説明

自動分析装置

【課題】個人情報や測定結果に影響を与える設定情報に権限を有しない者がアクセスすることをより確実に防止する自動分析装置を提供する。
【解決手段】被検者から提供された被検試料と試薬とを測定項目に応じて分注して撹拌し、被検試料に含まれる化学成分を分析することで測定結果を得る自動分析装置1は、操作者の着席及び離席を検知する検知手段(受光部23と発光素子24)を有する。そして、表示部16がこの自動分析装置1に記憶されている個人情報や自動分析装置1の測定条件である設定情報を表示しているときに、該検知手段が操作者の離席を検知すると、この画面を非表示にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検試料と試薬とを分注して撹拌し、被検試料に含まれる化学成分を分析する自動分析装置に関し、特に測定結果を含む個人情報や測定結果に影響を与える設定情報に権限を有しない者がアクセスすることを防止する自動分析装置する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、被検試料と試薬とを反応管に分注してその混合液の反応を分析する装置である。生化学検査項目や免疫血清検査項目を測定項目とし、反応管に血清や尿等の被検試料と試薬とを測定項目に応じて分注する。そして、これらを撹拌して反応させた後、透過光を用いて色の濃度の変化を測定することにより検体中の被測定物質の濃度や酵素の活性を測定する。
【0003】
この自動分析装置は、被検試料と試薬の搬送、分注、混合、測定、反応管等の洗浄等を行う各ユニットを有し、メモリに記憶されている設定情報や測定項目情報を参照して各ユニットの駆動を制御することで、被検試料の分析を行う。そして、自動分析装置は、その分析結果を測定結果データとして、その主体を示す測定項目情報と結びつけて記憶し、要求に応じてモニタ等に出力している。
【0004】
設定情報は、各ユニットの駆動量や動作条件等の自動分析装置の振る舞いを決定付ける情報であり、設定情報の変更は測定結果に関わるため、権限を有する者以外が閲覧又は変更することは好ましくない。
【0005】
また、測定項目情報は、被検者の氏名、ID、及び年齢で示される被験者情報と、その被験者情報で示される被験者が提供した被検試料の測定項目を含む。測定項目情報と測定結果データとを結びつけた情報とは、被検者の氏名、ID、及び年齢と、測定項目毎の測定結果とを対応付けた情報である。
【0006】
測定項目情報単体、又は測定結果データ単体では、直ちにその被検者の健康状態が認識できるわけではなく保護されるべき情報とはいえないが、測定項目情報と測定結果データとが結びついた情報は、保護されるべき個人情報であり、権限を有する者以外が閲覧できることは好ましくない。
【0007】
従って、例えば、これらの設定情報や個人情報には、パスワードや生体情報のような認証キーによって、管理者のような権限を持った者として認証されなければ、アクセスできないような仕組みが考えられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
しかし、このようなアクセスコントロールの手法では、この管理者がこれら設定情報屋個人情報を閲覧可能な画面を表示したまま離席した場合に、権限を有しない者がこの画面を盗み見ることが可能となってしまう。
【0009】
そこで、操作が一定時間行われなければ、自動的に設定情報や個人情報を表示する画面を閉じる又は非表示にするという仕組みを併用することが考えられる。
【0010】
しかし、このようなアクセスコントロールの手法を併用しても一定時間が経過する前であれば、権限を有しない者がこの画面を盗み見ることが可能となるため、十分なアクセスコントロールが行われているとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−50242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、個人情報や測定結果に影響を与える設定情報に権限を有しない者がアクセスすることをより確実に防止する自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、被検者から提供された被検試料と試薬とを測定項目に応じて分注して撹拌し、被検試料に含まれる化学成分を分析することで測定結果を得る自動分析装置であって、操作手段と、前記被検者に関する情報と前記測定結果とからなる個人情報を記憶する記憶部と、前記操作手段を用いた操作に応じて選択的に、前記測定項目を登録する第1の画面、被検試料の処理段階を表示する第2の画面、又は前記個人情報を表示する第3の画面を少なくとも表示する表示手段と、操作者の着席及び離席を検知する検知手段と、前記表示手段が前記第3の画面を表示しているときに、前記検知手段が前記操作者の離席を検知すると、前記第3の画面を非表示にさせる表示制御手段と、を備えること、を特徴とする。
