説明

自動包装機の充填機構

【課題】高速充填動作が可能で簡単な構造でコストアップを抑え、液体内容物の跳ね上がり等を防止して包装袋内に内容物を投入することができる充填機構を提供する。
【解決手段】自動包装機の充填機構は、内容物が入れられているホッパーと、内容物の流路を切り換える四方ロータリーバルブと、ホッパー内の内容物を包装袋内に押し込む充填ピストンポンプと、充填ピストンポンプによって押し出された内容物を包装袋内に導く充填ノズルと、充填ノズル内に残った内容物を吸い出す吸引ピストンポンプと、この四方ロータリーバルブと充填ピストンポンプと吸引ピストンポンプを駆動するサーボモータとで構成され、ホッパーは四方ロータリーバルブの上面口と接続され、充填ピストンポンプは四方ロータリーバルブの左側面口と接続され、吸引ピストンポンプは四方ロータリーバルブの右側面口と接続され、充填ノズルは四方ロータリーバルブの下面口と接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動包装機で作られる包装袋に内容物を入れ込む充填機構に関し、特に、四方ロータリーバルブと二つのピストンポンプを用いた充填機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のロールタイプ自動包装機は、原反ロール状の包装フィルムを繰り出し機構によって上方に引き出し、最上位置にあるガイドロールによって垂直下方に方向転換させ、折り畳み機構によって幅方向に二つ折りにし、次いでこの二つ折り状態の包装フィルムを一対の縦シールロールに導いて縦シールを施している。この縦シールによって二つ折りされた包装フィルムは、両端部が接合して円筒状になり、その後、この円筒状包装フィルムは、一対の第一横シールロールに導かれて横シールが施されて袋状になり、この包装袋内に充填機構を用いて内容物が投入された後、再び第一横シールロールによって、包装袋の投入口に対して横シールが施されて封止状態となる。
【0003】
次に、第一横シールロールによって横シールされた部分に対して、一対の第二横シールロールを用いて再度横シールを施してシール強度を増やした後、この連包状態の包装体は、カッター装置に導かれ、横シール中央付近に対して切り離し加工が施されて個別包装体になる。
【0004】
このような従来のロールタイプ自動包装機の充填機構は、内容物が収容されているホッパー等の容器から外付けの充填ポンプとこの内容物を包装袋内に案内する充填ノズルを用いて包装袋内に投入していた。しかし、上記の内容物が単なる液体である場合は問題が発生しないが、内容物がラーメンスープであって、しかもこの内容物の中身が液体スープと固形物である肉片や野菜片等で構成される場合は、以下の問題が浮上してくる。
【0005】
(1)内容物の中に肉片や野菜片等で構成される固形物が混在しているため、普通のポンプでは固形物を挟み込んで運転停止になる事態が発生する。
(2)また、包装袋内に内容物を投入していた充填ノズルもこのノズル内に固形物が引っ掛かって目詰まりを引き起こし、内容物の充填動作が停止することになる。
【0006】
従って、上記のような固形物が入った内容物を包装袋内に投入する充填機構は内容物の流路断面積の大きい機構が採用され、ロータリーバルブとピストンポンプを組み合わせた充填機構の例が特許文献1に記載されている。
【0007】
また、充填ノズルも内容物における固形物の大きさに応じてノズル内径の太いものが採用されており、ノズル内径が太くなればなる程ノズル吐出口断面積が大きくなる。この結果、ノズル吐出口における表面張力の影響が弱まり、ノズル吐出口で液ダレ現象が発生し易くなる。
【0008】
