説明

自動原稿搬送装置および画像読取り装置

【課題】メカ機構、基本搬送速度等の様々な条件が変化しても、安定して生産性を確保することができる自動原稿搬送装置および画像読取り装置を提供すること。
【解決手段】原稿を読取り位置20へ搬送する際に、読取り入口センサ15により原稿が停止位置(読取り入口ローラ16の位置)に到達したことが検出された場合は搬送動作を停止して停止位置に原稿を停止させてから、搬送動作を再開して読取り位置20へ原稿を搬送する停止モードと、停止位置に停止させることなく読取り位置20へ搬送する非停止モードと、の何れかに動作モードを設定し、動作モードを停止モードと非停止モードの何れに設定するかを判定する判定期限より前に所定の条件を満たした場合に、動作モードを停止モードに設定し、設定した動作モードに基づいて原稿の搬送を制御するコントローラ100を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動原稿搬送装置および画像読取り装置に関し、より詳しくは、固定された読取り位置に原稿を搬送するシートスルー方式の自動原稿搬送装置およびこの自動原稿搬送装置を備えた画像読取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動原稿搬送装置としては、読取り位置に原稿を搬送する途中で搬送動作を一旦停止し、画像読取り装置としての画像形成装置本体から読取り開始信号を受信すると搬送動作を再開する停止モードと、原稿を停止させることなく読取り位置に搬送する非停止モードとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ここで、停止モードおよび非停止モードについて説明する。
【0004】
図11は、従来の自動原稿搬送装置の停止モードにおける搬送動作を示すタイミングチャートである。また、図12は、従来の自動原稿搬送装置の非停止モードにおける搬送動作を示すタイミングチャートである。また、図13は、従来の自動原稿搬送装置の動作結果を示す図である。
【0005】
図11に示すように、従来の自動原稿搬送装置においては、動作モードが停止モードであるときは、給紙モータの正転(縦軸下方向)および逆転(縦軸上方向)と、読取りモータの正転(縦軸上方向)により原稿を搬送する。停止モードにおいては、複数の原稿を連続して読取る連続読取り制御を行っている場合、原稿が読取り位置の上流近傍の読取り入口ローラに突き当たって停止して待機するタイミング(Tmc)より前もって、この原稿の1つ前を先行する原稿を、該先行する原稿の読取りが終了した後に速やかに停止させる(Tmeで示すタイミング)必要があり、先行する原稿の停止完了のタイミング(Tme)を見計らって、停止して待機していた後続する原稿の搬送再開と停止の制御を行う必要がある。これは、後続する原稿が突き当たって待機する読取り入口ローラと、先行する原稿の搬送を担っているローラ群の駆動系とが同一であるため、原稿の読取り入口ローラへの突き当て動作を確実に行うためには、前もって余裕を持って読取り入口ローラの回転を停止させてから後続する原稿を読取り入口ローラに突き当てて停止するよう制御を行わなければならないためである。
【0006】
一方、図12に示すように、従来の自動原稿搬送装置においては、動作モードが非停止モードであるときは、給紙モータの正転(縦軸下方向)および逆転(縦軸上方向)と、読取りモータの正転(縦軸上方向)により原稿を搬送する。非停止モードにおいては、複数の原稿を連続して読取る連続読取り制御を行っている場合、読取り位置で読取られている先行する原稿と、この原稿に後続する原稿の間隔(原稿間隔L)を制御する必要があるため、後続する原稿の搬送を適切に制御しなければならない。
【0007】
すなわち、自動原稿搬送装置が搬送する原稿を画像読取り装置が読取る際に、自動原稿搬送装置側で動作可能な最小間隔まで原稿の搬送間隔を狭めても、画像読取り装置側で読取りその他の処理が間に合わずに動作に支障をきたすことがあるため、画像読取り装置側の動作に支障をきたさない範囲で最も生産性(単位時間に処理できる原稿の枚数)が高くなるよう自動原稿搬送装置において原稿間隔を制御しなければならない。
【0008】
また、従来の自動原稿搬送装置においては、停止モードも非停止モードも何れの指定もされていない状態(未確定状態)では、停止モードを前提として制御を行うが、停止モードを前提とした動作から非停止モードへの変更が可能な最も遅いタイミングは、給紙モータが減速を開始するタイミング(図11のTmb)または、先行する原稿の搬送をしている読取りモータが減速を開始するタイミング(図11のTmd)の何れか早い方となる。
【0009】
図13は、これらをまとめたものであり、最上段の項目Aは、非停止モードにおける動作禁止状態の推移を示し、2段目の項目Bは、停止モードにおける動作禁止状態の推移を示し、3段目の項目Cは、非停止モードへの移行が可能な状態の推移を示している。また、4段目の項目Dおよび5段目の項目Eは、画像読取り装置から読取り開始信号を受信したタイミングに応じて設定される動作モードと生産性に関する動作結果を示している。
【0010】
なお、ここで示した条件は一例に過ぎず、原稿搬送に関わる様々なモード(例えば片面読取りモードか両面読取りモードか)、システムとして達成する生産性、メカ機構、原稿搬送の基本速度等により変化し、それぞれの関係は一定とはならない。
【0011】
このような技術的背景に対して、特許文献1に記載された自動原稿搬送装置では、例えば原稿が読取り位置に到達するタイミング等の特定の判定タイミングより前に画像読取り装置から読取り開始信号を受信した場合に、停止モードの動作から非停止モードの動作に変更することにより、原稿間隔の短縮を図るようになっている。
【特許文献1】特開2006−333528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述のような従来の自動原稿搬送装置にあっては、読取り開始信号を受信したタイミングのみに基づいて動作モードを決定するようになっており、また、読取り開始信号の送受信のタイミングにバラツキが生じた場合について考慮されていなかったので、図13の項目Dに示すように、読取り開始信号の送受信をする画像読取り装置と自動原稿搬送装置の少なくとも一方に何らかの原因により制御の遅れが生じ、図13にTaで示す判定タイミングまでに読取り開始信号の送受信が行われなかった場合は、図13の項目DのD2として示すように、原稿の搬送停止および搬送再開のための時間を要する停止モードの動作となってしまうため、生産性が著しく低下するという問題があった。
【0013】
また、図13の5段目の項目Eに示すように、非停止モードへの移行の判定タイミングをTaよりも遅いTbに設定して、読取り開始信号の送受信等のための時間的余裕を持たせた場合は、停止モードの動作で可能な最も早い(原稿間隔を短縮できる)動作とすることができず、Tb−Taの分だけ遅れが生じ、停止モード動作時の生産性が不要に低下するという問題があった。すなわち、Tbを判定タイミングとして停止モードで動作することになった場合には、Taを判定タイミングとした場合よりも原稿の停止のタイミングが遅くなった分、原稿の搬送再開のタイミングも遅くなってしまうので、停止モード動作を繰り返しながら複数の原稿を連続して搬送するような場合に特に生産性の低下が著しく、また、画像読取り装置側において読取り部で調整を行うシェーディング動作やその他の動作をするために、複数の原稿の連続搬送と読取りをしているときに一定間隔ごとに停止モードを混在させるような場合にも、総合的な生産性の低下を引き起こしてしまっていた。
【0014】
一方、仮に、生産性を向上するために、画像読取り装置と自動原稿搬送装置との間で、Taで示す判定タイミングより十分早いタイミングで時間的余裕を持って読取り開始信号の送受信を行うようにした場合は、制御上、最も安全なタイミングではなく、画像読取り装置側がシェーディング等の特定の制御の終了までの時間を見込んだタイミングで前もって読取り開始信号を自動原稿搬送装置に送信する見切り制御を実行しなければならないので、安定した動作を行うことができず、システム全体としての信頼性を低下させてしまうという問題があった。
