説明

自動変速機におけるパーキングロック装置

【課題】パーキングロック装置において,所要の切換力又は選択力や,所要の選択トルクを増大させることなく,その機能的信頼性を高める。
【解決手段】車両用自動変速機におけるパーキングロック装置は,被動軸に作用結合したパーキングロックギヤ1を備える。パーキングロックギヤ1は,セレクタ軸5に相対回転を生じないように結合された係止プレート4における所定の切換位置に対して,結合ロッド3により作動可能としたロック部材2によりロック可能とされている。結合ロッド3を,セレクタ軸5に対して及ぼすべき選択トルクを制限するための結合手段を介して,係止プレート4に作用結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,請求項1の上位概念部分に記載された,車両用自動変速機におけるパーキングロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば,ドイツ特許出願公開第102004052869号公報により,トランスファーを組み込んだ変速機用のパーキングブレーキ機構が既知である。車両の車輪に動力を伝達するための駆動系を制動するパーキングブレーキ機構は,被動軸に固定されたパーキングロックギヤを備えている。パーキングロックギヤは,ばね負荷されたロック部材によりパーキング位置にロック可能である。このロック部材は,結合ロッド又はパーキングロッドを介して作動可能であり,そのロッドは係止レバーに直結されている。係止レバーは変速レバーと作用結合されており,変速レバーはドライバーによって異なる切換位置まで移動可能とされている。変速レバーの運動は,別のレバーによって係止レバーに伝達される。係止レバーがパーキング位置まで移動すると,結合ロッドもパーキングロックギヤに向けて移動し,これによりロック部材がパーキングロックギヤの歯溝内に押し込まれてパーキングロックギヤをパーキング位置にロックする。
【0003】
係止ディスク又は係止レバーによる結合ロッドの直接的な作動は,結合ロッドの最大操作力又は支持力が,許容される切換操作力又は選択操作力により,或いはセレクタ軸トルクによって大幅に制限される欠点につながる。パーキングロック装置の機能的信頼性を担保するためには,可及的に大きな操作力又は結合ロッド支持力が必要とされる。この場合,その反射的効果として,既知のパーキングロック装置では選択トルクが増大する不都合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102004052869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は,上述した形式のパーキングロック装置において,所要の切換力又は選択力や,所要の選択トルクを増大させることなく,その機能的信頼性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は,請求項1に記載した特徴によって上記の課題を解決するものである。更に,本発明の有利な実施形態は従属請求項及び図面に記載した通りである。
【0007】
すなわち,本発明は,被動軸にパーキングロックギヤが結合された車両用自動変速機におけるパーキングロック装置を提案する。本発明に係るパーキングロックギヤは,ロック部材により,セレクタ軸に対して相対回転を生じないように結合された係止ディスクの所定の切換位置にロック可能である。これにより,パーキングロックギヤと結合する被動軸又は車輪が拘束され,この切換位置において車両は不動状態に維持される。そのために,ロック部材は結合ロッドによって作動可能とする。本発明は,結合ロッドを,特定構造の結合手段を介して係止ディスクと作用結合するものである。
【0008】
本発明は,パーキングロック作動機構を,選択力又は切換力や選択トルクとはほぼ無関係に操作力又は結合ロッド支持力を調整できるように作動させるものである。例えば,ロック部材に作用する操作力が増大した場合であっても,セレクタ軸に与えられる選択トルクを制限又は低減させて,パーキングロック装置の機能的信頼性を高めることが可能である。
【0009】
上述した作用を達成するための構造的手段として,本発明の有利な実施形態において,前記結合手段は,例えば,結合ロッドに連結された少なくとも一つのロッド部材を備え,このロッド部材は,ロッド部材のみが軸線方向に移動可能となるようにハウジング側において支持され,また,ガイド手段によって係止ディスクの対応する凹部又は開口部内で案内する。凹部又は開口部としては,例えばガイド溝を設けることができる。そのガイド溝内には,ガイド部材としてのピン又はローラを配置する。このガイド部材により,例えばプッシュロッド又はプルロッドとして構成されたロッド部材を案内することにより,セレクタ軸及び係止ディスクをパーキング用の切換位置Pまで,又は切換位置Pから変位させる際における係止ディスクの回転運動に基づいて,ロッド部材を少なくとも部分的に軸線方向に移動させる。