このため、ピストンポンプを押すように駆動して内容物の充填動作を行ったら次の動作で、ピストンポンプを引くように駆動してノズル吐出口付近に残っている内容物を吸引させ、液ダレ現象の発生を防止した充填機構の例が特許文献2に記載されている。この充填機構は、内容物が入れられているホッパーと、内容物の流路を切り換える三方ロータリーバルブと、内容物を包装袋内に押し出すと共に内容物を吸い出す充填/吸引ピストンポンプと、内容物を包装袋内に導き入れる充填ノズルと、この三方ロータリーバルブと充填ピストンポンプを駆動するサーボモータとで構成されており、この充填/吸引ピストンポンプがホッパー内の内容物を包装袋内に充填する役目と、充填動作後の液ダレ現象を防止するための吸引(サックバック)する役目を担っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−324516号公報
【特許文献2】特開2000−159202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記のような充填機構においては、以下のような問題点が存在する。
(1)上記の充填機構は、一つのピストンポンプで充填動作と吸引動作を行っているため、充填動作と吸引動作を確実に実施しつつ、充填速度を大幅に向上させることができない。
(2)また、一つのピストンポンプを高速運転させるために、大型化若しくは素材の堅ろう化を図ろうとするとコストアップを招いていた。
(3)一方、充填速度を高速化すると、固形物を含む液体内容物が勢いよく包装袋内に噴出するため、包装袋内で液体内容物が跳ね上がり、包装袋の充填口付近に付着する事態が発生する。このため、内容物の充填後の包装袋封止作業を行う横シール動作において、付着した内容物を噛み込む現象が発生し、横シール不良という新たな問題が浮上することになる。
【0011】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、高速充填動作を可能につつ、簡単な構造を採用してコストアップを抑え、しかも液体内容物の跳ね上がり等のトラブルを防止して確実に包装袋内に内容物を投入することができる充填機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記の課題を解決するためになされた本発明は、連続移送される包装フィルムに縦シール及び横シールを施して包装袋を形成し、この包装袋内に充填機構を用いて内容物を充填し、充填後の包装袋開口部分に再度横シールを施して封止された包装体を形成し、この横シール中央付近をカッター装置によって切り離して個別包装体を作り上げる自動包装機の充填機構であって、前記充填機構は、内容物が入れられているホッパーと、内容物の流路を切り換える四方ロータリーバルブと、ホッパー内の内容物を包装袋内に押し込む充填ピストンポンプと、充填ピストンポンプによって押し出された内容物を包装袋内に導く充填ノズルと、充填ノズル内に残った内容物を吸い出す吸引ピストンポンプと、この四方ロータリーバルブと充填ピストンポンプと吸引ピストンポンプを駆動するサーボモータとで構成されている。
【0013】
(2)また、本発明の充填機構のホッパーは四方ロータリーバルブの上面口と接続され、充填ピストンポンプは四方ロータリーバルブの左側面口と接続され、吸引ピストンポンプは四方ロータリーバルブの右側面口と接続され、充填ノズルは四方ロータリーバルブの下面口と接続され、前記ホッパー内の内容物を充填ピストンポンプ内に取り込む際は、四方ロータリーバルブを回転させて上面口と左側面口を連結させた後直ちに充填ピストンポンプを引くように駆動して内容物充填準備動作を行い、同時に、四方ロータリーバルブの右側面口と下面口を連結させた後直ちに吸引ピストンポンプを引くように駆動して内容物液ダレ防止動作を行い、前記充填ピストンポンプ内に取り込まれた内容物を包装袋内に入れ込む際は、四方ロータリーバルブを回転させて左側面口と下面口を連結させた後直ちに充填ピストンポンプを押すように駆動して内容物充填動作を行い、同時に、四方ロータリーバルブの右側面口と上面口を連結させた後直ちに吸引ピストンポンプを押すように駆動して内容物戻し動作を行っている。
【0014】
上記(1)、(2)で述べた自動包装機の充填機構によれば、単純な構造にすることにより、価格上昇(コストアップ)を抑えつつ、充填する内容物の変更時や定期点検時の分解掃除における手間増加から来る維持メンテナンスコストの上昇を抑えた充填機構を提供できる。
