説明

自動プログラミング装置及びこれを備えたNC工作機械の制御装置

【課題】一定の加工精度を維持しつつ加工時間を短縮することができるNCプログラムを簡単且つ効率的に生成することが可能な自動プログラミング装置などを提供する。
【解決手段】自動プログラミング装置1は、動作指令に基づいた直線移動経路の角部については、加工モードに応じて設定する工具移動曲線に沿って工具を移動させるようになったNC工作機械用のNCプログラムを生成するように構成されており、ワークの仕上形状から仕上代分だけ外側にオフセットしたオフセット形状の各角部に、入力された加工モードに対応する弧状の工具移動曲線に沿った工具移動により得られる加工軌跡を生成して仕上形状と交差するか否かを確認し、交差しない場合に、前記入力された加工モードを出力すべき加工モードとして決定する加工モード決定部26と、出力された加工モードを指定するための指令を含んだNCプログラムを生成するプログラム生成部25などを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NC工作機械を制御するためのNCプログラムを対話形式で生成する自動プログラミング装置、及びこの自動プログラミング装置を備え、NC工作機械を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械加工の分野においては、従来から加工効率の向上が求められており、例えば、工具及びワークを相対移動させるに当たって早送り動作指令が連続している場合に、移動経路を変更して移動させる工作機械の早送り制御装置が提案されている(特開平6−180605号公報参照)。
【0003】
この早送り制御装置は、NCプログラムをブロック毎に解析して送り機構部に関する動作指令を抽出するプログラム解析部と、プログラム解析部によって抽出された動作指令を実行するための制御信号を出力するプログラム実行制御部と、プログラム実行制御部から得られる制御信号を基に、工具及びワークを相対移動させる送り機構部の作動を制御する加減速制御部と、早送り動作指令が連続している場合、工具が一定位置まで早送りで移動すると、次ブロックに係る早送り動作の実行開始信号をプログラム実行制御部に送信する経路変更制御部などを備える。
【0004】
前記経路変更制御部は、プログラム解析部によって抽出された動作指令を基に、早送り動作指令が連続しているか否かを確認し、連続していると判断した場合には、先行するブロックの動作指令に基づき早送りで移動している工具の移動位置であって加減速制御部から得られる移動位置が前記動作指令中に含まれる経路変更開始点を越えると、前記実行開始信号をプログラム実行制御部に送信し、前記プログラム実行制御部は、前記実行開始信号を経路変更制御部から受信すると、次ブロックに係る動作指令に基づいた制御信号を加減速制御部に出力し、加減速制御部により次ブロックの早送り動作を実行させる。
【0005】
この早送り制御装置では、先行するブロックの動作指令に基づき早送りで移動している工具の移動位置が経路変更開始点を越えると、次ブロックに係る早送り動作が開始されるので、早送り時間の短縮が図られる。
【0006】
【特許文献1】特開平6−180605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のように早送り時ではなく、切削送り時に上記のようにして工具を移動させても加工時間を短くすることができる。ところが、例えば、図19に示すように、工具Tの移動経路L1,L2が設定され、ワークWの外周部を一定の仕上代が残るように加工する場合において、上述のように、先行するブロックの動作指令に基づいた目標移動位置Qに到達する前に次ブロックの動作指令に基づいて工具Tを移動させると、工具TがワークWの角部側に接近する分だけワークWが余計に切削されるので、仕上代の大きさや次ブロックを開始する位置によっては仕上後の形状まで加工されることとなり、加工精度が低下する。
【0008】
したがって、ワークを加工し過ぎないように工具の移動を制御する必要があるが、このためには、オペレータは、工具の移動経路を予め計算してワークを加工し過ぎないことを確認した上でNCプログラムを作成しなければならず、その作成が複雑,困難になり、NCプログラムを効率的に作成することができなかった。また、工具の移動経路は単純に計算することができないため、安全をみて、次ブロックに係る動作指令の実行タイミングを遅らせると、加工時間を効果的に短縮することができなくなる。
【0009】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、一定の加工精度を維持しつつ加工時間を短縮することができるNCプログラムを簡単且つ効率的に生成することが可能な自動プログラミング装置、及びこれを備えたNC工作機械の制御装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明は、
工具及びワークを2次元平面内で相対移動させる送り機構部と、NCプログラムに基づいて前記送り機構部を制御する制御装置であって、前記NCプログラムをブロック毎に順次解析して、前記送り機構部に関する動作指令、及びどの程度加工時間を優先した加工を行うかに応じて複数の等級に分けられた加工モードを指定するための指令を抽出するプログラム解析部と、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令及び前記加工モードを指定するための指令を基に駆動制御信号を生成し、生成した駆動制御信号を前記送り機構部に送信してその作動を制御する駆動制御部とを有し、前記駆動制御部は、前記プログラム解析部によって抽出された加工モード指定指令が一番低い等級以外の加工モードを指定する指令である場合に、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令を基に切削送り且つ直線移動に係る動作指令を認識して工具が切削送りで移動する直線移動経路の角部を認識し、認識した角部については、前記加工モード指定指令に係る加工モードに対応し且つ等級が高いほど前記角部から離れた位置で前記直線移動経路と接する弧状の工具移動曲線を設定して、この設定した工具移動曲線に沿って前記工具及びワークが移動するような駆動制御信号を生成するように構成された制御装置とを備えたNC工作機械に用いられるNCプログラムを対話形式で生成する装置において、
外部から入力される、少なくとも前記ワークの2次元仕上形状,仕上代,使用工具及び加工工程に関する入力データを受け付けるデータ受付部と、
