臍部駆動血液加工チャンバを用いる血液加工システムおよび方法
血液加工用組立体は、回転軸(82)を中心として回転可能なフレーム(70)と、フレーム(70)によって担持され、回転軸(82)を中心として回転する血液加工チャンバ(18)とを備える。臍部(100)は、一端が回転軸(82)に沿って血液加工チャンバ(18)に連結され、反対端が回転軸(82)に沿って非回転状態に保持されている。臍部(100)の中間部分は、少なくとも部分的に、回転軸(82)の外側に延びる。フレーム(70)は、臍部(100)の中間部分に係合するような大きさ及び構成とされた少なくとも1つの支持チャネル(96、98)を担持する。支持チャネル(96、98)は、指定方向へのフレーム(70)の回転に応答して臍部(100)の中間部分を支持チャネル(96、98)内に自動搭載するような大きさ及び構成とされた側縁部(99、101)を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2001年10月13日に提出された「Blood Separation Systems and Methods with Umbilicus−Driven Blood Separation Chambers」と題する同時係属の米国特許出願第09/976、830号の利益を主張する。
【0002】
(発明の属する技術分野)
本発明は、血液、血液成分、又は他の細胞物質の懸濁液を加工及び採取するシステム並びに方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
今日、全血は、通常は遠心分離によって、赤血球、血小板、及び血漿などのその様々な治療成分に分離されることが日常的となっている。
【0004】
従来の血液加工法では、通常プラスチックで製造されたシングルユース用の無菌加工システムと関連させた耐久力を有する遠心分離機が用いられる。オペレータは、加工前に遠心分離機上に使い捨てのシステムを搭載し、後にそれらを除去する。
【0005】
通常の血液遠心分離機は、採取場所間での容易な輸送を許容しない大きさを有する。更に、搭降載作業は、時として、時間のかかる退屈なものとなる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
更に、血漿、赤血球、及び血小板のような極めて必要性の高い細胞性血液成分のより高い収率を理にかなった短い加工時間で実現することのできる、量の多いオンライン血液採取環境で使用するのに役立つ方法で血液成分を採取するための更に改善されたシステム及び方法に対する必要性が存在する。
【0007】
そのような流体加工システムに対する運転上及び性能上の要求は、より小さく且つより携帯性を有するシステムに対する要求が強まるとともに、より複雑且つ高度なものとなる。従って、より詳細な情報を収集及び生成し且つオペレータが加工並びに分離の効率を最大化するのを支援するように信号を制御することのできる自動化された血液加工制御装置に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明の一態様では、回転軸を中心として回転可能なフレームと、該フレームによって担持され回転軸を中心として回転する血液加工チャンバとを備える血液加工用組立体を提供する。臍部は、血液加工チャンバを備える血液加工用組立体を提供する。臍部は、一端が回転軸に沿って血液加工チャンバに連結され、反対端が回転軸に沿って非回転状態に保持されている。臍部の中間部分は、少なくとも部分的に、回転軸の外側に延びる。フレームは、臍部の中間部分に係合するような大きさ及び構成とされた少なくとも1つの支持チャネルを担持する。支持チャネルは、指定方向へのフレームの回転に応答して臍部の中間部分を支持チャネル内に自動搭載するような大きさ及び構成とされた側縁部を含む。
【0009】
一実施形態では、フレームは、血液分離工程中所与の方向に回転するように適合されている。指定方向は、所与の方向と反対の方向である。
【0010】
一実施形態では、支持チャネルは、回転軸に向かう臍部の半径方向の進退移動を抑制するような大きさ及び構成とされている。
【0011】
一実施形態では、支持チャネルは、回転軸を中心とするフレームの回転に応答して臍部の中間部分に回転を与える。この配列では、臍部の回転が、血液加工チャンバに回転を与える。
【0012】
一実施形態では、支持チャネルは、低摩擦材料を含む。
【0013】
本発明の別の態様では、回転軸を中心として回転可能なフレームと、該フレームによって担持され回転軸を中心として回転する血液加工チャンバとを備える血液加工用組立体を提供する。臍部は、一端が回転軸に沿って血液加工チャンバに連結され、反対端が回転軸に沿って非回転状態に保持されている。臍部の中間部分は、少なくとも部分的に、回転軸の外側に延びる。第1と第2の支持チャネルが、回転軸に沿って、フレーム上に間隔を置いて配置されている。第1と第2の支持チャネルは、臍部の中間部分に互いに係合するような大きさ及び構成とされている。第1と第2の支持チャネルは、フレームの回転方向にかかわらず中間部分に互いに係合するように逆向き関係に配列されている。
【0014】
一実施形態では、支持チャネルのうちの少なくとも1つは、回転軸に向かう臍部の半径方向の進退移動を抑制するような大きさ及び構成とされている。
【0015】
一実施形態では、支持チャネルのうちの少なくとも1つは、回転軸を中心とするフレームの回転に応答して中間部分に回転を与える。この配列では、臍部の回転が、血液加工チャンバに回転を与える。
【0016】
一実施形態では、支持チャネルのうちの少なくとも1つは、低摩擦材料を含む。
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の明細書及び添付の図面に記載する。
【0018】
本発明は、その精神又は本質的特性を逸脱することなく、幾つかの形態で実施することができる。本発明の範囲は、先行する明細書ではなく、添付の特許請求の範囲に定義されている。従って、特許請求の範囲の意味及び等価のものの範囲内に入る全ての実施形態は、特許請求の範囲によって包含されることを意図されている。
【0019】
(好ましい実施形態の説明)
図1に、本発明の特徴を実施した流体加工システム10を示す。システム10は、種々の流体を加工するために使用することができる。
【0020】
システム10は、全血及び他の生体細胞物質の懸濁液を加工するのに特に好適である。従って、図示の実施形態は、この目的に対して使用されるシステム10を示す。
【0021】
(I. システムの概要)
システム10は、2つの主要な構成要素を含む。それらは、(i)輸送及び保管に備えて閉鎖した状態で図1に示し、運転に備えて開放した状態で図2及び図3に示す血液加工装置14、並びに(ii)血液加工装置14と相互作用して1種類又はそれ以上の血液成分の分離及び採取をもたらす液体・血液流れセット12である。液体・血液流れセット12は、図1及び図4には、使用前の輸送並びに保管に備えてトレイ48内に梱包した状態で、図5及び図6には、使用に備えてトレイ48から除去され、血液加工装置14に取り付けられた状態で示されている。
【0022】
(A. 加工装置)
血液加工装置14は、長期間使用することのできる耐久性を有する製品であることを意図されている。図示の好ましい実施形態では、血液加工装置14は、携帯型のハウジング又はケース36の内部に取り付けられる。ケース36は底面積が小さく、テーブル面或いは他の比較的小さい表面上でのセットアップ及び運転に適している。ケース36は、採取場所へ容易に輸送されることをも意図されている。
【0023】
ケース36は、基部38及びヒンジ式に開閉可能な蓋40を含み、該ヒンジ式に開閉可能な蓋40は、輸送の場合は閉まり(図1に示すように)、使用の場合は開く(図2〜図4に示すように)。使用時は、基部38は、全体として水平な支持面となることを意図されている。ケース36は、例えば成形により、所望の構造に形成することができる。ケース36は、軽量であるが耐久性を有するプラスチック材料で製造されるのが好ましい。
【0024】
制御装置16は、装置14に搭載して搬送される。制御装置16は、装置14の部品と流れセット12の部品との間の相互作用を制御して、オペレータによって選択された血液の加工・採取工程を実行する。図示の実施形態では、制御装置16は、例えば、Intel Corporationによって製造されたPentiumTM型のマイクロプロセッサを備えることのできる主処理装置(MPU)を備えるが、他の種類の通常のマイクロプロセッサを使用することができる。MPUは、ケース36の蓋40の内側に取り付けることができる。電源コード184を有する電源は、MPU及び装置14の他の部品に電力を供給する。
【0025】
制御装置16は、対話式のユーザインターフェース42をも含み、オペレータがシステム10の動作に関する情報を閲覧して把握することを可能にしている。図示の実施形態では、インターフェース42は、オペレータが閲覧するために情報を英数字形式でまた図形画像として表示する、蓋40内に担持されたインターフェース画面上に実装されている。
【0026】
制御装置16の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれる、Nayakらの米国特許第6、261、065号に見出すことができる。インターフェースの更なる詳細は、これも引用により本明細書に組み込まれる、Lyleらの米国特許第5、581、687号に見出すことができる。
【0027】
図1に示すように、蓋40は、他の外部装置を制御装置16又は装置14の他の部品に接続するための他の入出力装置を支持するために用いることができる。例えば、イーサネット(登録商標)ポート50、又はバーコードリーダ若しくはそれに類するもののための入力装置52(情報をスキャンして制御装置16に入力するための)、又は診断ポート54、或いは血液加工中に血流速度を高めるために供血者によって装着される加圧カフ60に接続されるポート56(例えば、図23及び図24参照)、若しくはシステム変換器較正ポート58は全て、蓋40の外側、又は装置14のケース36上の別の箇所に、アクセスに対して好都合に取り付けることができる。
【0028】
(B. 流れセット)
流れセット12は、無菌のシングルユース用使い捨て製品であることを意図されている。所与の血液加工・採取工程を開始する前に、オペレータは、流れセット12の種々の部品を、装置14と関連させて搭載する(図4及び図5に示すように)。制御装置16は、オペレータからの他の入力を考慮しながら、あらかじめ設定されたプロトコルに基づいて工程を実行する。工程が完了すると、オペレータは、流れセット12を、装置14との関連付けから解除する。セット12の採取された1種類の血液成分又は複数の種類の血液成分を保持している部分は、装置14から除去され、保存、輸血、又は更なる加工に備えて保持される。セット12の残部は、装置14から除去されて廃棄される。
【0029】
流れセットは、後に更に詳細に明らかにされるように、血液加工チャンバ18と、流体によって作動されるポンプ・バルブカセット28と、チャンバ18並びにカセット28に連結されたアレイに関連する加工容器64及び流れチューブを含む。
【0030】
(1. 血液加工チャンバ)
図示の実施形態(図5参照)では、流れセット12は、遠心分離機と関連させて使用するように指定された血液加工チャンバ18を含む。加工装置14は、加工チャンバ18を受け入れて使用する(図5参照)遠心分離ステーション20(図2及び図3参照)を含む。
【0031】
図2及び図3に示すように、遠心分離ステーション20は、基部38内に形成されたコンパートメント24を備える。遠心分離ステーション20は、扉22を含む。扉22が開き(図3及び図5に示すように)、加工チャンバ18をコンパートメント24内に搭載することが可能となる。扉22が閉まり(図2及び図6に示すように)、運転中、加工チャンバ18がコンパートメント24に収納される。
【0032】
遠心分離ステーション20は、加工チャンバ18を回転させる。回転される際に、加工チャンバ18は、供血者から受領した全血を、成分部分、主として赤血球、血漿、及び血小板並びに白血球が存在する軟膜と呼ばれる中間層に遠心分離する。後に説明するように、チャンバ18の構造は、意図された血液分離の目的に応じて変えることができる。
【0033】
(2. 流体圧作動カセット)
図示の実施形態では、セット12は、流体圧で作動するカセット28(図5参照)をも含む。カセット28は、所与の血液加工工程に必要な全てのポンプ機能及びバルブ機能に対する集中化されたプログラム可能な統合型プラットフォームを提供する。図示の実施形態では、流体圧力は正及び負の空気圧力で成り立っているが、他の種類の流体圧力を用いてもよい。
【0034】
図5に示すように、カセット28は、ケース36の蓋40内に配置された空気圧で作動するポンプ・バルブステーション30内で用いるように取り付けられる。ポンプ・バルブステーション30は、カセット28を搭降載するためにポンプ・バルブステーション30を露出させる開位置(図3参照)と使用のためにカセット28をポンプ・バルブステーション30に収納する閉位置(図6参照)との間で移動するようにヒンジ式に開閉可能な扉32を含む。ポンプ・バルブステーション30は、バルブフェースガスケット318の背後に配置されたマニホルド組立体34(図4参照)を含む。マニホルド組立体34は、カセット28がポンプ・バルブステーション30に取り付けられている際に、ガスケット318を通して正及び負の空気圧をカセット28に印加する。空気圧が、カセット28を貫流するように液体を誘導する。
【0035】
カセット28及びポンプ・バルブステーション30の操作の更なる詳細は後に説明することにする。更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれているNayakらの米国特許第6、261、065号にも見出すことができる。
【0036】
(3. 血液加工用の容器及びチューブ)
図5及び図6に戻ってそれらを参照すると、流れセット16は、カセット28及びチャンバ18と流れ連通する数多くの様々なチューブ並びに容器をも含む。チューブ及び容器の配列は、加工目的に応じて変えることができる。代表的な血液加工工程及びそのような工程に対応する関連する流れセットについては後に説明することにする。
【0037】
臍部100は、流れセット16の一部を形成する。取り付けられると、臍部100は、封止部を回転させる必要なくして、回転する加工チャンバ18をカセット28と連結する。臍部100は、Hytrel(登録商標)コポリエステルエラストマー(DuPont)などの耐回転応力性プラスチック材料で製造することができる。
【0038】
ここで図7を参照すると、チューブ102、104、及び106は、臍部100の近位端から延びる。チューブ102は、分離に備えて全血を加工チャンバ18内に輸送する。チューブ104及び106は、それぞれ、遠心分離された赤血球及び血漿を加工チャンバ18から運び出す。血漿は、加工目的に応じて、血小板を多くするか若しくは少なくすることができる。
【0039】
図7に示すように、固定具108により、チューブ102、104、及び106が、遠心分離ステーション20の外側に、臍部100に隣接して、コンパクトで整然とした並列のアレイにまとめられる。固定具108により、チャンバ18の外側に遠心分離ステーション20に隣接して配置された光感知ステーション46(図9、図10、及び図11参照)と関連させて、グループとしてチューブ102、104、及び106を配置及び除去することが可能となる。
【0040】
光感知ステーション46は、チューブ104及び106によって運ばれた血液中における目的の血液成分(例えば赤血球及び血小板)の存在又は欠如を光学的に監視する。感知ステーション46は、そのような血液成分の存在又は欠如を反映した出力を提供する。この出力が、制御装置16に伝達される。制御装置16は、この出力を処理し、光学的に感知されたイベントに部分的に基づいて、加工イベントを制御する信号を生成する。光学的感知に基づいて加工イベントを制御する制御装置の動作の更なる詳細は後に説明することにする。更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれているNayakらの米国特許第6、261、065号にも見出すことができる。
【0041】
図に示すように(図5及び図6参照)、流れセット16は、瀉血針128を含み、それを通じて、供血者を血液加工用システム10に連結することができる。図5及び図6では、流れセット16は、血液サンプリングアセンブリ110をも含む。血液サンプリングアセンブリ110は、所与の血液加工工程の開始時点での、瀉血針128を通じた、1つ又はそれ以上の供血者の血液サンプルの採取を可能にする。サンプリングアセンブリ110内への血流を制御するために、通常の手動式クランプ114(例えばロバーツクランプ)が備えられている。
【0042】
これも図5及び図6に示すように、流れセット16は、インラインの注入部位112を含むことができる。注入部位112は、必要な場合に、瀉血針128を使用し、且つ追加の針を必要とすることなく、技術者が食塩水又は他の生理的液体若しくは薬物を供血者の身体内に導入することを可能にする。
【0043】
付加的なインライン手動式クランプ116は、血液サンプリングアセンブリ110及び注入部位112の上流に含まれるのが望ましい。このクランプ116は、供血者の安全上若しくは快適性上必要となった場合に流れセット16から供血者を迅速に隔離することを可能にする。代替的に、別個の止血装置(図示せず)を、この目的に対して適用することができる。
【0044】
図1及び図2にも示すように、装置14は、血液加工を支援するためのコンパクトに配列された他の部品を含むことができる。説明済みの遠心分離ステーション20及びポンプ・バルブステーション30に加えて、本装置は、1つ又はそれ以上の容器用の計量ステーション62及び他の形態の支持体を含む。もちろん、装置14上へのこれらの部品の配列は、変えることができる。
【0045】
図示の実施形態(図3参照)では、計量ステーション62は、蓋40の上部に沿って配列された一連の容器ハンガ/重量センサを備える。図示の実施形態では、追加のスイングアウト式ハンガ/重量センサも、蓋40の側部及び基部上に備えられている。使用に際し、(図5及び図6参照)、容器が計量ステーション62に吊り下げられる。図5及び図6にも示すように、計量ステーション62に隣接して蓋40に施された絵入りアイコン66は、容器に施された絵入りアイコン66と一致する。アイコン66を一致させることにより、オペレータは、意図された計量ステーション62上に適切な容器を配置するように視覚的に誘導される。
【0046】
計量ステーション62は、基部38内に、容器を置くための成形されたくぼみをも備えることができる。ステーション62に隣接する基部38上の絵入りアイコン66は、容器上の絵入りアイコン66と一致し、セットアップ中オペレータが容器を適切に配置するのを誘導する。
【0047】
加工中、血液又は液体は、容器に受け入れられ且つ/若しくは容器から放出され、計量ステーション62は、重量の経時変化を反映した出力を提供する。この出力が、制御装置16に伝達される。制御装置16は、漸進的な重量の変化を処理し、流体の加工量を導出する。制御装置は、導出した加工量に部分的に基づいて、加工イベントを制御する信号を生成する。加工イベントを制御するための制御装置16の動作の更なる詳細については後に説明することにする。更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれているNayakらの米国特許第6、261、065号にも見出すことができる。
【0048】
(4. 血液加工工程)
制御装置16の制御の下で、システム10は、様々な血液加工工程を実行するように調整することができる。MPUは、制御アプリケーションのライブラリの起動を管理するアプリケーション制御管理プログラムを含む。各制御アプリケーションが、所定の方法で遠心分離ステーション20及びポンプ・バルブステーション30を使用して所与の機能的タスクを実行するための工程を定める。アプリケーションは、例えば、MPUのEPROM内のプロセスソフトウェアとして常駐することができる。
【0049】
後に説明するように、カセット28に対する圧力の選択的印加によって、同一のカセット28を様々な血液採取工程を実行するために使用することが可能である。
【0050】
例示を目的として、(1)血漿採取工程、及び(2)2単位赤血球採取工程の2つの臨床的工程の実施方法について説明する。血漿採取工程の間、供血者からの全血が遠心処理され、最大880mlの血漿が得られ、採取される。赤血球は全て供血者に返還される。2単位赤血球採取工程の間、供血者からの全血が遠心処理され、最大2単位(約500ml)の赤血球が得られ、採取される。血漿成分は全て供血者に返還される。
【0051】
詳細には説明しないが、他の臨床的工程を、システム10によって実行することができる。例えば、血漿/赤血球採取工程を実行することができ、その間に、供血者からの全血が遠心処理され、最大約550mlの血漿及び最大約250mlの赤血球が採取される。採取用に保持されない赤血球部分は、血液分離中、定期的に供血者に返還される。550mlの目標量を上回って採取された血漿及び250mlの目標量を上回って採取された赤血球も工程の終了時点で供血者に返還される。別の例を挙げれば、血漿採取及び/又は赤血球採取工程の間に、軟膜界面をチャンバ18から除去して採取することができる。後続の白血球を除去する処理工程の場合は、軟膜は、血小板の採取源として役立つ。
【0052】
システム10が達成することのできる種々の血液採取工程の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれている米国特許第6、261、065号に記載されている。
【0053】
(II. 本システムの血液分離装置の他の技術的特徴)
システム10の血液加工チャンバ18及び遠心分離ステーション20は、様々な血液加工プロトコルの実行に対応する他の技術的特徴を有するのが望ましい。
【0054】
(A. 血液加工チャンバ)
図示の実施形態(図7及び図8参照)では、加工チャンバ18は、非可塑化医療グレードアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの剛体で生体適合性を有するプラスチック材料で、例えば射出成形によって所望の形状及び構成にあらかじめ形成される。この配列では、チャンバ18は、基部構成部分200と蓋部構成部分202との2つの主要な構成部分を含む。
【0055】
基部構成部分200は、センターハブ204を含む。ハブ204は、周方向の血液分離チャネル210を形成する内側及び外側の環状壁206並びに208によって取り囲まれている。1つ又はそれ以上の半径方向の通路212が、ハブ204から延びてチャネル210と連通している。血液及び他の流体は、これらの通路212を通って、ハブ204からチャネル210の内外に誘導される。成形された壁214が、分離チャネル210の軸方向境界を形成する。蓋構成部分202も、分離チャネル210の別の軸方向境界を形成する。両方の軸方向境界を全体として平坦に示しているが(即ち、回転軸に直角に)、軸方向境界は先細、円形、V字形等とすることができることを理解されたい。
【0056】
基部構成部分200の底面は、臍部100の遠端上の成形マウント218を受け入れる成形レセプタクル216を含む。マウント218は、様々な方法、例えば、堅固な乾式圧入によって、又は溶剤結合によって、若しくは超音波溶接によって、レセプタクル216に固定し、臍部100をチャネル210と流体連通させて連結することができる。臍部100の遠端及び基部構成部分200は、1つの構成単位として回転する。
【0057】
血液分離工程の動力学に影響を及ぼす全ての輪郭、ポート、チャネル、及び壁は、1つ又はそれ以上の射出成形作業において、基部構成部分200内にあらかじめ形成される。基部構成部分200内にあらかじめ形成される輪郭、ポート、チャネル、及び壁は、所望の特定の分離目的に応じて変えることができる。代表的な例を、後で更に詳細に説明することにする。
【0058】
(B. 遠心分離ステーション)
遠心分離ステーション20(図9参照)は、遠心分離機組立体68を含む。遠心分離機組立体68は、使用に対して成形された加工チャンバ18及び臍部100を受け入れるように構築されている。
【0059】
図9に示すように、遠心分離機組立体68は、下壁72、上壁74、及び側壁76を有するフレーム又はヨーク70を含む。ヨーク70は、下壁72に取り付けられたベアリング要素78(図9)上で回転する。電気駆動モータ80がヨーク70の下壁72に連結されており、軸82を中心としてヨーク70を回転させる。図示の実施形態では、軸82は基本的に水平であるが(図3参照)、他の角度方向を使用してもよい。モータ80は、制御装置16によって発行された命令に応じて、時計回り方向若しくは逆時計回り方向にヨーク70を回転させることができる。
【0060】
担体又はロータプレート84は、ヨーク70の上壁74に取り付けられたそれ自体のベアリング要素86を中心としてヨーク70内で回転する。ロータプレート84は、ヨーク70の回転軸82と全体として整合された軸を中心として回転する。
【0061】
図7に示すように、加工チャンバ18の最上部は、環状のへり220を含み、それに、蓋構成部品202が固定されている。図10に示すように、ロータプレート84は、へり220を除去可能に把持し、加工チャンバ18をロータプレート84上に固定して回転させるラッチ組立体88を含む。
【0062】
ラッチ組立体88の詳細は、引用により本明細書に組み込まれている2001年10月13日に提出された「Blood Separation Systems and Methods with Quick Attachment of a Blood Separation Chamber to a Centrifuge Rotor」と題する同時係属の米国特許出願第09/976、829号に見出すことができる。
【0063】
図10に最もよく示すように、臍部100の近端上の被覆部144は、遠心分離ステーション20内のあらかじめ形成された陥凹ポケット90内にぴったり収まる。ポケット90は、臍部100の近端を、ヨーク70及びロータプレート84の相互に整合された回転軸82と整合された回転していない静止状態に保持する。
【0064】
あらかじめ形成されたポケット90はまた、臍部被覆部144が挿入されるのと同時に固定具108の装填にも対応するように成形されている。図11に示すように、チューブ102、104、及び106は、それにより、これもポケット90内に配置された感知ステーション46と関連するグループとして配置並びに除去される。
【0065】
臍部の駆動部材若しくは支持部材92及び94(図9及び図10参照)は、ヨーク70の側壁76によって担持される。ロータプレート84が所定の回転位置に配置されている際には、支持部材92及び94は加工チャンバ18の左側にあり、被覆部144及び固定具108が操作されてポケット90にぴったり収まると同時に、臍部100を受け入れる。
【0066】
図10に示すように、一方の部材92は、臍部100の中間部分を受け入れる。部材92は、臍部100の中間部分が当たる表面を含む。この表面は、全体としてヨーク70に面するチャネル96を形成する。チャネル96は、臍部100の中間部分の通過を受け入れ、臍部の上方部分を他方の部材94に向ける。チャネル96は、回転軸82に向かう臍部100の半径方向の進退移動を抑制する。しかしながら、チャネル96は、臍部100のそれ自体の軸を中心とした回転又はねじれを許容する。使用前は、チャネル96の表面は、概ね凸状である。凸状の構造は、凸状表面の材料が臍部100との回転接触により使用中に摩耗することを考慮しているという点で犠牲的なものとして意図されている。凸状の構造は、使用中の臍部との接触によって動的に変化し、使用中、チャネル96と臍部100との間の機械的相互作用及び摩擦性相互作用によって決定づけられる最終的な接触形態を形成する。
【0067】
他方の部材94は、部材92によってそれに向けられる臍部100の上方部分を受け入れる。部材94は、臍部100の上方部分が当たる表面を含む。この表面は、ヨーク70の上壁72の方に傾斜したチャネル98を形成する。チャネル98は、全体としてヨーク70から見て外方に向いており、それによりチャネル96と逆向きの関係にある。2つの逆方向に向いたチャネル96と98との間に臍部用の移行経路を設けるために、チャネル96は、チャネル98からわずかに外方に偏位している。チャネル98は、臍部100の上方部分を、臍部被覆部144及び固定具108が嵌合されているヨーク70の上壁72の軸方向上方に位置する陥凹ポケット90に向けて誘導する。チャネル96と同様に、チャネル98は、臍部100の上方部分の回転軸82に向かう半径方向の進退移動を抑制する。しかしながら、チャネル96と同様に、チャネル98は、臍部100のそれ自体の軸を中心とした回転又はねじれを許容する。
【0068】
支持チャネル96及び98が逆向きの関係に配列されているために、チャネル96及び98は、ヨーク70の回転方向にかかわらず、相補的な「リバースグリップ」方式で互いに臍部の中間部分に係合する。
【0069】
チャネル96の内向き配向により、逆時計回り方向(ロータプレート84の上部から見た場合の)のヨーク70の回転中、臍部が最適に捕捉される。その結果として、これにより、この方向への回転中、臍部の残部のチャネル98との係合が安定する。加工チャンバ18は、血液加工動作中、逆時計回り方向に回転されることを意図されている。
【0070】
部材94は、外方に向いたチャネル98に向かって内方に先細になる対向する側縁部99及び101を含む。先細の側縁部101は、逆時計回り方向へのヨーク70の回転に応答して、臍部の中間部分を、外方に向いたチャネル98との係合へ更に誘導する。
【0071】
チャネル98の外方に向いたガイドエッジ99は、回転軸82に向かって延びる拡大された湾曲した表面即ちランプを形成する。ランプ99は、通常の血液加工に対して意図された回転方向(即ち逆時計回り)と反対の方向のこの時計回り方向(ロータプレート84の上部から見た)にヨーク70が回転する際に臍部のチャネル98内への自己装填を達成するような大きさ及び構成となっている。ランプ99はまた、その後、ヨーク70が逆時計回り方向に回転している際に臍部100の上方部分をチャネル98から滑り出ないように保つ。その結果として、これにより、この方向への回転中、臍部の残部のチャネル96との係合が安定する。
【0072】
それによりチャネル96及び98の構造が互いに相補しあい、ヨーク70の回転方向にかかわらず、ヨーク70の回転に応答したチャネル96及び98との臍部中間部分の係合が保たれる。
【0073】
図示の実施形態では、支持部材92及び94のチャネル表面96並びに98は、低摩擦材料で製造され、それにより臍部100自体上への外部からの注油又は回転ベアリングの必要性を排除するのが好ましい。使用される材料は、例えば、Teflon(登録商標)ポリテトラフルオロエチレン材料(DuPont)又は超高分子量ポリエチレンを含むことができる。このような材料で製造されれば、チャネル表面96及び98が臍部駆動摩擦並びに臍部磨耗による粒子状物質の存在を最小化する。
【0074】
支持部材92及び94の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれる、2001年10月13日に提出された「Blood Separation Systems and Methods with Umbilicus Driven Blood Separation Chambers」と題する同時係属の米国特許出願第09/976、830号に見出すことができる。
【0075】
遠心分離ステーションの扉20を閉鎖することにより、扉20の裏面上の保持ブラケット21(図5参照)が被覆部144と整合する。扉20の裏面上の別の保持ブラケット23(図5に示すような)は、扉20が閉鎖されたときに、固定具108と整合する。開放可能なラッチ25が、遠心分離機組立体68の動作中、扉20を閉鎖した状態に保持するのが好ましい(図6に示すように)。
【0076】
遠心分離機組立体68の動作中、支持部材92及び94は、ヨーク70の回転により臍部100も連携して軸82を中心として回転するように臍部100を担持する。その近端において(即ち被覆部部144において)ポケット90内に拘束され、且つその遠端において(即ちマウント218によって)チャンバ16に連結され、チャネル表面96及び98が回転軸82に対する臍部の半径方向移動を抑制するにもかかわらず、臍部100は、それが軸82を中心として回転する際に、それ自体の軸を中心としてチャネル表面96及び98上でねじれる。ヨーク70と共に1オメガ(通常約2250RPMの速度で)でチャネル表面96及び98上で臍部100が回転する際のそれ自体の軸を中心とした臍部100の回転により、回転に対してロータプレート84上に固定された加工チャンバ18に2オメガの回転が与えられる。
【0077】
1オメガの回転速度でのヨーク70と2オメガの回転速度でのロータプレート84の相対的回転により、臍部100がねじれずに保たれ、回転封止の必要性が回避される。図示の配列はまた、臍部100を通じて、1台の駆動モータ80がロータプレート84上に担持された互いに回転するヨーク70及び加工チャンバ18に回転を与えることが可能となる。この配列の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれるBrownらの米国特許第4、120、449号に開示されている。
【0078】
先に説明したように、チャネル表面96及び98は、臍部100の回転及び時計回り方向若しくは逆時計回り方向への加工チャンバ18の駆動に対応するように、相補的方式に形成及び配向されるのが望ましい。従って、チャンバ18は、1つの所望の加工目的、例えば、血液加工に先立ってプライミング及び空気抜きを行うのを促進する1つの方向に回転することができ、且つ異なる加工目的、例えば血液分離を促進する反対方向に回転することができる。更に、ロータプレート84が加工チャンバ18の取り付けに対応するために所定の回転位置にある際の臍部支持体92及び94の臍部100に対する密接並置、及び臍部の近端を支持体のポケット90の方へ導く支持体92並びに94内に形成されたチャネル96及び98の相補的配向により、加工チャンバ18を搭載して使用し且つ使用後加工チャンバ18を降載するための、大半を連携して行うことのできる「イージーロード」の逐次直観的ステップが可能となる。チャネル96及び98の輪郭並びに配向が、いずれかの方向へのヨーク70の回転の結果として臍部100を「捕捉」するのを支援し、それにより、最初のケースにおいてオペレータが臍部100全体を正しく搭載するのに失敗したとしても、臍部100は、チャネル表面96及び98上に適切に配向される。
【0079】
より詳細には、チャネル96及び98の相補的特徴は、臍部100を自動搭載して使用するために好都合に用いることができる。臍部100の中間部分も最初にチャネル96及び98内に配置しながら、ひとたび加工チャンバ18がロータプレート84上に搭載され、臍部の被覆部がポケット90内に配置されれば、次いで、ヨーク70は、血液加工動作中にヨーク70が回転される方向である時計回り方向に中速(例えば300RPM)で最初に回転させることができる。この方向への回転は、細長いランプ99を活用し、臍部100がチャネル98内に完全に装填されるのを保証する。その後、ヨーク70を反対(逆時計回り)方向に中速で回転させ、使用に備えて臍部100の位置が両方のチャネル96及び98内に安定するのを保証することができる。次いで、ヨーク70は、血液加工を促進する逆時計回り方向で、ある回転速度まで完全に速度を上昇させることができる。
【0080】
(C. 光学的感知による界面制御)
上述の血液加工工程のいずれにおいても、加工チャンバ18内に存在する遠心力が、全血を、赤血球がぎっしり詰まった領域と血漿の領域に分離する(図12に図式的に示すように)。遠心力は、赤血球がぎっしり詰まった領域をチャンバの外側又は高G壁に沿って集合させ、一方で、血漿の領域は、チャンバの内側又は低G壁に運ばれる。
【0081】
中間領域は、赤血球領域と血漿領域との間の界面を形成する。密度に従って血小板の方が白血球よりも血漿層に近接して配列された血小板及び白血球のような中密度の細胞性血液種が界面を埋めている。この界面は、血漿領域の淡黄色及び赤血球領域の赤色に比較して、その濁った色のために、「軟膜」とも呼ばれる。
【0082】
工程に応じて軟膜物質を血漿の外若しくは赤血球の外に保つか、或いは軟膜の細胞性成分を採取するために、軟膜の位置を監視することが望ましい。本システムは、光感知ステーション46(図11A〜図11Dにも示す)を含み、該光感知ステーション46は、この目的に対して2つの光感知組立体146及び148を収納している。この配列を、図12、図13、及び図14にも図式的に示す。
【0083】
ステーション46内の第1の感知組立体146は、血漿採取チューブ106を通る血液成分の通過を光学的に監視する。ステーション46内の第2の感知組立体148は、赤血球採取チューブ104を通る血液成分の通過を光学的に監視する。
【0084】