【0015】
(3)また、本発明の充填機構は、充填ピストンポンプ内に取り込まれた内容物を包装袋内に入れ込む際に、充填ピストンポンプを押すように駆動するためのサーボモータの回転速度を、前半の間は予め設定された分量を送り込むために必要な回転速度に比べて遅い速度設定とし、後半の間は予め設定された分量を送り込むために必要な回転速度に比べて速い速度設定としている。
【0016】
上記(3)で述べた自動包装機の充填機構によれば、駆動用サーボモータの回転速度を最初はゆっくり押し出すように制御し、その後、急速に押し出すように制御することにより、液体内容物の跳ね上がり等のトラブルを防止して確実に包装袋内に内容物を投入する充填機構を提供できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に係るロールタイプ自動包装機における充填ノズルによれば、以下の利点を備えているという優れた効果を奏し得る。
【0018】
(1)この充填機構は、内容物を包装袋内に押し出す充填ピストンポンプと、充填ノズル内に残った内容物を吸い出す吸引ピストンポンプをそれぞれ別個に備え、この二つのピストンポンプの動きに合わせて流路を切り換える四方ロータリーバルブを組み合わせて構成したため、充填速度を大幅に向上できた。
【0019】
(2)また、上記のような単純な構造のため、価格上昇(コストアップ)を抑えつつ、充填する内容物の変更時や定期点検時の分解掃除における手間増加からくる維持メンテナンスコストの上昇も抑えることができる。
【0020】
(3)さらに、上記充填機構の駆動用サーボモータの回転速度を適宜最適に制御することにより、液体内容物の跳ね上がり等のトラブルを防止して確実に包装袋内に内容物を投入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るロールタイプ自動包装機の一構成例を示す正面図である。
【図2】本発明に係る充填機構のカバーを外して全体構成を説明した正面図である。
【図3】本発明に係る充填機構のカバーを外して全体構成を説明した右側面図である。
【図4】本発明に係る充填機構のカバーを外して全体構成を説明した上面図である。
【図5】本発明に係る充填機構の1番目の状態を模式的に表した概略動作説明図である。
【図6】本発明に係る充填機構の二番目の状態を模式的に表した概略動作説明図である。
【図7】本発明に係る充填機構の三番目の状態を模式的に表した概略動作説明図である。
【図8】本発明に係る充填機構の四番目の状態を模式的に表した概略動作説明図である。
【図9】本発明に係る充填機構のサーボモータにおける制御状態と、従来の充填機構のサーボモータにおける制御状態を比較して表した概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、図1を用いて、本発明にかかるロールタイプ自動包装機の全体構成について説明する。図1は、本発明にかかるロールタイプ自動包装機の一構成例を示す正面図である。図1に示すように、ロールタイプ自動包装機1(以下、自動包装機1と略す)の正面右側にはリールが設けられている。このリールには包装フィルムFを巻回した原反ロールFXが脱着交換可能に保持されている。原反ロールFXから繰り出し装置2により引き出された包装フィルムFは、自動包装機1の上部に設けられたフィルム折り返しロール3により下方に折り返される。
【0023】
下方に折り返された包装フィルムFは、製袋機構4によって長手方向に二つ折りされて縦シール機構8に送られる。この縦シール機構8によって作られる円筒形状の包装フィルム内に内容物を送り込むために充填ノズル7が配備されており、この充填ノズル7には充填機構6が接続されている。そして、充填機構6には内容物が入れられたホッパー5が接続されている。
【0024】
