説明

自動写真作成装置および自動写真作成方法

【課題】背景以外の撮影範囲内の部分に付したキー色が背景のキー色と異なる色合いとなる場合であってもクロマキー処理を行うことができる写真作成装置を提供する。
【解決手段】本写真作成装置の主制御部80は、筐体内面のうちの背面に対応する第1の領域を撮影画像から切り出し(S401)画像補正して(S402)対応するクロマキーマスクを作成し(S403)、床面に対応する第2の領域を撮影画像から切り出し(S404)その色合いの変化に応じて画像補正を行った後(S405)対応するクロマキーマスクを作成し(S406)利用者により背景画像が選択され(S407)当該背景画像が撮影画像にクロマキー合成される(S408)。このように各領域毎に画像補正を行って異なる色合いを均一にすることにより適切なクロマキーマスクを作成してクロマキー合成を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者をカメラで撮影し、その撮影画像に基づき生成される合成画像を写真として出力する自動写真作成装置に関し、より詳細には、クロマキー合成の手法に基づき生成される合成画像を写真として出力する自動写真作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、利用者をカメラで撮影し、その撮影画像を写真として出力する遊戯用写真作成装置が知られている。このような遊戯用写真作成装置は、遊戯性または娯楽性が高いことから、撮影画像と合成すべき画像(以下「付加画像」という)を、利用者の嗜好に応じて、予め用意された多種多様な背景画像および前景画像から選択したり、タッチペンやライトペン等のペン型入力手段を用いて利用者が自由に描いたりできるように構成されているものが多い。利用者によるこのような行為は、撮影画像に対してなされるため、「落書き」と呼ばれる。
【0003】
また近年では、いわゆるクロマキー合成の手法を使用し、撮影された利用者の背景となるよう、予め記憶された複数の画像から利用者により適宜選択された付加画像を合成する落書きが行われることがある。このクロマキー合成の手法では、撮影すべき利用者の背後に単一色(例えば青色や緑色など)の背景を配置し、この背景と利用者とを撮影した撮影画像に含まれる背景の色をキー色(クロマ)として撮影画像のうちの当該色が含まれる領域(背景領域)をマスク(クロマキーマスクを作成)する。このマスクされた背景領域に対して利用者により適宜選択された画像の一部が合成されることにより、利用者の選択した画像があたかも現実の背景として撮影されたかのような合成画像が得られる。従来より、このようなクロマキー合成の手法を使用する自動写真作成装置がある(例えば特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平5−161064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の写真作成装置におけるキー色を付された背景は、撮影されるべき利用者の背後側の筐体内部の面(以下「背面」という)などにのみ設けられるのが通常である。なぜなら、クロマキー合成のための背景色は同一でなければならないが、例えば利用者の上下左右の面(すなわち筐体内部の左右側面、天面、および床面)に同じ背景色を付したとしても、背面とは同一の色合いにならないからである。
【0005】
このように筐体の背面のみにキー色を付された背景が設けられる構成であっても、撮影範囲が利用者の上半身である場合には特に問題は生じないが、撮影範囲が利用者の全身である場合には問題となる。以下、図10を参照して説明する。
【0006】
図10は、利用者のほぼ全身を撮影とする場合の撮影範囲を示す図である。図10に示されるように、キー色を付された背景は筐体の背面のみであり、もし利用者の足元付近を撮影する場合、キー色を付されていない床面が写ることになる。したがって、背景となるべき床面をマスクすることができない。なお、床面にキー色を付したとしても上記背面と同一の色合いにならないことは前述したとおりである。したがって、図10において点線で示されるように、利用者の足元付近の床面が写らず利用者と背面のみが写るように撮影範囲901が設定される(具体的にはカメラの画角や撮影方向などが適宜に設定される)。
【0007】
しかし、近年の遊技用自動写真作成装置では、利用者の足元を含めた全身が撮影されることが多く、撮影範囲が限定されることは好ましくない。また、カメラの設置位置も利用者の前方だけでなく上方(または斜め上方)の場合もあり、その場合に床面が写らないよう撮影範囲を設定するとその範囲は著しく限定されてしまう。
【0008】
そこで本発明の目的は、利用者の背後に設けられた背景以外の撮影範囲内の部分に付したキー色が背景に付したキー色とは異なる色合いとなる場合であっても、それぞれに対応するクロマキーマスクを作成し、クロマキー処理を行うことができる自動写真作成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、所定の撮影領域における被写体である利用者を含む像を取得する撮影手段と、前記撮影手段により得られる撮影画像を含む合成画像を写真として出力する出力手段とを備える自動写真作成装置であって、
前記撮影手段による撮影対象であって、第1の色を付された第1の被撮影面および第2の色を付された第2の被撮影面を有する背景提示手段と、
前記撮影画像のうち前記第1の被撮影面の像を含む第1の領域に対して、前記第1の被撮影面の像が占める領域の色に応じた画像補正を行い、またはさらに前記撮影画像のうち前記第2の被撮影面の像を含む第2の領域に対して、前記第2の被撮影面の像が占める領域の色に応じた画像補正を行うことにより、前記第1の被撮影面の像が占める領域の色および前記第2の被撮影面の像が占める領域の色に対応する所定のクロマキーマスクを作成するマスク作成手段と、
前記マスク作成手段により作成されたクロマキーマスクを使用することにより、前記撮影画像に対して所定の付加画像を合成するクロマキー処理を行うことにより、前記合成画像を生成するクロマキー処理手段と
を備えることを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、
前記第1および第2の色は、略同一であり、
前記第1および第2の被撮影面の像が占める領域の色は、異なることを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第1の発明において、
前記マスク作成手段は、前記画像補正を行うことにより、前記第1および第2の被撮影面の像が占める領域を同一色とし、前記同一色の領域に対応する所定のクロマキーマスクを作成することを特徴とする。
【0012】
第4の発明は、第1の発明において、
