説明

自動変速機のシフト装置

【課題】本発明は、チェンジレバーがサブゲート内に入っている間、変速機切換部材が振動等で単独で回動しないように規制するものであって、部品点数が多くなることのない自動変速機のシフト装置の提供を目的とする。
【解決手段】ゲート用プレートは、プレート本体よりも軟らかい軟質材から構成された補助プレート7を備え、この補助プレート7に、一体的に形成された弾性を有する係止片72が設けられている。一方、変速機切換部材3の切換部材本体30の上面に、係止部34が設けられている。この係止部34は、チェンジレバー4がドライブレンジにきたときに、係止片72と係止し、ドライブレンジからメインゲートの他のレンジへのチェンジレバー4の移動に伴う切換部材本体30の回動に際して係止片72との係止が外れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に用いられる自動変速機のシフト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の車両に用いられる自動変速機のシフト装置は広く知られている。又、自動変速機のシフト装置において、オートモードからマニュアルモードに適宜切り換えられるようにしたものも広く知られている。このマニュアルモードに切り換え可能な自動変速機のシフト装置として、例えば特許文献1に提案されたものがある。このものは、メインゲート及びサブゲートを有するゲート用プレートと、そのゲート用プレートの下方側にそのゲート用プレートに対して前後方向に回動可能に配設され車両に設けられた変速機にケーブルを介して連結された変速機切換部材(ガイドブラケット)と、変速機切換部材に連結・連結解除可能に連結された前後及び左右方向に回動可能なチェンジレバー(シフトレバー)とを備える。そして、チェンジレバーを、前記メインゲートに設けられたドライブレンジから右側方側のサブゲートに移動操作すると、チェンジレバーに設けられた連結片としてのブロック体が、変速機切換部材に設けられた連結部としての保持溝から外れ、チェンジレバーと変速機切換部材との両者の連結が解除してマニュアルモード状態にできる。又、チェンジレバーを、そのサブゲートから左側方側のドライブレンジに移動操作すると、ブロック体が保持溝に入り込み両者が連結する。この両者の連結状態で、オートモード状態になり、チェンジレバーがメインゲートのドライブレンジからメインゲート内の他のレンジに移動操作されると、それに伴い変速機切換部材が前後方向に回動しその回動に際してケーブルを押引操作して自動変速機を切換操作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−230424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、チェンジレバーの連結片と変速機切換部材の連結部との連結が解除された状態では、変速機切換部材は、チェンジレバーに拘束されていないため、チェンジレバーがサブゲート内に入っている間に、振動等によって単独で前後方向に回動するおそれがある。変速機切換部材が振動等によって単独で回動すると、チェンジレバーの連結片と変速機切換部材の連結部とが位置ずれしてしまい、チェンジレバーをサブゲートからメインゲートに戻す際に、両者を連結できなくなってしまう。従って、チェンジレバーがサブゲート内に入っている間、変速機切換部材が振動等によって単独で回動しないように規制する必要がある。
【0005】
かかる場合、例えば変速機切換部材を、チェンジレバーの連結片と変速機切換部材の連結部との連結が外れる位置、即ち、チェンジレバーがメインゲートのドライブレンジにきた位置で、変速機切換部材を板バネ等で押えておくことも考えられる。しかし、板バネ等を付設したのでは、部品点数が多くなるとともに、板バネの組み付け工程が付加されてしまう。
【0006】