この縦シール機構8の下には、第一横シール機構9、第二横シール機構10、切断カッター機構11、切り離された個別包装体が滑らかに搬出されるためのすべり台12が配備されている。さらに、自動包装機1右側には自動包装機1を操作並びに制御するためのコントロールボックス13が設けられている。
【0025】
図1に示されている縦シール機構8は、二つの縦シールロールで構成され、図1中に表記されているのは前面側の縦シールロール(移動側シールロール)である。これに対して背面側(紙面裏側)の縦シールロールは、前面側縦シールロールと紙面垂直方向に対向した状態で設けられ、自動包装機1の機台に固定されている(固定側シールロール)。
【0026】
横シール機構は、第一横シール機構9と第二横シール機構10で構成され、これら二つの横シール機構は、縦シール機構8と同様に、図1中に表記されているのは前面側の二つの横シールロール(移動側シールロール)であり、背面側(紙面裏側)にはそれぞれ対になる二つの横シールロールを有している。これら背面側の二つの横シールロールは、紙面垂直方向に対向した状態で設けられ、自動包装機1の機台に固定されている(固定側シールロール)。
【0027】
また、包装フィルムFは、透明又は半透明な材料から構成され、例えば、PET等のベースフィルム、このベースフィルムよりも融点の低いポリエチレン等のヒートシールフィルムから構成される。また、包装フィルムFは、ベースフィルム、中間フィルム、ヒートシールフィルムの3層構造を有してもよい。
【0028】
二つ折りされた包装フィルムFは、縦シール機構8によって包装フィルムの長手方向両端同士を熱シールして直下の第一横シール機構9に送り出す。この縦シールにより包装フィルムは筒状に形成される。
【0029】
筒状の包装フィルムは、第一横シール機構9の横シールロールにより、包装フィルムの横方向(幅方向)にシールされ、この横シールにより筒状包装フィルムの底部が形成される。有底筒状に形成された包装袋内に充填ノズル7が挿入されており、この充填ノズル7に接続されている充填機構6の充填ピストンポンプによってホッパー5内に収容されている内容物が包装袋内に充填される。
【0030】
そして、充填ノズル7による内容物の充填が完了したら充填機構6の吸引ピストンポンプによって充填ノズル7の先端部分に残っている内容物を吸引して排除する。この結果、充填ノズル7における液だれ現象の防止が可能になり、その後、包装フィルムを袋一個分繰り出す。
【0031】
続いて、第一横シール機構9の横シールロールは、内容物が充填された包装袋の開口側を横シールし、これにより、有底筒状の包装袋に充填された内容物は封止されて包装体形態となる。そして、この包装体は直下の第二横シール機構10の横シールロールに送られる。第二横シールロールは、第一横シール機構9によって形成された横シール部分を再度横シールして、その横シール部分の強度をより強固にするための線条シール等を形成する。
【0032】
その後、切断カッター機構11によって横シール中央部分に対して切断加工されて個別包装体になり、すべり台12から自動包装機1の外に搬出される。
【0033】
図2は、本発明に係る充填機構のカバーを外して全体構成を説明した正面図であり、図3は、本発明に係る充填機構のカバーを外して全体構成を説明した右側面図であり、図4は、本発明に係る充填機構のカバーを外して全体構成を説明した上面図である。この図2乃至図4においては、説明を分かり易くするため手前の構成部材を優先して表記しており、後側の構成部材の表記は省略している。また、図4においてはホッパー5を取り外した状態で表している。
【0034】
図2、図3、図4に示すように、充填機構6は、液体内容物が入ったホッパー5と、このホッパー5と接続された四方ロータリーバルブ20と、この四方ロータリーバルブの左側面口と接続された充填ピストンポンプ23と、この四方ロータリーバルブの右側面口と接続された吸引ピストンポンプ24と、この四方ロータリーバルブの下面口と接続された充填ノズル7が配備されている。なお、上記接続において、ホッパー5の下面口は、パイプクランプ70と四方ロータリーバルブ上部パイプ32を経由して四方ロータリーバルブ20の上面口と接続され、充填ノズル7は、パイプクランプ71と四方ロータリーバルブ下部パイプ31を経由して四方ロータリーバルブ20の下面口と接続されている。
