説明

自動充填包装機

【課題】 原料計量供給盤における計量マスにおいて簡易な構造により計量マスの内壁面に原料が付着することを防止する。
【解決手段】 円筒計量マス30の内部は、上面に対して下面の面積が大きく設定される。すなわち、上側開口部直径よりも下側開口部直径が長く設定され、上面から下面に向かってテーパ状に広がって構成される。これにより、円筒計量マス30の内部に原料を充填して計量した後にその内壁面に原料が付着したままになることを防ぐ。この円筒計量マス30の内壁面の材質としてステンレスやフッ化樹脂を採用することにより、効率良く付着を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動充填包装機に関し、特に原料計量供給盤を備える自動充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動充填包装機においては、原料計量供給盤における計量マスの内部形状は、加工の容易性から、円筒形状や立方体形状となっている。原料計量供給盤では、充填内容物が計量マスに投入された後、マス切りが行われる。そして、計量マスにおける計量動作が行われた後に計量マスの下部のシャッターが開いて、自動充填包装機の包装袋内に充填内容物が落下する。この際、充填内容物の特性によっては、シャッターが開いても充填内容物が完全には落下せずに、一部が計量マス内に残存してしまう場合がある。そのため、原料計量供給盤における供給量が一定とならずに不安定になるという問題が生じ得る。
【0003】
これに関して、粉体を包装体に供給する原料計量盤の上方に計量マスの深さを測定するセンサーを設けて、計量マスに充填された粉体が計量マス内に残存しているか否かを確認する供給確認装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、セメントモルタル原料の計量供給装置においては、振動体を用いて計量マスを振動させることにより、セメントモルタル原料の付着を防止するものが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平8−11834号公報(図1)
【特許文献2】特開2002−166409号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術において、計量マスの深さを測定する方法によれば所定量の原料が正確に包装体に供給されたか否かを判断できる。しかしながら、この方法では、原料が計量マス内に残存してしまうという現象自体を改善することはできない。これに対し、振動体を用いて計量マスを振動させる従来技術によれば、原料の付着を改善することが期待できるが、原料の付着を防止するほどの振動を与えるためには機構が複雑になるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、原料計量供給盤における計量マスにおいて簡易な構造により計量マスの内壁面に原料が付着することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、原料を計量して所定量毎に供給する原料計量供給手段と、供給された原料を包装に充填する充填手段とを備える自動充填包装機であって、上面に対して下面の面積が大きく設定された領域で原料を計量する計量手段を原料計量供給手段が具備するものである。これにより、計量手段において原料を充填して計量した後に計量手段の内壁面に原料が付着したままになることを防ぎ、原料の供給量を一定にさせるという作用をもたらす。ここにいう、計量手段の領域は、上面から下面に向かってテーパ状(円錐状)に広がってなるよう構成できる。
【0007】
また、計量手段の上記領域は、円筒状を基本として、上面に対して下面の直径が長く設定されるように構成されてもよい。より具体的には、計量手段は原料計量供給手段(例えば、計量回転盤)における透穴に対して交換可能に嵌合される円筒計量マスとして実現することができる。
【0008】
また、計量手段の上記領域は、立方体状を基本として上面に対して下面の対応する少なくとも何れか一辺の長さが長く設定されるように構成されてもよい。より具体的には、計量手段は原料計量供給手段(例えば、計量スライド板)における切れ込み部に対して所定の深さで計量コマが嵌合されることにより形成される計量マスとして実現することができる。
【0009】
さらに、計量手段は、少なくとも内壁面の材質としてステンレスまたはフッ化樹脂を採用することができる。これにより、内壁面を滑らかにして、原料の付着をより効率良く防止させるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、計量マスの下部のシャッターが開いた際に、充填内容物を完全に落下させることができ、原料計量供給盤における供給量を一定にして、量目値を安定させることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る自動充填包装機の実施の形態であるL型シール金具タイプ自動包装機1の正面図である。また、図2は、本発明に係る自動充填包装機の実施の形態であるL型シール金具タイプ自動包装機1の側面図である。なお、以下では、このL型シール金具タイプ自動包装機1を自動包装機1と略す。
【0013】
