説明

自動分析装置

【課題】小型化を図る上で好適な構成を有する自動分析装置を提供する。
【解決手段】検体を吐出または吸引する検体ノズルと、検体ノズルの一端を取り付け、この取り付けた検体ノズルの長手方向と平行な軸に対して回転可能であり、検体ノズルを移送する検体ノズル移送手段とを有する検体分注機構と、試薬を吐出または吸引する試薬ノズルと、試薬ノズルの一端を取り付け、この取り付けた試薬ノズルの長手方向と平行な軸であって検体ノズル移送手段が有する回転軸と一致する軸に対して検体ノズル移送手段と独立に回転可能であり、試薬ノズルを移送する試薬ノズル移送手段とを有する試薬分注機構と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって検体の成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって検体の成分を分析する自動分析装置では、複数の反応容器が円周上に並べて配置され、この円周上の所定の位置で検体および試薬をそれぞれ分注する検体分注機構および試薬分注機構が設けられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3436095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の自動分析装置では、検体分注機構および試薬分注機構がそれぞれ別個に設けられるため、装置の小型化を図る上での障害となっていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型化を図る上で好適な構成を有する自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る自動分析装置は、検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって前記検体の成分を分析する自動分析装置であって、検体を吐出または吸引する検体ノズルと、前記検体ノズルの一端を取り付け、この取り付けた前記検体ノズルの長手方向と平行な軸に対して回転可能であり、前記検体ノズルを移送する検体ノズル移送手段とを有する検体分注機構と、試薬を吐出または吸引する試薬ノズルと、前記試薬ノズルの一端を取り付け、この取り付けた前記試薬ノズルの長手方向と平行な軸であって前記検体ノズル移送手段が有する回転軸と一致する軸に対して前記検体ノズル移送手段と独立に回転可能であり、前記試薬ノズルを移送する試薬ノズル移送手段とを有する試薬分注機構と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記検体ノズル移送手段は、前記検体ノズルを取り付ける検体ノズル取付アームを含む複数の検体分注用アームと、互いに隣接する前記検体分注用アームを回転可能に連結する複数の検体分注用アーム連結部とを有し、前記試薬ノズル移送手段は、前記試薬ノズルを取り付ける試薬ノズル取付アームを含む複数の試薬分注用アームと、互いに隣接する前記試薬分注用アームを回転可能に連結する複数の試薬分注用アーム連結部とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記検体ノズル移送手段および前記試薬ノズル移送手段は、前記回転軸と平行な方向に連動することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記検体ノズルの先端の高さと前記試薬ノズルの先端の高さは略一致することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記検体ノズルの先端が最下点に達しても他の部材と接触しない領域であって、少なくとも前記試薬分注機構が試薬の吸引動作を行う間、前記検体ノズルが退避する領域である検体ノズル退避領域と、前記試薬ノズルの先端が最下点に達しても他の部材と接触しない領域であって、少なくとも前記検体分注機構が検体の吸引動作を行う間、前記試薬ノズルが退避する領域である試薬ノズル退避領域と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記試薬分注機構は、検体と試薬とを反応させる反応容器を洗浄する際、当該洗浄後の分析工程において最初に前記反応容器へ分注する試薬を洗浄液として前記反応容器に吐出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検体を吐出または吸引する検体ノズルと、検体ノズルの一端を取り付け、この取り付けた検体ノズルの長手方向と平行な軸に対して回転可能な検体ノズル移送手段とを有する検体分注機構と、試薬を吐出または吸引する試薬ノズルと、試薬ノズルの一端を取り付け、この取り付けた試薬ノズルの長手方向と平行な軸であって検体ノズル