【0035】
次に、四方ロータリーバルブ20と充填ピストンポンプ23と吸引ピストンポンプ24の駆動系の構成について説明する。
【0036】
サーボモータ62の駆動力は、減速機61、この減速機61の回転軸に取り付けられたバルブ駆動軸側歯車34を経由して四方ロータリーバルブ側歯車33に伝えられ、四方ロータリーバルブ20のロータリーバルブを回転させている。そして、ベアリングケース50は減速機61の回転軸を回転自在に保持している。
【0037】
同じく、サーボモータ62の駆動力は、減速機61、この減速機61の回転軸に取り付けられた歯付プーリ38、充填側歯付ベルト35、歯付プーリ37、充填ピストンポンプ駆動軸41、充填側クランクアーム29、充填側クランクアーム受け25、充填側ピストンポンプ軸27を経由して充填ピストンポンプ23を押し引きしている。そして、ベアリングケース51、52は充填ピストンポンプ駆動軸41を回転自在に保持しており、ベルトテンションプーリ56は充填側歯付ベルト35に対して最適な張力を付与している。
【0038】
そして、充填側クランクアーム29の回転駆動力を受けて左右に動く充填側クランクアーム受け25は、充填ピストンポンプ軸枠21によって左右自在に軸支されている。
【0039】
また同じく、サーボモータ62の駆動力は、減速機61、この減速機61の回転軸に取り付けられた歯付プーリ39、吸引側歯付ベルト36、歯付プーリ40、吸引ピストンポンプ駆動軸42、吸引側クランクアーム30、吸引側クランクアーム受け26、吸引側ピストンポンプ軸28を経由して吸引ピストンポンプ24を押し引きしている。そして、ベアリングケース53、54は吸引ピストンポンプ駆動軸42を回転自在に保持しており、ベルトテンションプーリ55は吸引側歯付ベルト36に対して最適な張力を付与している。
【0040】
そして、吸引側クランクアーム30の回転駆動力を受けて左右に動く吸引側クランクアーム受け26は、吸引ピストンポンプ軸枠22によって左右自在に軸支されている。また、充填ピストンポンプ駆動軸41に取り付けられている開始位置指示円盤43は、近接センサ44に近傍に配置されており、充填機構6の開始タイミングを自動包装機1の制御部に送り込んでいる。
【0041】
上記充填機構6の各部材は、充填機構ベース板60に搭載されており、この近くに配置されている製袋機構4は、充填機構ベース板60に取り付けられ、この充填機構ベース板60は自動包装機1の本体に固定されている。
【0042】
次に、本発明の四方ロータリーバルブ20と充填ピストンポンプ23と吸引ピストンポンプ24の動作について説明する。
【0043】
(1)図5は、本発明に係る充填機構の一番目の状態を模式的に表した概略動作説明図である。図5に示すように、四方ロータリーバルブ20は、四つの接続口を有しており、四方ロータリーバルブ20の上面口にはホッパー5が接続され、四方ロータリーバルブ20の左側面口には充填ピストンポンプ23が接続され、四方ロータリーバルブ20の下面口には充填ノズル7が接続され、四方ロータリーバルブ20の右側面口には吸引ピストンポンプ24が接続されている。
【0044】
四方ロータリーバルブ20の回転位置は、図5に示すようになっており、充填ピストンポンプ23と吸引ピストンポンプ24は、それぞれポンプ軸が押し入れられた状態になっている。また、この四方ロータリーバルブ20のバルブ回転位置では四つの接続口全てが塞がった状態になっている。即ち、上記図5における充填機構6の動作は、一時停止している状態を表しており、続いて四方ロータリーバルブ20のバルブは、図示のように反時計回りに回転される。
【0045】