本発明は、チェンジレバーがサブゲート内に入っている間、変速機切換部材が振動等で単独で回動しないように規制するものであって、部品点数が多くなることのない自動変速機のシフト装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、メインゲート及びサブゲートを有するゲート用プレートと、そのゲート用プレートの下方側にゲート用プレートに対して回動可能に配設された変速機切換部材と、その変速機切換部材と連結・連結解除可能に連結されたチェンジレバーとを備え、前記チェンジレバーを、前記メインゲートに設けられたドライブレンジから前記サブゲートに移動操作することにより、前記チェンジレバーと変速機切換部材との両者の連結が解除してマニュアルモード状態にでき、前記チェンジレバーを、そのサブゲートから前記ドライブレンジに戻すことにより前記両者が再度連結してオートモード状態に戻すことができるようにした自動変速機のシフト装置であって、前記変速機切換部材とゲート用プレートとのいずれか一方に、当該一方と一体的に形成された弾性を有する係止片が設けられ、前記いずれか他方に、前記係止片と係脱自在に係止する係止部が設けられ、前記係止片は、前記チェンジレバーが前記ドライブレンジにきたときに、前記係止部と係止するとともに、前記チェンジレバーが前記ドライブレンジから前記メインゲートに設けられたドライブレンジ以外の他のレンジへ移動されるに伴う変速機切換部材の回動に際して前記係止部との係止が外れるように構成されていることを特徴とする自動変速機のシフト装置を提供する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に発明において、前記ゲート用プレートが、前記メインゲート及びサブゲートを有するプレート本体と、そのプレート本体に積層された補助プレートとを備え、前記補助プレートは、前記メインゲート及びサブゲートに対応し前記チェンジレバーがそれらのゲートを移動するに際して当接するように配置された消音用ゲートを備えているとともに、前記プレート本体よりも軟らかい軟質材から構成され、前記係止片は、前記補助プレートから一体的に下方側に突設され、前記係止部は、前記変速機切換部材の上面の一部に、その変速機切換部材の回動に際して前記係止片の下端と係脱できるように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1によれば、変速機切換部材とゲート用プレートとのいずれか一方に設けられた係止片は、チェンジレバーがドライブレンジにきたときに、他方に設けられた係止部と係止し、又、チェンジレバーがドライブレンジからメインゲート内の他のレンジへ移動されるに伴う変速機切換部材の回動に際して係止部との係止が外れるように構成されている。
【0010】
これにより、チェンジレバーがドライブレンジからサブゲートに移動してチェンジレバーと変速機切換部材との連結が解除した場合でも、係止片と係止部とが係止しているため、変速機切換部材が振動等によって勝手に回動するようなことを防止できる。従って、チェンジレバーがサブゲートからドライブレンジに移動させる際におけるチェンジレバーと変速機切換部材との両者の位置ずれを防止でき、両者の連結を円滑に行わせることができる。
【0011】
又、係止片を、変速機切換部材とゲート用プレートとのいずれか一方に、当該一方と一体的に形成しているため、係止片を、変速機切換部材またはゲート用プレートと別途に製作しなくても、変速機切換部材またはゲート用プレートを製作するに際して同時に係止片を製作でき、製作容易なものにできる。しかも、変速機切換部材又はゲート用プレートへの組み付け作業を不要にできるとともに、部品点数を少なくできる。
【0012】
請求項2によれば、ゲート用プレートを、プレート本体と、補助プレートとを備えたものにし、補助プレートを、メインゲート及びサブゲートに対応しチェンジレバーが当接するように配置された消音用ゲートを備えたものにするとともに、プレート本体よりも柔らかい柔軟材から構成する。
【0013】
これにより、チェンジレバーを、ゲート用プレートのメインゲートやサブゲートに沿って移動させる際にチェンジレバーを消音用ゲートに当てることができ、衝突音を抑えることができる。
【0014】
又、係止片を、その補助プレートから一体的に下方側に突設されるようにして弾性を有するものとしているため、補助プレートの製作に際して同時に形成でき、製作容易なものにできる。しかも、係止片を、撓み易いものにすることもでき、変速機切換部材の回動に際して係止部と係脱し易いものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態の自動変速機のシフト装置の要部の分解斜視図である。
【図2】チェンジレバーがメインゲートのパーキングレンジにきた状態の自動変速機のシフト装置の要部の斜視図である。
【図3】図2の状態における切換部材本体と補助プレートとの位置関係を示す側面図である。
