説明

自動収納装置

【課題】荷の搬出時間を短縮し、搬出入の作業効率を高めた自動収納装置を提供すること。
【解決手段】複数の棚、搬送手段、及び管理手段を備えた自動収納装置において、出庫回数の多い荷が搬出に要する時間が短い棚に収納されるよう前記搬送手段を作動させて配置換えを行わせ、該配置換えに際しては、荷を出庫回数が多い順にn個の荷グループに分けると共に、棚を搬出に要する時間が短い順にn個の収納区画及び順位外の待機区画に分け、且つ、各順位の荷グループの荷の数と、対応する順位の収納区画の棚の数とを同数として、同じ収納区画内では配置換えを行わず、異なった収納区画の間で荷を移動させる配置換えのみを行うようにすることを特徴とする自動収納装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の荷を収納するための自動収納装置に関し、更に詳しくは、荷を収納する為の複数の棚と、荷を搬出口と棚との間及び異なった棚の間で搬送する為の搬送手段、並びに、荷の入出庫情報と収納位置情報に基づいて搬送手段に指示を出して荷の搬送をさせる為の管理手段を備えた自動収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の自動収納装置は、荷を収納するための複数の棚を設けた収納装置、特に、多数の棚を立体的に設けた収納装置において、多数の荷の収納及び搬出入を効率的に行うことにより、収納スペースを極力少なくすると共に、搬出時間を短縮する為のものである。
近年、工場の生産においては、製品の搬出入のみでなく、棚に収納した仕掛品を搬出し、注文に合わせて必要な量を工場でスリットした後に残りを元の棚に戻すことを、頻繁に繰り返すことが行われる。
また、薬局においては、棚に収納した薬品を入れた容器を搬出して必要量の薬品を容器から取り出した後に残りの薬品を入れた容器を元の棚に戻すことを、頻繁に繰り返すことが行われる。
このようなことから、効率の良い自動収納装置が必要とされている。
【0003】
しかしながら、このような自動収納装置おいては、荷毎の搬出回数(頻度)と、その荷を棚から搬出口まで搬送するのに要する時間(以下「搬出所要時間」ということがある。)の長短とは、相関せず、頻繁に搬出入される荷が、搬出所要時間の長い収納区画に収納されることがしばしば起こり、搬出入の作業効率は必ずしも高いものではなかった。
【0004】
この搬出入の作業効率を改善する方法として、出庫実績がある容器(荷)を入庫実績の無い容器(荷)よりも受付部(搬出口)への搬出が短時間で行える収納位置に移動する配置換えを定期的に行うシステムを備えた物品管理システムが提案(例えば、特許文献1参照)されている。
この物品管理システムにおいては、出庫実績の有無のみで、配置換えする荷の選別を行っているが、更に、荷の入出庫履歴等の情報から算出した出庫回数の多い荷を、搬出所要時間のより短い棚に移動させる配置換えを行えば、効率を更に向上させることができる。
【0005】
しかしながら、出庫回数の順番と搬出所要時間の順番とが完全に一致するまで配置換えを行おうとした場合、多くの荷の移動を行う必要がある。
例えば、収納されている荷が1000個あり、出庫回数の多い方からの順番が1000番の荷が搬出所要時間の順番が1番の棚に収納され、且つ出庫回数の多い方からの順番が1番から999番までの荷が、その順序で、搬出所要時間の順番が2番から1000番の棚に収納されている場合には、先ず、出庫回数の多い方からの順番が1000番の荷を、搬出所要時間の順番が1001番の棚(又は、番外の待機区画の棚)に移動させ、次いでその他の荷を順次移動させ、最後に、出庫回数の多い方からの順番が1000番の荷を搬出所要時間の順番1000番の棚に移動させることになり、合計1001回の移動を行うこととなる。
更に又、搬出所要時間の短い方からの順番(単に「搬出所要時間の順番」という。)が1番の棚に収納されている出庫回数の多い方からの順番(単に「出庫回数の順番」という。)が1番ではない荷を待機用の棚に移動させた後に、空いた棚に出庫回数の順番が1番の荷を移動させ、次いで、出庫回数の順番が1番の荷を移動させたことで空いた棚に待機用の棚にある荷を移動させて収納する形を採った場合、最大で、荷の数の3倍の回数の移動が必要となる。
