説明

自動欠陥検査装置

【課題】複数の自動欠陥検査装置の立ち上げ時の検出条件の設定と、定期的に検出条件を校正する自動欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】カラーフィルタ基板の欠陥不良を検出する自動欠陥検査装置であって、カラーフィルタ基板を搬送する搬送手段と、搬送されたカラーフィルタ基板を照明する照明手段と、照明されたカラーフィルタ基板を撮像する撮像手段と、撮像された撮像画像から欠陥不良を抽出する画像処理手段と、前記搬送手段と、照明手段と、撮像手段と、画像処理手段と、を制御する制御手段と、を備え、かつ、カラーフィルタ基板を製造する製造工程中に配置された上流の自動欠陥検査装置で検査した検査結果を、下流の自動欠陥検査装置で利用して下流の自動欠陥検査装置の欠陥検出条件を設定する欠陥検出条件設定手段を備えたことを特徴とする自動欠陥検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置に用いるカラーフィルタ基板の欠陥検査装置であって、更に詳しくは欠陥の検出条件を決定する手段を備えた自動欠陥検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1はカラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を断面で示した図である。カラーフィルタ1は、ガラス基板2上にブラックマトリックス(以下、BM)3、レッドRの着色画素(以下、R画素)4−1、グリーンGの着色画素(以下、G画素)4−2、ブルーBの着色画素(以下、B画素)4−3、透明電極5、及びフォトスペーサー(Photo Spacer)(以下、PS)6、バーテイカルアライメント(Vertical Alignment)(以下、VA)7が順次形成されたものである。
【0003】
上記構造のカラーフィルタの製造方法は、フォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法が知られているが、図2は一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の工程を示すフロー図である。カラーフィルタは、先ず、ガラス基板上にBMを形成処理する工程(C1)、ガラス基板を洗浄処理する工程(C2)、着色フォトレジストを塗布および予備乾燥処理する工程(C3)、着色フォトレジストを乾燥、硬化処理するプリベーク工程(C4)、露光処理する工程(C5)、現像処理する工程(C6)、着色フォトレジストを硬化処理する工程(C7)、透明電極を成膜処理する工程(C8)、PS、VAを形成処理する工程(C9)がこの順に行われ製造される。
【0004】
例えば、R画素、G画素、B画素の順に画素が形成される場合には、カラーフィルタ用ガラス基板を洗浄処理する工程(C2)から、着色フォトレジストを硬化処理する工程間(C7)ではレッドR、グリーンG、ブルーBの順に着色レジストを変更して3回繰り返されてR画素、G画素、B画素が形成される。
【0005】
ガラス基板2上へのBM3の形成は、例えば、ガラス基板2上に金属薄膜を形成し、この金属薄膜にフォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィー法によってBM形状を有したパターンを露光、現像、エッチングをして形成するといった方法や、または、ガラス基板2上に黒色のフォトレジスト樹脂を塗布し、この樹脂塗膜をフォトリソグラフィー法によってBM形状を有したパターンを露光、現像して、いわゆる樹脂BMと称するパターンを形成する方法がとられている。
【0006】
製造されるカラーフィルタ基板には高い信頼性が必要であるが、前記のようにカラーフィルタの製造工程には多くの工程があり、その途中でゴミや樹脂カス、金属などの異物欠陥や、ピンホール、パターン欠け等による白抜け欠陥が発生する場合がある。これらの欠陥は自動欠陥検査装置によって検出される。
【0007】
上記自動欠陥検査装置によりカラーフィルタ製造の上記BM形成工程、R形成工程、G形成工程、B形成工程での着色部の形成後に10μmφ〜500μmφ程度の着色膜面上の異物や白抜けの検出が行われている。