前記データ受付部によって受け付けられた入力データを基に、前記仕上形状から前記仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状或いは前記仕上形状に沿って移動する使用工具の移動経路及び送り速度を少なくとも含む工具経路データを生成してNCプログラムを生成するプログラム生成部とを備えてなり、
前記プログラム生成部は、前記加工モードを決定する加工モード決定部を備え、この加工モード決定部で決定された加工モードを指定するための指令を含んだNCプログラムを生成するように構成され、
前記加工モード決定部は、まず、前記データ受付部によって受け付けられた加工工程が仕上加工以外であるか否かを確認して、仕上加工である場合には、一番低い等級の加工モードを決定すべき加工モードとする一方、仕上加工以外である場合には、前記データ受付部によって受け付けられた入力データを基に、前記仕上形状から前記仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状の各角部について、前記オフセット形状に接する加工軌跡であって、前記使用工具が、前記加工工程に応じた加工モードに対応する弧状の工具移動曲線に沿って移動したとすれば得られる加工軌跡を生成して、生成した加工軌跡が前記仕上形状と交差するか否かを確認し、交差しないと判断したときに、前記加工工程に応じた加工モードを決定すべき加工モードとするように構成されてなることを特徴とする自動プログラミング装置に係る。
【0011】
この自動プログラミング装置によれば、まず、外部から入力される入力データが、データ受付部により受け付けられる。この入力データには、ワークの2次元仕上形状,仕上代,使用工具及び加工工程に関するデータが少なくとも含まれるが、この他に、例えば、素材形状(ワークの加工前の形状)や送り速度などが含まれていても良い。尚、ワークの2次元仕上形状は、工具及びワークが相対移動する平面と平行な平面における形状である。また、加工工程としては、例えば、荒加工,中仕上加工及び仕上加工などを挙げることができる。
【0012】
次に、データ受付部によって受け付けられた入力データを基に、プログラム生成部により、仕上形状から仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状或いは仕上形状に沿って移動する使用工具の移動経路及び送り速度を少なくとも含む工具経路データが生成され、生成された工具経路データを基にNCプログラムが生成されるが、このとき、加工モード決定部により以下のようにして決定された加工モードを指定するための指令を含むNCプログラムが生成される。
【0013】
即ち、加工モード決定部により、まず、データ受付部によって受け付けられた加工工程が仕上加工以外であるか否かが確認されて、仕上加工である場合には、一番低い等級の加工モードが決定すべき加工モードとされる。一方、仕上加工以外である場合には、データ受付部によって受け付けられた入力データを基に、仕上形状から仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状の各角部について、前記オフセット形状に接する加工軌跡であって、前記使用工具が、前記加工工程に応じた加工モードに対応する弧状の工具移動曲線に沿って移動したとすれば得られる加工軌跡が生成されて、生成された加工軌跡が前記仕上形状と交差するか否かが確認され、交差しないと判断されたときに、前記加工工程に応じた加工モードが決定すべき加工モードとされる。加工軌跡が仕上形状と交差するかどうかは、例えば、加工軌跡と仕上形状の形状線とが交点を有するか否かを求めて、交点がある場合に交差すると判定することができる。尚、加工軌跡とは、ワークと使用工具との接触部(切削部)を繋いで得られる軌跡のことである。
【0014】
尚、加工モードとは、どの程度加工時間を優先した加工を行うかに応じて複数の等級に分けられたものであり、例えば、加工時間を優先した(より短くする)ものほど等級が高く設定され、したがって、荒加工,中仕上加工及び仕上加工の順に等級が低くなる。
【0015】
このように、本発明に係る自動プログラミング装置によれば、受け付けた加工工程に対応する加工モード時の加工軌跡をオフセット形状の角部に生成してワークの仕上形状と交差するか否かを確認し、交差しない場合に、決定すべき加工モードとして、前記受け付けた加工工程に対応する加工モードに決定して、この決定した加工モードを指定するための指令を含むNCプログラムを生成するので、オペレータが工具移動経路を計算しなくても、ワークを加工し過ぎることのない加工モードを自動決定して、この決定した加工モードで送り機構部を制御するためのNCプログラムを生成することができる。したがって、一定の加工精度を維持しつつ加工時間を短縮することが可能なNCプログラムを簡単且つ効率的に生成することができる。
【0016】
尚、前記データ受付部は、加工工程に関するデータに代えて、加工モードに関するデータを受け付けるように構成され、前記加工モード決定部は、まず、前記データ受付部によって受け付けられた加工モードが一番低い等級の加工モードであるか否かを確認して、一番低い等級の加工モードである場合には、この一番低い等級の加工モードを決定すべき加工モードとする一方、一番低い等級の加工モード以外である場合には、前記データ受付部によって受け付けられた入力データを基に、前記仕上形状から前記仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状の各角部について、前記オフセット形状に接する加工軌跡であって、前記使用工具が、前記受け付けられた加工モードに対応する弧状の工具移動曲線に沿って移動したとすれば得られる加工軌跡を生成して、生成した加工軌跡が前記仕上形状と交差するか否かを確認し、交差しないと判断したときに、前記受け付けられた加工モードを決定すべき加工モードとするように構成されていても良い。
【0017】
また、前記加工モード決定部は、前記生成した工具移動曲線が前記仕上形状と交差すると判断したときには、前記加工モードを1等級ずつ下げ、その等級の加工モードに対応した弧状の工具移動曲線に沿う前記使用工具の加工軌跡を順次生成して、前記仕上形状と交差しない加工モードを認識し、この認識した加工モードを決定すべき加工モードとするように構成されていても良い。
【0018】
このようにすれば、加工モード決定部により、交差すると判断されると、前記加工モードが1等級ずつ下げられてその加工モード時の加工軌跡が順次生成され、加工軌跡が仕上形状と交差しないときの加工モードが特定されるので、ワークを加工し過ぎとならない範囲で可能な限り加工時間を短くすることができる最適な加工モードを容易且つ効率的に決定することができる。