【0015】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、メカ機構、基本搬送速度等の様々な条件が変化しても、安定して生産性を確保することができる自動原稿搬送装置および画像読取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る自動原稿搬送装置は、搬送される原稿を固定された読取り位置で読み取り可能な画像読取り装置に搭載可能であって、原稿を1枚ずつ前記読取り位置に搬送する自動原稿搬送装置において、原稿が前記読取り位置の上流近傍の停止位置に到達したことを検出する検出手段と、原稿を前記読取り位置へ搬送する際に、前記検出手段により原稿が前記停止位置に到達したことが検出された場合は搬送動作を停止して前記停止位置に原稿を停止させてから、搬送動作を再開して前記読取り位置へ原稿を搬送する停止モードと、前記停止位置に停止させることなく前記読取り位置へ搬送する非停止モードと、の何れかに動作モードを設定する動作モード設定手段と、前記動作モードを前記停止モードと前記非停止モードの何れに設定するかを判定する判定期限より前に所定の条件を満たした場合に、前記動作モード設定手段により前記動作モードを前記停止モードに設定する停止モード設定手段と、前記動作モード設定手段が設定した動作モードに基づいて原稿の搬送を制御する搬送制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この構成により、停止モードに設定する所定の条件を満たすか否かの判定が判定期限より前に行われ、所定の条件を満たした場合には、動作モードが停止モードに設定されるので、停止モード、非停止モードの何れの場合でも生産性上最適な制御を行うことが可能となり、判定の根拠となる情報に生じるバラツキに対して余裕を持って動作モードの設定を行うことができる。したがって、メカ機構、基本搬送速度等の様々な条件が変化しても、安定して生産性を確保することができる。
【0018】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記搬送制御手段により複数の原稿を連続して前記読取り位置に搬送する連続搬送モードに搬送モードを設定する搬送モード設定手段を備え、
前記搬送制御手段が、前記搬送モードが前記連続搬送モードに設定されている場合、前記複数の原稿のうち先行する原稿と後続する原稿の間隔が機構上可能な範囲で最も狭くなるように原稿を搬送することを特徴とする。
【0019】
この構成により、連続して搬送される原稿の間隔が構造上可能な限り狭くなるよう制御されるので、安定して高い生産性を達成することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記画像読取り装置が読取り可能である場合に該画像読取り装置が送信する停止モード指定信号を受信する停止モード指定信号受信手段を備え、前記停止モード設定手段が、前記動作モードが未確定の状態で、前記判定期限より前に前記停止モード指定信号受信手段により前記停止モード指定信号を受信した場合には、前記動作モード設置手段により前記動作モードを前記停止モードに設定し、前記搬送制御手段が、前記停止モードの動作が可能な状態となり次第、原稿の搬送動作を再開することを特徴とする。
【0021】
この構成により、画像読取り装置と連携して動作が行われ、意図的に停止モードの動作を行う際の搬送動作をシステム全体として最適化し、無駄なく速やかに安定して行うことが可能となる。
【0022】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記画像読取り装置が読取り可能である場合に該画像読取り装置が送信する読取り開始信号を受信する読取り開始信号受信手段と、前記動作モードが未確定の状態で、前記判定期限より前に前記読取り開始信号受信手段により前記読取り開始信号を受信した場合には、前記動作モード設定手段により前記動作モードを前記非停止モードに設定する非停止モード設定手段と、を備え、前記搬送制御手段が、前記非停止モードの動作が可能な状態となり次第、原稿の搬送動作を再開することを特徴とする。
【0023】
この構成により、画像読取り装置と連携して動作が行われ、意図的に非停止モードの動作を行う際の搬送動作をシステム全体として最適化し、無駄なく速やかに安定して行うことが可能となる。
【0024】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記搬送制御手段が、前記動作モードが未確定の状態であり、かつ、前記停止モードの動作が可能な状態であり、かつ、前記非停止モードの動作が可能な状態となり次第、原稿の搬送動作を再開することを特徴とする。
【0025】
この構成により、動作モードが未確定の状態でも、停止モードおよび非停止モードの動作が可能な状態になり次第搬送動作を行うことにより、停止モード指定信号または読取り開始信号の送信遅れまたは受信遅れが起きた場合に、不必要に搬送制御を遅らせることを避けることができる。
【0026】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記判定期限が、機構上および制御上、前記動作モードを前記非停止モードに設定することが可能な最も遅いタイミングと同じタイミング、または該最も遅いタイミングより早いタイミングであることを特徴とする。
【0027】
この構成により、非停止モードの動作への移行を機構上および制御上可能な限り遅くすることにより、多少の各種制御上のバラツキが発生したとしても、生産性上の大きな遅れが生じることを回避することができる。
【0028】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記動作モード設定手段が、前記搬送モードが前記連続搬送モードに設定されている場合に、原稿毎に独立して前記動作モードを前記非停止モードまたは前記停止モードに設定することを特徴とする。
【0029】
この構成により、非停止モードおよび停止モードの設定を原稿毎に独立して設定可能なので、原稿の連続読取りの際に可能な動作を多様化することができる。
【0030】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記停止位置に設けられ、停止する原稿が突き当たる突き当て部材を備え、前記搬送制御手段が、前記動作モードが前記停止モードに設定されている場合に、原稿を前記突き当て部材に突き当てた状態で原稿を停止させることを特徴とする。
【0031】
この構成により、停止モードの動作時に搬送中の原稿を突き当て部材に突き当てることにより、原稿搬送中に生じる原稿の斜行を補正し、搬送品質を高めることができる。
【0032】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記突き当て部材が、原稿を搬送する原稿搬送部材を兼ねることを特徴とする。
【0033】
この構成により、突き当て部材が原稿搬送部材を兼ねることにより、部品数の削減と構成の簡素化を行うことができる。
【0034】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記非停止モードが継続している時間を計時する計時手段を備え、前記停止モード設定手段が、前記判定期限より前に、前記計時手段が計時した時間が予め定めた時間以上であったときに前記動作モード設定手段により前記動作モードを前記停止モードに設定し、前記搬送制御手段が、前記停止モードの動作が可能な状態となり次第、原稿の搬送動作を再開することを特徴とする。
【0035】
この構成により、非停止モードを連続して実行している継続時間を計時することにより、停止モードに移行するか否かを自動原稿搬送装置単体で判断することができるようになり、画像読取り装置との余分な通信を行うことなく最適な動作を行うことができるようになる。
【0036】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記搬送制御手段が、前記動作モードが前記非停止モードに設定され、かつ、前記搬送モードが前記連続搬送モードに設定されている場合、原稿の間隔が予め定めた指定原稿間隔となるよう原稿を搬送することを特徴とする。
【0037】
この構成により、連続搬送モード設定時の原稿間隔を指定原稿間隔にすることにより、安定した搬送動作が可能となる。
【0038】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記指定原稿間隔を前記画像読取り装置から受信する指定原稿間隔受信手段を備え、前記搬送制御手段が、原稿の間隔が前記指定原稿間隔受信手段が受信した指定原稿間隔となるよう原稿を搬送することを特徴とする。
【0039】
この構成により、画像読取り装置により指定された指定原稿間隔に原稿間隔が制御されるので、画像読取り装置の様々な動作や状況に対応した安定した搬送動作を行うことが可能となる。
【0040】
また、本発明に係る画像読取り装置は、上記の自動原稿搬送装置を備えたことを特徴とする。
【0041】
この構成により、画像読取り装置が本発明の自動原稿搬送装置を備えることにより、システム全体として様々な状況や制御上の要求に対応して、安定して高い生産性のシステム動作を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、メカ機構、基本搬送速度等の様々な条件が変化しても、安定して生産性を確保することができる自動原稿搬送装置および画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0044】