移送手段が有する回転軸と一致する軸に対して検体ノズル移送手段と独立に回転可能であり、試薬ノズルを移送する試薬ノズル移送手段とを有する試薬分注機構と、を備えたため、検体分注機構と試薬分注機構とを別個に設ける場合と比較してスペースを節約することができ、装置の小型化を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以後、「実施の形態」と称する)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面はあくまでも模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の構成を示す図である。同図に示す自動分析装置1は、血液や体液等の検体(試料)とその検体の検査項目に応じた試薬とを所定の反応容器へそれぞれ分注し、その反応容器内で反応した液体に対して光学的な測定を行う測定ユニット101と、測定ユニット101を含む自動分析装置1の制御を行うとともに測定ユニット101における測定結果の分析を行うデータ処理ユニット201とを有し、これら二つのユニットが連携することによって複数の検体の生化学的な分析を自動的かつ連続的に行う装置である。なお、ここでいう「液体」には、微量の固体成分を含有する液体も含まれる。
【0015】
測定ユニット101は、検体を収容する検体容器41を保持する検体容器ホルダ11と、試薬を収容する試薬容器43を複数個保持する試薬容器ホルダ12と、検体と試薬とを反応させる反応容器44を保持する反応容器ホルダ13と、検体および試薬を反応容器44へそれぞれ分注する分注装置14と、反応容器44の内部の液体を攪拌する攪拌部15と、反応容器44へ光を照射し、この照射した光のうち反応容器44を透過した光を光学的に測定する測光部16と、イオン交換水等から成る洗浄液を用いて反応容器ホルダ13上の反応容器44の洗浄を行う反応容器洗浄部17と、を備える。
【0016】
検体容器ホルダ11は、複数の検体容器41を長手方向に沿って一列に並べて保持するラック42を、その長手方向と直交するラック42の短手方向に沿って複数個並べて保持している。
【0017】
試薬容器ホルダ12は、複数の試薬容器43をマトリックス状に並べて配置した状態で保持している。試薬容器ホルダ12の内部は、試薬の劣化や変性を抑制するために室温よりも低温に設定される。
【0018】
検体容器ホルダ11および試薬容器ホルダ12は、ラック42および試薬容器43をそれぞれ移送する機構を有しておらず、検体容器41および試薬容器43をそれぞれ静止した状態で保持している。
【0019】
反応容器ホルダ13は、複数の反応容器44を円周に沿って並べて配置している。反応容器ホルダ13は、反応容器44を並べて配置している円周方向に回転可能であり、その内部の温度は37℃程度で一定に保たれている。
【0020】
図2は、分注装置14の要部の構成を示す図である。分注装置14は、検体容器ホルダ11が保持する検体容器41に収容された検体を反応容器44へ分注する検体分注機構18と、試薬容器ホルダ12が保持する試薬容器43に収容された試薬を反応容器44へ分注する試薬分注機構19とを備える。
【0021】
検体分注機構18は、検体容器41が収容する検体の吸引および吐出を行う細管状の検体ノズル18nと、先端部に検体ノズル18nの端部を取り付ける検体ノズル取付アーム501と、検体ノズル取付アーム501の基端側に位置する基端側アーム502と、検体ノズル取付アーム501を基端側アーム502に対して回転可能に連結するアーム連結部503と、基端側アーム502の基端部を支持する支持部504と、支持部504の昇降および軸O1の回りの回転を行うことによって基端側アーム502を回転駆動するアーム駆動部505と、アーム連結部503の軸O2の回りの回転を行うことによって検体ノズル取付アーム501を基端側アーム502に対して回転駆動するアーム駆動部506と、を有する。アーム駆動部505、506は、データ処理ユニット201が有する制御部34の制御のもと駆動する。
【0022】
試薬分注機構19は、検体分注機構18と同様の構成を有している。すなわち、試薬分注機構19は、試薬容器43が収容する試薬の吸引および吐出を行う細管状の試薬ノズル19nと、先端部に試薬ノズル19nの端部を取り付ける試薬ノズル取付アーム601と、試薬ノズル取付アーム601の基端側に位置する基端側アーム602と、試薬ノズル取付アーム601を基端側アーム602に対して回転可能に連結するアーム連結部603と、基端側アーム602の基端部を支持する支持部604と、支持部604の昇降および軸O1の回りの回転を行うことによって基端側アーム602を回転駆動するアーム駆動部605と、アーム連結部603の軸O3の回りの回転を行うことによって試薬ノズル取付アーム601を基端側アーム602に対して回転駆動するアーム駆動部606と、を有する。支持部604は、検体分注機構18の支持部504と上下方向に連動するが、軸O1の周りの回転は、支持部504とは独立に行うことができる。アーム駆動部605、606は、データ処理ユニット201が有する制御部34の制御のもと駆動する。