図1および図2を参照すると、この自動包装機1は、包材供給モータ11と、ホッパー12と、計量回転盤13と、ステッピングモータ14と、メインモータ15と、減速機16と、ベルトコンベア17と、カッター装置18と、送りロール19と、噛み込み検知装置の検知部分20と、L型シール金具21と、充填シュート22と、配電盤23とを備えている。
【0014】
包材供給モータ11は、ロール状の包材10を引き出してフィルム状の包材(シートフィルム)として供給するためのモータである。この包材供給モータ11により供給されたシートフィルムは充填シュート22の下部に配置され、原料が充填された後にL型シール金具21によって封緘される。
【0015】
ホッパー12は、充填される原料を収容する収納容器である。このホッパー12に収容された原料は、計量回転盤13に供給される。計量回転盤13は、円筒計量マス30を少なくとも一つ備えて、回転しながらその遠心力を用いて円筒計量マス30に原料を投入させるものである。円筒計量マス30の下部にはシャッターが配置され、このシャッターが開くことにより円筒計量マス30内の原料が充填シュート22を介して落下する。
【0016】
充填シュート22は、落下してきた原料を受けて、その下部で待ち受けているシートフィルムに対して原料を充填する。L型シール金具21は、原料が充填されたシートフィルムを封緘するシーラーである。このようにして原料が充填されて封緘されたシートフィルムは、カッター装置18に送られる。カッター装置18は、原料が充填されて封緘されたシートフィルムをカットしてベルトコンベア17に載せる。
【0017】
送りロール19は、L型シール金具21によって封緘されたシートフィルムをカッター装置18に送るためのロールである。この送りロール19は、ステッピングモータ14により駆動される。このとき、噛み込み検知装置の検知部分20において噛み込みの発生がチェックされる。メインモータ15は、自動包装機1全体を駆動するものであり、減速機16によって減速制御が行われる。配電盤23は、操作パネルであり、前面にはモニター画面が設けられている
【0018】
図3は、本発明の実施の形態における計量回転盤13の外観を示す図である。この計量回転盤13では、円盤状の板部材に少なくとも1つの透穴が配設され、その透穴には円筒計量マス30が嵌合される。この図3では、計6個の円筒計量マスが設けられている。計量回転盤13は、回転しながらその遠心力を用いて円筒計量マス30に原料を投入させていく。また、計量回転盤13には、(図示しない)掻取り板によって円筒計量マス30の上部にはみ出した原料が除去される。
【0019】
原料を充填した円筒計量マス30が充填シュートの上方に位置したときに下部のシャッターが開いて、円筒計量マス30内の原料が充填シュート22を介して落下する。従って、充填シュート22に供給される原料の供給量は、円筒計量マス30内部の体積によって決定される。すなわち、円筒計量マス30は、要求される体積に応じて複数用意することができ、必要に応じて適宜交換可能とされる。
【0020】
円筒計量マス30の内壁面に原料が付着し難くするために、表面がなるべく滑らかであることが望ましく、材質としては例えばステンレスやフッ化樹脂などを採用することができる。また、内壁面に対してフッ素コートなどの処理を施すようにしてもよい。
【0021】
ここで、充填される原料としては、粉体(粉末)や顆粒などを想定できる。一般に、粒度が細かいほど円筒計量マス30の内壁面に原料が付着し易いと考えられる。
【0022】
図4は、本発明の実施の形態における円筒計量マス30の形状を示す図である。図4(a)は上面図を示し、図4(b)は側面断面図を示す。この図からわかるように、円筒計量マス30の内部は円筒状を基本として下方にいくに従いテーパ状(円錐状)に広くなっている。すなわち、上面に対して下面の面積が大きくなるよう設定され、円の直径が長くなるよう設定されている。
【0023】
これにより、円筒計量マス30の内部に原料を充填して、下部のシャッターを開いた際に、原料が内壁面に付着することを防止して、供給量を一定にすることができる。
【0024】
円筒計量マス30の外観として、上部にドーナツ状の出っ張り部があり、図3に示したように計量回転盤13上の透穴に引っ掛かるようになっている。
【0025】
図4(c)は、円筒計量マス30の寸法例である。ここでは、一例として、円筒計量マス30の上部直径が40mmで、下部直径が36mmと仮定し、上側開口部直径、下側開口部直径、下部高および全高の組合せ例を4つ示している。
【0026】
この例からも理解されるように、上側および下側の開口部直径の相対的な長さが長い程上下差を長く設定すべきであり、この仮定においては、円筒計量マス30の上側および下側の開口部直径の差としては、約1乃至3mm程度が望ましいとされる。
【0027】
次に、上述の計量回転盤13の代わりに計量スライド板40を用いた場合の変形例について説明する。
【0028】
図5は、本発明の実施の形態における計量スライド板40の外観を示す図である。この計量スライド板40は、櫛形の形状を有しており、少なくとも1つの切れ込み部43を備えている。切れ込み部43のそれぞれには計量コマ41が嵌合されるようになっており、この計量コマ41の嵌合の深さは適宜調整できるようになっている。そして、この計量コマ41の嵌合の深さに応じて、切れ込み部43および計量コマ41は計量スライド板40の上面から下面に至る少なくとも1つの計量マスを形成する。この図5では、計10個の計量マスを形成している。