【0019】
また、前記自動プログラミング装置は、画像の表示を行う画面表示手段を更に備え、前記加工モード決定部は、前記生成した加工軌跡が前記仕上形状と交差すると判断したときには、その交差部分を表示するための画像データを生成して前記画面表示手段に画面表示させるとともに、外部から再入力され前記データ受付部によって受け付けられる加工モードに対応した弧状の工具移動曲線に沿う前記使用工具の加工軌跡を生成して前記仕上形状と交差するか否かを確認し、交差しないと判断した場合に、決定すべき加工モードを前記再入力に係る加工モードとするように構成されていても良い。
【0020】
このようにすれば、加工モード決定部により、生成された加工軌跡と仕上形状とが交差する部分を表示するための画像データが生成されて画面表示手段に画面表示されるので、オペレータは、どの部分で加工軌跡と仕上形状とが交差するのかを表示画像を通して確認することができ、便利である。また、オペレータは、交差する場合に加工モードを再指定することができる。
【0021】
また、本発明は、
工具及びワークを2次元平面内で相対移動させる送り機構部を備えたNC工作機械に設けられ、NCプログラムに基づいて前記送り機構部を制御する制御装置であって、
前記自動プログラミング装置と、
前記自動プログラミング装置によって生成されたNCプログラムを記憶するプログラム記憶部と、
前記プログラム記憶部に格納されたNCプログラムをブロック毎に順次解析して、前記送り機構部に関する動作指令及び前記加工モードを指定するための指令を抽出するプログラム解析部と、
前記プログラム解析部によって抽出された動作指令及び前記加工モードを指定するための指令を基に駆動制御信号を生成し、生成した駆動制御信号を前記送り機構部に送信してその作動を制御する駆動制御部とを備えてなり、
前記駆動制御部は、前記プログラム解析部によって抽出された加工モード指定指令が一番低い等級以外の加工モードを指定する指令である場合に、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令を基に切削送り且つ直線移動に係る動作指令を認識して工具が切削送りで移動する直線移動経路の角部を認識し、認識した角部については、前記加工モード指定指令に係る加工モードに対応し且つ等級が高いほど前記角部から離れた位置で前記直線移動経路と接する弧状の工具移動曲線を設定して、この設定した工具移動曲線に沿って前記工具及びワークが移動するような駆動制御信号を生成するように構成されてなることを特徴とするNC工作機械の制御装置に係る。
【0022】
このNC工作機械の制御装置によれば、自動プログラミング装置で生成されたNCプログラムがプログラム記憶部に格納され、プログラム解析部により、プログラム記憶部内のNCプログラムがブロック毎に順次解析されて、送り機構部に関する動作指令及び加工モードを指定するための指令が抽出される。
【0023】
そして、駆動制御部により、プログラム解析部によって抽出された動作指令を基に駆動制御信号が生成され、生成された駆動制御信号が送り機構部に送信され、これにより、工具及びワークが相対移動するが、このとき、プログラム解析部によって抽出された加工モード指定指令が一番低い等級以外の加工モードを指定する指令である場合には、プログラム解析部によって解析された動作指令を基に切削送り且つ直線移動に係る動作指令が認識されて工具が切削送りで移動する直線移動経路の角部が認識され、認識された角部については、加工モード指定指令に係る加工モードに対応し且つ等級が高いほど前記角部から離れた位置で前記直線移動経路と接する弧状の工具移動曲線が設定されて、この設定された工具移動曲線に沿って前記工具及びワークが移動するような駆動制御信号が生成され、この駆動制御信号により駆動機構部の作動が制御される。
【0024】
このように、本発明に係るNC工作機械の制御装置によれば、NCプログラム中の加工モード指定指令に係る加工モードに対応し且つ加工モードの等級が高いほど直線移動経路の角部から離れた位置で直線移動経路と接する弧状の工具移動曲線、即ち、加工モードの等級が高いほど近回り距離が長くなる曲線に沿って工具及びワークを相対移動させることができるので、ワークを加工し過ぎることなく一定の加工精度を維持しながら且つ加工時間を短縮しながらワークを加工することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明に係る自動プログラミング装置及びNC工作機械の制御装置によれば、一定の加工精度を維持しつつ加工時間を短縮することができるNCプログラムを簡単且つ効率的に生成したり、このようにして生成されたNCプログラムを用いて、一定の加工精度を維持しつつより短時間でワークを加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。尚、図1は、本発明の一実施形態に係るNC工作機械の制御装置などの概略構成を示したブロック図である。
【0027】
図1に示すように、本例のNC工作機械の制御装置(以下、単に「制御装置」と言う。)1は、プログラム記憶部11,加工モード記憶部12,パラメータ記憶部13,プログラム解析部14,解析結果記憶部15,加工モード設定部16及び駆動制御部17と、入力装置21,画面表示装置22,入力データ受付部23,入力データ記憶部24,プログラム生成部25を備えた自動プログラミング装置5とから構成されており、例えば、図2に示すように、少なくともX軸−Y軸平面内で工具TをワークWに対して移動させる送り機構部30を備えたNC工作機械に設けられてこの送り機構部30の作動を制御する。尚、前記加工モード記憶部12,加工モード設定部16及び駆動制御部17は、特許請求の範囲に言う駆動制御部に相当するものである。
【0028】
前記プログラム記憶部11には、前記自動プログラミング装置5によって生成されたNCプログラムが格納される。前記加工モード記憶部12は、工具TをワークWに対して移動させる際の加工モードとして設定されている現在の設定値を記憶する。前記パラメータ記憶部13は、加工モードに応じて設定された加減速パラメータを加工モード毎に記憶する。尚、加工モードとは、加工を行う際に、どの程度加工時間を優先した加工を行うかに関するものであり且つ加工時間を優先する程度によって複数の等級に分けられたものである。また、この加工モードは、例えば、加工時間を優先した(より短くする)ものほど等級が高く設定され、加工精度を優先した(加工時間がより長くなる)ものほど等級が低く設定される。