前記第1の被撮影面は、前記撮影手段の撮影方向に対して略垂直方向に沿った平面とは異なる面を有しており、
前記マスク作成手段は、前記第1の被撮影面の像が占める領域の色の変化が解消されるよう前記第1の領域に対して所定の画像補正を行うことを特徴とする。
【0013】
第5の発明は、第4の発明において、
前記第1の被撮影面は、前記撮影手段の撮影方向に対して略垂直方向に沿った面から傾いており、
前記マスク作成手段は、前記第1の被撮影面の有する傾きに応じて変化する前記第1の被撮影面の像が占める領域の色の変化が解消されるよう前記第1の領域に対して所定の画像補正を行うことを特徴とする。
【0014】
第6の発明は、第5の発明において、
前記第1の被撮影面は、前記利用者が内部に入るべき筐体の内面のうち、前記利用者下方に設けられる床面、前記利用者上方に設けられる天面、前記利用者の左側に設けられる左側面、および前記利用者の右側に設けられる右側面のいずれか1つ以上であり、
前記第2の被撮影面は、前記筐体の内面のうち、前記撮影手段の設置位置を起点として前記利用者の背後方向に設けられる背面であることを特徴とする。
【0015】
第7の発明は、第1の発明において、
予め定められた複数の画像から前記所定の付加画像を選択するための利用者による操作入力を受け付ける操作入力手段をさらに備え、
前記クロマキー処理手段は、前記撮影画像に対して前記操作入力手段により受け付けられた付加画像を合成するクロマキー処理を行うことを特徴とする。
【0016】
第8の発明は、第1の発明において、
前記マスク作成手段により行われる画像補正のための基準となる画像であって、前記第1および第2の領域が含まれ、前記利用者が被写体に含まれない背景撮影画像を、所定の時点で前記撮影手段により取得するサンプリング手段をさらに備え、
前記マスク作成手段は、前記サンプリング手段により取得された前記背景撮影画像のうち前記第1の被撮影面の像が占める領域の色に基づき、またはさらに前記背景撮影画像のうち前記第2の被撮影面の像が占める領域の色に基づき、前記画像補正を行うことを特徴とする。
【0017】
第9の発明は、第8の発明において、
前記サンプリング手段により取得された背景撮影画像に前記利用者の像に含まれるべき色が含まれる異常を検出するエラー検出手段をさらに備え、
前記マスク手段は、前記エラー検出手段により異常が検出される場合、異常が検出された背景撮影画像を前記画像補正に使用しないことを特徴とする。
【0018】
第10の発明は、所定の撮影領域における被写体である利用者を含む像を取得する撮影ステップと、前記撮影ステップにおいて得られる撮影画像を含む合成画像を写真として出力する出力ステップとを備える自動写真作成方法であって、
前記撮影ステップにおける撮影対象であって、第1の色を付された第1の被撮影面および第2の色を付された第2の被撮影面を有する背景提示手段における前記第1の被撮影面の像を含む第1の領域に対して、前記第1の被撮影面の像が占める領域の色に応じた画像補正を行い、またはさらに前記第2の被撮影面の像を含む第2の領域に対して、前記第2の被撮影面の像が占める領域の色に応じた画像補正を行うことにより、前記第1の被撮影面の像が占める領域の色および前記第2の被撮影面の像が占める領域の色に対応する所定のクロマキーマスクを作成するマスク作成手ステップと、
前記マスク作成ステップにおいて作成されたクロマキーマスクを使用することにより、前記撮影画像に対して所定の付加画像を合成するクロマキー処理を行うことにより、前記合成画像を生成するクロマキー処理ステップと
を含むことを特徴とする。
【0019】
第11の発明は、第10の発明に記載の自動写真作成方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
上記第1の発明によれば、第1の領域に対して、第1の被撮影面の像が占める領域の色に応じた画像補正を行い、またはさらに第2の領域に対して、第2の被撮影面の像が占める領域の色に応じた画像補正を行うことにより、当該領域の色に対応する所定のクロマキーマスクが作成されるので、撮影範囲内の背景となるべき第1および第2の被撮影面の色合いが異なる場合であっても、それぞれに対応するクロマキーマスクを作成し、クロマキー処理を行うことができる。
【0021】
上記第2の発明によれば、付された色は略同一であるが、結果的に(例えば材質や撮影方向、照明方向などの違いにより)第1および第2の被撮影面の像が占める領域の色が異なる場合であっても、それぞれに対応するクロマキーマスクを作成し、クロマキー処理を行うことができる。
【0022】
上記第3の発明によれば、画像補正を行うことにより、第1および第2の被撮影面の像が占める領域を同一色とするので、同一色に対応するクロマキーマスクを1つだけ作成すればよく、構成を簡易にすることができる。
【0023】
上記第4の発明によれば、第1の被撮影面が撮影手段の撮影方向に対して略垂直方向に沿った平面とは異なる面を有していることから色合いが均一とはならず、マスク作成手段によりこの色の変化が解消されるよう第1の領域に対して所定の画像補正が行われるので、この構成により、クロマキー処理のための理想的な均一性および色合いを有する画像に基づきクロマキー処理を行うことができる。
【0024】
上記第5の発明によれば、第1の被撮影面が撮影手段の撮影方向に対して略垂直方向に沿った平面から傾いていることから色合いが傾きに応じて変化するので、マスク作成手段によりこの傾きに応じた色の変化が解消されるよう第1の領域に対して所定の画像補正が行われるので、この構成により、クロマキー処理のための理想的な均一性および色合いを有する画像に基づきクロマキー処理を行うことができる。
【0025】
上記第6の発明によれば、第1および第2の被撮影面が筐体の各内面のいずれかに対応しているので、筐体内面を背景とする場合における第1および第2の被撮影面の色合いが異なる場合であっても、それぞれに対応するクロマキーマスクを作成し、クロマキー処理を行うことができる。
【0026】
上記第7の発明によれば、操作入力手段により利用者から付加画像を選択する操作入力が受け付けられ、クロマキー処理手段により当該付加画像が合成されるので、利用者が自ら選択した付加画像を(仮想的な)背景画像とした合成画像を得ることができ、本装置の遊戯性を高めることができる。
【0027】
上記第8の発明によれば、サンプリング手段により利用者が被写体に含まれない背景撮影画像が所定の時点で取得され、この背景撮影画像に基づき画像補正が行われるので、撮影手段の撮影方向に対する第1および第2の被撮影面の角度の違い、材質の違い、または汚れ方等の違い(例えば床面は利用者に踏まれることにより汚れて色がくすんだり摩耗して色がうすくなったりしやすいという違い)をほぼ完全に補償することができ、クロマキー処理のための理想的な均一性および色合いを有する画像に基づきクロマキー処理を行うことができる。
【0028】