【0010】
上述した結合手段を使用することにより,例えばパーキングロックに際してパーキングロックギヤにおいて発生させることができる,結合ロッドに作用させる支持力は係止ディスクに伝達されない。これは,パーキング位置において凹部内で案内されるガイド手段に作用する合力ベクトルの少なくとも一部が,セレクタ軸の回転軸線に向けられ,レバーアーム作用を生じるものでないことにより,トルクがセレクタ軸に及ぼされないからである。これに対応する適切な構造設計によって,係止ディスクに凹部又はガイド溝を設けることにより,動力を回転軸線よりも下側の領域に向けることも可能であり,この場合には負のトルクが生成されることにより一種の自己ロック作用が発現され,これによりパーキングロック装置をパーキング位置に確実に保持することができる。
【0011】
所望の操作力,又は付随する結合ロッドの支持力を調整可能とするため,結合ロッドの端部領域に対向するロック部材に結合ロッドばねを設け,この結合ロッドばねによって,ロック部材を作動させるために軸線方向に移動可能としたロックローラを緊張させることができる。ロック部材とパーキングロックギヤの歯との間の突き合わせ状態において発生する結合ロッド支持力は,結合ロッドばねを適切に設計することにより調整可能である。例えば,規定された低い選択力又は切換力を増大させることなく,より高い予圧力及び/又はより硬いばね特性を有する結合ロッドばねを使用することができる。これによってパーキングロック装置の機能的信頼性が大幅に改善される。
【0012】
また,本発明の更なる発展的構成によれば,結合手段に少なくとも一つの補償ばねが設けられている。この補償ばねは,後退用の切換位置からパーキング用の切換位置に切換える際に,歯の相互突き合わせにより増加した結合ロッド力又は操作力を補償するために作用する。更に補償ばねは,操作力を支持する機能も発揮する。このような支持力は,補償ばねが設けられない場合にはセレクタ軸から与える必要がある。したがって,本発明に係るパーキングロック装置では,選択操作をより快適に行うことができる。
【0013】
以下,図面を参照して本発明を更に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のパーキングロック装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】パーキングロック装置における係止プレートの拡大図である。
【図4】図1のパーキングロック装置の部分側面図である。
【図5】図4のA−A線に沿う断面図である。
【図6】パーキングロック装置における係止プレートの拡大部分側面図である。
【図7】パーキングロック装置における係止プレートの側面図である。
【図8】本発明に係るパーキングロック装置の実装状態を示す斜視図である。
【図9】Dレンジ位置におけるパーキングロック装置を一部破断して示す説明図である。
【図10】Rレンジ位置におけるパーキングロック装置を一部破断して示す説明図である。
【図11】Pレンジ位置におけるパーキングロック装置を,ロック部材がパーキングロックギヤの歯溝内に係合した状態で一部破断して示す説明図である。
【図12】Pレンジ位置におけるパーキングロック装置を,ロック部材がパーキングロックギヤの歯と突き合わされた状態で一部破断して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図12は,車両用自動変速機における本発明に係るパーキングロック装置の一実施形態を示す。パーキングロック装置は,車両の被動軸に結合したパーキングロックギヤ1を備えている。パーキングロックギヤ1は,セレクタ軸5と結合する係止プレート4が所定の切換位置(パーキング用のPレンジ位置)において車両の動きを阻止するように構成されている。パーキングロックギヤ1は,その外周に設けられた歯と係合するロック部材2によってロック可能とされている。ロック部材2は,押圧ばね17によりばね負荷されており,結合ロッド3によって操作されるものである。
【0016】
本発明によれば,結合ロッド3は,ロック部材2に大きな操作力が及ぼされている場合でも,使用者が作用させるべき選択トルクを制限するための結合手段を介して,係止プレート4と作用結合されている。
【0017】
係止プレート4は,セレクタ軸5に対して相対回転を生じないように結合されている。セレクタ軸5は,自動変速機における変速レバーにより,所望の切換位置P,R,N,D,1,2,3等に応じて回動する。係止プレート4とセレクタ軸5との間の相対回転を生じない結合により,係止プレート4は,対応する係止位置まで係止ばね6に抗して回動する。
【0018】
