説明

自動変速機用ピストン

【課題】ピストン本体10へのシールリング20の装着性及びピストン本体10に対するシールリング20の位置決め精度を向上する。
【解決手段】クラッチシリンダ2内に軸方向移動可能に配置されるピストン本体10と、このピストン本体10の円筒部12に外嵌されたシールリング20からなり、シールリング20が、円筒部12に外挿されるスリーブ21aを有する金属環21と、この金属環21にゴム状弾性材料で一体的に設けられてクラッチシリンダ2の円筒状の内面に軸方向摺動可能に密接されるシールリップ22aを有するシール本体22からなり、金属環21に、ピストン本体10の円筒部12への外挿方向と反対側を向いた被押圧面21d,21fと、ピストン本体10に軸方向に当接される基準面21eが、シール本体22から露出した状態に形成されている。被押圧面21d,21fは、シールリング20をピストン本体10へ外嵌する際に、治具等を押し当てて押圧することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の自動変速機の油圧クラッチに用いられるピストンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の自動変速機の油圧クラッチは、油圧によってクラッチシリンダ内を軸方向移動するピストンが、多板クラッチにおける駆動軸側のドライブプレートと従動軸側のドリブンプレートとを圧接させることによって、駆動軸から従動軸へ動力を伝達し、前記圧接状態を解除することによって、動力伝達を遮断するようになっている。また、この種のピストンは、一般的に、クラッチシリンダの内面と密接されるゴム状弾性材料からなるシール部をピストン本体に一体成形したシール一体型ピストン(ボンデッドピストンシールとも呼ばれる)が用いられる。
【0003】
この種の自動変速機は、近年多段化の傾向にあり、FF(前輪駆動)方式では軸方向に対するスペース上の制約があるため、とくに、容量の大きな自動変速機の場合は、ピストンが大径化する傾向にある。ところが、ピストンが上述のようなシール一体型ピストンである場合、大径のシール一体型ピストンを製造しようとすると、シール部をピストン本体に一体成形するための金型装置なども大型化するため、製造コストの上昇が避けられない。
【0004】
そこで従来、シールリングをピストン本体とは別部材として製造し、これをピストン本体に外嵌して一体化させたピストンが開発されている。図6は、シールリングとピストン本体が別部材からなる従来の自動変速機用ピストンを、クラッチシリンダの一部と共に軸心を通る平面で切断して示す要部断面図である。
【0005】
すなわち、図6に示される従来の自動変速機用ピストン100は、受圧部110aとそこから屈曲して延びる円筒部110bを有しクラッチシリンダ200内に軸方向移動可能に配置されるピストン本体110と、このピストン本体110に外嵌されたシールリング120とからなる。シールリング120は、金属環121と、この金属環121にゴム状弾性材料で一体的に設けられたシール本体122からなり、前記金属環121が、ピストン本体110の円筒部110bに外挿されるスリーブ121aと、その一端から内径方向へ屈曲して延びてピストン本体110の受圧部110aに衝合されるフランジ121bとからなり、前記シール本体122が、前記クラッチシリンダ200の円筒状の内面に軸方向摺動可能に密接されるシールリップ122aと、このシールリップ122aの基部から金属環121のフランジ121bを被覆するように延びる弾性層122bと、この弾性層122bを介して前記フランジ121bの内面側へ廻り込んで形成され前記受圧部110aに密接されたシールビード122cとを有する(下記の特許文献参照)。
【特許文献1】特許第3869248号
【0006】