【0029】
前記プログラム解析部14は、プログラム記憶部11に格納されたNCプログラムをブロック毎に順次解析して、工具Tの移動位置や送り速度、工具Tの回転速度などに関する動作指令、並びに加工モードを指定するための指令(加工モード指定指令)を抽出し、抽出した指令を前記解析結果記憶部15に格納する。
【0030】
前記加工モード設定部16は、解析結果記憶部15に格納された加工モード指定指令を基に、この指令に係る加工モードと加工モード記憶部12に格納された加工モード(現在の設定値)とが一致しているか否かを確認して、一致していない場合には、加工モード記憶部12内の加工モードを前記指定指令に係る加工モードに変更,更新する処理を行う。
【0031】
前記駆動制御部17は、解析結果記憶部15に格納された動作指令などを基に送り機構部30の作動を制御して工具Tを移動させる。具体的には、動作指令及び送り機構部30からフィードバックされる現在位置データなどに基づいて駆動制御信号を生成し、生成した駆動制御信号を送り機構部30に送信してこれを制御するが、加工モード記憶部12に格納された加工モードを基に加工モードの現在の設定値を確認して、最も低い等級以外の加工モードに設定されていると判断した場合には、前記駆動制御信号を生成するに当たり、前記動作指令を基に切削送り且つ直線移動に係る動作指令を認識して工具Tが切削送りで移動する直線移動経路の角部及び隅部を認識し、認識した角部及び隅部については、前記加工モードの現在の設定値に対応し且つ等級が高いほど前記角部及び隅部から離れた位置で前記各直線移動経路に接する弧状の工具移動曲線を設定して、この設定した工具移動曲線に沿って工具Tが移動するような駆動制御信号を生成する処理を行う。
【0032】
尚、この工具移動曲線の設定は、例えば、パラメータ記憶部13に格納された加減速パラメータであって加工モードの現在の設定値に対応したパラメータと直線移動に係る送り速度とを基に行うことができる。例えば、図3及び図4に示すように、直線移動経路L1,L2に沿って工具Tが移動するとし、直線移動経路L1,L2の角部P近傍における加減速時間をT1,T2と、減速から加速に切り替わるときの送り速度をV1,V2と、切削送り速度Vから切替速度V1,V2までの減速時間と切替速度V1,V2から切削送り速度Vまでの加速時間が等しいとすれば、角部Pと減速開始点P1,P2との間の距離D1,D2は下式(数1,数2)により求められ、また、角部Pと加速終了点P3,P4との間の距離D3,D4はそれぞれD1,D2に等しい。尚、加減速時間T1,T2や切替速度V1,V2はパラメータ記憶部13に格納された加減速パラメータである。
【0033】
(数1)
D1=D3=((T1/2)×V1)/2
【0034】
(数2)
D2=D4=((T2/2)×V2)/2
【0035】
そして、このようにして求めた距離D1(D3),D2(D4)を基に、直線移動経路L1,L2に接する半径D1,D2の円弧を設定し、この円弧を工具移動曲線とする。尚、図3及び図4では、2つの工具移動曲線を示しているが、これは、加減速パラメータが異なる際の工具移動曲線を示すためであり、実際に生成する工具移動曲線は1つである。また、半径D1のような半径の大きい工具移動曲線は加工モードの等級が高いときに設定される工具移動曲線の一例を示したものであり、半径D2のような半径の小さい工具移動曲線は加工モードの等級が低いときに設定される工具移動曲線の一例を示したものである。
【0036】
また、上記のように、半径が一定且つ加工モードの等級が高いときほど半径が大きい円弧状の工具移動曲線の他、例えば、図5に示すように、工具移動曲線の半径が段階的に変化するようなものであっても良い。図示例では、角部の中間角度位置に向けて半径が徐々に小さくなり、また、この中間角度位置を過ぎると、この中間角度位置から半径が徐々に大きくなっている。このような軌跡となるのは、角部の中間角度位置で送り速度が最も遅くなるように所定速度から徐々に減速され、この中間角度位置を過ぎると、所定速度となるようにこの中間角度位置から徐々に加速されるからである。尚、図5では、D5=D10、D6=D9、D7=D8であり、半径D6(D9)の円弧は半径D5(D10)の円弧に内接し、半径D7(D8)の円弧は半径D6(D9)の円弧に内接している。
【0037】
前記入力装置21は、各種データや信号を入力するためのものであり、前記画面表示装置22は、各種画像の表示を行うためのものである。
【0038】
前記入力データ受付部23は、例えば、X軸−Y軸平面内におけるワークの仕上形状(仕上加工後に得られるワークの形状)、X軸−Y軸平面内における素材形状(ワークの加工前の形状)、仕上代、送り速度や主軸回転速度といった加工条件、使用工具情報などに関し、入力装置21及び画面表示装置22を介して対話形式で入力される入力データを受け付け、受け付けた入力データを前記入力データ記憶部24に格納する処理を行う。尚、仕上形状や素材形状を入力する方法や、入力された仕上形状や素材形状を記憶する際のデータ形式は特に限定されるものではない。
【0039】
前記使用工具情報は、例えば、図6(a),(b)及び(c)に示すように、工具名、工具径、当該工具を用いて行う際の加工工程(例えば、荒加工,中仕上加工及び仕上加工)の種別、加工モードに関するデータを少なくとも含む。尚、図7は、画面表示装置22に表示される加工モードの選択画面を示したものであるが、図示するように、R1〜R4の4段階の等級に分けられ、加工時間を優先したものほど等級が高く設定されている。また、加工モードを自動決定する場合には、加工モードの欄に自動決定と表示されるようになっている。また、更に、加工モードR1は荒加工に、加工モードR2又はR3は中仕上加工に、加工モードR4は仕上加工にそれぞれ対応している。
【0040】
前記プログラム生成部25は、加工モード決定部26を備えており、入力データ記憶部24に格納された入力データを基に、仕上形状から仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状に沿って移動する使用工具の移動経路(例えば、荒加工や中仕上加工などで仕上代が設定されているとき)や、仕上形状に沿って移動する使用工具の移動経路(例えば、仕上加工で仕上代が設定されていないとき)と、使用工具の送り速度とを少なくとも含む工具経路データを生成するとともに、加工モード決定部26により加工モードを決定し、生成した工具経路データ及び加工モード決定部26で決定した加工モードを基に、決定した加工モードを指定するための指令を含むNCプログラムを生成して、生成したNCプログラムを前記プログラム記憶部11に格納する処理を行う。