【0008】
図3は一般的に用いられている自動欠陥検査装置を示す図で、カラーフィルタ基板20を矢印25の方向に搬送するための搬送部(コロやエア浮上搬送を用いたエアスライダ)23、カラーフィルタ基板20を照明する反射光源部21aと透過光源部21b、照明されたカラーフィルタ基板20を撮像する撮像部22、及び画像比較処理部を備えた制御部
24とを有している。反射光源部21aと透過光源部21b、撮像部22、搬送部23は制御部24に接続され制御される。
【0009】
反射光源部21aと透過光源部21bはカラーフィルタ基板20の搬送方向と直交する方向の全幅に対して均一な照明を行えるように設置され、例えばLEDやハロゲンランプやキセノンランプ等の光源が用いられる。撮像部22はカラーフィルタ基板20の搬送方向と直交する方向の全幅に対して複数台2次元CCDカメラが並べられる。ここで用いられる2次元CCDカメラはモノクロ用で良く、撮像された画像データは画像データ処理部(図示せず)で例えば256階調のデジタルデータに変換される。搬送部23は、例えば搬送用コロ26でカラーフィルタ基板20を搬送しても良く、または搬送用にステージを設けてステージ上にカラーフィルタ基板20を載置し、ステージを移動させて搬送される。更にはカラーフィルタ基板20を静止する載置台に載置したまま反射光源部21aと透過光源部21bと撮像部22を駆動させて撮像する。
【0010】
撮像画像と欠陥の一例を図4に示す。カラーフィルタのBM3、R画素4−1、G画素4−2、B画素4−3が繰り返しパターンであることを利用して、欠陥9の検出には格子間隔(セルピッチ)を基に左右上下の繰り返しパターンを、撮像部22で撮像した画像の濃度の差を比較処理し(一般的には画像のアナログ信号を例えば256階調のデジタル信号に変換し、その信号値を比較処理し)、設定された閾値で2値化して欠陥部分が抽出される。抽出された欠陥9はパソコンを含むコンピュータによりその欠陥情報(カラーフィルタ基板内の欠陥が存在する座標や欠陥のサイズ)がファイル及びデータベース(以下、DB)に保存される。
【0011】
欠陥のサイズは、欠陥を撮像したCCDラインセンサカメラの画素数(以下、ピクセル数:単位Pix)に置き換えたものであり、このピクセル数が欠陥サイズの代用値としてファイル及びDBに保存される。
【0012】
図5(a)は、撮像された欠陥10aを示す。図5(b)は、2値化された欠陥部のCCDラインセンサカメラのピクセル10bの一例を示す。図5(b)の場合は、CCDラインセンサカメラのピクセル数はX方向、Y方向共に7ピクセルの計49ピクセルであって、欠陥部のピクセル10bが11Pixであることを示している。
【0013】
欠陥の良否判定基準としては欠陥サイズを使用するが、欠陥サイズは、検出した欠陥部のCCDの画素数を数えたものであり、この画素数が設定されている数値を超えた場合(言い換えれば閾値を超えた場合)、その欠陥を不良欠陥として扱う。例えば閾値を10Pixとした場合には、上記欠陥10aは2値化された欠陥部のCCDラインセンサカメラのピクセル10bが11Pixであることから不良欠陥として検出される。
【0014】
上記の欠陥サイズは自動欠陥検査装置の欠陥検出条件(以下、検出条件)により変化する。検出条件は主に、撮像カメラとして用いられる例えば、CCDラインセンサカメラの撮像倍率や照明条件等の自動欠陥検査装置側の条件によって変化し、更に製造されるカラーフィルタの品質基準によって変えられる。従って上記のように閾値を10Pixではなく8Pixとしたり、逆に、15Pixにすることによって、欠陥は検出しやすくなったり、逆に、検出しにくくなったりする。上記検出しやすくなった場合には、良品として判定したい欠陥をも不良欠陥と判定し、一方、検出しにくくなった場合には、不良欠陥として検出したい欠陥をも検出できなくなるといった不都合が生じる。そのため、検出条件は、自動欠陥検査装置装置立上げ時に全ての検査カメラに対して決められ設定される必要がある。その検出条件設定は、一般に、カラーフィルタのパターン付き基板を使用し実施する。