上記第9の発明によれば、エラー検出手段により背景撮影画像に利用者の像に含まれるべき色が含まれる異常が検出されるので、利用者の像を含む背景撮影画像をクロマキー処理の対象とすることにより異常な合成画像を作成することを未然に防止することができる。
【0029】
上記第10の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果を自動写真作成方法において奏することができる。
【0030】
上記第11の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果を自動写真作成プログラムにおいて奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態につき添付図面を参照して説明する。
<1. 全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る自動写真作成装置(遊戯用写真作成装置)を側面から見た図であり、図2は、この写真作成装置の本体部4を正面から(被写体としての利用者Uから)見た図である。以下、これらの図を参照して、本実施形態に係る自動写真作成装置の全体構成について説明する。
【0032】
この自動写真作成装置は、利用者Uが入る撮影室2と、利用者Uの撮影画像を含む合成画像を生成して写真シール(または写真カード)として出力する本体部4とを備えている。なお、利用者Uは1人以上であればよいが、説明の便宜のためここでは2人であるものとする。
【0033】
撮影室2は、略直方体形状であって、内部に入る利用者Uから見て上の面である天面と、下の面である床面と、左右の面である左右側面と、後ろの面である背面と、前の面である前面とを有している。本体部4は、前面に沿って配置される。なお、左右側面の一部には、利用者Cが出入りするための開口部と、当該開口部の一部または全部を覆う遮光カーテンとが設けられている。
【0034】
また、後述するように、撮影室2の背面および床面にはクロマキー合成処理のための単一の色(ここでは青色または緑色)が付されている。ただし、背面を構成する板材と床面を構成する板材とは材質が異なるので、これらに同一の色を付したとしても(または同一の色となるように工夫したとしても)その色合いを完全に同一とすることはできない。さらに、背面はカメラの撮影中心方向に対してほぼ垂直に配置され、また後述するようにほぼ均一に照明が当てられるのでほぼ均一な色合いとなるが、床面はカメラの撮影方向や照明方向に対して所定の角度を有しているので均一な色合いとはならない。このことから一般的なクロマキー合成処理を行うことはできないが、本実施形態においては後述する特徴的な構成によって、クロマキー合成処理が行われる。なお、本明細書において色合いとは色相や彩度などおよそ視感上区別される要素を含んで色に関連する事項を指すものとする。
【0035】
本体部4は、利用者Uを撮影する撮影手段としてのカメラ10と、当該カメラ10の上方の適宜の位置に配置され閃光を発する照明手段としてのフラッシュ11と、当該カメラ10の下方に配置されたCRT(Cathode Ray Tube)または液晶ディスプレイパネル等からなる表示装置であるプレビューモニタ22と、利用者Uに対して撮影のための操作画面などを提供する液晶ディスプレイおよび当該操作画面を覆う操作位置検出用の透明シートからなる液晶タッチパネル20とを備える。
【0036】
カメラ10は、典型的には、CCD(電荷結合素子)を利用してデジタル画像信号を生成するデジタルカメラであって、撮影室2内の利用者Uを撮影し、その撮影画像を表す画像信号を出力する。
【0037】
プレビューモニタ22は、上記画像信号の表す画像をリアルタイムで表示するように構成されており、カメラ10によって得られる撮影画像を確認するために使用される。
【0038】
液晶タッチパネル20は、上述の操作画面などを提供する表示手段として機能するほか、撮影のための操作手段など、利用者Uによる各種操作を受け付ける操作手段として機能する。なお、液晶タッチパネル20は、図示されないタッチペンにより操作されるが、利用者Uの指などにより操作されてもよく、例えば上記透明シートを含まない静電誘導方式の操作位置検出機能を有する液晶タッチパネルなどであってもよい。
【0039】
また本体部4は、コンピュータを中心に構成され各部の制御等を行う主制御装置、I/O制御装置、およびカメラ10により得られる撮影画像を含む合成画像を写真シール(または写真カード)として出力するプリンタ等を内蔵している。さらに、本体部4は、前面下方にコイン投入口26を、側面に写真シールの取出口28を、それぞれ備えている。さらにまた、本体部4は、本自動写真作成装置の動作中は常時点灯される照明装置13L,13Rをカメラ10の左右にそれぞれ備えている。
【0040】
<2. 機能的構成>
図3は、本実施形態に係る自動写真作成装置の要部を機能面から見た構成を示すブロック図である。この自動写真作成装置は、機能的には、撮影部52と、確認表示部54と、メイン表示・操作部62と、出力部66と、照明部70と、I/O制御部72と、主制御部80とから構成される。
【0041】
この構成において、撮影部52は、CCD等の撮像素子を用いて構成されるカメラ10に相当し、リアルタイムに画像を取り込んで当該画像(この画像は「スルー画像」と呼ばれる)を表す画像信号を出力する。この画像信号は主制御部80に入力されて、その内部のメモリにスルー画像データとして一時的に記憶される。また、このスルー画像データは、スルー画像信号として主制御部80から確認表示部54に供給される。確認表示部54は、プレビューモニタ22に相当し、そのモニタ用画像信号に基づきスルー画像をリアルタイムで表示する。
【0042】
メイン表示・操作部62は、液晶タッチパネル20に相当し、出力されるべき写真のレイアウトを決定するための利用者Uの操作や、シャッター操作等を受け付け、これらの操作を示す信号は、操作信号として主制御部80に入力される。いま、利用者Uの撮影のためにシャッターボタン(不図示)が押下されたとすると、主制御部80からの指示に基づき、数秒程度の予め決められた時間の経過後にカメラ10の撮影方向にフラッシュ11から閃光が放たれる。そのとき、利用者Uの撮影画像を表す信号として部52から出力される画像信号が主制御部80に入力され、主制御部80内のメモリまたは補助記憶装置としてのハードディス装置等に撮影画像データとして格納される。
【0043】
出力部66は、本体部4に内蔵されるプリンタに相当し、主制御部80からの指示に基づき、液晶タッチパネル20における利用者Uの落書きに応じて画像処理された上記撮影画像データの表す画像を写真シール(または写真カード)として出力する。
【0044】
照明部70は、本体部4における照明装置13L,13Rとフラッシュ11とに相当し、主制御部80からの指示に基づきI/O制御部72によって点灯/消灯および調光が制御される。