結合手段は,結合ロッド3に結合されたロッド部材7を有し,該ロッド部材7はプッシュロッド又はプルロッドとして構成されている。ロッド部材7は,ガイドケース8内で軸線方向に移動可能に取り付けられている。ガイドケース8自体はセレクタ軸5上に固定配置されて支持されている。更に,ロッド部材7は,ガイド部材又はガイドピン9により,係止プレート4における対応又は関連する凹部11内で案内され,ここに凹部11はガイド溝として構成されたものである。
【0019】
図6に示すように,凹部11は,切換位置R,N,1,2,3等のための第1セクションAと,切換位置Pすなわちパーキング位置のための第2セクションとを有する。凹部,すなわちガイド溝11の第1セクションAは,セレクタ軸5の回転軸線10に関して所定の半径の略円弧状に設けられ,又は係止プレート4に配置される。凹部11の第2セクションBは,第1セクションAに隣接し,切換位置P(パーキング位置)においてガイドピン9用の停止領域又は受入れ領域を形成する。第2セクションBは,第1セクションAよりも大きな半径をもって係止プレート4に配置される。この大きな半径のため,この切換位置Pにおいてロッド部材7に,したがって結合ロッド3にも,パーキング位置Pを達成するために必要とされる軸線方向変位を生じさせることができる。
【0020】
ガイドピン9は,与えられた選択トルクと,その結果として生じる係止プレート4の回転運動により凹部又はガイド溝11に沿って案内され,これによってロッド部材7と,これに固定された結合ロッド3とを軸線方向に変位させる。これは,図9〜図12に示す各種の切換位置における配置関係から明らかである。係止プレート4の回転運動をロッド部材7又は結合ロッド3の並進運動又は軸線方向運動に変換するために,ロック部材2とは反対側に位置するロッド部材7の端部をガイドケース8内において軸線方向に変位可能に取り付けると共に,ガイドピン9をロッド部材7の収容ケース12内に固定的に保持する。
【0021】
特に図6及び図7に示すように,収容ケース12には結合ロッド3も固定され又は取り付けられている。図7から更に明らかなとおり,ロッド部材7には任意的な補償ばね15を設けるのが好適である。補償ばね15は,好適には,一端がガイドケース8内又はガイドケースに取り付けられ,他端が収容ケース12に取り付けられる圧縮ばねで構成されている。補償ばね15の補償作用により,結合ロッド3に対する操作力又は結合ロッド支持力を高めることができ,また,例えばギヤパーキングロックギヤ1とロック部材2との間の歯同士の突き合わせも補償することができる。更に,補償作用によって操作力を補助することができ,これにより,作用させるべきセレクタ軸トルクを低減することができる。
【0022】
特に図6から明らかなように,本発明による結合ロッド3と係止プレート4との間の結合によって,パーキング位置からの,すなわち凹部11の第2セクションBからのガイドピン9の意図しない逸脱が確実に防止され,パーキングロック装置の最適な作動特性を実現することができる。そのために,作用する操作力又は結合ロッド支持力(図6の矢印20参照)に関わらず,また,ロック部材がパーキングロックギヤの歯と突き合わされた状態においても,ガイドピン9に作用する合力を,図6に鎖線矢印21で示すように可及的にセレクタ軸5の回転軸線10に向けさせる。その結果,レバーアーム作用が生じないので,結合ロッド3を介してロッド部材7に及ぼされる力に関わらず,セレクタ軸5又は係止プレート4にトルクが及ぼされることはない。更に,凹部又はガイド溝11の形状を,発生する力が図6の回転軸線10の下方に位置するように定める場合には,負のトルクが作用して一種の自己ロック作用が達成可能である。
【0023】
パーキング位置Pに入れるために,係止プレート4及びロッド部材7を介して結合ロッド3に作用させる操作力は,ロック部材2と対向する結合ロッド3の端部において軸線方向に移動可能に取り付けられたロックローラ13に伝達され,したがってロック部材2にも伝達される。ロックローラ13は,ローラケース19と共に結合ロッド3に取り付けられ,当接スリーブ18により軸線方向に支持された結合ロッドばね14に当接する。ガイドブロック又はガイドユニット22は,ローラケース19内のロックローラ13と,ロック部材2を受け入れる。結合ロッドばね3も,結合ロッドばね14及び当接スリーブ18と共に,少なくとも一部がガイドブロック22に組み込まれる。
【0024】
パーキング位置Pに入るために結合ロッド3をロック部材2に向けて移動させると,ロックローラ13がロック部材2の傾斜部又はロック斜面16と接触することにより,ロック部材2をパーキングロックギヤ1の歯溝内まで移動させる。ロック部材が歯溝と対向する位置では,特に図11に示すように,ロックローラ13がロック斜面16を乗り越えることにより,ロック部材2がパーキングロックギヤ1の歯溝内に係合する。しかしロック部材がパーキングロックギヤ1の歯と対向する突き合わせ位置では,ロックローラ13はロック斜面16を乗り越えず,ロックローラ13の更なる動きが阻止され,それに応じて結合ロッドばね14は緊張される。
【0025】