これには先ず、顕微鏡を搭載した装置(欠陥観察装置)でパターン付き基板にある対象物(異物)の面積を測長する。その後、自動欠陥検査装置にて、その面積測長した対象物(異物)を複数水準の検出条件で検査し、各検出条件でその対象物が検出できるPix数を算出して検出条件を決定している。上記方法によって一般的には自動欠陥検査装置の条件設定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−41930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら上記検出条件の設定には、人手によって自動欠陥検査装置毎に全ての撮像カメラに対して行う必要があり、更に基板の搬送装置も含めて実施しなければならない。これには多大な時間を要するため作業効率を低下させる原因となる。また、基板サイズの大型化により基板搬送中に基板ワレ等のトラブルが発生することが予想される。
【0017】
また、上記検出条件の設定を装置立上げの条件出し時に行っても、時間経過とともに撮像カメラの感度や、照明条件が経時的に変化することが予想されるが、それに対応した条件設定を自動的に校正(補正)する機能が無いため、欠陥の検出感度が一定に保たれない問題がある。
【0018】
そこで本発明では、複数の自動欠陥検査装置の立ち上げ時の検出条件の設定を自動で行え、かつ、定期的に検出条件を校正することによって、条件出し時の作業効率を向上させ、更には、複数の自動欠陥検査装置間の検出条件を統一することを可能とする自動欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の請求項1に係る発明は、カラーフィルタ基板の欠陥不良を検出する自動欠陥検査装置であって、
カラーフィルタ基板を搬送する搬送手段と、
搬送されたカラーフィルタ基板を照明する照明手段と、
照明されたカラーフィルタ基板を撮像する撮像手段と、
撮像された撮像画像から欠陥不良を抽出する画像処理手段と、
前記搬送手段と、照明手段と、撮像手段と、画像処理手段と、を制御する制御手段と、を備え、
かつ、カラーフィルタ基板を製造する製造工程中に配置された上流の自動欠陥検査装置で検査した検査結果を、下流の自動欠陥検査装置で利用して下流の自動欠陥検査装置の欠陥検出条件を設定する欠陥検出条件設定手段を備えたことを特徴とする自動欠陥検査装置である。
【0020】
本発明の請求項2に係る発明は、前記欠陥検出条件設定手段を用いて定期的に検出条件の設定を行うことによって検出条件の校正を行うことを特徴とする請求項1記載の自動欠陥検査装置である。
【発明の効果】
【0021】
自動欠陥検査装置の立ち上げ時における検出条件の設定を自動で行うことが出来るため、検出条件を設定する作業効率向上及び人手による設定負荷を低減することが出来る。また、カラーフィルタ基板が製造される製造工程中に配置された最上流から最下流に至る全ての自動欠陥検査装置の検出条件を統一することが可能となり、また、定期的に検出条件の設定を行い、検出条件の校正を行うことによって自動検査装置の経時変化による検出条件の変化を防ぎ、カラーフィルタ基板の品質保証が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】カラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を断面で示した図。
【図2】一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の工程のフロー図。
【図3】一般的に用いられている自動欠陥検査装置を示す図。
【図4】撮像画像と欠陥の一例を示す図。
【図5】(a)は撮像された欠陥を示す図は側面図を示す。(b)は2値化された欠陥部のCCDラインセンサカメラのピクセルの一例を示す図。
【図6】本発明に係る自動欠陥検査装置の概略構成の一例を示す図。
【図7】本発明に係る自動欠陥検査装置で3水準の設定値を設定した場合を示す図。
【図8】(a)は欠陥を含むデジタル化した画像を示す図。(b)は濃度比較差分処理後の画像を示す図。(c)は2値化された欠陥の画像を示す図。