【0045】
I/O制御部72は、本体部4に内蔵されるI/O制御装置に相当し、主制御部80からの指示に基づき、照明部70を制御する。また、後述のコイン検出部(不図示)からの検出信号等の入力信号を主制御部80へ転送する。
【0046】
主制御部80は、本体部4に内蔵され、CPUや、メモリ、フレームバッファ、タイマー、補助記憶装置などを含むコンピュータを中心に構成される主制御装置に相当し、内部メモリに格納された所定プログラムをCPUが実行することにより、上述のようにして入力される操作信号等に基づき各部を制御するために、上述のように各部に指示を出す。また、後述するように、上記撮影画像データと背景とされるべき画像のデータとを合成することにより、撮影画像に含まれる利用者Uの像に対して所定の背景画像が背景となるように合成された画像である合成画像を生成する。生成された画像はフレームバッファに書き込まれることにより、メイン表示・操作部62に表示される。さらに、当該合成画像に対する落書き処理を行うための操作信号に基づき上記画像データの一部を書き換えることにより、当該合成画像に所定画像を描画した画像である合成画像を生成する。生成された合成画像はメイン表示・操作部62に表示される。上記のような画像合成が終了すると、その後、写真出力部66からは合成画像が写真シール等として出力される。出力された写真シール等は、本体部4の側面に設けられた取出口28から取り出される。
【0047】
上記の構成要素の他、本体部4におけるコイン投入口26に投入されたコインを検出するためのコイン検出部(不図示)が更に本体部4に設けられており、主制御部80は、コイン検出部での検出結果に基づき、利用者Uに所定時間だけ撮影や撮影画像に対する描画等による合成画像の生成など、本自動写真作成装置によるプレイを許容するように各部を制御する。このコイン検出部やその検出結果に基づく主制御部80による制御動作は、従来の自動写真作成装置と同様であって周知であるので、その詳しい説明を省略する。
【0048】
なお、主制御装置において実行される上記所定プログラムは、例えば、そのプログラムを記録した記録媒体であるCD−ROMによって提供される。すなわち、上記所定プログラムの記録媒体としてのCD−ROMが主制御装置内に補助記憶装置として内蔵されたCD−ROM駆動装置に装着され、そのCD−ROMから所定プログラムが読み出されて補助記憶装置としてのハードディスク装置にインストールされる。また、上記所定プログラムは、CD−ROM以外の記録媒体や通信回線を介して提供されてもよい。そして、本自動写真作成装置の起動のための所定操作がなされると、ハードディスク装置にインストールされた所定プログラムは、主制御装置内のメモリに転送されてそこに一時的に格納され、主制御装置内のCPUによって実行される。これにより、主制御装置による上記各部の制御処理が実現される。
【0049】
<3. 動作>
<3.1 全体的な動作>
上述のように本実施形態における主制御部80の動作は、その内部のCPUが上記所定プログラムを実行することにより実現される。図4は、このようにして実現される主制御部80の動作の手順を示すフローチャートである。本実施形態では、コイン投入口26に所定のコインが投入されると、本自動写真作成装置は、以下のように動作する。
【0050】
まず、主制御部80は、装置の初期化処理、すなわち各ハードウェアの初期化や、設定値として主制御部80に記憶されるデータの初期化処理を行い、さらに予め決められた撮影のための時間(以下「撮影時間」という)が経過するとタイムアウトとなるようにタイマーを設定し、そのタイマーをスタートさせる(ステップS10)。
【0051】
続いて、主制御部80は、利用者Uを撮影するための撮影処理を行う(ステップS20)。この撮影処理において、主制御部80は、図示されないシャッターボタンまたはメイン表示・操作部62の画面に表示されるシャッターボタンが押されたか否かを操作信号に基づき判定し、シャッターボタンが押されるまで待機する。なお、シャッターボタンが一度も押されないまま撮影時間が終了するときには、シャッターボタンが押されたときの処理が自動的に行われるものとする。
【0052】
シャッターボタンが押下されると、主制御部80は、撮影開始を利用者にメイン表示・操作部62の画面で知らせ、数秒程度の予め決められた時間の経過後に撮影部(カメラ)52に撮影信号(シャッター信号)を送る。これにより、撮影部52のシャッター動作と同期して照明部(フラッシュ)70が閃光を放ち、主制御部80がキャプチャ処理を開始する。すなわち、主制御部80は、照明部(フラッシュ)70からの閃光で照らされた利用者Uの撮影画像を表す信号として撮影部52から出力される画像信号を受け取り、メモリまたは補助記憶装置内に撮影画像の画像ファイルとして格納する。なお、所定の撮影時間の間、シャッターボタンが押下される毎に上記キャプチャ処理が実行され、撮影画像が画像ファイルとして一時的に保存される。
【0053】
次に、主制御部80は、予め定められた回数の撮影が行われることにより撮影が終了したか、撮影時間を示すタイマがタイムアウトとなることにより撮影が終了したか、または撮影時間の経過前であっても、メイン表示・操作部62に対して撮影処理の終了を指示する操作が行われることにより撮影が終了したか否かを判定する(ステップS30)。撮影が終了した場合、処理は次のステップS40に進む。撮影が終了しない場合には、ステップS20の処理に戻り、撮影が終了するまで上記処理が繰り返される(S30→S20→S30)。
【0054】
撮影が終了した場合、主制御部80は、利用者のメイン表示・操作部62に対する操作入力により選択された付加画像である背景画像に対して、クロマキー処理を行う(ステップS40)。このクロマキー処理の詳しい内容については後述する。なお、この処理の前(または後)に、出力すべき写真シールに複数の撮影画像(またはこれを含む合成画像)を適宜配置するレイアウト処理が行われてもよい。このレイアウト処理では、予め定められた制限時間内で撮影画像をどのように配置するかを決定するための操作を受け付けることにより、所定の位置に撮影画像または合成画像が配された画像であって写真シール等を印刷するための合成画像が生成される。
【0055】
続いて、主制御部80およびメイン表示・操作部62による落書き処理が行われる(ステップS50)。この落書き処理では、主制御部80により落書き処理のために予め決められた時間(以下「落書き時間」という)が設定され、この落書き時間内に利用者Uは液晶タッチパネル20を使用することにより落書きを行う。具体的には、液晶タッチパネル20に撮影画像および落書きのための各種アイコン等、例えば、仮想的な落書きペンの太さや色などを選択可能にするため表示されるペン先アイコンやスタンプ画像を選択可能にするため表示されるスタンプアイコン等が表示され、これらに対する利用者Uによる操作が受け付けられる。すなわち利用者Uは、液晶タッチパネル20でこれらの各種アイコン等のうちの1つを選択する(すなわち表示されたアイコン上にカーソルを動かして確定させる)操作や、表示画面上の所望の位置を指定する操作などを行うことにより、仮想的な落書きを行う。
