説明

自動二輪車の後輪懸架装置

【課題】リヤクッションのストロークを十分に確保することができ、車両の重心を低くして、車両の走行性能を向上することができる自動二輪車の後輪懸架装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る自動二輪車10の後輪懸架装置30では、スイングアーム40は、車体フレーム20と動力伝達部31の上部とを揺動自在に連結するアッパーアーム41と、車体フレーム20と動力伝達部31の下部とを揺動自在に連結するロアアーム42と、を有し、リヤクッション50の上端支持部の軸心は、アッパーアーム41と車体フレーム20とを揺動自在に支持する支持部軸心より車両前方において、アッパーアーム41に揺動自在に支持され、リヤクッション50の下端支持部の軸心は、ロアアーム42と車体フレーム20とを揺動自在に支持する支持部軸心より車両後方において、ロアアーム42に揺動自在に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の後輪懸架装置に関し、特に、後輪を軸支するスイングアーム及びこれに取り付けられるリヤクッションを備える自動二輪車の後輪懸架装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動二輪車の後輪懸架装置として、リヤクッションを車体上方に車体前後方向に沿って横向きに配置するもの(例えば、特許文献1参照)や、リヤクッションを車体上下方向に沿って垂直に配置するもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
【特許文献1】特公平1−34830号公報
【特許文献2】特開2004−352209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の自動二輪車の後輪懸架装置では、リヤクッションを前後水平方向に配置することにより、リヤクッション機構の占有空間を小さくすると共に、リヤクッションのストロークを確保して、衝撃吸収性を高めているが、路面からの衝撃の作用方向を前後水平方向にするためのリンク部材が必要であり、また、リヤクッションが車体上方に配置されるため、車両の重心を低くしたいという課題があった。また、上記特許文献2に記載の自動二輪車の後輪懸架装置では、リヤクッションを車体に対して垂直に配置するため、リヤクッションのストロークを延ばしたい場合に制限となるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解消するためになされたものであり、その目的は、リヤクッションのストロークを十分に確保することができ、車両の重心を低くして、車両の走行性能を向上することができる自動二輪車の後輪懸架装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車体フレームに揺動自在に支持されるスイングアームと、後輪に作用する衝撃を吸収するリヤクッションと、パワーユニットからの駆動力を後輪に伝達する動力伝達部と、を備える自動二輪車の後輪懸架装置であって、スイングアームは、車体フレームと動力伝達部の上部とを揺動自在に連結するアッパーアームと、車体フレームと動力伝達部の下部とを揺動自在に連結するロアアームと、を有し、リヤクッションの上端支持部の軸心は、アッパーアームと車体フレームとを揺動自在に支持する支持部軸心より車両前方において、アッパーアームに揺動自在に支持され、リヤクッションの下端支持部の軸心は、ロアアームと車体フレームとを揺動自在に支持する支持部軸心より車両後方において、ロアアームに揺動自在に支持されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、アッパーアームには、リヤクッションの上端部を揺動自在に支持するクッション取付部が一体に形成されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加えて、アッパーアームは、車体左側に配置される左アッパーアームと、車体右側に配置される右アッパーアームと、を有し、ロアアームは、車体左側に配置される左ロアアームと、車体右側に配置される右ロアアームと、を有し、リヤクッションは、左右アッパーアーム及び左右ロアアームの車幅方向の略中央位置に配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、リヤクッションは、減衰力調整機構を備え、減衰力調整機構の減衰力調整部は、リヤクッションの下方に車両前方に向かって設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明の構成に加えて、左ロアアーム及び右ロアアームは、一方が下方に湾曲した形状であり、他方が上方に湾曲した形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、スイングアームは、車体フレームと動力伝達部の上部とを揺動自在に連結するアッパーアームと、車体フレームと動力伝達部の下部とを揺動自在に連結するロアアームと、を有し、リヤクッションの上端支持部の軸心は、アッパーアームと車体フレームとを揺動自在に支持する支持部軸心より車両前方において、アッパーアームに揺動自在に支持され、リヤクッションの下端支持部の軸心は、ロアアームと車体フレームとを揺動自在に支持する支持部軸心より車両後方において、ロアアームに揺動自在に支持されるため、リヤクッションのストロークを十分に確保することができる。