チューブ104及び106は、少なくともチューブ104及び106が感知ステーション46と関連させて配置されることになる領域に関しては感知用に使用される光エネルギーに対して透過性のプラスチック材料(例えばポリ塩化ビニル)で製造される。固定具108は、そのそれぞれの感知組立体148及び146を見た目に整合させて保持する。固定具108は、関連するセンサは備えられていないが、全血を遠心分離ステーション20内に輸送するチューブ102をも保持する。固定具108は、臍部100に連結されたチューブ102、104、及び106全てを集め、コンパクトで取り扱いが容易な束にして保持するのに役立つ。
【0085】
第1の感知組立体146は、血漿採取チューブ106内の光学的標的とされた細胞種又は細胞成分の存在を検出することができる。検出に対して光学的標的とされる成分は、工程に応じて異なる。
【0086】
血漿採取工程に対しては、第1の感知組立体146は、血漿と血小板細胞層との間の界面を加工チャンバ内に移し戻すための制御措置を開始することができるように、血漿採取チューブ106内の血小板の存在を検出する。これにより、本質的に無血小板であるか又は少なくとも血小板の数が有意に最小化された血漿製剤が提供される。
【0087】
赤血球のみの採取工程に対しては、第1の感知組立体146は、軟膜と赤血球層との間の界面を検出し、この界面を加工チャンバ内に移し戻すための制御措置を開始することができるようにする。これにより、赤血球の収量が最大化される。
【0088】
第1の感知組立体146によって検出されるような血漿中におけるこれらの細胞成分の存在は、これらの成分の全て又は一部が血漿採取ライン内に浸透することができるほど十分に界面が加工チャンバの低G壁に接近していることを示す(図13参照)。この状態は、「過剰溢流」とも呼ばれるであろう。
【0089】
第2の感知組立体148は、赤血球採取チューブ104内の赤血球のヘマトクリットを検出することができる。加工中の赤血球のヘマトクリットの設定された最低レベルを下回る低下は、血漿が赤血球採取チューブ104に入ることができるほど十分に界面が加工チャンバの高G壁に接近していることを示す(図14参照)。この状態は、「過少溢流」とも呼ばれるであろう。
【0090】
感知ステーション46及び第1と第2の感知組立体146並びに148の構成は変えることができる。望ましい実施形態では、第1の感知組立体146は、赤色又は緑色の光を選択的に放出することのできる発光ダイオード(LED)400、及びLED400によって血漿チューブ106を通じて伝達された光の強度を測定するための対向するフォトダイオード402を含む。血小板に対してはほぼ同一の減衰を有するが赤血球に対しては有意に異なる減衰を有するように、LED400の異なる波長(緑色及び赤色)が選択される。第1の感知組立体146は、それにより血漿流内の血小板の存在(血漿採取工程中の過剰溢流を検出するための)と血漿流内の赤血球の存在(軟膜採取工程中の赤血球との軟膜界面を検出するための)を区別することができる。
【0091】
望ましい実施形態では、第2の感知組立体148は、赤外線LED404、及び一方406が赤外線LED404に隣接し、他方408が赤外線LED404に対向する2つのフォトダイオード406並びに408を含む。フォトダイオード408は、LED404によって赤血球チューブ104を通じて伝達された光度を測定する。フォトダイオード406は、反射された光度を測定する。
【0092】
感知ステーション46及び固定具108は、赤血球チューブ104を、赤外線LED404並びにフォトダイオード406に対して、測定反射光度と赤血球のヘマトクリットとの間に直線相関が得られることが確認されている所望の距離関係に配置する。一例を挙げれば、NIRスペクトル内の波長(例えば805nm)を有する入射光源から所定の半径方向距離(例えば7.5mm)において測定された反射光の強度は、少なくとも10及び90のヘマトクリットの範囲に対してマトクリットと共に一次関数として変化する。従って、赤血球マトクリットは、赤外線LED404及びフォトダイオード406を用いて反射光度を監視することによって確認することができる。
【0093】
感知ステーション46は、種々の方法で構築することができる。図11A〜図11Dに示す一実施形態では、ステーション46は、2枚の向かい合ったプレート502及び504を備える成形された本体500を含む。プレート502及び504は、固定具108を受け入れて赤血球チューブ104及び血漿チューブ106を第1と第2の感知組立体146並びに148と精密に整合させて保持するように間隔を置いて配置されている。
【0094】
各プレート502及び504は、望ましくは一体に成形された本体500の構成要素を備えるライトパイプ506A/B/C及び508A/B/Cのアレイを含む。ライトパイプ506A/B/C及び508A/B/Cは、第1と第2の感知組立体146並びに148を備えるLED及びフォトダイオードと精密な光学的整合を有している。これらのLED及びフォトダイオードは、例えば締め具を用いてライトパイプに面する本体500の外側に取り付けられた回路基板510上に担持される。
【0095】
より詳細に説明すると、プレート502のライトパイプ506Aは、第1の感知組立体146のフォトダイオード402と光学的に整合する。これに対し、対向するプレート504のライトパイプ508Aは、第1の感知組立体146の赤色/緑色LED400と光学的に整合する。
【0096】
プレート502のライトパイプ506Bは、第2の感知組立体148の赤外線LED404と光学的に整合する。これに対し、対抗するプレート504のライトパイプ508Bは、第2の感知組立体148の伝達された光を検出するフォトダイオード408と光学的に整合する。プレート502のライトパイプ506Cは、第2の感知組立体148の反射された光を検出するフォトダイオード406と光学的に整合する。この配列では、プレート504のライトパイプ508Cは空である。
【0097】
第1と第2の感知組立体146及び148を支持する制御も変えることができる。代表的な実施形態では、(図11E及び図11Fに概略的に示す)、CPLD制御装置410(図11F参照)は、フォトダイオード402、406、及び408のうちの選択された1つから、該選択されたフォトダイオードによって感知された感知光度(場合に応じて、伝達された又は反射された)を示すシリアルデータストリーム(図11E及び図11FではデータストリームB)を受信する。CPLD制御装置410は、データストリーム受信用のフォトダイオード(402、406、又は408)を選択するためのフォトダイオード選択信号(図11E及び図11Fでは選択信号C)を生成する。
【0098】
CPLD制御装置410は、該制御装置410内に含まれたシリアル出力ポートによって生成されたデジタルデータストリーム(図11E及び図11FではデータストリームC)を介して、各フォトダイオード402、406、及び408と個々に関連付けられた利得増幅器412の利得を制御する。各利得増幅器412は、各フォトダイオード404、406、及び408の電流出力を電圧に変換する、各フォトダイオード402、406、並びに408と個々に関連付けられた電流/電圧変換器414から電圧信号を受信する。各利得増幅器412の増幅アナログ電圧出力が個々のアナログ/デジタル変換器に印加され、該アナログ/デジタル変換器が、アナログ電圧を、選択されたフォトダイオードに対するシリアルデータストリーム(ストリームB)に変換し、該シリアルデータストリームをCPLD制御装置410が受信してその後の処理を行う。
【0099】
CPLD制御装置410によって受信されたシリアルデータストリームBは、シリアル/パラレルポート418に印加され、パラレルデータストリームが生成される。選択された利得増幅器412からの原アナログ電圧がデジタル/アナログ変換器420によって復元され、帯域通過フィルタ422に印加される。帯域通過フィルタ422は、変調光源光の搬送周波数(即ち、図示の実施形態では2KHz)に中心周波数を有する。帯域通過フィルタ422の出力(正弦波の)は、全波整流器へ送られ、該全波整流器が、正弦波出力を、感知された光度に比例するDC出力電圧に変換する。
【0100】
電流源428は、LED400及び402に接続されている。電流源428は、温度及び電源電圧レベルに非依存的に、各LED400及び402に均等に電流を供給する。変調器430は、所定の周波数で定電流を変調する。変調430により、周囲光及び光学的に感知される読み取りによる電磁妨害(EMI)の影響が除去される。均等な電流源428と共同して、CPLD制御装置410も、均等な電流の大きさ、従って各LED400及び402の強度を調整する。LED電流制御データは、制御装置410によってシリアル形式で生成される(図11E及び図11FではシリアルデータストリームA)。このシリアルデータは、各LED400及び402に対して各電流源428と個々に関連付けられたデジタル/アナログ変換器426に印加される。
【0101】
感知組立体146及び148は、周期的に感知組立体146並びに148を起動して感知された強度の出力をサンプリングする制御装置16によって操作される。制御目的に対して用いられる所与のセンサ出力は、所定のサンプリング周期中に取得された複数のサンプルの平均値を含むのが望ましい。例えば、所与のサンプリング周期(例えば100μ秒ごと)中に、複数のサンプル(例えば64)が取得される。これらの複数のサンプルの平均値が導出される。サンプル平均値の差異も従来の方法で求められるのが望ましく、また差異が所定の最大値よりも小さい場合、そのサンプル平均値は有効化される。サンプル平均値の差異が所定の最大値に等しいか又はそれより大きい場合、そのサンプル平均値は、制御目的に対して使用されることはない。より信頼できる出力を得るために、最新の5つの有効化サンプル平均値の移動平均値が制御値として用いられるのが望ましい。後で更に詳細に説明するように、サンプル値の差異の大きさは、所与の血液加工工程の最後に実施される空気パージ中に気泡の存在を検出するための手段として用いることもできる。
【0102】
光感知配列の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれている米国特許第6、261、065号に開示されている。
【0103】
(III. 本システムの空気圧で作動する流れ制御部品の技術的特徴)
本システム10のカセット28及びポンプ・バルブステーション30は、様々な血液加工プロトコルに対応する他の技術的特徴をも有するのが望ましい。
【0104】
(A. カセット)
好ましい実施形態では(図15参照)、カセット28は、剛体の医療グレードプラスチック材料製の射出成形された本体300を備える。好ましくは医療グレードプラスチックの可撓性シートで製造された可撓性の隔膜302及び304が、それぞれ、カセット28の前面並びに裏面の上に重なっている。隔膜302及び304は、それらの周縁沿いに、カセット28の前面並びに裏面の周辺端部に封止されている。
【0105】
図15に示すように、カセット28は、前面及び背面の両方に形成された内部キャビティのアレイを有する。内部キャビティは、インラインのアレイを通じて、空気弁ステーション(図15にVSで概略的に示す)を通じて流体流路(図15にFPで概略的に示す)のパターンによって相互に接続された空気ポンプステーション(図15にPSで概略的に示す)を形成する。
【0106】
内部キャビティの配置は、様々な血液加工工程の相異なる目的に応じて変えることができる。カセット28の内部キャビティは、プログラム可能な血液加工回路306(図16及び図17参照)を形成するのが望ましい。プログラム可能な回路306は、制御装置16によって、例えば、赤血球が採取される、又は血漿が採取される、若しくは血漿と赤血球の両方が採取される、或いは軟膜が採取される、種々の異なる血液加工工程を実行するように調整することができる。
【0107】
図16に、図15に示す種類の射出成形された空気圧によって制御されるカセット28として実装することのできるプログラム可能な流体回路306を示す。図17に、カセット本体300内への流体回路306の特定の実装形態を示す。以下に説明するように、カセット28は、空気圧式ポンプ・バルブステーション30と相互作用し、様々な血液加工機能を実行することのできる集中化されたプログラム可能な総合プラットフォームを提供する。
【0108】
流体回路306は、双対の空気ポンプチャンバDP1及びDP2(図16及び図23参照)を含む。ポンプチャンバDP1及びDP2は、制御装置16によって連携して作動され、汎用の供血者との界面となるポンプとして機能するのが望ましい。双対の供血者との界面となるポンプチャンバDP1及びDP2は、平行して仕事をする。一方のポンプチャンバが流体を抽出し、一方で他方のポンプチャンバが流体を排出する。双対のポンプチャンバDP1及びDP2は、それにより抽出と排出の機能を交互に実行し、均等な流出量をもたらす。瀉血針128が取り付けられた供血者チューブ126は、ポンプチャンバDP1及びDP2に連結される。
【0109】
流体回路306はまた、外部容器150から抗凝血剤を抽出し、供血者チューブ126に連結された抗凝血剤チューブ152を通じて供血者から抽出した血液内に該抗凝血剤を計量しながら注入するための専用の抗凝血剤ポンプとして機能する空気ポンプチャンバACPをも含むのが望ましい。
【0110】
流体回路306外部の供血者用クランプ154(図5及び図5も参照)は、供血者の快適性又は安全性に影響を及ぼす可能性のある特定の状況が血液加工中に発生した場合に供血者チューブ126及び抗凝血剤チューブ152を閉鎖するために、制御装置16によって操作される。供血者用クランプ154は、これらの状況が発生した場合に供血者を流体回路306から隔離する機能を果たす。更なる供血者の安全に対し、手動で操作されるクランプ116又は止血物質も、供血者チューブ・抗凝血剤チューブ152接合部の下流に配置されるのが望ましい。
【0111】
図16に示す流体回路306は、全血をレザバ158から加工チャンバ18に輸送するための専用のインプロセス全血ポンプとして機能する空気ポンプチャンバIPPも含むのが望ましい。ポンプチャンバIPPの専用機能により、全血を加工チャンバ18に供給する供血者との界面となるポンプチャンバDP1及びDP2の付加的機能が解放される。従って、供血者との界面となるポンプチャンバDP1及びDP2が連携して作動し、1つの瀉血針を通じて供血者に対する血液の抽出及び返還を同時に実行しながら、インプロセス全血ポンプチャンバIPPは、加工チャンバ18への血液の持続的供給を維持することができる。それにより、加工時間が最短化される。
【0112】
流体回路306は、加工チャンバ18からの血漿を採取容器160に輸送するための血漿ポンプとして機能する空気ポンプチャンバPPをも含むのが望ましい。別個のポンピング機能を専用に割り当てる能力は、供血者の身体の内外に対してのみならず、加工チャンバ18の内外への血液の持続的な流れをもたらす。
【0113】
流体回路306は、図16にV1〜V26で示すバルブのアレイを含んでおり、該バルブが、ポンプチャンバDP1、DP2、IPP、PP、及びACPを流路のアレイに接続し、供血者の身体の内外及び加工チャンバの内外へ血液及び血液成分を輸送する。バルブV1〜V26の機能を下記の表に要約する。
【0114】
【表1】
カセット本体300の前面及び裏面の上に重なる可撓性隔膜302並びに304は、ポンプチャンバDP1、DP2、IPP、PP、及びACPを取り囲む直立する周辺端部、バルブV1〜V26、並びに数多くの様々な接続流路にもたせかけられている。あらかじめ成形されたポートP1〜P13(図16及び図17参照)は、カセット本体300の2つの側縁部に沿って外に延び、カセット本体300内の流体回路306を、説明済みの外部容器及び供血者に連結する。
【0115】
図5に示すように、カセット28は、垂直に取り付けられてポンプ・バルブステーション30内で使用される。この配向では(図15も参照)、隔膜302はバルブステーション30の扉32に向かって外方に向き、ポートP8〜P13は下方に向き、ポートP1〜P7は上下に重なって内方に向いている。
【0116】
以下に説明するように、ポンプ・バルブステーション30による裏面隔膜304上への正及び負の流体圧力の局所印加は、隔膜304を撓めてバルブステーションV1〜V26を開閉させ且つ/又はポンプチャンバDP1、DP2、IPP、PP、及びACPから液体を抽排出及び抽出する機能を果たす。
【0117】
上記の表に記載しているように、付加的な内部キャビティ308がカセット本体300内に設けられている。キャビティ308は、血液加工中に生じる可能性のある凝血塊及び細胞集合を除去するための血液フィルタ材料174(図17参照)を保持するステーションを形成する。図16に概略的に示すように、キャビティ308は、供血者に返還される血液がフィルタ174を通過するように、回路306内のポートP8と供血者との界面となるポンプステーションDP1及びDP2との間に配置されている。キャビティ308は、供血者に流入出する流路内の空気を捕捉する機能をも果たす。
【0118】
別の内部キャビティ310(図16参照)も、カセット本体300内に設けられている。キャビティ310は、回路306内のポートP5とインプロセスポンピングステーションIPPのバルブV16との間に配置されている。キャビティ310は、分離チャンバ18に対して働く全血液流路内で、カセット本体300内の別の空気捕捉装置としての役割を果たす。キャビティ310は、分離チャンバに対して働くインプロセスポンプIPPの拍動性ポンプストロークを制動するキャパシタとしての機能をも果たす。
【0119】
(B. ポンプ・バルブステーション)
カセット28は、ケース36の蓋40内に取り付けられた空気圧で作動するポンプ・バルブステーション30と相互作用する(図15参照)。
【0120】
ポンプ・バルブステーション30の扉32の内面324(後に説明するように、金属であるのが望ましい)は、エラストマーガスケット312を担持する。ガスケット312は、扉32を閉鎖したときにカセット本体300の前面と接触する。可膨張式内袋314が、ガスケット312と扉の内面324との間に位置している。扉32を開放した状態で(図3参照)、オペレータは、ポンプ・バルブステーション30内にカセット28を配置することができる。扉32を閉鎖してラッチ316(図3〜図5に示す)を固定することにより、ガスケット312がカセット本体300の前面上の隔膜302と対面接触する。内袋314を膨らませることによってガスケット312が押圧され、隔膜302に押し当たって密接に封止係合する。カセット本体300は、それにより、ポンプ・バルブステーション30内で隙間のない封止嵌合状態に固定される。
【0121】
ポンプ・バルブステーション30は、図15に最もよく示される空気マニホルド組立体34を含む。使用に際し、隔膜304は、ポンプステーション20の扉32が閉鎖され且つ内袋314が膨らんでいる際に、内袋314によってマニホルド組立体34に押し当たり密接係合した状態に保持される。バルブフェースガスケット318が空気マニホルド組立体34の上に重なり、溢流遮蔽材として機能するのが望ましい。図3にはバルブフェースガスケット318の存在を示しているが、図4及び図15では、バルブフェースガスケット318は、マニホルド組立体34をよりよく示すために部分的に除去されている。
【0122】
マニホルド組立体34は、カセット28上のポンプチャンバ及びバルブのアレイを反映するように配列されたアクチュエータポート320のアレイを含む。制御装置16の制御の下で、マニホルド組立体34が様々な圧力レベル及び真空レベルを選択的にアクチュエータポート320に分配し、アクチュエータポート320が、隔膜304を通して、該レベルの圧力並びに真空を体系的にカセット28のポンプチャンバ及びバルブに印加し、意図された方式で流体回路306に血液並びに処理用液体を循環させる。制御装置16の制御の下で、マニホルド組立体34もまた、扉内袋314(説明済み)及び扉加圧カフ60(図23参照)並びに供血者用クランプ154(説明済み)に圧力レベルを分配する。
【0123】
マニホルド組立体34は、カセットバルブV1〜V26を閉鎖し、インプロセスポンプIPP及び血漿ポンプPPからの液体の圧出を促すために印加される高い正圧(例えば、+500mmHg)であるPhard即ち硬圧、並びにPinpr即ちインプロセス圧力を生成する。Pinprの大きさは、加工チャンバ18内に通常存在する約300mmHgの最低圧力に打ち勝つのに十分な大きさである。ポンピングと連動させて使用される上流及び下流のバルブがポンプを作動させるために印加される圧力によって強制的に開放されることがないことを保証するために、Pinpr及びPhardは、最高圧力で加えられる。
【0124】
マニホルド組立体34はまた、供血者との界面となるポンプDP1及びDP2並びに抗凝血剤ポンプACPからの液体の圧出を促すために印加されるPgen即ち通常圧力(+300mmHg)をも生成する。
【0125】
マニホルド組立体34はまた、カセットバルブV1〜V26を開放するためにマニホルド組立体34内に印加される最大真空であるVhard即ち硬真空(−350mmHg)をも生成する。マニホルド組立体34はまた、ポンプDP1、DP2、IPP、PP、及びACPの各々の抽出機能を促すために印加されるVgen即ち通常真空(−300mmHg)をも生成する。Vgenは、ポンプDP1、DP2、IPP、PP及びACPが上流及び下流のカセットバルブV1〜V26を圧倒しないことを保証するために、Vhardほど高度とならないことが要求される。
【0126】
ポンプ・バルブステーション30の動作の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれている米国特許第6、261、065号に見出すことができる。
【0127】
(C. 容量性流れ感知)
制御装置16は、カセット28のポンプチャンバを通る流体の流れを監視する手段を含むのが望ましい。図示の実施形態では、ポンプ・バルブステーション30は、小型のプリント回路基板組立体(PCBA)332を担持する。1つのPCBA332は、隔膜304に負及び正の圧力を印加してカセットのポンプチャンバDP1、DP2、IPP、PP及びACPへ流体を注入し且つそれらから流体を排出する各空気圧式アクチュエータポート320と関連付けられている。PCBA332は、各々が電源に接続されており、且つ各々がそれらのそれぞれのポンプチャンバ内の流体と導電性相互作用を有するか又は導電性接触を有する容量性回路の一部である。容量性回路は、各ポンプチャンバを挟むキャパシタを備える。各PCBA332が一方のキャパシタプレートを形成し、ポンプ・バルブステーション30の扉32の金属製内面324が他方のキャパシタプレートを形成する。プレート間に、ポンプチャンバ自体が位置する。ポンプチャンバ内の流体は、カセット隔膜302及び304、空気マニホルド組立体34の上に重なるバルブフェースガスケット318、及び扉32の内面324の上に重なるガスケット312によって、回路との実際の物理的接触から遮蔽される。電気エネルギーが各PCBA332を通過することにより、それぞれのポンプチャンバ内に電場が生成される。ポンプチャンバへ流体を注入し且つポンプチャンバから流体を排出するための所与のポンプチャンバと関連付けられた隔膜304の循環的反屈が電場を変化させ、その結果、PCBA332を通る回路の総キャパシタンスに変化が生じる。キャパシタンスは、流体がポンプチャンバ内に引き込まれるにつれて増大し、またキャパシタンスは、流体がポンプチャンバから排出されるにつれて減少する。
【0128】
この配列では、PCBA332の各々が容量センサ(例えばQprox E2S)を含む。容量センサは、各ポンプチャンバに対する回路332に関するキャパシタンスの変化を登録する。所与の回路332に関するキャパシタンス信号は、ポンプチャンバに液体が充填しているときに高い信号強度を有し、ポンプチャンバに流体が存在しないときに低い信号強度を有し、また隔膜が中間位置を占有しているときに中間の信号強度範囲を有する。
【0129】
血液加工工程の開始時点で、制御装置16は、各センサに対する高信号強度と低信号強度の間の差異を、それぞれのポンプチャンバの最大ストローク量まで目盛ることができる。次いで、制御装置16は、後続の注入・排出サイクルの間に感知された最大信号値と最小信号値の間の差異を、ポンプチャンバを通じて注入及び排出された流体量に関連づけることができる。制御装置16は、サンプル時間にわたってポンピングされた流体量を合計して実流速を求めることができる。
【0130】
制御装置16は、実流速を所望の流速と比較することができる。ずれが存在する場合、制御装置16は、カセットポンプチャンバ用のアクチュエータに送達される空気圧パルスを変更し、ずれを最小化することができる。
【0131】
図15に、関連するアクチュエータポート320内にフェイスマウントされた、全体がカセット28の外部に配置されたPCBA332を示す。1つの代替的実施形態では、回路332の1つの部品(例えば、キャパシタプレートのうちの1つ)をカセット28のポンプチャンバ内部に配置し、回路の残部への電気的接続をポンプチャンバの外部に経路設定することができる。別の代替的実施形態では、回路332及び電気的接続は、マニホルド組立体34上にフェイスマウントされた可撓性の電極回路上に構築するか、又はマニホルド組立体34の本体と一体化された成形回路基板部品として構築することができる。後者の実施形態では、電気回路又は電気配線は、例えば、リソグラフィパターニングにより、オーバーモールドにより、又は構成部品に可撓性回路を封止することによって熱可塑性部品上に成形される。電気的機能を果たす熱可塑性部品は、例えば超音波溶接により、マニホルド組立体34の空気圧式機能を果たす他の構成要素と一体化され、コンパクトで多層の多機能組立体を形成している。この配列では、外部制御装置16及び他の外部センサとの電気的接続は、例えば、制御装置16及び関連するセンサからの電気ピンを受け入れる位置にはんだづけされためす電気コネクタにより、且つ/又は束ねたリボンケーブルの使用によって達成することができる。
【0132】
(IV. 血漿採取工程を実行するシステムの使用法)
一般的な血漿採取工程を実行するための装置14及び制御装置16と関連させた血液用流れセット12の使用法をここで説明することにする。
【0133】
血漿採取工程は、採取前サイクル、採取サイクル、及び採取後サイクルを含む。採取前サイクル中、流れセット16は、静脈穿刺に先立って空気を除去するために食塩水でプライミングされる。採取サイクル中、供血者から抽出した全血を加工して血漿が採取され、その一方で赤血球が供血者に返還される。採取後サイクル中、後に更に詳細に説明するように、余剰血漿が供血者に返還され、セット16が空気で洗浄される。
【0134】
(A. 血液加工チャンバ)
図18に、血漿採取工程を実行して血小板、赤血球、及び白血球を有しないか又は基本的有しない血漿を得るための、図1に示すシステム10と関連させて使用することのできる遠心加工チャンバ18の一実施形態を示す。図18に示すチャンバ18は、血漿/赤血球採取工程を実行するのにも用いることができる。
【0135】
図8に示すチャンバの実施形態(同じ部品には同じ参照番号を付した)に関して前述したように、加工チャンバ18は、別個に成形された基部構成部分200及び蓋構成部分202として製造されるのが望ましい。成形されたハブ204は、周方向の血液分離チャネル210を形成する内側及び外側の環状壁206並びに208によって半径方向に取り囲まれている。成形された壁214(図19参照)が、チャネル210の軸方向境界を形成する。蓋構成部分202は、210の別の軸方向境界を形成する。両方の軸方向境界を全体として平坦に示しているが(即ち、回転軸に直角に)、軸方向境界は先細、円形、V字形等とすることができることを理解されたい。組み立てる際に、蓋構成部分202は、例えば、円筒状の音波溶接ホーンを用いて、チャンバ18の最上部に固定される。
【0136】
図18に示すチャンバ18では、内側の環状壁206は、一対の補強壁の間で開放されている。対向する補強壁が、チャネル210と連通するハブ204内に開放された内部領域222を形成している。血液及び流体は、この領域222を通じて臍部100から分離チャネル210へ導入・導出される。
【0137】
図18に示す実施形態では、チャネル210を完全に横断して延び、環状壁208の外側と合流する、成形された内壁224が、領域222の内側に形成されている。壁224は、分離チャネル210内に、分離中のチャネル210に沿った周方向の流れを遮断する終点を形成する。
【0138】
付加的な成形された内壁が、領域222を3つの通路、226、228、及び230に分割する。通路、226、228、及び230は、ハブ204から延び、終点壁224の反対側でチャネル210と連通する。血液並びに他の流体は、これらの通路、226、228、及び230を通じて、ハブ204からチャネル210の内外へ誘導される。
【0139】
加工チャンバ18が回転している際に(図18では矢印R)、臍部100(図示せず)が、通路226を通じて全血をチャネル210内に輸送する。全血は、回転と同じ方向(図18では逆時計回り方向の)でチャネル210に流入する。代替的に、最適な血液分離のためには全血の流れが回転と同一の方向であるのが望ましいと考えられるが、チャンバ18は、全血の周方向の流れと反対の方向、即ち時計回り方向に回転することもできる。
【0140】
全血は、遠心力を受けて、チャンバ18内で、図12に示すように分離する。赤血球は、高G壁208の方へ駆動され、一方でより軽い血漿成分は、低G壁206の方へ移動する。軟膜層は、壁206と壁208との間に位置する。
【0141】
全血流入路226からほぼ360度周方向に間隔を置いて終点壁224に隣接して配置されているのは、血漿採取通路228及び赤血球採取通路230である。これらの採取通路228及び230から上流の流れ方向に、障壁232が、高G壁208からチャネル210内に突出している。障壁232は、低G壁206に沿って、分離チャネル210内に狭窄部を形成する。血液の周方向の流れ方向では、狭窄部は血漿採取通路228につながる。
【0142】
図20及び図21に示すように、障壁232の前縁234は、終点壁224に向かう方向に、チャネル210の環状境界部(図示の実施形態では環状壁214である)に向かって先細である。障壁232の先細の縁234は、分離チャネル210の環状境界部に面する開口部236につながる。開口部236は、環状境界部に面してはいるが、高G壁208に密接に隣接する環状境界部から軸方向に離れて間隔を置いて配置されている。開口部236は、赤血球採取通路230と連通する。
【0143】
棚状の突起238が、低G壁206から半径方向に、開口部236内で軸方向にある距離だけ延びている。棚状突起238は、高G壁208に沿った開口部236の半径方向寸法を圧縮する。棚状突起238により、高G壁208に隣接する赤血球及び他のより高密度の成分のみが開口部236と連通する。棚状突起238は、高G壁208に隣接しない血漿を、開口部236との連通から離れた位置に維持する。高G壁208に沿って半径方向に制限された開口部236により、血漿は、血漿採取通路228に向かう以外、どこにも流れる場所を有しない。分離チャネル210を出る血漿は、それにより、制限された高G開口部236を通って分離チャネル210を出るより高密度の物質を有しないか又は基本的に有しない。
【0144】
棚状突起238は、通常低G壁206と整合された軸方向表面240と合流する。軸方向表面240は、回転軸に沿って、赤血球採取経路230まで軸方向に延びる。障壁232、棚状突起238、及び他の内壁により、赤血球採取経路230は、血漿採取経路228から隔離される(図22に示すように)。
【0145】
図22にも最もよく示すように、低G壁206に沿って存在する血漿は、障壁232及び棚状突起238によって、周方向に血漿採取通路228へ向けられ臍部100に入る。高G壁208により近接して存在する赤血球及び軟膜成分(血小板及び白血球)を含むより高密度の流体は、障壁232の先細の縁234に沿って、軸方向に環状境界部及び制限された高G開口部236に向けられる。高G開口部236から、より高密度の流体を構成する赤血球及び軟膜成分は、半径方向の棚状突起238を越えて低G壁206へ、次いで軸方向に赤血球採取経路230内へ、その後臍部100内へ向けられる。
【0146】
採取に備えて分離チャネル210のより高密度の物質を環状境界部の方へ軸方向に導く先細の縁234により、より高密度の物質及びより低密度の物質がそれらのそれぞれの採取経路230並びに228に向けられている間の流れ方向の急激な変化が緩和される。流れ方向の急激な変化は、血漿中への軟膜物質の望ましくない渦混合を誘発する可能性がある。開口部236内における半径方向の棚状突起238の存在も、血漿からの高密度流体の分離を促進し、望ましい高さの赤血球ヘマトクリットを維持する。
【0147】
先細の縁234が高G壁208に沿って環状境界部の下端から境界環状壁の上方に向けて軸方向の流れ方向に血液を誘導するように、障壁232を血液の流れの方向に対して反対方向に構成することも考えられることを理解されたい。この配列では、高G開口部236は、環状境界壁の上方に隣接して軸方向に間隔を置いて配置され、また血液の除去は、加工チャンバの反対側、即ち環状壁の下端側から行い得るであろう。高G面と低G面との間に構築される半径方向の分離場では、血液が取る環状境界部に向かう高G面に沿った軸方向の流れ方向(回転軸に沿った上方又は下方への)は、分離目的を達成するのに重要ではなく、むしろそれは、半径方向の場内で分離されたより高密度の物質及びより低密度の物質がそれらのそれぞれの採取経路に向かっている間における流れ方向の急激な変化に対する緩和手段である。
【0148】
血液分離工程に影響を与える輪郭、ポート、チャネル、及び壁は、1回の射出成形作業で基部構成部分200にあらかじめ形成することができ、該射出成形作業中に、基部構成部分200の開口端を通じて成形心棒が挿入及び除去される。蓋構成部分202は、基部構成部分200の開口端に容易に溶接することのできるシンプルで平坦な部分を含み、成形後それを閉鎖することができる。分離工程に影響を与えるあらゆる特徴が1つの射出成形構成部品に一体化されているために、基部200と蓋202との間のどのような許容範囲の差異もチャンバ18の分離効率に影響を及ぼすことはない。
【0149】
基部200内にあらかじめ形成される輪郭、ポート、チャネル、及び壁によって基部200の唯一の端部を通じた成形心棒の挿入及び除去が容易にできない表面が生成される場合、基部200は、コップ形の部分組立体を重ね合わせるか又は2つの対称性を有する半分により、別個の成形部品によって形成することができる。
【0150】
代替的に、成形心棒は、基部200の両端から挿入し且つ除去することもできる。この配列(図19参照)では、チャンバ18は、3つの部分、即ち、基部200、蓋202(それを通して上の成形心棒が挿入及び除去される基部200の一端を閉鎖する)、及び別個に成形された挿入物242(図19に示すように、下の成形心棒が挿入及び除去される基部200の他端を閉鎖する)に成形することができる。
【0151】
チャンバ18は、回転に対して、様々な方法で平衡させることができる。チャンバ18の反対側の内部構造を平衡させるために、チャンバ18の片側上に内部構造を成形することができる。平衡化を達成するために、チャンバ18の周囲の壁厚を変化させることができる。代替的に、図18に示すように、チャンバ18は、適した平衡おもりを担持するための成形ポケット248を含むことができる。
【0152】
(B. カセット及び流れセット)
図23に、血漿採取工程に用いることのできる構成の外部加工容器に連結された前述のカセット28を示す。血漿採取工程に対しては、容器には、血漿採取容器160、赤血球採取容器又はレザバ162、全血インプロセス容器158、抗凝血剤容器150、及び処理用流体(例えば食塩水)容器164が含まれる。
【0153】
(1. 血漿採取サイクル)
血漿採取工程の一般的な採取サイクル中、赤血球を供血者に返還しながら、供血者から抽出された全血が加工され、血漿が採取される。カセット内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2、カセット内の抗凝血剤ポンプACP、カセット内のインプロセスポンプIPP、及びカセット内の血漿ポンプPPが、関連する空気バルブV1〜V26と連動させて制御装置16によって空気圧で駆動され、分離に備えて制御された割合のQWBで血液をインプロセス容器158から加工チャンバ18へ輸送しながら、抗凝固処理済み血液をインプロセス容器158に注入する。この配列はまた、制御された割合のQPで加工チャンバ18から血漿を除去して血漿容器160内に移し、一方で加工チャンバ18から赤血球を除去して赤血球容器162に移す(QRBC=QWB−QPの割合で)。この段階は、目標量の血漿が血漿採取容器160内に採取されるまで(計量センサによって監視した状態で)、又は目標量の赤血球が赤血球採取容器162内に採取されるまで(これも計量センサによって監視した状態で)続く。
【0154】
血漿又は赤血球の目標量が採取される前にインプロセス容器158内の全血量が所定の最大閾値に達した場合、制御装置16は、引き続き血液分離を続行しながら、供血者との界面となるポンプDP1/DP2の運転を終了し、インプロセス容器158内の全血の採取を終了する。血液分離中に全血量がインプロセス容器158内で所定の最小閾値に達したが、それが血漿又は赤血球の目標量が採取される前であった場合、制御装置16は、全血を抽出する工程に戻り、それにより全血がインプロセス容器158に入ることを可能にする。制御装置は、いずれを先に行うにせよ、目標量の血漿採取が完了するか、又は目標量の赤血球採取が完了するまで、インプロセス容器158に対する量の高閾値及び低閾値に従って、これらの2つの状態の間で切り換える。