しかしながら、上記従来の構造によれば、シールリング120における金属環121のフランジ121bが、ゴム状弾性材料からなる弾性層122bで覆われているので、ピストン本体110へのシールリング120の外嵌装着作業に際しては、金属環121のフランジ121bを、弾性層122bを介して治具で押圧することになり、このためシールリング120の軸方向位置決め精度が低下し、ひいては、シールリップ122aの内周側の油圧室300の容積(ピストン100が上死点にあるときの容積)にバラツキが生じてしまう問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、ピストン本体へのシールリングの装着性及びピストン本体に対するシールリングの位置決め精度を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る自動変速機用ピストンは、受圧部とこの受圧部から屈曲して延びる円筒部を有しクラッチシリンダ内に軸方向移動可能に配置されるピストン本体と、前記円筒部に外嵌されたシールリングとからなり、前記シールリングが、前記円筒部に外挿されるスリーブを有する金属環と、この金属環にゴム状弾性材料で一体的に設けられて前記クラッチシリンダの円筒状の内面に軸方向摺動可能に密接されるシールリップを有するシール本体からなり、前記金属環に、前記円筒部への外挿方向と反対側を向いた被押圧面が、前記シール本体から露出した状態に形成されたものである。
【0009】
また、請求項2の発明に係る自動変速機用ピストンは、請求項1に記載の構成において、金属環に、ピストン本体と軸方向に当接される基準面が形成されたものである。
【0010】
また、請求項3の発明に係る自動変速機用ピストンは、請求項2に記載の構成において、金属環が、ピストン本体の円筒部への外挿方向の端部から外周側へ張り出し形成された外向きフランジを有し、この外向きフランジのうち前記外挿方向を向いた面を基準面とし、他方の面を被押圧面としたものである。
【0011】
また、請求項4の発明に係る自動変速機用ピストンは、請求項2に記載の構成において、金属環が、ピストン本体の円筒部への外挿方向と反対側の端部から内周側へ延びる内向きフランジを有し、基準面が、前記内向きフランジの内側面に突設され、ピストン本体の受圧部と当接されるものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明に係る自動変速機用ピストンによれば、シールリングにおける金属環に、ピストン本体の円筒部への外挿方向と反対側を向いた被押圧面が、シール本体から露出した状態に形成されているため、当該自動変速機用ピストンの組み立てにおいて、シールリングをピストン本体に外嵌一体化する際に、金属環の被押圧面を、前記外挿方向(軸方向)へ押圧することができるので、被押圧面がゴム状弾性材料からなるシール本体で覆われている場合に比較して、シールリングに対して確実に押圧荷重を与え、装着作業性を向上することができる。
【0013】
請求項2〜4の発明に係る自動変速機用ピストンによれば、請求項1による効果に加え、金属環に形成された基準面が、ピストン本体と軸方向に当接されることによって、ピストン本体に対するシールリングの位置決め精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る自動変速機用ピストンの好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る自動変速機用ピストンの第一の形態を、クラッチシリンダの一部と共に軸心を通る平面で切断して示す要部断面図、図2は、第一の形態におけるピストン本体とシールリングの分離状態を、軸心を通る平面で切断して示す要部断面図である。なお、以下の各図においては、左側が外周側であり、右側が内周側であり、上下方向が軸方向である。
【0015】
まず図1において、参照符号2は自動変速機の油圧クラッチにおけるクラッチシリンダで、端盤部2aと、この端盤部2aの外周から延びる外筒部2bと、さらにこの外筒部2bにおける端盤部2aと反対側の端部から外周側へ延びる段部2cとを有する。
【0016】
本発明の第一の形態に係る自動変速機用ピストン1は、クラッチシリンダ2の端盤部2aとの間に画成された油圧室3に導入される油圧と、油圧室3と反対側に配置された不図示のリターンスプリングによって、クラッチシリンダ2内を軸方向移動し、クラッチを接続又は遮断するもので、クラッチシリンダ2内に軸方向移動可能に配置されるピストン本体10と、このピストン本体10に外嵌一体化されたシールリング20とからなる。
【0017】
ピストン本体10は、鋼板等の金属板の塑性加工により環状に製作されたものであって、径方向に延びてクラッチシリンダ2の端盤部2aと軸方向に対向される受圧部11と、この受圧部11の外周から油圧室3と反対側へ延びる円筒部12と、さらにこの円筒部12における受圧部11と反対側の端部から外周側へ延びる外周径方向部13を有する。
【0018】