図1は、本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置およびこの自動原稿搬送装置を備えた画像読取り装置の概略構成図である。また、図2は、本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の構成図である。また、図3は、本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の制御系のブロック図である。なお、自動原稿搬送装置を備えた画像読取り装置は、画像形成装置として構成され、画像形成装置としては、複写機、ファクシミリ装置、複写機能とファクシミリ機能等を備えた複合機等に適用することができるものである。
【0045】
まず、構成について説明する。
【0046】
図1、図2に示すように、画像形成装置70は、原稿の搬送を行う自動原稿搬送装置50と、原稿の読取りおよび転写紙への画像形成を行う画像読取り装置としての画像形成装置本体60とを備えている。自動原稿搬送装置50は図示しないヒンジ機構を介して画像形成装置本体60に対して開閉自在に設けられている。
【0047】
画像形成装置本体60内には、画像読取り部81が設けられており、この画像読取り部81によって読取られた画像情報は書込部82によって感光体ドラム83に照射されるようになっている。
【0048】
画像読取り部81は、コンタクトガラス22またはスリットガラス21上の原稿を照明する光源81aと、原稿から反射された光をそれぞれ反射する第1ミラー81b、第2ミラー81c、第3ミラー81dと、第3ミラー81dから反射された光をCCDイメージセンサ81fに結像するレンズ81eと、レンズ81eによって結像された光を電気信号に変換するCCDイメージセンサ81fとを備えている。
【0049】
光源81aおよび第1ミラー81bは図示しない第1走行体に取付けられているとともに、第2ミラー81cとおよび第3ミラー81dは第2走行体に取付けられており、第1走行体および第2走行体はコンタクトガラス22およびスリットガラス21に沿って移動するようになっている。
【0050】
そして、第1走行体および第2走行体は、コンタクトガラス22に載置された原稿を読取るときには、コンタクトガラス22の下方で図1中、左右方向に移動され、スリットガラス21を通過する原稿を読取るときには、スリットガラス21の下方で停止される。
【0051】
書込部82は、画像読取り部81によって読取った画像情報に応じて光変調したレーザ光を照射し、帯電させた感光体ドラム83の表面をこのレーザ光で露光するようになっている。
【0052】
感光体ドラム83の周囲には、感光体ドラム83と共に画像形成手段を構成する現像装置86、転写ベルト87、クリーニング装置88、図示しない帯電装置および除電装置が設けられている。帯電装置は暗中にプラス電荷のコロナ放電をグリッドにより制御して感光体ドラムの表面を一定電位に帯電させるようになっている。
【0053】
書込部82はこの一定電位に帯電された感光体ドラム83上に画像情報を含んだレーザダイオードを照射して感光体ドラム83上のマイナス電荷を除去して静電潜像を形成する。
【0054】
現像装置86は感光体ドラム83上の電気除去された部分にマイナスに帯電されたトナーを付着させて可視像を形成する。転写ベルト87にはプラスのバイアスが印加されており、この転写ベルト87はマイナスに帯電された可視像を記録媒体としての転写紙(用紙)に転写して搬送するようになっている。
【0055】
クリーニング装置88はクリーニングブレードを備えており、感光体ドラム83に残ったトナーを掻き落とすようになっている。除電装置は内部のLEDを点灯させることにより感光体ドラム83の残留電荷を除去して次の転写紙に新たな画像を形成するための準備を行う。
【0056】
上記の工程によって画像が形成された転写紙は、定着装置90に搬送されるとともに、定着装置90によりトナー画像が定着される。
【0057】
また、画像形成装置本体60内にはそれぞれ異なるサイズの転写紙がそれぞれ収納された収納カセット91〜95が設けられており、この収納カセット91〜95に収納された転写紙は呼出しコロ91a〜95aによって給紙された後、搬送方向に回転する給紙ローラ91b〜95bおよび給紙ローラ91b〜95bに摺接し、分離方向に回転するリバースローラ91c〜95cによって分離された後、中継ローラ対96、97を介してレジストローラ対98に搬送され、レジストローラ対98によってタイミングを取られて感光体ドラム83と転写ベルト87の間の搬送路に搬送される。
【0058】
一方、自動原稿搬送装置50は、図2に示すように、複数の原稿からなる原稿束1が原稿面を上向きにして載置される原稿テーブル2と、原稿テーブル2に載置された原稿束1から最上部の原稿を搬送するピックアップローラ7と、ピックアップローラ7により搬送された原稿を分離する給紙ベルト9およびリバースローラ10と、分離されて1枚になった原稿を画像形成装置本体60のスリットガラス21の近傍まで搬送するプルアウトローラ12、中間ローラ14、読取り入口ローラ16と、スリットガラス21の近傍まで搬送された原稿をスリットガラス21に接触させながら搬送する読取りローラ19と、スリットガラス21の読取り位置20で読取りを終えた原稿を更に搬送する読取り出口ローラ23と、読取り出口ローラ23により搬送された原稿を排出する排紙ローラ28と、排出された原稿が載置される排紙トレイ29とを備えている。
【0059】
原稿テーブル2に載置された原稿は、排紙トレイ29に排出されるまでに搬送経路の各部を通過するようになっている。搬送経路は、原稿束1が載置される原稿セット部Aと、載置された原稿束1から一枚の原稿を分離して給送する分離給送部Bと、給送された原稿の表面に当接して整合するとともに整合後の原稿を引き出して搬送するレジスト部Cと、搬送される原稿をターンさせて、原稿の表面を下方に向けて搬送するターン部Dと、原稿の表面をスリットガラス21の下方より読取らせる第1読取り搬送部Eと、原稿の裏面を読取る第2読取り搬送部Fと、表裏の読取りが完了した原稿を外部に排出する排紙部Gと、排出された原稿が載置されるスタック部Hとから構成されている。ここで、原稿の表面とは、原稿テーブル2で上向きとなり第1読取り搬送部Eにおいて読取りが行われる面のことをいい、原稿の裏面とは、原稿テーブル2で下向きとなり第2読取り搬送部Fにおいて読取りが行われる面のことをいう。
【0060】
図3に示すように、自動原稿搬送装置50は、自動原稿搬送装置50全体の制御を行うコントローラ100を備えている。また、自動原稿搬送装置50は、コントローラ100に信号を入力するセンサ等として、レジストセンサ17、原稿セットセンサ5、排紙センサ24、突き当てセンサ11、原稿幅センサ13、読取り入口センサ15、給紙適正位置センサ8、ホームポジションセンサ6を備えている。また、自動原稿搬送装置50は、コントローラ100から信号を出力して駆動制御するアクチュエータ等として、第2読取り部25、ピックアップモータ101、給紙モータ102、読取りモータ103、排紙モータ104、底板上昇モータ105を備えている。
【0061】
また、画像形成装置本体60は、画像形成装置本体60の制御を行う本体制御部111と、各種の入力操作や動作指示を行う操作部108とを備えている。コントローラ100と本体制御部111はI/F107を介して接続されており、双方の間で制御信号等のデータの授受が行われるようになっている。
【0062】
図4は、本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の画像読取り部の構成を示すブロック図である。
【0063】
図4に示すように、第2読取り部25は、コントローラ100からの点灯信号に基づいて原稿に光を照射する光源部200と、原稿からの反射光を受光する複数のセンサチップ201と、各センサチップ201から出力された信号を増幅する複数の増幅部202と、増幅された信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D203と、デジタル変換された信号に画像処理を施す画処理部204と、画像処理された信号を記憶するフレームメモリ205と、コントローラ100からのタイミング信号に基づいてフレームメモリ205に記憶された信号の出力制御を行う出力制御回路206と、出力制御回路206からの信号を本体制御部111に出力するI/F回路207とを備えている。なお、第2読取り部25には、コントローラ100から電源が供給されるようになっている。
【0064】
ここで、原稿テーブル2に載置された原稿が排紙トレイ29に排出されるまでの順番に従って自動原稿搬送装置50の詳細な構成を説明する。
【0065】
まず、複数の原稿からなる原稿束1は、可動原稿テーブル3を含む原稿テーブル2上に、表面が上向きの状態で載置される。次いで、原稿束1の幅方向の位置、即ち搬送方向と直行する方向の位置が図示しないサイドガイドによって位置決めされる。原稿テーブル2上に原稿が載置されたことはセットフィラー4および原稿セットセンサ5により検知され、検知信号がI/F107を介して画像形成装置本体60の本体制御部111に出力される。
【0066】
