説明

自動ドア用取付装置

【課題】 部品点数を少なくし、組立が容易で自動ドアの取り付けが簡単な自動ドア取付装置を提供すること。
【解決手段】 堅枠を備えて構成する自動ドア用フロントに自動ドアを設置するための自動ドア取付装置であって,自動ドア用アルミフロントの上枠に固着する固着部分と、固着部分にL字状に屈折して形成されるレール上延部とを備えると共に、レール上延部に接続され縦設板部を介して下側に連続するレール部を設けてなるベース部材と,ベース部材の一端部とジョイントすると共に、ドアの開閉を行うダイレクトドライブ・モータからなる駆動モータを取り付けるモータ取付部材と、ベース部材の一端部を自動ドア用アルミフロントの堅枠に固定する堅枠側取付部材とからなる取付金具と,によって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置に係わり、自動ドアを設置する取付ベースと自動ドアを開閉移動するモータを自動ドア用アルミフロントに取り付ける自動ドア用取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドア装置は、人体などの物体を検知する手段からの検知信号をマイクロコンピュータに入力させてモータを正逆転させ、この際、モータの回転数を計数することによってドアの開閉移動量を測知し、このドアの開閉移動量によってドアの位置を判断し、この判断結果に基づいて開扉減速点及び閉扉減速点の設定された高速開閉扉動によりドアを開閉制御するような構成及び構造になっている。
【0003】
このような自動ドア装置の設置に当たっては、一般に、市販の自動ドア用アルミフロントを予め設置してあり、この市販の自動ドア用アルミフロントに自動ドアを設置する取付ベースと自動ドアを開閉移動するモータを取り付ける内蔵タイプのものと、市販の自動ドア用アルミフロントが設置されておらず、既設あるいは新設の鴨居やフロント無目に取付ベースを用いて取り付ける後付けタイプのものとがある。
【0004】
従来の自動ドア装置100は、図6に示す如く、ドア110と、ドア110を開閉するための駆動機構120とを備えて構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
駆動機構120は、既知構成のものであり(特開2002−115448号公報参照)、取付用横向ベース130に設けられており、駆動源としてのモータ140と、伝達機構150とを備えて構成されている。そして、モータ140からの駆動力が伝達機構150を介してドア110に伝達されてドア110の開閉が行われるようになっている。
【0005】
前記モータ140は、本例ではブラシレスDCモータで構成されており、図7に示すように、前記取付用横向ベース130に取り付けられた取付部材160に取り付けられている。このモータ140には、該モータ140を回転駆動するためのホールIC141が磁極位置センサとして内蔵されている(図8参照。なお、図8においては、説明の便宜上、モータ140とは別体のものとして図示されている。)。この磁極位置センサとしてのホールIC141から発生するパルス信号はドア110の移動量に比例しており、モータ出力軸140aとドア110間にすべりのない構造としているので、前記パルス信号を計数することによりドア110の位置、速度、方向を制御することができるようになっている。
【0006】
前記伝達機構150は、第1ベルト機構151と第2ベルト機構152と減速機構170とを有し、第1ベルト機構151と第2ベルト機構152とが減速機構170を介して連結されて構成されている。
前記第1ベルト機構151は、モータ140のモータ出力軸140aに軸着された第1歯付主動プーリ142と第1歯付従動プーリ143とを備え、これら第1歯付主動プーリ142と第1歯付従動プーリ143に、第1歯付ベルト144を巻き掛けて構成されている。
【0007】
また、前記第2ベルト機構152は、第2歯付主動プーリ145と第2歯付従動プーリ146とを備え、これら第2歯付主動プーリ145と第2歯付従動プーリ146に、第2歯付ベルト147を巻き掛けて構成されている。
ドア110には、2つの連結具180a,180bを介してハンガーローラが取り付けられており、この2つの連結具の内、一方の連結具180bには、第2歯付ベルト147が連結されている。このようにして第2歯付きベルト147に連結されたドア110が、図示しない走行レール等を用いて、モータ140の駆動により開閉自在となっている。