【0056】
続いてステップS60における印刷処理では、上記ステップS50における落書き処理により生成された合成画像(より詳細には前述したレイアウト処理により適宜の位置および大きさに撮影画像がレイアウトされ種々の落書きが行われ、さらに後述するように背景画像がクロマキー合成された合成画像)が出力される。すなわち、主制御部80は、(クロマキー合成され)落書き等をされた合成画像の出力を出力部(プリンタ)66に指示する。これにより、出力部66としてのプリンタは、その合成画像を写真シールとして出力する。
【0057】
そうして上記ステップS60における印刷処理が終了すると、図4に示す一連の処理は終了され、所定の金額に相当するコインが新たにコイン投入口26に投入されるまで図4に示す処理は実行待ち状態となる。この実行待ち状態において、所定の金額に相当するコインが新たにコイン投入口26に投入されるまで図4に示す処理は実行待ち状態となる。この実行待ち状態において、所定の金額に相当するコインが新たに投入されると、上記と同様の処理(ステップS10〜S60)が実行される。
【0058】
<3.2 クロマキー処理における動作>
次に、前述したクロマキー処理(ステップS40)の詳細な処理内容について説明する。図5は、レポート処理の詳細なサブルーチン処理の手順を示すフローチャートである。図5に示すステップS401において、主制御部80は、前述したステップS20により取得される撮影画像から予め定められた第1の領域を切り出す。すなわち当該部分のみが複製された新しい画像が生成される。以下、図6を参照して具体的に説明する。
【0059】
図6は、撮影室内の利用者をカメラにより撮影するときの撮影範囲を示す図である。図6において、撮影室2の内面を構成する天面、床面、背面、および左右側面のうち、背面110および床面120には同一の単一色(ここでは青色または緑色)が付されている。もっとも、床面120はカメラ10の撮影方向や各種照明の投射方向に対して垂直とはほど遠い所定の角度を有しているので均一な色合いとはならず、具体的には背面110に近づくほど暗い色合いとなっている。
【0060】
また、カメラ10には光学的な構造により定まる所定の画角があり、この画角やカメラ10の撮影方向などにより撮影範囲101が予め定まっている。図6において、この撮影範囲101には2人の利用者Uの全身と、利用者Uの背景となっている背面110および床面120の一部とが含まれている。したがって、ステップS20により取得される撮影画像は、利用者Uの背景としての背面110を撮影範囲として含む撮影画像の一部である第1の領域101aの画像(以下、単に「第1の領域」ともいう)と、利用者Uの背景として床面120を撮影範囲として含む撮影画像の一部である第2の領域101bの画像(以下、単に「第2の領域」ともいう)とからなっている。
【0061】
上述したステップS401では、撮影範囲101に含まれる第1の領域101aの位置がカメラ10の画角や撮影方向などにより予め定まっていることに基づき、撮影画像から第1の領域101aの画像のみが切り出される(複製される)。なお、この画像が撮影画像から切り出されることにより、撮影画像の該当部分が削除されるなど撮影画像自体に変化が生じることはない。
【0062】
次にステップS402において、主制御部80は、切り出された第1の領域101aの画像に対して所定の第1の画像補正を行う。この第1の画像補正は、クロマキー合成における(最適化のための)前処理としての周知の画像補正であって、切り出された画像(ここでは第1の領域、さらに具体的には第1の領域に含まれる背面110の像)の色相や明るさなどに応じて、この第1の領域の色相や明るさなどをクロマキー処理のために理想的な値となるよう修正する。なお、実際に取得された撮影画像がキー色に応じたクロマキー処理のためにほぼ最適な色相や明るさなどであれば、このステップS402の処理は省略することができる。
【0063】
続いて、ステップS403において、主制御部80は、ステップS402において画像補正された第1の領域のための第1のクロマキーマスクを作成する。この第1のクロマキーマスクは、周知の合成マスク(アルファチャネル)であって、対象となる画像(ここでは第1の領域)のうちのキー色(ここでは青色または緑色)を有する領域、すなわち第1の領域に含まれる背面110の像が占める領域を透明とし、それ以外の領域を非透明とするためのデータである。この合成マスクは一般的には対象となる画像の画素毎に0(完全透明)から255(完全非透明)までの透過度を示す値αが設定される。なおここでのαは、0および255のみが使用されるものとする。
【0064】
このようなクロマキーマスクを使用することにより、詳しくはステップS407,S408において後述するように、撮影画像の非透明領域(α=255)に相当する(利用者が適宜選択した)背景画像の領域は隠され(マスクされ)、その透明領域(α=0)に相当する背景画像の領域は見えるように合成される。そのため、あたかも対象となる撮影画像の非透明領域の部分が切り取られ、切り取られた当該部分が上記背景画像に対して貼り付けられたような合成画像が得られる。
【0065】
次にステップS404において、前述したステップS401と同様に、主制御部80は、前述したステップS20により取得される撮影画像から予め定められた第2の領域を切り出す(複製する)。なお、このことにより撮影画像自体に変化が生じないことは前述した。
【0066】
続いてステップS405において、主制御部80は、切り出された第2の領域101bの画像に対して所定の第2の画像補正を行う。この第2の画像補正は、第1の画像補正とは異なる画像補正であって、第1の画像補正とは異なり省略できないものである。以下、詳しく説明する。
【0067】
この第2の画像補正は、クロマキー合成における(最適化のための)前処理としての周知の画像補正と、第2の領域101bに対応する床面120がカメラ10の撮影方向に対して所定の角度を有している(すなわち略垂直方向から傾いている)ために生じる領域内の色変化を補正する画像補正とを含んでいる。
【0068】
まず、この第2の画像補正に含まれるクロマキー合成における(最適化のための)前処理としての周知の画像補正は、切り出された画像(ここでは第2の領域、さらに具体的には第2の領域に含まれる床面120の像)の色相や明るさなどに応じて、第1の画像補正と同様の手法で行われるが、これと同一内容の画像補正ではない。なぜなら、第1および第2の領域101a,101bに対応する背面110および床面120の色合いは、カメラ10の撮影方向に対する角度の違いから互いに同一とはならないからである。また、背面110と床面120との材質の違いなどを考慮しても背面110および床面120の色合いはやはり同一とはならない。