また、原稿の搬送方向長さの概略は、原稿テーブル2の表面に設けられた原稿長さ検知センサ30、31により検知される。原稿長さ検知センサ30、31としては、光学的手段により原稿と接触せずに検知する反射型センサまたは原稿が1枚の場合でも検知可能な接触式のアクチェータータイプのセンサを用いることができる。また、原稿長さ検知センサ30、31は、原稿の配置が縦と横の何れになっているかを判断できるように配置されている。
【0067】
可動原稿テーブル3は、底板上昇モータ105により図2の矢印a、b方向に上下動するように構成されている。また、原稿が原稿テーブル2上に載置されたことがセットフィラー4および原稿セットセンサ5により検知されると、コントローラ100は、底板上昇モータ105を正転させて原稿束1の最上部の原稿がピックアップローラ7と接触するように可動原稿テーブル3を上昇させるようになっている。以下、原稿束1の最上部の原稿がピックアップローラ7と接触する位置を給紙適正位置という。
【0068】
ピックアップローラ7は、ピックアップモータ101によりカム機構を介して図2の矢印c、d方向に動作するとともに、上昇した可動原稿テーブル3上の原稿により押されて矢印c方向に持ち上げられ、給紙適正位置センサ8により移動の上限が検知されるようになっている。給紙適正位置センサ8は、可動原稿テーブル3が上昇して原稿束1の最上部の原稿が適正な高さに保たれていることを検知するためのセンサである。
【0069】
操作部108が操作されて、両面モードまたは片面モードの何れかが指定された後にプリントキーが押下され、本体制御部111からI/F107を介してコントローラ100に原稿給紙信号が出力されると、コントローラ100は、給紙モータ102を正転させることにより、ピックアップローラ7を回転させるようになっている。回転を開始したピックアップローラ7は、原稿テーブル2の最上部の原稿または最上部の原稿を含む数枚の原稿をピックアップするようになっている。
【0070】
次いで、給紙モータ102の正転により、給紙ベルト9およびリバースローラ10を時計方向に駆動すると、給紙ベルト9が原稿を給紙方向に導くとともに、リバースローラ10が原稿を給紙方向と逆の方向に押し出すため、原稿束1の最上部の原稿とその下の原稿とが分離し、最上部の原稿のみが給紙されるようになっている。
【0071】
具体的には、リバースローラ10は、給紙ベルト9と所定圧で接しており、給紙ベルト9と直接接している状態、または1枚の原稿を介して接している状態では、給紙ベルト9の回転に連られて、図示しないトルクリミッタの働きにより本来の駆動方向と異なる反時計方向に回転するようになっている。また、2枚以上の原稿が給紙ベルト9とリバースローラ10の間に侵入した時は、リバースローラ10は、給紙ベルト9と連れ回りせず、本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをして重送を防止するようになっている。
【0072】
給紙ベルト9とリバースローラ10との作用により1枚に分離された原稿は、給紙ベルト9によって送られた後、突き当てセンサ11によってその先端が検知され、更に搬送されて停止しているプルアウトローラ12に当接するようになっている。次いで、突き当てセンサ11に検知された位置から所定距離送られた原稿がプルアウトローラ12に所定量撓みを持って押し当てられた状態になると、給紙モータ102が停止されて給紙ベルト9の駆動が停止するようになっている。この際に、ピックアップモータ101を回転させることでピックアップローラ7を原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト9の搬送力のみで送ることにより、原稿の先端がプルアウトローラ12に挟持され、先端の整合、いわゆるスキュー補正が行われるようになっている。プルアウトローラ12は、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ14まで搬送するためものであり、給紙モータ102の逆転により駆動されるようになっている。なお、給紙モータ102の逆転時は、プルアウトローラ12および中間ローラ14は駆動されるが、ピックアップローラ7と給紙ベルト9は駆動されないようになっている。
【0073】
原稿幅センサ13は、CISと称される密着イメージセンサ等の光電変換素子を原稿の搬送方向と直行する方向に複数並べたものから構成されており、搬送経路の対向部に配置された図示しない照射光源から照射された直接光の受光レベルを出力するようになっている。コントローラ100は、原稿が原稿幅センサ13の位置を通過する際に、原稿幅センサ13における原稿によって遮光された部分と遮光されなかった部分のレベル差を検知して、プルアウトローラ12により搬送された原稿の幅方向のサイズを判定し、本体制御部111へ通知するようになっている。また、原稿の搬送方向の長さは原稿の先端と後端を突き当てセンサ11で読取ることによりモータパルスから検知するようになっている。プルアウトローラ12および中間ローラ14の駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取り搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して、原稿を第1読取り搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮を図っている。
【0074】
原稿先端が読取り入口センサ15により検出された後の制御は、動作モードが非停止モードと停止モードであるときとで異なっている。
【0075】
非停止モードにおいては、読取り入口ローラ16のニップ部に原稿の先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取り搬送速度と等しくするために減速を開始すると同時に、読取りモータ103を正転駆動して読取り入口ローラ16、読取り出口ローラ23、CIS出口ローラ27を駆動する。
【0076】
その後、原稿の先端をレジストセンサ17により検知し、読取りモータ103のパルスカウントにより検出された原稿の先端が読取り位置20に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面(原稿表面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、読取り位置20を原稿後端が抜けるまで送信される。
【0077】
一方、停止モードにおいては、読取り入口センサ15により原稿の先端が検出された後、原稿が読取り入口ローラ16のニップ部に突き当たった後に所定量撓み量が生じるよう予め定められたパルスカウント数だけ給紙モータ102を駆動してから原稿を停止(レジスト停止)させるとともに、本体制御部111にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。すなわち、読取り入口ローラ16が設けられた位置は、原稿が停止する停止位置である。
【0078】
続いて本体制御部111より読取り開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、読取り位置20に先端が到達するまでに所定の搬送速度となるよう増速されて搬送される。
【0079】
その後、原稿の先端をレジストセンサ17により検知し、読取りモータ103のパルスカウントにより検出された原稿の先端が読取り位置20に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、読取り位置20を原稿後端が抜けるまで送信される。
【0080】
動作モードが片面モードである場合には、コントローラ100は、第1読取り搬送部Eを通過した原稿を、第2読取り部25を経て排紙部Gに搬送するようになっている。この際に、排紙センサ24により原稿の先端が検知されると、コントローラ100は、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ28を反時計方向に回転するようになっている。また、コントローラ100は、排紙センサ24が原稿の先端を検知してからの排紙モータ104のパルスカウントを行い、原稿の後端が排紙ローラ28のニップ域から抜け出る直前に排紙モータ104の駆動速度を減速させることにより、排紙トレイ29上に排出される原稿が飛び出さないようにしている。
【0081】
このように、停止モードでは、原稿は、読取り入口センサ15により先端が検出されると読取り入口ローラ16で一時停止され、非停止モードでは、原稿は、一時停止することなく搬送される。読取り入口ローラ16は、本発明において原稿を搬送する原稿搬送部材を構成する。
【0082】
動作モードが両面モードである場合には、コントローラ100は、排紙センサ24により原稿の先端が検知されてからの読取りモータ103のパルスカウントを行い、第2読取り部25に原稿の先端が到達するタイミングで、第2読取り部25に対して副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号を出力するようになっている。ゲート信号は、第2読取り部25を原稿の後端が抜け出るまで継続して出力されるようになっている。