シールリング20は、軸心を通る平面で切断した断面形状が略L字形をなす金属環21と、この金属環21にゴム状弾性材料で一体的に設けられたシール本体22からなり、図2に示される分離状態から、ピストン本体10に外嵌されることによってこのピストン本体10と一体化されている。
【0019】
シールリング20の金属環21は、ピストン本体10の円筒部12に外挿されるスリーブ21aと、その軸方向一端(前記円筒部12への外挿方向と反対側の端部)から内周側へ延びてピストン本体10の受圧部11に軸方向に対向される内向きフランジ21bと、スリーブ21aの軸方向他端(前記円筒部12への外挿方向を向いた端部)から外周側へ張り出し形成された外向きフランジ21cからなる。
【0020】
シールリング20のシール本体22は、金属環21におけるスリーブ21aと内向きフランジ21bの間の屈曲部外周に位置して形成されると共にクラッチシリンダ2の外筒部2bの内周面に軸方向摺動可能に密接されるシールリップ22aと、このシールリップ22aの基部から延びて前記スリーブ21aの外周面を被覆した膜部22bと、前記スリーブ21aの内周に位置して形成されると共にピストン本体10の円筒部12に適当なつぶし代をもって密接される圧縮シール部22cと、この圧縮シール部22cから、前記内向きフランジ21bの内側面へ延びてピストン本体10の受圧部11に密接される第二の圧縮シール部22dと、さらにこの第二の圧縮シール部22dから延びて、前記内向きフランジ21bの内径端部に位置して形成され、先端がピストン本体10の受圧部11に密接される第二のシールリップ22eとを有する。
【0021】
すなわち、シールリング20は、金属板の打ち抜き及び塑性加工等により製作した金属環21に、加硫接着剤を塗布してから、所定の金型内に位置決めセットして型締めし、この金型の内面と金属環21との間に画成されたキャビティ内に未加硫の成形用ゴム材料を充填して加熱・加圧することによって、ゴム状弾性材料からなるシール本体22を、成形と同時に金属環21に加硫接着して製作されたものである。また、金属環21のスリーブ21aの外周に位置する膜部22bと、内周に位置する圧縮シール部22cは、前記スリーブ21aに開設された所要数の小孔(不図示)を通じて互いに連続しており、したがってシール本体22は、一度の成形工程で成形することができる。
【0022】
金属環21の内向きフランジ21bは、ピストン本体10の円筒部12への外挿方向と反対側を向いた面(図1及び図2における上面)がシール本体22から露出しており、この面が、シールリング20を前記円筒部12へ外挿する際の治具による被押圧面21dとなっている。
【0023】
また、金属環21の外向きフランジ21cのうち、前記外挿方向を向いた面は、ピストン本体10の外周径方向部13と当接される基準面21eとなっており、その反対側の面が、上述した内向きフランジ21bの被押圧面21dと同様、シールリング20を前記円筒部12へ外挿する際の治具による被押圧面21fとなっている。
【0024】
上述の構成を備える第一の形態の自動変速機用ピストン1は、シールリップ22aと、ピストン本体10の内周部を密封する不図示の密封手段とで内外周を密閉された油圧室3に印加される油圧によって、不図示のリターンスプリングの付勢力に抗して、クラッチシリンダ2内を図1における下方へ向けて軸方向変位し、不図示の多板クラッチを接続動作させ、前記油圧を開放することによって、多板クラッチの接続状態を解除する方向へ復帰動作するものである。
【0025】
そしてこの自動変速機用ピストン1は、シールリング20をピストン本体10と別部材として製作してから、シールリング20をピストン本体に1に外嵌して一体化するため、大径で複雑な断面形状のピストンであっても、シール部をピストン本体に一体成形したシール一体型ピストン(ボンデッドピストンシール)を製作する場合のように、大型で複雑な金型を製作する必要がなく、シールリング20は、上述のように、単純な断面形状の金属環21にシール本体22を一体成形することによって製造可能であるため、製造コストを低減することができる。
【0026】