【図4】図2の状態における切換部材本体とチェンジレバーとの位置関係を示す斜視図である。
【図5】チェンジレバーがサブゲートにきた状態の自動変速機のシフト装置の要部の斜視図である。
【図6】図5の状態における切換部材本体と補助プレートとの位置関係を示す側面図である。
【図7】図5の状態における切換部材本体とチェンジレバーとの位置関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態の自動変速機のシフト装置の要部の分解斜視図、図2は、チェンジレバーがパーキングレンジにきた状態の自動変速機のシフト装置の斜視図である。尚、図のX方向が前方を示し、Y方向が後方を示している。又、Z方向が左方を示し、W方向が右方を示している。
【0017】
この実施形態の自動変速機のシフト装置1は、自動車用のものとされており、図1、図2に示すように、車体に固定される装置本体2と、変速機切換部材3と、チェンジレバー4と、ゲート用プレート5とを備えている。
【0018】
変速機切換部材3は、この実施形態では、図3、図4に示すように、板状の切換部材本体30と、チェンジレバー4を保持するレバー保持部35と、この変速機切換部材3を装置本体2に取り付ける軸部36a、36bとを備えている。
【0019】
切換部材本体30の上前部側には、ケーブル10(図1に図示)の一端と連結されるケーブル連結部33が設けられている。このケーブル10の他端は、車両に設けられた自動変速機(図示せず)と連結されており、変速機切換部材3は、このケーブル10を介して自動変速機と連結される。
【0020】
又、切換部材本体30の上面における前部側に、後述のゲート用プレート5に設けられた係止片72を係止する係止部34が設けられている。この実施形態の係止部34は、係止凹部34aと、その前側方側に、切換部材本体30の上面から上方に突設された突出壁34bとを備えている。
【0021】
また、切換部材本体30の上部側における略前後中央には、板厚方向の左右方向(Z−W方向)に貫通するようにあけられた四角形状の連結孔32が設けられている。
【0022】
レバー保持部35は、この実施形態では、切換部材本体30の図4のW方向側の右側方側(一側方側)に、切換部材本体30と一体的に突出形成されている。
【0023】
又、このレバー保持部35は、上部側に開口部35aを有する略球状の球状収納部35bを有している。また、レバー保持部35は、複数のスリット35cを備え、これらのスリット35cによって、レバー保持部35の上部側が弾性を有する複数の小に分割されている。
【0024】
これにより、開口部35bが拡大して後述のチェンジレバー4の球状部42を球状収納部35bに押し入れることができるとともに、入れた後は、元の状態に戻って回動自在に保持できるようになっている。
【0025】
軸部36a、36bは、図4に示すように第1軸部36aと、第2軸部36bとを備えている。第1軸部36aは、切換部材本体30の下端に、切換部材本体30と一体的に形成されて切換部材本体30から図のZ方向の左側方側(図4の右側、他側方側)に突設されている。第2軸部36bは、レバー保持部35から図のW方向の右側方側に突設されている。
【0026】
又、第1軸部36aと第2軸部36bとは、同一の軸心O1を有する。また、この実施形態では、その軸心O1は、球状収納部35bの中心O2を通るように形成されている。
【0027】
そして、これらの第1軸部36aと第2軸部36bとが装置本体2に回動自在に軸支されており、これにより、切換部材本体30の上部が軸心O1を中心に前後方向(X−Y方向)に回動可能とされる。
【0028】
チェンジレバー4は、図1、図4に示すように、レバー軸41と、レバー軸41の下端に設けられた球状部42と、レバー軸41の上下方向の中間部に設けられた連結片43とを備えている。
【0029】
レバー軸41は、長尺円柱状のものから構成されており、上端側の先端部に、図示しない操作把持部材が取り付けられ、その操作把持部材がドライバーに把持されて操作される。
【0030】
球状部42は、上記レバー保持部35に保持される被保持部としてのもので、レバー保持部35の球状収納部35b内に回動自在に入り込む大きさの球状のものからなる。
【0031】