【0083】
なお、第2読取り部25の表面には、原稿に付着した糊上の異物等が転写されることを防止するため、防汚コーティング処理が施されている。第2読取りローラ26は、第2読取り部25に対向配置されており、第2読取り部25を通過する原稿を第2読取り部25へ押圧して第2読取り部25における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取り部25におけるシェーディングデータを取得してシェーディング補正をするための基準白部を兼ねるものである。すなわち、第2読取りローラ26は、白色のシェーディング部材を兼ねている。
【0084】
次に動作について説明する。なお、以下の各処理はコントローラ100により行われる。
【0085】
図5は、本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の搬送処理を示すフロー図である。
【0086】
図5に示すように、まず、原稿ごとに動作モードを未確定に設定し(ステップS1)、タイマーリセットフラグを0に設定し(ステップS2)、給紙モータ102のパルスリセットフラグを0に設定し、(ステップS3)、非停止モード移行許可フラグを許可に設定する(ステップS4)。
【0087】
次いで、動作モードの判定をするモード判定処理を行い(ステップS5)、このモード判定処理の結果に基づいて搬送再開判定処理を行い(ステップS6)、給紙搬送制御処理を行う(ステップS7)。
【0088】
次いで、原稿の先端が読取り位置20に到達して原稿の読取りが開始され、かつ、タイマーリセットフラグが1であるか否かを判別し、この判別が"Yes"であればこの処理を終了し、判別が"No"であればステップS5に戻る。なお、タイマーリセットフラグが1とは、図8のステップS42、S43で後述するように、タイマーカウンタT1が0にリセットされたことを意味する。また、タイマーカウンタT1とは、次に給紙される原稿に対する基準となるものである。
【0089】
図6は、本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置のモード判定処理を示すフロー図である。
【0090】
図6に示すように、まず、先行する原稿が停止しているか否かを判断し(ステップS11)、停止していれば、非停止モード移行許可フラグを禁止に設定する(ステップS16)。なお、ステップS11では、具体的には、先行する原稿を読取り入口ローラ16に突き当てて停止するための制御が既に開始されているか否かを判断しており、停止させるための制御を開始している場合は原稿が停止しているものとして判断を行っている。
【0091】
ステップS11に次いで、動作モードが未確定であるか否かを判別し(ステップS12)、動作モードが未確定であれば、本体制御部111より停止モード指定信号を受信しているか否か判別し(ステップS13)、停止モード指定信号を受信していれば、動作モードを停止モードに設定する(ステップS17)。
【0092】
ステップS13で停止モード指定信号を未受信であれば、本体制御部111より読取り開始信号を受信しているか否かを確認し(ステップS14)、読取り開始信号を受信していれば、動作モードを非停止モードに設定する(ステップS18)。
【0093】
ステップS14で読取り開始信号を未受信であれば、非停止モード移行許可フラグが禁止であるかを確認し(ステップS15)、禁止であれば、動作モードを停止モードに設定する(ステップS19)。
【0094】
このように、モード判定処理では、原稿の搬送状況(先行する原稿が停止しているか否か)や本体制御部111から受信した信号(停止モード指定信号、読取り開始信号)に基づいて動作モードの判定を行うようになっている。
【0095】
図7は、本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の搬送再開判定処理を示すフロー図である。
【0096】
図7に示すように、まず、タイマーカウンタT1を前回0にリセット(図8のステップS42)してからの経過時間に応じて更新し(ステップS21)、原稿がプルアウトローラ12の位置で待機中か否か、すなわちプルアウトローラ12による原稿搬送動作をまだ再開していないかどうかを確認し(ステップS22)、この判別が"No"のときはこの処理を終了する。
【0097】
ステップS22の判別が"Yes"のときは、対象とする原稿がジョブ中の1枚目であるか否か、すなわち、原稿テーブル2上に複数の原稿からなる原稿束1がセットされてから連続搬送動作(連続搬送モードの動作)を終了する一連の作業の1枚目であるか否かを確認し(ステップS23)、ステップS23の判別が"Yes"すなわち1枚目であれば、先行する原稿が存在せず、図11に示したTmeより早く動作開始できないという制約条件および図12に示したTmbより早く動作開始できないという制約条件を受けないので、給紙モータ102の逆転駆動を開始してプルアウトローラ12および中間ローラ14を駆動する(ステップS27)。
【0098】
ステップS23の判別が"No"であれば、動作モードが停止モードに設定されていて、かつ、タイマーカウンタT1が停止モード時に必要な遅延時間(図11に示す前述した制約条件を満たすように設定される時間)以上であるか否か、すなわち、停止モード動作が可能な状態であるか否かを判別し(ステップS24)、ステップS24の判別が"Yes"のときは、給紙モータ102の逆転駆動を開始してプルアウトローラ12および中間ローラ14を駆動する(ステップS27)。この遅延時間は、停止モード動作時に原稿が読取り入口ローラ16に到達するまでに必要とする時間や原稿搬送の基本速度、搬送路のレイアウト等により決定される。
【0099】
ステップS24の判別が"No"のときは、動作モードが非停止モードに設定されていて、かつ、タイマーカウンタT1が非停止モード時に必要な遅延時間(図12に示す前述した制約条件を満たすように設定される時間)以上であるか否か、すなわち、非停止モード動作が可能な状態であるか否かを判別し(ステップS25)、ステップS25の判別が"Yes"のときは、給紙モータ102の逆転駆動を開始してプルアウトローラ12および中間ローラ14を駆動する(ステップS27)。この遅延時間は、例えば搬送動作開始前に画像形成装置本体60の本体制御部111よりI/F107を通じて通知される指定原稿間隔としての原稿の読取り間隔(図12に示した原稿間隔L)や原稿搬送の基本速度等により決定される。
【0100】
ステップS25の判別が"No"のときは、動作モードがまだ未確定であり、かつ、タイマーカウンタT1が停止モード時の必要遅延時間以上であり、かつ、タイマーカウンタT1が非停止モード時の必要遅延時間以上であるか否かを判別し(ステップS26)、ステップS26の判別が"Yes"のときは、給紙モータ102の逆転駆動を開始してプルアウトローラ12および中間ローラ14を駆動し(ステップS27)、ステップS26の判別が"No"のときは、この処理を終了する。すなわち、ステップS26では、動作モードが停止モードまたは非停止モードのどちらであることを仮定しても搬送動作を再開できる状態であるか否かを判定するようになっている。
【0101】
このように、搬送再開判定処理では、搬送状況や動作モードの設定状況に応じて、プルアウトローラ12に突き当てられて停止待機状態となっている原稿の搬送動作を再開するかどうかを判定するようになっている。また、搬送動作を再開するかどうかの判断は、主として先行する原稿に対して一連の処理を実行したときに0にリセット(図8のステップS42)されたタイマーカウンタT1を基準として行われ、非停止モード、停止モードに関わらず、先行する原稿との相対的な位置関係が管理・判断されるようになっている。
【0102】
図8は、本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の給紙搬送制御処理を示すフロー図である。
【0103】
図8に示すように、まず、原稿が読取り入口ローラ16にて待機中であるか否かを確認し(ステップS31)、この判別が"No"であれば、給紙モータ102のパルスリセットフラグが1であるか否かを確認する(ステップS32)。
【0104】
ステップS32の判別が"No"であれば、読取り入口センサ15の検知結果がOFF(原稿非検知状態)からON(原稿検知状態)へ前回から変化したかどうかを確認する(ステップS33)。
【0105】
ステップS33の判別が"Yes"であれば、給紙モータ102の駆動パルスを0にリセットし(ステップS34)、給紙モータ102のパルスリセットフラグを1にセットする(ステップS35)。一方、ステップS33の判別が"No"であれば、ステップS40に移行する。
【0106】