【0014】
前記表示制御手段は、前記検知手段が前記操作者の着席を検知し、前記操作手段を用いて前記第3の画面の表示が指示されると、前記表示手段に認証画面を表示させるようにしてもよい(請求項2記載の発明に相当)。
【0015】
前記検知手段は、操作者が着席したときの体軸に交差する直線上に配置される発光素子と受光部であるようにしてもよい(請求項3記載の発明に相当)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、操作者の離席を検知すると、表示している個人情報や設定情報の画面を自動的に閉じることができるので、当該画面を閉じ忘れた場合であっても、これら情報にアクセスする権限を有しない者に閲覧されてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】自動分析装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】操作端末の配置を示す側面図である。
【図3】操作端末の配置を示す背面図である。
【図4】操作端末の詳細構成を示すブロック図である。
【図5】自動分析装置の操作端末のアクセスコントロール処理を示すフローチャートである。
【図6】結果確認画面が表示され、且つ権限所有者が着席しているときの画面表示制御を説明する模式図である。
【図7】結果確認画面が表示されている場合に権限所有者が離席したときの画面表示制御を説明する模式図である。
【図8】権限所有者の離席により結果確認画面が閉じられているときに操作者が着席したときの画面表示制御を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る自動分析装置の好適な各実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1に示す自動分析装置1は、被検試料に含まれる化学成分を分析する装置であり、被検試料と試薬とを分注してその混合液の反応を分析し、分析結果を出力する。被検試料は、分析対象であり、例えば血清や尿等である。試薬は、被検試料の目的の化学成分を反応させる薬品である。
【0020】
この自動分析装置1は、主に分析部11、分析制御部12、データ処理部13、及び操作端末14を備える。
【0021】
分析部11は、被検試料と試薬の分注、分注された溶液の撹拌、混合液の反応の分析等を行う各ユニットで構成され、その各ユニットが駆動することにより、被検試料と試薬とを分注してその混合液の反応を分析する。分析制御部12は、各ユニットのコントローラや駆動モータ等で構成され、設定情報を参照しながら分析部11を構成する各ユニットの駆動を制御する。データ処理部13は、主に演算制御装置(CPU:Central Processing Unit)を含み構成され、分析部11から出力された測定結果データを演算処理して検量線データや分析データを生成する。
【0022】
操作端末14は、所謂コンピュータであり、測定結果データ、検量線データ、及び分析データといった測定結果に関わる情報を記憶し、また操作に応じた画面を表示する。この操作端末14は、被検試料の提供元である患者の個人情報も記憶しており、測定結果に係る情報を記憶する際には、この個人情報と関連づけて記憶する。また、分析制御部12が制御のために参照する設定情報を操作に応じて作成して記憶する。この操作端末14を操作するためには、ユーザ名及び認証キーの組み合わせでアクセスコントロールされたシステムにログインする必要がある。
【0023】
図2は、操作端末14の配置を示す側面図であり、図3は、操作端末14の配置を示す背面図である。
【0024】
図2及び図3に示すように、自動分析装置1は、操作端末14に着席する者を検知する検知手段を有している。この検知手段は、操作端末14と信号線で接続された受光部23と、この受光部23に対向配置された発光素子24である。発光素子24は、例えば赤外線等の光線を出射する。出射する光線は、可視光線であっても非可視光線であってもよい。また、検知手段は、この受光部23と発光素子24以外にも、例えば着席した者の圧力を検知する圧電センサ或いは重量センサであってもよい。
【0025】
受光部23は、この発光素子24から出射された光線を受光すると、例えばHiレベルの信号を出力し、この発光素子24から出射された光線を受光していないと、例えば出力する信号をLoレベルにする。
【0026】