【0023】
試薬ノズル19nの先端の高さは、検体ノズル18nの先端の高さとほぼ同じである。換言すれば、試薬ノズル19nの長さは、検体ノズル18nの長さと異なる。
【0024】
測定ユニット101には、検体ノズル18nを洗浄する検体ノズル洗浄部20と、試薬ノズル19nを洗浄する試薬ノズル洗浄部21とが設けられている。
【0025】
図3は、検体分注機構18のより詳細な構成を模式的に示す図である。検体ノズル18nの上端には、吸引または吐出の際に検体ノズル18nの先端(下端)に圧力を伝達する洗浄液Lqの流路となる管状のチューブ507が接続されている。このチューブ507の他端は、吸引または吐出の際に洗浄液Lqを介して伝達する圧力を発生するシリンジ508に接続される。シリンジ508は、シリンダ508aとピストン508bとを備え、ピストン駆動部509の駆動によってピストン508bが移動する。シリンジ508は、チューブ507とは異なるチューブ510にも接続されている。チューブ510の他端には電磁弁511が接続されている。電磁弁511は、チューブ512を介してポンプ513に接続されており、ポンプ513はチューブ514を介して洗浄液Lqを収容する洗浄液タンク515に接続されている。ピストン駆動部509、電磁弁511およびポンプ513は、データ処理ユニット201が有する制御部34の制御のもと駆動する。
【0026】
検体ノズル18n、シリンダ508a、チューブ507、510、512および514は、各々の内部が洗浄液Lqで満たされており、検体Spの吸引または吐出を行う際には、ピストン駆動部509が駆動してピストン508bを移動させることにより、洗浄液Lqを介して検体ノズル18nの先端部に適当な吸引圧または吐出圧を印加する。検体ノズル18nの先端部では、洗浄液Lqと検体Spとの間に空気層が介在するため、検体Spを吸引したときに検体Spが洗浄液Lqと混合することはない。
【0027】
試薬分注機構19も、以上説明した検体分注機構18と同様、シリンジによる吸排機構を具備しており、データ処理ユニット201の制御部34の制御のもと、試薬の分注動作を行う。
【0028】
なお、検体分注機構18および試薬分注機構19に対して、検体ノズル18nおよび試薬ノズル19nの各下端で液面を検知するために、例えば静電容量方式の液面検知機構を設けることも可能である。
【0029】
データ処理ユニット201は、キーボードやマウスなどを有し、検体の分析に必要な情報や自動分析装置1の操作情報が入力される入力部31と、液晶等のディスプレイ装置やプリンタを有し、検体の分析に関する情報等を出力する出力部32と、測定ユニット101における測定結果に基づいて検体の分析データを生成するデータ生成部33と、自動分析装置1の制御を行う制御部34と、測定ユニット101の測定結果に基づいた演算結果を含む各種情報を記憶する記憶部35と、を備える。
【0030】
データ生成部33は、測光部16から送られてくる測定結果に基づいて反応容器44内部の液体の吸光度を算出したり、吸光度の算出結果と検量線や分析パラメータ等の各種情報とを用いて反応容器44内部の液体の成分を算出したりする。
【0031】
記憶部35は、データ生成部33が生成した分析データのほか、分析項目、検体情報、試薬の種類、検体や試薬の分注量、検体や試薬の有効期限、分析に使用する検量線に関する情報、分析に必要なパラメータなどを記憶する。
【0032】
以上の構成を有するデータ処理ユニットは201は、CPU,ROM,RAM等を具備したコンピュータによって実現される。
【0033】
図4および図5は、測定ユニット101が検体を分注する際の分注装置14の動作を説明する図である。まず、検体分注機構18は、分注対称の検体を収容する検体容器41の上方に検体ノズル18nを移送し、検体ノズル18nの先端を検体容器41の内部へ挿入して検体を吸引するために支持部504を下降させる。
【0034】
支持部504が下降する際、試薬分注機構19の支持部604も連動して下降するため、試薬ノズル19nの先端が試薬容器ホルダ12の上方に位置していたりすると、試薬ノズル19nの先端が試薬容器43などに接触して曲がってしまう恐れがある。そこで、測定ユニット101の表面に、試薬ノズル19nの先端が到達可能な最下点まで下降しても他の部材と接触しない領域(試薬ノズル退避領域D1)を設けておき、検体分注機構18が検体の分注を行う前に、試薬ノズル19nの先端を試薬ノズル退避領域D1の上方へ移動する。試薬分注機構19は、検体分注機構18が検体を分注している間、試薬ノズル19nを試薬ノズル退避領域D1内で静止させておく。