それ故、配置換えに長い時間を要すると共に、搬出手段の稼動に大きなエネルギーを要することとなる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−310311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような背景技術の状況下で、荷の搬出時間を短縮し、搬出入の作業効率を高めた自動収納装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、荷を一定期間内の荷の入出庫履歴から求めた出庫回数の多い順に複数の荷グループに分けると共に、棚を搬出所要時間の長短で、荷グループと同数の収納区画に分け、配置換えは、同じ収納区画内では行わず、異なる収納区画の間でのみ行う装置とすることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)荷を収納する為の複数の棚と、荷を搬出口と棚との間及び異なった棚の間で搬送する為の搬送手段、並びに、荷の入出庫情報と収納位置情報に基づいて前記搬送手段を作動させて荷の搬送を行わせる為の管理手段を備えた自動収納装置において、予め定めた時期または任意の時期において、一定期間内の荷の入出庫履歴から求めた出庫回数の多い荷が搬出に要する時間が短い棚に収納されるよう前記搬送手段を作動させて配置換えを行わせ、該配置換えに際しては、荷を出庫回数が多い順に順位1〜nのn個の荷グループに分けると共に、棚を搬出に要する時間が短い順に順位1〜nのn個の収納区画及び順位外の待機区画に分け、且つ、各順位の荷グループに含まれる荷の数と、それに対応する順位の収納区画の棚の数とを同数として、同じ収納区画内では配置換えを行わず、異なった収納区画の間で荷を移動させる配置換えのみを行って、荷が、その荷の属する荷グループの順位と同じ順位の収納区画の棚に収納されるようにすることを特徴とする自動収納装置、
(2)配置換えに際しては、現在収納されている収納区画から外れる荷を、その荷が新たに属する収納区画の空の棚に移動させるか、又は、前記空の棚が無い場合は待機区画の棚へ移動させ、当該移動により空いた収納区画の棚に、当該収納区画の棚に入るべき荷であって、異なった収納区画の棚に収納されているか又は待機区画の棚に収納されている荷を、当該収納棚から移動させる配置換えをする上記(1)の自動収納装置、
(3)現在収納されている収納区画から外れる荷を移動させることにより空いた収納区画の棚に、当該収納区画の棚に入るべき荷を移動させる際に、当該収納区画の棚に入るべき荷が複数あるときの優先順位を次の如くとする上記(2)の自動収納装置、
(a) 当該収納区画の棚に入るべき複数の荷が、他の収納区画と待機区画の両方にある場合には、待機区画にある荷の移動を優先させる。
(b) 当該収納区画の棚に入るべき複数の荷が、いずれも他の収納区画にある場合には、搬出に要する時間が最も短い棚にある荷の移動を優先させる。
(4)前記荷グループの数nを2〜5とする上記(1)〜(3)のいずれかの自動収納装置、
(5)前記荷グループが、各々出庫回数が同じ荷から構成された小グループから形成されている上記(1)〜(3)のいずれかの自動収納装置、
(6)各々出庫回数が同じ荷から構成された小グループを出庫回数の多い順からm個づつ合わせて、順位1〜nのn個の荷グループに分ける上記(1)〜(3)のいずれかの自動収納装置、
(7)前記小グループの数がmで割り切れない場合は、余りの小グループだけで順位nの荷グループとする上記(6)の自動収納装置、
(8)前記小グループの数がmで割り切れない場合は、余りの小グループをその前の荷グループに含ませ、当該荷グループを順位nの荷グループとする上記(6)の自動収納装置、