この発光素子24と受光部23とは、自動分析装置1を操作するために着席した操作者が、発光素子24と受光部23とを結ぶ直線に介入するように配置される。例えば、発光素子24は天井側に取り付けられ、受光部23は床側に取り付けられ、それらを結ぶ直線は、操作者が着席する椅子の座面上方を横切る。即ち、操作者の体軸に対して交差する直線上に発光素子24と受光部23とが対向は位置される。操作者を検知し易くするためであり、人体は、体軸方向の断面積よりも側面方向の断面積のほうが大きいからである。
【0027】
この検知手段の配置では、操作者の離席は、発光素子24からの光線を受光部23が受光して、Hiレベルの信号が出力されることにより検知される。また、操作者の着席は、発光素子24が出射した光線が受光部23に届かないことにより、Loレベルの信号が出力されることにより検知される。
【0028】
図4は、操作端末14の詳細構成を示すブロック図である。操作端末14は、画面生成部15と表示部16と個人情報記憶部17と設定情報記憶部18とシステム制御部19と入力部20と入力制御部21と受光状態確認部22とを備えている。受光状態確認部22と受光部23とは、信号線で接続されている。
【0029】
画面生成部15は、各種の画面を生成し、表示部16に表示させる。表示部16は、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、及び有機ELディスプレイ等のモニタである。画面生成部15が生成する画面は、認証画面、被検試料登録画面、制御画面、被検試料ステータス画面、結果確認画面等である。各画面は、画面の切り替え又はマルチウィンドウで生成される。
【0030】
認証画面は、結果確認画面や設定登録画面を表示させるためのユーザ名及び認証キーの組み合わせを入力させる画面である。認証画面で入力させる認証キーは、例えばパスワードや、指紋、静脈、虹彩、顔貌、又は掌形等の生体情報である。これら認証キー及びユーザ名は、入力部20を用いて入力制御部21を介して入力される。入力部20は、パスワードの入力に用いられるマウスやキーボード、又は生体情報の入力に用いられるカメラやスキャナである。入力制御部21は、I/Oインターフェースである。
【0031】
被検試料登録画面は、分析する被検試料を登録する画面である。この画面では、入力部20を用いて入力された被検者の氏名やIDや被検試料に対する測定項目といった測定項目情報、及び開始ボタンが表示される。入力部20のマウスを用いて開始ボタンが押下されると、表示されている被検試料の分析が開始される。測定項目情報は、入力部20のマウスやキーボードを用いて操作端末14に入力され、個人情報記憶部17に記憶される。
【0032】
制御画面は、自動分析装置1を制御する各種の設定情報を登録する画面である。設定情報は、入力部20を用いて入力制御部21を介して入力され、設定情報記憶部18に記憶される。
【0033】
被検試料ステータス画面は、被検試料のステータスを表示する画面である。被検試料のステータスは、被検試料登録画面で登録された被検試料の分析開始が指示されたか、分析が始まったか、分析終了か等を示す。
【0034】
結果確認画面は、分析結果を表示する画面である。分析結果は、被検試料登録画面で登録された測定項目情報と、測定結果データ、検量線データ、及び分析データといった結果データが結びつけられて表示される。これら結びつけられたデータ、即ち個人情報は、権限のない者に閲覧をさせてはならない保護を要する情報である。結果データは、分析部11又はデータ処理部13から操作端末14に入力され、測定項目情報に関連づけられて個人情報記憶部17に記憶される。
【0035】
画面生成部15は、この個人情報記憶部17から個人情報を読み出して予め記憶されているフォーマットに配置することで結果確認画面を生成する。また、画面生成部15は、この設定情報記憶部18から設定情報を読み出して予め記憶されているフォーマットには位置することで制御画面を生成する。また、画面生成部15は、システム制御部19から出力される信号に応答して、各種画面の生成及び表示部16への出力を行う。
【0036】
システム制御部19は、分析制御部12等の各ユニットの統合制御を行う統合制御手段であり、また個人情報及び設定情報の表示をコントロールする表示制御手段である。
【0037】
システム制御部19は、統合制御のために統合制御部19aを有する。この統合制御部19aを有するシステム制御部19は、分析制御部12に対して、設定情報記憶部18に記憶されている設定情報を出力して、設定情報に従って分析部11の駆動を行わせる。画面生成部15に対しては、表示部16に表示させる画面の種類を示す信号、個人情報画面を表示させる際に読み出す個人情報を特定するための信号を出力する。
【0038】