【0008】
前記減速機構170は、取付部材160に設けられ、減速機構入力軸171に軸着された小径ギア172と、この小径ギア172と噛み合い、減速機構出力軸173に軸着された大径ギア174とを備えて構成されている。前記減速機構入力軸171及び前記減速機構出力軸173は、回動自在に軸支されている。そして、前記減速機構入力軸171には、前記第1歯付従動プーリ143が軸着されており、また、前記減速機構出力軸173には、前記第2歯付主動プーリ145が軸着されている。これにより、前記モータ140が駆動してモータ出力軸140aに軸着された第1歯付主動プーリ142が回転すると、この回転が第1歯付ベルト144を介して第1歯付従動プーリ143に伝達され、減速機構170で回転が減速されて前記第2歯付主動プーリ145に出力されて第2歯付主動プーリ145が回転し、第2歯付ベルトに取り付けられたドア110が移動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−226108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に記載の自動ドア装置においては、ブラシレスDCモータで構成されるモータ140を用いており、このモータ140に回転数の低いモータを使用し、減速しないでドア110を開閉しようとすると、トルクが小さくて、ドア110を開閉することができない。
そこで、従来から、モータ140に回転数の高いモータを使用し、減速してトルクを高くして、ドア110を開閉することが行われている。そのため、従来の自動ドア装置においては、減速機構170が必要なものとなったいた。
【0011】
このため、従来の自動ドア装置にあっては、ドア110を開閉するために、モータ140の他に、減速機構170を設ける必要があり、装置が大きくなるという問題点を有している。
また、従来の自動ドア装置にあっては、ドア110を開閉するために大きなトルクを必要とするため、モータ140に回転数の高いモータを使用する必要がある。このため、ドア110が開閉する際に駆動するモータ140の回転によって、回転振動生じ、この回転振動がベースに伝わり、異音を発している。そこで、従来の自動ドア装置にあっては、この異音の発生を抑えるため、モータ140と減速機構170が設けられた取付部材160を取り付けた取付用横向ベース130とフロントベースとの間にゴム等によって構成される防振材を介在させている。このため、装置そのものが大きくなり、部品点数も多いなるという問題点を有している。
【0012】
本発明の目的は、部品点数を少なくし、組立が容易で自動ドアの取り付けが簡単な自動ドア取付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明の自動ドア取付装置は、堅枠を備えて構成する自動ドア用フロントに自動ドアを設置するための自動ドア取付装置であって,
前記自動ドア用アルミフロントの上枠に固着する固着部分と、前記固着部分にL字状に屈折して形成されるレール上延部とを備えると共に、前記レール上延部に接続され縦設板部を介して下側に連続するレール部を設けてなるベース部材と,
前記ベース部材の一端部とジョイントすると共に、ドアの開閉を行うダイレクトドライブ・モータからなる駆動モータを取り付けるモータ取付部材と、前記ベース部材の一端部を前記自動ドア用アルミフロントの堅枠に固定する堅枠側取付部材とからなる取付金具と,
によって構成してなり、前記ベース部材と前記駆動モータとを、前記取付金具によって共に前記自動ドア用アルミフロントの堅枠によって支持するようにしたことを特徴としている。
【0014】
上記課題を解決するためになされた請求項2に記載の本発明の自動ドア取付装置は、請求項1に記載の自動ドア取付装置における取付金具の前記自動ドア用アルミフロントの堅枠への取付を、前記取付金具と前記自動ドア用アルミフロントの堅枠との間に、コーナーピースを介在させて行うものであることを特徴としている。
【0015】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の本発明の自動ドア取付装置は、既設あるいは新設の鴨居やフロント無目に自動ドアを設置するための自動ドア取付装置であって,