そして、この球状部42は、球状収納部35bに、その中心が球状収納部35bの中心O2に一致しその中心O2回りに回動し得るように保持されている。これにより、チェンジレバー4の先端部が切換部材本体30に対して前後方向及び左右方向(Z−W方向)等に回動可能とされる。
【0032】
連結片43は、上記切換部材本体30の連結孔32に、入り込み可能な断面四角形状のものから構成され、レバー軸41から切換部材本体30側に所定長さだけ突出するように形成されている。
【0033】
このように構成された連結片43は、レバー軸41がレバー保持部35の球状収納部35bに入れられた球状部42を中心にして左右方向(Z−W方向)に回動するに伴い上記切換部材本体30の連結孔32に出入りするようになっている。
【0034】
ゲート用プレート5は、図1、図2に示すように板状のプレート本体6と、プレート本体6の上方側に積層されるように配設された板状の補助プレート7とを備えている。プレート本体6は、レバー軸41を案内するゲート8、9を備えている。
【0035】
この実施形態のゲート8、9は、オートモード状態でレバー軸41を案内するメインゲート8と、マニュアルモード状態でレバー軸41を案内するサブゲート9とを備えている。
【0036】
メインゲート8は、パーキング(P)レンジ81と、パーキング(P)レンジ81と連通したリバース(R)レンジ82と、リバース(R)レンジ82と連通したニュートラル(N)レンジ83と、ニュートラル(N)レンジ83と連通したドライブ(D)レンジ84とを備えている。
【0037】
サブゲート9は、メインゲート8のドライブレンジ84と連通路90を介して連通されている。又、サブゲート9には、マイナスゲート91と、プラスゲート92とが設けられている。
【0038】
又、この実施形態のプレート本体6には、プレート本体6から下方に延設された右側壁61及び左側壁62とが付設されている。そして、これらの下部が、装置本体2に固定されることにより、プレート本体6が装置本体2に固定される。
【0039】
補助プレート7は、レバー軸41がメインゲート8及びサブゲート9を移動する際に衝突音を抑える等のためのもので、プレート本体6よりも軟らかい柔軟材であって、レバー軸41が衝突した場合に衝突音が発生し難いものから構成されている。この実施形態では、補助プレート7は、ウレタン系エラストマーから構成されている。
【0040】
この補助プレート7には、上記メインゲート8及びサブゲート9に対応する消音用ゲート71を備えている。この消音用ゲート71は、図示しないが、上記メインゲート8及びサブゲート9よりもやや幅狭に形成されており、補助プレート7が上記メインゲート8及びサブゲート9の内周縁部に突出されている。これにより、レバー軸41がメインゲート8及びサブゲート9を移動する際に、レバー軸41がプレート7の消音用ゲート71の側面に当接し、衝突音が発生し難いようになっている。
【0041】
又、この補助プレート7には、図3に示すように弾性を有する係止片72が設けられている。この実施形態の係止片72は、補助プレート7と一体的に、補助プレート7の下面から所定長さで下方側に突出された断面円形状のものから構成されている。
【0042】
このように構成された補助プレート7は、プレート本体6の上方側に積層された状態で、プレート本体6に固定される。又、係止片72は、上記積層に際して、プレート本体6に設けられた孔(図示せず)に通され、切換部材本体30の上面の上方側に配設されている。
【0043】
より詳しくは、プレート本体6の孔を介してプレート本体6の下方側に配設された係止片72は、図3に示すようにその下端側の先端が切換部材本体30の上面における後方側の部分から所定距離だけ上方に隔てた上方位置に配設され、切換部材本体30の回動に際して当該部分と当接しないようになっている。
【0044】
一方、切換部材本体30の回動に際して、係止片72の下端側の先端と、突出壁34bと当接するようになっている。
【0045】
次に、本発明の動作について説明する。チェンジレバー4及び変速機切換部材3を、装置本体2に組み付ける場合は、例えばチェンジレバー4を変速機切換部材3に保持させ、その状態で変速機切換部材3を装置本体2に組み付けることができる。
【0046】
従って、従来のようにチェンジレバー4と変速機切換部材3とを別個に装置本体2に組み付けなくても良く、組み付け作業を短時間で容易に行うことができる。
【0047】