【0155】
(2. 赤血球返還サイクル)
一般的な返還サイクル中(目標量の血漿採取が完了していないとき)、制御装置16は、関連する空気バルブと連動させてカセット内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2、カセット内のインプロセスポンプIPP、カセット内の血漿ポンプPPを運転し、分離に備えて抗凝血処理済み全血をインプロセス容器158から加工チャンバ18へ輸送し、一方で血漿を除去して血漿容器160に移し、赤血球を除去して赤血球容器162に移す。この配列ではまた、容器164からの食塩水を返還赤血球とインラインで混合しながら、赤血球を赤血球容器162から供血者へ輸送することをも行う。食塩水の赤血球とのこのインライン混合によって食塩水の温度が上昇し、供血者の快適性を改善する。この段階は、計量センサによって監視した状態で、赤血球容器162が空になるまで続行される。
【0156】
赤血球容器162が空になる前にインプロセス容器158内の全血量が特定の低閾値に達した場合、制御装置16は、インプロセスポンプIPPの運転を終了し、血液分離を終了する。この段階は、赤血球容器162が空になるまで続行される。
【0157】
赤血球容器162が空になると、制御装置16は、供血者との界面となるポンプステーションDP1を運転してインプロセス容器158から全血を抽出して供血者チューブ126に充填し、それにより、別の全血抽出サイクルに備えて赤血球(食塩水と混合された)をパージする。次いで、制御装置16は、別の採取サイクルを実行する。制御装置16は、計量センサが血漿採取容器160内への所望量の血漿採取が完了したことを示すまで、採取及び返還のサイクルを連続的に行う。制御装置16は、カセット28内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転して赤血球容器162内に残っている赤血球を供血者へ輸送しながら、加工チャンバ内外への血液の供給及び除去を終了する。次いで、制御装置16は、空気パージサイクルに入るが、その詳細は後に説明することにする。
【0158】
(D. 界面の制御)
所与の血漿採取サイクル中、制御装置16は、感知ステーション46を運転し、血漿採取チューブ106内における標的細胞性血液種成分(具体的には、血小板又は白血球、若しくは両方)の存在を監視するのが望ましい。第1のセンサ146によって検出される血漿中におけるこれらの細胞性成分の存在は、過剰溢流状態、即ち、これらの血液種の全て又は一部が血漿採取チューブ106内に浸透することができるのに十分なほど界面が加工チャンバの低G壁に接近していることを示す(図13参照)。目的は細胞性血液成分を有しないか又は実質的に有しない血漿(即ち、血小板の少ない血漿製剤)を採取することであるので、これは望ましくない。
【0159】
過剰溢流状態(図13に示す)に応答して、制御装置16は、インプロセスポンプIPPを運転し、所定の流速で、インプロセス容器158から全血を抽出して加工チャンバ18内に移す。赤血球は、チューブ104を通じてチャンバ18から流出し続け、採取容器162内に採取される。しかしながら、制御装置16は、あらかじめ設定された時間(例えば20秒間)血漿ポンプPPの運転を停止する。この動作によってチャンバ18内の血漿の量が赤血球の量に対して増加し、界面を低G壁から遠ざけ、分離チャンバの中央の方へ押し戻す(図12に示すように)。あらかじめ設定された時間の後、制御装置16は、短時間(例えば10秒間)血漿ポンプPPの運転を再開し、その間、供血者に返還するために、血漿に赤血球採取容器162を流用する。この時間の後、溢流が修正された場合、清浄な血漿が第1のセンサ146によって検出されることになり、通常の血漿採取を再開することができる。清浄な血漿が感知されず、過剰溢流が修正されていないことを示す場合、制御装置16は、上述の工程を反復する。
【0160】
上述の工程は、分離チャンバ内の界面の実際の物理的位置を確認することには依拠していないが、その代わりに、高G壁の更に近くに移動してチャンバを出るはずである細胞性成分の存在を確認するセンサ146の測定分解能に依拠している。所定の最大許容血小板混入量が所望の低閾値に設定されている場合は、血小板侵入閾値は、センサ146の測定分解能より下に位置することができる。従って、過剰溢流状態を感知することにのみ依存する制御方式は、最適ではないかもしれない。
【0161】
分離チャンバに入る全血の流速(QWB)と分離チャンバ18を出る血漿の流速(QP)との間の差異が、チャンバを出る赤血球の流速(QRBC)を決定する(即ち、(QRBC)=(QWB)−(QP))。(QWB)は一般に、血漿採取工程に対しては通常約70ml/分である、加工時間を最適化する固定された所望の速度に維持される。従って、比率(QP)/(QWB)は、分離チャンバ18内の界面の物理的位置と相関する。所与の固定された(QWB)において、(QP)の増大は、それにより比率を増大させ、更に多い量の血漿を除去し、その結果、界面を低G壁の方へ移動させる(図13に示すように)。逆に、所与の固定された(QWB)において、(QP)の低下は、それにより比率を減少させ、より少ない量の血漿を除去し、その結果、界面を高G壁の方へ移動させる(図14に示すように)。
【0162】
「理想的」比率(QP)/(QWB)は、界面をチャンバ内の所望の位置(図12に示すような)に維持して最初の例における過剰溢流状態を回避するものである。しかしながら、「理想的」比率(QP)/(QWB)は、血液加工工程の過程においては容易に制御又は測定することのできない供血者の全血のヘマトクリットの関数である。
【0163】
チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリット(HCTRBC)の大きさを用いて分離チャンバ18内の界面の物理的位置を制御し、それにより過剰溢流状態を最小化若しくは回避することができることが発見されている。より詳細に説明すると、チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリット(HCTRBC)は、界面と高G壁との間の距離の増大と共に(即ち、比率(QP)/(QWB)の増大と共に)増大する。逆に、チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリット(HCTRBC)は、界面と高G壁との間の距離の減少と共に(即ち、比率(QP)/(QWB)の減少と共に)減少する。チャンバ18を出る赤血球の目標ヘマトクリット(HCTRBC)を達成するように比率(QP)/(QWB)を調整することにより、過少溢流又は過剰溢流を生じさせることなく、高G壁に対する界面の目標物理位置を達成することができる。
【0164】
前述したように、赤血球採取チューブ104に対するセンサ148は、経時的に、ヘマトクリットHCTRBC及び加工チャンバ18を出る赤血球ヘマトクリットの変化を光学的に検出するように適合並びに構成されているのが望ましい。代替的に、赤血球ヘマトクリットを感知するための様々な従来の手段も用いることができる。
【0165】
HCTRBCに対する最適設定点(SET_HCTRBC)は、システム運転中に生成された経験的臨床データの解析に基づいて選択することができ、該最適設定点は、実測最適血漿製剤品質(血小板、赤血球、及び白血球混入、並びに、特に、それらの欠如の観点での)及び実測最適採取時間に相関する。データは、決定可能な高閾値HCTRBCで、血小板が赤血球と共にチャンバ58を出なくなることを実証している。この所与の高閾値HCTRBCで、血小板は血漿と共にチャンバ18内に留まろうとし、それにより血漿と混合される傾向がある。この発見に基づいて、SET_HCTRBCは、この高閾値赤血球ヘマトクリット値に近接するがそれを超えないように設定される。代表的な実施形態では、SET_HCTRBCは、約80±5に等しい。所与の血漿採取工程中に(SET_HCTRBC)を達成するように比率(QP)/(QWB)を調整することは、過剰溢流状態を緩和若しくは回避するのに役立つのみならず、その工程に対する血漿採取パラメータを最適化するのにも役立つ。SET_HCTRBCを制御値として用いることにより、血小板が赤血球と共にチャンバを出るのを促して過剰溢流状態を回避しながら、(QP)を最大化して工程にかける時間を最適化し且つ赤血球ヘマトクリットを最大化することが可能となる。
【0166】
この配列では、制御装置16は、感知されたHCTRBC(センサ148によって感知された)をSET_HCTRBCと定期的に比較し、感知されたHCTRBCとSET_HCTRBCとの間の差異を最小化するように比率(QP)/(QWB)を調整する。SET_HCTRBCに基づく制御により、過剰溢流状態を回避若しくは最小化しながら、界面を血漿純度及び採取時間を最適化すると経験的に判断された分離チャンバ内の位置に界面が維持される。
【0167】
代表的な実施形態では、比率(QP)/(QWB)は、所与の血漿採取工程の開始時点では、「理想的」(QP)/(QWB)より若干低めの値に設定されるのが望ましい。代表的な実施形態では、「理想的」(QP)/(QWB)に約95%の減少係数を乗じて当初の比率(QP)/(QWB)が設定される。この実施形態では、「理想的」(QP)/(QWB)は、Hiが分離チャンバ18に入る抗凝血処理済全血のヘマトクリット、HoがSET_HCTRBCである(1−Hi/Ho)に等しく設定される。Hiは、供血者の実ヘマトクリット若しくは推定ヘマトクリット(Donor_HCT)及び抗凝血剤添加の結果としての全血の希釈に基づいて導出される。Hiは、例えば、Donor_HCTに(1マイナス抗凝血剤対全血の比率/100)を乗じることによって導出することができる。
【0168】
工程が進行する際に、感知されたHCTRBCがSET_HCTRBCと定期的に比較され、当初の比率(QP)/(QWB)がインクリメント又はデクリメントされ、差異が最小化される。過剰溢流状態を回避するために、比率(QP)/(QWB)に対する増分は、感知されたHCTRBCとSET_HCTRBCとの間の差異及び差異が変化する速度を考慮して決定されるのが好ましい。。従来のPID制御技法を用いることができる。比率(QP)/(QWB)は、「理想的」比率(QP)/(QWB)に基づいて設定された最小値と最大値の範囲内でインクリメント又はデクリメントされるのが望ましい。
【0169】
たとえ過剰溢流が生じても、上述の方法でそれが修正され、その後工程が進行する。
【0170】
上述したように、「理想的」比率(QP)/(QWB)は、少なくとも部分的に、抗凝血処理済の供血者の全血ヘマトクリット(Hi)の関数である。供血者の全血ヘマトクリットは、加工工程の開始時点で物理的に測定するか、又は経験的に決定されたデフォルト値(例えば、女性供血者に対する0.41及び男性供血者に対する0.43)に基づくことができる。
【0171】
システム10は既知の最大容量の血液加工チャンバ18を含むので、制御装置16は、所与の血液加工工程の開始時点においてオンラインで供血者の抗凝血処理済全血ヘマトクリットを経験的に導出することができる。
【0172】
静脈穿刺が実行され、血液の入口経路及び還流経路に全血が充填された後、制御装置16は、起動段階に入るように遠心分離ステーション20を調整する。起動段階中、加工チャンバ18は、血液採取速度まで加速される。全血は、分離チャンバ18にポンプで注入される。血漿流出チューブ開放した状態で、赤血球流出チューブが閉じられる。制御装置16は、血漿チューブ上のセンサが赤血球の存在を検出するまでこの状態を保持する。この出現は、加工チャンバ18が抗凝血処理済全血で充填されたことを示す。この出現と同時に、制御装置16は、加工チャンバ18内に輸送された全血の量を登録する。加工チャンバ18を充填するのに要する全血の量は、供血者の抗凝血処理済全血のヘマトクリットと逆に変化することになる。成形加工チャンバ18の容積は固定されており且つ既知であるので、供血者に関する抗凝血処理済全血ヘマトクリット値は、所与の加工工程の開始時点で加工チャンバ18を充填するのに要する抗凝血処理済全血の測定量から直接導出することができる。
【0173】
(V. 2単位赤血球採取工程を実行するための本システムの使用法)
例示目的で、一般的な2単位赤血球採取工程を実行するための、装置14及び制御装置16と関連させたセット12の使用法をここで説明する。
【0174】
(A. 血液加工チャンバ)
図8に、所期の赤血球採取工程を実行するために図1に示すシステム10と関連させて用いることのできる遠心加工チャンバ18の一実施形態を示す。チャンバ18は、図18に示して先に説明したチャンバの多くの技術的特徴を共有しており、この理由により、共通の参照番号を用いる。前述したように、加工チャンバ18は、2つの別個に成形された部品、即ち、基部200及蓋202に製造されている。ハブ204は、周方向の血液分離チャネル210を形成する内側及び外側の環状壁206並びに208によって半径方向に取り囲まれている。成形された環状壁214(図7参照)が、チャネル210の底部を閉鎖している。蓋202は、チャネル210の最上部を閉鎖する。組み立てる際に、蓋202は、例えば、円筒状の音波溶接ホーンを用いて、チャンバ18の最上部に固定される。
【0175】
前述したように、内側の環状壁206は、一対の補強壁の間で開放されている。対向する補強壁が、チャネル210と連通するハブ204内に開放された内部領域222を形成する。血液及び流体は、この領域222を通じて臍部100から分離チャネル210へ導入・導出される。領域222の内側に形成された成形内壁224は、チャネル210全体を横断して延び、外側環状壁208に合流する。壁224は、分離チャネル210内に、分離中のチャネル210に沿った周方向の流れを遮断する終点を形成する。
【0176】
付加的な成形内壁が、領域222を3つの通路、226、228、及び230に分割する。通路、226、228、及び230は、ハブ204から延び、終点壁224の反対側でチャネル210と連通する。血液並びに他の流体は、これらの通路、226、228、及び230を通して、ハブ204からチャネル210の内外へ誘導される。
【0177】
前述したように、チャンバ18は、回転に対して、様々な方法で平衡させることができる。
【0178】
図8に示す加工チャンバ18が回転している際に(図18では矢印R)、臍部100が、通路226を通して全血をチャネル210内に輸送する。全血は、回転と同じ方向(図8では逆時計回り方向の)でチャネル210に流入する。代替的に、血液分離の効率に対しては回転と同一方向の全血流が望ましいと考えられるが、チャンバ18は、全血の周方向の流れと反対の方向、即ち時計回り方向に回転することもできる。
【0179】
全血は、遠心力を受けて図12に示すように分離する。赤血球は、高G壁208の方へ駆動され、一方でより軽い血漿成分は、低G壁206の方へ移動する。
【0180】
図8に示すように、ダム244が、チャネル210内で高G壁208に向かって突出している。ダム244は、高G壁208内のくぼんだチャネル246内への赤血球の通過を許容しながら、血漿の通過を防止する。チャネル246は、半径方向の通路230を通じて赤血球を臍部100内に誘導する。血漿成分は、チャネル210から半径方向の通路228を通じて臍部100内に輸送される。
【0181】
赤血球出口チャネル246が高G壁208の外側に延び、高G壁よりも更に回転軸から間隔を置いて配置されているために、赤血球出口チャネル246は、血液加工中、赤血球採取通路230内に軟膜を溢流させる(過剰溢流状態を生成する)ことなく、赤血球と軟膜との間の界面を高G壁208に極めて近接して配置することを可能にする。くぼんだ出口チャネル246は、それにより、赤血球収量を最大化する(赤血球採取工程において)か又は本質的に血小板を有しない血漿を採取する(血漿採取工程において)ことを可能にする。
【0182】
前述したように、血液分離工程に影響を与える輪郭、ポート、チャネル、及び壁は、1回の射出成形作業で基部200にあらかじめ形成することができ、該射出成形作業中に、基部200の開口端を通じて成形心棒が挿入及び除去される。基部200内にあらかじめ形成される輪郭、ポート、チャネル、及び壁によって基部200の唯一の端部を通じた成形心棒の挿入及び除去が容易にできない表面が生成される場合、基部200は、図19に示すように、コップ形の部分組立体を重ね合わせるか又は2つの対称性を有する半分により、若しくは基部200の両端部を貫通する成形材料の除去並びに挿入物242の使用により、別個の成形部品によって形成することができる。
【0183】
(B. カセット)
2単位赤血球工程に用いられるカセット28に対するポンプチャンバ、バルブ、及び流体路の内部構成は、血漿工程に用いられるカセット28と同様であり、この理由により、共通の参照番号を使用する。図24に、2単位赤血球採取工程に用いることのできる構成で外部加工容器に連結された前述のカセット28を示す。2単位赤血球採取工程に対しては、容器には、血漿採取工程に用いられるものと同じ配列の容器、即ち、血漿採取容器160、赤血球採取容器又はレザバ162、全血インプロセス容器158、抗凝血剤容器150、及び処理用流体(例えば食塩水)容器164が含まれる。2単位赤血球採取工程に対しては、追加容器、即ち、赤血球添加剤溶液容器168及び白血球除去フィルタ170並びに1つ又はそれ以上の赤血球保存容器172及び関連するチューブ178を含む白血球低減採取組立体176が用いられる。図5及び図6に、2単位赤血球採取工程用の装置上への図24に示すカセット28並びに採取容器の取り付け法を示す。
【0184】
(1.採取サイクル)
2単位赤血球採取工程の一般的な採取サイクル中、供血者から抽出された全血は、供血者に血漿を返還しながら2単位の赤血球を採取するために加工される。カセット内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2、カセット内の抗凝血剤ポンプACP、カセット内のインプロセスポンプIPP、及びカセット内の血漿ポンプPPが、関連する空気バルブと連動して制御装置16によって空気圧式に駆動され、分離に備えて血液をインプロセス容器158から加工チャンバ18へ輸送しながら、抗凝固処理済み血液をインプロセス容器158に注入する。この配列はまた、加工チャンバから赤血球を除去して赤血球容器162に移しながら、加工チャンバから血漿を除去して血漿容器160内に移す。この段階は、増分量の血漿が血漿採取容器160内に採取されるまで(計量センサによって監視した状態で)、又は目標量の赤血球が赤血球採取容器162内に採取されるまで(計量センサによって監視した状態で)続く。
【0185】
血漿又は赤血球の目標量が採取される前にインプロセス容器158内の全血量が所定の最大閾値に達した場合、制御装置16は、引き続き血液分離を続行しながら、供血者との界面となるポンプDP1/DP2の運転を終了し、インプロセス容器158内の全血の採取を終了する。血液分離中に全血量がインプロセス容器158内で所定の最小閾値に達したが、それが血漿又は赤血球の目標量が採取される前であった場合、制御装置16は、全血を抽出する工程に戻り、それにより全血がインプロセス容器158に入ることを可能にする。制御装置は、いずれを先に行うにせよ、必要量の血漿採取が完了するか、又は目標量の赤血球採取が完了するまで、インプロセス容器158に対する量の高閾値及び低閾値に従って、これらの2つの状態間で切り換える。
【0186】
(2. 返還サイクル)
一般的な返還サイクル中(目標量の赤血球採取が完了していないとき)、制御装置16は、関連する空気バルブと連動させてカセット28内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2、カセット内のインプロセスポンプIPP、カセット内の血漿ポンプPPを運転し、分離に備えて抗凝血処理済み全血をインプロセス容器158から加工チャンバ18へ輸送しながら、一方で血漿を除去して血漿容器160に移し、赤血球を除去して赤血球容器162に移す。この配列ではまた、容器164からの食塩水をインラインで返還血漿と混合しながら、血漿を血漿容器160から供血者へ輸送することをも行う。食塩水の血漿とのこのインライン混合によって食塩水の温度が上昇し、供血者の快適性を改善する。この段階は、計量センサによって監視した状態で、血漿容器160が空になるまで続行される。
【0187】
血漿容器160が空になる前にインプロセス容器158内の全血量が特定の低閾値に達した場合、制御装置16は、インプロセスポンプIPPの運転を終了し、血液分離を終了する。この段階は、血漿容器160が空になるまで続行される。
【0188】
血漿容器160が空になると、制御装置16は、別の採取サイクルを実行する。制御装置16は、計量センサが赤血球採取容器162内への所望量の赤血球採取が完了したことを示すまで、採取及び返還のサイクルを連続的に行う。制御装置16は、カセット28内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転して血漿容器160内に残っている血漿を供血者へ輸送しながら、加工チャンバ内外への血液の供給及び除去を終了する。次いで、制御装置16は、カセット内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転し、計量センサで監視した状態で、所定の交換量が注入されるまで、インプロセス容器158内に残っている血液成分を供血者へ輸送し、同時に食塩水も供血者へ輸送する。
【0189】
(3. 強制過少溢流(最終赤血球パージ))
1つの代替的実施形態では、制御装置16は、工程の終了時点近くで、分離チャンバから赤血球採取容器内への赤血球の強制過少溢流を引き起こすことによって、総工程時間を短縮する。工程の終了時点での意図的な強制過少溢流によって、赤血球残留量が分離チャンバからパージされ、それにより採取時間並びに最終返還サイクルが簡素化され且つ短縮される。
【0190】
この実施形態では、制御装置16は、所与の工程中に採取されるべく残っている赤血球の量を定期的に又は常時監視する。制御装置16は、採取されるべく残っている赤血球の量が分離チャンバ18に占める赤血球の量に等しいか又はそれに接近したときに、強制過少溢流状態を開始する。分離チャンバに占める赤血球の量は、(i)分離チャンバ18の面積(KA)(チャンバの形状に基づく既知の量である)、(ii)赤血球パージ中の界面の位置の変化(KI)(これもチャンバの形状に基づく既知の量である)、(iii)流入抗凝血処理済全血のヘマトクリット(Hi)、前述したものから導出されるもの、又は性に依存するデフォルト値を含むことのできるものから導出されるもの、(iv)流出赤血球ヘマトクリットHCTRBC、前述したものから導出されるもの、及び(V)赤血球パージシーケンスの開始時点においてチャンバ18内に存在する赤血球の絶対値(KRBC)(分離チャンバ18の形状に基づく定数である)に基づいて導出することができる。上述の係数(強制過少溢流RBC)に基づいて分離チャンバに占める赤血球の量を導出する代表的アルゴリズムは、
強制過少溢流RBC=(KRBC)+ΔIP*HCTRBC
であり、
該式において、ΔIPは過少溢流=(KI)/[(1−(Hi))/HCTRBC/(KA)]を達成するのに必要なインプロセス血液量である。
【0191】
強制過少溢流中、赤血球採取チューブ104が閉じられ、血漿採取チューブ106が開けられる。この状態で、界面の血小板と白血球の層が、供血者への返還に対して血漿と共にチャンバ18から供血者へ輸送される。これにより、赤血球の白血球混入が減少する。赤血球が血漿採取チューブ106に入ったこと(センサ146が検出することになる)を制御装置16が検出すると、制御装置は、血漿採取チューブを閉じて赤血球採取チューブを開放する。この状態により、分離チャンバ内に蓄積された赤血球が赤血球採取容器に輸送されることが可能となる。一般に、血球採取目標量は、この状態の間に達成される。その目標に到達しなかった場合、制御装置16は、通常の赤血球採取状態に戻る。
【0192】
赤血球採取工程が完了すると、制御装置16は、詳細を後に説明する空気パージサイクルに入る。
【0193】
(4.白血球濾過)
赤血球の採取及び血漿並びに残留血液成分の返還が完了すると、制御装置16は、自動的に又はオペレータに促した後、インライン白血球濾過サイクルに転向することができる。このサイクル中、赤血球は、赤血球採取レザバ162から除去され、白血球除去フィルタ170を通して赤血球保存容器172内に輸送される。同時に、容器168からの所望量の赤血球保存溶液が、赤血球と混合される。
【0194】
白血球フィルタ170は、様々に構成することができる。このフィルタは、例えば、膜を備えるか又はメルトブローン合成繊維若しくはスパンボンド合成繊維(例えば、ナイロン又はポリエステル或いはポリプロピレン)、半合成繊維、再生繊維、又は無機繊維などの繊維性材料で製造することのできる濾過媒体を収納するハウジングを備える。繊維性である場合、この媒体は、深層濾過によって白血球を除去する。膜である場合、この媒体は、排除によって白血球を除去する。ハウジングは、周縁沿いに封止された剛体のプラスチックプレートから成ることができる。代替的に、ハウジングは、ジ−2−エチルヘキシル−フタレートで可塑化したポリ塩化ビニル(PVC−DEHP)などの医療グレードプラスチック材料の可撓性シートから成ることもできる。フィルタ170は、使用中、本装置の基部上の保持固定具182内に保持することができる。
【0195】
白血球濾過サイクルの第1段階で、制御装置16は、カセット内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転して赤血球保存容器172、フィルタ170、及びチューブ178から空気を抽出し、この空気を赤血球採取レザバ162内に輸送する。この段階により、白血球除去工程が始まる前に、赤血球保存容器172内に残留する空気の量が最小化される。この段階ではまた、白血球除去工程がいったん完了すると、フィルタ170から赤血球を除去して赤血球採取容器172内に移すために用いることのできる赤血球採取容器162に、或る量の空気ももたらされる。
【0196】
次の段階で、制御装置16は、カセット28内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転し、プライミング量の保存溶液を溶液容器168から抽出して赤血球採取レザバ162に移す。この段階で、容器168とカセット28との間のチューブ180がプライミングされ、最終赤血球保存容器172内にポンプで注入される空気の量が最小化される。
【0197】
次の段階で、制御装置16は、カセット28内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転し、赤血球を赤血球採取レザバ162から赤血球採取容器172内へポンピングする(フィルタ170を通して)工程と容器168から赤血球採取容器172内へ赤血球保存溶液をポンピングする工程(これもフィルタ170を通して)を交互に実行する。この交互に実行される工程により、保存溶液が赤血球と混合される。制御装置16は、赤血球及び保存容器に対して空気ポンプのストローク数をカウントし、保存溶液量に対する赤血球量の所望の割合(例えば、赤血球に対する5ポンプストローク、その後の保存溶液に対する2ポンプストローク、その後この交互シーケンスを反復する)を得る。赤血球採取レザバ162用計量器がレザバが空であることを示すまで、交代で実行されるこの赤血球及び保存溶液の供給が続く。
【0198】
赤血球採取レザバ162が空になると、制御装置16は、供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転し、フィルタ170を通して、所定量の空気を、赤血球採取レザバ162からポンピングする。空気の量は、白血球除去工程が開始される前に、赤血球採取レザバ308内に吸引された空気の量に基づいてあらかじめ決定されている。空気は、フィルタ170から赤血球をパージして、チューブ、カセット28、及びフィルタ170内の残留赤血球の存在を最小化するのに役立つ。このステップはまた、赤血球採取レザバ162が完全に空になることを保証する。
【0199】
次に、制御装置16は、保存溶液と赤血球量間の割合が所望の割合であることを保証する必要に応じ、追加保存溶液を、フィルタ170を通して赤血球保存容器172内にポンピングする。次いで、最終ステップとして、制御装置16は、フィルタ170を通して所定量の保存溶液をポンピングし、依然として残留している全ての赤血球をフィルタ170から洗い落として保存容器172内に移す。この最終ステップにより、濾過後の割合の赤血球回復が最大化される。制御装置16は、フィルタ170が排出を完了することができるように、所定の時間(例えば20秒間)待機するのが望ましい。
【0200】
白血球濾過サイクル及び白血球濾過フィルタ170の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれる、2001年10月13日に提出された「Blood Separation Systems and Methods that Alternate Flow of Blood Component and Additive Solution through an In−Line Leukofilter」と題する、同時係属の米国特許出願第09/976、832号に見出すことができる。
【0201】
(VI. 空気パージ)
所与の血液採取工程の終了時点で、チャンバ18は、赤血球及び血漿の残留量を含むことになる。これらの血液成分残留量を供血者に返還するのが望ましい。これは、赤血球の場合には特にそうである。可能な限り多くの赤血球を返還する能力は、供血者の赤血球損失を最小限に留め、且つ供血者からの赤血球採取が許されないその後の延期期間を短縮する。
【0202】
供血者への返還に備えて分離チャンバから赤血球を洗い流す最も効率的な方法は、分離チャンバに無菌空気を送通することによる方法であることが発見されている。血液加工後に液体ではなく無菌空気を使用することは、血液加工後に処理しなければならない生体に有害な恐れのある廃棄物に関する負担をも軽減する。
【0203】
無菌空気は、所与の血液加工工程に先立って、当初のプライミングサイクル中に、本システムからパージされインプロセス全血レザバ内に置かれる。これが、血液加工工程の完了に後続して分離チャンバから赤血球を洗い流すための無菌空気の供給源となる。
【0204】
エアフラッシュの第1段階中、赤血球採取チューブ104は閉じられている。分離チャンバ18への全血入口チューブ102を通じて空気がポンプ注入され、一方で、血漿ポンプPPの運転により、残留赤血球が血漿出口チューブ106を通じてチャンバ18から抽出される。この段階は、血漿チューブ106内で空気が検出されるまで続く。次いで、エアフラッシュの第2段階が開始される。
【0205】
第2段階中は、血漿出口チューブ106が閉じられ、赤血球チューブ104が開けられる。分離チャンバが回転を開始され、速度が徐々に上昇されて、除去に備えて赤血球をチャンバ18の高G壁の方へ移動させ、且つ分離チャンバ18内に残留している空気を分離チャンバ18の低G壁の方へ移動させるのに十分な相対的に控えめな回転速度(例えば300RPM)が達成される。第2段階は、赤血球チューブ104内で空気が検出されるまで続く。この時点で、エアフラッシュは終了される。
【0206】
赤血球チューブ104及び血漿チューブ106内の空気の検出は、通常の超音波空気検出器を用いて達成することができる。しかしながら、血漿チューブ及び赤血球チューブ106並びに104内の細胞性成分を光学的に検出するために用いられる同一のセンサ146及び148を、これらのチューブ106並びに104内における空気の存在を検出するのにも用いることができることが発見されている。
【0207】
前述したように、血漿チューブ106内のセンサ146は、赤色及び緑色の光透過率を用いて、チャンバ18を出る血漿中の血小板及び/又は赤血球の濃度を判定する。赤血球チューブ104内のセンサ148は、赤外線(805nm)の反射率並びに透過率を用いて分離チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリットを判定する。センサ146及び148は、定期的にセンサ146並びに148を起動して出力をサンプリングする制御装置16によって操作される。所与のセンサ出力は、複数のサンプル値の平均値である。
【0208】
センサ146又は148を通り過ぎる気泡の存在は、センサによって採取される測定サンプル値間に、通常運転中にサンプル平均値を有効化するのに用いられる差異を有意に超える顕著な差異を生じさせることが判明している。サンプル期間中に採取されるサンプル値間の設定閾値分散量は、エアフラッシュサイクル中における空気の存在に相関させることができる。所与のサンプリング期間中に採取された複数のサンプル値の分散量は、例えば、各サンプル値とサンプル平均値との間の差異を合計し、該差異の合計値を二乗し、この量をサンプルの数マイナス1で除算することによって求めることができる。
【0209】
血漿ラインセンサ146の場合、赤色若しくは緑色透過率測定値が約4000(通常の界面感知目的に対してサンプル値の妥当性が評価される分散量より大きい)の閾値分散量を超える場合、制御装置16は、血漿チューブ106に対する気泡検出信号を生成する。制御装置16は、第1段階からエアフラッシュプロトコルの第2段階に移る。
【0210】
赤血球ラインセンサ148の場合、赤外線透過率測定値若しくは赤外線反射率測定値が約2000(これも通常の界面感知目的に対してサンプル値の妥当性が評価される分散量より大きい)の閾値分散量を超える場合、制御装置16は、赤血球チューブ104に対する気泡検出信号を生成する。制御装置16は、エアフラッシュプロトコルの第2段階を終了する。
【0211】
(VII. カセットの完全性チェック)
血液流れセット12の取り付けは、ポンプ・バルブステーション30内へのカセット28の正確な配置、供血者用クランプ154を通る供血者チューブ126及び抗凝血剤チューブ152の正確なルーティング、及び供血者チューブ・抗凝血剤チューブ152接合点下流へのクランプ116又は止血物質の正確な配置を含む。カセットの正確な配置、供血者用クランプ154を通るこれらのチューブ126及び152の正確なルーティング、及びクランプ116若しくは止血物質の存在は、供血者を流れセットに接続する前に、工程毎にチェックされるのが望ましい。
【0212】
カセット隔膜304と空気マニホルド組立体34との間の空気圧封止は、カセット内の流体流路の整合性のみならず、流体圧によって作動するバルブ及びポンプの適切な機能を保証するためにも必要である。空気圧式封止に加え、カセット隔膜304とマニホルド組立体34のバルブフェースガスケット318との間の捕捉空気の量は、流体バルブ及び流体ポンプの効果的動作のために最小限に抑えるべきである。カセット28の完全装着に先立つマニホルド組立体34に押し当たる扉袋314の膨張により封止が損われる可能性がある。遷移及びへこみのようなカセット封止面の欠陥、及びカセットホルダ26内へのカセット28の不適切な搭載も封止を損なう可能性がある。これらの状態も、流れセット12に供血者を接続する前に検出されるのが望ましい。
【0213】
これらの理由から、制御装置16は、一連のカセット装着チェック及び完全性チェックを受けることが望ましい。代表的な実施形態では、これらのカセット装着チェック及び完全性チェックには、(1)扉袋314の膨張前にポンプ・バルブステーション30内におけるカセット28の存在を確認するカセット存在チェック、(2)カセット隔膜304とバルブフェースガスケット318との間の捕捉空気を最小化するための排気作業、(3)カセット28のマニホルド組立体34に当たった適切な着座及びバルブフェースガスケット318に漏出がないことを確認するバルブクロストークチェック、(4)--空気を用いた--供血者クランプ154を通した供血者チューブ126及び抗凝血剤チューブ152の正確なルーティングを確認する乾式カセット完全性試験、並びに(5)--液体(例えば食塩水)を用いて--バルブの封止及び流路の整合性を損なうおそれのあるカセットの欠陥がないことを確認する湿式カセット完全性試験が含まれる。
【0214】
(A. カセット存在チェック)
この試験は、供血者を接続し所望の血液加工セッションを開始する前に、カセット28が装着されており且つポンプ・バルブステーション30の扉32が閉まっていることを確認する。
【0215】
図15を参照すると、オペレータは、ポンプ・バルブステーション30内にカセット28を装着してステーションの扉32を閉鎖する。カセットが存在すると、扉袋314の膨張に対して使用可能な体積が減少する。従って、所与の圧力レベルに到達するのに要する時間が低減される。ポンプ・バルブステーション30内におけるカセット28の存在を確認するカセットチェック中、この特性が用いられる。
【0216】
制御装置16は、真空を印加して全てのカセットバルブ及びカセットポンプを開放するようにマニホルド組立体34に命令する。次いで、制御装置16は、扉袋314に空気圧を印加するようにマニホルド組立体34に命令する。制御装置16は、経過時間をも追跡しながら、袋314内の圧力の増加を登録する。所定の時間(例えば30秒)以内に袋314内の圧力が所定の閾値圧力(PBLAD)(例えば800mmHg)に等しくなるか又はそれを超えると、制御装置18は、カセット28がステーション内に存在するとみなす。そうでない場合、制御装置16は、カセット28を搭載するようにオペレータに警告し促す。