(9)横方向と縦方向にそれぞれ区枠された複数の棚を有する自動収納装置において、各棚に次式により算出される順位数値を付し、該順位数値の比較において小さい方の棚を搬出に要する時間の短い棚とみなす上記(1)〜(8)のいずれかの自動収納装置、
順位数値=(棚を搬出口に近い方から横方向に順に数えた場合の順番)
+(棚を下から順に縦方向に数えた場合の順番−1)×(1+1×10 -P
(但し、Pは縦方向の棚の数の桁数であり、搬出口は縦方向最下段で横方向の端の近辺にあるものとする。)
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、荷の搬出時間を短縮し、搬送手段の稼動に要するエネルギーを大幅に改善できるだけではなく、配置換えに費やせる時間の長短に応じて、適切な配置換えが出来る、搬出入の作業効率を高めた自動収納装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の自動収納装置については、特に制限はなく、例えば、製造工場における、仕掛け品を収納し、注文に合わせて棚に収納した仕掛品を搬出し、必要な量を工場でスリットした後に元の棚に戻す為の収納装置や、薬局における、棚に収納した薬品を入れた容器を搬出して必要量の薬品を容器から取り出した後に元の棚に容器を戻す為の自動収納装置など、荷を収納する為の複数の棚、荷を搬送する為の搬送手段、及び搬送手段に作動の指示を出して、搬出入と配置換えを行わせる為の管理手段を備えた自動収納装置であればよく、装置の大きさ、棚の数等については特に制限はない。
【0012】
搬送手段としては、荷を1個ずつ搬送するもので良いが、必ずしもそれに限られず、荷の受け皿を持たせることにより、複数の荷を搬送できるようにしたものは、メーカーにおける製造した小さな部品の収納や、薬局における薬品容器の収納に適している。
管理手段は、識別装置で得られた情報や外部からの出庫指示等の入出庫情報を管理し、搬送手段に作動の指示を出す為のものである。
識別装置としては、各荷に貼付されたバーコードラベルを読み取るバーコードラベル読み取り機や各荷に貼付されたICラベルを読み取るICラベル読み取り機が適当である。
管理手段における情報管理は、識別装置から直接得られる、個々の荷の製造ロット番号、重さ、幅、巻き数と個数、入庫日、出庫日、それぞれの日の入荷数量と出荷数量、荷の使用期限、担当営業所、同一又は同種の荷の入出庫頻度等の荷の初期入力情報等の管理だけでなく、その情報の中の可変情報の処理、例えば、仕掛品をスリットした場合に、そのスリット量を入力し荷の残高記録処理をも行なってもよい。
また、入出庫回数を指示された期間で集計し、得られた入出庫履歴から一定期間内の出庫回数の計算を行うものである。
【0013】
本発明の自動収納装置は、棚を、収納すべき荷の数に対応する数の棚と、所定の収納区画に収納する荷を一時的に収納する為の待機区画の棚とに分ける。
荷の搬出は、対象とする荷をその棚から搬出口まで搬送することにより行い、新たに搬入された荷の収納は、搬入された荷を、搬入口から荷の収納されていない棚の内の、荷を棚から搬出口まで搬送するのに要する時間である搬出所要時間が最も短い棚まで搬送することにより行われる。但し、既に収納されている荷と同じ荷が入庫する場合には、待機区画の棚に収納し、既に収納されている荷がなくなった後の配置換えで、待機区画の棚から所定の収納区画の棚に移動させる。
【0014】
一方、配置換えに際しては、荷を出庫回数が多い順に順位1〜nのn個の荷グループに分けると共に、棚を搬出所要時間が短い順に順位1〜nのn個の収納区画及び順位外の待機区画に分け、且つ、各順位の荷グループに含まれる荷の数と、それに対応する順位の収納区画の棚の数とを同数として、同じ収納区画内では配置換えを行わず、異なった収納区画の間で荷を移動させる配置換えのみを行って、つまり、収納している荷の荷グループの順位とその荷を収納している棚の収納区画の順位が一致する場合は、同じ収納区画内では配置換えを行わず、その順位が異なる場合は、異なる収納区画の間で荷を移動させる配置換えのみを行って、全ての荷が、その荷の属する荷グループの順位と同じ順位の収納区画の棚に収納されるようにする。