又、組み付けた後は、チェンジレバー4は、変速機切換部材3の球状収納部35bの中心O2周りに回動するため、変速機切換部材3に対するチェンジレバー4の位置及び動きを常時一定にできる。
【0048】
従って、メインゲートやサブゲートの各レンジ位置に対するチェンジレバーと変速機切換部材との両者の位置決めを容易なものにでき、各レンジ位置に対する両者の位置精度の向上を図ることができる。
【0049】
チェンジレバー4のレバー軸41が、メインゲート8のパーキング(P)レンジ81にきた状態(図2に示す状態)では、図4に示すように、チェンジレバー4の連結片43が切換部材本体30の連結孔32に入り込んだ状態になっており、両者は互いに連結している。
【0050】
そして、チェンジレバー4のレバー軸41がメインゲート8のパーキング(P)レンジ81から後方側のリバース(R)レンジ82に移動操作されると、上記連結状態を維持し、切換部材本体30はチェンジレバー4の連結片43に後方側に押圧されてレバー軸41と共に後方側に回動しケーブル10(図1参照)を引き操作して自動変速機をリバース状態に切り換える。
【0051】
その際、チェンジレバー4の回動の中心となる変速機切換部材3の球状収納部35bの中心O2と、切換部材本体30の回動の中心となる軸心O1とが一致しているため(図4参照)、チェンジレバー4にかかる力を、全て切換部材本体30を回動する力として伝達でき、切換部材本体30を円滑に回動操作できる。
【0052】
同様に、チェンジレバー4のレバー軸41が、リバースレンジ82から後方側のニュートラルレンジ83、更に、ニュートラルレンジ83からドライブレンジ84側に順次、移動されると、上記連結状態を維持し、切換部材本体30はチェンジレバー4の連結片43に後方側に押圧されてレバー軸41と共に後方側に回動しケーブル10を引き操作して自動変速機をニュートラル、ドライブの各状態に切り換える。
【0053】
又、チェンジレバー4のレバー軸41がドライブレンジ84にくる際に、切換部材本体30の係止片72と突出壁34bとが当接し突出壁34bが係止片72の下端側の先端を後方側に押圧する。
【0054】
これにより、係止片72は、徐々に湾曲状に撓んでいき、突出壁34bは、係止片72を通過し、係止凹部34に係止片72を入り込ませる。この係止凹部34に係止片72が入り込んだ状態では、図6に示すように係止片72の先端面が係止凹部34のほぼ全体に当接した状態になる。
【0055】
そして、チェンジレバー4のレバー軸41が、図5に示すようにドライブレンジ84から連通路90を通って右方側のサブゲート9に入る際に、図7に示すようにチェンジレバー4の連結片43が切換部材本体30の連結孔32から抜け出た状態になり、チェンジレバー4と切換部材本体30との連結が解除された状態になる。
【0056】
従って、この連結解除状態では、チェンジレバー4と切換部材本体30とは連動せず、チェンジレバー4がサブゲート9を前後方向に移動しても、自動変速機はドライブ状態に維持される。
【0057】
又、この状態では、切換部材本体30の係止凹部34にゲート用プレート5の係止片72が入り込んだ状態になっているため、切換部材本体30は、回動できずにその位置を維持する。
【0058】
尚、この実施形態では、レバー軸41が連通路90に入ると、装置本体2に設けられた図示しないマニュアルモード検知手段によってマニュアルモードに入ったことを検知する。又、レバー軸41が、サブゲート9のマイナスゲート91に移動されると、装置本体2に設けられた図示しない検知手段によって検知され、その検知に基づいて、装置本体2に設けられた制御部が1回だけシフトダウンする。
【0059】
一方、レバー軸41が、サブゲート9のプラスゲート92に移動されると、検知手段によって検知され、その検知に基づいて、制御部が1回だけシフトアップするようになっている。
【0060】
その後、チェンジレバー4のレバー軸41が、サブゲート9から連通路90を通されてドライブレンジ84に戻される際に、チェンジレバー4の連結片43が切換部材本体30の連結孔32に再度入り、チェンジレバー4と切換部材本体30とが再度連結状態になる。
【0061】
その際、切換部材本体30は、係止片72と係止して連結解除した際の位置を維持しているため、連結片43と連結孔32とが位置ずれすることなく合致しており、連結片43は連結孔32に容易に入り込み、連結片43が連結孔32の周部に当たって入り込まないようなことを防止できる。
【0062】