【0069】
また、この第2の画像補正に含まれる領域内の色変化を補正する画像補正は、第1の画像補正において必要がない。なぜなら、この色変化は、第2の領域101bに対応する床面120がカメラ10の撮影方向に対して略垂直方向でないこと、および床面120が照明の投射方向に対して略垂直の面からかなり傾いている(浅い角度しかない)ので、照明に近い部分が明るく、照明に遠い部分(すなわち背面110に近い部分)が暗くなること、などの理由により生じるからである。この色合いの変化は、典型的には位置に応じた連続的な変化(グラデーション)となる。よって、この変化を補償(解消)するように定められた補正用テーブル、補正用画素マップ、または数式などを使用することにより、クロマキー処理のための理想的な均一性および色合いを有する画像となるように第2の領域を補正することができる。なお、上記変化を補償するテーブルや数式は、筐体の形状、材質、カメラや照明の位置などに基づき、3次元グラフィックス(例えばレイトレーシング等)や各種シミュレーションなどの周知の手法により比較的容易に算出することができるが、実測値に基づいて算出されてもよい。なお、この補償のための画像を適宜取得する手法については変形例において後述する。
【0070】
続いて、ステップS406において、主制御部80は、ステップS405において画像補正された第2の領域のための第2のクロマキーマスクを作成する。この第2のクロマキーマスクも、第1のクロマキーマスクと同様に周知の合成マスク(アルファチャネル)であって、対象となる画像(ここでは第2の領域)のうちのキー色を有する領域、すなわち第2の領域に含まれる床面120の像が占める領域を透明とし、それ以外の領域を非透明とするためのデータである。なお、この第2のクロマキーマスクを作成するためのキー色は、青色または緑色ではあるが、第1のクロマキーマスクを作成するためのキー色と同一ではない。前述したように床面120はカメラ10の撮影方向や各種照明の投射方向に対して所定の角度を有しているので、これらに対してほぼ垂直な背面110とは同じ色合いとはならないからである。もっとも、ステップS402,S405における画像補正より、これらの色合いを同一色とする場合には同一のキー色となるが、詳しい変形例については後述する。
【0071】
次に、ステップS407において、主制御部80は、メイン表示・操作部62に予め作成された複数の背景画像の一部または全部を表示し、利用者による選択をメイン表示・操作部62より受け付ける。具体的には、液晶タッチパネル20に様々な背景画像が表示され、利用者Uにより、液晶タッチパネル20でこれらの背景画像のうちの1つを選択する(すなわち画面のカーソルを動かしたりパネルを指で押したりすることにより確定させる)操作が行われる。このことにより、利用者は自ら選択した付加画像を(仮想的な)背景画像とした合成画像を得ることができるので、本装置の遊戯性を高めることができる。
【0072】
続いて、ステップS408において、主制御部80は、ステップS403,S406において作成された第1および第2のクロマキーマスクを適用することにより、ステップS407において利用者により選択された付加画像としての背景画像を、ステップS20において取得された撮影画像に対してクロマキー合成することにより、出力すべき合成画像を作成する。その後クロマキー処理は終了し、図4に示す処理に復帰する。
【0073】
<4. 効果>
上記のように本実施形態によれば、利用者Uの背後に設けられた背面110と、当該背面110とは異なる撮影範囲内の部分である床面120とにキー色を付し、それらが異なる色合いとなる場合であっても、それぞれに対応するクロマキーマスクを作成し、クロマキー処理を行うことができる。
【0074】
<5. 変形例>
<5.1 第1の主たる変形例>
上記実施形態では、ステップS405において第2の画像補正に含まれる領域内の色変化を補正する画像補正が行われ、この変化を補償(解消)するように定められた補正用テーブル、補正用画素マップ、または数式などが使用されることにより、クロマキー処理のための理想的な均一性および色合いを有する画像となるように第2の領域が補正される構成であるが、この構成に代えて、本第1の主たる変形例では、この補償のために使用される(基準となる)画像を適宜取得する構成である。以下、図7を参照して説明する。
【0075】
図7は、補償のために使用される基準となる背景撮影画像を取得するための、主制御部80の動作の手順を示すフローチャートである。本変形例では、この図7に示す主制御部80の動作は前述した図4に示す動作と並行して行われる。もっとも、以下に説明するように実際に並行して動作するのは不使用時間検出処理とその判定処理のみである。
【0076】
図7に示されるステップS71において、主制御部80は、利用者Uにより装置が使用されない時間の経過時間を検出する。具体例としては、コイン投入口26に所定のコインが投入されて図4に示す一連の処理が終了した後から、次のコインが投入されて一連の処理が開始されるまでの装置が使用されない経過時間が計測される。
【0077】
次に、ステップS72において、主制御部80は、ステップS71において計測された経過時間が所定の時間を超えて(しばらくは利用者Uにより利用されないであろう)十分な時間を経過したか否かを判定し、十分な時間が経過した場合には続くステップS73の処理に進み、十分な時間が経過していない場合にはステップS71の検出処理に戻り十分な時間が経過するまで処理が繰り返される(S72→S71→S72)。
【0078】
続いて、ステップS73において、主制御部80は、背景となるべき背面110および床面120を自動的に撮影することにより背景撮影画像を取得する。このとき不使用時間が十分に経過しているので利用者Uは筐体内部にほぼ確実にいないと推測されるが、本撮影処理の直前に筐体内に入ってくることも考えられるので、本撮影処理において得られる背景撮影画像に利用者Uが含まれている場合もまれに考えられる。この利用者Uが含まれている画像を背景撮影画像としてクロマキー処理の対象とすれば背景が異常となるので得られる合成画像は異常なものとなる。
【0079】
そこで、ステップS74において、主制御部80は、背景撮影画像に背景となるべき背面110および床面120の青色または緑色とは大きく異なる異常色、典型的には利用者Uの肌色が含まれているか否かを検出する。
【0080】