また、システム制御部19は、表示制御手段として、表示判断部19b、受光判断部19c、及び照合部19dを有する。このシステム制御部19は、操作者が開こうとしている若しくは開いている画面の種類、受光状態確認部22から出力される受光部23の受光状態信号の種類、及びユーザ名及び認証キーの照合結果に応じて、画面の表示を制御する。
【0039】
特に、このシステム制御部19は、保護される情報として取り扱われるべき個人情報、即ち測定項目情報と結果データとを結びつけた情報を表示する結果確認画面が開かれようとしている若しくは開いているときに表示制御手段として機能する。
【0040】
このとき、照合部19dとして、システム制御部19は、予め、権限情報を記憶しており、この権限情報にユーザ名と認証キーの組み合わせが登録されているかを検索する。
【0041】
受光判断部19cとして、システム制御部19は、受光状態確認部22から受光状態信号を受け取る。受光状態確認部22は、受光判断部19cたるシステム制御部19が出力する確認信号に応じて、受光部23の受光状態信号をシステム制御部19に出力する。受光状態確認部22は、信号の立ち上がりを受けると、受光を示す受光信号の出力にセットされ、信号がたち下がると受光していないことを示す信号を遮蔽信号の出力にセットされる。そして、確認信号を受けてセットされた種類の受光状態信号を出力する。
【0042】
表示判断部19bとしては、システム制御部19は、操作者が開こうとしている若しくは開いている画面の種類、受光状態確認部22から出力される受光部23の受光状態信号の種類、及びユーザ名及び認証キーの照合結果の組み合わせに応じて、以下の処理を行う。
【0043】
第1に、システム制御部19は、遮蔽信号を受けた後に受光信号を受けると、画面生成部15を制御して、表示部16が結果確認画面を表示していれば、当該結果確認画面を非表示にさせる。非表示の態様としては、個人情報が閲覧できない状態であれば、結果確認画面を閉じさせる、結果確認画面上の個人を特定できる名前等の情報だけを非表示する等の各種態様を用いてもよい。
【0044】
第2に、このシステム制御部19は、遮蔽信号を受けた状態で、結果確認画面の表示要求を入力制御部21から受けると、認証画面を表示させ、ユーザ名及び認証キーの入力を待つ。更に、このシステム制御部19は、認証キーの入力待ちの状態で、ユーザ名及び認証キーの入力を受けると、権限情報で照合を行い、操作者が権限を有する者と判断すれば、画面生成部15を制御して、表示部16に結果確認画面を表示させる。
【0045】
第3に、このシステム制御部19は、受光信号を受けた後に認証キーの入力があると、画面生成部15を制御して、表示部16に警告画面を表示させる。警告画面は、「正しく席の前に座るか、起立すること」を求めるメッセージを表示する画面である。
【0046】
このような操作端末14のアクセスコントロールの動作について図5に基づき説明する。
【0047】
まず、自動分析装置1が起動されると、システム制御部19は、表示部16に各種の画面に遷移するための操作ボタンを表示させる(S01)。
【0048】
このS01において、システム制御部19は、画面生成部15に各種の操作ボタンを配置した画面を生成させ、表示部16に出力させる。
【0049】
この状態で、システム制御部19は、受光状態信号を確認する(S02)。
【0050】
このS02において、システム制御部19は、受光状態確認部22に確認信号を出力する。受光状態確認部22は、確認信号を受けて、受光信号又は遮蔽信号を示す受光状態信号をシステム制御部19に出力する。
【0051】
システム制御部19は、この受光状態信号の確認を、ポーリングや割り込みにより一定間隔毎に行う。一定間隔は、例えば、個人情報や設定情報にアクセス権限を有する操作者が離席してから、権限のない者が目を盗んで着席するのを防ぐのに適当な時間である。
【0052】
受光状態信号が遮蔽信号である場合において、入力部20を用いて結果確認画面及び制御画面以外の起動ボタンが押下されると(S03)、システム制御部19は、押下された起動ボタンに対応する画面を表示部16に表示させる(S04)。
【0053】
起動ボタンは、S01で表示される操作ボタンの一種である。結果確認画面以外とは、被検試料登録画面及び被検試料ステータス画面等である。システム制御部19は、押下された起動ボタンに対応する画面の生成を画面生成部15に指示し、画面生成部15は、指示された画面を生成して表示部16に出力する。
【0054】
また、入力部20を用いて結果確認画面及び制御画面の起動ボタンが押下されると(S05)、システム制御部19は、まず押下された起動ボタンに対応する結果確認画面又は制御画面を表示済みであるか確認する(S06)。表示済みである場合には(S06,Yes)、起動ボタンの押下に対する処理は実行せず、S02の一定間隔毎の受光状態信号の確認に戻る。表示していなければ(S06,No)、システム制御部19は、ユーザ認証済みであるか確認する(S07)。ユーザ認証済みの場合には(S07,Yes)、押下された起動ボタンに対応する結果確認画面又は制御画面を表示部16に表示させる。