【図9】本発明に係る自動欠陥検査装置でのスライス値を決定する動作フローを示す図。
【図10】本発明に係わる自動欠陥検査装置が適用されるカラーフィルタ製造に用いられる工程内の処理装置及び自動欠陥検査装置の配置を示した図。
【図11】本発明に係る自動欠陥検査装置におけるスライス値自動決定動作フローを示す図。
【図12】本発明に係る自動欠陥検査装置の全てのスライス値自動決定の処理動作のフローを示す図。
【図13】本発明に係る自動欠陥検査装置におけるスライス値と検出サイズを示す図。
【図14】本発明に係る自動欠陥検査装置における黒欠陥及び白欠陥のスライス値と画素数との関係を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を用いて本発明を実施する形態を説明する。
【0024】
図6は本発明に係る自動欠陥検査装置の概略構成の一例を示したものである。図6に示す自動欠陥検査装置は、カラーフィルタ基板30を矢印35の方向に搬送する手段である搬送部33と、カラーフィルタ基板30を照明する手段である反射光源部31aと透過光源部31bと、照明されたカラーフィルタ基板30を撮像する撮像する手段である撮像部32と、撮像された撮像画像から不良欠陥を抽出する画像処理手段である画像処理部37と、搬送部33と反射光源部31aと透過光源部31bと撮像部32と画像処理部とを制御する制御手段である制御部34を備えている。尚、自動欠陥検査装置は撮像部32を複数台備えている。
【0025】
自動欠陥検査装置によって撮像された撮像画像は、例えば256諧調のデジタルデータに変換され、カラーフィルタ基板のBM、R画素、G画素、B画素が繰り返しパターンであることを利用して、撮像部32で撮像した画像の濃度の差を比較処理し、その後、設定された検査レベル(以下、スライス値と呼ぶ)(0〜255の数値)で二値化処理を実施し、欠陥部分と判断された画素部を抽出し、そのピクセル(Pix)数を欠陥サイズとして導出する。比較処理は画像のアナログ信号を例えば256階調のデジタル信号に変換し、その信号値を比較して行われる。比較処理は一般的に用いられている画像処理を採用して達成することが出来る。
【0026】
スライス値とは、画像濃淡値を設定された2値に区分するための閾値のことで、欠陥検出処理のパラメータの一つである。
【0027】
画像処理された欠陥を複数の閾値で2値化する機能を説明する。欠陥検出処理に必要とされるパラメータであるスライス値を、N個の水準のスライス値を保持できるものとし、
例えば、3水準のスライス値の設定を行った場合は、下記の様に設定値を定義し、これら設定値に対し、上記欠陥検出処理を、各々のスライス値に対し実施する。
【0028】
図7は3水準の設定値を設定した場合を示す図である。スライス値その1をA1、スライス値その2をA2、スライス値その3をA3とする。図7に示す3つのスライス値の場合では、44がA1、45がA2、46がA3となる。48は欠陥の濃度分布を示す。
【0029】
例えば、これを、図8に示す欠陥47に対し3水準の設定値を設定した場合は、その処理によって得られた検出欠陥の3つの欠陥サイズが得られる。図8(a)は欠陥47を含むデジタル化した画像を示し、図8(b)はセルピッチで繰り返し設けられた左右上下の繰り返しパターンを濃度比較差分処理して得られた濃度比較差分処理後の画像を示す。図8(c)は、その後設定されたスライス値(図8のスライス値44、45、46)で、2値化された欠陥の画像を示す。スライス値その1に対し2値化処理を行った結果得られた欠陥サイズその1をB1(Pix)、スライス値その2に対し2値化処理を行った結果得られた欠陥サイズその2をB2(Pix)、スライス値その3に対し2値化処理を行った結果得られた欠陥サイズその3をB3(Pix)とする。
【0030】
上記は、3水準のスライス値の設定を行った場合を例示したが、これに限定されず適宜水準の数は設定すれば良い。
【0031】