続いて、ステップS75において、主制御部80は、ステップS74において異常色が検出されたか否かを判定し、異常色が検出された場合には(利用者Uを検知しているので不使用時間をゼロにリセットした後)ステップS71の処理に戻り、上記不使用時間が経過して再度撮影された背景撮影画像に異常色が含まれない状態となるまで上記処理が繰り返される(S75→S71→…→S75)。また、上記判定の結果、異常色が検出されない場合には当該背景撮影画像を保存し、不使用時間をゼロにリセットした後ステップS71の処理に戻る。
【0081】
こうして保存された背景撮影画像は、ステップS405において第2の画像補正に含まれる領域内の色変化を補正する画像補正に使用される。例えば、この背景撮影画像の色変化を打ち消すように各画素毎に色合いを補正するための補正データを含む補正用画素マップを背景撮影画像に基づき作成し、このマップに基づきクロマキー処理のための理想的な均一性および色合いを有する画像となるように第2の領域が補正される。なお、この背景撮影画像は、このステップS405またはステップS402において、クロマキー合成における(最適化のための)前処理としての画像補正のために使用されてもよい。また、上記構成に代えて、撮影画像から上記背景撮影画像を差し引くことにより得られる差分画像が人物の画像に対応することを利用して合成画像を作成してもよい。この場合、差分画像に対応するマスクはクロマキーマスクではないので、クロマキー処理が必要とはならないが、このような合成画像の作成処理はキー色を使用しない点を除いてクロマキー処理とほぼ同視できる。
【0082】
この構成により、第1および第2の領域101a,101bに対応する背面110および床面120のカメラ10の撮影方向に対する角度の違い、材質の違い、または汚れ方等の違い(すなわち床面120は利用者Uに踏まれることにより汚れて色がくすんだり摩耗して色がうすくなったりしやすいという違い)がほぼ完全に補償され、クロマキー処理のための理想的な均一性および色合いを有する画像となるように第2の領域を補正することができる。
【0083】
<5.2 第2の主たる変形例>
上記実施形態では、例えば図6に示されるように撮影範囲101には、利用者Uのほか、背面110および床面120のみが含まれているが、カメラ10の画角や設置位置などによっては筐体の内面のうちのその他の面が撮影される場合がある。以下、図8および図9を参照して説明する。
【0084】
図8は、本第2の主たる変形例における自動写真作成装置を側面から見た図である。図1に示される上記実施形態における自動写真作成装置と比較すればわかるように、本変形例の装置では、カメラ10が天面近傍に設置されており、利用者Uを上から見下ろすように撮影することができる。
【0085】
図9は、撮影室内の利用者をカメラにより撮影するときの撮影範囲を示す図である。図6に示される撮影範囲101と比較すればわかるように、図9に示される撮影範囲201には、背面110および床面120の他、右側面130、左側面140、および天面150が含まれている。
【0086】
このように本変形例では、第1の領域として背面110が含まれ、第2の領域102として床面120が含まれる上記実施形態の構成よりもさらに多くの面が撮影範囲201には含まれるが、このような場合であっても上記実施形態の構成を応用することにより容易に各面の色合いの変化を補償することができる。すなわち、図5に示されるステップS404〜S406までの処理を床面120に対応する第2の領域だけでなく、右側面130、左側面140、および天面150にそれぞれ対応する第3ないし第5の領域について同様に処理することにより、ステップS408において各面に対応したクロマキー処理を行うことができる。
【0087】
<5.3 その他の変形例>
上記実施形態では、背面110および床面120には同一の色が付され、結果的に色合いが異なる状態となっているが、これらの面に付される色は必ずしも同一である必要はなく、例えば背面110には青色が付され、床面120には緑色が付されていてもよい。なお、結果的に色合いが同一の状態となる場合であっても、上記実施形態の構成により同様にクロマキー処理は可能であるが、この場合には周知の構成により同様のクロマキー処理が可能である。
【0088】
上記実施形態では、ステップS403において使用されるキー色と、ステップS406において使用されるキー色とは異なるが、ステップS402において第1の領域において背面110が占める領域の色を第2の領域において床面120が占める領域の色となるように画像補正するか、または、ステップS405において第2の領域において床面120が占める領域の色を第1の領域において背面110が占める領域の色となるように画像補正すれば使用されるキー色を同一にすることができる。また、ステップS402,S405において所定の理想的なキー色になるよう背面110および床面120が占める領域の色を画像補正することによりキー色を同一にすることができる。このようにキー色を同一にすることにより、ステップS403,S406においてそれぞれ各領域毎にクロマキーマスクを作成する必要がなく、例えばステップS406において第1および第2の領域に共通の1つのクロマキーマスクを作成すればよいので、処理を簡単にすることができる。
【0089】
上記実施形態では、筐体の内側平面にキー色が付される構成であるが、筐体の内面以外の平面または曲面(例えば椅子や装飾板など)や、撮影範囲に設けられるカーテンなどにキー色が付される構成であってもよい。
【0090】
上記実施形態では、図7に示されるステップS71において不使用経過時間が検出され、ステップS72においてその経過が判定されるが、もちろんこれは一例であって、例えば数日に1回、例えば装置起動時や終了時にステップS74における撮影処理が行われてもよいし、前回撮影時から数日ないし数ヶ月が経過した後の時点(好ましくは不使用であることが推測される時点、例えば不使用経過時間が経過後、装置起動時、または装置終了時など)において撮影処理が行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態に係る写真作成装置の側面図である。
【図2】上記実施形態に係る写真作成装置の本体部を示す正面図である。
【図3】上記実施形態に係る写真作成装置の要部を機能面から見た構成を示すブロック図である。
【図4】上記実施形態に係る写真作成装置における主制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】上記実施形態におけるクロマキー処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】上記実施形態における撮影室内の利用者をカメラにより撮影するときの撮影範囲を示す図である。
【図7】上記実施形態の第1の主たる変形例において、背景撮影画像を取得するための主制御部の動作の手順を示すフローチャートである。
【図8】上記実施形態の第2の主たる変形例における写真作成装置の側面図である。