【0035】
検体分注機構18は、2つのアームから構成されているため、支持部504から検体ノズル18nまでの腕の長さを変更可能である。このため、検体分注機構18は、支持部504から検体ノズル18nまでの腕の長さを調整することにより、検体容器ホルダ11が保持する全ての検体容器41に対して検体ノズル18nを到達させることができる(図4を参照)。また、検体容器ホルダ11とは離れた位置にある検体ノズル洗浄部20に対しても検体ノズル18nを到達させることができる。
【0036】
この後、検体ノズル18nによって所定量の検体を吸引した検体分注機構18は、検体ノズル18nを反応容器ホルダ13上の検体分注位置Aまで移送し、検体を反応容器44へ吐出する(図1を参照)。本実施の形態において、検体分注機構18は2本のアームによって構成されているため、図1に示す検体分注位置A以外の場所で分注するように設定することも可能である。
【0037】
なお、検体を吸引した状態で検体ノズル18nを検体分注位置まで移送する際には、吸引した検体を収容する検体容器41が搭載されているラック42とこのラック42に隣接するラック42との間であり、かつ検体容器41の上端よりも低い位置を通過するようにするとよい。このようにすると、検体ノズル18nの先端から検体Spが落下したとしても、その落下した検体が飛散して他の検体容器41の中に入ってしまうことがない。したがって、検体ノズル18nの移動時における検体間のコンタミネーションを確実に防止することができる。
【0038】
図6〜図8は、測定ユニット101が試薬を分注する際の分注装置14の動作を説明する図である。まず、試薬分注機構19は、分注対象の試薬を収容する試薬容器43の上方に試薬ノズル19nを移送し、試薬ノズル19nの先端を試薬容器43の内部へ挿入して試薬を吸引するために支持部604を下降させる。支持部604が下降する際、検体分注機構18の支持部504も連動して下降するため、検体ノズル18nの先端が検体容器ホルダ11の上方に位置していたりすると、検体ノズル18nの先端が検体容器41などに接触して曲がってしまう恐れがある。そこで、測定ユニット101の表面に、検体ノズル18nの先端が到達可能な最下点まで下降しても他の部材と接触しない領域(検体ノズル退避領域D2)を設けておき、試薬分注機構19が試薬の分注を行う前に、検体ノズル18nの先端を検体ノズル退避領域D2の上方へ移動する。検体分注機構18は、試薬分注機構19が試薬を分注している間、検体ノズル18nを検体ノズル退避領域D2内で静止させておく。
【0039】
試薬分注機構19も検体分注機構18と同様に2つのアームから構成されているため、支持部604から試薬ノズル19nまでの腕の長さを変更可能である。このため、試薬分注機構19は、支持部604から検体ノズル18nまでの腕の長さを調整することにより、検体容器ホルダ11が保持する全ての検体容器41に対して検体ノズル18nを到達させることができる(図6を参照)。また、検体容器ホルダ11とは離れた位置にある試薬ノズル洗浄部21に対しても試薬ノズル19nを到達させることができる。
【0040】
試薬ノズル19nによって所定量の試薬を吸引した試薬分注機構19は、その後、図8に示すように、試薬ノズル19nを反応容器ホルダ13上の試薬分注位置Bまで移送し、試薬を反応容器44へ吐出する。なお、試薬分注位置B以外の場所で試薬を分注することも可能である。
【0041】
試薬を吸引した状態で試薬ノズル19nを試薬分注位置まで移送する際には、試薬容器43の間を通過し、かつ試薬ノズル19nの先端が試薬容器43の上端よりも低い位置を通過するようにすれば、試薬ノズル19nから試薬が落下したとしても、他の試薬容器43に試薬が入ってしまうことがない。したがって、試薬ノズル19n移動時における試薬間のコンタミネーションを確実に防止することができる。
【0042】
ところで、以上の説明では、検体分注時に試薬ノズル19nを試薬ノズル退避領域D1に退避させたままの状態にしておく一方、試薬分注時に検体ノズル18nを検体ノズル退避領域D2に退避させたままの状態にしておいたが、検体と試薬の分注方法はこれに限られるわけではない。例えば、検体ノズル18nの先端の高さと試薬ノズル19nの先端の高さはほぼ同じであり、かつ検体ノズル18nと試薬ノズル19nは上下方向に連動して動くことができることに鑑みて、検体ノズル18nにおける検体の吸引と試薬ノズル19nにおける試薬の吸引を順次行った後、図9に示すように、検体および試薬を異なる反応容器44へ同時に吐出するようにしてもよい。これにより、分析時間を短縮化して、一段と効率がよい分析を行うことができる。
【0043】