ここで出庫回数は、荷の入出庫履歴のデータにおける一定期間内の出庫回数である。当該一定期間としては、任意の期間を定めることができるが、前回の配置換えからの当該配置換えまでの期間とするのが適当である。
なお、入出庫履歴の無い、新規な荷については、類似の荷の入出庫履歴等から仮の出庫回数を定めておき、入出庫履歴が発生した時点で実際の出庫回数に修正する、等の方法で対処すればよい。
【0015】
配置換えに際しては、荷を出庫回数の多い順に順位1〜nの各々複数個の荷を含むn個の荷グループに分ける。
本発明の効果は、グループ分けしてグループ間での配置換えのみ行って、グループ内での配置換えは行わないことにより、配置換えに要する時間とエネルギーを適度に抑えることであり、その効果を十分に発揮する為には、荷のグループの数nは、2〜5が好ましい。
一定期間内の出庫に要する時間を少なくするには、各々出庫回数が同じ荷から構成された複数の小グループをそのまま荷グループとするのが好ましいが、配置換えに要する時間とエネルギーを適度に抑えるには、上記のように、2〜5個の荷グループとするのが好ましい。
荷グループの数をそのような数とする方法としては、各々出庫回数が同じ荷から構成された小グループを出庫回数の多い順からm個づつ合わせて、順位1〜nのn個の荷グループに分ける方法があり、その際に当該小グループの数がmで割り切れない場合は、余りの小グループだけで順位nの荷グループとするか、又は、余りの小グループをその前の荷グループに含ませ、当該荷グループを順位nの荷グループとするのが適当である。
なお、昼の休憩時間のように、費やせる時間が短いときに配置換えを行う場合には、荷グループの数nを小さくし、各グループに含まれる荷の数を大きくして、配置換えされる荷の数を少なくし、逆に、夜間や休日のように、費やせる時間が長いときに配置換えを行う場合には、荷グループの数nを大きく、従って、各グループに含まれる荷の数を小さくして、きめ細かい配置換えを行うのが好ましい。
【0016】
また、出庫回数の多い荷は、配置換えをして搬出所要時間の短い棚に移すことは搬出の為の時間とエネルギーの節約に繋がるが、出庫回数の少ない荷は、配置換えをして搬出所要時間の短い棚に移しても、搬出の為の時間とエネルギーにそれほど影響しないので、配置換えに要するエネルギーを少なく抑える為に、出庫回数の多い方の(順位の高い)荷グループは少数の荷で構成し、出庫回数の少ない方の(順位の高い)荷グループは多い数の荷で構成する形を採ることもできる。
【0017】
以下に、配置換えの際の荷の動きをケース毎に、例を示して説明する。
即ち、配置換えに際しては、現在収納されている収納区画から外れる荷を、その荷が新たに属する収納区画の空の棚に移動させるか、又は、前記空の棚が無い場合は待機区画の棚へ移動させ、当該移動により空いた収納区画の棚に、当該収納区画の棚に入るべき荷であって、異なった収納区画の棚に収納されているか又は待機区画の棚に収納されている荷を、当該収納棚から移動させる。
具体的には、例えば、順位1の荷グループが出庫回数12の5個の荷からなるのに対し、5個の棚からなる順位1の収納区画には出庫回数12の荷が4個と出庫回数11の荷が1個収納され、順位2の収納区画には出庫回数12の荷が1個収納されている場合、先ず、出庫回数11の荷を、現在の順位1の収納区画の棚から順位2の収納区画の空いた棚に移動する。但し、順位2の収納区画の空いた棚がない場合は、待機区画の棚に搬送する。次いで、順位2の収納区画の棚に収納されている出庫回数12の荷を、出庫回数11の荷が移動することにより空いた順位1の収納区画の棚へ移動する。
【0018】
この、現在収納されている収納区画から外れる荷を移動させることにより空いた収納区画の棚に、当該収納区画の棚に入るべき荷を移動させる際には、当該収納区画の棚に入るべき荷が複数あるときの優先順位を次の如くとするのが好ましい。
(a) 当該収納区画の棚に入るべき複数の荷が、他の収納区画と待機区画の両方にある場合には、待機区画にある荷の移動を優先させる。