そして、チェンジレバー4のレバー軸41がメインゲート8のドライブレンジ84からニュートラルレンジ83に移動操作されると、チェンジレバー4と連結した切換部材本体30が上記とは反対側の前方側に回動する。
【0063】
又、その回動に際し、係止部34に係止していた係止片72が徐々に湾曲状に撓んでいき、突出壁34bが係止片72を通過する。これにより、係止部34と係止片72との係止が解除する。
【0064】
尚、上記実施形態では、ゲート用プレート5に係止片72を設け、切換部材本体30に、その係止片72を係脱自在に係止する係止部34を設けたが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば切換部材本体30に係止片72を設け、ゲート用プレート5に係止部34を設けたものとしても良い。
【0065】
又、上記実施形態では、係止片72を、プレート本体6よりも軟らかい補助プレート7と一体に形成しているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えばプレート本体6と一体的に弾性を有するものに形成しても良い。ただし、上記実施形態のように係止片72を補助プレート7と一体に形成すれば、プレート本体6と一体に形成する場合に較べて撓ませ易いものにでき、係止片72を係止部34に係脱する際の抵抗を小さくできる点で好ましい。
【符号の説明】
【0066】
1 自動変速機のシフト装置
2 装置本体
3 変速機切換部材
4 チェンジレバー
5 ゲート用プレート
6 プレート本体
7 補助プレート
8 メインゲート
9 サブゲート
34 係止部
34a 係止凹部
34b 突出壁
72 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインゲート及びサブゲートを有するゲート用プレートと、そのゲート用プレートの下方側にゲート用プレートに対して回動可能に配設された変速機切換部材と、その変速機切換部材と連結・連結解除可能に連結されたチェンジレバーとを備え、前記チェンジレバーを、前記メインゲートに設けられたドライブレンジから前記サブゲートに移動操作することにより、前記チェンジレバーと変速機切換部材との両者の連結が解除してマニュアルモード状態にでき、前記チェンジレバーを、そのサブゲートから前記ドライブレンジに戻すことにより前記両者が再度連結してオートモード状態に戻すことができるようにした自動変速機のシフト装置であって、
前記変速機切換部材とゲート用プレートとのいずれか一方に、当該一方と一体的に形成された弾性を有する係止片が設けられ、
前記いずれか他方に、前記係止片と係脱自在に係止する係止部が設けられ、
前記係止片は、前記チェンジレバーが前記ドライブレンジにきたときに、前記係止部と係止するとともに、前記チェンジレバーが前記ドライブレンジから前記メインゲートに設けられたドライブレンジ以外の他のレンジへ移動されるに伴う変速機切換部材の回動に際して前記係止部との係止が外れるように構成されていることを特徴とする自動変速機のシフト装置。
【請求項2】
前記ゲート用プレートは、前記メインゲート及びサブゲートを有するプレート本体と、そのプレート本体に積層された補助プレートとを備え、
前記補助プレートは、前記メインゲート及びサブゲートに対応し前記チェンジレバーがそれらのゲートを移動するに際して当接するように配置された消音用ゲートを備えているとともに、前記プレート本体よりも軟らかい軟質材から構成され、
前記係止片は、前記補助プレートから一体的に下方側に突設され、
前記係止部は、前記変速機切換部材の上面の一部に、その変速機切換部材の回動に際して前記係止片の下端と係脱できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の自動変速機のシフト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−280348(P2010−280348A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137124(P2009−137124)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000109738)デルタ工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】