以上説明した本発明の一実施の形態によれば、検体を吐出または吸引する検体ノズルと、検体ノズルの一端を取り付け、この取り付けた検体ノズルの長手方向と平行な軸に対して回転可能な検体ノズル移送手段とを有する検体分注機構と、試薬を吐出または吸引する試薬ノズルと、試薬ノズルの一端を取り付け、この取り付けた試薬ノズルの長手方向と平行な軸であって検体ノズル移送手段が有する回転軸と一致する軸に対して検体ノズル移送手段と独立に回転可能であり、試薬ノズルを移送する試薬ノズル移送手段とを有する試薬分注機構と、を備えたため、検体分注機構と試薬分注機構とを別個に設ける場合と比較してスペースを節約することができ、装置の小型化を実現することが可能となる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、検体分注機構や試薬分注機構は連結部を介して二つのアームを用いて構成されるため、検体ノズルや試薬ノズルの移動可能範囲が広がり、検体や試薬を反応容器へ分注することができる位置の自由度が増加する。したがって、検体と試薬との多様な反応時間への対応が可能となる。
【0045】
ここまで、本発明を実施するための最良の形態を説明してきたが、本発明は上述した一実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。図10は、本発明の別な実施の形態に係る自動分析装置が有する測定ユニットの構成を示す図である。同図に示す測定ユニット102は、上述した測定ユニット101の構成に加えて、検体分注機構18が届く範囲に緊急用の検体や精度管理用の検体を収容する検体容器41を搭載したラック42を保持する検体容器ホルダ22と、試薬分注機構19が届く範囲に第2試薬用の試薬容器ホルダ23とをさらに備える。
【0046】
図11は、本発明のさらに別な実施の形態に係る自動分析装置が有する測定ユニットの構成を示すとともにその動作を説明する図である。同図に示す測定ユニット103では、試薬分注機構19における試薬分注位置の設定の自由度が高いことに鑑みて、反応容器44の洗浄液として、洗浄後の分析工程で最初に分注する試薬Rgを適用している。なお、図11では、測光部の記載を省略している。
【0047】
図12は、測定ユニット103の反応容器洗浄部24における反応容器44の洗浄処理の概要を示す図である。図12において、反応容器洗浄部24は、まず吸引用ノズル241によって反応容器44の内部にある検体と試薬の反応液Mを吸引する(工程(I))。
【0048】
続いて、試薬分注機構19の試薬ノズル19nを反応容器44の上方(図11の位置C)へ移送して反応容器44の内部へ先端を挿入し、試薬Rgを吐出する(工程(II))。ここで使用する試薬Rgは、洗浄が終了した反応容器44を用いて行う分析工程において最初に分注する試薬である。
【0049】
この後、反応容器洗浄部24の吸引用ノズル242にて洗浄液としての試薬Rgを吸引する(工程(III))。
【0050】
このように、次の分析工程で分注する試薬を洗浄液として使用することにより、従来のように洗浄液を反応容器44へ吐出するための洗浄液吐出機構が不要となり、装置構成が簡素化され、制御も単純化される。また、洗浄後の反応容器44を乾燥させる工程も不要となる。したがって、装置を一段と小型化することができ、コストの削減を図ることができる。
【0051】
なお、上述した実施の形態では、2つの分注機構を備えた場合を説明したが、3つ以上の分注機構を具備させてもよい。例えば試薬分注機構として、第1試薬用の試薬分注機構と第2試薬用の試薬分注機構を別に設けることも可能である。
【0052】
また、検体分注機構を構成する検体分注用アームの数や試薬分注機構を構成する試薬分注用アームの数は任意であり、その数に応じて検体分注用アーム連結部や試薬分注用アーム連結部の数も変わる(各アーム連結部を有しない場合も含む)。
【0053】
また、検体ノズルや試薬ノズルとして、着脱自在なディスポーザブル方式のノズルを適用してもよい。
【0054】
また、本発明に係る自動分析装置は、検体の生化学的な分析のみならず、検体の免疫学的な分析を行う場合や、検体の遺伝学的な分析を行う場合にも適用することができる。
【0055】
以上の説明からも明らかなように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の構成を示す図である。
【図2】分注装置の要部の構成を示す図である。
【図3】検体分注機構の構成を示す図である。
【図4】検体を吸引する際の分注装置の状態を示す平面図である。
【図5】検体を吸引する際の分注装置の状態を示す側面図である。
【図6】試薬を吸引する際の分注装置の状態を示す平面図である。
【図7】試薬を吸引する際の分注装置の状態を示す側面図である。
【図8】試薬を反応容器へ吐出する際の分注装置の状態を示す平面図である。
【図9】検体と試薬を異なる反応容器へ同時に吐出する状態を示す平面図である。