前記既設あるいは新設の鴨居やフロント無目に直付けする縦設固定板部と、前記縦設固定板部にL字状に屈折して形成される上部カバー部材とを備えると共に、前記上部カバー部材に接続され縦設固定板部を介して下側に連続する下部レール部材を設けてなるベース部材と,
前記ベース部材の一端部とジョイントすると共に、ドアの開閉を行うダイレクトドライブ・モータからなる駆動モータを取り付けるモータ取付部材と、前記ベース部材の一端部を塞ぐサイドカバーを取り付けるサイドカバー取付部材とからなる取付金具と,
によって構成してなり、前記ベース部材の一端部に取り付けた前記取付金具に前記駆動モータを取り付けることによって、前記駆動モータと前記取付金具を共に前記ベース部材を介して前記既設あるいは新設の鴨居やフロント無目に直付けするようにしたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る自動ドア取付装置の一実施の形態を示す全体正面図である。
【図2】図1に示す自動ドア取付装置に自動ドア駆動用モータの取付組立斜視図である。
【図3】本発明に係る自動ドア取付装置の他の実施の形態を示す全体正面図である。
【図4】図3に示す自動ドア取付装置のベースを既設・新設のフロント無目に取り付ける取付組立斜視図である。
【図5】図3に示す自動ドア取付装置に自動ドア駆動用モータの取付組立斜視図である。
【図6】従来の自動ドア装置の全体概略図である。
【図7】図7に示す従来の自動ドア装置のモータと減速機構部分の拡大図である。
【図8】モータと減速機構部分の伝達機構を図7に示す従来の自動ドア装置に設置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1、図2には、本発明に係る自動ドア取付装置の第1実施例が示されている。
図1に図示の自動ドア取付装置の第1実施例は、予め市販の自動ドア用アルミフロントAが堅枠Bに設置されている場合で、この市販の自動ドア用アルミフロントAに自動ドアを設置する取付ベースと自動ドアを開閉移動するモータを取り付ける内蔵タイプの自動ドア取付装置である。
図1は本発明に係る自動ドア取付装置の一実施の形態を示す全体正面図、図2は図1に示す自動ドア取付装置に自動ドア駆動用モータの取付組立斜視図である。
【0019】
図1において、本例の自動ドア取付装置1は、ベース部材2と、ベース部材2を取り付けるための取付金具3と、堅枠Bに取り付け取付金具3を堅枠Bに固定するためのコーナーピース4とによって構成されている。
ベース部材2は、各アルミサッシメーカーが市販している自動ドア用アルミフロントに取り付けるドアを開閉するための駆動モータ50を取り付けるための内蔵式中芯吊りベースである。そして、このベース部材2は、いわゆるハンガーレールであって、自動ドア用アルミフロントの上枠A内に設けられるものである。
【0020】
このベース部材2は、アルミニウム引き抜き材によるものであって、所定の長さで真っ直ぐにのびるように形成されており、上部レール部材5がこのベース部材2に一体に設けられている。
また、ベース部材2は、自動ドア用アルミフロントの上枠Aに固着される固着部分6と、中空構造となる強度確保部分7とを有して、例えば図2のような断面形状となるように形成されている。
【0021】
上部レール部材5は、逆L字状となる形状に形成されるレール上延部8を有している。そして、上部レール部材5には、縦設板部9を介して下側に連続するレール部10を有して、例えば図2のような断面形状となるように形成されている。
そして、このレール上延部8は、ハンガーローラの上方への移動を規制するために形成されている。このレール上延部8とレール部10は、ハンガーローラの直径に合わせて配置されている。このレール部10は、水平方向に沿って形成されている。
レール部10の上側には、凸条(ここでは断面視蒲鉾形状となる突条)となるレール11がベース部材2の延在方向に真っ直ぐに形成されている。
【0022】
ベース部材2の端部には、取付金具3が取り付けられるようになっている。
取付金具3は、ベース部材2と、ドアの開閉を行う駆動モータ50とを一緒に自動ドア用アルミフロントの堅枠Bに固定する金具である。そして、この取付金具3は、ベース部材2の一端部とジョイントすると共に、ドアの開閉を行う駆動モータ50を取り付けるモータ取付部材12と、ベース部材2の一端部を自動ドア用アルミフロントの堅枠Bにコーナーピース4を介して固定するための堅枠側取付部材13とによって構成されている。