また、リヤクッションを車体下方に配置することができるので、車両の重心を低くすることができ、車両の走行性能を向上することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、アッパーアームには、リヤクッションの上端部を揺動自在に支持するクッション取付部が一体に形成されるため、スイングアームの揺動と共にリヤクッションが揺動して、リヤクッションが後輪に作用する衝撃をスムースに吸収することができるので、車両の走行性能を向上することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、アッパーアームは、車体左側に配置される左アッパーアームと、車体右側に配置される右アッパーアームと、を有し、ロアアームは、車体左側に配置される左ロアアームと、車体右側に配置される右ロアアームと、を有し、リヤクッションは、左右アッパーアーム及び左右ロアアームの車幅方向の略中央位置に配置されるため、リヤクッションが後輪に作用する衝撃をバランスよく吸収することができるので、車両の走行性能を向上することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、リヤクッションは、減衰力調整機構を備え、減衰力調整機構の減衰力調整部は、リヤクッションの下方に車両前方に向かって設けられるため、スイングアームに影響を受けることなく、リヤクッションの減衰力を調整することができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、左ロアアーム及び右ロアアームは、一方が下方に湾曲した形状であり、他方が上方に湾曲した形状であるため、ロアアームに応力集中が発生するのを防止することができるので、後輪懸架装置の耐久性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る自動二輪車の後輪懸架装置の一実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る自動二輪車の後輪懸架装置を採用した自動二輪車の要部側面図、図2は図1に示す後輪懸架装置の斜視図、図3はアッパーアームの説明図であり、(a)はアッパーアームの平面図、(b)はアッパーアームの側面図、(c)は(a)のA−A線矢視拡大断面図、図4はロアアームの説明図であり、(a)はロアアームの平面図(b)はロアアームの側面図、(c)は(a)のB−B線矢視拡大断面図、図5は通常状態の後輪懸架装置を説明するための要部拡大側面図、図6は衝撃吸収状態の後輪懸架装置を説明するための要部拡大側面図である。なお、以下の説明において、前後、左右、上下は、運転者から見た方向に従い、前方をFr、後方をRr、左側をL、右側をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0017】
本実施形態の自動二輪車10は、図1に示すように、車体フレーム20と、車体フレーム20の下方に取り付けられる内燃機関及び変速機を備えるパワーユニット11と、車体フレーム20の下部に揺動自在に支持される後輪懸架装置30と、後輪懸架装置30の後端部に回転可能に支持される後輪12と、を備える。
【0018】
車体フレーム20は、不図示のヘッドパイプから後方且つ下方に延びる一対のメインフレーム21と、一対のメインフレーム21の中間部を車幅方向に連結するクロスメンバ22と、一対のメインフレーム21の上部及びクロスメンバ22の上面に接合されるサブフレーム23と、前端部がサブフレーム23に接続され、後方に延びるシートフレーム24と、前端部が一対のメインフレーム21の屈曲部に接続され、後端部がシートフレーム24の後端部に接合されるサイドフレーム25と、を備える。
【0019】
後輪懸架装置30は、図2に示すように、メインフレーム21に揺動自在に支持されるスイングアーム40と、後輪12に作用する衝撃を吸収するリヤクッション50と、パワーユニット11からの駆動力を後輪12に伝達する動力伝達部31と、を備える。
【0020】
動力伝達部31は、パワーユニット11の後端部に設けられる出力軸11aにドライブシャフト13を介して接続されており、スイングアーム40に連結される駆動ギヤケース32及び後輪支持プレート33と、駆動ギヤケース32に回転可能に支持され、ドライブシャフト13に連結される入力軸34と、駆動ギヤケース32及び後輪支持プレート33に回転可能に支持され、軸上に後輪12が取り付けられる後輪車軸35と、駆動ギヤケース32に内蔵され、ドライブシャフト13から入力軸34に入力された駆動力を後輪車軸35に伝達する不図示のベベルギヤ機構と、を備える。これにより、パワーユニット11の駆動力は、出力軸11a、ドライブシャフト13、入力軸34、ベベルギヤ機構、及び後輪車軸35に伝達されて、後輪12が回転駆動される。