【図9】上記変形例における撮影室内の利用者をカメラにより撮影するときの撮影範囲を示す図である。
【図10】従来の例における撮影室内の利用者をカメラにより撮影するときの撮影範囲を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
2 …撮影室
4 …本体部
10 …カメラ
11 …フラッシュ
20 …液晶タッチパネル
52 …撮影部(カメラ)
54 …確認表示部(プレビューモニタ)
62 …メイン表示・操作部(液晶タッチパネル)
66 …出力部(プリンタ)
70 …照明部
72 …I/O制御部(I/O制御装置)
80 …主制御部(主制御装置)
101,201 …撮影範囲
110 …背面
120 …床面
130 …右側面
140 …左側面
150 …天面
U …利用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の撮影領域における被写体である利用者を含む像を取得する撮影手段と、前記撮影手段により得られる撮影画像を含む合成画像を写真として出力する出力手段とを備える自動写真作成装置であって、
前記撮影手段による撮影対象であって、第1の色を付された第1の被撮影面および第2の色を付された第2の被撮影面を有する背景提示手段と、
前記撮影画像のうち前記第1の被撮影面の像を含む第1の領域に対して、前記第1の被撮影面の像が占める領域の色に応じた画像補正を行い、またはさらに前記撮影画像のうち前記第2の被撮影面の像を含む第2の領域に対して、前記第2の被撮影面の像が占める領域の色に応じた画像補正を行うことにより、前記第1の被撮影面の像が占める領域の色および前記第2の被撮影面の像が占める領域の色に対応する所定のクロマキーマスクを作成するマスク作成手段と、
前記マスク作成手段により作成されたクロマキーマスクを使用することにより、前記撮影画像に対して所定の付加画像を合成するクロマキー処理を行うことにより、前記合成画像を生成するクロマキー処理手段と
を備えることを特徴とする、自動写真作成装置。
【請求項2】
前記第1および第2の色は、略同一であり、
前記第1および第2の被撮影面の像が占める領域の色は、異なることを特徴とする、請求項1に記載の自動写真作成装置。
【請求項3】
前記マスク作成手段は、前記画像補正を行うことにより、前記第1および第2の被撮影面の像が占める領域を同一色とし、前記同一色の領域に対応する所定のクロマキーマスクを作成することを特徴とする、請求項1に記載の自動写真作成装置。
【請求項4】
前記第1の被撮影面は、前記撮影手段の撮影方向に対して略垂直方向に沿った平面とは異なる面を有しており、
前記マスク作成手段は、前記第1の被撮影面の像が占める領域の色の変化が解消されるよう前記第1の領域に対して所定の画像補正を行うことを特徴とする、請求項1に記載の自動写真作成装置。
【請求項5】
前記第1の被撮影面は、前記撮影手段の撮影方向に対して略垂直方向に沿った面から傾いており、
前記マスク作成手段は、前記第1の被撮影面の有する傾きに応じて変化する前記第1の被撮影面の像が占める領域の色の変化が解消されるよう前記第1の領域に対して所定の画像補正を行うことを特徴とする、請求項4に記載の自動写真作成装置。
【請求項6】
前記第1の被撮影面は、前記利用者が内部に入るべき筐体の内面のうち、前記利用者下方に設けられる床面、前記利用者上方に設けられる天面、前記利用者の左側に設けられる左側面、および前記利用者の右側に設けられる右側面のいずれか1つ以上であり、
前記第2の被撮影面は、前記筐体の内面のうち、前記撮影手段の設置位置を起点として前記利用者の背後方向に設けられる背面であることを特徴とする、請求項5に記載の自動写真作成装置。
【請求項7】
予め定められた複数の画像から前記所定の付加画像を選択するための利用者による操作入力を受け付ける操作入力手段をさらに備え、
前記クロマキー処理手段は、前記撮影画像に対して前記操作入力手段により受け付けられた付加画像を合成するクロマキー処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の自動写真作成装置。
【請求項8】
前記マスク作成手段により行われる画像補正のための基準となる画像であって、前記第1および第2の領域が含まれ、前記利用者が被写体に含まれない背景撮影画像を、所定の時点で前記撮影手段により取得するサンプリング手段をさらに備え、
前記マスク作成手段は、前記サンプリング手段により取得された前記背景撮影画像のうち前記第1の被撮影面の像が占める領域の色に基づき、またはさらに前記背景撮影画像のうち前記第2の被撮影面の像が占める領域の色に基づき、前記画像補正を行うことを特徴とする、請求項1に記載の自動写真作成装置。
【請求項9】
前記サンプリング手段により取得された背景撮影画像に前記利用者の像に含まれるべき色が含まれる異常を検出するエラー検出手段をさらに備え、
前記マスク手段は、前記エラー検出手段により異常が検出される場合、異常が検出された背景撮影画像を前記画像補正に使用しないことを特徴とする、請求項8に記載の自動写真作成装置。
【請求項10】
所定の撮影領域における被写体である利用者を含む像を取得する撮影ステップと、前記撮影ステップにおいて得られる撮影画像を含む合成画像を写真として出力する出力ステップとを備える自動写真作成方法であって、
前記撮影ステップにおける撮影対象であって、第1の色を付された第1の被撮影面および第2の色を付された第2の被撮影面を有する背景提示手段における前記第1の被撮影面の像を含む第1の領域に対して、前記第1の被撮影面の像が占める領域の色に応じた画像補正を行い、またはさらに前記第2の被撮影面の像を含む第2の領域に対して、前記第2の被撮影面の像が占める領域の色に応じた画像補正を行うことにより、前記第1の被撮影面の像が占める領域の色および前記第2の被撮影面の像が占める領域の色に対応する所定のクロマキーマスクを作成するマスク作成手ステップと、
前記マスク作成ステップにおいて作成されたクロマキーマスクを使用することにより、前記撮影画像に対して所定の付加画像を合成するクロマキー処理を行うことにより、前記合成画像を生成するクロマキー処理ステップと
を含むことを特徴とする、自動写真作成方法。
【請求項11】
請求項10に記載の自動写真作成方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−79185(P2008−79185A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258365(P2006−258365)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(597047392)辰巳電子工業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】