【0023】
モータ取付部材12は、板状に形成され、モータ取付部材12には、上部に段差部14が設けられている。そして、ベース部材2は、モータ取付部材12の下側に差し込むようなっており、この段差部14の位置まで挿入するようになっている。
モータ取付部材12には、一端にU字状のスリット15が設けられており、このスリット15には、ベース部材2の裏側から挿入されるボルト16を通し、モータ取付部材12の表面からナット17で締め付け固定してベース部材2モータ取付部材12とを連結固定するようになっている。
【0024】
また、モータ取付部材12には、ボルト16を挿入するU字状のスリット15の位置と対角位置にボルト穴18が設けられている。このボルト穴18には、ベース部材2の裏側から挿入されるボルト19を通し、モータ取付部材12の表面からナット20で締め付け固定してベース部材2とモータ取付部材12とを連結固定するようになっている。
このようにモータ取付部材12は、2本のボルト16、19と、2本のナット17、20によってベース部材2と連結固定されている。
【0025】
モータ取付部材12には、4箇所にボルト穴21,22,23,24が設けられている。このボルト穴21,22,23,24は、ドアの開閉を行う駆動モータ50を取り付けるためのものである。すなわち、駆動モータ50は、ボルト25,26,27,28をボルト穴21,22,23,24に螺合させて、モータ取付部材12に固定するようになっている。
また、モータ取付部材12の略中央には、穴29が設けられている。この穴29は、貫通した穴である。
【0026】
駆動モータ50は、電動機(モーター)の回転力を間接的機構(ギアボックスなど)を介さずに直接、駆動対象に伝達するダイレクトドライブ・モータ(DDモータ)を用いている。
このDDモータは、損失、特にフリクションロス(ベルト、チェーン、歯車、減速機(ギアボックス)の摩擦による損失)を最小限にすることができ、シンプルな機構で、接触部が従来機構よりも減って、接触や振動を起こす部品が減っており、騒音を小さくすることができ、動作機構部品を減らすことができメンテナンスや交換の頻度が減らすことができるといった優れた特性を有している。
【0027】
また、駆動モータ50は、DDモータであるため、ベルトドライブのモータに比較して、小型のモータを用いることができ、モータの回転数をギアを使って低くする減速部を用いる必要が無く、部品点数を飛躍的に少なくすることができる。さらに、DDモータで構成する駆動モータ50は、簡単に取り付けることができる。
【0028】
堅枠側取付部材13は、板状に形成され、モータ取付部材12にL字状となる形状にモータ取付部材12と一体に形成されている。この堅枠側取付部材13は、コーナーピース4を介して自動ドア用アルミフロントの堅枠Bに取り付けられるようになっている。
堅枠側取付部材13には、側部上部に切欠孔30が形成されている。この切欠孔30は、自動ドア用アルミフロントの堅枠Bの外側から、コーナーピース4を通して、ボルト31を嵌合し、このボルト31にナット32を螺嵌して自動ドア用アルミフロントの堅枠Bに固定するようになっている。
【0029】
また、堅枠側取付部材13には、側部下部に切欠孔33が形成されている。この切欠孔33は、自動ドア用アルミフロントの堅枠Bの外側から、コーナーピース4を通して、ボルト34を嵌合し、このボルト34にナット35を螺嵌して自動ドア用アルミフロントの堅枠Bに固定するようになっている。
したがって、モータ取付部材12と堅枠側取付部材13とによって構成される取付金具3は、コーナーピース4と共に自動ドア用アルミフロント堅枠Bに固定されている。
【0030】
コーナーピース4は、取付金具3と自動ドア用アルミフロントの堅枠Bとの間に介在させるもので、取付金具3を自動ドア用アルミフロントの堅枠Bに取り付ける際の連結材としての役割を果たすものである。このコーナーピース4は、取付金具3の堅枠側取付部材13への取付に先立って、堅枠B側に形成される通し穴に通したボルト33a,36bにナット33,36を螺合し、ボルト33a,36bとナット33,36によって堅枠Bに固定されている。このように取付金具3は、堅枠Bに固定されるコーナーピース4を利用してボルト31,34とナット32,35によって自動ドア用アルミフロントの堅枠Bに締め付け固定される。