【0021】
スイングアーム40は、メインフレーム21と動力伝達部31の上部とを揺動自在に連結するアッパーアーム41と、メインフレーム21と動力伝達部31の下部とを揺動自在に連結するロアアーム42と、を有する。
【0022】
アッパーアーム41は、図1及び図3に示すように、第1支持軸43によってメインフレーム21に揺動自在に連結される円筒状のピボットパイプ60と、ピボットパイプ60の左端部から後方に延び、車体左側に配置される左アッパーアーム61と、ピボットパイプ60の右端部から後方に延び、車体右側に配置される右アッパーアーム62と、左右アッパーアーム61,62の後端部にそれぞれ形成され、連結ボルト44によってそれぞれ駆動ギヤケース32及び後輪支持プレート33を揺動自在に連結させる二股状の連結板63と、左右アッパーアーム61,62の中間部を車幅方向に連結するクロスメンバ64と、ピボットパイプ60の中央部の下方に一体に形成され、リヤクッション50の上端部を揺動自在に支持するクッション取付部65,65と、を備える。また、ピボットパイプ60には、第1支持軸43との間に介設される針状ころ軸受60a、玉軸受60b,60b、カラー部材60c,60d,60e、及びシール部材60f,60fが内装される。また、連結板63には、連結ボルト44を挿通するための挿通孔63aが形成されると共に、連結ボルト44を締結させるための雌ネジ部63bが設けられる。また、クッション取付部65には、後述する取付ボルト56を挿通するための挿通孔65aが形成される。
【0023】
そして、アッパーアーム41の前端は、ピボットパイプ60が第1支持軸43によってメインフレーム21の中間部に揺動自在に支持される。左アッパーアーム61の連結板63に、連結ボルト44によって駆動ギヤケース32の上部に形成される上部連結椀32aが揺動自在に連結されると共に、右アッパーアーム62の連結板63に、連結ボルト44によって後輪支持プレート33の上部に形成される上部連結椀33aが揺動自在に連結される。なお、連結ボルト44と上部連結椀32a,33aとの間には不図示のカラー部材及びブッシュ部材が介装される。
【0024】
ロアアーム42は、図1及び図4に示すように、第2支持軸45によってメインフレーム21に揺動自在に連結される円筒状のピボットパイプ70と、ピボットパイプ70の左端部から後方に延び、車体左側に配置される左ロアアーム71と、ピボットパイプ70の右端部から後方に延び、車体右側に配置される右ロアアーム72と、左右ロアアーム71,72の後端部にそれぞれ形成され、連結ボルト46によってそれぞれ駆動ギヤケース32及び後輪支持プレート33を揺動自在に連結させる二股状の連結板73と、左右ロアアーム71,72の中間部を車幅方向に連結するクロスメンバ74と、クロスメンバ74の略中央部の上面に一体に形成され、リヤクッション50の下端部を揺動自在に支持するクッションブラケット75,75と、を備える。また、ピボットパイプ70には、第2支持軸45との間に介設される針状ころ軸受70a、玉軸受70b,70b、カラー部材70c,70d,70e、及びシール部材70f,70fが内装される。また、連結板73には、連結ボルト46を挿通するための挿通孔73aが形成されると共に、連結ボルト46を締結させるための雌ネジ部73bが設けられる。また、クッションブラケット75には、後述する取付ボルト57を挿通するための挿通孔75aが形成される。
【0025】
また、本実施形態では、図4に示すように、左ロアアーム71は、上方に湾曲した形状に形成され、右ロアアーム72は、下方に湾曲した形状に形成される。
【0026】
そして、ロアアーム42の前端は、ピボットパイプ70が第2支持軸45によってメインフレーム21の下端部に揺動自在に支持される。左ロアアーム71の連結板73に、連結ボルト46によって駆動ギヤケース32の下部に形成される下部連結椀32bが揺動自在に連結されると共に、右ロアアーム72の連結板73に、連結ボルト46によって後輪支持プレート33の下部に形成される下部連結椀33bが揺動自在に連結される。なお、連結ボルト46と下部連結椀32b,33bとの間には不図示のカラー部材及びブッシュ部材が介装される。
【0027】
リヤクッション50は、図5及び図6に示すように、ダンパシリンダ51と、ダンパシリンダ51内に挿入されるピストンロッド52と、ダンパシリンダ51とピストンロッド52との間に介装される懸架スプリング53と、を備え、ダンパシリンダ51の上端部には、リヤクッション50の上端部である上部連結部54が設けられ、ピストンロッド52の下端部には、リヤクッション50の下端部である下部連結部55が設けられる。
【0028】