図9は,本発明に係るパーキングロック装置の切換位置D(前進レンジ)を,切換位置N,1,2,3をも代表する切換位置として示す。切換位置Dにおいて,係止ばね6は,係止プレート4における中間的な係止位置にある。この係止プレート4の回転位置において,係止プレート4の凹部11内のガイドピン9は,凹部11における第1の円弧状セクションA内に位置している。したがって,ロッド部材7が結合ロッド3と共に図9の面内で左端の停止位置を占め,これによりロックローラ13がロック部材2のロック斜面16に位置するので,ロック部材2はギヤパーキングロックギヤ1とは係合しない。
【0026】
図10は,パーキングロック装置の切換位置R(後退レンジ)を示す。切換位置Rにおいて,ガイドピン9は凹部11における第1の円弧状セクションAの端部に位置している。これは,係止プレート4が,係止ばね6によってパーキング位置Pに近接する左側の係止位置に保持されているからである。この切換位置Rにおいてもロックローラ13はロック部材2におけるロック斜面16に位置しているので,ロック部材2はパーキングロックギヤ1とは係合しない。
【0027】
図11にパーキングロック装置の切換位置P(パーキング位置)を示す。切換位置Pにおいて,係止プレート4は最左側の係止位置に位置し,この係止位置はパーキング位置Pに対応する。そのため,ガイドピン9は凹部11における第2セクションBの受入れ領域に配置され,よってロッド部材7は図中で右向きに移動し,結合ロッド3も右向きに移動する。したがって,ロックローラ13がロック部材2のロック斜面16を乗り越え,ロック部材2をパーキングロックギヤ1の歯溝内に係合させる。これにより,パーキングロックギヤ1がロック部材2によってロックされる。ロック部材2が歯溝内に位置しているので,車両は移動不能となる。
【0028】
最後に,図12も切換位置P(パーキング位置)を示すものであるが,この場合にはロック部材2がパーキングロックギヤ1の歯に突き合わされた状態にある。図11に示す切換位置とは対照的に,ロック部材2がパーキングロックギヤ1の歯と突き合わされており,は溝内に係合可能とされていないため,ロックローラ13は依然としてロック斜面16に位置している。結合ロッド3のみが更に移動し,ロックローラ13はその位置に止まるため,結合ロッドばね14は図12に示すストロークSを生じる。これ以上移動できないロックローラ13によって結合ロッドばね14にばね力が生じ,このばね力は結合ロッド3を介してロッド部材7に結合ロッド支持力を与えるものである。これによりガイドピン9に発生する合力は,図6に矢印21で示すように,セレクタ軸5の回転軸線10に向けられる。したがって,ロック部材がパーキングロックギヤ1の歯と突き合わされた状態で生じる力は,係止プレート4又はセレクタ軸5に作用しない。突き合わせ状態が解消されると,結合ロッドばね14のばね力により,ロック部材2が直ちにパーキングロックギヤ1の歯溝内まで移動する。
【0029】
この結合ロッドばね14の構造により,パーキングロックギヤ1のロック作用は,被動軸又はパーキングロックギヤ1の所定の回転速度以下のみで発生し,よって機能性が最適化されると共に,運転中又は斜面においてパーキングロックを行おうとするような誤操作が防止される。
【参照符号】
【0030】
1 パーキングロックギヤ
2 ロック部材
3 結合ロッド
4 係止プレート
5 セレクタ軸
6 係止ばね
7 ロッド部材
8 ガイドケース
9 ガイドピン
10 回転軸線
11 凹部(ガイド溝)
12 収容ケース
13 ロックローラ
14 結合ロッドばね
15 補償ばね
16 ロック斜面
17 ロック部材の保持ばね
18 当接スリーブ
19 ローラケース
20 結合ロッド支持力
21 合力
22 ガイドブロック
A 凹部の第1セクション
B 凹部の第2セクション
S 結合ロッドばねのストローク
P パーキング用の切換位置
R 後退レンジ用の切換位置
D 前進レンジ用の切換位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用自動変速機におけるパーキングロック装置であって,被動軸に作用結合したパーキングロックギヤ(1)を備え,該パーキングロックギヤ(1)が,セレクタ軸(5)に相対回転を生じないように結合された係止プレート(4)における所定の切換位置に対して,結合ロッド(3)により作動可能としたロック部材(2)によりロック可能とされているパーキングロック装置において,前記結合ロッド(3)が,前記セレクタ軸(5)に及ぼすべき選択トルクを制限するための結合手段を介して,前記係止プレート(4)に作用結合されていることを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパーキングロック装置において,前記結合手段が,前記結合ロッド(3)と結合したロッド部材(7)を備え,該ロッド部材(7)は,固定されたガイドケース(8)内において軸線方向に移動可能に取り付けられており,更に,ガイド部材により前記係止プレート(4)における対応する凹部(11)まで案内可能とされていることを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項3】