ステップS35に次いで、動作モードが停止モードに設定されていて、かつ、給紙モータ102の駆動パルス数が停止モード時の停止パルスを超えているか否かを確認し(ステップS36)、この判別が"Yes"であれば、給紙モータ102の停止制御を行うことにより読取り入口ローラ16への原稿の突き当てを開始し(ステップS38)、非停止モードへの移行許可フラグを禁止に設定する(ステップS39)。なお、ステップS36における停止モード時の停止パルスは、読取り入口センサ15から読取り入口ローラ16までの搬送路長に所定の突き当て量を加えた搬送距離と、現在の搬送速度において原稿の停止が完了するまでに必要な距離を勘案して設定されている。
【0107】
ステップS36の判別が"No"であれば、動作モードが非停止モードに設定されており、かつ、給紙モータ102の駆動パルス数が非停止モード時停止パルスを越えているか否かを確認し(ステップS37)、ステップS37の判別が"Yes"のときは、給紙モータ102を基本搬送速度まで減速させる(ステップS44)。なお、ステップS37における非停止モード時停止パルスは、読取り入口センサ15から読取り入口ローラ16までの搬送路長と、現在の搬送速度から基本搬送速度までの減速制御に必要な距離を勘案し、原稿の先端が読取り入口ローラ16に到達した際に減速が完了するように設定されている。ただし、意図的に減速の開始タイミングを遅らせることにより、モータ回転速度の差によって読取り入口ローラ16に原稿が突き当てられて撓みをもつように制御されることもある。
【0108】
ステップS37、44に次いで、タイマーリセットフラグが1となっているか否かを確認し(ステップS40)、この判別が"No"すなわちタイマーリセットフラグが0のままであれば、読取り入口センサ15がON(原稿検知状態)からOFF(原稿非検知状態)に前回から変化したか否かを確認する(ステップS41)。
【0109】
ステップS41の判別が"Yes"すなわち読取り入口センサ15がON(原稿検知状態)からOFF(原稿非検知状態)に前回から変化していれば、次原稿の搬送再開タイミングの基準となるタイマーカウンタT1を0にリセットし(ステップS42)、タイマーリセットフラグを1にセットし(ステップS43)、この処理を終了する。
【0110】
ステップS31の判別が"Yes"すなわち原稿が読取り入口ローラ16で停止待機状態である場合には、本体制御部111より読取り開始信号を受信したか否かを確認し(ステップS45)、受信していれば、給紙モータ102の逆転駆動を開始し読取り位置20への搬送を再開し(ステップS46)、受信してなければ、この処理を終了する。
【0111】
このように、給紙搬送制御処理では、モード判定処理で設定された動作モード等に基づいて給紙モータ102の停止や減速制御を行うとともに、次の原稿に対する搬送タイミングの基準となるタイマーカウンタT1のリセット動作(リセットするか否か)を制御する。
【0112】
なお、図6で説明したモード判定処理では、原稿の搬送状況(先行する原稿が停止しているか否か)や本体制御部111から受信した信号(停止モード指定信号、読取り開始信号)に基づいて動作モードの判定を行うようになっているが、図9で後述するように、停止モード指定信号や読取り開始信号を受信しなくても自動原稿搬送装置50単体で停止モードへの移行判断を行うようにしてもよい。
【0113】
図9は、本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置のモード判定第2処理を示すフロー図である。モード判定処理に代わってモード判定第2処理を実行した場合、停止モード指定信号を受信しなくても自動原稿搬送装置50単体で停止モードへの移行判断が行われる。
【0114】
図9に示すように、まず、先行する原稿が読取り入口ローラ16での突き当て制御のためにすでに停止制御開始されているかを確認し(ステップS51)、停止されていれば、非停止モード移行許可フラグを禁止に設定する(ステップS52)。
【0115】
次いで、動作モードが未確定であるか否かを判別し(ステップS53)、動作モードが未確定であれば、非停止モードが継続している時間であるタイマーカウンタT2を更新し(ステップS54)、動作モードが未確定でなければ、この処理を終了する。
【0116】
次いで、タイマーカウンタT2が予め設定された非停止モード最大継続時間以上であるか否かを判別し(ステップS55)、この判別が"Yes"であれば、動作モードを停止モードに設定する(ステップS59)。
【0117】
ステップS55の判別が"No"のときは、本体制御部111より停止モード指定信号を受信しているか否か判別し(ステップS56)、停止モード指定信号を受信していれば、動作モードを停止モードに設定する(ステップS59)。
【0118】
ステップS56で停止モード指定信号が未受信であれば、本体制御部111より読取り開始信号を受信しているか否かを確認し(ステップS57)、読取り開始信号を受信していれば、動作モードを非停止モードに設定する(ステップS60)。
【0119】
ステップS57で読取り開始信号を未受信であれば、非停止モード移行許可フラグが禁止であるか否かを確認し(ステップS58)、ステップS58で禁止であれば、動作モードを停止モードに設定し(ステップS61)、タイマーカウンタT2を0にリセットし(ステップS62)、この処理を終了する。
【0120】
このように、モード判定第2処理では、ステップS54で更新されたタイマーカウンタT2がステップS55にて所定の非停止モード最大継続時間より大きいと判別された場合は、ステップS59に移行し動作モードが停止モードに設定される。タイマーカウンタT2は、ステップS59またはステップS61で動作モードが停止モードに設定された場合にはステップS62にて0にリセットされる。なお、非停止モード最大継続時間は、例えば、画像形成装置本体60側に設けられた81aの光量の減衰特性等を考慮して予め設定されるようになっている。
【0121】
図10は、本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の動作結果を示す図である。なお、図10は、図13の下段に、画像形成装置本体60から読取り開始信号を受信したタイミングに応じて設定される動作モードと生産性に関する動作結果を6段目の項目Fで示し、画像形成装置本体60から停止モード指定信号を受信したタイミングに応じて設定される動作モードと生産性に関する動作結果を7段目の項目Gで示し、従来の自動原稿搬送装置との動作結果の違いを対比して説明するものである。生産性とは、単位時間に処理できる原稿の枚数のことである。
【0122】
図10の項目Fに示すように、画像読取り部81を備える画像読取り装置としての画像形成装置本体60側が、意図して自動原稿搬送装置50を非停止モードの動作とする場合には、Tbで示すタイミングを終点とするF1で示す期間内に、画像形成装置本体60が自動原稿搬送装置50に読取り開始信号を送信すれば、自動原稿搬送装置50は、非停止モードの動作が可能となった時点から原稿の搬送動作を再開することができ、生産性上最適となる。
【0123】
また、F1に間に合わなくても、Tcで示すタイミングを終点とするF2で示す期間内に、画像形成装置本体60が自動原稿搬送装置50に読取り開始信号を送信すれば、自動原稿搬送装置50は、F1で示す期間に読取り開始信号を受信したときよりも生産性がやや劣るが、停止モードよりも生産性に優れる非停止モードの動作を行うことができ、F1で示す期間の終了より遅れた時間だけの生産性低下に抑えることができる。
【0124】
また、読取り開始信号が更に遅れ、F3で示す期間内に画像形成装置本体60が自動原稿搬送装置50に読取り開始信号を送信した場合には、自動原稿搬送装置50は、停止モードの動作をすることとなり生産性が大きく低下してしまうが、従来の自動原稿搬送装置の動作結果である項目Dと比較すると、項目Fで示す本実施の形態の動作結果は、非停止モードの動作と停止モードの動作が切り替わる境界が余裕を持ったタイミングに設定されている。
【0125】
一方、項目Gに示すように、画像読取り部81を備える画像読取り装置としての画像形成装置本体60側がシェーディング動等で時間を費やすために意図して自動原稿搬送装置50を停止モードの動作とする場合には、G1で示す期間内に画像形成装置本体60が自動原稿搬送装置50に停止モード指定信号を送信すれば、停止モードの動作が従来よりも早いタイミングで開始できるので、自動原稿搬送装置50は、停止モードの動作が可能となった時点から原稿の搬送動作を再開することができ、生産性上の最適動作となる。
【0126】
また、G1に間に合わなくても、G2で示す期間内に画像形成装置本体60が自動原稿搬送装置50に停止モード指定信号を送信すれば、自動原稿搬送装置50は、G1で示す期間に停止モード指定信号を受信したときよりも生産性がやや劣る停止モードの動作を行うこととなるが、G1で示す期間の終了から遅れた時間だけの生産性低下に抑えることができる。
【0127】
なお、停止モード指定信号の送受信が更に遅れてしまい、G3で示す期間内に画像形成装置本体60と自動原稿搬送装置50との間で停止モード指定信号の送受信が行われた場合には、停止モード指定信号の受信有無の影響が無くなり、生産性が狙いより大きく低下してしまうことが避けられない。
【0128】