(b) 当該収納区画の棚に入るべき複数の荷が、いずれも他の収納区画にある場合には、搬出所要時間が最も短い棚にある荷の移動を優先させる。
このように、現在収納されている収納区画から外れる荷を移動させる場合には、当該荷の入るべき収納区画に空いた棚があるときは、待機区画の棚に移動させずに、直接その空いた棚に移動させ、又、現在収納されている収納区画から外れる荷を移動させることにより空いた棚に当該収納区画の棚に入るべき荷を移動させる場合には、他の収納区画の棚に収納されている荷よりも、待機区画の棚に収納されている荷を優先して移動させることにより、待機区画の棚を少なくし、収納に使用し得る棚の数を多くでき、収納装置を有効に使用することができる。
【0019】
このような操作を繰り返すことにより、荷の属する荷グループの順位と同じ順位の収納区画の棚に該荷が収納されるようにする。即ち、X個の荷からなる順位1の荷グループに属する荷が、同じくX個の棚からなる順位1の収納区画に、Y個の荷からなる順位nの荷グループに属する荷が、同じくY個の棚からなる順位nの収納区画に、各々収納されるように、収納区画の間の荷の搬送による配置換えを行うが、収納区画内で、出庫回数の順番と搬出所要時間の順番とを一致させる配置換えは行わない。即ち、同じ収納区画の搬出所要時間が最も長い棚に、同じ順位の荷グループ内の出庫回数が最も多い荷が収納されていても、そのままとする。
配置換えは、たとえば毎週末や毎月末の如く、予め定めた時期に行うのが適当であるが、必要に応じて、任意の時期に行っても差し支えない。
【0020】
棚のグループ分け(収納区画の作成)は、各棚の搬出所要時間に基づいて行うが、立体的に棚が設けられている場合には、棚から搬出口までの距離とその棚の搬出所要時間とは、必ずしも一致しない。即ち、搬送手段が、棚を横に1つ移動する時間と、棚を上下に1つ移動する時間は、必ずしも同じではない。無論、それらに時間を正確に測って、搬出所要時間の順位を決めるのが好ましいが、次のような方法により算出される順位数値の大小比較により、搬出所要時間の順位を決定する方法は、順位数字では整数部分が水平方向の順番を示し、少数部分が垂直方向の順番を示すので、配置換えシステムを組むことが容易で、好ましい方法である。
順位数値=(棚を搬出口に近い方から横方向に順に数えた場合の順番)
+(棚を下から順に縦方向に数えた場合の順番−1)×(1+1×10 -P
(但し、Pは縦方向の棚の数の桁数であり、搬出口は縦方向最下段で横方向の端の近辺にあるものとする。)
【0021】
例えば、棚が搬出口から横方向に16個、縦方向に12個ある収納装置の場合、pは2であるので、搬出口から一番遠い横方向に16番目、縦方向に下から数えて12番目の棚の順位数字は、次式より27.11となる。
16+(12-1)×(1+1×10-2)=27.11
同様にして、各収納区画の順位数字は、第1表の如くとなる。
【0022】
【表1】

【0023】
従って、この収納装置において、例えば、順位1の収納区画を5個の棚からなる区画とし、順位2の収納区画を10個の棚からなる区画とし、更に、順位3以下の収納区画に分ける場合、順位1の収納区画には表中の順位番号1.00〜3.01の棚が属し、順位2の収納区画には表中の順位番号3.02〜5.04の棚が属することとなる。
【0024】
この例の収納装置は、1列の棚群からなるものであるが、複数列の棚群からなるものである場合には、例えば、最も搬出口に近い列がA列、2番目に搬出口に近い列がB列とし、B列に設けられた棚中の搬出口に最も近い棚の搬出所要時間をTとしたとき、B列に設けられた各棚について前記の式で算出した数値に、A列に設けられた棚中の搬出所要時間が同じTである棚について前記の式で算出した数値を加えた数値を順位数値とし、更に、同じ順位数字であるもののについて列毎の優先順位を識別する数値を組み合わせれば良い。
【0025】