【0041】
前記加工モード決定部26は、入力データ記憶部24に格納された入力データを基に、図8乃至図11に示すような一連の処理を行って加工モードを決定し、決定した加工モードをプログラム生成部25に出力する。
【0042】
即ち、加工モード決定部26は、まず、使用工具情報から使用工具を認識し(ステップS1)、認識した使用工具の加工モードが自動決定となっているか否かを確認する(ステップS2)。自動決定であると判断した場合には、ワークの仕上形状を認識し(ステップS3)、使用工具情報から加工工程、即ち、荒加工であるのか、中仕上加工であるのか、又は仕上加工であるのかを認識する(ステップS4)。
【0043】
ついで、認識した加工工程が荒加工であるか否かを確認した後(ステップS5)、荒加工であると判断した場合には、仕上代を認識して、例えば、図12に示すように、ワークの仕上形状から仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状を生成する(ステップS6)。
【0044】
次に、加工工程に対応した加工モード、即ち、荒加工に対応した加工モードR1のときの加減速パラメータと、入力に係る送り速度とを認識して(ステップS7)、認識した加減速パラメータ及び送り速度を基に、図13に示すように、生成したオフセット形状の角部及び隅部に、オフセット形状に接する加工軌跡Cであって、使用工具が、前記駆動制御部17で前記加工モードR1に対応して設定される弧状の工具移動曲線に沿って移動したとすれば得られる加工軌跡を生成する(ステップS8)。
【0045】
尚、この加工軌跡は、前記駆動制御部17における工具移動曲線と同様にして生成することができ、例えば、図3及び図14に示すように、オフセット形状に沿って使用工具Tが移動するとし、この使用工具Tの中心位置の角部P近傍における加減速時間をT1,T2と、減速から加速に切り替わるときの送り速度をV1,V2と、切削送り速度Vから切替速度V1,V2までの減速時間と切替速度V1,V2から切削送り速度Vまでの加速時間が等しいとすれば、角部Pと減速開始点P1,P2との間の距離D1,D2は上式(数1,数2)により求められる。
【0046】
そして、このようにして求めた距離D1(D3),D2(D4)を基に、使用工具Tの中心位置の軌跡に接する半径D1,D2の円弧を設定し、この円弧と使用工具Tの直径から加工軌跡を算出する。尚、図14では、2つの工具移動曲線及び加工軌跡を示しているが、これは、加減速パラメータが異なる際の工具移動曲線及び加工軌跡を示すためであり、ステップS8で実際に生成する加工軌跡は1つである。また、特に図示はしないが、駆動制御部17が図5に示すような工具移動曲線を設定する場合には、これに対応した加工軌跡を生成する。
【0047】
この後、ステップS9では、生成した加工軌跡と仕上形状とが交差しているか否かを確認する。例えば、図13に示すように、どの加工軌跡Cも仕上形状と交差していない場合には、決定すべき加工モードとして、荒加工に対応した加工モードR1とし、これをプログラム生成部25に出力して(ステップS10)、一連の処理を終了し、一方、例えば、図15に示すように、加工軌跡Cが一つでも仕上形状と交差している場合には、前記加工モードR1よりも等級の低い加工モードに対応した加減速パラメータを認識して(ステップS11)、後述のステップS15に進む。尚、加工モードR2又はR3のどちらにするかはパラメータで設定される。尚、加工軌跡が仕上形状と交差するかどうかは、例えば、加工軌跡と仕上形状の形状線とが交点を有するか否かを求めて、交点がある場合に交差すると判定することができる。
【0048】
上記ステップS5で、荒加工でないと判断した場合には、認識した加工工程が中仕上加工であるか否かを確認し(ステップS12)、中仕上加工であると判断した場合には、仕上代を認識して、上記と同様に、ワークの仕上形状から仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状を生成した後(ステップS13)、加工工程に対応した加工モード、即ち、中仕上加工に対応した加工モードR2又はR3(どちらにするかはパラメータで設定される)のときの加減速パラメータと、入力に係る送り速度とを認識する(ステップS14)。
【0049】
そして、ステップS15では、上記と同様にして、生成したオフセット形状の角部及び隅部に加工軌跡を生成し、生成した加工軌跡と仕上形状とが交差しているか否かを確認して(ステップS16)、交差していないと判断した場合には、決定すべき加工モードとして、加工モードR1よりも等級の低い加工モードR2又はR3、或いは中仕上加工に対応した加工モードR2又はR3とし、これをプログラム生成部25に出力して(ステップS17)、一連の処理を終了する。一方、仕上形状と交差していると判断した場合には、後述のステップS18に進む。
【0050】
上記ステップS12で、中仕上加工でないと判断した場合には、認識した加工工程が仕上加工であると判断して、この加工工程に対応した加工モード、即ち、仕上加工に対応した加工モードR4を、或いは、上記ステップS16で、交差していると判断した場合には、加工モードR2又はR3よりも等級の低い加工モードR4を、決定すべき加工モードとし、これをプログラム生成部25に出力して(ステップS18)、一連の処理を終了する。
【0051】
上記ステップS2で、自動決定ではないと判断した場合には、ワークの仕上形状を認識した後(ステップS19)、認識した使用工具の加工モードを認識して(ステップS20)、決定すべき加工モードとして、この認識した加工モードに仮決定し(ステップS21)、ついで、仮決定した加工モードが加工モードR4であるか否かを確認して(ステップS22)、加工モードR4であると判断した場合には、後述のステップS27に進む。
【0052】
一方、加工モードR4ではない判断した場合には、仕上代を認識して、上記と同様に、ワークの仕上形状から仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状を生成して(ステップS23)、仮決定した加工モードのときの加減速パラメータと、入力に係る送り速度とを認識し(ステップS24)、上記と同様にして、生成したオフセット形状の角部及び隅部に加工軌跡を生成して(ステップS25)、生成した加工軌跡と仕上形状とが交差しているか否かを確認する(ステップS26)。交差していないと判断した場合、及びステップS22で加工モードR4であると判断した場合には、仮決定した加工モードを決定すべき加工モードとして正式決定し、これをプログラム生成部25に出力して(ステップS27)、一連の処理を終了する。