【0029】
この計量スライド板40の上面から原料を投入して、(図示しない)掻取り板によって計量スライド板40の上部にはみ出した原料を除去した後、計量スライド板40の下部のシャッターを開く。これにより、切れ込み部43および計量コマ41によって形成された計量マスから下方に計量コマ41の嵌合の深さに応じた所定量の原料が供給される。
【0030】
図6は、本発明の実施の形態における計量スライド板40の正面図である。この計量スライド板40における切れ込み部43および計量コマ41により形成されるそれぞれの計量マスの内部は、立方体状を基本として上面に対して下面の対応する少なくとも何れか一辺の長さが長く設定され、上面から下面に向かってテーパ状(円錐状)に広くなっている。すなわち、この正面図において、下側開口部の一辺は上側開口部の一辺よりも長くなっており、上面に対して下面の面積が大きく設定されている。
【0031】
これにより、計量スライド板40に形成される計量マスの内部に原料を充填して、下部のシャッターを開いた際に、原料が内壁面に付着することを防止して、供給量を一定にすることができる。
【0032】
なお、この計量スライド板40に形成される計量マスにおいても、円筒計量マス30の場合と同様に、原料が付着し難くするために、表面がなるべく滑らかであることが望ましく、材質としては例えばステンレスやフッ化樹脂などを採用することができる。また、内壁面に対してフッ素コートなどの処理を施すようにしてもよい。
【0033】
このように、本発明の実施の形態によれば、計量回転盤13における円筒計量マス30や計量スライド板40に形成される立方体状の計量マスにおいて、上面に対して下面の面積を大きく設定することにより、内壁面への原料の付着を防止することができる。
【0034】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る自動充填包装機の実施の形態であるL型シール金具タイプ自動包装機1の正面図である。
【図2】本発明に係る自動充填包装機の実施の形態であるL型シール金具タイプ自動包装機1の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態における計量回転盤13の外観を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における円筒計量マス30の形状を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における計量スライド板40の外観を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における計量スライド板40の正面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 L型シール金具タイプ自動包装機
10 包材
11 包材供給モータ
12 ホッパー
13 計量回転盤
14 ステッピングモータ
15 メインモータ
16 減速機
17 ベルトコンベア
18 カッター装置
19 送りロール
20 (噛み込み検知装置の)検知部分
21 L型シール金具
22 充填シュート
23 配電盤
30 円筒計量マス
40 計量スライド板
41 計量コマ
43 切れ込み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を計量して所定量毎に供給する原料計量供給手段と、前記供給された原料を包装に充填する充填手段とを備える自動充填包装機であって、
前記原料計量供給手段は、上面に対して下面の面積が大きく設定された領域で前記原料を計量する計量手段を具備することを特徴とする自動充填包装機。
【請求項2】
前記計量手段の前記領域は、前記上面から前記下面に向かってテーパ状に広がってなることを特徴とする請求項1記載の自動充填包装機。
【請求項3】
前記計量手段は、前記領域が円筒状を基本として前記上面に対して前記下面の直径が長く設定されることを特徴とする請求項1記載の自動充填包装機。
【請求項4】
前記計量手段は前記原料計量供給手段における透穴に対して交換可能に嵌合される円筒計量マスであることを特徴とする請求項3記載の自動充填包装機。
【請求項5】
前記計量手段は、前記領域が立方体状を基本として前記上面に対して前記下面の対応する少なくとも何れか一辺の長さが長く設定されることを特徴とする請求項1記載の自動充填包装機。
【請求項6】
前記計量手段は前記原料計量供給手段における切れ込み部に対して所定の深さで計量コマが嵌合されることにより形成されることを特徴とする請求項5記載の自動充填包装機。
【請求項7】
前記計量手段は、少なくとも内壁面の材質がステンレスまたはフッ化樹脂であることを特徴とする請求項1記載の自動充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−225016(P2006−225016A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43587(P2005−43587)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】