ピストン本体10へのシールリング20の外嵌作業は、図2に示される分離状態から、金属環21における内向きフランジ21bの被押圧面21d又は外向きフランジ21cの被押圧面21f、あるいはその双方に、不図示の治具を押し当てて、金属環21のスリーブ21aを、外向きフランジ21cを先頭にしてピストン本体10の円筒部12へ外挿するように、シールリング20を軸方向に押圧して嵌め込んで行くことにより行う。この外挿過程では、圧縮シール部22cが圧縮されながら前記円筒部12の外周面に圧入されて行くのに伴う圧入抵抗が発生するが、前記被押圧面21d,21fが、ゴム状弾性材料からなるシール本体22から露出しているので、これに押し当てた前記治具によって、シールリング20に対して確実に軸方向の圧入荷重Fを与えることができるので、装着作業性を向上することができる。
【0027】
また、上述の外嵌作業によって、第二のシールリップ22e及び第二の圧縮シール部22dがピストン本体10の受圧部11に密接された状態となった時点で、外向きフランジ21cの基準面21eが、ピストン本体10の外周径方向部13と衝合される。そして前記基準面21eはゴム状弾性材料からなるシール本体22から露出した金属面からなるため、シールリング20は、ピストン本体10に対して高い精度で軸方向位置決めされる。またこのため、自動変速機用ピストン1が上死点にあるときの油圧室3の容積にバラツキが生じることもない。
【0028】
次に図3は、本発明に係る自動変速機用ピストンの第二の形態を、軸心を通る平面で切断して示す断面図である。図3に示される形態の自動変速機用ピストン1は、シールリング20の金属環21における内向きフランジ21bの内周端部が、シールリング20をピストン本体10に外嵌する際の外挿方向と反対側へ屈曲すると共に、シール本体22から露出し、その端面が、被押圧面21dとなっているものである。その他の部分は、先に説明した第一の形態と同様に構成されている。したがって、この形態によれば、第一の形態と同様の効果を奏する。
【0029】
次に図4は、本発明に係る自動変速機用ピストンの第三の形態を、軸心を通る平面で切断して示す断面図である。この形態の自動変速機用ピストン1は、シールリング20の金属環21における内向きフランジ21bに、その内側面にエンボス加工等によって打ち出された突起部21gが、円周方向所定間隔で突設されており、シール本体22における第二の圧縮シール部22dから露出した前記突起部21gの端面を、ピストン本体10の受圧部11と当接される基準面21hとしたものである。また、シール本体22における第二の圧縮シール部22dと第二のシールリップ22eは、各突起部21gの間の部分を通じて互いに連続している。その他の部分は、先に説明した第一の形態と同様に構成されている。
【0030】
したがって、この形態によれば、ピストン本体10へのシールリング20の外嵌作業に際して、金属環21の内向きフランジ21bの被押圧面21d又は外向きフランジ21cの被押圧面21f、あるいはその双方に、不図示の治具を押し当てて、金属環21のスリーブ21aを、外向きフランジ21cを先頭にしてピストン本体10の円筒部12へ外挿するように、シールリング20を軸方向に押圧して嵌め込んで行くことによって、第二のシールリップ22e及び第二の圧縮シール部22dがピストン本体10の受圧部11に密接された状態となった時点で、外向きフランジ21cの基準面21eが、ピストン本体10の外周径方向部13と衝合されると共に、内向きフランジ21bの突起部21gに設けた基準面21hがピストン本体10の受圧部11と衝合される。そしてこのとき、内向きフランジ21bの被押圧面21dに押し当てた治具による軸方向荷重を、同じ内向きフランジ21bに形成された突起部21gの基準面21hとピストン本体10の受圧部11との衝合によって受けるので、シールリング20を一層高精度で位置決めすることができる。
【0031】
なお、クラッチシリンダ2の外筒部2bと段部2cの形状等に起因するスペース上の制約によって、金属環21に外向きフランジ21cを設けることが困難である場合は、図4に示される第三の形態から、金属環21の外向きフランジ21cを除去した構造とすることができる。
【0032】
図5は、このような例として、本発明に係る自動変速機用ピストンの第四の形態を、軸心を通る平面で切断して示す断面図である。すなわち、この形態の自動変速機用ピストン1は、シールリング20における金属環21のスリーブ21aの先端21iが、ピストン本体10の外周径方向部13と非接触で対向しており、その他の部分は、図4に示される第三の形態と同様に構成されている。
【0033】