【0053】
一方、ステップS26で、交差していると判断した場合には、その交差部分を表示するための画像データを生成して画面表示装置22に表示させる(ステップS28)。この画像データは、ワークの仕上形状やオフセット形状、加工軌跡などを表示する画面において、例えば、図16に示すように、仕上形状と交差した加工軌跡を点滅又は強調させたり、図17に示すように、仕上形状を構成する図形要素(線分や円弧など)の一覧が示された表示部の、加工軌跡が交差する角部に接続した2つの図形要素を点滅又は強調させたり、これらの画面に、交差する旨のメッセージを表示させるように構成される。尚、強調する表示態様としては、例えば、表示色や線の太さを異ならせるといった態様が挙げられる。
【0054】
この後、加工モードの修正に関し、例えば、予め設定されたパラメータなどを参照して自動修正となっているか否かを確認し(ステップS29)、自動修正になっていると判断した場合には、仮決定した加工モードよりも1つ等級の低い加工モードを、決定すべき加工モードとして仮決定する(ステップS30)。具体的には、仮決定した加工モードが加工モードR1であったときには加工モードR2とし、仮決定した加工モードが加工モードR2であったときには加工モードR3とし、仮決定した加工モードが加工モードR3であったときには加工モードR4とする。そして、後述のステップS33に進む。
【0055】
一方、上記ステップS29で、自動修正になっていないと判断した場合には、入力データ受付部23を介して入力装置21から加工モードに関するデータを再入力可能にするとともに、入力装置21から入力され入力データ受付部23によって受け付けられた、加工モードに関するデータを受信して(ステップS31)、受信した加工モードに関するデータを基に、この加工モードを、決定すべき加工モードとして仮決定する(ステップS32)。
【0056】
そして、ステップS33では、仮決定した加工モードが加工モードR4であるか否かを確認して、加工モードR4であると判断した場合には、前記ステップS27以降に進み、一方、加工モードR4ではないと判断した場合には、仮決定した加工モードのときの加減速パラメータを認識し(ステップS34)、前記ステップS25以降に進む。
【0057】
以上のように構成された本例の制御装置1によれば、ワークの仕上形状、素材形状、仕上代、加工条件、加工工程や加工モードなどの使用工具情報に関し、入力装置21及び画面表示装置22を介して対話形式で入力される入力データが、入力データ受付部23により受け付けられ、入力データ記憶部24に格納された後、格納された入力データを基に、プログラム生成部25により使用工具の工具経路データが生成されてNCプログラムが生成され、プログラム記憶部11に格納される。尚、NCプログラムの生成の際には、加工モード決定部26により、入力データ記憶部24に格納された入力データを基に最適な加工モードが決定され、決定された加工モードを指定するための指令を含むNCプログラムが生成される。
【0058】
そして、このようにして生成されたNCプログラムを用いて加工を行う際には、まず、プログラム記憶部27に格納されたNCプログラムが、プログラム解析部14によりブロック毎に順次解析されて送り機構部30に関する動作指令や加工モード指定指令が抽出され、解析結果記憶部15内に格納され、この格納された加工モード指定指令を基に、加工モード設定部16により加工モード記憶部12内の加工モードが変更,更新されるとともに、この格納された動作指令を基に、駆動制御部17により駆動制御信号が生成されて送り機構部30が制御され、工具Tが移動する。
【0059】
その際、駆動制御部17により加工モードの現在の設定値が確認され、この設定値が一番低い等級の加工モード(加工モードR4)以外となっている場合には、前記動作指令を基に切削送り且つ直線移動に係る動作指令が認識されて工具Tが切削送りで移動する直線移動経路の角部及び隅部が認識され、認識された角部及び隅部については、前記加工モードの現在の設定値に対応し且つ等級が高いほど角部及び隅部から離れた位置で直線移動経路と接する弧状の工具移動曲線が設定されて、この工具移動曲線に沿って工具Tが移動するような駆動制御信号が生成され、これに基づいて送り機構部30が制御される。尚、このような工具Tの移動を図18に示す。図18では、符号Cで示す部分が加工軌跡である。
【0060】
斯くして、本例の制御装置1によれば、使用工具情報中の加工工程に対応する加工モードにおける加工軌跡、或いは使用工具情報中の加工モードにおける加工軌跡をオフセット形状の角部及び隅部に生成してワークの仕上形状と交差するか否かを確認し、交差しない場合に、出力すべき加工モードとして、前記使用工具情報中の加工工程に対応する加工モード、或いは前記使用工具情報中の加工モードに決定し、この決定した加工モードを指定するための指令を含むNCプログラムを生成しているので、オペレータが工具移動経路を計算しなくても、ワークを加工し過ぎることのない加工モードを自動決定して、この決定した加工モードで送り機構部30を制御するためのNCプログラムを生成することができる。したがって、一定の加工精度を維持しつつ加工時間を短縮することが可能なNCプログラムを簡単且つ効率的に生成することができる。
【0061】
また、加工モード決定部26が、生成した加工軌跡と仕上形状とが交差すると判断すると、加工モードを1等級ずつ下げ、その等級の加工モードに対応した弧状の工具移動曲線に沿う使用工具の加工軌跡を順次生成して、仕上形状と交差しない加工モードを認識し、この認識した加工モードを決定すべき加工モードとするので、ワークを加工し過ぎとならない範囲で可能な限り加工時間を短くすることができる最適な加工モードを容易且つ効率的に決定することができる。
【0062】
また、加工モード決定部26が、生成した加工軌跡と仕上形状とが交差すると判断すると、その部分の画像を画面表示装置22に表示するので、オペレータは、どの部分で加工軌跡と仕上形状とが交差するのかを表示画像を通して確認することができ、便利である。
【0063】
また、NCプログラム中に含まれる加工モード指定指令を基に、加工モード設定部16により加工モードの現在の設定値を変更しつつ、この加工モードに従って駆動制御部17により送り機構部30を制御し、この加工モードに対応し且つ加工モードの等級が高いほど近回り距離が長くなる工具移動曲線に沿って工具を移動させることができるので、ワークを加工し過ぎることなく一定の加工精度を維持しながら且つ加工時間を短縮しながらワークを加工することができる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0065】