【0055】
S06において、表示済みかの確認は、例えば表示を指示した画面を示す情報を記憶しておき、その情報が存在するか確認するようにしてもよい。また、S07において、ユーザ認証済みであるかの確認は、認証済みのユーザを示す情報を記憶しておき、その情報が存在するか確認するようにしてもよい。S07において、ユーザ認証済みである場合とは、ユーザ認証後よりS02において遮蔽信号を受け取り続けている状況下を指す。
【0056】
システム制御部19は、ユーザ認証がされていない場合には(S07,No)、認証画面を表示部16に表示させる(S08)。具体的には、システム制御部19は、画面生成部15に認証画面を生成させ、表示部16に出力させる。
【0057】
認証画面が表示され、操作者が入力部20を用いてユーザ名と認証キーを入力すると(S09)、システム制御部19は、受光状態信号を受け取り、遮蔽信号が入力されているか確認する(S10)。
【0058】
S10において、システム制御部19は、受光状態確認部22に確認信号を出力する。受光状態確認部22は、確認信号を受けて、受光信号又は遮蔽信号を示す受光状態信号をシステム制御部19に出力する。
【0059】
システム制御部19は、遮蔽信号を受け取らず、受光信号を受け取っていれば(S10,No)、端末の前に正しく立つか座るかする旨のメッセージを表示部16に表示させる(S11)。
【0060】
一方、システム制御部19は、遮蔽信号を受け取っていれば(S10,Yes)、ユーザ認証を行う(S12)。
【0061】
S12において、システム制御部19は、入力されたユーザ名と認証キーとの組み合わせが権限情報に登録されているか確認する。さらに登録されていれば、権限情報に登録されているユーザ名には、押下された起動ボタンに対応する結果確認画面又は制御画面に対するアクセス許可が設定されているか確認する。
【0062】
システム制御部19は、ユーザ認証がされなければ(S12,No)、アクセスを拒否する旨のメッセージを表示部16に表示させる(S13)。
【0063】
S12において、ユーザ認証がされないとは、入力されたユーザ名と認証キーとの組み合わせが権限情報に登録されていないか、アクセス許可が設定されていないかである。
【0064】
システム制御部19は、ユーザ認証がされれば(S12,Yes)、押下された起動ボタンに対応する結果確認画面又は制御画面を表示部16に表示させる(S14)。
【0065】
S12において、ユーザ認証がされたとは、入力されたユーザ名と認証キーとの組み合わせが権限情報に登録されており、且つアクセス許可が設定されている場合である。
【0066】
S14において、システム制御部19は、画面生成部15に結果確認画面又は制御画面の生成を指示する。画面生成部15は、個人情報記憶部17から個人情報を読み出して結果確認画面を生成し、又は設定情報記憶部18から設定情報を読み出して制御画面を生成し、生成した画面を表示部16に出力する。
【0067】
S02に戻り、受光状態信号の確認において、システム制御部19には、受光信号が入力された場合には(S15)、システム制御部19は、結果確認画面又は制御画面が開かれているか確認する(S16)。開かれているとは、換言すると表示を指示したことを指す。システム制御部19は、例えば表示を指示した画面を示す情報を記憶しておき、その情報が存在するか確認するようにしてもよい。つまり、結果確認画面や制御画面の上に他の画面が重ねて表示された結果、結果確認画面や制御画面が表示部16から視認できなくとも、結果確認が面又は制御画面は開かれていることとなる。
【0068】
結果確認画面又は制御画面が開かれていない場合には(S16,No)、S17以降の処理は行わず、S02の一定間隔毎の受光状態信号の確認に戻る。
【0069】
一方、結果確認画面又は制御画面が開かれている場合には(S16,Yes)、システム制御部19は、ユーザ認証を無効にし(S17)、結果確認画面及び制御画面のうちの開かれている画面を閉じる(S18)。
【0070】
S17において、システム制御部19は、ユーザ認証の無効については、認証済みのユーザを示す情報を消去する。S18において、システム制御部19は、画面生成部15に指示した結果確認画面又は制御画面若しくはその両方の生成指示を取り消す。
【0071】
S01〜S18におけるシステム制御部19の処理は、システムが起動されている間は繰り返される。
【0072】
この自動分析装置1の作用について図6乃至図8に基づき説明する。
【0073】