(2)図6は、本発明に係る充填機構の二番目の状態を模式的に表した概略動作説明図である。図6に示すように、四方ロータリーバルブ20は、四つの接続口を有しており、四方ロータリーバルブ20の上面口にはホッパー5が接続され、四方ロータリーバルブ20の左側面口には充填ピストンポンプ23が接続され、四方ロータリーバルブ20の下面口には充填ノズル7が接続され、四方ロータリーバルブ20の右側面口には吸引ピストンポンプ24が接続されている。
【0046】
四方ロータリーバルブ20の回転位置は、図6に示すようになっており、図5に示した位置から45度進んだ状態になっている。このため、四方ロータリーバルブ20の上面口と四方ロータリーバルブ20の左側面口が接続され、四方ロータリーバルブ20の下面口と四方ロータリーバルブ20の右側面口が接続されている。
【0047】
そして、充填ピストンポンプ23が引くように駆動されてホッパー5内の内容物が予め設定された量だけ充填ピストンポンプ23内に吸い取られ、また、吸引ピストンポンプ24が引くように駆動されて充填ノズル7内に残っている内容物が吸引ピストンポンプ24内に吸い取られる。
【0048】
即ち、上記図6における充填機構6の動作は、内容物の充填準備をしている状態と内容物の液ダレを防止している状態を表しており、続いて四方ロータリーバルブ20のバルブは、図示のように反時計回りに回転される。
【0049】
(3)図7は、本発明に係る充填機構の三番目の状態を模式的に表した概略動作説明図である。図7に示すように、四方ロータリーバルブ20は、四つの接続口を有しており、四方ロータリーバルブ20の上面口にはホッパー5が接続され、四方ロータリーバルブ20の左側面口には充填ピストンポンプ23が接続され、四方ロータリーバルブ20の下面口には充填ノズル7が接続され、四方ロータリーバルブ20の右側面口には吸引ピストンポンプ24が接続されている。
【0050】
四方ロータリーバルブ20の回転位置は、図7に示すようになっており、図6に示した位置から45度進んだ状態になっている。このため、このバルブ回転位置では四つの接続口全てが塞がった状態になっており、また、充填ピストンポンプ23と吸引ピストンポンプ24は、それぞれ引かれた状態のまま維持されている。
【0051】
即ち、上記図7における充填機構6の動作は、一時停止している状態を表しており、続いて四方ロータリーバルブ20のバルブは、図示のように反時計回りに回転される。
【0052】
(4)図8は、本発明に係る充填機構の四番目の状態を模式的に表した概略動作説明図である。図8に示すように、四方ロータリーバルブ20は、四つの接続口を有しており、四方ロータリーバルブ20の上面口にはホッパー5が接続され、四方ロータリーバルブ20の左側面口には充填ピストンポンプ23が接続され、四方ロータリーバルブ20の下面口には充填ノズル7が接続され、四方ロータリーバルブ20の右側面口には吸引ピストンポンプ24が接続されている。
【0053】
四方ロータリーバルブ20の回転位置は、図8に示すようになっており、図7に示した位置から45度進んだ状態になっている。このため、四方ロータリーバルブ20の上面口と四方ロータリーバルブ20の右側面口が接続され、四方ロータリーバルブ20の下面口と四方ロータリーバルブ20の左側面口が接続されている。
【0054】
そして、充填ピストンポンプ23が押すように駆動されて充填ピストンポンプ23内の内容物が押し出された分だけ充填ノズル7を経由して包装袋内に投入され、また、吸引ピストンポンプ24が押すように駆動されて吸引ピストンポンプ24内の内容物がホッパー5内に押し戻される。即ち、上記図8における充填機構6の動作は、内容物を包装袋内に充填している状態と液ダレ防止のために吸い取った内容物をホッパー内に戻している状態を表しており、続いて四方ロータリーバルブ20のバルブは、図示のように反時計回りに回転される。
【0055】
(5)図8の状態が終了すると、図5の状態に戻り、この図5から図8の状態を繰り返しながら本発明の充填機構は動いている。
【0056】