第1表を例にとると、例えば、B列の下からの順番が1で横方向の順番が1の棚b11の搬出所要時間と、A列の下からの順番が1で横方向の順番が3の棚a13の搬出所要時間とが同じであるときは、棚b11について前記の式で算出した数値の1.00に、棚a13について前記の式で算出した数値の3.00を加えた4.00を棚b11の順位番号とする。そして更に、A列、B列の全ての棚について、少数以下3桁目に、列を区別する数字を付けて、例えば棚a14には4.001を、棚b11には4.002を付ければ、列毎の優先順位も加味した順位数字とすることができる。
なお、この順位数字は、コンピューターが搬出所要時間の順位を認識する為のものであり、その目的を達成し得るものであれば、数値とアルファベットとの組み合わせであっても、アルファベットの組み合わせであっても、差し支えない。
【実施例】
【0026】
実施例1
ジャンボロールの仕掛品から、受注数量を裁断加工し、包装後製品として出荷する、仕上げ加工工場のスリッター部門において、72種の荷を、棚が横方向に11個、縦方向に9個並んだ、合計99個の棚を有する自動収納装置に収納した。
72種の荷の、出庫回数(15日間)別の内訳は、次の如くとなる。
12回:1種 11回:2種 10回:2種 9回:3種 8回:7種 7回:11種 6回:12種 5回:8種 4回:7種 3回:6種 2回:7種 1回:4種 0回:2種
配置換えを行う前の、各棚への荷の配置状況は、第2表の如くである。表中の数字は、当該棚に収納された荷の出庫回数を示している。
【0027】
【表2】

【0028】
この自動収納装置においては、棚から荷を取り出すのに要する時間は各1分間であり、棚を横方向又は上下方向に1つ移動するのに要する時間は各2秒である。
第2表の配置において、15日間に390回の搬出入があり、その際に搬出に要した時間は、1380分であった。
【0029】
第2表の配置から、本発明に従った配置換えを行った。
配置換えに際しては、棚の搬出所要時間の順番は、前記の式で算出した順位数字を使用して決定した。この、自動収納装置の各棚の順位数字は、第3表の如くである。表中の数字は、当該棚の順位数字を示している。
【0030】
【表3】

【0031】
荷を、各々出庫回数の同じ荷からなる12個の小グループに分け、各小グループを順位1〜12の荷グループとし、一方、棚の方も同様に順位1〜12の12個の収納区画に分け、荷が、その荷の属する荷グループの順位と同じ順位の収納区画の棚に収納されるように配置換えを行った。
なお、現在収納されている収納区画から外れる荷を移動させることにより空いた収納区画の棚に、当該収納区画の棚に入るべき荷を移動させる際には、当該収納区画の棚に入るべき荷が複数あるときの優先順位は、次の如くとした。
(a) 当該収納区画の棚に入るべき複数の荷が、他の収納区画と待機区画の両方にある場合には、待機区画にある荷の移動を優先させる。
(b) 当該収納区画の棚に入るべき複数の荷が、いずれも他の収納区画にある場合には、搬出所要時間が最も短い棚にある荷の移動を優先させる。
その結果、各棚への荷の配置状況は、第4表の如くとなった。表中の数字は、当該棚に収納された荷の出庫回数を示している。
この配置換えに要した荷の移動回数は、67回であり、待機区画の棚の使用は、最大2個であった。
第4表の配置においては、搬出入の回数は、第2表の配置と同じく、15日間で390回であるが、その際に搬出に要した時間は、479分であった。
【0032】
【表4】

【0033】
実施例2
実施例1における、各々出庫回数の同じ荷からなる12個の小グループのうちの、出庫回数12〜6の小グループを合わせて順位1の荷グループとし、出庫回数5〜0の小グループを合わせて順位2の荷グループとして、2つの荷グループを形成し、一方、棚の方も同様に順位1及び2の2個の収納区画に分け、実施例と同様に配置換えを行った。
その結果、各棚への荷の配置状況は、第5表の如くとなった。表中の数字は、当該棚に収納された荷の出庫回数を示している。
この配置換えに要した荷の移動回数は、37回であり、待機区画の棚は使用しなかった。