図6に示すように、操作者が着席している間は、発光素子24から出射した光線が操作者により遮蔽されて受光部23には届かない。この状態で、結果確認画面を起動する起動ボタンである結果確認ボタンB1が押下されると、表示部16には、結果確認画面として、各被検試料の測定結果の一覧が表示される。この一覧には、患者の氏名、ID、及び年齢等の被験者情報PIと、各測定項目の測定結果MRとが横に並べられている。
【0074】
尚、表示部16には、操作ボタンとして、結果確認ボタンの他、測定項目情報や被検試料のステータスを表示する画面を起動する依頼登録ボタンB2、設定情報を表示する制御画面を起動する測定条件ボタンB3、測定結果データが安定しているかを表示する画面を起動する精度管理ボタンB4、試薬の情報を表示する画面を起動する試薬ボタンB5、検量線を表示する画面を起動する検量線ボタンB6、及び測定を開始させる測定ボタンB7が配置される。また、画面を表示すると、その画面を閉じるための閉じるボタンB8が配置される。
【0075】
図7に示すように、結果確認画面が開かれている状況で操作者が離席すると、受光部23は発光素子24から出射された光線を受光するため、結果確認画面が閉じられる。制御画面が開かれている状況でも同様の結果となる。
【0076】
図8に示すように、アクセス権限のある者が離席することによって結果確認画面が閉じられた状態では、何者かが着席して結果確認画面を表示させるべく結果確認ボタンB1を押下しても、認証画面CSが表示されるため、この者がアクセス権限所有者でなければ、表示させることはできない。
【0077】
尚、結果確認画面が開かれている状況で更に別の画面を起動すると、結果確認画面の上にその画面が表示される。この状況でも操作者が離席すれば、その画面の下にある結果確認画面は閉じられる。制御画面が開かれている状況でも同様の結果となる。
【0078】
一方で、結果確認画面及び制御画面以外の画面が開かれている状況で操作者が離席しても、その開かれている画面が閉じられることはない。
【0079】
このように、本実施形態の自動分析装置1は、操作者の着席及び離席を検知する検知手段を有し、被検者情報と測定結果データとからなる個人情報や自動分析装置1の測定条件である設定情報を表示しているときに検知手段が操作者の離席を検知すると、表示している個人情報や設定情報の画面を閉じるようにした。これにより、個人情報や設定情報を表示する画面を閉じ忘れた場合であっても、これら情報にアクセスする権限を有しない者に閲覧されてしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0080】
1 自動分析装置
11 分析部
12 分析制御部
13 データ処理部
14 操作端末
15 画面生成部
16 表示部
17 個人情報記憶部
18 設定情報記憶部
19 システム制御部
19a 統合制御部
19b 表示判断部
19c 受光判断部
19d 照合部
20 入力部
21 入力制御部
22 受光状態確認部
23 受光部
24 発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者から提供された被検試料と試薬とを測定項目に応じて分注して撹拌し、被検試料に含まれる化学成分を分析することで測定結果を得る自動分析装置であって、
操作手段と、
前記被検者に関する情報と前記測定結果とからなる個人情報を記憶する記憶部と、
前記操作手段を用いた操作に応じて選択的に、前記測定項目を登録する第1の画面、被検試料の処理段階を表示する第2の画面、又は前記個人情報を表示する第3の画面を少なくとも表示する表示手段と、
操作者の着席及び離席を検知する検知手段と、
前記表示手段が前記第3の画面を表示しているときに、前記検知手段が前記操作者の離席を検知すると、前記第3の画面を非表示にさせる表示制御手段と、
を備えること、
を特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、
前記検知手段が前記操作者の着席を検知し、前記操作手段を用いて前記第3の画面の表示が指示されると、前記表示手段に認証画面を表示させること、
を特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記検知手段は、
操作者が着席したときの体軸に交差する直線上に配置される発光素子と受光部であること、
を特徴とする請求項1又は2記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−181266(P2010−181266A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24797(P2009−24797)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】