そして、リヤクッション50の上部連結部54は、取付ボルト56によりアッパーアーム41のクッション取付部65に揺動自在に連結される。また、図5に示すように、側面視でピボットパイプ60の軸心P1が連結板63の挿通孔63aの軸心P2より上方に配置される。そして、クッション取付部65のピボット軸心P3がピボットパイプ60の軸心P1より車両前方に配置される。リヤクッション50の上部連結部54を連結する取付ボルト56は、アッパーアーム41とメインフレーム21とを連結する第1支持軸43より所定距離Z分だけ車両前方において、アッパーアーム41のクッション取付部65に揺動自在に支持される。
【0029】
また、リヤクッション50の下部連結部55は、取付ボルト57によりロアアーム42のクッションブラケット75に揺動自在に連結される。また、図5に示すように、側面視でピボットパイプ70の軸心P4が連結板73の挿通孔73aの軸心P5より上方に配置される。そして、クッションブラケット75のピボット軸心P6がピボットパイプ70の軸心P4より車両後方に配置される。
【0030】
また、リヤクッション50は、上部連結部54がアッパーアーム41のクッション取付部65に揺動自在に連結され、下部連結部55がロアアーム42のクッションブラケット75に揺動自在に連結されることにより、左右アッパーアーム61,62及び左右ロアアーム71,72の車幅方向の略中央位置に配置される。
【0031】
また、図2及び図5に示すように、リヤクッション50は、減衰力調整機構80を備え、この減衰力調整機構80の減衰力調整部81は、リヤクッション50の下部連結部55に車両前方に向かって設けられる。これにより、ロアアーム42に影響を受けることなく、減衰力調整機構80を調整することができるので、リヤクッション50をスイングアーム40から取り外すことなく、リヤクッション50の減衰力を調整することができる。
【0032】
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態の後輪懸架装置30の作動について説明する。なお、図5及び図6では、車体フレームの一部、パワーユニット、ドライブシャフト、及び後輪は省略されている。
【0033】
本実施形態の後輪懸架装置30では、図5及び図6に示すように、路面からの衝撃などにより後輪と共に動力伝達部31が図中上方に移動されると、アッパーアーム41及びロアアーム42が、それぞれ第1支持軸43及び第2支持軸45を中心として揺動される。このとき、アッパーアーム41の揺動に伴って、クッション取付部65が第1支持軸43を中心とする円弧に沿って後方に移動されると共に、ロアアーム42の揺動に伴って、クッションブラケット75が第2支持軸45を中心とする円弧に沿って右上方に移動される。これにより、リヤクッション50がピストンロッド52の軸方向に沿って押圧されて伸縮して、後輪12に作用した衝撃がリヤクッション50により減衰・吸収される。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の自動二輪車10の後輪懸架装置30によれば、スイングアーム40は、車体フレーム20と動力伝達部31の上部とを揺動自在に連結するアッパーアーム41と、車体フレーム20と動力伝達部31の下部とを揺動自在に連結するロアアーム42と、を有し、リヤクッション50の上端支持部の軸心は、アッパーアーム41と車体フレーム20とを揺動自在に支持する支持部軸心より車両前方において、アッパーアーム41に揺動自在に支持され、リヤクッション50の下端支持部の軸心は、ロアアーム42と車体フレーム20とを揺動自在に支持する支持部軸心より車両後方において、ロアアーム42に揺動自在に支持されるため、リヤクッション50のストロークを十分に確保することができる。また、リヤクッション50を車体下方に配置することができるので、車両10の重心を低くすることができ、車両10の走行性能を向上することができる。
【0035】
また、本実施形態の自動二輪車10の後輪懸架装置30によれば、アッパーアーム41には、リヤクッション50の上端部を揺動自在に支持するクッション取付部65が一体に形成されるため、スイングアーム40の揺動と共にリヤクッション50が揺動して、リヤクッション50が後輪12に作用する衝撃をスムースに吸収することができるので、車両10の走行性能を向上することができる。
【0036】
また、本実施形態の自動二輪車10の後輪懸架装置30によれば、アッパーアーム41は、車体左側に配置される左アッパーアーム61と、車体右側に配置される右アッパーアーム62と、を有し、ロアアーム42は、車体左側に配置される左ロアアーム71と、車体右側に配置される右ロアアーム72と、を有し、リヤクッション50は、左右アッパーアーム61,62及び左右ロアアーム71,72の車幅方向の略中央位置に配置されるため、リヤクッション50が後輪12に作用する衝撃をバランスよく吸収することができるので、車両10の走行性能を向上することができる。
【0037】