上例では、自動プログラミング装置5を制御装置1内に設けたが、これに限られるものではなく、制御装置1とは別体に構成しても良い。また、工具移動曲線や加工軌跡の具体的な曲線形状や算出方法は、上述したものに何ら限定されるものではない。
【0066】
また、上例では、制御装置1に前記加工モード記憶部12,加工モード設定部16及び駆動制御部17を設けて構成したが、これに限られるものではなく、前記加工モード記憶部12及び加工モード設定部16を省略し、前記駆動制御部17が、解析結果記憶部15に格納された指令を基に駆動制御信号を生成して送り機構部30を制御するとともに、加工モード指定指令が一番低い等級以外の加工モードを指定する指令である場合には、解析結果記憶部15に格納された動作指令を基に切削送り且つ直線移動に係る動作指令を認識して工具Tが切削送りで移動する直線移動経路の角部及び隅部を認識し、認識した角部及び隅部については、前記加工モード指定指令に係る加工モードに対応し且つ等級が高いほど前記角部及び隅部から離れた位置で前記直線移動経路と接する弧状の工具移動曲線を設定して、この設定した工具移動曲線に沿って工具T及びワークが移動するような駆動制御信号を生成するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態に係るNC工作機械の制御装置などの概略構成を示したブロック図である。
【図2】本実施形態におけるNC工作機械の工具及びワークを示した説明図である。
【図3】駆動制御部における工具移動曲線の設定処理を説明するための説明図である。
【図4】駆動制御部における工具移動曲線の設定処理を説明するための説明図である。
【図5】駆動制御部における工具移動曲線の設定処理を説明するための説明図である。
【図6】使用工具情報を説明するための説明図である。
【図7】加工モードの入力を説明するための説明図である。
【図8】加工モード決定部における一連の処理を示したフローチャートである。
【図9】加工モード決定部における一連の処理を示したフローチャートである。
【図10】加工モード決定部における一連の処理を示したフローチャートである。
【図11】加工モード決定部における一連の処理を示したフローチャートである。
【図12】オフセット形状の生成処理を説明するための説明図である。
【図13】加工モード決定部における加工軌跡の生成処理を説明するための説明図である。
【図14】加工モード決定部における加工軌跡の生成処理を説明するための説明図である。
【図15】加工軌跡と仕上形状との交差について説明するための説明図である。
【図16】画面表示装置に表示される画像の一例を示した説明図である。
【図17】画面表示装置に表示される画像の一例を示した説明図である。
【図18】工具移動の一例を示した説明図である。
【図19】従来の問題点を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0068】
1 NC工作機械の制御装置
5 自動プログラミング装置
11 プログラム記憶部
12 加工モード記憶部
13 パラメータ記憶部
14 プログラム解析部
15 解析結果記憶部
16 加工モード設定部
17 駆動制御部
21 入力装置
22 画面表示装置
23 入力データ受付部
24 入力データ記憶部
25 プログラム生成部
26 加工モード決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具及びワークを2次元平面内で相対移動させる送り機構部と、NCプログラムに基づいて前記送り機構部を制御する制御装置であって、前記NCプログラムをブロック毎に順次解析して、前記送り機構部に関する動作指令、及びどの程度加工時間を優先した加工を行うかに応じて複数の等級に分けられた加工モードを指定するための指令を抽出するプログラム解析部と、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令及び前記加工モードを指定するための指令を基に駆動制御信号を生成し、生成した駆動制御信号を前記送り機構部に送信してその作動を制御する駆動制御部とを有し、前記駆動制御部は、前記プログラム解析部によって抽出された加工モード指定指令が一番低い等級以外の加工モードを指定する指令である場合に、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令を基に切削送り且つ直線移動に係る動作指令を認識して工具が切削送りで移動する直線移動経路の角部を認識し、認識した角部については、前記加工モード指定指令に係る加工モードに対応し且つ等級が高いほど前記角部から離れた位置で前記直線移動経路と接する弧状の工具移動曲線を設定して、この設定した工具移動曲線に沿って前記工具及びワークが移動するような駆動制御信号を生成するように構成された制御装置とを備えたNC工作機械に用いられるNCプログラムを対話形式で生成する装置において、
外部から入力される、少なくとも前記ワークの2次元仕上形状,仕上代,使用工具及び加工工程に関する入力データを受け付けるデータ受付部と、
前記データ受付部によって受け付けられた入力データを基に、前記仕上形状から前記仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状或いは前記仕上形状に沿って移動する使用工具の移動経路及び送り速度を少なくとも含む工具経路データを生成してNCプログラムを生成するプログラム生成部とを備えてなり、
前記プログラム生成部は、前記加工モードを決定する加工モード決定部を備え、この加工モード決定部で決定された加工モードを指定するための指令を含んだNCプログラムを生成するように構成され、
前記加工モード決定部は、まず、前記データ受付部によって受け付けられた加工工程が仕上加工以外であるか否かを確認して、仕上加工である場合には、一番低い等級の加工モードを決定すべき加工モードとする一方、仕上加工以外である場合には、前記データ受付部によって受け付けられた入力データを基に、前記仕上形状から前記仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状の各角部について、前記オフセット形状に接する加工軌跡であって、前記使用工具が、前記加工工程に応じた加工モードに対応する弧状の工具移動曲線に沿って移動したとすれば得られる加工軌跡を生成して、生成した加工軌跡が前記仕上形状と交差するか否かを確認し、交差しないと判断したときに、前記加工工程に応じた加工モードを決定すべき加工モードとするように構成されてなることを特徴とする自動プログラミング装置。