【0217】
カセット28の存在がひとたび確認されれば、制御装置18は、排出作業である次の完全性試験に進む。
【0218】
(B. 排出作業)
排出作業は、扉32が閉鎖された後で、バルブフェースガスケット318とカセット隔膜304との間に捕捉された空気の量を最小化する(全体として図15参照)。捕捉空気は、カセット28内のバルブ及びポンプの性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0219】
制御装置16は、カセット28の存在が確認された後に、排出作業を実行する。排出作業中、扉袋314は、カセット28をマニホルド組立体34に押し当てて着座させるがバルブフェースガスケット318との空気圧封止を引き起こさない、所定のより低い圧力レベル(例えば、約800mmHgより低い)まで膨張される。扉袋314がこのより低い圧力にある間に、制御装置16は次いで、所定の時間PHARD及びPGENを規制するようにマニホルド組立体34に命令する。バルブフェースガスケット318に対するこの異なる圧力の規制により、バルブフェースガスケット318が膨張する。この動作によって、カセット隔膜304とバルブフェースガスケット318との間に捕捉された残留空気が排出されることになる。この動作が所定の時間実行され、その後、扉袋圧は、その完全な指定された封止圧力(例えば約900mmHg)に調整される。制御装置18は、バルブクロストーク試験である次の完全性試験に進む。
【0220】
(C. バルブクロストーク試験)
バルブクロストーク試験の目的は、流れセット12の食塩水プライミングの開始に先立つバルブフェースガスケット318内の漏出を検出することである。制御装置16は、扉袋314を封止圧力に設定するようにマニホルド組立体34に命令する。隣接するバルブ及びポンプチャンバは、制御装置16により、例えば以下のように、圧力及び真空のカテゴリに分類される(これらのバルブの配列の概略図については図25A参照)。
【0221】
【表2】
制御装置16は、圧力領域にPHARD、PGENを連続的に印加し、真空領域にVHARD及びVGENを連続的に印加するようにマニホルド組立体34に命令する。各圧力/真空レベルにおける各領域に関する圧力漏えい率が求められ、許容可能な特定のレベル(例えば、約2mmHg/秒〜約3mmHg/秒より低い)と比較される。いずれかの領域にバルブフェースガスケット318内の漏出を示す特定の許容可能レベルに等しいか又はそれより大きい漏えい率が認められる場合、制御装置は、警報を生成する。
【0222】
全ての領域の漏えい率が特定の許容可能レベルより低い場合、制御装置18は、乾式カセット完全性試験である次の完全性試験に進む。
【0223】
(D. 乾式カセット完全性試験)
乾式カセット完全性チェックにより、流れセットの食塩水プライミングを実施する前に、供血者チューブ126及び抗凝血剤チューブ152に関係する取り付けミス状態が検出される。取り付けミス状態は、(1)供血者チューブ126及び/又は抗凝血剤チューブ152が供血者用クランプ154を迂回している、(2)供血者チューブ126並びに/若しくは抗凝血剤チューブ152がはさまれて締め付けられている、(3)供血者チューブ126/抗凝血剤チューブ152接合点におけるクランプ116又は止血物質の欠如のうちのいずれか1つ若しくはそれらの組み合わせである可能性がある。取り付けミス状態に加えて、この試験はまた、製造に続く品質保証試験の後に(例えば、出荷中及び使用前の取り扱い中に)発生した可能性のある、供血者チューブ126、抗凝血剤チューブ152、又は抗凝血剤容器150内の小さい穴或いは破損したポートなどの流れセット内の欠陥をも検出することができる。
【0224】
乾式カセット完全性試験では、空気を用いて、カセット28の選択された領域が与圧される。乾式カセット完全性試験では、流体がカセット28内に導入される前に適切なカセット装着を確認することができるように、液体ではなく空気が用いられる。従って、取り付けミスが検出された場合、カセット28は、未使用の無菌状態で容易に再装着することができる。
【0225】
乾式カセット完全性試験中(図25A/図25B及び図26A/図26Bに概略的に示す)、制御装置16は、カセット28内の指定されたポンプチャンバを起動して臍部100から空気を抽出して選択された領域内に移送し、且つ指定されたバルブを閉鎖して該領域内の圧力を保持するようにマニホルド組立体34に命令する。初期圧力は、この領域と連通するポンプチャンバ内で感知される。ポンプチャンバは、閉じた状態に設定された供血者用クランプ154を通して標的チューブに連結されている。マニホルド組立体34は、この領域に対応しているポンプに正圧を印加してポンプチャンバからの空気の排出を試みるようにとの命令を受ける。最終圧力は、特定の時間の後に感知される。標的供血者チューブ126又は抗凝血剤チューブ152が供血者用クランプ154内に適切に取り付けられている場合は、供血者用クランプ154は空気の流れを防止するはずであり、且つそれにより圧力低下が生じるのを防止するはずである。圧力低下率(最終圧力/初期圧力)が所定の閾値よりも大きい場合は、供血者用クランプ154は空気の流れを防止しておらず、取り付けミスが存在するとみなされる。
【0226】
代表的な実施形態では、乾式カセット完全性試験は、2つの段階からなる。第1段階では、供血者チューブ126に関する取り付けミス状態が検出される。第2段階では、抗凝血剤チューブ152の取り付けミス状態が検出される。
【0227】
(1. 段階1(供血者チューブの取り付けミス状態))
段階1の開始時点における流体回路306の状態を図25Aに示す。
【0228】
段階1の間、制御装置16は、PGEN、PHARD、VGEN、及びVHARDをシステム圧力レベルに調整する。供血者用クランプ154が開放され、カセット28全体が血液加工チャンバ18に排気される。次いで、血漿ポンプPPの運転によって空気を臍部から抽出して供血者ポンプチャンバDP1内に移送することを可能にする経路内のバルブを除き、全てのカセットバルブが閉鎖される。流体回路306では、この経路は、例えば、V2/V21を開放すること(臍部100から赤血球容器162への赤血球チューブ104を開放すること)、V1/V6を開放すること(インプロセスポンプPPPを通じて全血チューブ102を臍部100内からインプロセス容器158へ開けること)、及びV5/V6/V10/V11/V17を開放すること(血漿ポンプを通して血漿チューブ106を臍部100から供血者ポンプDP1へ開けること)によって生成することができる。流体回路306内の他のバルブと同じように、供血者用クランプ154が閉鎖される。
【0229】
制御装置16は、指定された数のポンプストロークに対して血漿ポンプPPを作動させるようにマニホルド組立体34に命令する。これにより臍部100から空気が抽出され供血者ポンプDP1内に移送される(図25Aに矢印空気経路で示すように)
次いで、制御装置16は、V6を閉鎖するようにマニホルド組立体34に命令し、これにより臍部100からの空気路が閉じられる。次いで、制御装置は、バルブV12/V13/V18を開放するようにマニホルド組立体34に命令し、これにより、閉じたままの状態の供血者用クランプ154によってのみ規制された供血者ポンPPIから供血者チューブ126への経路が開く。段階1のこの局面における流体回路306の状態を図25Bに示す。
【0230】
次に、制御装置16は、PGEN及びVHARDを保持し、VGENに通気し、所定の遅延時間の後に、供血者ポンプDP1内の初期PGENを記録するようにマニホルド組立体34に命令する。
【0231】
次いで、制御装置16は、所定の時間DP1に圧力を印加するようにマニホルド組立体34に命令する。これにより、図25Bに矢印AIRで示すように、空気が供血者ポンプDP1から供血者用クランプ154の方へ誘導される。制御装置16は、既存のPGEN2を記録する。
【0232】
比率PGEN2/PGEN1が特定の値よりも小さい場合、制御装置16は、供血者用クランプ154を通じて空気の漏出が発生し、供血者チューブ126が供血者用クランプ154内に適切に装着されていないとみなす。制御装置16は、カセット28を再装着するようにオペレータに促す。比率PGEN2/PGEN1が特定の値に等しいか又はそれより大きい場合、制御装置16は、供血者用クランプ154を通じた空気の漏出は発生しなかったとみなし、且つ供血者チューブ126は供血者用クランプ154内に適切に取り付けられているとみなす。この場合、制御装置16は、段階2の乾式カセット完全性試験に進む。
【0233】
(2. 段階2(抗凝血剤チューブの装填ミス状態))
段階2の開始時点における流体回路306の状態を図26Aに示す。
【0234】
段階2の開始時点で、制御装置は、PGEN、PHARD、VGEN、及びVHARDをシステム圧力レベルに調整する。供血者用クランプ154が開放され、カセット28全体が加工チャンバ18に排気される。空気が臍部100から抽出されて血漿ポンプPP、供血者ポンプPP1、及び供血者用クランプ154を通じて抗凝血剤ポンプチャンバ内に入る経路を確立するバルブを除き、全てのカセットバルブが閉鎖される。流体回路306内では、この経路は、例えば、V2/V21を開放すること(臍部100から赤血球容器162への赤血球チューブ104を開放すること)、V1/V16を開放すること(インプロセスポンプPPPを通じてインプロセス容器158から臍部100内へ全血チューブ102を開放すること)、V5/V6/V10/V11/V17を開放すること(血漿ポンプPPを通じて臍部100から供血者ポンプDP1まで血漿チューブ106を開放すること)、及びV12/V13/V22を開放すること(供血者チューブ126及び抗凝血剤チューブ152を通じて抗凝血剤ポンプチャンバACP内へ供血者ポンプPP1からの供血者チューブ126を開放すること)によって生成することができる。クランプ116又は止血物質も締め付けて閉じられる。制御装置16は、指定された数のポンプストロークに対して血漿ポンプPPを作動させるようにマニホルド組立体34に命令する。これにより臍部100から空気が抽出され、供血者チューブ126と抗凝血剤チューブ152との接合点を通って抗凝血剤ポンプACP内に入る(図26Aに矢印空気経路で示すように)。次いで、制御装置16は、臍部100への経路の残部を開放された状態に維持しながらV22及び供血者用クランプ154を閉鎖するようにマニホルド組立体34に命令する。
【0235】
次に、制御装置16は、PGEN及びVHARDを保持し、VGENに通気し、且つ、所定の遅延時間の後に初期PGEN1を記録するようにマニホルド組立体34に命令する。次いで、制御装置16は、所定の時間V22開放しておくと同時にACPに圧力を印加するようにマニホルド組立体34に命令する。抗凝血剤チューブ152を通るV22を越える空気流は、閉じられたままの供血者用クランプ154によってのみ調整される。制御装置16は、既存のPGEN2を記録する。段階2のこの局面における流体回路306の状態を図26Bに示し、ACPから供血者用クランプ154への経路を空気矢印で示す。
【0236】
比率PGEN2/PGEN1が特定の値よりも小さい場合、制御装置は、供血者用クランプ154を通じて空気の漏出が発生し、抗凝血剤チューブ152が供血者用クランプ154内に適切に装着されていないとみなす。制御装置は、カセット28を再装着するようにオペレータに促す。比率PGEN2/PGEN1が特定の値に等しいか又はそれより大きい場合、制御装置は、供血者用クランプ154を通じた空気の漏出が発生しなかったとみなし、且つ抗凝血剤チューブ152が供血者用クランプ154内に適切に装着されているとみなす。この場合、制御装置は、湿式カセット完全性チェックである最終完全性チェックに進む。
【0237】
(E. 湿式カセット完全性チェック)
湿式カセット完全性チェックは、カセット28自体内で発生するかもしれない製品品質及び供血者安全性に関連する結果を検出するように設計されている。このチェックは、流体回路がプライミング流体、例えば食塩水を完全にプライミングされた後に行われる。このチェックは、容量性感知手段を用いて、流体経路にプライミング流体が充填されたときの選択された試験領域内の空気圧封止を維持する流体回路の能力を判定する。
【0238】
湿式カセット完全性試験中、少なくとも1つのポンプチャンバを含む選択された試験領域が生成される。試験領域は、試験領域の境界線の周りのバルブを閉鎖することにより、流体回路306の残部から空気圧封止される。試験中、ポンプチャンバにプライミング流体が充填される。制御装置16は、マニホルド組立体34を調整し、ポンプチャンバから閉鎖された試験領域内へプライミング流体を空けることを試みる。容量性感知手段を用いて、制御装置16は、空ける試みがなされた後にチャンバ内に残っている流体の量を推定する。試みの後にチャンバ内に残っている流体の量が所定の最小量よりも多い場合、制御装置16は、試験領域が試験領域からの流体の漏出に耐えるのに十分なだけ空気圧封止されていたとみなす。試みの後にチャンバ内に残っている流体の量が所定の最小量よりも少ない場合、制御装置16は、試験領域からの流体の漏出が発生したとみなし、欠陥警報が生成される。試験は、一連の試験領域を連続的に生成及び試験するのが望ましい。
【0239】
様々な試験領域の境界線は、回路が直面する可能性のある種々の起こり得る封止失敗形態を評価することによって画定することができる。
【0240】
代表的な実施形態では、制御装置16は、バルブV3、V5、V6、V7、V15、V20、V25を空けて第1の標的試験領域を生成する。図27に、試験領域を太実線で示す。試験領域は、供血者ポンプDP1及びDP2を含み、且つ試験領域は、血液及び血液成分が供血者の身体の内外へ輸送される経路を含む。
【0241】
制御装置16は、供血者ポンプDP1/DP2を運転し、適切なバルブを起動して食塩水容器164から食塩水を抽出して試験領域内に移送し、食塩水により、所定の感知圧力まで試験領域を与圧する。ポンプチャンバDP1/DP2は、この工程において食塩水を充填される。
【0242】
図27では、試験領域は、境界バルブV2、V4、V10、V8、V13及びV14によって空気圧封止されている。制御装置16は、境界バルブの下流の追加バルブを開放し、境界バルブを通じて試験領域を出る流体が通ることのできる漏出経路を設け、それにより特定の境界バルブ自体のより感度に優れた試験をもたらすのが望ましい。図27では、境界バルブ下流のバルブV1、V11、V17、V22、V23、抗凝血剤ポンプACP、血漿ポンプPP、インプロセスポンプIPP、及び供血者用クランプ154開放して漏出経路を設けることができる。可能な流体漏出経路を、漏出経路内で開放することのできる境界バルブの外側のバルブにアスタリスク(*)で印を付し、図27に想像線で示す。
【0243】
制御装置16は、バルブV6/V7/V13/V14を閉鎖することによってポンプチャンバDP1/DP2を隔離し、且つ、容量性感知手段により、各チャンバに対するポンプ充填量を記録する。制御装置16は、バルブV6及びV7を開放することによって試験下の領域を供血者ポンプへ開放し、且つ所定の短縮押圧時間だけポンプチャンバDP1及びDP2を閉鎖して流体を試験領域内に移動させる。次いで、制御装置16は、バルブV6及びV7を閉鎖し、サンプル遅延時間だけ待機する。次いで、制御装置16は、容量センサの読み取り値を取得する。いずれかのポンプチャンバに対する最終値が最小閾値(例えば、完全に空のチャンバを上回るベースライン量を表すことのできる)より小さい場合、試験領域からの流体漏出が発生した。警報が生成される。両方のチャンバに対する最終値が最小閾値に等しいか又はそれより大きい場合、流体漏出は発生しておらず、試験が進行される。
【0244】
別の試験領域の完全性は、バルブV5、V6、V7、V15、V20、V25を開放することにより試験することができる。図28に、この試験領域を太実線で示す。制御装置16は、境界バルブ下流のバルブV11、V17、V21、V22、V23、抗凝血剤ポンプACP、血漿ポンプPP、インプロセスポンプIPP、及び供血者用クランプ154を解放して流体漏出経路を設け、より感度に優れた試験をもたらすことができる。流体漏出経路を、漏出経路内で開放することのできる境界バルブの外側のバルブにアスタリスク(*)で印を付し、図28に想像線で示す。
【0245】
所定数のポンプストロークに対して供血者ポンプDP1/DP2が作動され、外部食塩水容器164からの食塩水によって試験下の領域が与圧される。この時間の間、供血者ポンプチャンバDP1及びDP2に、食塩水容器164からの食塩水が充填される。制御装置16は、バルブV6/V7/V13/V14を閉鎖することによってポンプチャンバDP1/DP2を隔離し、且つ、容量性感知手段により、各チャンバに対するポンプ充填量を記録する。制御装置16は、バルブV6及びV7を開放することによって試験下の領域を供血者ポンプDP1/DP2へ開放し、且つ所定の短縮押圧時間だけポンプチャンバDP1及びDP2を閉鎖して流体を試験領域内に移動させる。次いで、制御装置16は、バルブV6及びV7を閉鎖し、サンプル遅延時間だけ待機する。次いで、制御装置16は、容量センサの読み取り値を取得する。いずれかのポンプチャンバに対する最終値が閾値(空のチャンバを上回るベースライン量を表す)より小さい場合、試験領域内への流体漏出が発生した。警報が生成される。両方のポンプチャンバに対する最終値が閾値(空のチャンバを上回るベースライン量を表す)に等しいか又はそれより大きい場合、流体漏出は発生しておらず、試験が進行される。
【0246】
別の試験領域の完全性は、バルブV4、V13、V14、V15、V20を開放することにより試験することができる。これらのバルブを開放し、更に別の試験領域が生成される。図29に、この試験領域を太実線で示す。先の試験領域と同様に、境界バルブ下流のバルブV3、V5、V10、V11、V21、V22、V23、抗凝血剤ポンプACP、血漿ポンプPP、インプロセスポンプIPP、及び供血者用クランプ154を解放して漏出経路を生成することができる。流体漏出経路を、漏出経路内で開放することのできる境界バルブの外側のバルブにアスタリスク(*)で印を付し、図29に想像線で示す。
【0247】
所定数のポンプストロークに対して供血者ポンプDP1/DP2が作動され、臍部100を通過することにより、インプロセス容器158からの食塩水によって試験下の領域が与圧される。この時間の間、供血者ポンプチャンバDP1及びDP2に食塩水が充填される。制御装置16は、バルブV6/V7/V13/V14を閉鎖することによってポンプチャンバDP1/DP2を隔離し、且つ、容量性感知手段により、各チャンバに対するポンプ充填量を記録する。制御装置16は、バルブV13及びV14を開放することによって試験下の領域を供血者ポンプへ開放し、且つ所定の短縮押圧時間だけポンプチャンバDP1及びDP2を閉鎖して流体を試験領域内に移動させる。次いで、制御装置16は、バルブV13及びV14を閉鎖し、サンプル遅延時間だけ待機する。次いで、制御装置16は、容量センサの読み取り値を取得する。いずれかのポンプチャンバに対する最終値が閾値(空のチャンバを上回るベースライン量を表す)より小さい場合、試験領域内への流体漏出が発生した。警報が生成される。両方のポンプチャンバに対する最終値が閾値(空のチャンバを上回るベースライン量を表す)に等しいか又はそれより大きい場合、流体漏出は発生しておらず、代表的実施形態の3段階試験が終了する。
【0248】
もちろん、上記の論理的根拠に基づいて、他の試験領域を確立して試験することができるであろう。
【0249】
一連のカセット完全性試験に続き、システム10を用いた静脈穿刺及び血液加工に進むことができる。
【0250】
(VIII. 結論)
本発明の多くの特徴を、保存及び血液成分治療に備えて全血を成分部分に分離する工程でのそれらの使用法を説明することによって実証してきた。これは、本発明がこれらの血液加工工程を実行するのに用いるように十分に適合されているからである。しかしながら、本発明の特徴が他の加工工程に用いるのにも同様に役立つことを理解されたい。
【0251】
例えば、血液加工チャンバと関連させてプログラム可能なカセットを利用する記載したシステム及び方法は、手術中に血液細胞を洗浄又は回収する目的で、若しくは血漿交換治療を実施する目的で、或いは治療に対して体外経路内で血液が循環される任意の他の工程に用いることができる。更に、記載した本システム及び方法は、血管循環系から抽出したヒト又は動物の血液の加工に限定されず、血管循環系外で生成され且つ天然源から組み換えによって産生若しくは採取された細胞性の血液成分又は物質を含む懸濁液を加工若しくは分離するのにも用いることができる。
【0252】
本発明の諸特徴を、以下の特許請求の範囲に定義する。
【図面の簡単な説明】
【0253】
【図1】図1は、血液加工装置(輸送及び保管に備えて閉鎖した状態で示す)と、血液加工装置と相互に作用して1種類又はそれ以上の血液成分の分離及び採取をもたらす使い捨て液体・血液流れセット(使用前の輸送及び保管に備えてトレイ内に梱包された状態で示す)とを備える、血液加工に理想的に適した流体加工システムの斜視図である。
【図2】図2は、運転に備えて開放した状態で示す、図1に示す血液加工装置の斜視図である。
【図3】図3は、血液加工チャンバを受け入れるために遠心分離ステーションが開放され、且つ流体圧作動カセットを受け入れるためにポンプ・バルブステーションが開放された、図2に示す血液加工装置の斜視図である。
【図4】図4は、使い捨て液体・血液流れセットを収容するトレイが装置上への該流れセットの搭載に備えて配置された、図3に示す血液加工装置の斜視図である。
【図5】図5及び図6は、液体・血液流れセットが使用に備えて装置上に搭載された後の図2に示す血液加工装置の、それぞれ、右側及び左側の斜視図である。
【図6】図5及び図6は、液体・血液流れセットが使用に備えて装置上に搭載された後の図2に示す血液加工装置の、それぞれ、右側及び左側の斜視図である。
【図7】図7は、血液加工チャンバ、及び図5並びに図6に示す液体・血液流れセットの一部を形成する取り付けられた臍部の斜視図である。
【図8】図8は、図7に示す種類の血液加工チャンバの代表的実施形態の内部の斜視図であり、該チャンバの内部は、図5及び図6に示す装置を用いて赤血球の分離・採取工程を実行するように構成されている。
【図9】図9は、図7に示す種類の血液加工チャンバを受け入れるためにステーションの扉が開放された、図5及び図6に示す装置の遠心分離ステーション内部の斜視図である。
【図10】図10は、図7に示す種類の血液加工チャンバが使用に備えて搭載された後の、図9に示す遠心分離ステーション内部の斜視図である。
【図11A】図11Aは、図5及び図6に示す装置の一部を形成する光感知ステーションとの意図された関連付けを示す、図7に示す臍部によって支持された固定具の拡大斜視図である。
【図11B】図11Bは、図11Aに示す光感知ステーションの側断面図である。
【図11C】図11Cは、図11Aに示す光感知ステーションの分解斜視図である。
【図11D】図11Dは、図11Aに示す光感知ステーションの上面図である。
【図11E】図11E及び図11Fは、11Aに示す光感知ステーションと関連させて用いることのできる回路の概略図である。
【図11F】図11E及び図11Fは、11Aに示す光感知ステーションと関連させて用いることのできる回路の概略図である。
【図12】図12は、図7に示す種類の血液加工チャンバの内部の線図であり、赤血球層、血漿層、及び中間の軟膜層への全血の分離を示しており、各層の位置を所望の関係で示している。
【図13】図13は、軟膜層が低G壁に極めて近接した位置へ移動しており、軟膜成分を採取中の血漿内に浸透させる望ましくない過剰溢流状態を生成している、図7に示す種類の血液加工チャンバの内部の線図である。
【図14】図14は、軟膜層が高G壁に極めて近接した位置へ移動しており、採取中の赤血球のヘマトクリットの低下をもたらす望ましくない過少溢流状態を生成している、図7に示す種類の血液加工チャンバの内部の線図である。
【図15】図15は、図5及び図6に示す液体・血液流れセットの一部を形成する流体圧作動カセット、及びこれも図5並びに図6に示すカセットに正及び負の空気圧を印加して液体並びに血液をカセット内で循環させる装置上のポンプ・バルブステーションとのその動作上の関連を示す分解斜視図である。
【図16】図16は、様々な血液加工・採取工程の実行を可能にする図15に示すカセット内に実装することのできる流体回路の概略図である。
【図17】図17は、図17に示す流体回路が実装されたカセットの平面図である。
【図18】図18は、図7に示す種類の血液加工チャンバの代表的実施形態の内部の上面斜視図であり、該チャンバの内部は、図5及び図6に示す装置を用いて血漿の分離・採取工程を実行するように構成されている。
【図19】図19は、図18に示す血液加工チャンバの下面斜視図である。
【図20】図20は、赤血球を分離区域から血漿とは別の経路へ誘導する先細の表面を有する障壁を示す、図18に示す血液加工チャンバの内部領域の拡大側面斜視図である。
【図21】図21は、赤血球が障壁によって分離区域から誘導される際に赤血球がとる経路を示す、図20に示す領域の拡大下面斜視図である。
【図22】図22は、赤血球及び血漿が障壁によって分離区域から誘導される際に赤血球並びに血漿がとる別々の経路を示す、図20に示す領域の拡大上面斜視図である。
【図23】図23は、血漿採取工程に用いることのできる構成の液体・血液流れセットに連結された図16及び図17に示す種類のカセットの概略図である。
【図24】図24は、2単位赤血球採取工程に用いることのできる構成の液体・血液流れセットに連結された図16及び図17に示す種類のカセットの概略図であり、血液流れセットは、血液加工装置に搭載された後の状態で図5及び図6にも示されている。
【図25A】図25A及び図25Bは、正及び負の空気圧の印加によって調整して空気を制御された方法で輸送し、血液及び液体を供血者の身体の内外へ輸送するためのチューブが図5及び図6に示すように装置上に適切に取り付けられていることを確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【図25B】図25A及び図25Bは、正及び負の空気圧の印加によって調整して空気を制御された方法で輸送し、血液及び液体を供血者の身体の内外へ輸送するためのチューブが図5及び図6に示すように装置上に適切に取り付けられていることを確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【図26A】図26A及び図26Bは、正及び負の空気圧の印加によって調整して空気を制御された方法で輸送し、供血者から抽出した血液内に抗凝血剤を輸送するためのチューブが図5及び図6に示すように装置上に適切に取り付けられていることを確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【図26B】図26A及び図26Bは、正及び負の空気圧の印加によって調整して空気を制御された方法で輸送し、供血者から抽出した血液内に抗凝血剤を輸送するためのチューブが図5及び図6に示すように装置上に適切に取り付けられていることを確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【図27】図27〜図29は、正及び負の空気圧の印加によって調整して液体を制御された方法で輸送し、使用の前にカセットの物理的完全性を確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【図28】図27〜図29は、正及び負の空気圧の印加によって調整して液体を制御された方法で輸送し、使用の前にカセットの物理的完全性を確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【図29】図27〜図29は、正及び負の空気圧の印加によって調整して液体を制御された方法で輸送し、使用の前にカセットの物理的完全性を確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2001年10月13日に提出された「Blood Separation Systems and Methods with Umbilicus−Driven Blood Separation Chambers」と題する同時係属の米国特許出願第09/976、830号の利益を主張する。
【0002】
(発明の属する技術分野)
本発明は、血液、血液成分、又は他の細胞物質の懸濁液を加工及び採取するシステム並びに方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
今日、全血は、通常は遠心分離によって、赤血球、血小板、及び血漿などのその様々な治療成分に分離されることが日常的となっている。
【0004】
従来の血液加工法では、通常プラスチックで製造されたシングルユース用の無菌加工システムと関連させた耐久力を有する遠心分離機が用いられる。オペレータは、加工前に遠心分離機上に使い捨てのシステムを搭載し、後にそれらを除去する。
【0005】
通常の血液遠心分離機は、採取場所間での容易な輸送を許容しない大きさを有する。更に、搭降載作業は、時として、時間のかかる退屈なものとなる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
更に、血漿、赤血球、及び血小板のような極めて必要性の高い細胞性血液成分のより高い収率を理にかなった短い加工時間で実現することのできる、量の多いオンライン血液採取環境で使用するのに役立つ方法で血液成分を採取するための更に改善されたシステム及び方法に対する必要性が存在する。
【0007】
そのような流体加工システムに対する運転上及び性能上の要求は、より小さく且つより携帯性を有するシステムに対する要求が強まるとともに、より複雑且つ高度なものとなる。従って、より詳細な情報を収集及び生成し且つオペレータが加工並びに分離の効率を最大化するのを支援するように信号を制御することのできる自動化された血液加工制御装置に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明の一態様では、回転軸を中心として回転可能なフレームと、該フレームによって担持され回転軸を中心として回転する血液加工チャンバとを備える血液加工用組立体を提供する。臍部は、血液加工チャンバを備える血液加工用組立体を提供する。臍部は、一端が回転軸に沿って血液加工チャンバに連結され、反対端が回転軸に沿って非回転状態に保持されている。臍部の中間部分は、少なくとも部分的に、回転軸の外側に延びる。フレームは、臍部の中間部分に係合するような大きさ及び構成とされた少なくとも1つの支持チャネルを担持する。支持チャネルは、指定方向へのフレームの回転に応答して臍部の中間部分を支持チャネル内に自動搭載するような大きさ及び構成とされた側縁部を含む。
【0009】
一実施形態では、フレームは、血液分離工程中所与の方向に回転するように適合されている。指定方向は、所与の方向と反対の方向である。
【0010】
一実施形態では、支持チャネルは、回転軸に向かう臍部の半径方向の進退移動を抑制するような大きさ及び構成とされている。
【0011】
一実施形態では、支持チャネルは、回転軸を中心とするフレームの回転に応答して臍部の中間部分に回転を与える。この配列では、臍部の回転が、血液加工チャンバに回転を与える。
【0012】
一実施形態では、支持チャネルは、低摩擦材料を含む。
【0013】
本発明の別の態様では、回転軸を中心として回転可能なフレームと、該フレームによって担持され回転軸を中心として回転する血液加工チャンバとを備える血液加工用組立体を提供する。臍部は、一端が回転軸に沿って血液加工チャンバに連結され、反対端が回転軸に沿って非回転状態に保持されている。臍部の中間部分は、少なくとも部分的に、回転軸の外側に延びる。第1と第2の支持チャネルが、回転軸に沿って、フレーム上に間隔を置いて配置されている。第1と第2の支持チャネルは、臍部の中間部分に互いに係合するような大きさ及び構成とされている。第1と第2の支持チャネルは、フレームの回転方向にかかわらず中間部分に互いに係合するように逆向き関係に配列されている。
【0014】
一実施形態では、支持チャネルのうちの少なくとも1つは、回転軸に向かう臍部の半径方向の進退移動を抑制するような大きさ及び構成とされている。
【0015】
一実施形態では、支持チャネルのうちの少なくとも1つは、回転軸を中心とするフレームの回転に応答して中間部分に回転を与える。この配列では、臍部の回転が、血液加工チャンバに回転を与える。
【0016】
一実施形態では、支持チャネルのうちの少なくとも1つは、低摩擦材料を含む。
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の明細書及び添付の図面に記載する。
【0018】
本発明は、その精神又は本質的特性を逸脱することなく、幾つかの形態で実施することができる。本発明の範囲は、先行する明細書ではなく、添付の特許請求の範囲に定義されている。従って、特許請求の範囲の意味及び等価のものの範囲内に入る全ての実施形態は、特許請求の範囲によって包含されることを意図されている。
【0019】
(好ましい実施形態の説明)
図1に、本発明の特徴を実施した流体加工システム10を示す。システム10は、種々の流体を加工するために使用することができる。
【0020】
システム10は、全血及び他の生体細胞物質の懸濁液を加工するのに特に好適である。従って、図示の実施形態は、この目的に対して使用されるシステム10を示す。
【0021】
(I. システムの概要)
システム10は、2つの主要な構成要素を含む。それらは、(i)輸送及び保管に備えて閉鎖した状態で図1に示し、運転に備えて開放した状態で図2及び図3に示す血液加工装置14、並びに(ii)血液加工装置14と相互作用して1種類又はそれ以上の血液成分の分離及び採取をもたらす液体・血液流れセット12である。液体・血液流れセット12は、図1及び図4には、使用前の輸送並びに保管に備えてトレイ48内に梱包した状態で、図5及び図6には、使用に備えてトレイ48から除去され、血液加工装置14に取り付けられた状態で示されている。
【0022】
(A. 加工装置)
血液加工装置14は、長期間使用することのできる耐久性を有する製品であることを意図されている。図示の好ましい実施形態では、血液加工装置14は、携帯型のハウジング又はケース36の内部に取り付けられる。ケース36は底面積が小さく、テーブル面或いは他の比較的小さい表面上でのセットアップ及び運転に適している。ケース36は、採取場所へ容易に輸送されることをも意図されている。
【0023】
ケース36は、基部38及びヒンジ式に開閉可能な蓋40を含み、該ヒンジ式に開閉可能な蓋40は、輸送の場合は閉まり(図1に示すように)、使用の場合は開く(図2〜図4に示すように)。使用時は、基部38は、全体として水平な支持面となることを意図されている。ケース36は、例えば成形により、所望の構造に形成することができる。ケース36は、軽量であるが耐久性を有するプラスチック材料で製造されるのが好ましい。
【0024】
制御装置16は、装置14に搭載して搬送される。制御装置16は、装置14の部品と流れセット12の部品との間の相互作用を制御して、オペレータによって選択された血液の加工・採取工程を実行する。図示の実施形態では、制御装置16は、例えば、Intel Corporationによって製造されたPentiumTM型のマイクロプロセッサを備えることのできる主処理装置(MPU)を備えるが、他の種類の通常のマイクロプロセッサを使用することができる。MPUは、ケース36の蓋40の内側に取り付けることができる。電源コード184を有する電源は、MPU及び装置14の他の部品に電力を供給する。
【0025】
制御装置16は、対話式のユーザインターフェース42をも含み、オペレータがシステム10の動作に関する情報を閲覧して把握することを可能にしている。図示の実施形態では、インターフェース42は、オペレータが閲覧するために情報を英数字形式でまた図形画像として表示する、蓋40内に担持されたインターフェース画面上に実装されている。
【0026】
制御装置16の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれる、Nayakらの米国特許第6、261、065号に見出すことができる。インターフェースの更なる詳細は、これも引用により本明細書に組み込まれる、Lyleらの米国特許第5、581、687号に見出すことができる。
【0027】
図1に示すように、蓋40は、他の外部装置を制御装置16又は装置14の他の部品に接続するための他の入出力装置を支持するために用いることができる。例えば、イーサネット(登録商標)ポート50、又はバーコードリーダ若しくはそれに類するもののための入力装置52(情報をスキャンして制御装置16に入力するための)、又は診断ポート54、或いは血液加工中に血流速度を高めるために供血者によって装着される加圧カフ60に接続されるポート56(例えば、図23及び図24参照)、若しくはシステム変換器較正ポート58は全て、蓋40の外側、又は装置14のケース36上の別の箇所に、アクセスに対して好都合に取り付けることができる。
【0028】
(B. 流れセット)