また、本実施形態の自動二輪車10の後輪懸架装置30によれば、リヤクッション50は、減衰力調整機構80を備え、減衰力調整機構80の減衰力調整部81は、リヤクッション50の下方に車両前方に向かって設けられるため、スイングアーム40のロアアーム42に影響を受けることなく、リヤクッション50の減衰力を調整することができる。
【0038】
また、本実施形態の自動二輪車10の後輪懸架装置30によれば、左ロアアーム71が下方に湾曲した形状であり、右ロアアーム72が上方に湾曲した形状であるため、ロアアーム42に応力集中が発生するのを防止することができるので、後輪懸架装置30の耐久性を向上することができる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、ドライブシャフト駆動の自動二輪車に本発明を適用した場合を例示したが、これに限定されず、チェーン駆動の自動二輪車に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る自動二輪車の後輪懸架装置を採用した自動二輪車の要部側面図である。
【図2】図1に示す後輪懸架装置の斜視図である。
【図3】アッパーアームの説明図であり、(a)はアッパーアームの平面図、(b)はアッパーアームの側面図、(c)は(a)のA−A線矢視拡大断面図である。
【図4】ロアアームの説明図であり、(a)はロアアームの平面図(b)はロアアームの側面図、(c)は(a)のB−B線矢視拡大断面図である。
【図5】通常状態の後輪懸架装置を説明するための要部拡大側面図である。
【図6】衝撃吸収状態の後輪懸架装置を説明するための要部拡大側面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 自動二輪車
11 パワーユニット
11a 出力軸
12 後輪
13 ドライブシャフト
20 車体フレーム
30 後輪懸架装置
31 動力伝達部
32 駆動ギヤケース
33 後輪支持プレート
34 入力軸
35 後輪車軸
40 スイングアーム
41 アッパーアーム
42 ロアアーム
43 第1支持軸(支持軸)
45 第2支持軸(支持軸)
50 リヤクッション
51 ダンパシリンダ
52 ピストンロッド
53 懸架スプリング
54 上部連結部
55 下部連結部
61 左アッパーアーム
62 右アッパーアーム
65 クッション取付部
71 左ロアアーム
72 右ロアアーム
75 クッションブラケット
80 減衰力調整機構
81 減衰力調整部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームに揺動自在に支持されるスイングアームと、後輪に作用する衝撃を吸収するリヤクッションと、パワーユニットからの駆動力を前記後輪に伝達する動力伝達部と、を備える自動二輪車の後輪懸架装置であって、
前記スイングアームは、前記車体フレームと前記動力伝達部の上部とを揺動自在に連結するアッパーアームと、前記車体フレームと前記動力伝達部の下部とを揺動自在に連結するロアアームと、を有し、
前記リヤクッションの上端支持部の軸心は、前記アッパーアームと前記車体フレームとを揺動自在に支持する支持部軸心より車両前方において、前記アッパーアームに揺動自在に支持され、
前記リヤクッションの下端支持部の軸心は、前記ロアアームと前記車体フレームとを揺動自在に支持する支持部軸心より車両後方において、前記ロアアームに揺動自在に支持されることを特徴とする自動二輪車の後輪懸架装置。
【請求項2】
前記アッパーアームには、前記リヤクッションの上端部を揺動自在に支持するクッション取付部が一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の後輪懸架装置。
【請求項3】
前記アッパーアームは、車体左側に配置される左アッパーアームと、車体右側に配置される右アッパーアームと、を有し、
前記ロアアームは、車体左側に配置される左ロアアームと、車体右側に配置される右ロアアームと、を有し、
前記リヤクッションは、前記左右アッパーアーム及び前記左右ロアアームの車幅方向の略中央位置に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動二輪車の後輪懸架装置。
【請求項4】
前記リヤクッションは、減衰力調整機構を備え、前記減衰力調整機構の減衰力調整部は、前記リヤクッションの下方に車両前方に向かって設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動二輪車の後輪懸架装置。
【請求項5】
前記左ロアアーム及び前記右ロアアームは、一方が下方に湾曲した形状であり、他方が上方に湾曲した形状であることを特徴とする請求項3又は4に記載の自動二輪車の後輪懸架装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−230478(P2008−230478A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74868(P2007−74868)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】