図中、37は、堅枠側取付部材13に設けられた駆動モータ50に電源を供給するための電線挿入孔である。この堅枠側取付部材13の電線挿入孔37に対応して、コーナーピース4にも、電線挿入孔38が設けられている。
【0031】
また、図中、39は、電源スイッチ金具で、駆動モータ50に接続される電源スイッチコード(図示していない)を取り付けるためのものである。
したがって、ベース部材2と駆動モータ50は、自動ドア用アルミフロントの両側の堅枠Bによって固定支持される。
【0032】
このように、取付金具3のモータ取付部材12にベース部材2と駆動モータ50を一緒に取り付け、この取付金具3の堅枠側取付部材13によってベース部材2と駆動モータ50を同時に自動ドア用アルミフロントの堅枠Bに固定し、この自動ドア用アルミフロントの堅枠Bに支持することができるので、組立が簡単で、部品点数を従来よりも少なくすることができる。
また、駆動モータ50に駆動対象に電動機(モーター)の回転力を間接的機構(ギアボックスなど)を介さずに直接伝達するダイレクトドライブ・モータ(DDモータ)を用いているため、従来よりも小さなモータを使用することができ、また、モータと別個に減速機を設ける必要が無く、フリクションロスを最小限にすることができるので、振動、騒音を小さくすることができ、従来のような防振ゴムを用いる必要がない。
さらに、モータと別個に減速機を設ける必要が無いので、駆動モータ50の取り付けを容易に行うことができる。
【実施例2】
【0033】
図3〜図5には、本発明に係る自動ドア取付装置の第2実施例が示されている。
図3〜図5に図示の自動ドア取付装置の第2実施例は、市販の自動ドア用アルミフロントが設置されておらず、既設あるいは新設の鴨居やフロント無目に自動ドアを設置する取付ベースと自動ドアを開閉移動するモータを取り付ける後付けタイプの自動ドア取付装置である。
【0034】
図3は本発明に係る自動ドア取付装置の他の実施の形態を示す全体正面図、図4は図3に示す取付ベースを既設・新設のフロント無目に取り付ける取付組立斜視図、図5は図3に示す自動ドア取付装置に駆動用モータの取付組立斜視図、図6は図4に示す自動ドア取付装置の取付ベースを既設・新設のフロント無目に取り付けた状態を示す図である。
【0035】
図3において、本例の自動ドア取付装置60は、ベース部材61と、ベース部材61を取り付けるための取付金具62と、自動ドア装置の側部を蓋するためのサイドカバー63とによって構成されている。
ベース部材61は、各アルミサッシメーカーが市販している自動ドア用アルミフロントが取り付けられていない既設あるいは新設の鴨居や、フロント無目に自動ドアを設置する場合の後付けタイプのベースである。そして、このベース部材61は、いわゆるハンガーレールである。
【0036】
このベース部材61は、アルミニウム引き抜き材によるものであって、所定の長さで真っ直ぐにのびるように形成されており、上部レール部材64がこのベース部材61に一体に設けられている。
また、ベース部材61は、上部に逆L字状となる形状に形成される上部カバー部材64が設けられている。この上部カバー部材64は、自動ドア装置の上側を覆うためのものである。この上部カバー部材64には、既設あるいは新設の鴨居や、フロント無目Cに固定するための縦設固定板部65が設けられており、この縦設固定板部65の下端部にL字状となる形状に形成される下部レール部材66が設けられている。
【0037】
この縦設固定板部65には、既設・新設のフロント無目Cに固着される固着部分と、中空構造となる強度確保部分67とを有して、例えば図4のような断面形状となるように形成されている。
このように、ベース部材61は、上部カバー部材64と、縦設固定板部65と、下部レール部材66によって断面コの字状に構成されている。
【0038】
図4中、既設・新設のフロント無目Cに形成されているビス穴d1,d2,d3,d4は、ベース部材61を既設又は新設のフロント無目Cに直付けするためのものである。このビス穴d1,d2,d3,d4は、取り付けるベース部材61に応じて任意に設定される。
このビス穴d1,d2,d3,d4の位置に合わせて、ベース部材61に、ビス68a,68b,68c,68dを穴明加工するようになっている。したがって、ベース部材61は、ビス68a,68b,68c,68dによって既設又は新設のフロント無目Cの任意の位置に直付けされる。
【0039】