流れセット12は、無菌のシングルユース用使い捨て製品であることを意図されている。所与の血液加工・採取工程を開始する前に、オペレータは、流れセット12の種々の部品を、装置14と関連させて搭載する(図4及び図5に示すように)。制御装置16は、オペレータからの他の入力を考慮しながら、あらかじめ設定されたプロトコルに基づいて工程を実行する。工程が完了すると、オペレータは、流れセット12を、装置14との関連付けから解除する。セット12の採取された1種類の血液成分又は複数の種類の血液成分を保持している部分は、装置14から除去され、保存、輸血、又は更なる加工に備えて保持される。セット12の残部は、装置14から除去されて廃棄される。
【0029】
流れセットは、後に更に詳細に明らかにされるように、血液加工チャンバ18と、流体によって作動されるポンプ・バルブカセット28と、チャンバ18並びにカセット28に連結されたアレイに関連する加工容器64及び流れチューブを含む。
【0030】
(1. 血液加工チャンバ)
図示の実施形態(図5参照)では、流れセット12は、遠心分離機と関連させて使用するように指定された血液加工チャンバ18を含む。加工装置14は、加工チャンバ18を受け入れて使用する(図5参照)遠心分離ステーション20(図2及び図3参照)を含む。
【0031】
図2及び図3に示すように、遠心分離ステーション20は、基部38内に形成されたコンパートメント24を備える。遠心分離ステーション20は、扉22を含む。扉22が開き(図3及び図5に示すように)、加工チャンバ18をコンパートメント24内に搭載することが可能となる。扉22が閉まり(図2及び図6に示すように)、運転中、加工チャンバ18がコンパートメント24に収納される。
【0032】
遠心分離ステーション20は、加工チャンバ18を回転させる。回転される際に、加工チャンバ18は、供血者から受領した全血を、成分部分、主として赤血球、血漿、及び血小板並びに白血球が存在する軟膜と呼ばれる中間層に遠心分離する。後に説明するように、チャンバ18の構造は、意図された血液分離の目的に応じて変えることができる。
【0033】
(2. 流体圧作動カセット)
図示の実施形態では、セット12は、流体圧で作動するカセット28(図5参照)をも含む。カセット28は、所与の血液加工工程に必要な全てのポンプ機能及びバルブ機能に対する集中化されたプログラム可能な統合型プラットフォームを提供する。図示の実施形態では、流体圧力は正及び負の空気圧力で成り立っているが、他の種類の流体圧力を用いてもよい。
【0034】
図5に示すように、カセット28は、ケース36の蓋40内に配置された空気圧で作動するポンプ・バルブステーション30内で用いるように取り付けられる。ポンプ・バルブステーション30は、カセット28を搭降載するためにポンプ・バルブステーション30を露出させる開位置(図3参照)と使用のためにカセット28をポンプ・バルブステーション30に収納する閉位置(図6参照)との間で移動するようにヒンジ式に開閉可能な扉32を含む。ポンプ・バルブステーション30は、バルブフェースガスケット318の背後に配置されたマニホルド組立体34(図4参照)を含む。マニホルド組立体34は、カセット28がポンプ・バルブステーション30に取り付けられている際に、ガスケット318を通して正及び負の空気圧をカセット28に印加する。空気圧が、カセット28を貫流するように液体を誘導する。
【0035】
カセット28及びポンプ・バルブステーション30の操作の更なる詳細は後に説明することにする。更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれているNayakらの米国特許第6、261、065号にも見出すことができる。
【0036】
(3. 血液加工用の容器及びチューブ)
図5及び図6に戻ってそれらを参照すると、流れセット16は、カセット28及びチャンバ18と流れ連通する数多くの様々なチューブ並びに容器をも含む。チューブ及び容器の配列は、加工目的に応じて変えることができる。代表的な血液加工工程及びそのような工程に対応する関連する流れセットについては後に説明することにする。
【0037】
臍部100は、流れセット16の一部を形成する。取り付けられると、臍部100は、封止部を回転させる必要なくして、回転する加工チャンバ18をカセット28と連結する。臍部100は、Hytrel(登録商標)コポリエステルエラストマー(DuPont)などの耐回転応力性プラスチック材料で製造することができる。
【0038】
ここで図7を参照すると、チューブ102、104、及び106は、臍部100の近位端から延びる。チューブ102は、分離に備えて全血を加工チャンバ18内に輸送する。チューブ104及び106は、それぞれ、遠心分離された赤血球及び血漿を加工チャンバ18から運び出す。血漿は、加工目的に応じて、血小板を多くするか若しくは少なくすることができる。
【0039】
図7に示すように、固定具108により、チューブ102、104、及び106が、遠心分離ステーション20の外側に、臍部100に隣接して、コンパクトで整然とした並列のアレイにまとめられる。固定具108により、チャンバ18の外側に遠心分離ステーション20に隣接して配置された光感知ステーション46(図9、図10、及び図11参照)と関連させて、グループとしてチューブ102、104、及び106を配置及び除去することが可能となる。
【0040】
光感知ステーション46は、チューブ104及び106によって運ばれた血液中における目的の血液成分(例えば赤血球及び血小板)の存在又は欠如を光学的に監視する。感知ステーション46は、そのような血液成分の存在又は欠如を反映した出力を提供する。この出力が、制御装置16に伝達される。制御装置16は、この出力を処理し、光学的に感知されたイベントに部分的に基づいて、加工イベントを制御する信号を生成する。光学的感知に基づいて加工イベントを制御する制御装置の動作の更なる詳細は後に説明することにする。更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれているNayakらの米国特許第6、261、065号にも見出すことができる。
【0041】
図に示すように(図5及び図6参照)、流れセット16は、瀉血針128を含み、それを通じて、供血者を血液加工用システム10に連結することができる。図5及び図6では、流れセット16は、血液サンプリングアセンブリ110をも含む。血液サンプリングアセンブリ110は、所与の血液加工工程の開始時点での、瀉血針128を通じた、1つ又はそれ以上の供血者の血液サンプルの採取を可能にする。サンプリングアセンブリ110内への血流を制御するために、通常の手動式クランプ114(例えばロバーツクランプ)が備えられている。
【0042】
これも図5及び図6に示すように、流れセット16は、インラインの注入部位112を含むことができる。注入部位112は、必要な場合に、瀉血針128を使用し、且つ追加の針を必要とすることなく、技術者が食塩水又は他の生理的液体若しくは薬物を供血者の身体内に導入することを可能にする。
【0043】
付加的なインライン手動式クランプ116は、血液サンプリングアセンブリ110及び注入部位112の上流に含まれるのが望ましい。このクランプ116は、供血者の安全上若しくは快適性上必要となった場合に流れセット16から供血者を迅速に隔離することを可能にする。代替的に、別個の止血装置(図示せず)を、この目的に対して適用することができる。
【0044】
図1及び図2にも示すように、装置14は、血液加工を支援するためのコンパクトに配列された他の部品を含むことができる。説明済みの遠心分離ステーション20及びポンプ・バルブステーション30に加えて、本装置は、1つ又はそれ以上の容器用の計量ステーション62及び他の形態の支持体を含む。もちろん、装置14上へのこれらの部品の配列は、変えることができる。
【0045】
図示の実施形態(図3参照)では、計量ステーション62は、蓋40の上部に沿って配列された一連の容器ハンガ/重量センサを備える。図示の実施形態では、追加のスイングアウト式ハンガ/重量センサも、蓋40の側部及び基部上に備えられている。使用に際し、(図5及び図6参照)、容器が計量ステーション62に吊り下げられる。図5及び図6にも示すように、計量ステーション62に隣接して蓋40に施された絵入りアイコン66は、容器に施された絵入りアイコン66と一致する。アイコン66を一致させることにより、オペレータは、意図された計量ステーション62上に適切な容器を配置するように視覚的に誘導される。
【0046】
計量ステーション62は、基部38内に、容器を置くための成形されたくぼみをも備えることができる。ステーション62に隣接する基部38上の絵入りアイコン66は、容器上の絵入りアイコン66と一致し、セットアップ中オペレータが容器を適切に配置するのを誘導する。
【0047】
加工中、血液又は液体は、容器に受け入れられ且つ/若しくは容器から放出され、計量ステーション62は、重量の経時変化を反映した出力を提供する。この出力が、制御装置16に伝達される。制御装置16は、漸進的な重量の変化を処理し、流体の加工量を導出する。制御装置は、導出した加工量に部分的に基づいて、加工イベントを制御する信号を生成する。加工イベントを制御するための制御装置16の動作の更なる詳細については後に説明することにする。更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれているNayakらの米国特許第6、261、065号にも見出すことができる。
【0048】
(4. 血液加工工程)
制御装置16の制御の下で、システム10は、様々な血液加工工程を実行するように調整することができる。MPUは、制御アプリケーションのライブラリの起動を管理するアプリケーション制御管理プログラムを含む。各制御アプリケーションが、所定の方法で遠心分離ステーション20及びポンプ・バルブステーション30を使用して所与の機能的タスクを実行するための工程を定める。アプリケーションは、例えば、MPUのEPROM内のプロセスソフトウェアとして常駐することができる。
【0049】
後に説明するように、カセット28に対する圧力の選択的印加によって、同一のカセット28を様々な血液採取工程を実行するために使用することが可能である。
【0050】
例示を目的として、(1)血漿採取工程、及び(2)2単位赤血球採取工程の2つの臨床的工程の実施方法について説明する。血漿採取工程の間、供血者からの全血が遠心処理され、最大880mlの血漿が得られ、採取される。赤血球は全て供血者に返還される。2単位赤血球採取工程の間、供血者からの全血が遠心処理され、最大2単位(約500ml)の赤血球が得られ、採取される。血漿成分は全て供血者に返還される。
【0051】
詳細には説明しないが、他の臨床的工程を、システム10によって実行することができる。例えば、血漿/赤血球採取工程を実行することができ、その間に、供血者からの全血が遠心処理され、最大約550mlの血漿及び最大約250mlの赤血球が採取される。採取用に保持されない赤血球部分は、血液分離中、定期的に供血者に返還される。550mlの目標量を上回って採取された血漿及び250mlの目標量を上回って採取された赤血球も工程の終了時点で供血者に返還される。別の例を挙げれば、血漿採取及び/又は赤血球採取工程の間に、軟膜界面をチャンバ18から除去して採取することができる。後続の白血球を除去する処理工程の場合は、軟膜は、血小板の採取源として役立つ。
【0052】
システム10が達成することのできる種々の血液採取工程の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれている米国特許第6、261、065号に記載されている。
【0053】
(II. 本システムの血液分離装置の他の技術的特徴)
システム10の血液加工チャンバ18及び遠心分離ステーション20は、様々な血液加工プロトコルの実行に対応する他の技術的特徴を有するのが望ましい。
【0054】
(A. 血液加工チャンバ)
図示の実施形態(図7及び図8参照)では、加工チャンバ18は、非可塑化医療グレードアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの剛体で生体適合性を有するプラスチック材料で、例えば射出成形によって所望の形状及び構成にあらかじめ形成される。この配列では、チャンバ18は、基部構成部分200と蓋部構成部分202との2つの主要な構成部分を含む。
【0055】
基部構成部分200は、センターハブ204を含む。ハブ204は、周方向の血液分離チャネル210を形成する内側及び外側の環状壁206並びに208によって取り囲まれている。1つ又はそれ以上の半径方向の通路212が、ハブ204から延びてチャネル210と連通している。血液及び他の流体は、これらの通路212を通って、ハブ204からチャネル210の内外に誘導される。成形された壁214が、分離チャネル210の軸方向境界を形成する。蓋構成部分202も、分離チャネル210の別の軸方向境界を形成する。両方の軸方向境界を全体として平坦に示しているが(即ち、回転軸に直角に)、軸方向境界は先細、円形、V字形等とすることができることを理解されたい。
【0056】
基部構成部分200の底面は、臍部100の遠端上の成形マウント218を受け入れる成形レセプタクル216を含む。マウント218は、様々な方法、例えば、堅固な乾式圧入によって、又は溶剤結合によって、若しくは超音波溶接によって、レセプタクル216に固定し、臍部100をチャネル210と流体連通させて連結することができる。臍部100の遠端及び基部構成部分200は、1つの構成単位として回転する。
【0057】
血液分離工程の動力学に影響を及ぼす全ての輪郭、ポート、チャネル、及び壁は、1つ又はそれ以上の射出成形作業において、基部構成部分200内にあらかじめ形成される。基部構成部分200内にあらかじめ形成される輪郭、ポート、チャネル、及び壁は、所望の特定の分離目的に応じて変えることができる。代表的な例を、後で更に詳細に説明することにする。
【0058】
(B. 遠心分離ステーション)
遠心分離ステーション20(図9参照)は、遠心分離機組立体68を含む。遠心分離機組立体68は、使用に対して成形された加工チャンバ18及び臍部100を受け入れるように構築されている。
【0059】
図9に示すように、遠心分離機組立体68は、下壁72、上壁74、及び側壁76を有するフレーム又はヨーク70を含む。ヨーク70は、下壁72に取り付けられたベアリング要素78(図9)上で回転する。電気駆動モータ80がヨーク70の下壁72に連結されており、軸82を中心としてヨーク70を回転させる。図示の実施形態では、軸82は基本的に水平であるが(図3参照)、他の角度方向を使用してもよい。モータ80は、制御装置16によって発行された命令に応じて、時計回り方向若しくは逆時計回り方向にヨーク70を回転させることができる。
【0060】
担体又はロータプレート84は、ヨーク70の上壁74に取り付けられたそれ自体のベアリング要素86を中心としてヨーク70内で回転する。ロータプレート84は、ヨーク70の回転軸82と全体として整合された軸を中心として回転する。
【0061】
図7に示すように、加工チャンバ18の最上部は、環状のへり220を含み、それに、蓋構成部品202が固定されている。図10に示すように、ロータプレート84は、へり220を除去可能に把持し、加工チャンバ18をロータプレート84上に固定して回転させるラッチ組立体88を含む。
【0062】
ラッチ組立体88の詳細は、引用により本明細書に組み込まれている2001年10月13日に提出された「Blood Separation Systems and Methods with Quick Attachment of a Blood Separation Chamber to a Centrifuge Rotor」と題する同時係属の米国特許出願第09/976、829号に見出すことができる。
【0063】
図10に最もよく示すように、臍部100の近端上の被覆部144は、遠心分離ステーション20内のあらかじめ形成された陥凹ポケット90内にぴったり収まる。ポケット90は、臍部100の近端を、ヨーク70及びロータプレート84の相互に整合された回転軸82と整合された回転していない静止状態に保持する。
【0064】
あらかじめ形成されたポケット90はまた、臍部被覆部144が挿入されるのと同時に固定具108の装填にも対応するように成形されている。図11に示すように、チューブ102、104、及び106は、それにより、これもポケット90内に配置された感知ステーション46と関連するグループとして配置並びに除去される。
【0065】
臍部の駆動部材若しくは支持部材92及び94(図9及び図10参照)は、ヨーク70の側壁76によって担持される。ロータプレート84が所定の回転位置に配置されている際には、支持部材92及び94は加工チャンバ18の左側にあり、被覆部144及び固定具108が操作されてポケット90にぴったり収まると同時に、臍部100を受け入れる。
【0066】
図10に示すように、一方の部材92は、臍部100の中間部分を受け入れる。部材92は、臍部100の中間部分が当たる表面を含む。この表面は、全体としてヨーク70に面するチャネル96を形成する。チャネル96は、臍部100の中間部分の通過を受け入れ、臍部の上方部分を他方の部材94に向ける。チャネル96は、回転軸82に向かう臍部100の半径方向の進退移動を抑制する。しかしながら、チャネル96は、臍部100のそれ自体の軸を中心とした回転又はねじれを許容する。使用前は、チャネル96の表面は、概ね凸状である。凸状の構造は、凸状表面の材料が臍部100との回転接触により使用中に摩耗することを考慮しているという点で犠牲的なものとして意図されている。凸状の構造は、使用中の臍部との接触によって動的に変化し、使用中、チャネル96と臍部100との間の機械的相互作用及び摩擦性相互作用によって決定づけられる最終的な接触形態を形成する。
【0067】
他方の部材94は、部材92によってそれに向けられる臍部100の上方部分を受け入れる。部材94は、臍部100の上方部分が当たる表面を含む。この表面は、ヨーク70の上壁72の方に傾斜したチャネル98を形成する。チャネル98は、全体としてヨーク70から見て外方に向いており、それによりチャネル96と逆向きの関係にある。2つの逆方向に向いたチャネル96と98との間に臍部用の移行経路を設けるために、チャネル96は、チャネル98からわずかに外方に偏位している。チャネル98は、臍部100の上方部分を、臍部被覆部144及び固定具108が嵌合されているヨーク70の上壁72の軸方向上方に位置する陥凹ポケット90に向けて誘導する。チャネル96と同様に、チャネル98は、臍部100の上方部分の回転軸82に向かう半径方向の進退移動を抑制する。しかしながら、チャネル96と同様に、チャネル98は、臍部100のそれ自体の軸を中心とした回転又はねじれを許容する。
【0068】
支持チャネル96及び98が逆向きの関係に配列されているために、チャネル96及び98は、ヨーク70の回転方向にかかわらず、相補的な「リバースグリップ」方式で互いに臍部の中間部分に係合する。
【0069】
チャネル96の内向き配向により、逆時計回り方向(ロータプレート84の上部から見た場合の)のヨーク70の回転中、臍部が最適に捕捉される。その結果として、これにより、この方向への回転中、臍部の残部のチャネル98との係合が安定する。加工チャンバ18は、血液加工動作中、逆時計回り方向に回転されることを意図されている。
【0070】
部材94は、外方に向いたチャネル98に向かって内方に先細になる対向する側縁部99及び101を含む。先細の側縁部101は、逆時計回り方向へのヨーク70の回転に応答して、臍部の中間部分を、外方に向いたチャネル98との係合へ更に誘導する。
【0071】
チャネル98の外方に向いたガイドエッジ99は、回転軸82に向かって延びる拡大された湾曲した表面即ちランプを形成する。ランプ99は、通常の血液加工に対して意図された回転方向(即ち逆時計回り)と反対の方向のこの時計回り方向(ロータプレート84の上部から見た)にヨーク70が回転する際に臍部のチャネル98内への自己装填を達成するような大きさ及び構成となっている。ランプ99はまた、その後、ヨーク70が逆時計回り方向に回転している際に臍部100の上方部分をチャネル98から滑り出ないように保つ。その結果として、これにより、この方向への回転中、臍部の残部のチャネル96との係合が安定する。
【0072】
それによりチャネル96及び98の構造が互いに相補しあい、ヨーク70の回転方向にかかわらず、ヨーク70の回転に応答したチャネル96及び98との臍部中間部分の係合が保たれる。
【0073】
図示の実施形態では、支持部材92及び94のチャネル表面96並びに98は、低摩擦材料で製造され、それにより臍部100自体上への外部からの注油又は回転ベアリングの必要性を排除するのが好ましい。使用される材料は、例えば、Teflon(登録商標)ポリテトラフルオロエチレン材料(DuPont)又は超高分子量ポリエチレンを含むことができる。このような材料で製造されれば、チャネル表面96及び98が臍部駆動摩擦並びに臍部磨耗による粒子状物質の存在を最小化する。
【0074】
支持部材92及び94の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれる、2001年10月13日に提出された「Blood Separation Systems and Methods with Umbilicus Driven Blood Separation Chambers」と題する同時係属の米国特許出願第09/976、830号に見出すことができる。
【0075】
遠心分離ステーションの扉20を閉鎖することにより、扉20の裏面上の保持ブラケット21(図5参照)が被覆部144と整合する。扉20の裏面上の別の保持ブラケット23(図5に示すような)は、扉20が閉鎖されたときに、固定具108と整合する。開放可能なラッチ25が、遠心分離機組立体68の動作中、扉20を閉鎖した状態に保持するのが好ましい(図6に示すように)。
【0076】
遠心分離機組立体68の動作中、支持部材92及び94は、ヨーク70の回転により臍部100も連携して軸82を中心として回転するように臍部100を担持する。その近端において(即ち被覆部部144において)ポケット90内に拘束され、且つその遠端において(即ちマウント218によって)チャンバ16に連結され、チャネル表面96及び98が回転軸82に対する臍部の半径方向移動を抑制するにもかかわらず、臍部100は、それが軸82を中心として回転する際に、それ自体の軸を中心としてチャネル表面96及び98上でねじれる。ヨーク70と共に1オメガ(通常約2250RPMの速度で)でチャネル表面96及び98上で臍部100が回転する際のそれ自体の軸を中心とした臍部100の回転により、回転に対してロータプレート84上に固定された加工チャンバ18に2オメガの回転が与えられる。
【0077】
1オメガの回転速度でのヨーク70と2オメガの回転速度でのロータプレート84の相対的回転により、臍部100がねじれずに保たれ、回転封止の必要性が回避される。図示の配列はまた、臍部100を通じて、1台の駆動モータ80がロータプレート84上に担持された互いに回転するヨーク70及び加工チャンバ18に回転を与えることが可能となる。この配列の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれるBrownらの米国特許第4、120、449号に開示されている。
【0078】
先に説明したように、チャネル表面96及び98は、臍部100の回転及び時計回り方向若しくは逆時計回り方向への加工チャンバ18の駆動に対応するように、相補的方式に形成及び配向されるのが望ましい。従って、チャンバ18は、1つの所望の加工目的、例えば、血液加工に先立ってプライミング及び空気抜きを行うのを促進する1つの方向に回転することができ、且つ異なる加工目的、例えば血液分離を促進する反対方向に回転することができる。更に、ロータプレート84が加工チャンバ18の取り付けに対応するために所定の回転位置にある際の臍部支持体92及び94の臍部100に対する密接並置、及び臍部の近端を支持体のポケット90の方へ導く支持体92並びに94内に形成されたチャネル96及び98の相補的配向により、加工チャンバ18を搭載して使用し且つ使用後加工チャンバ18を降載するための、大半を連携して行うことのできる「イージーロード」の逐次直観的ステップが可能となる。チャネル96及び98の輪郭並びに配向が、いずれかの方向へのヨーク70の回転の結果として臍部100を「捕捉」するのを支援し、それにより、最初のケースにおいてオペレータが臍部100全体を正しく搭載するのに失敗したとしても、臍部100は、チャネル表面96及び98上に適切に配向される。
【0079】
より詳細には、チャネル96及び98の相補的特徴は、臍部100を自動搭載して使用するために好都合に用いることができる。臍部100の中間部分も最初にチャネル96及び98内に配置しながら、ひとたび加工チャンバ18がロータプレート84上に搭載され、臍部の被覆部がポケット90内に配置されれば、次いで、ヨーク70は、血液加工動作中にヨーク70が回転される方向である時計回り方向に中速(例えば300RPM)で最初に回転させることができる。この方向への回転は、細長いランプ99を活用し、臍部100がチャネル98内に完全に装填されるのを保証する。その後、ヨーク70を反対(逆時計回り)方向に中速で回転させ、使用に備えて臍部100の位置が両方のチャネル96及び98内に安定するのを保証することができる。次いで、ヨーク70は、血液加工を促進する逆時計回り方向で、ある回転速度まで完全に速度を上昇させることができる。
【0080】
(C. 光学的感知による界面制御)
上述の血液加工工程のいずれにおいても、加工チャンバ18内に存在する遠心力が、全血を、赤血球がぎっしり詰まった領域と血漿の領域に分離する(図12に図式的に示すように)。遠心力は、赤血球がぎっしり詰まった領域をチャンバの外側又は高G壁に沿って集合させ、一方で、血漿の領域は、チャンバの内側又は低G壁に運ばれる。
【0081】
中間領域は、赤血球領域と血漿領域との間の界面を形成する。密度に従って血小板の方が白血球よりも血漿層に近接して配列された血小板及び白血球のような中密度の細胞性血液種が界面を埋めている。この界面は、血漿領域の淡黄色及び赤血球領域の赤色に比較して、その濁った色のために、「軟膜」とも呼ばれる。
【0082】
工程に応じて軟膜物質を血漿の外若しくは赤血球の外に保つか、或いは軟膜の細胞性成分を採取するために、軟膜の位置を監視することが望ましい。本システムは、光感知ステーション46(図11A〜図11Dにも示す)を含み、該光感知ステーション46は、この目的に対して2つの光感知組立体146及び148を収納している。この配列を、図12、図13、及び図14にも図式的に示す。
【0083】
ステーション46内の第1の感知組立体146は、血漿採取チューブ106を通る血液成分の通過を光学的に監視する。ステーション46内の第2の感知組立体148は、赤血球採取チューブ104を通る血液成分の通過を光学的に監視する。
【0084】
チューブ104及び106は、少なくともチューブ104及び106が感知ステーション46と関連させて配置されることになる領域に関しては感知用に使用される光エネルギーに対して透過性のプラスチック材料(例えばポリ塩化ビニル)で製造される。固定具108は、そのそれぞれの感知組立体148及び146を見た目に整合させて保持する。固定具108は、関連するセンサは備えられていないが、全血を遠心分離ステーション20内に輸送するチューブ102をも保持する。固定具108は、臍部100に連結されたチューブ102、104、及び106全てを集め、コンパクトで取り扱いが容易な束にして保持するのに役立つ。
【0085】
第1の感知組立体146は、血漿採取チューブ106内の光学的標的とされた細胞種又は細胞成分の存在を検出することができる。検出に対して光学的標的とされる成分は、工程に応じて異なる。
【0086】
血漿採取工程に対しては、第1の感知組立体146は、血漿と血小板細胞層との間の界面を加工チャンバ内に移し戻すための制御措置を開始することができるように、血漿採取チューブ106内の血小板の存在を検出する。これにより、本質的に無血小板であるか又は少なくとも血小板の数が有意に最小化された血漿製剤が提供される。
【0087】
赤血球のみの採取工程に対しては、第1の感知組立体146は、軟膜と赤血球層との間の界面を検出し、この界面を加工チャンバ内に移し戻すための制御措置を開始することができるようにする。これにより、赤血球の収量が最大化される。
【0088】
第1の感知組立体146によって検出されるような血漿中におけるこれらの細胞成分の存在は、これらの成分の全て又は一部が血漿採取ライン内に浸透することができるほど十分に界面が加工チャンバの低G壁に接近していることを示す(図13参照)。この状態は、「過剰溢流」とも呼ばれるであろう。
【0089】
第2の感知組立体148は、赤血球採取チューブ104内の赤血球のヘマトクリットを検出することができる。加工中の赤血球のヘマトクリットの設定された最低レベルを下回る低下は、血漿が赤血球採取チューブ104に入ることができるほど十分に界面が加工チャンバの高G壁に接近していることを示す(図14参照)。この状態は、「過少溢流」とも呼ばれるであろう。
【0090】
感知ステーション46及び第1と第2の感知組立体146並びに148の構成は変えることができる。望ましい実施形態では、第1の感知組立体146は、赤色又は緑色の光を選択的に放出することのできる発光ダイオード(LED)400、及びLED400によって血漿チューブ106を通じて伝達された光の強度を測定するための対向するフォトダイオード402を含む。血小板に対してはほぼ同一の減衰を有するが赤血球に対しては有意に異なる減衰を有するように、LED400の異なる波長(緑色及び赤色)が選択される。第1の感知組立体146は、それにより血漿流内の血小板の存在(血漿採取工程中の過剰溢流を検出するための)と血漿流内の赤血球の存在(軟膜採取工程中の赤血球との軟膜界面を検出するための)を区別することができる。
【0091】
望ましい実施形態では、第2の感知組立体148は、赤外線LED404、及び一方406が赤外線LED404に隣接し、他方408が赤外線LED404に対向する2つのフォトダイオード406並びに408を含む。フォトダイオード408は、LED404によって赤血球チューブ104を通じて伝達された光度を測定する。フォトダイオード406は、反射された光度を測定する。
【0092】
感知ステーション46及び固定具108は、赤血球チューブ104を、赤外線LED404並びにフォトダイオード406に対して、測定反射光度と赤血球のヘマトクリットとの間に直線相関が得られることが確認されている所望の距離関係に配置する。一例を挙げれば、NIRスペクトル内の波長(例えば805nm)を有する入射光源から所定の半径方向距離(例えば7.5mm)において測定された反射光の強度は、少なくとも10及び90のヘマトクリットの範囲に対してマトクリットと共に一次関数として変化する。従って、赤血球マトクリットは、赤外線LED404及びフォトダイオード406を用いて反射光度を監視することによって確認することができる。
【0093】
感知ステーション46は、種々の方法で構築することができる。図11A〜図11Dに示す一実施形態では、ステーション46は、2枚の向かい合ったプレート502及び504を備える成形された本体500を含む。プレート502及び504は、固定具108を受け入れて赤血球チューブ104及び血漿チューブ106を第1と第2の感知組立体146並びに148と精密に整合させて保持するように間隔を置いて配置されている。
【0094】
各プレート502及び504は、望ましくは一体に成形された本体500の構成要素を備えるライトパイプ506A/B/C及び508A/B/Cのアレイを含む。ライトパイプ506A/B/C及び508A/B/Cは、第1と第2の感知組立体146並びに148を備えるLED及びフォトダイオードと精密な光学的整合を有している。これらのLED及びフォトダイオードは、例えば締め具を用いてライトパイプに面する本体500の外側に取り付けられた回路基板510上に担持される。
【0095】
より詳細に説明すると、プレート502のライトパイプ506Aは、第1の感知組立体146のフォトダイオード402と光学的に整合する。これに対し、対向するプレート504のライトパイプ508Aは、第1の感知組立体146の赤色/緑色LED400と光学的に整合する。
【0096】
プレート502のライトパイプ506Bは、第2の感知組立体148の赤外線LED404と光学的に整合する。これに対し、対抗するプレート504のライトパイプ508Bは、第2の感知組立体148の伝達された光を検出するフォトダイオード408と光学的に整合する。プレート502のライトパイプ506Cは、第2の感知組立体148の反射された光を検出するフォトダイオード406と光学的に整合する。この配列では、プレート504のライトパイプ508Cは空である。
【0097】
第1と第2の感知組立体146及び148を支持する制御も変えることができる。代表的な実施形態では、(図11E及び図11Fに概略的に示す)、CPLD制御装置410(図11F参照)は、フォトダイオード402、406、及び408のうちの選択された1つから、該選択されたフォトダイオードによって感知された感知光度(場合に応じて、伝達された又は反射された)を示すシリアルデータストリーム(図11E及び図11FではデータストリームB)を受信する。CPLD制御装置410は、データストリーム受信用のフォトダイオード(402、406、又は408)を選択するためのフォトダイオード選択信号(図11E及び図11Fでは選択信号C)を生成する。
【0098】
CPLD制御装置410は、該制御装置410内に含まれたシリアル出力ポートによって生成されたデジタルデータストリーム(図11E及び図11FではデータストリームC)を介して、各フォトダイオード402、406、及び408と個々に関連付けられた利得増幅器412の利得を制御する。各利得増幅器412は、各フォトダイオード404、406、及び408の電流出力を電圧に変換する、各フォトダイオード402、406、並びに408と個々に関連付けられた電流/電圧変換器414から電圧信号を受信する。各利得増幅器412の増幅アナログ電圧出力が個々のアナログ/デジタル変換器に印加され、該アナログ/デジタル変換器が、アナログ電圧を、選択されたフォトダイオードに対するシリアルデータストリーム(ストリームB)に変換し、該シリアルデータストリームをCPLD制御装置410が受信してその後の処理を行う。
【0099】
CPLD制御装置410によって受信されたシリアルデータストリームBは、シリアル/パラレルポート418に印加され、パラレルデータストリームが生成される。選択された利得増幅器412からの原アナログ電圧がデジタル/アナログ変換器420によって復元され、帯域通過フィルタ422に印加される。帯域通過フィルタ422は、変調光源光の搬送周波数(即ち、図示の実施形態では2KHz)に中心周波数を有する。帯域通過フィルタ422の出力(正弦波の)は、全波整流器へ送られ、該全波整流器が、正弦波出力を、感知された光度に比例するDC出力電圧に変換する。
【0100】
電流源428は、LED400及び402に接続されている。電流源428は、温度及び電源電圧レベルに非依存的に、各LED400及び402に均等に電流を供給する。変調器430は、所定の周波数で定電流を変調する。変調430により、周囲光及び光学的に感知される読み取りによる電磁妨害(EMI)の影響が除去される。均等な電流源428と共同して、CPLD制御装置410も、均等な電流の大きさ、従って各LED400及び402の強度を調整する。LED電流制御データは、制御装置410によってシリアル形式で生成される(図11E及び図11FではシリアルデータストリームA)。このシリアルデータは、各LED400及び402に対して各電流源428と個々に関連付けられたデジタル/アナログ変換器426に印加される。
【0101】
感知組立体146及び148は、周期的に感知組立体146並びに148を起動して感知された強度の出力をサンプリングする制御装置16によって操作される。制御目的に対して用いられる所与のセンサ出力は、所定のサンプリング周期中に取得された複数のサンプルの平均値を含むのが望ましい。例えば、所与のサンプリング周期(例えば100μ秒ごと)中に、複数のサンプル(例えば64)が取得される。これらの複数のサンプルの平均値が導出される。サンプル平均値の差異も従来の方法で求められるのが望ましく、また差異が所定の最大値よりも小さい場合、そのサンプル平均値は有効化される。サンプル平均値の差異が所定の最大値に等しいか又はそれより大きい場合、そのサンプル平均値は、制御目的に対して使用されることはない。より信頼できる出力を得るために、最新の5つの有効化サンプル平均値の移動平均値が制御値として用いられるのが望ましい。後で更に詳細に説明するように、サンプル値の差異の大きさは、所与の血液加工工程の最後に実施される空気パージ中に気泡の存在を検出するための手段として用いることもできる。
【0102】
光感知配列の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれている米国特許第6、261、065号に開示されている。
【0103】
(III. 本システムの空気圧で作動する流れ制御部品の技術的特徴)
本システム10のカセット28及びポンプ・バルブステーション30は、様々な血液加工プロトコルに対応する他の技術的特徴をも有するのが望ましい。
【0104】
(A. カセット)