このように、従来の自動原稿搬送装置においては、項目Dに示すように、Taより後に画像形成装置本体から読取り開始信号を受信した場合に、生産性に優れる非停止モードから生産性に劣る停止モードの動作をしてしまっていたが、本実施の形態の自動原稿搬送装置50においては、項目Fに示すように、Taより遅いタイミングであるTcより後に画像形成装置本体60から読取り開始信号を受信した場合に、非停止モードから停止モードになるので、TaとTcの時間差だけ制御上余裕が発生することとなり、かつ生産性に対する動作が最適化される。また、本実施の形態の自動原稿搬送装置50においては、項目Gに示すように、Taで示すタイミングより前に停止モード指定信号を受信することにより、停止モードの動作においても生産性上最適な制御を行うことが可能となる。
【0129】
以上のように、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、搬送される原稿を固定された読取り位置20で読み取り可能な画像形成装置本体60に搭載可能であって、原稿を1枚ずつ読取り位置20に搬送する自動原稿搬送装置50において、原稿が読取り位置20の上流近傍の停止位置(読取り入口ローラ16の位置)に到達したことを検出する読取り入口センサ15と、原稿を読取り位置20へ搬送する際に、読取り入口センサ15により原稿が停止位置に到達したことが検出された場合は搬送動作を停止して停止位置に原稿を停止させてから、搬送動作を再開して読取り位置20へ原稿を搬送する停止モードと、停止位置に停止させることなく読取り位置20へ搬送する非停止モードと、の何れかに動作モードを設定し、動作モードを停止モードと非停止モードの何れに設定するかを判定する判定期限より前に所定の条件を満たした場合に、動作モードを停止モードに設定し、設定した動作モードに基づいて原稿の搬送を制御するコントローラ100を備えている。
【0130】
このため、停止モードに設定する所定の条件を満たすか否か、すなわち、停止モード指定信号を受信したか否かまたはタイマーカウンタT2の値が非停止モード最大継続時間以上であるか否かの判定が判定期限より前に行われ、この条件を満たした場合には、動作モードが停止モードに設定されるので、停止モード、非停止モードの何れの場合でも生産性上最適な制御を行うことが可能となり、判定の根拠となる情報に生じるバラツキに対して余裕を持って動作モードの設定を行うことができる。したがって、メカ機構、基本搬送速度等の様々な条件が変化しても、安定して生産性を確保することができる。
【0131】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、複数の原稿を連続して読取り位置20に搬送する連続搬送モードに搬送モードが設定されている場合、コントローラ100により、複数の原稿のうち先行する原稿と後続する原稿の間隔が機構上可能な範囲で最も狭くなるように原稿を搬送する。
【0132】
このため、連続して給送される原稿の間隔が構造上可能な限り狭くなるよう制御されるので、安定して高い生産性を達成することが可能となる。
【0133】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、画像形成装置本体60が読取り可能である場合に画像形成装置本体60が送信する停止モード指定信号を受信するI/F107を備え、コントローラ100は、動作モードが未確定の状態で、判定期限より前に停止モード指定信号を受信した場合には、動作モードを停止モードに設定し、停止モードの動作が可能な状態となり次第、原稿の搬送動作を再開する。
【0134】
このため、画像形成装置本体60と連携して動作が行われ、意図的に停止モードの動作を行う際の搬送動作をシステム全体として最適化し、無駄なく速やかに安定して行うことが可能となる。
【0135】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、画像形成装置本体60が読取り可能である場合に画像形成装置本体60が送信する読取り開始信号を受信するI/F107を備え、コントローラ100は、動作モードが未確定の状態で、判定期限より前に読取り開始信号を受信した場合には、動作モードを非停止モードに設定し、非停止モードの動作が可能な状態となり次第、原稿の搬送動作を再開する。
【0136】
このため、画像形成装置本体60と連携して動作が行われ、意図的に非停止モードの動作を行う際の搬送動作をシステム全体として最適化し、無駄なく速やかに安定して行うことが可能となる。
【0137】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、コントローラ100が、動作モードが未確定の状態であり、かつ、停止モードの動作が可能な状態であり、かつ、非停止モードの動作が可能な状態となり次第、原稿の搬送動作を再開する。
【0138】
このため、動作モードが未確定の状態でも、動作上問題がない状態になり次第搬送動作を行うことにより、停止モード指定信号または読取り開始信号の送信遅れまたは受信遅れが起きた場合に、不必要に搬送制御を遅らせることを避けることができる。
【0139】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、判定期限が、機構上および制御上、動作モードを非停止モードに設定することが可能な最も遅いタイミングと同じタイミング、または該最も遅いタイミングより早いタイミングとなっている。
【0140】
このため、非停止モードの動作への移行を機構上および制御上可能な限り遅くすることにより、多少の各種制御上のバラツキが発生したとしても、生産性上の大きな遅れが生じることを回避することができる。
【0141】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、コントローラ100が、搬送モードが連続搬送モードに設定されている場合に、原稿毎に独立して動作モードを非停止モードまたは停止モードに設定する。
【0142】
このため、非停止モードおよび停止モードの設定を原稿毎に独立して設定可能なので、原稿の連続読取りの際に可能な動作を多様化することができる。
【0143】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、停止位置に設けられ、停止する原稿が突き当たる読取り入口ローラ16を備え、コントローラ100が、動作モードが停止モードに設定されている場合に、原稿を読取り入口ローラ16に突き当てた状態で原稿を停止させるようになっている。
【0144】
このため、停止モードの動作時に搬送中の原稿を読取り入口ローラ16に突き当てることにより、原稿搬送中に生じる原稿の斜行を補正し、搬送品質を高めることができる。
【0145】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、読取り入口ローラ16が、原稿を搬送する原稿搬送部材を兼ねている。
【0146】
このため、部品数の削減と構成の簡素化を行うことができる。
【0147】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、コントローラ100が、非停止モードが継続している時間をタイマーカウンタT2として計時し、判定期限より前に、タイマーカウンタT2が非停止モード最大継続時間以上であったときに動作モードを停止モードに設定し、停止モードの動作が可能な状態となり次第、原稿の搬送動作を再開する。
【0148】
このため、非停止モードを連続して実行している時間をタイマーカウンタT2の値として計時することにより、停止モードに移行するか否かを自動原稿搬送装置50単体で判断することができるようになり、画像形成装置本体60との余分な通信を行うことなく最適な動作を行うことができるようになる。
【0149】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、コントローラ100が、動作モードが非停止モードに設定され、かつ、搬送モードが連続搬送モードに設定されている場合、原稿間隔が予め定めた指定原稿間隔となるよう原稿を搬送する。
【0150】
このため、連続搬送モード設定時の原稿間隔を指定原稿間隔にすることにより、安定した搬送動作が可能となる。
【0151】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、指定原稿間隔を画像形成装置本体60から受信するI/F107を備え、コントローラ100が、原稿の間隔がI/F107が受信した指定原稿間隔となるよう原稿を搬送する。
【0152】
このため、画像形成装置本体60により指定された指定原稿間隔に原稿間隔が制御されるので、画像形成装置本体60の様々な動作や状況に対応した安定した搬送動作を行うことが可能となる。
【0153】
また、画像読取り装置としての画像形成装置本体60が上記の自動原稿搬送装置50を備えることにより、システム全体として様々な状況や制御上の要求に対応して、安定して高い生産性のシステム動作を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0154】