【図10】本発明の別な実施の形態に係る自動分析装置の要部の構成を示す図である。
【図11】本発明のさらに別な実施の形態に係る自動分析装置の反応容器洗浄時の状態を示す図である。
【図12】本発明のさらに別な実施の形態に係る自動分析装置の反応容器洗浄処理の概要を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 自動分析装置
11、22 検体容器ホルダ
12、23 試薬容器ホルダ
13 反応容器ホルダ
14 分注装置
15 攪拌部
16 測光部
17、24 反応容器洗浄部
18 検体分注機構
18n 検体ノズル
19 試薬分注機構
19n 試薬ノズル
20 検体ノズル洗浄部
21 試薬ノズル洗浄部
31 入力部
32 出力部
33 データ生成部
34 制御部
35 記憶部
41 検体容器
42 ラック
43 試薬容器
44 反応容器
101、102、103 測定ユニット
201 データ処理ユニット
241、242 吸引用ノズル
501 検体ノズル取付アーム(検体分注用アームの例)
502 基端側アーム(検体分注用アームの例)
503 アーム連結部(検体分注用アーム連結部)
504、604 支持部
505、506、605、606 アーム駆動部
507、510、512、514 チューブ
508 シリンジ
508a シリンダ
508b ピストン
509 ピストン駆動部
511 電磁弁
513 ポンプ
515 洗浄液タンク
601 試薬ノズル取付アーム(試薬分注用アームの例)
602 基端側アーム(試薬分注用アームの例)
603 アーム連結部(試薬分注用アーム連結部)
D1 試薬ノズル退避領域
D2 検体ノズル退避領域
Lq 洗浄液
M 反応液
Rg 試薬
Sp 検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって前記検体の成分を分析する自動分析装置であって、
検体を吐出または吸引する検体ノズルと、前記検体ノズルの一端を取り付け、この取り付けた前記検体ノズルの長手方向と平行な軸に対して回転可能であり、前記検体ノズルを移送する検体ノズル移送手段とを有する検体分注機構と、
試薬を吐出または吸引する試薬ノズルと、前記試薬ノズルの一端を取り付け、この取り付けた前記試薬ノズルの長手方向と平行な軸であって前記検体ノズル移送手段が有する回転軸と一致する軸に対して前記検体ノズル移送手段と独立に回転可能であり、前記試薬ノズルを移送する試薬ノズル移送手段とを有する試薬分注機構と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記検体ノズル移送手段は、
前記検体ノズルを取り付ける検体ノズル取付アームを含む複数の検体分注用アームと、互いに隣接する前記検体分注用アームを回転可能に連結する複数の検体分注用アーム連結部とを有し、
前記試薬ノズル移送手段は、
前記試薬ノズルを取り付ける試薬ノズル取付アームを含む複数の試薬分注用アームと、互いに隣接する前記試薬分注用アームを回転可能に連結する複数の試薬分注用アーム連結部とを有することを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記検体ノズル移送手段および前記試薬ノズル移送手段は、前記回転軸と平行な方向に連動することを特徴とする請求項1または2記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記検体ノズルの先端の高さと前記試薬ノズルの先端の高さは略一致することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記検体ノズルの先端が最下点に達しても他の部材と接触しない領域であって、少なくとも前記試薬分注機構が試薬の吸引動作を行う間、前記検体ノズルが退避する領域である検体ノズル退避領域と、
前記試薬ノズルの先端が最下点に達しても他の部材と接触しない領域であって、少なくとも前記検体分注機構が検体の吸引動作を行う間、前記試薬ノズルが退避する領域である試薬ノズル退避領域と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記試薬分注機構は、
検体と試薬とを反応させる反応容器を洗浄する際、当該洗浄後の分析工程において最初に前記反応容器へ分注する試薬を洗浄液として前記反応容器に吐出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−63448(P2009−63448A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231938(P2007−231938)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】