以上、図2乃至図8によって説明された本発明は、内容物を包装袋内に押し出す充填ピストンポンプと、充填ノズル内に残った内容物を吸い出す吸引ピストンポンプをそれぞれ別個に備え、この二つのピストンポンプの動きに合わせて流路を切り換える四方ロータリーバルブを組み合わせて構成することにより、高速充填動作を可能にした充填機構を提供することができる。
【0057】
また、上記のような単純な構造にすることにより、価格上昇(コストアップ)を抑えつつ、充填する内容物の変更時や定期点検時の分解掃除における手間増加から来る維持メンテナンスコストの上昇を抑えた充填機構を提供することができる。
【0058】
次に、本発明のサーボモータ62の制御状態について説明する。
図9は、本発明に係る充填機構のサーボモータ62における制御状態と、従来の充填機構のサーボモータにおける制御状態を比較して表した概略説明図である。図9に示すように、従来の充填機構のサーボモータは、点線で表された制御カーブであり、サーボモータの動作開始時は、パルス速度B点の状態から時間と共にパルス速度を上昇させ、パルス速度D点の状態になったらこの値を維持し、サーボモータの動作終了前に徐々にパルス速度を落とし、終了時b点でパルス速度を零にしている。
【0059】
このようにサーボモータの回転速度を従来のように制御した場合、充填ピストンポンプ23はパルス速度D点におけるサーボモータの速さで始めから終わりまで一定の勢いで押し出すように動く。この結果、充填ピストンポンプ23内に取り込まれた内容物は、最初から勢い良く包装袋内に投入されるため、充填動作の最初の段階で跳ね上がることになる。
【0060】
即ち、サーボモータの回転制御において、包装袋内に予め設定された分量を送り込むために必要な回転速度で充填ピストンポンプ23を一定に駆動した場合は、高速充填動作であるため、充填ピストンポンプ23内に取り込まれた内容物は、最初から勢い良く包装袋内に投入され、結果的に充填動作において内容物跳ね上がり現象が発生することになる。
【0061】
一方、本発明の充填機構のサーボモータは、実線で表された制御カーブであり、サーボモータの動作開始時は、パルス速度A点の状態から時間と共にパルス速度を上昇させ、パルス速度C点の状態になったらこの値を維持し、動作時間a点になったら再びパルス速度を時間と共に上昇させ、パルス速度E点の状態になったらこの値を維持し、サーボモータの動作終了前に徐々にパルス速度を落とし、終了時b点でパルス速度を零にしている。
【0062】
このようにサーボモータの回転速度を本発明のように制御した場合、充填ピストンポンプ23は、一回の動作時間の前半部分であるa点時間まではパルス速度C点におけるサーボモータの速さでゆっくり押し出すように動き、その後、a点時間を過ぎた一回の動作時間の後半部分では、パルス速度E点におけるサーボモータの速さで急速に押し出すように動く。この結果、充填ピストンポンプ23内に取り込まれた内容物は、最初はゆっくり包装袋内に投入され、その後勢い良く包装袋内に投入されるため、充填動作の最初の段階で跳ね上がることなく全ての分量を充填できる。
【0063】
即ち、サーボモータの回転制御において、前半の間は予め設定された分量を送り込むために必要な回転速度に比べて遅い速度設定とし、後半の間は予め設定された分量を送り込むために必要な回転速度に比べて速い速度設定として充填ピストンポンプ23を駆動した結果、充填ピストンポンプ23内に取り込まれた内容物は、最初はゆっくり包装袋内に投入され、その後勢い良く包装袋内に投入されるため、充填動作の最初の段階で跳ね上がることなく全ての分量を充填できることになる。
【0064】
以上、図9によって説明された本発明は、駆動用サーボモータの回転速度を最初はゆっくり押し出すように制御し、その後、急速に押し出すように制御することにより、液体内容物の跳ね上がり等のトラブルを防止して確実に包装袋内に内容物を投入する充填機構を提供することができる。
【0065】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【符号の説明】
【0066】
1 ロールタイプ自動包装機
2 繰り出し装置
3 フィルム折り返しロール
4 製袋機構