以上説明したように、本発明に係る自動原稿搬送装置および画像読取り装置は、メカ機構、基本搬送速度等の様々な条件が変化しても、安定して生産性を確保することができるという効果を有し、固定された読取り位置に原稿を搬送するシートスルー式の自動原稿搬送装置および画像読取り装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置およびこの自動原稿搬送装置を備えた画像読取り装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の構成図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の制御系のブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の画像読取り部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の搬送処理を示すフロー図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置のモード判定処理を示すフロー図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の搬送再開判定処理を示すフロー図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の給紙搬送制御処理を示すフロー図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置のモード判定第2処理を示すフロー図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る自動原稿搬送装置の動作結果を示す図である。
【図11】従来の自動原稿搬送装置の停止モードにおける搬送動作を示すタイミングチャートである。
【図12】従来の自動原稿搬送装置の非停止モードにおける搬送動作を示すタイミングチャートである。
【図13】従来の自動原稿搬送装置の動作結果を示す図である。
【符号の説明】
【0156】
15 読取り入口センサ(検出手段)
16 読取り入口ローラ(突き当て部材、原稿搬送部材)
20 読取り位置
50 自動原稿搬送装置
60 画像形成装置本体(画像読取り装置)
70 画像形成装置
100 コントローラ(動作モード設定手段、停止モード設定手段、非停止モード設定手段、搬送制御手段、搬送モード設定手段、計時手段)
102 給紙モータ
103 読取りモータ
107 I/F(停止モード指定信号受信手段、読取り開始信号受信手段、指定原稿間隔受信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される原稿を固定された読取り位置で読み取り可能な画像読取り装置に搭載可能であって、原稿を1枚ずつ前記読取り位置に搬送する自動原稿搬送装置において、
原稿が前記読取り位置の上流近傍の停止位置に到達したことを検出する検出手段と、
原稿を前記読取り位置へ搬送する際に、前記検出手段により原稿が前記停止位置に到達したことが検出された場合は搬送動作を停止して前記停止位置に原稿を停止させてから、搬送動作を再開して前記読取り位置へ原稿を搬送する停止モードと、前記停止位置に停止させることなく前記読取り位置へ搬送する非停止モードと、の何れかに動作モードを設定する動作モード設定手段と、
前記動作モードを前記停止モードと前記非停止モードの何れに設定するかを判定する判定期限より前に所定の条件を満たした場合に、前記動作モード設定手段により前記動作モードを前記停止モードに設定する停止モード設定手段と、
前記動作モード設定手段が設定した動作モードに基づいて原稿の搬送を制御する搬送制御手段と、を備えることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項2】
前記搬送制御手段により複数の原稿を連続して前記読取り位置に搬送する連続搬送モードに搬送モードを設定する搬送モード設定手段を備え、
前記搬送制御手段が、前記搬送モードが前記連続搬送モードに設定されている場合、前記複数の原稿のうち先行する原稿と後続する原稿の間隔が機構上可能な範囲で最も狭くなるように原稿を搬送することを特徴とする請求項1に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項3】
前記画像読取り装置が読取り可能である場合に該画像読取り装置が送信する停止モード指定信号を受信する停止モード指定信号受信手段を備え、
前記停止モード設定手段が、前記動作モードが未確定の状態で、前記判定期限より前に前記停止モード指定信号受信手段により前記停止モード指定信号を受信した場合には、前記動作モード設置手段により前記動作モードを前記停止モードに設定し、
前記搬送制御手段が、前記停止モードの動作が可能な状態となり次第、原稿の搬送動作を再開することを特徴とする請求項2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項4】
前記画像読取り装置が読取り可能である場合に該画像読取り装置が送信する読取り開始信号を受信する読取り開始信号受信手段と、
前記動作モードが未確定の状態で、前記判定期限より前に前記読取り開始信号受信手段により前記読取り開始信号を受信した場合には、前記動作モード設定手段により前記動作モードを前記非停止モードに設定する非停止モード設定手段と、を備え、
前記搬送制御手段が、前記非停止モードの動作が可能な状態となり次第、原稿の搬送動作を再開することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項5】
前記搬送制御手段が、前記動作モードが未確定の状態であり、かつ、前記停止モードの動作が可能な状態であり、かつ、前記非停止モードの動作が可能な状態となり次第、原稿の搬送動作を再開することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項6】
前記判定期限が、機構上および制御上、前記動作モードを前記非停止モードに設定することが可能な最も遅いタイミングと同じタイミング、または該最も遅いタイミングより早いタイミングであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項7】
前記動作モード設定手段が、前記搬送モードが前記連続搬送モードに設定されている場合に、原稿毎に独立して前記動作モードを前記非停止モードまたは前記停止モードに設定することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項8】
前記停止位置に設けられ、停止する原稿が突き当たる突き当て部材を備え、
前記搬送制御手段が、前記動作モードが前記停止モードに設定されている場合に、原稿を前記突き当て部材に突き当てた状態で原稿を停止させることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項9】
前記突き当て部材が、原稿を搬送する原稿搬送部材を兼ねることを特徴とする請求項8に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項10】
前記非停止モードが継続している時間を計時する計時手段を備え、
前記停止モード設定手段が、前記判定期限より前に、前記計時手段が計時した時間が予め定めた時間以上であったときに前記動作モード設定手段により前記動作モードを前記停止モードに設定し、
前記搬送制御手段が、前記停止モードの動作が可能な状態となり次第、原稿の搬送動作を再開することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項11】
前記搬送制御手段が、前記動作モードが前記非停止モードに設定され、かつ、前記搬送モードが前記連続搬送モードに設定されている場合、原稿の間隔が予め定めた指定原稿間隔となるよう原稿を搬送することを特徴とする請求項2乃至請求項10の何れかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項12】
前記指定原稿間隔を前記画像読取り装置から受信する指定原稿間隔受信手段を備え、
前記搬送制御手段が、原稿の間隔が前記指定原稿間隔受信手段が受信した指定原稿間隔となるよう原稿を搬送することを特徴とする請求項11に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12の何れかに記載の自動原稿搬送装置を備えたことを特徴とする画像読取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−246747(P2009−246747A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91859(P2008−91859)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】