【請求項2】
工具及びワークを2次元平面内で相対移動させる送り機構部と、NCプログラムに基づいて前記送り機構部を制御する制御装置であって、前記NCプログラムをブロック毎に順次解析して、前記送り機構部に関する動作指令、及びどの程度加工時間を優先した加工を行うかに応じて複数の等級に分けられた加工モードを指定するための指令を抽出するプログラム解析部と、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令及び前記加工モードを指定するための指令を基に駆動制御信号を生成し、生成した駆動制御信号を前記送り機構部に送信してその作動を制御する駆動制御部とを有し、前記駆動制御部は、前記プログラム解析部によって抽出された加工モード指定指令が一番低い等級以外の加工モードを指定する指令である場合に、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令を基に切削送り且つ直線移動に係る動作指令を認識して工具が切削送りで移動する直線移動経路の角部を認識し、認識した角部については、前記加工モード指定指令に係る加工モードに対応し且つ等級が高いほど前記角部から離れた位置で前記直線移動経路と接する弧状の工具移動曲線を設定して、この設定した工具移動曲線に沿って前記工具及びワークが移動するような駆動制御信号を生成するように構成された制御装置とを備えたNC工作機械に用いられるNCプログラムを対話形式で生成する装置において、
外部から入力される、少なくとも前記ワークの2次元仕上形状,仕上代,使用工具及び加工モードに関する入力データを受け付けるデータ受付部と、
前記データ受付部によって受け付けられた入力データを基に、前記仕上形状から前記仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状或いは前記仕上形状に沿って移動する使用工具の移動経路及び送り速度を少なくとも含む工具経路データを生成してNCプログラムを生成するプログラム生成部とを備えてなり、
前記プログラム生成部は、前記加工モードを決定する加工モード決定部を備え、この加工モード決定部で決定された加工モードを指定するための指令を含んだNCプログラムを生成するように構成され、
前記加工モード決定部は、まず、前記データ受付部によって受け付けられた加工モードが一番低い等級の加工モードであるか否かを確認して、一番低い等級の加工モードである場合には、この一番低い等級の加工モードを決定すべき加工モードとする一方、一番低い等級の加工モード以外である場合には、前記データ受付部によって受け付けられた入力データを基に、前記仕上形状から前記仕上代分だけ外側にオフセットして得られるオフセット形状の各角部について、前記オフセット形状に接する加工軌跡であって、前記使用工具が、前記受け付けられた加工モードに対応する弧状の工具移動曲線に沿って移動したとすれば得られる加工軌跡を生成して、生成した加工軌跡が前記仕上形状と交差するか否かを確認し、交差しないと判断したときに、前記受け付けられた加工モードを決定すべき加工モードとするように構成されてなることを特徴とする自動プログラミング装置。
【請求項3】
前記加工モード決定部は、前記生成した加工軌跡が前記仕上形状と交差すると判断したときには、前記加工モードを1等級ずつ下げ、その等級の加工モードに対応した弧状の工具移動曲線に沿う前記使用工具の加工軌跡を順次生成して、前記仕上形状と交差しない加工モードを認識し、この認識した加工モードを決定すべき加工モードとするように構成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の自動プログラミング装置。
【請求項4】
画像の表示を行う画面表示手段を更に備え、
前記加工モード決定部は、前記生成した加工軌跡が前記仕上形状と交差すると判断したときには、その交差部分を表示するための画像データを生成して前記画面表示手段に画面表示させるとともに、外部から再入力され前記データ受付部によって受け付けられる加工モードに対応した弧状の工具移動曲線に沿う前記使用工具の加工軌跡を生成して前記仕上形状と交差するか否かを確認し、交差しないと判断した場合に、決定すべき加工モードを前記再入力に係る加工モードとするように構成されてなることを特徴とする請求項2記載の自動プログラミング装置。
【請求項5】
工具及びワークを2次元平面内で相対移動させる送り機構部を備えたNC工作機械に設けられ、NCプログラムに基づいて前記送り機構部を制御する制御装置であって、
前記請求項1乃至4記載のいずれかの自動プログラミング装置と、
前記自動プログラミング装置によって生成されたNCプログラムを記憶するプログラム記憶部と、
前記プログラム記憶部に格納されたNCプログラムをブロック毎に順次解析して、前記送り機構部に関する動作指令及び前記加工モードを指定するための指令を抽出するプログラム解析部と、
前記プログラム解析部によって抽出された動作指令及び前記加工モードを指定するための指令を基に駆動制御信号を生成し、生成した駆動制御信号を前記送り機構部に送信してその作動を制御する駆動制御部とを備えてなり、
前記駆動制御部は、前記プログラム解析部によって抽出された加工モード指定指令が一番低い等級以外の加工モードを指定する指令である場合に、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令を基に切削送り且つ直線移動に係る動作指令を認識して工具が切削送りで移動する直線移動経路の角部を認識し、認識した角部については、前記加工モード指定指令に係る加工モードに対応し且つ等級が高いほど前記角部から離れた位置で前記直線移動経路と接する弧状の工具移動曲線を設定して、この設定した工具移動曲線に沿って前記工具及びワークが移動するような駆動制御信号を生成するように構成されてなることを特徴とするNC工作機械の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−92142(P2010−92142A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259319(P2008−259319)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000146847)株式会社森精機製作所 (204)
【Fターム(参考)】