断面コの字状に構成されるベース部材61の内側には、縦設固定板部65から開口側に突出してレール上延部69が設けられている。このレール上延部69は、ハンガーローラの上方への移動を規制するために形成されている。また、下部レール部材66は、ハンガーローラの直径に合わせて配置されている。この下部レール部材66は、水平方向に沿って形成されている。
下部レール部材66の上側には、凸条(ここでは断面視蒲鉾形状となる突条)となるレール70がベース部材61の延在方向に真っ直ぐに形成されている。
【0040】
このベース部材61の端部には、取付金具62が取り付けられるようになっている。
取付金具62は、ベース部材61と、ドアの開閉を行う駆動モータ50とを一緒に固定する金具である。そして、この取付金具62は、ベース部材61の一端部とジョイントすると共に、ドアの開閉を行う駆動モータ50を取り付けるモータ取付部材71と、ベース部材61の一端部を塞ぐサイドカバー63を取り付けるサイドカバー取付部材72とによって構成されている。
【0041】
モータ取付部材71は、板状に形成され、モータ取付部材71には、上部に段差部73が設けられている。そして、ベース部材61は、モータ取付部材71の下側に差し込むようなっており、この段差部73の位置まで挿入するようになっている。
モータ取付部材71には、一端にU字状のスリット74が設けられており、このスリット74には、ベース部材61の裏側から挿入されるボルト75を通し、モータ取付部材71の表面からナット76で締め付け固定してベース部材61モータ取付部材71とを連結固定するようになっている。
【0042】
また、モータ取付部材71には、ボルト75を挿入するU字状のスリット74の位置と対角位置にボルト穴77が設けられている。このボルト穴77には、ベース部材61の裏側から挿入されるボルト78を通し、モータ取付部材71の表面からナット79で締め付け固定してベース部材61とモータ取付部材71とを連結固定するようになっている。
このようにモータ取付部材71は、2本のボルト75、78と、2本のナット76、79によってベース部材61と連結固定されている。
【0043】
モータ取付部材71には、4箇所にボルト穴80,81,82,83が設けられている。このボルト穴80,81,82,83は、ドアの開閉を行う駆動モータ50を取り付けるためのものである。すなわち、駆動モータ50は、ボルト84,85,86,87をボルト穴80,81,82,83に螺合させて、モータ取付部材71に固定するようになっている。
また、モータ取付部材71の略中央には、穴88が設けられている。この穴88は、貫通した穴である。
【0044】
サイドカバー取付部材72は、板状に形成され、モータ取付部材71にL字状となる形状にモータ取付部材71と一体に形成されている。このサイドカバー取付部材72には、サイドカバー63を取り付けるようになっている。
サイドカバー取付部材72には、穴89が形成されており、この穴89には、ボルト90を嵌合し、このボルト90にナット91を螺嵌してサイドカバー63をサイドカバー取付部材72に固定するようになっている。
【0045】
また、サイドカバー取付部材72には、穴92が形成されており、この穴92には、ボルト93を嵌合し、このボルト93にナット94を螺嵌してサイドカバー63をサイドカバー取付部材72に固定するようになっている。
このようにサイドカバー63は、ボルト90,93と、ナット91,94によってサイドカバー取付部材72に固定されている。
すなわち、サイドカバー63は、取付金具62のサイドカバー取付部材72に固定してサイドカバー取付部材72の外側を覆い、内部が見えないようにしている。
【0046】
このサイドカバー63は、取付金具62のサイドカバー取付部材72と一体に形成されるモータ取付部材71を介してベース部材61に固定され、このベース部材61を既設又は新設のフロント無目Cの任意の位置に直付けすることによって、既設又は新設のフロント無目Cに固定するようになっている。
すなわち、サイドカバー63は、既設又は新設のフロント無目Cの任意の位置に設けたビス穴d1,d2,d3,d4,d5に、ベース部材61を貫通してビス68a,68b,68c,68dを螺嵌して、ベース部材61を既設又は新設のフロント無目Cに固定することによって、既設又は新設のフロント無目Cに固定している。
【0047】
図中、95は、電源スイッチ金具で、駆動モータ50に接続される電源スイッチコード(図示していない)を取り付けるためのものである。
