量の関数として示している。対照標準1と2は、紙製造プロセスに膨張可能な微小球体を加えなかった。
【0150】
【表1】

【0151】
【表2】

【0152】
【表3】

【0153】
【表4】

【0154】
【表5】

【0155】
【表6】

【0156】
【表7】

【0157】
本明細書全体を通して、範囲は、範囲内に含まれているそれぞれの値と全ての値を記載する上での間に合わせの表現として使用されており、全ての部分的な範囲を含む。
上記の開示内容を考慮して、本発明に対する多くの改良や変更が可能である。したがって、添付したクレームの範囲内にて、本明細書中に特定的に説明されている仕方とは別の仕方で本発明を実施できることは言うまでもない。
【0158】
本発明の主題および実施態様の全てに関連した部分に関して、本明細書に記載の文献ならびに該文献中の引用文献を全て参照により本明細書に含める。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】〔コート紙基材のプリントモトルvs.基材中の膨張可能な微小球体の量〕のプロットである。
【図2】イオン性化合物(例えばPEI)を吸着させる前と吸着させた後の微小球体に対する粒径分布のプロットである。
【図3】異なった混合時間にて、および異なった〔イオン性化合物対膨張可能な微小球体〕重量比にて、膨張可能な微小球体(すなわちX-100)に結びついた低分子量および高分子量イオン性化合物(例えばPEI)から形成される粒子のゼータ電位のプロットである。
【図4】〔イオン性化合物(低分子量および高分子量イオン性化合物(例えばPEI))対膨張可能な微小球体〕重量比と混合時間の関数としての、ブリットジャー分析と発泡剤(すなわちイソブタン)測定の結果のプロットである。
【図5】〔イオン性化合物(低分子量および高分子量イオン性化合物(例えばPEI))対膨張可能な微小球体〕重量比と混合時間の関数としての、本発明の組成物および/または粒子を含有する紙基材の密度減少のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の膨張可能な微小球体、および
少なくとも1種のイオン性化合物
を含み、約9.0以下のpHにおいて、10-6M〜0.1Mのイオン強度にてゼロmV以上のゼータ電位を有する組成物。
【請求項2】
前記ゼータ電位がゼロmVより大きい、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ゼータ電位がゼロより大きい値〜+150mVの範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ゼータ電位が+20mVより大きい値〜+150mVの範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記イオン性化合物が、イオン性有機化合物とイオン性無機化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記イオン性化合物が少なくとも1種のポリ有機化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記イオン性化合物が少なくとも1種のポリアミン化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記イオン性化合物が、架橋化合物、分岐化合物、またはこれらの組み合わせ物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記イオン性化合物が少なくとも1種のポリエチレンイミン化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記イオン性化合物が、少なくとも600の重量平均分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンイミン化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記イオン性化合物が、600〜40,000の重量平均分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンイミン化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記イオン性化合物がカチオン性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記イオン性化合物が、アルミナとシリカからなる群から選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記イオン性化合物が、シリカ、アルミナ、酸化スズ、ジルコニア、酸化アンチモン、酸化鉄、および希土類金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の物質を含んだコロイドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記イオン性化合物が、シリカ、アルミナ、酸化スズ、ジルコニア、酸化アンチモン、酸化鉄、および希土類金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の物質を含んだゾルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が粒子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1種の膨張可能な微小球体の外面がイオン性化合物に結びつけられている、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1種の膨張可能な微小球体の外面がイオン性化合物に非共有結合的に結びつけられている、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1種の膨張可能な微小球体の外面がアニオン性である、請求項16に記載の粒子。
【請求項20】
前記イオン性がカチオン性である、請求項16に記載の粒子。
【請求項21】
少なくとも1種の膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物とを接触させて混合物を作製することを含む、請求項1に記載の組成物の製造法。
【請求項22】
混合物を遠心分離にかけて、少なくとも1種のイオン性化合物を含んだ第1の相と、粒子を含んだ第2の相を作製することをさらに含む、請求項21に記載の製造法。
【請求項23】
少なくとも1種のイオン性化合物を少なくとも1種の膨張可能な微小球体に吸着させることを含む、請求項1に記載の組成物の製造法。
【請求項24】
複数種のセルロース繊維をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
少なくとも1種の膨張可能な微小球体の外面がイオン性化合物に結びつけられている、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
少なくとも1種の膨張可能な微小球体の外面がイオン性化合物に非共有結合的に結びつけられている、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも1種の膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物とを接触させて粒子を作製すること;および前記粒子と前記複数種のセルロース繊維とを接触させること;を含む、請求項24に記載の組成物の製造法。
【請求項28】
少なくとも1種の膨張可能な微小球体と少なくとも1種のイオン性化合物とを接触させて粒子を作製すること;および複数種のセルロース繊維を含んだ溶液中に前記粒子を注入すること;を含む、請求項24に記載の組成物の製造法。
【請求項29】
複数種のセルロース繊維;
0.1〜5重量%の複数種の膨張可能な微小球体;および
6以下のスキャニング2ndシアンプリントモトル;
を含み、TAPPI試験法T538om-1による測定にて250SU未満のシェフィールド平滑度を有する紙基材または板紙基材。
【請求項30】
膨張可能な微小球体の外面がイオン性化合物に結びつけられている、請求項29に記載の基材。
【請求項31】
0.1〜3重量%の複数種の膨張可能な微小球体を含む、請求項29に記載の基材。
【請求項32】
0.1〜2重量%の複数種の膨張可能な微小球体を含む、請求項29に記載の基材。
【請求項33】
少なくとも1つのコーティング層をさらに含む、請求項29に記載の基材。
【請求項34】
コーティング層が、少なくとも1つのトップコートと少なくとも1つのベースコートを含む、請求項29に記載の基材。
【請求項35】
TAPPI試験法T538om-1による測定にて、シェフィールド平滑度が250SU未満であり、前記基材をカレンダリングした後のスキャニングプリントモトルが6未満である、請求項29に記載の基材。
【請求項36】
TAPPI試験法T555om-99による測定にて、基材が約1.0〜0.5のパーカープリント表面平滑度を有する、請求項29に記載の基材。
【請求項37】
請求項29に記載の基材を含む物品。
【請求項38】
前記物品が折り畳み式段ボール箱である、請求項34に記載の物品。
【請求項39】
セルロース繊維のウェブと増量剤を含んだ少なくとも1種の紙基材または板紙基材を含む物品であって、物品の重量が1オンス以下であり、1オンスとの差が、同じ数の層を有する従来の包装材料のそれより大きい絶対値となるような重量を物品が有する、前記物品。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−535948(P2008−535948A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501055(P2008−501055)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/009015
【国際公開番号】WO2006/099364
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(504293447)インターナショナル・ペーパー・カンパニー (15)
【Fターム(参考)】