5 ホッパー
6 充填機構
7 充填ノズル
8 縦シール機構
9 第一横シール機構
10 第二横シール機構
11 切断カッター機構
12 すべり台
13 コントロールボックス
20 四方ロータリーバルブ
21 充填ピストンポンプ軸枠
22 吸引ピストンポンプ軸枠
23 充填ピストンポンプ
24 吸引ピストンポンプ
25 充填側クランクアーム受け
26 吸引側クランクアーム受け
27 充填側ピストンポンプ軸
28 吸引側ピストンポンプ軸
29 充填側クランクアーム
30 吸引側クランクアーム
31 四方ロータリーバルブ下部パイプ
32 四方ロータリーバルブ上部パイプ
33 四方ロータリーバルブ側歯車
34 バルブ駆動軸側歯車
35 充填側歯付ベルト
36 吸引側歯付ベルト
37、38、39、40 歯付プーリ
41 充填ピストンポンプ駆動軸
42 吸引ピストンポンプ駆動軸
43 開始位置指示円盤
44 近接センサ
50、51、52、53、54 ベアリングケース
55、56 ベルトテンションプーリ
60 充填機構ベース板
61 減速機
62 サーボモータ
70、71 パイプクランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続移送される包装フィルムに縦シール及び横シールを施して包装袋を形成し、この包装袋内に充填機構を用いて内容物を充填し、充填後の包装袋開口部分に再度横シールを施して封止された包装体を形成し、この横シール中央付近をカッター装置によって切り離して個別包装体を作り上げる自動包装機の充填機構であって、
前記充填機構は、内容物が入れられているホッパーと、内容物の流路を切り換える四方ロータリーバルブと、ホッパー内の内容物を包装袋内に押し込む充填ピストンポンプと、充填ピストンポンプによって押し出された内容物を包装袋内に導く充填ノズルと、充填ノズル内に残った内容物を吸い出す吸引ピストンポンプと、この四方ロータリーバルブと充填ピストンポンプと吸引ピストンポンプを駆動するサーボモータとで構成されることを特徴とする自動包装機の充填機構。
【請求項2】
前記ホッパーは四方ロータリーバルブの上面口と接続され、充填ピストンポンプは四方ロータリーバルブの左側面口と接続され、吸引ピストンポンプは四方ロータリーバルブの右側面口と接続され、充填ノズルは四方ロータリーバルブの下面口と接続され、
前記ホッパー内の内容物を充填ピストンポンプ内に取り込む際は、四方ロータリーバルブを回転させて上面口と左側面口を連結させた後直ちに充填ピストンポンプを引くように駆動して内容物充填準備動作を行い、同時に、四方ロータリーバルブの右側面口と下面口を連結させた後直ちに吸引ピストンポンプを引くように駆動して内容物液ダレ防止動作を行い、
前記充填ピストンポンプ内に取り込まれた内容物を包装袋内に入れ込む際は、四方ロータリーバルブを回転させて左側面口と下面口を連結させた後直ちに充填ピストンポンプを押すように駆動して内容物充填動作を行い、同時に、四方ロータリーバルブの右側面口と上面口を連結させた後直ちに吸引ピストンポンプを押すように駆動して内容物戻し動作を行うことを特徴とする請求項1記載の自動包装機の充填機構。
【請求項3】
前記充填ピストンポンプ内に取り込まれた内容物を包装袋内に入れ込む際に、充填ピストンポンプを押すように駆動するためのサーボモータの回転速度を、前半の間は予め設定された分量を送り込むために必要な回転速度に比べて遅い速度設定とし、後半の間は予め設定された分量を送り込むために必要な回転速度に比べて速い速度設定としたことを特徴とする請求項2に記載の自動包装機の充填機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−222023(P2010−222023A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69663(P2009−69663)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】