請求項2に記載のパーキングロック装置において,前記凹部(11)は,走行用の切換位置(R,N,1,2,3)に対応する第1セクション(A)と,パーキング用の切換位置(P)に対応する第2セクション(B)とを備え,パーキング用の切換位置(P)において前記第2セクション(B)に位置する前記ガイド部材に作用する結合ロッド支持力が,前記セレクタ軸(5)の回転軸線(10)に向けられることを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項4】
請求項3に記載のパーキングロック装置において,前記第1セクション(A)は,前記セレクタ軸(5)の前記回転軸線(10)に関して所定の曲率半径の円弧状をなすように前記係止プレート(4)に配置され,第2セクション(B)は,前記第1セクション(A)に隣接する受入れ領域を有し,該受入れ領域は,第1セクション(A)よりも大きな曲率半径で前記係止プレート(4)に配置されていることを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか一項に記載のパーキングロック装置において,前記ガイド部材はガイドピン(9)として構成され,該ガイドピンは,前記係止プレート(4)の前記凹部(11)に及ぼされる選択トルクに応じて前記セクション(A,B)に沿って案内可能とされ,その際に前記係止プレート(4)の回転運動の一部が,選択された切換位置に応じて前記結合ロッド(3)の軸線方向運動に変換されることを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項6】
請求項2〜5の何れか一項に記載のパーキングロック装置において,前記ロック部材(2)から離れた側に位置する前記結合ロッド(3)の端部は,これに対向する前記ロッド部材(7)の端部と結合していることを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項7】
請求項2〜6の何れか一項に記載のパーキングロック装置において,前記ロッド部材(7)の軸線方向運動は,少なくとも一つの補償ばね(15)によって補償可能とされていることを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項8】
請求項7に記載のパーキングロック装置において,前記補償ばね(15)として圧縮ばねが設けられ,該圧縮ばねは,第1端部において前記ガイドケース(8)に当接すると共に,第2端部において前記ガイド部材の収容ケース(12)に当接することを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載のパーキングロック装置において,前記ロック部材(2)と対向する前記結合ロッド(3)の端部領域は,軸線方向に変位可能なロックローラ(13)を備え,該ロックローラは,前記結合ロッド(3)の軸線方向の動きに応じて前記ロック部材(2)の対応するロック斜面(16)と作用結合することにより,前記ロック部材を,ロック部材の保持ばね(17)の力に抗して前記パーキングロックギヤ(1)と係合させることを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項10】
請求項9に記載のパーキングロック装置において,前記ロック部材(2)が前記パーキングロックギヤ(1)の歯と突き合わされた状態で,前記結合ロッド(3)に軸線方向に移動可能に取り付けられたロックローラ(13)により,結合ロッドばね(14)が緊張可能とされていることを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項11】
請求項10に記載のパーキングロック装置において,前記結合ロッドばね(14)は,第1端部で軸線方向に固定された結合ロッド(3)の当接スリーブ(18)と当接し、第2端部でローラケース(19)と当接することを特徴とするパーキングロック装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−233580(P2012−233580A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105444(P2012−105444)
【出願日】平成24年5月2日(2012.5.2)
【出願人】(500045121)ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト (312)
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
【Fターム(参考)】