この形態によれば、ピストン本体10へのシールリング20の外嵌作業に際しては、金属環21における内向きフランジ21bの被押圧面21dに不図示の治具を押し当てて、金属環21のスリーブ21aを、先端21iを先頭にしてピストン本体10の円筒部12へ外挿するように、シールリング20を軸方向に押圧して嵌め込んで行くことによって、第二のシールリップ22e及び第二の圧縮シール部22dがピストン本体10の受圧部11に密接された状態となった時点で、内向きフランジ21bの突起部21gに設けた基準面21hがピストン本体10の受圧部11と衝合される。そしてこのとき、内向きフランジ21bの被押圧面21dに押し当てた治具による軸方向荷重を、同じ内向きフランジ21bに形成された突起部21gの基準面21hとピストン本体10の受圧部11との衝合部で受けるので、図4のような外向きフランジ21cによる基準面21eが存在しなくても、シールリング20を高精度で位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る自動変速機用ピストンの第一の形態を、クラッチシリンダの一部と共に軸心を通る平面で切断して示す要部断面図である。
【図2】第一の形態におけるピストン本体とシールリングの分離状態を、軸心を通る平面で切断して示す要部断面図である。
【図3】本発明に係る自動変速機用ピストンの第二の形態を、軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図4】本発明に係る自動変速機用ピストンの第三の形態を、軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図5】本発明に係る自動変速機用ピストンの第四の形態を、軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図6】従来の自動変速機用ピストンを、クラッチシリンダの一部と共に軸心を通る平面で切断して示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 自動変速機用ピストン
2 クラッチシリンダ
3 油圧室
10 ピストン本体
11 受圧部
12 円筒部
13 外周径方向部
20 シールリング
21 金属環
21a スリーブ
21b 内向きフランジ
21c 外向きフランジ
21d,21f 被押圧面
21e,21h 基準面
21g 突起部
22 シール本体
22a シールリップ
22b 膜部
22c 圧縮シール部
22d 第二の圧縮シール部
22e 第二のシールリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受圧部とこの受圧部から屈曲して延びる円筒部を有しクラッチシリンダ内に軸方向移動可能に配置されるピストン本体と、前記円筒部に外嵌されたシールリングとからなり、前記シールリングが、前記円筒部に外挿されるスリーブを有する金属環と、この金属環にゴム状弾性材料で一体的に設けられて前記クラッチシリンダの円筒状の内面に軸方向摺動可能に密接されるシールリップを有するシール本体からなり、前記金属環に、前記円筒部への外挿方向と反対側を向いた被押圧面が、前記シール本体から露出した状態に形成されたことを特徴とする自動変速機用ピストン。
【請求項2】
金属環に、ピストン本体と軸方向に当接される基準面が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機用ピストン。
【請求項3】
金属環が、ピストン本体の円筒部への外挿方向の端部から外周側へ張り出し形成された外向きフランジを有し、この外向きフランジのうち前記外挿方向を向いた面を基準面とし、他方の面を被押圧面としたことを特徴とする請求項2に記載の自動変速機用ピストン。
【請求項4】
金属環が、ピストン本体の円筒部への外挿方向と反対側の端部から内周側へ延びる内向きフランジを有し、基準面が、前記内向きフランジの内側面に突設され、ピストン本体の受圧部と当接されることを特徴とする請求項2に記載の自動変速機用ピストン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−52608(P2009−52608A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218099(P2007−218099)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】