好ましい実施形態では(図15参照)、カセット28は、剛体の医療グレードプラスチック材料製の射出成形された本体300を備える。好ましくは医療グレードプラスチックの可撓性シートで製造された可撓性の隔膜302及び304が、それぞれ、カセット28の前面並びに裏面の上に重なっている。隔膜302及び304は、それらの周縁沿いに、カセット28の前面並びに裏面の周辺端部に封止されている。
【0105】
図15に示すように、カセット28は、前面及び背面の両方に形成された内部キャビティのアレイを有する。内部キャビティは、インラインのアレイを通じて、空気弁ステーション(図15にVSで概略的に示す)を通じて流体流路(図15にFPで概略的に示す)のパターンによって相互に接続された空気ポンプステーション(図15にPSで概略的に示す)を形成する。
【0106】
内部キャビティの配置は、様々な血液加工工程の相異なる目的に応じて変えることができる。カセット28の内部キャビティは、プログラム可能な血液加工回路306(図16及び図17参照)を形成するのが望ましい。プログラム可能な回路306は、制御装置16によって、例えば、赤血球が採取される、又は血漿が採取される、若しくは血漿と赤血球の両方が採取される、或いは軟膜が採取される、種々の異なる血液加工工程を実行するように調整することができる。
【0107】
図16に、図15に示す種類の射出成形された空気圧によって制御されるカセット28として実装することのできるプログラム可能な流体回路306を示す。図17に、カセット本体300内への流体回路306の特定の実装形態を示す。以下に説明するように、カセット28は、空気圧式ポンプ・バルブステーション30と相互作用し、様々な血液加工機能を実行することのできる集中化されたプログラム可能な総合プラットフォームを提供する。
【0108】
流体回路306は、双対の空気ポンプチャンバDP1及びDP2(図16及び図23参照)を含む。ポンプチャンバDP1及びDP2は、制御装置16によって連携して作動され、汎用の供血者との界面となるポンプとして機能するのが望ましい。双対の供血者との界面となるポンプチャンバDP1及びDP2は、平行して仕事をする。一方のポンプチャンバが流体を抽出し、一方で他方のポンプチャンバが流体を排出する。双対のポンプチャンバDP1及びDP2は、それにより抽出と排出の機能を交互に実行し、均等な流出量をもたらす。瀉血針128が取り付けられた供血者チューブ126は、ポンプチャンバDP1及びDP2に連結される。
【0109】
流体回路306はまた、外部容器150から抗凝血剤を抽出し、供血者チューブ126に連結された抗凝血剤チューブ152を通じて供血者から抽出した血液内に該抗凝血剤を計量しながら注入するための専用の抗凝血剤ポンプとして機能する空気ポンプチャンバACPをも含むのが望ましい。
【0110】
流体回路306外部の供血者用クランプ154(図5及び図5も参照)は、供血者の快適性又は安全性に影響を及ぼす可能性のある特定の状況が血液加工中に発生した場合に供血者チューブ126及び抗凝血剤チューブ152を閉鎖するために、制御装置16によって操作される。供血者用クランプ154は、これらの状況が発生した場合に供血者を流体回路306から隔離する機能を果たす。更なる供血者の安全に対し、手動で操作されるクランプ116又は止血物質も、供血者チューブ・抗凝血剤チューブ152接合部の下流に配置されるのが望ましい。
【0111】
図16に示す流体回路306は、全血をレザバ158から加工チャンバ18に輸送するための専用のインプロセス全血ポンプとして機能する空気ポンプチャンバIPPも含むのが望ましい。ポンプチャンバIPPの専用機能により、全血を加工チャンバ18に供給する供血者との界面となるポンプチャンバDP1及びDP2の付加的機能が解放される。従って、供血者との界面となるポンプチャンバDP1及びDP2が連携して作動し、1つの瀉血針を通じて供血者に対する血液の抽出及び返還を同時に実行しながら、インプロセス全血ポンプチャンバIPPは、加工チャンバ18への血液の持続的供給を維持することができる。それにより、加工時間が最短化される。
【0112】
流体回路306は、加工チャンバ18からの血漿を採取容器160に輸送するための血漿ポンプとして機能する空気ポンプチャンバPPをも含むのが望ましい。別個のポンピング機能を専用に割り当てる能力は、供血者の身体の内外に対してのみならず、加工チャンバ18の内外への血液の持続的な流れをもたらす。
【0113】
流体回路306は、図16にV1〜V26で示すバルブのアレイを含んでおり、該バルブが、ポンプチャンバDP1、DP2、IPP、PP、及びACPを流路のアレイに接続し、供血者の身体の内外及び加工チャンバの内外へ血液及び血液成分を輸送する。バルブV1〜V26の機能を下記の表に要約する。
【0114】
【表1】
カセット本体300の前面及び裏面の上に重なる可撓性隔膜302並びに304は、ポンプチャンバDP1、DP2、IPP、PP、及びACPを取り囲む直立する周辺端部、バルブV1〜V26、並びに数多くの様々な接続流路にもたせかけられている。あらかじめ成形されたポートP1〜P13(図16及び図17参照)は、カセット本体300の2つの側縁部に沿って外に延び、カセット本体300内の流体回路306を、説明済みの外部容器及び供血者に連結する。
【0115】
図5に示すように、カセット28は、垂直に取り付けられてポンプ・バルブステーション30内で使用される。この配向では(図15も参照)、隔膜302はバルブステーション30の扉32に向かって外方に向き、ポートP8〜P13は下方に向き、ポートP1〜P7は上下に重なって内方に向いている。
【0116】
以下に説明するように、ポンプ・バルブステーション30による裏面隔膜304上への正及び負の流体圧力の局所印加は、隔膜304を撓めてバルブステーションV1〜V26を開閉させ且つ/又はポンプチャンバDP1、DP2、IPP、PP、及びACPから液体を抽排出及び抽出する機能を果たす。
【0117】
上記の表に記載しているように、付加的な内部キャビティ308がカセット本体300内に設けられている。キャビティ308は、血液加工中に生じる可能性のある凝血塊及び細胞集合を除去するための血液フィルタ材料174(図17参照)を保持するステーションを形成する。図16に概略的に示すように、キャビティ308は、供血者に返還される血液がフィルタ174を通過するように、回路306内のポートP8と供血者との界面となるポンプステーションDP1及びDP2との間に配置されている。キャビティ308は、供血者に流入出する流路内の空気を捕捉する機能をも果たす。
【0118】
別の内部キャビティ310(図16参照)も、カセット本体300内に設けられている。キャビティ310は、回路306内のポートP5とインプロセスポンピングステーションIPPのバルブV16との間に配置されている。キャビティ310は、分離チャンバ18に対して働く全血液流路内で、カセット本体300内の別の空気捕捉装置としての役割を果たす。キャビティ310は、分離チャンバに対して働くインプロセスポンプIPPの拍動性ポンプストロークを制動するキャパシタとしての機能をも果たす。
【0119】
(B. ポンプ・バルブステーション)
カセット28は、ケース36の蓋40内に取り付けられた空気圧で作動するポンプ・バルブステーション30と相互作用する(図15参照)。
【0120】
ポンプ・バルブステーション30の扉32の内面324(後に説明するように、金属であるのが望ましい)は、エラストマーガスケット312を担持する。ガスケット312は、扉32を閉鎖したときにカセット本体300の前面と接触する。可膨張式内袋314が、ガスケット312と扉の内面324との間に位置している。扉32を開放した状態で(図3参照)、オペレータは、ポンプ・バルブステーション30内にカセット28を配置することができる。扉32を閉鎖してラッチ316(図3〜図5に示す)を固定することにより、ガスケット312がカセット本体300の前面上の隔膜302と対面接触する。内袋314を膨らませることによってガスケット312が押圧され、隔膜302に押し当たって密接に封止係合する。カセット本体300は、それにより、ポンプ・バルブステーション30内で隙間のない封止嵌合状態に固定される。
【0121】
ポンプ・バルブステーション30は、図15に最もよく示される空気マニホルド組立体34を含む。使用に際し、隔膜304は、ポンプステーション20の扉32が閉鎖され且つ内袋314が膨らんでいる際に、内袋314によってマニホルド組立体34に押し当たり密接係合した状態に保持される。バルブフェースガスケット318が空気マニホルド組立体34の上に重なり、溢流遮蔽材として機能するのが望ましい。図3にはバルブフェースガスケット318の存在を示しているが、図4及び図15では、バルブフェースガスケット318は、マニホルド組立体34をよりよく示すために部分的に除去されている。
【0122】
マニホルド組立体34は、カセット28上のポンプチャンバ及びバルブのアレイを反映するように配列されたアクチュエータポート320のアレイを含む。制御装置16の制御の下で、マニホルド組立体34が様々な圧力レベル及び真空レベルを選択的にアクチュエータポート320に分配し、アクチュエータポート320が、隔膜304を通して、該レベルの圧力並びに真空を体系的にカセット28のポンプチャンバ及びバルブに印加し、意図された方式で流体回路306に血液並びに処理用液体を循環させる。制御装置16の制御の下で、マニホルド組立体34もまた、扉内袋314(説明済み)及び扉加圧カフ60(図23参照)並びに供血者用クランプ154(説明済み)に圧力レベルを分配する。
【0123】
マニホルド組立体34は、カセットバルブV1〜V26を閉鎖し、インプロセスポンプIPP及び血漿ポンプPPからの液体の圧出を促すために印加される高い正圧(例えば、+500mmHg)であるPhard即ち硬圧、並びにPinpr即ちインプロセス圧力を生成する。Pinprの大きさは、加工チャンバ18内に通常存在する約300mmHgの最低圧力に打ち勝つのに十分な大きさである。ポンピングと連動させて使用される上流及び下流のバルブがポンプを作動させるために印加される圧力によって強制的に開放されることがないことを保証するために、Pinpr及びPhardは、最高圧力で加えられる。
【0124】
マニホルド組立体34はまた、供血者との界面となるポンプDP1及びDP2並びに抗凝血剤ポンプACPからの液体の圧出を促すために印加されるPgen即ち通常圧力(+300mmHg)をも生成する。
【0125】
マニホルド組立体34はまた、カセットバルブV1〜V26を開放するためにマニホルド組立体34内に印加される最大真空であるVhard即ち硬真空(−350mmHg)をも生成する。マニホルド組立体34はまた、ポンプDP1、DP2、IPP、PP、及びACPの各々の抽出機能を促すために印加されるVgen即ち通常真空(−300mmHg)をも生成する。Vgenは、ポンプDP1、DP2、IPP、PP及びACPが上流及び下流のカセットバルブV1〜V26を圧倒しないことを保証するために、Vhardほど高度とならないことが要求される。
【0126】
ポンプ・バルブステーション30の動作の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれている米国特許第6、261、065号に見出すことができる。
【0127】
(C. 容量性流れ感知)
制御装置16は、カセット28のポンプチャンバを通る流体の流れを監視する手段を含むのが望ましい。図示の実施形態では、ポンプ・バルブステーション30は、小型のプリント回路基板組立体(PCBA)332を担持する。1つのPCBA332は、隔膜304に負及び正の圧力を印加してカセットのポンプチャンバDP1、DP2、IPP、PP及びACPへ流体を注入し且つそれらから流体を排出する各空気圧式アクチュエータポート320と関連付けられている。PCBA332は、各々が電源に接続されており、且つ各々がそれらのそれぞれのポンプチャンバ内の流体と導電性相互作用を有するか又は導電性接触を有する容量性回路の一部である。容量性回路は、各ポンプチャンバを挟むキャパシタを備える。各PCBA332が一方のキャパシタプレートを形成し、ポンプ・バルブステーション30の扉32の金属製内面324が他方のキャパシタプレートを形成する。プレート間に、ポンプチャンバ自体が位置する。ポンプチャンバ内の流体は、カセット隔膜302及び304、空気マニホルド組立体34の上に重なるバルブフェースガスケット318、及び扉32の内面324の上に重なるガスケット312によって、回路との実際の物理的接触から遮蔽される。電気エネルギーが各PCBA332を通過することにより、それぞれのポンプチャンバ内に電場が生成される。ポンプチャンバへ流体を注入し且つポンプチャンバから流体を排出するための所与のポンプチャンバと関連付けられた隔膜304の循環的反屈が電場を変化させ、その結果、PCBA332を通る回路の総キャパシタンスに変化が生じる。キャパシタンスは、流体がポンプチャンバ内に引き込まれるにつれて増大し、またキャパシタンスは、流体がポンプチャンバから排出されるにつれて減少する。
【0128】
この配列では、PCBA332の各々が容量センサ(例えばQprox E2S)を含む。容量センサは、各ポンプチャンバに対する回路332に関するキャパシタンスの変化を登録する。所与の回路332に関するキャパシタンス信号は、ポンプチャンバに液体が充填しているときに高い信号強度を有し、ポンプチャンバに流体が存在しないときに低い信号強度を有し、また隔膜が中間位置を占有しているときに中間の信号強度範囲を有する。
【0129】
血液加工工程の開始時点で、制御装置16は、各センサに対する高信号強度と低信号強度の間の差異を、それぞれのポンプチャンバの最大ストローク量まで目盛ることができる。次いで、制御装置16は、後続の注入・排出サイクルの間に感知された最大信号値と最小信号値の間の差異を、ポンプチャンバを通じて注入及び排出された流体量に関連づけることができる。制御装置16は、サンプル時間にわたってポンピングされた流体量を合計して実流速を求めることができる。
【0130】
制御装置16は、実流速を所望の流速と比較することができる。ずれが存在する場合、制御装置16は、カセットポンプチャンバ用のアクチュエータに送達される空気圧パルスを変更し、ずれを最小化することができる。
【0131】
図15に、関連するアクチュエータポート320内にフェイスマウントされた、全体がカセット28の外部に配置されたPCBA332を示す。1つの代替的実施形態では、回路332の1つの部品(例えば、キャパシタプレートのうちの1つ)をカセット28のポンプチャンバ内部に配置し、回路の残部への電気的接続をポンプチャンバの外部に経路設定することができる。別の代替的実施形態では、回路332及び電気的接続は、マニホルド組立体34上にフェイスマウントされた可撓性の電極回路上に構築するか、又はマニホルド組立体34の本体と一体化された成形回路基板部品として構築することができる。後者の実施形態では、電気回路又は電気配線は、例えば、リソグラフィパターニングにより、オーバーモールドにより、又は構成部品に可撓性回路を封止することによって熱可塑性部品上に成形される。電気的機能を果たす熱可塑性部品は、例えば超音波溶接により、マニホルド組立体34の空気圧式機能を果たす他の構成要素と一体化され、コンパクトで多層の多機能組立体を形成している。この配列では、外部制御装置16及び他の外部センサとの電気的接続は、例えば、制御装置16及び関連するセンサからの電気ピンを受け入れる位置にはんだづけされためす電気コネクタにより、且つ/又は束ねたリボンケーブルの使用によって達成することができる。
【0132】
(IV. 血漿採取工程を実行するシステムの使用法)
一般的な血漿採取工程を実行するための装置14及び制御装置16と関連させた血液用流れセット12の使用法をここで説明することにする。
【0133】
血漿採取工程は、採取前サイクル、採取サイクル、及び採取後サイクルを含む。採取前サイクル中、流れセット16は、静脈穿刺に先立って空気を除去するために食塩水でプライミングされる。採取サイクル中、供血者から抽出した全血を加工して血漿が採取され、その一方で赤血球が供血者に返還される。採取後サイクル中、後に更に詳細に説明するように、余剰血漿が供血者に返還され、セット16が空気で洗浄される。
【0134】
(A. 血液加工チャンバ)
図18に、血漿採取工程を実行して血小板、赤血球、及び白血球を有しないか又は基本的有しない血漿を得るための、図1に示すシステム10と関連させて使用することのできる遠心加工チャンバ18の一実施形態を示す。図18に示すチャンバ18は、血漿/赤血球採取工程を実行するのにも用いることができる。
【0135】
図8に示すチャンバの実施形態(同じ部品には同じ参照番号を付した)に関して前述したように、加工チャンバ18は、別個に成形された基部構成部分200及び蓋構成部分202として製造されるのが望ましい。成形されたハブ204は、周方向の血液分離チャネル210を形成する内側及び外側の環状壁206並びに208によって半径方向に取り囲まれている。成形された壁214(図19参照)が、チャネル210の軸方向境界を形成する。蓋構成部分202は、210の別の軸方向境界を形成する。両方の軸方向境界を全体として平坦に示しているが(即ち、回転軸に直角に)、軸方向境界は先細、円形、V字形等とすることができることを理解されたい。組み立てる際に、蓋構成部分202は、例えば、円筒状の音波溶接ホーンを用いて、チャンバ18の最上部に固定される。
【0136】
図18に示すチャンバ18では、内側の環状壁206は、一対の補強壁の間で開放されている。対向する補強壁が、チャネル210と連通するハブ204内に開放された内部領域222を形成している。血液及び流体は、この領域222を通じて臍部100から分離チャネル210へ導入・導出される。
【0137】
図18に示す実施形態では、チャネル210を完全に横断して延び、環状壁208の外側と合流する、成形された内壁224が、領域222の内側に形成されている。壁224は、分離チャネル210内に、分離中のチャネル210に沿った周方向の流れを遮断する終点を形成する。
【0138】
付加的な成形された内壁が、領域222を3つの通路、226、228、及び230に分割する。通路、226、228、及び230は、ハブ204から延び、終点壁224の反対側でチャネル210と連通する。血液並びに他の流体は、これらの通路、226、228、及び230を通じて、ハブ204からチャネル210の内外へ誘導される。
【0139】
加工チャンバ18が回転している際に(図18では矢印R)、臍部100(図示せず)が、通路226を通じて全血をチャネル210内に輸送する。全血は、回転と同じ方向(図18では逆時計回り方向の)でチャネル210に流入する。代替的に、最適な血液分離のためには全血の流れが回転と同一の方向であるのが望ましいと考えられるが、チャンバ18は、全血の周方向の流れと反対の方向、即ち時計回り方向に回転することもできる。
【0140】
全血は、遠心力を受けて、チャンバ18内で、図12に示すように分離する。赤血球は、高G壁208の方へ駆動され、一方でより軽い血漿成分は、低G壁206の方へ移動する。軟膜層は、壁206と壁208との間に位置する。
【0141】
全血流入路226からほぼ360度周方向に間隔を置いて終点壁224に隣接して配置されているのは、血漿採取通路228及び赤血球採取通路230である。これらの採取通路228及び230から上流の流れ方向に、障壁232が、高G壁208からチャネル210内に突出している。障壁232は、低G壁206に沿って、分離チャネル210内に狭窄部を形成する。血液の周方向の流れ方向では、狭窄部は血漿採取通路228につながる。
【0142】
図20及び図21に示すように、障壁232の前縁234は、終点壁224に向かう方向に、チャネル210の環状境界部(図示の実施形態では環状壁214である)に向かって先細である。障壁232の先細の縁234は、分離チャネル210の環状境界部に面する開口部236につながる。開口部236は、環状境界部に面してはいるが、高G壁208に密接に隣接する環状境界部から軸方向に離れて間隔を置いて配置されている。開口部236は、赤血球採取通路230と連通する。
【0143】
棚状の突起238が、低G壁206から半径方向に、開口部236内で軸方向にある距離だけ延びている。棚状突起238は、高G壁208に沿った開口部236の半径方向寸法を圧縮する。棚状突起238により、高G壁208に隣接する赤血球及び他のより高密度の成分のみが開口部236と連通する。棚状突起238は、高G壁208に隣接しない血漿を、開口部236との連通から離れた位置に維持する。高G壁208に沿って半径方向に制限された開口部236により、血漿は、血漿採取通路228に向かう以外、どこにも流れる場所を有しない。分離チャネル210を出る血漿は、それにより、制限された高G開口部236を通って分離チャネル210を出るより高密度の物質を有しないか又は基本的に有しない。
【0144】
棚状突起238は、通常低G壁206と整合された軸方向表面240と合流する。軸方向表面240は、回転軸に沿って、赤血球採取経路230まで軸方向に延びる。障壁232、棚状突起238、及び他の内壁により、赤血球採取経路230は、血漿採取経路228から隔離される(図22に示すように)。
【0145】
図22にも最もよく示すように、低G壁206に沿って存在する血漿は、障壁232及び棚状突起238によって、周方向に血漿採取通路228へ向けられ臍部100に入る。高G壁208により近接して存在する赤血球及び軟膜成分(血小板及び白血球)を含むより高密度の流体は、障壁232の先細の縁234に沿って、軸方向に環状境界部及び制限された高G開口部236に向けられる。高G開口部236から、より高密度の流体を構成する赤血球及び軟膜成分は、半径方向の棚状突起238を越えて低G壁206へ、次いで軸方向に赤血球採取経路230内へ、その後臍部100内へ向けられる。
【0146】
採取に備えて分離チャネル210のより高密度の物質を環状境界部の方へ軸方向に導く先細の縁234により、より高密度の物質及びより低密度の物質がそれらのそれぞれの採取経路230並びに228に向けられている間の流れ方向の急激な変化が緩和される。流れ方向の急激な変化は、血漿中への軟膜物質の望ましくない渦混合を誘発する可能性がある。開口部236内における半径方向の棚状突起238の存在も、血漿からの高密度流体の分離を促進し、望ましい高さの赤血球ヘマトクリットを維持する。
【0147】
先細の縁234が高G壁208に沿って環状境界部の下端から境界環状壁の上方に向けて軸方向の流れ方向に血液を誘導するように、障壁232を血液の流れの方向に対して反対方向に構成することも考えられることを理解されたい。この配列では、高G開口部236は、環状境界壁の上方に隣接して軸方向に間隔を置いて配置され、また血液の除去は、加工チャンバの反対側、即ち環状壁の下端側から行い得るであろう。高G面と低G面との間に構築される半径方向の分離場では、血液が取る環状境界部に向かう高G面に沿った軸方向の流れ方向(回転軸に沿った上方又は下方への)は、分離目的を達成するのに重要ではなく、むしろそれは、半径方向の場内で分離されたより高密度の物質及びより低密度の物質がそれらのそれぞれの採取経路に向かっている間における流れ方向の急激な変化に対する緩和手段である。
【0148】
血液分離工程に影響を与える輪郭、ポート、チャネル、及び壁は、1回の射出成形作業で基部構成部分200にあらかじめ形成することができ、該射出成形作業中に、基部構成部分200の開口端を通じて成形心棒が挿入及び除去される。蓋構成部分202は、基部構成部分200の開口端に容易に溶接することのできるシンプルで平坦な部分を含み、成形後それを閉鎖することができる。分離工程に影響を与えるあらゆる特徴が1つの射出成形構成部品に一体化されているために、基部200と蓋202との間のどのような許容範囲の差異もチャンバ18の分離効率に影響を及ぼすことはない。
【0149】
基部200内にあらかじめ形成される輪郭、ポート、チャネル、及び壁によって基部200の唯一の端部を通じた成形心棒の挿入及び除去が容易にできない表面が生成される場合、基部200は、コップ形の部分組立体を重ね合わせるか又は2つの対称性を有する半分により、別個の成形部品によって形成することができる。
【0150】
代替的に、成形心棒は、基部200の両端から挿入し且つ除去することもできる。この配列(図19参照)では、チャンバ18は、3つの部分、即ち、基部200、蓋202(それを通して上の成形心棒が挿入及び除去される基部200の一端を閉鎖する)、及び別個に成形された挿入物242(図19に示すように、下の成形心棒が挿入及び除去される基部200の他端を閉鎖する)に成形することができる。
【0151】
チャンバ18は、回転に対して、様々な方法で平衡させることができる。チャンバ18の反対側の内部構造を平衡させるために、チャンバ18の片側上に内部構造を成形することができる。平衡化を達成するために、チャンバ18の周囲の壁厚を変化させることができる。代替的に、図18に示すように、チャンバ18は、適した平衡おもりを担持するための成形ポケット248を含むことができる。
【0152】
(B. カセット及び流れセット)
図23に、血漿採取工程に用いることのできる構成の外部加工容器に連結された前述のカセット28を示す。血漿採取工程に対しては、容器には、血漿採取容器160、赤血球採取容器又はレザバ162、全血インプロセス容器158、抗凝血剤容器150、及び処理用流体(例えば食塩水)容器164が含まれる。
【0153】
(1. 血漿採取サイクル)
血漿採取工程の一般的な採取サイクル中、赤血球を供血者に返還しながら、供血者から抽出された全血が加工され、血漿が採取される。カセット内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2、カセット内の抗凝血剤ポンプACP、カセット内のインプロセスポンプIPP、及びカセット内の血漿ポンプPPが、関連する空気バルブV1〜V26と連動させて制御装置16によって空気圧で駆動され、分離に備えて制御された割合のQWBで血液をインプロセス容器158から加工チャンバ18へ輸送しながら、抗凝固処理済み血液をインプロセス容器158に注入する。この配列はまた、制御された割合のQPで加工チャンバ18から血漿を除去して血漿容器160内に移し、一方で加工チャンバ18から赤血球を除去して赤血球容器162に移す(QRBC=QWB−QPの割合で)。この段階は、目標量の血漿が血漿採取容器160内に採取されるまで(計量センサによって監視した状態で)、又は目標量の赤血球が赤血球採取容器162内に採取されるまで(これも計量センサによって監視した状態で)続く。
【0154】
血漿又は赤血球の目標量が採取される前にインプロセス容器158内の全血量が所定の最大閾値に達した場合、制御装置16は、引き続き血液分離を続行しながら、供血者との界面となるポンプDP1/DP2の運転を終了し、インプロセス容器158内の全血の採取を終了する。血液分離中に全血量がインプロセス容器158内で所定の最小閾値に達したが、それが血漿又は赤血球の目標量が採取される前であった場合、制御装置16は、全血を抽出する工程に戻り、それにより全血がインプロセス容器158に入ることを可能にする。制御装置は、いずれを先に行うにせよ、目標量の血漿採取が完了するか、又は目標量の赤血球採取が完了するまで、インプロセス容器158に対する量の高閾値及び低閾値に従って、これらの2つの状態の間で切り換える。
【0155】
(2. 赤血球返還サイクル)
一般的な返還サイクル中(目標量の血漿採取が完了していないとき)、制御装置16は、関連する空気バルブと連動させてカセット内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2、カセット内のインプロセスポンプIPP、カセット内の血漿ポンプPPを運転し、分離に備えて抗凝血処理済み全血をインプロセス容器158から加工チャンバ18へ輸送し、一方で血漿を除去して血漿容器160に移し、赤血球を除去して赤血球容器162に移す。この配列ではまた、容器164からの食塩水を返還赤血球とインラインで混合しながら、赤血球を赤血球容器162から供血者へ輸送することをも行う。食塩水の赤血球とのこのインライン混合によって食塩水の温度が上昇し、供血者の快適性を改善する。この段階は、計量センサによって監視した状態で、赤血球容器162が空になるまで続行される。
【0156】
赤血球容器162が空になる前にインプロセス容器158内の全血量が特定の低閾値に達した場合、制御装置16は、インプロセスポンプIPPの運転を終了し、血液分離を終了する。この段階は、赤血球容器162が空になるまで続行される。
【0157】
赤血球容器162が空になると、制御装置16は、供血者との界面となるポンプステーションDP1を運転してインプロセス容器158から全血を抽出して供血者チューブ126に充填し、それにより、別の全血抽出サイクルに備えて赤血球(食塩水と混合された)をパージする。次いで、制御装置16は、別の採取サイクルを実行する。制御装置16は、計量センサが血漿採取容器160内への所望量の血漿採取が完了したことを示すまで、採取及び返還のサイクルを連続的に行う。制御装置16は、カセット28内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転して赤血球容器162内に残っている赤血球を供血者へ輸送しながら、加工チャンバ内外への血液の供給及び除去を終了する。次いで、制御装置16は、空気パージサイクルに入るが、その詳細は後に説明することにする。
【0158】
(D. 界面の制御)
所与の血漿採取サイクル中、制御装置16は、感知ステーション46を運転し、血漿採取チューブ106内における標的細胞性血液種成分(具体的には、血小板又は白血球、若しくは両方)の存在を監視するのが望ましい。第1のセンサ146によって検出される血漿中におけるこれらの細胞性成分の存在は、過剰溢流状態、即ち、これらの血液種の全て又は一部が血漿採取チューブ106内に浸透することができるのに十分なほど界面が加工チャンバの低G壁に接近していることを示す(図13参照)。目的は細胞性血液成分を有しないか又は実質的に有しない血漿(即ち、血小板の少ない血漿製剤)を採取することであるので、これは望ましくない。
【0159】
過剰溢流状態(図13に示す)に応答して、制御装置16は、インプロセスポンプIPPを運転し、所定の流速で、インプロセス容器158から全血を抽出して加工チャンバ18内に移す。赤血球は、チューブ104を通じてチャンバ18から流出し続け、採取容器162内に採取される。しかしながら、制御装置16は、あらかじめ設定された時間(例えば20秒間)血漿ポンプPPの運転を停止する。この動作によってチャンバ18内の血漿の量が赤血球の量に対して増加し、界面を低G壁から遠ざけ、分離チャンバの中央の方へ押し戻す(図12に示すように)。あらかじめ設定された時間の後、制御装置16は、短時間(例えば10秒間)血漿ポンプPPの運転を再開し、その間、供血者に返還するために、血漿に赤血球採取容器162を流用する。この時間の後、溢流が修正された場合、清浄な血漿が第1のセンサ146によって検出されることになり、通常の血漿採取を再開することができる。清浄な血漿が感知されず、過剰溢流が修正されていないことを示す場合、制御装置16は、上述の工程を反復する。
【0160】
上述の工程は、分離チャンバ内の界面の実際の物理的位置を確認することには依拠していないが、その代わりに、高G壁の更に近くに移動してチャンバを出るはずである細胞性成分の存在を確認するセンサ146の測定分解能に依拠している。所定の最大許容血小板混入量が所望の低閾値に設定されている場合は、血小板侵入閾値は、センサ146の測定分解能より下に位置することができる。従って、過剰溢流状態を感知することにのみ依存する制御方式は、最適ではないかもしれない。
【0161】
分離チャンバに入る全血の流速(QWB)と分離チャンバ18を出る血漿の流速(QP)との間の差異が、チャンバを出る赤血球の流速(QRBC)を決定する(即ち、(QRBC)=(QWB)−(QP))。(QWB)は一般に、血漿採取工程に対しては通常約70ml/分である、加工時間を最適化する固定された所望の速度に維持される。従って、比率(QP)/(QWB)は、分離チャンバ18内の界面の物理的位置と相関する。所与の固定された(QWB)において、(QP)の増大は、それにより比率を増大させ、更に多い量の血漿を除去し、その結果、界面を低G壁の方へ移動させる(図13に示すように)。逆に、所与の固定された(QWB)において、(QP)の低下は、それにより比率を減少させ、より少ない量の血漿を除去し、その結果、界面を高G壁の方へ移動させる(図14に示すように)。
【0162】
「理想的」比率(QP)/(QWB)は、界面をチャンバ内の所望の位置(図12に示すような)に維持して最初の例における過剰溢流状態を回避するものである。しかしながら、「理想的」比率(QP)/(QWB)は、血液加工工程の過程においては容易に制御又は測定することのできない供血者の全血のヘマトクリットの関数である。
【0163】
チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリット(HCTRBC)の大きさを用いて分離チャンバ18内の界面の物理的位置を制御し、それにより過剰溢流状態を最小化若しくは回避することができることが発見されている。より詳細に説明すると、チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリット(HCTRBC)は、界面と高G壁との間の距離の増大と共に(即ち、比率(QP)/(QWB)の増大と共に)増大する。逆に、チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリット(HCTRBC)は、界面と高G壁との間の距離の減少と共に(即ち、比率(QP)/(QWB)の減少と共に)減少する。チャンバ18を出る赤血球の目標ヘマトクリット(HCTRBC)を達成するように比率(QP)/(QWB)を調整することにより、過少溢流又は過剰溢流を生じさせることなく、高G壁に対する界面の目標物理位置を達成することができる。
【0164】
前述したように、赤血球採取チューブ104に対するセンサ148は、経時的に、ヘマトクリットHCTRBC及び加工チャンバ18を出る赤血球ヘマトクリットの変化を光学的に検出するように適合並びに構成されているのが望ましい。代替的に、赤血球ヘマトクリットを感知するための様々な従来の手段も用いることができる。
【0165】
HCTRBCに対する最適設定点(SET_HCTRBC)は、システム運転中に生成された経験的臨床データの解析に基づいて選択することができ、該最適設定点は、実測最適血漿製剤品質(血小板、赤血球、及び白血球混入、並びに、特に、それらの欠如の観点での)及び実測最適採取時間に相関する。データは、決定可能な高閾値HCTRBCで、血小板が赤血球と共にチャンバ58を出なくなることを実証している。この所与の高閾値HCTRBCで、血小板は血漿と共にチャンバ18内に留まろうとし、それにより血漿と混合される傾向がある。この発見に基づいて、SET_HCTRBCは、この高閾値赤血球ヘマトクリット値に近接するがそれを超えないように設定される。代表的な実施形態では、SET_HCTRBCは、約80±5に等しい。所与の血漿採取工程中に(SET_HCTRBC)を達成するように比率(QP)/(QWB)を調整することは、過剰溢流状態を緩和若しくは回避するのに役立つのみならず、その工程に対する血漿採取パラメータを最適化するのにも役立つ。SET_HCTRBCを制御値として用いることにより、血小板が赤血球と共にチャンバを出るのを促して過剰溢流状態を回避しながら、(QP)を最大化して工程にかける時間を最適化し且つ赤血球ヘマトクリットを最大化することが可能となる。
【0166】
この配列では、制御装置16は、感知されたHCTRBC(センサ148によって感知された)をSET_HCTRBCと定期的に比較し、感知されたHCTRBCとSET_HCTRBCとの間の差異を最小化するように比率(QP)/(QWB)を調整する。SET_HCTRBCに基づく制御により、過剰溢流状態を回避若しくは最小化しながら、界面を血漿純度及び採取時間を最適化すると経験的に判断された分離チャンバ内の位置に界面が維持される。
【0167】
代表的な実施形態では、比率(QP)/(QWB)は、所与の血漿採取工程の開始時点では、「理想的」(QP)/(QWB)より若干低めの値に設定されるのが望ましい。代表的な実施形態では、「理想的」(QP)/(QWB)に約95%の減少係数を乗じて当初の比率(QP)/(QWB)が設定される。この実施形態では、「理想的」(QP)/(QWB)は、Hiが分離チャンバ18に入る抗凝血処理済全血のヘマトクリット、HoがSET_HCTRBCである(1−Hi/Ho)に等しく設定される。Hiは、供血者の実ヘマトクリット若しくは推定ヘマトクリット(Donor_HCT)及び抗凝血剤添加の結果としての全血の希釈に基づいて導出される。Hiは、例えば、Donor_HCTに(1マイナス抗凝血剤対全血の比率/100)を乗じることによって導出することができる。
【0168】
工程が進行する際に、感知されたHCTRBCがSET_HCTRBCと定期的に比較され、当初の比率(QP)/(QWB)がインクリメント又はデクリメントされ、差異が最小化される。過剰溢流状態を回避するために、比率(QP)/(QWB)に対する増分は、感知されたHCTRBCとSET_HCTRBCとの間の差異及び差異が変化する速度を考慮して決定されるのが好ましい。。従来のPID制御技法を用いることができる。比率(QP)/(QWB)は、「理想的」比率(QP)/(QWB)に基づいて設定された最小値と最大値の範囲内でインクリメント又はデクリメントされるのが望ましい。
【0169】