また、図中、96は、ビス97,98によってモータ取付部材71の上端に取り付けるモータ上部カバーである。
【0048】
このように、取付金具62のモータ取付部材62にベース部材61と駆動モータ50を一緒に取り付け、ベース部材61を既設又は新設のフロント無目Cに直付け固定して、ベース部材61によって駆動モータ50を固定するので、組立が簡単で、部品点数を従来よりも少なくすることができる。
また、駆動モータ50に駆動対象に電動機(モーター)の回転力を間接的機構(ギアボックスなど)を介さずに直接伝達するダイレクトドライブ・モータ(DDモータ)を用いているため、従来よりも小さなモータを使用することができ、また、モータと別個に減速機を設ける必要が無く、フリクションロスを最小限にすることができるので、振動、騒音を小さくすることができ、従来のような防振ゴムを用いる必要がない。
さらに、モータと別個に減速機を設ける必要が無いので、駆動モータ50の取り付けを容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
1,60…………………自動ドア取付装置
2,61…………………ベース部材
3,62…………………取付金具
4…………………………コーナーピース
5…………………………上部レール部材
7…………………………レール上延部
10………………………レール部
12………………………モータ取付部材
13,71………………モータ取付部材
50………………………駆動モータ
63………………………サイドカバー
64………………………上部カバー部材
65………………………縦設固定板部
66………………………下部レール部材
72………………………サイドカバー取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
堅枠を備えて構成する自動ドア用フロントに自動ドアを設置するための自動ドア取付装置であって,
前記自動ドア用アルミフロントの上枠に固着する固着部分と、前記固着部分にL字状に屈折して形成されるレール上延部とを備えると共に、前記レール上延部に接続され縦設板部を介して下側に連続するレール部を設けてなるベース部材と,
前記ベース部材の一端部とジョイントすると共に、ドアの開閉を行うダイレクトドライブ・モータからなる駆動モータを取り付けるモータ取付部材と、前記ベース部材の一端部を前記自動ドア用アルミフロントの堅枠に固定する堅枠側取付部材とからなる取付金具と,
によって構成してなり、前記ベース部材と前記駆動モータとを、前記取付金具によって共に前記自動ドア用アルミフロントの堅枠によって支持するようにした
ことを特徴とする自動ドア取付装置。
【請求項2】
前記取付金具の前記自動ドア用アルミフロントの堅枠への取付は,
前記取付金具と前記自動ドア用アルミフロントの堅枠との間に、コーナーピースを介在させて行うものである請求項1に記載の自動ドア取付装置。
【請求項3】
既設あるいは新設の鴨居やフロント無目に自動ドアを設置するための自動ドア取付装置であって,
前記既設あるいは新設の鴨居やフロント無目に直付けする縦設固定板部と、前記縦設固定板部にL字状に屈折して形成される上部カバー部材とを備えると共に、前記上部カバー部材に接続され縦設固定板部を介して下側に連続する下部レール部材を設けてなるベース部材と,
前記ベース部材の一端部とジョイントすると共に、ドアの開閉を行うダイレクトドライブ・モータからなる駆動モータを取り付けるモータ取付部材と、前記ベース部材の一端部を塞ぐサイドカバーを取り付けるサイドカバー取付部材とからなる取付金具と,
によって構成してなり、前記ベース部材の一端部に取り付けた前記取付金具に前記駆動モータを取り付けることによって、前記駆動モータと前記取付金具を共に前記ベース部材を介して前記既設あるいは新設の鴨居やフロント無目に直付けするようにした
ことを特徴とする自動ドア取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−62720(P2012−62720A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209159(P2010−209159)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000132758)株式会社ソリック (18)
【Fターム(参考)】