第5表の配置においては、搬出入の回数は、第2表の配置と同じく、15日間で390回であるが、その際に搬出に要した時間は、511分であった。
【0034】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を収納する為の複数の棚と、荷を搬出口と棚との間及び異なった棚の間で搬送する為の搬送手段、並びに、荷の入出庫情報と収納位置情報に基づいて前記搬送手段を作動させて荷の搬送を行わせる為の管理手段を備えた自動収納装置において、予め定めた時期または任意の時期において、一定期間内の荷の入出庫履歴から求めた出庫回数の多い荷が搬出に要する時間が短い棚に収納されるよう前記搬送手段を作動させて配置換えを行わせ、該配置換えに際しては、荷を出庫回数が多い順に順位1〜nのn個の荷グループに分けると共に、棚を搬出に要する時間が短い順に順位1〜nのn個の収納区画及び順位外の待機区画に分け、且つ、各順位の荷グループに含まれる荷の数と、それに対応する順位の収納区画の棚の数とを同数として、同じ収納区画内では配置換えを行わず、異なった収納区画の間で荷を移動させる配置換えのみを行って、荷が、その荷の属する荷グループの順位と同じ順位の収納区画の棚に収納されるようにすることを特徴とする自動収納装置。
【請求項2】
配置換えに際しては、現在収納されている収納区画から外れる荷を、その荷が新たに属する収納区画の空の棚に移動させるか、又は、前記空の棚が無い場合は待機区画の棚へ移動させ、当該移動により空いた収納区画の棚に、当該収納区画の棚に入るべき荷であって、異なった収納区画の棚に収納されているか又は待機区画の棚に収納されている荷を、当該棚から移動させる配置換えをすることを特徴とする請求項1に記載の自動収納装置。
【請求項3】
現在収納されている収納区画から外れる荷を移動させることにより空いた収納区画の棚に、当該収納区画の棚に入るべき荷を移動させる際に、当該収納区画の棚に入るべき荷が複数あるときの優先順位を次の如くとすることを特徴とする請求項2に記載の自動収納装置。
(a) 当該収納区画の棚に入るべき複数の荷が、他の収納区画と待機区画の両方にある場合には、待機区画にある荷の移動を優先させる。
(b) 当該収納区画の棚に入るべき複数の荷が、いずれも他の収納区画にある場合には、搬出に要する時間が最も短い棚にある荷の移動を優先させる。
【請求項4】
前記荷グループの数nを2〜5とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動収納装置。
【請求項5】
前記荷グループが、各々出庫回数が同じ荷から構成された小グループから形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動収納装置。
【請求項6】
各々出庫回数が同じ荷から構成された小グループを出庫回数の多い順からm個ずつ合わせて、順位1〜nのn個の荷グループに分けることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動収納装置。
【請求項7】
前記小グループの数がmで割り切れない場合は、余りの小グループだけで順位nの荷グループとすることを特徴とする請求項6に記載の自動収納装置。
【請求項8】
前記小グループの数がmで割り切れない場合は、余りの小グループをその前の荷グループに含ませ、当該荷グループを順位nの荷グループとすることを特徴とする請求項6に記載の自動収納装置。
【請求項9】
横方向と縦方向にそれぞれ区枠された複数の棚を有する自動収納装置において、各棚に次式により算出される順位数値を付し、該順位数値の比較において小さい方の棚を搬出に要する時間の短い棚とみなすことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の自動収納装置。
順位数値=(棚を搬出口に近い方から横方向に順に数えた場合の順番)
+(棚を下から順に縦方向に数えた場合の順番−1)×(1+1×10 -P
(但し、Pは縦方向の棚の数の桁数であり、搬出口は縦方向最下段で横方向の端の近辺にあるものとする。)