たとえ過剰溢流が生じても、上述の方法でそれが修正され、その後工程が進行する。
【0170】
上述したように、「理想的」比率(QP)/(QWB)は、少なくとも部分的に、抗凝血処理済の供血者の全血ヘマトクリット(Hi)の関数である。供血者の全血ヘマトクリットは、加工工程の開始時点で物理的に測定するか、又は経験的に決定されたデフォルト値(例えば、女性供血者に対する0.41及び男性供血者に対する0.43)に基づくことができる。
【0171】
システム10は既知の最大容量の血液加工チャンバ18を含むので、制御装置16は、所与の血液加工工程の開始時点においてオンラインで供血者の抗凝血処理済全血ヘマトクリットを経験的に導出することができる。
【0172】
静脈穿刺が実行され、血液の入口経路及び還流経路に全血が充填された後、制御装置16は、起動段階に入るように遠心分離ステーション20を調整する。起動段階中、加工チャンバ18は、血液採取速度まで加速される。全血は、分離チャンバ18にポンプで注入される。血漿流出チューブ開放した状態で、赤血球流出チューブが閉じられる。制御装置16は、血漿チューブ上のセンサが赤血球の存在を検出するまでこの状態を保持する。この出現は、加工チャンバ18が抗凝血処理済全血で充填されたことを示す。この出現と同時に、制御装置16は、加工チャンバ18内に輸送された全血の量を登録する。加工チャンバ18を充填するのに要する全血の量は、供血者の抗凝血処理済全血のヘマトクリットと逆に変化することになる。成形加工チャンバ18の容積は固定されており且つ既知であるので、供血者に関する抗凝血処理済全血ヘマトクリット値は、所与の加工工程の開始時点で加工チャンバ18を充填するのに要する抗凝血処理済全血の測定量から直接導出することができる。
【0173】
(V. 2単位赤血球採取工程を実行するための本システムの使用法)
例示目的で、一般的な2単位赤血球採取工程を実行するための、装置14及び制御装置16と関連させたセット12の使用法をここで説明する。
【0174】
(A. 血液加工チャンバ)
図8に、所期の赤血球採取工程を実行するために図1に示すシステム10と関連させて用いることのできる遠心加工チャンバ18の一実施形態を示す。チャンバ18は、図18に示して先に説明したチャンバの多くの技術的特徴を共有しており、この理由により、共通の参照番号を用いる。前述したように、加工チャンバ18は、2つの別個に成形された部品、即ち、基部200及蓋202に製造されている。ハブ204は、周方向の血液分離チャネル210を形成する内側及び外側の環状壁206並びに208によって半径方向に取り囲まれている。成形された環状壁214(図7参照)が、チャネル210の底部を閉鎖している。蓋202は、チャネル210の最上部を閉鎖する。組み立てる際に、蓋202は、例えば、円筒状の音波溶接ホーンを用いて、チャンバ18の最上部に固定される。
【0175】
前述したように、内側の環状壁206は、一対の補強壁の間で開放されている。対向する補強壁が、チャネル210と連通するハブ204内に開放された内部領域222を形成する。血液及び流体は、この領域222を通じて臍部100から分離チャネル210へ導入・導出される。領域222の内側に形成された成形内壁224は、チャネル210全体を横断して延び、外側環状壁208に合流する。壁224は、分離チャネル210内に、分離中のチャネル210に沿った周方向の流れを遮断する終点を形成する。
【0176】
付加的な成形内壁が、領域222を3つの通路、226、228、及び230に分割する。通路、226、228、及び230は、ハブ204から延び、終点壁224の反対側でチャネル210と連通する。血液並びに他の流体は、これらの通路、226、228、及び230を通して、ハブ204からチャネル210の内外へ誘導される。
【0177】
前述したように、チャンバ18は、回転に対して、様々な方法で平衡させることができる。
【0178】
図8に示す加工チャンバ18が回転している際に(図18では矢印R)、臍部100が、通路226を通して全血をチャネル210内に輸送する。全血は、回転と同じ方向(図8では逆時計回り方向の)でチャネル210に流入する。代替的に、血液分離の効率に対しては回転と同一方向の全血流が望ましいと考えられるが、チャンバ18は、全血の周方向の流れと反対の方向、即ち時計回り方向に回転することもできる。
【0179】
全血は、遠心力を受けて図12に示すように分離する。赤血球は、高G壁208の方へ駆動され、一方でより軽い血漿成分は、低G壁206の方へ移動する。
【0180】
図8に示すように、ダム244が、チャネル210内で高G壁208に向かって突出している。ダム244は、高G壁208内のくぼんだチャネル246内への赤血球の通過を許容しながら、血漿の通過を防止する。チャネル246は、半径方向の通路230を通じて赤血球を臍部100内に誘導する。血漿成分は、チャネル210から半径方向の通路228を通じて臍部100内に輸送される。
【0181】
赤血球出口チャネル246が高G壁208の外側に延び、高G壁よりも更に回転軸から間隔を置いて配置されているために、赤血球出口チャネル246は、血液加工中、赤血球採取通路230内に軟膜を溢流させる(過剰溢流状態を生成する)ことなく、赤血球と軟膜との間の界面を高G壁208に極めて近接して配置することを可能にする。くぼんだ出口チャネル246は、それにより、赤血球収量を最大化する(赤血球採取工程において)か又は本質的に血小板を有しない血漿を採取する(血漿採取工程において)ことを可能にする。
【0182】
前述したように、血液分離工程に影響を与える輪郭、ポート、チャネル、及び壁は、1回の射出成形作業で基部200にあらかじめ形成することができ、該射出成形作業中に、基部200の開口端を通じて成形心棒が挿入及び除去される。基部200内にあらかじめ形成される輪郭、ポート、チャネル、及び壁によって基部200の唯一の端部を通じた成形心棒の挿入及び除去が容易にできない表面が生成される場合、基部200は、図19に示すように、コップ形の部分組立体を重ね合わせるか又は2つの対称性を有する半分により、若しくは基部200の両端部を貫通する成形材料の除去並びに挿入物242の使用により、別個の成形部品によって形成することができる。
【0183】
(B. カセット)
2単位赤血球工程に用いられるカセット28に対するポンプチャンバ、バルブ、及び流体路の内部構成は、血漿工程に用いられるカセット28と同様であり、この理由により、共通の参照番号を使用する。図24に、2単位赤血球採取工程に用いることのできる構成で外部加工容器に連結された前述のカセット28を示す。2単位赤血球採取工程に対しては、容器には、血漿採取工程に用いられるものと同じ配列の容器、即ち、血漿採取容器160、赤血球採取容器又はレザバ162、全血インプロセス容器158、抗凝血剤容器150、及び処理用流体(例えば食塩水)容器164が含まれる。2単位赤血球採取工程に対しては、追加容器、即ち、赤血球添加剤溶液容器168及び白血球除去フィルタ170並びに1つ又はそれ以上の赤血球保存容器172及び関連するチューブ178を含む白血球低減採取組立体176が用いられる。図5及び図6に、2単位赤血球採取工程用の装置上への図24に示すカセット28並びに採取容器の取り付け法を示す。
【0184】
(1.採取サイクル)
2単位赤血球採取工程の一般的な採取サイクル中、供血者から抽出された全血は、供血者に血漿を返還しながら2単位の赤血球を採取するために加工される。カセット内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2、カセット内の抗凝血剤ポンプACP、カセット内のインプロセスポンプIPP、及びカセット内の血漿ポンプPPが、関連する空気バルブと連動して制御装置16によって空気圧式に駆動され、分離に備えて血液をインプロセス容器158から加工チャンバ18へ輸送しながら、抗凝固処理済み血液をインプロセス容器158に注入する。この配列はまた、加工チャンバから赤血球を除去して赤血球容器162に移しながら、加工チャンバから血漿を除去して血漿容器160内に移す。この段階は、増分量の血漿が血漿採取容器160内に採取されるまで(計量センサによって監視した状態で)、又は目標量の赤血球が赤血球採取容器162内に採取されるまで(計量センサによって監視した状態で)続く。
【0185】
血漿又は赤血球の目標量が採取される前にインプロセス容器158内の全血量が所定の最大閾値に達した場合、制御装置16は、引き続き血液分離を続行しながら、供血者との界面となるポンプDP1/DP2の運転を終了し、インプロセス容器158内の全血の採取を終了する。血液分離中に全血量がインプロセス容器158内で所定の最小閾値に達したが、それが血漿又は赤血球の目標量が採取される前であった場合、制御装置16は、全血を抽出する工程に戻り、それにより全血がインプロセス容器158に入ることを可能にする。制御装置は、いずれを先に行うにせよ、必要量の血漿採取が完了するか、又は目標量の赤血球採取が完了するまで、インプロセス容器158に対する量の高閾値及び低閾値に従って、これらの2つの状態間で切り換える。
【0186】
(2. 返還サイクル)
一般的な返還サイクル中(目標量の赤血球採取が完了していないとき)、制御装置16は、関連する空気バルブと連動させてカセット28内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2、カセット内のインプロセスポンプIPP、カセット内の血漿ポンプPPを運転し、分離に備えて抗凝血処理済み全血をインプロセス容器158から加工チャンバ18へ輸送しながら、一方で血漿を除去して血漿容器160に移し、赤血球を除去して赤血球容器162に移す。この配列ではまた、容器164からの食塩水をインラインで返還血漿と混合しながら、血漿を血漿容器160から供血者へ輸送することをも行う。食塩水の血漿とのこのインライン混合によって食塩水の温度が上昇し、供血者の快適性を改善する。この段階は、計量センサによって監視した状態で、血漿容器160が空になるまで続行される。
【0187】
血漿容器160が空になる前にインプロセス容器158内の全血量が特定の低閾値に達した場合、制御装置16は、インプロセスポンプIPPの運転を終了し、血液分離を終了する。この段階は、血漿容器160が空になるまで続行される。
【0188】
血漿容器160が空になると、制御装置16は、別の採取サイクルを実行する。制御装置16は、計量センサが赤血球採取容器162内への所望量の赤血球採取が完了したことを示すまで、採取及び返還のサイクルを連続的に行う。制御装置16は、カセット28内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転して血漿容器160内に残っている血漿を供血者へ輸送しながら、加工チャンバ内外への血液の供給及び除去を終了する。次いで、制御装置16は、カセット内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転し、計量センサで監視した状態で、所定の交換量が注入されるまで、インプロセス容器158内に残っている血液成分を供血者へ輸送し、同時に食塩水も供血者へ輸送する。
【0189】
(3. 強制過少溢流(最終赤血球パージ))
1つの代替的実施形態では、制御装置16は、工程の終了時点近くで、分離チャンバから赤血球採取容器内への赤血球の強制過少溢流を引き起こすことによって、総工程時間を短縮する。工程の終了時点での意図的な強制過少溢流によって、赤血球残留量が分離チャンバからパージされ、それにより採取時間並びに最終返還サイクルが簡素化され且つ短縮される。
【0190】
この実施形態では、制御装置16は、所与の工程中に採取されるべく残っている赤血球の量を定期的に又は常時監視する。制御装置16は、採取されるべく残っている赤血球の量が分離チャンバ18に占める赤血球の量に等しいか又はそれに接近したときに、強制過少溢流状態を開始する。分離チャンバに占める赤血球の量は、(i)分離チャンバ18の面積(KA)(チャンバの形状に基づく既知の量である)、(ii)赤血球パージ中の界面の位置の変化(KI)(これもチャンバの形状に基づく既知の量である)、(iii)流入抗凝血処理済全血のヘマトクリット(Hi)、前述したものから導出されるもの、又は性に依存するデフォルト値を含むことのできるものから導出されるもの、(iv)流出赤血球ヘマトクリットHCTRBC、前述したものから導出されるもの、及び(V)赤血球パージシーケンスの開始時点においてチャンバ18内に存在する赤血球の絶対値(KRBC)(分離チャンバ18の形状に基づく定数である)に基づいて導出することができる。上述の係数(強制過少溢流RBC)に基づいて分離チャンバに占める赤血球の量を導出する代表的アルゴリズムは、
強制過少溢流RBC=(KRBC)+ΔIP*HCTRBC
であり、
該式において、ΔIPは過少溢流=(KI)/[(1−(Hi))/HCTRBC/(KA)]を達成するのに必要なインプロセス血液量である。
【0191】
強制過少溢流中、赤血球採取チューブ104が閉じられ、血漿採取チューブ106が開けられる。この状態で、界面の血小板と白血球の層が、供血者への返還に対して血漿と共にチャンバ18から供血者へ輸送される。これにより、赤血球の白血球混入が減少する。赤血球が血漿採取チューブ106に入ったこと(センサ146が検出することになる)を制御装置16が検出すると、制御装置は、血漿採取チューブを閉じて赤血球採取チューブを開放する。この状態により、分離チャンバ内に蓄積された赤血球が赤血球採取容器に輸送されることが可能となる。一般に、血球採取目標量は、この状態の間に達成される。その目標に到達しなかった場合、制御装置16は、通常の赤血球採取状態に戻る。
【0192】
赤血球採取工程が完了すると、制御装置16は、詳細を後に説明する空気パージサイクルに入る。
【0193】
(4.白血球濾過)
赤血球の採取及び血漿並びに残留血液成分の返還が完了すると、制御装置16は、自動的に又はオペレータに促した後、インライン白血球濾過サイクルに転向することができる。このサイクル中、赤血球は、赤血球採取レザバ162から除去され、白血球除去フィルタ170を通して赤血球保存容器172内に輸送される。同時に、容器168からの所望量の赤血球保存溶液が、赤血球と混合される。
【0194】
白血球フィルタ170は、様々に構成することができる。このフィルタは、例えば、膜を備えるか又はメルトブローン合成繊維若しくはスパンボンド合成繊維(例えば、ナイロン又はポリエステル或いはポリプロピレン)、半合成繊維、再生繊維、又は無機繊維などの繊維性材料で製造することのできる濾過媒体を収納するハウジングを備える。繊維性である場合、この媒体は、深層濾過によって白血球を除去する。膜である場合、この媒体は、排除によって白血球を除去する。ハウジングは、周縁沿いに封止された剛体のプラスチックプレートから成ることができる。代替的に、ハウジングは、ジ−2−エチルヘキシル−フタレートで可塑化したポリ塩化ビニル(PVC−DEHP)などの医療グレードプラスチック材料の可撓性シートから成ることもできる。フィルタ170は、使用中、本装置の基部上の保持固定具182内に保持することができる。
【0195】
白血球濾過サイクルの第1段階で、制御装置16は、カセット内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転して赤血球保存容器172、フィルタ170、及びチューブ178から空気を抽出し、この空気を赤血球採取レザバ162内に輸送する。この段階により、白血球除去工程が始まる前に、赤血球保存容器172内に残留する空気の量が最小化される。この段階ではまた、白血球除去工程がいったん完了すると、フィルタ170から赤血球を除去して赤血球採取容器172内に移すために用いることのできる赤血球採取容器162に、或る量の空気ももたらされる。
【0196】
次の段階で、制御装置16は、カセット28内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転し、プライミング量の保存溶液を溶液容器168から抽出して赤血球採取レザバ162に移す。この段階で、容器168とカセット28との間のチューブ180がプライミングされ、最終赤血球保存容器172内にポンプで注入される空気の量が最小化される。
【0197】
次の段階で、制御装置16は、カセット28内の供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転し、赤血球を赤血球採取レザバ162から赤血球採取容器172内へポンピングする(フィルタ170を通して)工程と容器168から赤血球採取容器172内へ赤血球保存溶液をポンピングする工程(これもフィルタ170を通して)を交互に実行する。この交互に実行される工程により、保存溶液が赤血球と混合される。制御装置16は、赤血球及び保存容器に対して空気ポンプのストローク数をカウントし、保存溶液量に対する赤血球量の所望の割合(例えば、赤血球に対する5ポンプストローク、その後の保存溶液に対する2ポンプストローク、その後この交互シーケンスを反復する)を得る。赤血球採取レザバ162用計量器がレザバが空であることを示すまで、交代で実行されるこの赤血球及び保存溶液の供給が続く。
【0198】
赤血球採取レザバ162が空になると、制御装置16は、供血者との界面となるポンプDP1/DP2を運転し、フィルタ170を通して、所定量の空気を、赤血球採取レザバ162からポンピングする。空気の量は、白血球除去工程が開始される前に、赤血球採取レザバ308内に吸引された空気の量に基づいてあらかじめ決定されている。空気は、フィルタ170から赤血球をパージして、チューブ、カセット28、及びフィルタ170内の残留赤血球の存在を最小化するのに役立つ。このステップはまた、赤血球採取レザバ162が完全に空になることを保証する。
【0199】
次に、制御装置16は、保存溶液と赤血球量間の割合が所望の割合であることを保証する必要に応じ、追加保存溶液を、フィルタ170を通して赤血球保存容器172内にポンピングする。次いで、最終ステップとして、制御装置16は、フィルタ170を通して所定量の保存溶液をポンピングし、依然として残留している全ての赤血球をフィルタ170から洗い落として保存容器172内に移す。この最終ステップにより、濾過後の割合の赤血球回復が最大化される。制御装置16は、フィルタ170が排出を完了することができるように、所定の時間(例えば20秒間)待機するのが望ましい。
【0200】
白血球濾過サイクル及び白血球濾過フィルタ170の更なる詳細は、引用により本明細書に組み込まれる、2001年10月13日に提出された「Blood Separation Systems and Methods that Alternate Flow of Blood Component and Additive Solution through an In−Line Leukofilter」と題する、同時係属の米国特許出願第09/976、832号に見出すことができる。
【0201】
(VI. 空気パージ)
所与の血液採取工程の終了時点で、チャンバ18は、赤血球及び血漿の残留量を含むことになる。これらの血液成分残留量を供血者に返還するのが望ましい。これは、赤血球の場合には特にそうである。可能な限り多くの赤血球を返還する能力は、供血者の赤血球損失を最小限に留め、且つ供血者からの赤血球採取が許されないその後の延期期間を短縮する。
【0202】
供血者への返還に備えて分離チャンバから赤血球を洗い流す最も効率的な方法は、分離チャンバに無菌空気を送通することによる方法であることが発見されている。血液加工後に液体ではなく無菌空気を使用することは、血液加工後に処理しなければならない生体に有害な恐れのある廃棄物に関する負担をも軽減する。
【0203】
無菌空気は、所与の血液加工工程に先立って、当初のプライミングサイクル中に、本システムからパージされインプロセス全血レザバ内に置かれる。これが、血液加工工程の完了に後続して分離チャンバから赤血球を洗い流すための無菌空気の供給源となる。
【0204】
エアフラッシュの第1段階中、赤血球採取チューブ104は閉じられている。分離チャンバ18への全血入口チューブ102を通じて空気がポンプ注入され、一方で、血漿ポンプPPの運転により、残留赤血球が血漿出口チューブ106を通じてチャンバ18から抽出される。この段階は、血漿チューブ106内で空気が検出されるまで続く。次いで、エアフラッシュの第2段階が開始される。
【0205】
第2段階中は、血漿出口チューブ106が閉じられ、赤血球チューブ104が開けられる。分離チャンバが回転を開始され、速度が徐々に上昇されて、除去に備えて赤血球をチャンバ18の高G壁の方へ移動させ、且つ分離チャンバ18内に残留している空気を分離チャンバ18の低G壁の方へ移動させるのに十分な相対的に控えめな回転速度(例えば300RPM)が達成される。第2段階は、赤血球チューブ104内で空気が検出されるまで続く。この時点で、エアフラッシュは終了される。
【0206】
赤血球チューブ104及び血漿チューブ106内の空気の検出は、通常の超音波空気検出器を用いて達成することができる。しかしながら、血漿チューブ及び赤血球チューブ106並びに104内の細胞性成分を光学的に検出するために用いられる同一のセンサ146及び148を、これらのチューブ106並びに104内における空気の存在を検出するのにも用いることができることが発見されている。
【0207】
前述したように、血漿チューブ106内のセンサ146は、赤色及び緑色の光透過率を用いて、チャンバ18を出る血漿中の血小板及び/又は赤血球の濃度を判定する。赤血球チューブ104内のセンサ148は、赤外線(805nm)の反射率並びに透過率を用いて分離チャンバ18を出る赤血球のヘマトクリットを判定する。センサ146及び148は、定期的にセンサ146並びに148を起動して出力をサンプリングする制御装置16によって操作される。所与のセンサ出力は、複数のサンプル値の平均値である。
【0208】
センサ146又は148を通り過ぎる気泡の存在は、センサによって採取される測定サンプル値間に、通常運転中にサンプル平均値を有効化するのに用いられる差異を有意に超える顕著な差異を生じさせることが判明している。サンプル期間中に採取されるサンプル値間の設定閾値分散量は、エアフラッシュサイクル中における空気の存在に相関させることができる。所与のサンプリング期間中に採取された複数のサンプル値の分散量は、例えば、各サンプル値とサンプル平均値との間の差異を合計し、該差異の合計値を二乗し、この量をサンプルの数マイナス1で除算することによって求めることができる。
【0209】
血漿ラインセンサ146の場合、赤色若しくは緑色透過率測定値が約4000(通常の界面感知目的に対してサンプル値の妥当性が評価される分散量より大きい)の閾値分散量を超える場合、制御装置16は、血漿チューブ106に対する気泡検出信号を生成する。制御装置16は、第1段階からエアフラッシュプロトコルの第2段階に移る。
【0210】
赤血球ラインセンサ148の場合、赤外線透過率測定値若しくは赤外線反射率測定値が約2000(これも通常の界面感知目的に対してサンプル値の妥当性が評価される分散量より大きい)の閾値分散量を超える場合、制御装置16は、赤血球チューブ104に対する気泡検出信号を生成する。制御装置16は、エアフラッシュプロトコルの第2段階を終了する。
【0211】
(VII. カセットの完全性チェック)
血液流れセット12の取り付けは、ポンプ・バルブステーション30内へのカセット28の正確な配置、供血者用クランプ154を通る供血者チューブ126及び抗凝血剤チューブ152の正確なルーティング、及び供血者チューブ・抗凝血剤チューブ152接合点下流へのクランプ116又は止血物質の正確な配置を含む。カセットの正確な配置、供血者用クランプ154を通るこれらのチューブ126及び152の正確なルーティング、及びクランプ116若しくは止血物質の存在は、供血者を流れセットに接続する前に、工程毎にチェックされるのが望ましい。
【0212】
カセット隔膜304と空気マニホルド組立体34との間の空気圧封止は、カセット内の流体流路の整合性のみならず、流体圧によって作動するバルブ及びポンプの適切な機能を保証するためにも必要である。空気圧式封止に加え、カセット隔膜304とマニホルド組立体34のバルブフェースガスケット318との間の捕捉空気の量は、流体バルブ及び流体ポンプの効果的動作のために最小限に抑えるべきである。カセット28の完全装着に先立つマニホルド組立体34に押し当たる扉袋314の膨張により封止が損われる可能性がある。遷移及びへこみのようなカセット封止面の欠陥、及びカセットホルダ26内へのカセット28の不適切な搭載も封止を損なう可能性がある。これらの状態も、流れセット12に供血者を接続する前に検出されるのが望ましい。
【0213】
これらの理由から、制御装置16は、一連のカセット装着チェック及び完全性チェックを受けることが望ましい。代表的な実施形態では、これらのカセット装着チェック及び完全性チェックには、(1)扉袋314の膨張前にポンプ・バルブステーション30内におけるカセット28の存在を確認するカセット存在チェック、(2)カセット隔膜304とバルブフェースガスケット318との間の捕捉空気を最小化するための排気作業、(3)カセット28のマニホルド組立体34に当たった適切な着座及びバルブフェースガスケット318に漏出がないことを確認するバルブクロストークチェック、(4)--空気を用いた--供血者クランプ154を通した供血者チューブ126及び抗凝血剤チューブ152の正確なルーティングを確認する乾式カセット完全性試験、並びに(5)--液体(例えば食塩水)を用いて--バルブの封止及び流路の整合性を損なうおそれのあるカセットの欠陥がないことを確認する湿式カセット完全性試験が含まれる。
【0214】
(A. カセット存在チェック)
この試験は、供血者を接続し所望の血液加工セッションを開始する前に、カセット28が装着されており且つポンプ・バルブステーション30の扉32が閉まっていることを確認する。
【0215】
図15を参照すると、オペレータは、ポンプ・バルブステーション30内にカセット28を装着してステーションの扉32を閉鎖する。カセットが存在すると、扉袋314の膨張に対して使用可能な体積が減少する。従って、所与の圧力レベルに到達するのに要する時間が低減される。ポンプ・バルブステーション30内におけるカセット28の存在を確認するカセットチェック中、この特性が用いられる。
【0216】
制御装置16は、真空を印加して全てのカセットバルブ及びカセットポンプを開放するようにマニホルド組立体34に命令する。次いで、制御装置16は、扉袋314に空気圧を印加するようにマニホルド組立体34に命令する。制御装置16は、経過時間をも追跡しながら、袋314内の圧力の増加を登録する。所定の時間(例えば30秒)以内に袋314内の圧力が所定の閾値圧力(PBLAD)(例えば800mmHg)に等しくなるか又はそれを超えると、制御装置18は、カセット28がステーション内に存在するとみなす。そうでない場合、制御装置16は、カセット28を搭載するようにオペレータに警告し促す。
【0217】
カセット28の存在がひとたび確認されれば、制御装置18は、排出作業である次の完全性試験に進む。
【0218】
(B. 排出作業)
排出作業は、扉32が閉鎖された後で、バルブフェースガスケット318とカセット隔膜304との間に捕捉された空気の量を最小化する(全体として図15参照)。捕捉空気は、カセット28内のバルブ及びポンプの性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0219】
制御装置16は、カセット28の存在が確認された後に、排出作業を実行する。排出作業中、扉袋314は、カセット28をマニホルド組立体34に押し当てて着座させるがバルブフェースガスケット318との空気圧封止を引き起こさない、所定のより低い圧力レベル(例えば、約800mmHgより低い)まで膨張される。扉袋314がこのより低い圧力にある間に、制御装置16は次いで、所定の時間PHARD及びPGENを規制するようにマニホルド組立体34に命令する。バルブフェースガスケット318に対するこの異なる圧力の規制により、バルブフェースガスケット318が膨張する。この動作によって、カセット隔膜304とバルブフェースガスケット318との間に捕捉された残留空気が排出されることになる。この動作が所定の時間実行され、その後、扉袋圧は、その完全な指定された封止圧力(例えば約900mmHg)に調整される。制御装置18は、バルブクロストーク試験である次の完全性試験に進む。
【0220】
(C. バルブクロストーク試験)
バルブクロストーク試験の目的は、流れセット12の食塩水プライミングの開始に先立つバルブフェースガスケット318内の漏出を検出することである。制御装置16は、扉袋314を封止圧力に設定するようにマニホルド組立体34に命令する。隣接するバルブ及びポンプチャンバは、制御装置16により、例えば以下のように、圧力及び真空のカテゴリに分類される(これらのバルブの配列の概略図については図25A参照)。
【0221】
【表2】
制御装置16は、圧力領域にPHARD、PGENを連続的に印加し、真空領域にVHARD及びVGENを連続的に印加するようにマニホルド組立体34に命令する。各圧力/真空レベルにおける各領域に関する圧力漏えい率が求められ、許容可能な特定のレベル(例えば、約2mmHg/秒〜約3mmHg/秒より低い)と比較される。いずれかの領域にバルブフェースガスケット318内の漏出を示す特定の許容可能レベルに等しいか又はそれより大きい漏えい率が認められる場合、制御装置は、警報を生成する。
【0222】
全ての領域の漏えい率が特定の許容可能レベルより低い場合、制御装置18は、乾式カセット完全性試験である次の完全性試験に進む。
【0223】
(D. 乾式カセット完全性試験)
乾式カセット完全性チェックにより、流れセットの食塩水プライミングを実施する前に、供血者チューブ126及び抗凝血剤チューブ152に関係する取り付けミス状態が検出される。取り付けミス状態は、(1)供血者チューブ126及び/又は抗凝血剤チューブ152が供血者用クランプ154を迂回している、(2)供血者チューブ126並びに/若しくは抗凝血剤チューブ152がはさまれて締め付けられている、(3)供血者チューブ126/抗凝血剤チューブ152接合点におけるクランプ116又は止血物質の欠如のうちのいずれか1つ若しくはそれらの組み合わせである可能性がある。取り付けミス状態に加えて、この試験はまた、製造に続く品質保証試験の後に(例えば、出荷中及び使用前の取り扱い中に)発生した可能性のある、供血者チューブ126、抗凝血剤チューブ152、又は抗凝血剤容器150内の小さい穴或いは破損したポートなどの流れセット内の欠陥をも検出することができる。
【0224】
乾式カセット完全性試験では、空気を用いて、カセット28の選択された領域が与圧される。乾式カセット完全性試験では、流体がカセット28内に導入される前に適切なカセット装着を確認することができるように、液体ではなく空気が用いられる。従って、取り付けミスが検出された場合、カセット28は、未使用の無菌状態で容易に再装着することができる。
【0225】
乾式カセット完全性試験中(図25A/図25B及び図26A/図26Bに概略的に示す)、制御装置16は、カセット28内の指定されたポンプチャンバを起動して臍部100から空気を抽出して選択された領域内に移送し、且つ指定されたバルブを閉鎖して該領域内の圧力を保持するようにマニホルド組立体34に命令する。初期圧力は、この領域と連通するポンプチャンバ内で感知される。ポンプチャンバは、閉じた状態に設定された供血者用クランプ154を通して標的チューブに連結されている。マニホルド組立体34は、この領域に対応しているポンプに正圧を印加してポンプチャンバからの空気の排出を試みるようにとの命令を受ける。最終圧力は、特定の時間の後に感知される。標的供血者チューブ126又は抗凝血剤チューブ152が供血者用クランプ154内に適切に取り付けられている場合は、供血者用クランプ154は空気の流れを防止するはずであり、且つそれにより圧力低下が生じるのを防止するはずである。圧力低下率(最終圧力/初期圧力)が所定の閾値よりも大きい場合は、供血者用クランプ154は空気の流れを防止しておらず、取り付けミスが存在するとみなされる。
【0226】
代表的な実施形態では、乾式カセット完全性試験は、2つの段階からなる。第1段階では、供血者チューブ126に関する取り付けミス状態が検出される。第2段階では、抗凝血剤チューブ152の取り付けミス状態が検出される。
【0227】
(1. 段階1(供血者チューブの取り付けミス状態))
段階1の開始時点における流体回路306の状態を図25Aに示す。
【0228】
段階1の間、制御装置16は、PGEN、PHARD、VGEN、及びVHARDをシステム圧力レベルに調整する。供血者用クランプ154が開放され、カセット28全体が血液加工チャンバ18に排気される。次いで、血漿ポンプPPの運転によって空気を臍部から抽出して供血者ポンプチャンバDP1内に移送することを可能にする経路内のバルブを除き、全てのカセットバルブが閉鎖される。流体回路306では、この経路は、例えば、V2/V21を開放すること(臍部100から赤血球容器162への赤血球チューブ104を開放すること)、V1/V6を開放すること(インプロセスポンプPPPを通じて全血チューブ102を臍部100内からインプロセス容器158へ開けること)、及びV5/V6/V10/V11/V17を開放すること(血漿ポンプを通して血漿チューブ106を臍部100から供血者ポンプDP1へ開けること)によって生成することができる。流体回路306内の他のバルブと同じように、供血者用クランプ154が閉鎖される。
【0229】
制御装置16は、指定された数のポンプストロークに対して血漿ポンプPPを作動させるようにマニホルド組立体34に命令する。これにより臍部100から空気が抽出され供血者ポンプDP1内に移送される(図25Aに矢印空気経路で示すように)
次いで、制御装置16は、V6を閉鎖するようにマニホルド組立体34に命令し、これにより臍部100からの空気路が閉じられる。次いで、制御装置は、バルブV12/V13/V18を開放するようにマニホルド組立体34に命令し、これにより、閉じたままの状態の供血者用クランプ154によってのみ規制された供血者ポンPPIから供血者チューブ126への経路が開く。段階1のこの局面における流体回路306の状態を図25Bに示す。
【0230】
次に、制御装置16は、PGEN及びVHARDを保持し、VGENに通気し、所定の遅延時間の後に、供血者ポンプDP1内の初期PGENを記録するようにマニホルド組立体34に命令する。
【0231】
次いで、制御装置16は、所定の時間DP1に圧力を印加するようにマニホルド組立体34に命令する。これにより、図25Bに矢印AIRで示すように、空気が供血者ポンプDP1から供血者用クランプ154の方へ誘導される。制御装置16は、既存のPGEN2を記録する。
【0232】
比率PGEN2/PGEN1が特定の値よりも小さい場合、制御装置16は、供血者用クランプ154を通じて空気の漏出が発生し、供血者チューブ126が供血者用クランプ154内に適切に装着されていないとみなす。制御装置16は、カセット28を再装着するようにオペレータに促す。比率PGEN2/PGEN1が特定の値に等しいか又はそれより大きい場合、制御装置16は、供血者用クランプ154を通じた空気の漏出は発生しなかったとみなし、且つ供血者チューブ126は供血者用クランプ154内に適切に取り付けられているとみなす。この場合、制御装置16は、段階2の乾式カセット完全性試験に進む。
【0233】
(2. 段階2(抗凝血剤チューブの装填ミス状態))
段階2の開始時点における流体回路306の状態を図26Aに示す。
【0234】
段階2の開始時点で、制御装置は、PGEN、PHARD、VGEN、及びVHARDをシステム圧力レベルに調整する。供血者用クランプ154が開放され、カセット28全体が加工チャンバ18に排気される。空気が臍部100から抽出されて血漿ポンプPP、供血者ポンプPP1、及び供血者用クランプ154を通じて抗凝血剤ポンプチャンバ内に入る経路を確立するバルブを除き、全てのカセットバルブが閉鎖される。流体回路306内では、この経路は、例えば、V2/V21を開放すること(臍部100から赤血球容器162への赤血球チューブ104を開放すること)、V1/V16を開放すること(インプロセスポンプPPPを通じてインプロセス容器158から臍部100内へ全血チューブ102を開放すること)、V5/V6/V10/V11/V17を開放すること(血漿ポンプPPを通じて臍部100から供血者ポンプDP1まで血漿チューブ106を開放すること)、及びV12/V13/V22を開放すること(供血者チューブ126及び抗凝血剤チューブ152を通じて抗凝血剤ポンプチャンバACP内へ供血者ポンプPP1からの供血者チューブ126を開放すること)によって生成することができる。クランプ116又は止血物質も締め付けて閉じられる。制御装置16は、指定された数のポンプストロークに対して血漿ポンプPPを作動させるようにマニホルド組立体34に命令する。これにより臍部100から空気が抽出され、供血者チューブ126と抗凝血剤チューブ152との接合点を通って抗凝血剤ポンプACP内に入る(図26Aに矢印空気経路で示すように)。次いで、制御装置16は、臍部100への経路の残部を開放された状態に維持しながらV22及び供血者用クランプ154を閉鎖するようにマニホルド組立体34に命令する。
【0235】
次に、制御装置16は、PGEN及びVHARDを保持し、VGENに通気し、且つ、所定の遅延時間の後に初期PGEN1を記録するようにマニホルド組立体34に命令する。次いで、制御装置16は、所定の時間V22開放しておくと同時にACPに圧力を印加するようにマニホルド組立体34に命令する。抗凝血剤チューブ152を通るV22を越える空気流は、閉じられたままの供血者用クランプ154によってのみ調整される。制御装置16は、既存のPGEN2を記録する。段階2のこの局面における流体回路306の状態を図26Bに示し、ACPから供血者用クランプ154への経路を空気矢印で示す。
【0236】
比率PGEN2/PGEN1が特定の値よりも小さい場合、制御装置は、供血者用クランプ154を通じて空気の漏出が発生し、抗凝血剤チューブ152が供血者用クランプ154内に適切に装着されていないとみなす。制御装置は、カセット28を再装着するようにオペレータに促す。比率PGEN2/PGEN1が特定の値に等しいか又はそれより大きい場合、制御装置は、供血者用クランプ154を通じた空気の漏出が発生しなかったとみなし、且つ抗凝血剤チューブ152が供血者用クランプ154内に適切に装着されているとみなす。この場合、制御装置は、湿式カセット完全性チェックである最終完全性チェックに進む。
【0237】
(E. 湿式カセット完全性チェック)
湿式カセット完全性チェックは、カセット28自体内で発生するかもしれない製品品質及び供血者安全性に関連する結果を検出するように設計されている。このチェックは、流体回路がプライミング流体、例えば食塩水を完全にプライミングされた後に行われる。このチェックは、容量性感知手段を用いて、流体経路にプライミング流体が充填されたときの選択された試験領域内の空気圧封止を維持する流体回路の能力を判定する。
【0238】
湿式カセット完全性試験中、少なくとも1つのポンプチャンバを含む選択された試験領域が生成される。試験領域は、試験領域の境界線の周りのバルブを閉鎖することにより、流体回路306の残部から空気圧封止される。試験中、ポンプチャンバにプライミング流体が充填される。制御装置16は、マニホルド組立体34を調整し、ポンプチャンバから閉鎖された試験領域内へプライミング流体を空けることを試みる。容量性感知手段を用いて、制御装置16は、空ける試みがなされた後にチャンバ内に残っている流体の量を推定する。試みの後にチャンバ内に残っている流体の量が所定の最小量よりも多い場合、制御装置16は、試験領域が試験領域からの流体の漏出に耐えるのに十分なだけ空気圧封止されていたとみなす。試みの後にチャンバ内に残っている流体の量が所定の最小量よりも少ない場合、制御装置16は、試験領域からの流体の漏出が発生したとみなし、欠陥警報が生成される。試験は、一連の試験領域を連続的に生成及び試験するのが望ましい。
【0239】
様々な試験領域の境界線は、回路が直面する可能性のある種々の起こり得る封止失敗形態を評価することによって画定することができる。
【0240】
代表的な実施形態では、制御装置16は、バルブV3、V5、V6、V7、V15、V20、V25を空けて第1の標的試験領域を生成する。図27に、試験領域を太実線で示す。試験領域は、供血者ポンプDP1及びDP2を含み、且つ試験領域は、血液及び血液成分が供血者の身体の内外へ輸送される経路を含む。
【0241】
制御装置16は、供血者ポンプDP1/DP2を運転し、適切なバルブを起動して食塩水容器164から食塩水を抽出して試験領域内に移送し、食塩水により、所定の感知圧力まで試験領域を与圧する。ポンプチャンバDP1/DP2は、この工程において食塩水を充填される。
【0242】
図27では、試験領域は、境界バルブV2、V4、V10、V8、V13及びV14によって空気圧封止されている。制御装置16は、境界バルブの下流の追加バルブを開放し、境界バルブを通じて試験領域を出る流体が通ることのできる漏出経路を設け、それにより特定の境界バルブ自体のより感度に優れた試験をもたらすのが望ましい。図27では、境界バルブ下流のバルブV1、V11、V17、V22、V23、抗凝血剤ポンプACP、血漿ポンプPP、インプロセスポンプIPP、及び供血者用クランプ154開放して漏出経路を設けることができる。可能な流体漏出経路を、漏出経路内で開放することのできる境界バルブの外側のバルブにアスタリスク(*)で印を付し、図27に想像線で示す。
【0243】
制御装置16は、バルブV6/V7/V13/V14を閉鎖することによってポンプチャンバDP1/DP2を隔離し、且つ、容量性感知手段により、各チャンバに対するポンプ充填量を記録する。制御装置16は、バルブV6及びV7を開放することによって試験下の領域を供血者ポンプへ開放し、且つ所定の短縮押圧時間だけポンプチャンバDP1及びDP2を閉鎖して流体を試験領域内に移動させる。次いで、制御装置16は、バルブV6及びV7を閉鎖し、サンプル遅延時間だけ待機する。次いで、制御装置16は、容量センサの読み取り値を取得する。いずれかのポンプチャンバに対する最終値が最小閾値(例えば、完全に空のチャンバを上回るベースライン量を表すことのできる)より小さい場合、試験領域からの流体漏出が発生した。警報が生成される。両方のチャンバに対する最終値が最小閾値に等しいか又はそれより大きい場合、流体漏出は発生しておらず、試験が進行される。
【0244】
別の試験領域の完全性は、バルブV5、V6、V7、V15、V20、V25を開放することにより試験することができる。図28に、この試験領域を太実線で示す。制御装置16は、境界バルブ下流のバルブV11、V17、V21、V22、V23、抗凝血剤ポンプACP、血漿ポンプPP、インプロセスポンプIPP、及び供血者用クランプ154を解放して流体漏出経路を設け、より感度に優れた試験をもたらすことができる。流体漏出経路を、漏出経路内で開放することのできる境界バルブの外側のバルブにアスタリスク(*)で印を付し、図28に想像線で示す。
【0245】
所定数のポンプストロークに対して供血者ポンプDP1/DP2が作動され、外部食塩水容器164からの食塩水によって試験下の領域が与圧される。この時間の間、供血者ポンプチャンバDP1及びDP2に、食塩水容器164からの食塩水が充填される。制御装置16は、バルブV6/V7/V13/V14を閉鎖することによってポンプチャンバDP1/DP2を隔離し、且つ、容量性感知手段により、各チャンバに対するポンプ充填量を記録する。制御装置16は、バルブV6及びV7を開放することによって試験下の領域を供血者ポンプDP1/DP2へ開放し、且つ所定の短縮押圧時間だけポンプチャンバDP1及びDP2を閉鎖して流体を試験領域内に移動させる。次いで、制御装置16は、バルブV6及びV7を閉鎖し、サンプル遅延時間だけ待機する。次いで、制御装置16は、容量センサの読み取り値を取得する。いずれかのポンプチャンバに対する最終値が閾値(空のチャンバを上回るベースライン量を表す)より小さい場合、試験領域内への流体漏出が発生した。警報が生成される。両方のポンプチャンバに対する最終値が閾値(空のチャンバを上回るベースライン量を表す)に等しいか又はそれより大きい場合、流体漏出は発生しておらず、試験が進行される。
【0246】
別の試験領域の完全性は、バルブV4、V13、V14、V15、V20を開放することにより試験することができる。これらのバルブを開放し、更に別の試験領域が生成される。図29に、この試験領域を太実線で示す。先の試験領域と同様に、境界バルブ下流のバルブV3、V5、V10、V11、V21、V22、V23、抗凝血剤ポンプACP、血漿ポンプPP、インプロセスポンプIPP、及び供血者用クランプ154を解放して漏出経路を生成することができる。流体漏出経路を、漏出経路内で開放することのできる境界バルブの外側のバルブにアスタリスク(*)で印を付し、図29に想像線で示す。
【0247】
所定数のポンプストロークに対して供血者ポンプDP1/DP2が作動され、臍部100を通過することにより、インプロセス容器158からの食塩水によって試験下の領域が与圧される。この時間の間、供血者ポンプチャンバDP1及びDP2に食塩水が充填される。制御装置16は、バルブV6/V7/V13/V14を閉鎖することによってポンプチャンバDP1/DP2を隔離し、且つ、容量性感知手段により、各チャンバに対するポンプ充填量を記録する。制御装置16は、バルブV13及びV14を開放することによって試験下の領域を供血者ポンプへ開放し、且つ所定の短縮押圧時間だけポンプチャンバDP1及びDP2を閉鎖して流体を試験領域内に移動させる。次いで、制御装置16は、バルブV13及びV14を閉鎖し、サンプル遅延時間だけ待機する。次いで、制御装置16は、容量センサの読み取り値を取得する。いずれかのポンプチャンバに対する最終値が閾値(空のチャンバを上回るベースライン量を表す)より小さい場合、試験領域内への流体漏出が発生した。警報が生成される。両方のポンプチャンバに対する最終値が閾値(空のチャンバを上回るベースライン量を表す)に等しいか又はそれより大きい場合、流体漏出は発生しておらず、代表的実施形態の3段階試験が終了する。
【0248】
もちろん、上記の論理的根拠に基づいて、他の試験領域を確立して試験することができるであろう。
【0249】
一連のカセット完全性試験に続き、システム10を用いた静脈穿刺及び血液加工に進むことができる。
【0250】
(VIII. 結論)
本発明の多くの特徴を、保存及び血液成分治療に備えて全血を成分部分に分離する工程でのそれらの使用法を説明することによって実証してきた。これは、本発明がこれらの血液加工工程を実行するのに用いるように十分に適合されているからである。しかしながら、本発明の特徴が他の加工工程に用いるのにも同様に役立つことを理解されたい。
【0251】
例えば、血液加工チャンバと関連させてプログラム可能なカセットを利用する記載したシステム及び方法は、手術中に血液細胞を洗浄又は回収する目的で、若しくは血漿交換治療を実施する目的で、或いは治療に対して体外経路内で血液が循環される任意の他の工程に用いることができる。更に、記載した本システム及び方法は、血管循環系から抽出したヒト又は動物の血液の加工に限定されず、血管循環系外で生成され且つ天然源から組み換えによって産生若しくは採取された細胞性の血液成分又は物質を含む懸濁液を加工若しくは分離するのにも用いることができる。
【0252】
本発明の諸特徴を、以下の特許請求の範囲に定義する。
【図面の簡単な説明】
【0253】
【図1】図1は、血液加工装置(輸送及び保管に備えて閉鎖した状態で示す)と、血液加工装置と相互に作用して1種類又はそれ以上の血液成分の分離及び採取をもたらす使い捨て液体・血液流れセット(使用前の輸送及び保管に備えてトレイ内に梱包された状態で示す)とを備える、血液加工に理想的に適した流体加工システムの斜視図である。
【図2】図2は、運転に備えて開放した状態で示す、図1に示す血液加工装置の斜視図である。
【図3】図3は、血液加工チャンバを受け入れるために遠心分離ステーションが開放され、且つ流体圧作動カセットを受け入れるためにポンプ・バルブステーションが開放された、図2に示す血液加工装置の斜視図である。
【図4】図4は、使い捨て液体・血液流れセットを収容するトレイが装置上への該流れセットの搭載に備えて配置された、図3に示す血液加工装置の斜視図である。
【図5】図5及び図6は、液体・血液流れセットが使用に備えて装置上に搭載された後の図2に示す血液加工装置の、それぞれ、右側及び左側の斜視図である。
【図6】図5及び図6は、液体・血液流れセットが使用に備えて装置上に搭載された後の図2に示す血液加工装置の、それぞれ、右側及び左側の斜視図である。
【図7】図7は、血液加工チャンバ、及び図5並びに図6に示す液体・血液流れセットの一部を形成する取り付けられた臍部の斜視図である。
【図8】図8は、図7に示す種類の血液加工チャンバの代表的実施形態の内部の斜視図であり、該チャンバの内部は、図5及び図6に示す装置を用いて赤血球の分離・採取工程を実行するように構成されている。
【図9】図9は、図7に示す種類の血液加工チャンバを受け入れるためにステーションの扉が開放された、図5及び図6に示す装置の遠心分離ステーション内部の斜視図である。
【図10】図10は、図7に示す種類の血液加工チャンバが使用に備えて搭載された後の、図9に示す遠心分離ステーション内部の斜視図である。
【図11A】図11Aは、図5及び図6に示す装置の一部を形成する光感知ステーションとの意図された関連付けを示す、図7に示す臍部によって支持された固定具の拡大斜視図である。
【図11B】図11Bは、図11Aに示す光感知ステーションの側断面図である。
【図11C】図11Cは、図11Aに示す光感知ステーションの分解斜視図である。
【図11D】図11Dは、図11Aに示す光感知ステーションの上面図である。
【図11E】図11E及び図11Fは、11Aに示す光感知ステーションと関連させて用いることのできる回路の概略図である。
【図11F】図11E及び図11Fは、11Aに示す光感知ステーションと関連させて用いることのできる回路の概略図である。
【図12】図12は、図7に示す種類の血液加工チャンバの内部の線図であり、赤血球層、血漿層、及び中間の軟膜層への全血の分離を示しており、各層の位置を所望の関係で示している。
【図13】図13は、軟膜層が低G壁に極めて近接した位置へ移動しており、軟膜成分を採取中の血漿内に浸透させる望ましくない過剰溢流状態を生成している、図7に示す種類の血液加工チャンバの内部の線図である。
【図14】図14は、軟膜層が高G壁に極めて近接した位置へ移動しており、採取中の赤血球のヘマトクリットの低下をもたらす望ましくない過少溢流状態を生成している、図7に示す種類の血液加工チャンバの内部の線図である。
【図15】図15は、図5及び図6に示す液体・血液流れセットの一部を形成する流体圧作動カセット、及びこれも図5並びに図6に示すカセットに正及び負の空気圧を印加して液体並びに血液をカセット内で循環させる装置上のポンプ・バルブステーションとのその動作上の関連を示す分解斜視図である。
【図16】図16は、様々な血液加工・採取工程の実行を可能にする図15に示すカセット内に実装することのできる流体回路の概略図である。
【図17】図17は、図17に示す流体回路が実装されたカセットの平面図である。
【図18】図18は、図7に示す種類の血液加工チャンバの代表的実施形態の内部の上面斜視図であり、該チャンバの内部は、図5及び図6に示す装置を用いて血漿の分離・採取工程を実行するように構成されている。
【図19】図19は、図18に示す血液加工チャンバの下面斜視図である。
【図20】図20は、赤血球を分離区域から血漿とは別の経路へ誘導する先細の表面を有する障壁を示す、図18に示す血液加工チャンバの内部領域の拡大側面斜視図である。
【図21】図21は、赤血球が障壁によって分離区域から誘導される際に赤血球がとる経路を示す、図20に示す領域の拡大下面斜視図である。
【図22】図22は、赤血球及び血漿が障壁によって分離区域から誘導される際に赤血球並びに血漿がとる別々の経路を示す、図20に示す領域の拡大上面斜視図である。
【図23】図23は、血漿採取工程に用いることのできる構成の液体・血液流れセットに連結された図16及び図17に示す種類のカセットの概略図である。
【図24】図24は、2単位赤血球採取工程に用いることのできる構成の液体・血液流れセットに連結された図16及び図17に示す種類のカセットの概略図であり、血液流れセットは、血液加工装置に搭載された後の状態で図5及び図6にも示されている。
【図25A】図25A及び図25Bは、正及び負の空気圧の印加によって調整して空気を制御された方法で輸送し、血液及び液体を供血者の身体の内外へ輸送するためのチューブが図5及び図6に示すように装置上に適切に取り付けられていることを確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【図25B】図25A及び図25Bは、正及び負の空気圧の印加によって調整して空気を制御された方法で輸送し、血液及び液体を供血者の身体の内外へ輸送するためのチューブが図5及び図6に示すように装置上に適切に取り付けられていることを確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【図26A】図26A及び図26Bは、正及び負の空気圧の印加によって調整して空気を制御された方法で輸送し、供血者から抽出した血液内に抗凝血剤を輸送するためのチューブが図5及び図6に示すように装置上に適切に取り付けられていることを確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【図26B】図26A及び図26Bは、正及び負の空気圧の印加によって調整して空気を制御された方法で輸送し、供血者から抽出した血液内に抗凝血剤を輸送するためのチューブが図5及び図6に示すように装置上に適切に取り付けられていることを確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【図27】図27〜図29は、正及び負の空気圧の印加によって調整して液体を制御された方法で輸送し、使用の前にカセットの物理的完全性を確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【図28】図27〜図29は、正及び負の空気圧の印加によって調整して液体を制御された方法で輸送し、使用の前にカセットの物理的完全性を確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【図29】図27〜図29は、正及び負の空気圧の印加によって調整して液体を制御された方法で輸送し、使用の前にカセットの物理的完全性を確認する、図16に示す流体回路の概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液加工用組立体であって、
回転軸を中心として回転可能なフレーム、
該フレームによって担持され、該回転軸を中心として回転する血液加工チャンバ、
一端が該回転軸に沿って該血液加工チャンバに連結され且つ反対端が該回転軸に沿って非回転位置に保持された臍部であって、該臍部の中間部分は、少なくとも部分的に、該回転軸の外側に延びている、臍部、および
該フレーム上に、該臍部の該中間部分に係合するような大きさ及び構成とされた少なくとも1つの支持チャネルであって、該支持チャネルは、指定方向への該フレームの回転に応答して該臍部の該中間部分を該支持チャネル内へ自動搭載するような大きさ及び構成である側縁部を含む、支持チャネル、
を、備える組立体。
【請求項2】
前記フレームは、血液分離工程中所与の方向に回転するように適合されており、かつ
前記指定方向は、該所与の方向と反対である、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記支持チャネルは、前記回転軸に向かう前記臍部の半径方向の進退移動を抑制するような大きさ及び構成である、請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記支持チャネルは、前記回転軸を中心とした前記フレームの回転に応答して前記中間部分に回転を与える、請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記臍部の回転が前記血液加工チャンバに回転を与える、請求項4に記載の組立体。
【請求項6】
前記支持チャネルは、低摩擦材料を含む、請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
血液加工用組立体であって、
回転軸を中心として回転可能なフレーム、
該フレームによって担持され、該回転軸を中心として回転する血液加工チャンバ、
一端が該回転軸に沿って該血液加工チャンバに連結され且つ反対端が該回転軸に沿って非回転位置に保持された臍部であって、該臍部の中間部分は、少なくとも部分的に、該回転軸の外側に延びている、臍部、ならびに
該フレーム上に、該回転軸に沿って間隔を置いて配置された第1および第2の支持チャネルであって、該第1および第2の支持チャネルは、該臍部の該中間部分に互いに係合するような大きさ及び構成であり、該第1および第2の支持チャネルは、該フレームの回転方向にかかわらず該中間部分に相互に係合するように、逆向き関係に配列されている、第1および第2の支持チャネル、
を、備える組立体。
【請求項8】
前記支持チャネルのうちの少なくとも1つは、前記回転軸に向かう前記臍部の半径方向の進退移動を抑制するような大きさ及び構成である、請求項7に記載の組立体。
【請求項9】
前記支持チャネルのうちの少なくとも1つは、前記回転軸を中心とした前記フレームの回転に応答して前記中間部分に回転を与える、請求項7に記載の組立体。
【請求項10】
前記臍部の回転が前記血液加工チャンバに回転を与える、請求項9に記載の組立体。
【請求項11】
前記支持チャネルのうちの少なくとも1つは、低摩擦材料を含む、請求項7に記載の組立体。
【請求項12】
血液加工用組立体であって、
回転軸を中心として回転可能なフレームであって、該フレームは、該回転軸が貫通する開放された内部空間を形成する壁を有する、フレーム、
該回転軸を中心として該フレームを回転させるために該フレームに連結された駆動機構、
該開放された内部空間内に該フレームによって担持され、該回転軸を中心として相対回転するロータ、
該ロータに固定され、該回転軸を中心として該ロータと共に回転する血液加工チャンバ、
一端が該回転軸に沿って該血液加工チャンバに連結された臍部、
該臍部の反対端を回転せず且つ静止した位置に保持するための、該フレームの外側で該回転軸と整合されたマウントであって、該臍部の中間部分が該回転軸の外側で湾曲している、マウント、ならびに
該回転軸に沿って該フレーム上に間隔を置いて配置された第1および第2の支持チャネルであって、該第1および第2の支持チャネルは、該回転軸を中心とした該フレームの回転に応答して該中間部分に回転を与えるために、該臍部の該中間部分に互いに係合するような大きさ及び構成であり、該第1および第2の支持チャネルは、該フレームの回転方向にかかわらず該中間部分に互いに係合するために、逆向き関係に配列されている、第1および第2の支持チャネル、
を、備える組立体。
【請求項13】
前記第1および第2の支持チャネルのうちの少なくとも1つは、前記フレームの回転に応答し且つ該フレームの回転方向にかかわらず前記臍部の前記中間部分を前記それぞれのチャネルと係合するように誘導するための、前記それぞれの支持チャネルに向かって内方に至る対向する側縁部を含む、請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
前記第1および第2の支持チャネルのうちの少なくとも1つは、指定方向の前記フレームの回転に応答して前記臍部の前記中間部分を前記それぞれの支持チャネル内に自動搭載するような大きさ及び構成である側縁部を含む、請求項12に記載の組立体。
【請求項15】
前記第1および第2の支持チャネルは、前記回転軸に向かう前記臍部の半径方向の進退移動を抑制するような大きさ及び構成である、請求項12に記載の組立体。
【請求項16】
前記第1および第2の支持チャネルは、前記臍部の前記反対端を前記マウントの方に導くような大きさ及び構成である、請求項12に記載の組立体。
【請求項17】
前記臍部の回転は、前記ロータに固定された前記血液加工チャンバに回転を与える、請求項12に記載の組立体。
【請求項18】
前記支持チャネルのうちの一方は、全体として前記フレームに面し、該支持チャネルのうちの他方は、全体として該フレームから見て外方に向いている、請求項12に記載の組立体。
【請求項19】
前記マウントに最近接する前記一方の支持チャネルは、全体として前記フレームから見て外方に向き、該マウントから最遠方に位置する前記他方の支持チャネルは、全体として該フレームに面している、請求項12に記載の組立体。
【請求項20】
前記一方の支持チャネルは、前記フレームの回転に応答し且つ前記フレームの回転方向にかかわらず前記臍部の前記中間部分を前記それぞれのチャネルと係合するように誘導するための、該それぞれの支持チャネルに向かって内方に至る対向する側縁部を含む、請求項19に記載の組立体。
【請求項21】
前記第1および第2の支持チャネルのうちの少なくとも1つは、指定方向の前記フレームの回転に応答して前記臍部の前記中間部分を前記それぞれの支持チャネル内に自動搭載するような大きさ及び構成である側縁部を含む、請求項12に記載の組立体。
【請求項22】
前記一方の支持チャネルは、前記臍部の前記反対端を前記マウントの方へ導くような大きさ及び構成である、請求項12に記載の組立体。
【請求項23】
前記第1および第2の支持チャネルのうちの少なくとも1つは、低摩擦材料を含む、請求項12に記載の組立体。
【請求項24】
血液加工用組立体であって、
回転軸を中心として回転可能なフレームであって、該フレームは、該回転軸が貫通する開放された内部空間を形成する壁を有する、フレーム、
該回転軸を中心として該フレームを回転させるために該フレームに連結された駆動機構、
該開放された内部空間内で該フレームによって担持され、該回転軸を中心として相対回転するロータ、
該ロータに固定され、該回転軸を中心として該ロータと共に回転する血液加工チャンバ、
一端が該回転軸に沿って該血液加工チャンバに連結された臍部、
該臍部の反対端を回転せず且つ静止した位置に保持するための、該フレームの外側で該回転軸と整合されたマウントであって、該臍部の中間部分が該回転軸の外側で湾曲している、マウント、ならびに
該回転軸に沿って該フレーム上に間隔を置いて配置された第1および第2の支持チャネルであって、該第1および第2の支持チャネルは、該回転軸を中心とした該フレームの回転に応答して該中間部分に回転を与えるために、該臍部の該中間部分に互いに係合するような大きさ及び構成であり、該第1および第2の支持チャネルのうちの少なくとも1つは、該フレームの回転方向にかかわらず、該フレームの回転に応答して該臍部の該中間部分を該それぞれのチャネルとの係合に導くために、該それぞれの支持チャネルに向かって内方に至る対向する側縁部を含む、第1および第2の支持チャネル
を、備える組立体。
【請求項25】
前記側縁部のうちの少なくとも1つは、指定方向への前記フレームの回転に応答して、前記臍部の前記中間部分を前記それぞれの支持チャネル内に自動搭載するような大きさ及び構成である、請求項24に記載の組立体。
【請求項26】
前記第1および第2の支持チャネルは、前記回転軸に向かう前記臍部の半径方向の進退移動を抑制するような大きさ及び構成である、請求項24に記載の組立体。
【請求項27】
前記第1および第2の支持チャネルは、前記臍部の前記反対端を前記マウントの方へ導くような大きさ及び構成である、請求項24に記載の組立体。
【請求項28】
前記臍部の回転が前記ロータに固定された前記血液加工チャンバに回転を与える、請求項24に記載の組立体。
【請求項29】
前記支持チャネルのうちの一方は、全体として前記フレームに面し、該支持チャネルのうちの他方は、全体として前記フレームから見て外方に向いている、請求項24に記載の組立体。
【請求項30】
前記第1および第2の支持チャネルのうちの少なくとも1つは、低摩擦材料を含む、請求項24に記載の組立体。
【請求項1】
血液加工用組立体であって、
回転軸を中心として回転可能なフレーム、
該フレームによって担持され、該回転軸を中心として回転する血液加工チャンバ、
一端が該回転軸に沿って該血液加工チャンバに連結され且つ反対端が該回転軸に沿って非回転位置に保持された臍部であって、該臍部の中間部分は、少なくとも部分的に、該回転軸の外側に延びている、臍部、および
該フレーム上に、該臍部の該中間部分に係合するような大きさ及び構成とされた少なくとも1つの支持チャネルであって、該支持チャネルは、指定方向への該フレームの回転に応答して該臍部の該中間部分を該支持チャネル内へ自動搭載するような大きさ及び構成である側縁部を含む、支持チャネル、
を、備える組立体。
【請求項2】
前記フレームは、血液分離工程中所与の方向に回転するように適合されており、かつ
前記指定方向は、該所与の方向と反対である、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記支持チャネルは、前記回転軸に向かう前記臍部の半径方向の進退移動を抑制するような大きさ及び構成である、請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記支持チャネルは、前記回転軸を中心とした前記フレームの回転に応答して前記中間部分に回転を与える、請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記臍部の回転が前記血液加工チャンバに回転を与える、請求項4に記載の組立体。
【請求項6】
前記支持チャネルは、低摩擦材料を含む、請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
血液加工用組立体であって、
回転軸を中心として回転可能なフレーム、
該フレームによって担持され、該回転軸を中心として回転する血液加工チャンバ、
一端が該回転軸に沿って該血液加工チャンバに連結され且つ反対端が該回転軸に沿って非回転位置に保持された臍部であって、該臍部の中間部分は、少なくとも部分的に、該回転軸の外側に延びている、臍部、ならびに
該フレーム上に、該回転軸に沿って間隔を置いて配置された第1および第2の支持チャネルであって、該第1および第2の支持チャネルは、該臍部の該中間部分に互いに係合するような大きさ及び構成であり、該第1および第2の支持チャネルは、該フレームの回転方向にかかわらず該中間部分に相互に係合するように、逆向き関係に配列されている、第1および第2の支持チャネル、
を、備える組立体。
【請求項8】
前記支持チャネルのうちの少なくとも1つは、前記回転軸に向かう前記臍部の半径方向の進退移動を抑制するような大きさ及び構成である、請求項7に記載の組立体。
【請求項9】
前記支持チャネルのうちの少なくとも1つは、前記回転軸を中心とした前記フレームの回転に応答して前記中間部分に回転を与える、請求項7に記載の組立体。
【請求項10】
前記臍部の回転が前記血液加工チャンバに回転を与える、請求項9に記載の組立体。
【請求項11】
前記支持チャネルのうちの少なくとも1つは、低摩擦材料を含む、請求項7に記載の組立体。
【請求項12】
血液加工用組立体であって、
回転軸を中心として回転可能なフレームであって、該フレームは、該回転軸が貫通する開放された内部空間を形成する壁を有する、フレーム、
該回転軸を中心として該フレームを回転させるために該フレームに連結された駆動機構、
該開放された内部空間内に該フレームによって担持され、該回転軸を中心として相対回転するロータ、
該ロータに固定され、該回転軸を中心として該ロータと共に回転する血液加工チャンバ、
一端が該回転軸に沿って該血液加工チャンバに連結された臍部、
該臍部の反対端を回転せず且つ静止した位置に保持するための、該フレームの外側で該回転軸と整合されたマウントであって、該臍部の中間部分が該回転軸の外側で湾曲している、マウント、ならびに
該回転軸に沿って該フレーム上に間隔を置いて配置された第1および第2の支持チャネルであって、該第1および第2の支持チャネルは、該回転軸を中心とした該フレームの回転に応答して該中間部分に回転を与えるために、該臍部の該中間部分に互いに係合するような大きさ及び構成であり、該第1および第2の支持チャネルは、該フレームの回転方向にかかわらず該中間部分に互いに係合するために、逆向き関係に配列されている、第1および第2の支持チャネル、
を、備える組立体。
【請求項13】
前記第1および第2の支持チャネルのうちの少なくとも1つは、前記フレームの回転に応答し且つ該フレームの回転方向にかかわらず前記臍部の前記中間部分を前記それぞれのチャネルと係合するように誘導するための、前記それぞれの支持チャネルに向かって内方に至る対向する側縁部を含む、請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
前記第1および第2の支持チャネルのうちの少なくとも1つは、指定方向の前記フレームの回転に応答して前記臍部の前記中間部分を前記それぞれの支持チャネル内に自動搭載するような大きさ及び構成である側縁部を含む、請求項12に記載の組立体。
【請求項15】
前記第1および第2の支持チャネルは、前記回転軸に向かう前記臍部の半径方向の進退移動を抑制するような大きさ及び構成である、請求項12に記載の組立体。
【請求項16】
前記第1および第2の支持チャネルは、前記臍部の前記反対端を前記マウントの方に導くような大きさ及び構成である、請求項12に記載の組立体。
【請求項17】
前記臍部の回転は、前記ロータに固定された前記血液加工チャンバに回転を与える、請求項12に記載の組立体。
【請求項18】
前記支持チャネルのうちの一方は、全体として前記フレームに面し、該支持チャネルのうちの他方は、全体として該フレームから見て外方に向いている、請求項12に記載の組立体。
【請求項19】
前記マウントに最近接する前記一方の支持チャネルは、全体として前記フレームから見て外方に向き、該マウントから最遠方に位置する前記他方の支持チャネルは、全体として該フレームに面している、請求項12に記載の組立体。
【請求項20】
前記一方の支持チャネルは、前記フレームの回転に応答し且つ前記フレームの回転方向にかかわらず前記臍部の前記中間部分を前記それぞれのチャネルと係合するように誘導するための、該それぞれの支持チャネルに向かって内方に至る対向する側縁部を含む、請求項19に記載の組立体。
【請求項21】
前記第1および第2の支持チャネルのうちの少なくとも1つは、指定方向の前記フレームの回転に応答して前記臍部の前記中間部分を前記それぞれの支持チャネル内に自動搭載するような大きさ及び構成である側縁部を含む、請求項12に記載の組立体。
【請求項22】
前記一方の支持チャネルは、前記臍部の前記反対端を前記マウントの方へ導くような大きさ及び構成である、請求項12に記載の組立体。
【請求項23】
前記第1および第2の支持チャネルのうちの少なくとも1つは、低摩擦材料を含む、請求項12に記載の組立体。
【請求項24】
血液加工用組立体であって、
回転軸を中心として回転可能なフレームであって、該フレームは、該回転軸が貫通する開放された内部空間を形成する壁を有する、フレーム、
該回転軸を中心として該フレームを回転させるために該フレームに連結された駆動機構、
該開放された内部空間内で該フレームによって担持され、該回転軸を中心として相対回転するロータ、
該ロータに固定され、該回転軸を中心として該ロータと共に回転する血液加工チャンバ、
一端が該回転軸に沿って該血液加工チャンバに連結された臍部、
該臍部の反対端を回転せず且つ静止した位置に保持するための、該フレームの外側で該回転軸と整合されたマウントであって、該臍部の中間部分が該回転軸の外側で湾曲している、マウント、ならびに
該回転軸に沿って該フレーム上に間隔を置いて配置された第1および第2の支持チャネルであって、該第1および第2の支持チャネルは、該回転軸を中心とした該フレームの回転に応答して該中間部分に回転を与えるために、該臍部の該中間部分に互いに係合するような大きさ及び構成であり、該第1および第2の支持チャネルのうちの少なくとも1つは、該フレームの回転方向にかかわらず、該フレームの回転に応答して該臍部の該中間部分を該それぞれのチャネルとの係合に導くために、該それぞれの支持チャネルに向かって内方に至る対向する側縁部を含む、第1および第2の支持チャネル
を、備える組立体。
【請求項25】
前記側縁部のうちの少なくとも1つは、指定方向への前記フレームの回転に応答して、前記臍部の前記中間部分を前記それぞれの支持チャネル内に自動搭載するような大きさ及び構成である、請求項24に記載の組立体。
【請求項26】
前記第1および第2の支持チャネルは、前記回転軸に向かう前記臍部の半径方向の進退移動を抑制するような大きさ及び構成である、請求項24に記載の組立体。
【請求項27】
前記第1および第2の支持チャネルは、前記臍部の前記反対端を前記マウントの方へ導くような大きさ及び構成である、請求項24に記載の組立体。
【請求項28】
前記臍部の回転が前記ロータに固定された前記血液加工チャンバに回転を与える、請求項24に記載の組立体。
【請求項29】
前記支持チャネルのうちの一方は、全体として前記フレームに面し、該支持チャネルのうちの他方は、全体として前記フレームから見て外方に向いている、請求項24に記載の組立体。
【請求項30】
前記第1および第2の支持チャネルのうちの少なくとも1つは、低摩擦材料を含む、請求項24に記載の組立体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11E】
【図11F】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11E】
【図11F】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図29】
【公表番号】特表2006−503652(P2006−503652A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547021(P2004−547021)
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/033469
【国際公開番号】WO2004/037427
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/033469
【国際公開番号】WO2004/037427
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】
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