欠陥検出条件設定手段について説明する。自動欠陥検査装置立上げ時に、上記スライス値の決定を全自動欠陥検査装置に備えられた全てのカメラについて行い、検出条件を設定することが必要である。スライス値を決定する動作フローを図9に示す。先ず、カラーフィルタ基板上の対象とする欠陥の面積を顕微鏡を搭載している装置で面積を測定(S1)、その後、その対象欠陥が自動欠陥検査装置で任意の複数水準のスライス値で2値化し(S2)、得られた欠陥サイズの画素数(Pix)を求める(S3)。その後、顕微鏡を搭載している装置で面積測定したデータ(S1で求めたデータ)と、自動欠陥検査装置で取得した欠陥の検出サイズに相当する画素数(S3で求めた画素数)とを比較して、カメラ毎に適正なスライス値を決定する(S4)。
【0032】
本発明は、上記スライス値の決定を全自動欠陥検査装置とそれに備えられた全てのカメラについて行なう必要があるが、本発明による自動欠陥検査装置ではスライス値の決定を自動で行うことを特徴とするものである。
【0033】
上記スライス値を自動決定する方法を更に詳しく説明する。図10は本発明に係わる自動欠陥検査装置が適用されるカラーフィルタ製造に用いられる工程内の処理装置(ここで言う処理装置とは、洗浄装置や塗布装置や露光装置や現像装置を指す)及び自動欠陥検査装置の配置を示したもので、処理装置a50〜処理装置z51と自動欠陥検査装置その1(52)〜そのn(53)及び制御ユニット54がEthernet(登録商標)55、またはCC Link、または光ケーブル等により接続されており、その構成要素間は相互に通信可能となっている。尚、前記処理装置a50〜処理装置z51は処理装置a50が最も上流に位置し処理装置z51が最も下流に位置している。また、自動欠陥検査装置その1〜そのnは自動欠陥検査装置その1(52)が最も上流に位置し、自動欠陥検査装置そのn(53)が最も下流に位置している。
【0034】
自動欠陥検査装置で得られたカラーフィルタ基板の検査情報は欠陥座標、検出サイズ、良否判定等であって、制御部に備えられた所定フォルダに所定のフォーマットで格納される。また、各自動欠陥検査装置は、指定パス内に格納された検査情報を読み込み、引き継ぐことが可能である。
【0035】
スライス値を自動で決定する手順を図11のスライス値自動決定動作フローを用いて説明する。先ず、最も上流にある自動欠陥検査装置(すなわち自動欠陥検査装置その1)のスライス値を上記図9に示した手順で決定する(K1)。次に実際の製品カラーフィルタ基板を投入し、自動欠陥検査装置その1で検査した検査情報を所定フォルダに格納し(K2)、自動欠陥検査装置その2で同一基板(前記実際の製品カラーフィルタ基板)を検査し(K3)、自動欠陥検査装置その1の検査情報を所定フォルダ内より抽出(K4)した後、カラーフィルタ基板の同じエリア内にある同一欠陥の検出サイズにおいて、自動欠陥検査装置その1で検出した検出サイズに合わせ込み(K5)、自動欠陥検査装置その2のスライス値の決定を自動で行う。(K6)。ステップ(K6)及びステップ(K7)で行われる処理内容は後で詳しく述べる。続いて自動欠陥検査装置その3で自動欠陥検査装置その2と同様に自動欠陥検査装置その1の検査情報を抽出し、スライス値の決定を行う(K7)。スライス値の決定は最下流の自動欠陥検査装置そのnまで行われる(K8)。
【0036】
上記の手順によって、自動欠陥検査装置その1の1台のみ手動でスライス値を手動で決定し、下流の他の自動欠陥検査装置その2〜そのnのスライス値を自動で決定することが出来る。また、自動欠陥検査装置その1〜そのnまでのスライス値を決定することで自動欠陥検査装置間の欠陥の検出条件を統一することが出来る。その結果、人手によるスライス値の決定負荷を軽減し作業効率を向上させることが出来る。
【0037】
上記ステップ(K6)及びステップ(K7)で行われる処理内容を説明する。自動欠陥検査装置その2〜そのnの処理動作のフローを図12を用いて説明する。先ず、自動欠陥検査装置その1で製品カラーフィルタ基板検査する(P1)。次に前ステップ(P1)で検査した基板を下流の自動欠陥検査装置その2に払い出し(P2)、自動欠陥検査装置その2で任意のN個のスライス値を設定する(P3)。続いて自動欠陥検査装置その2で、前記設定したスライス値にて検査を行い(P4)、対象の欠陥を設定した各スライス値によって検出した欠陥の画素数(Pix)のデータを取得し(P5)、取得した画素数(Pix)のデータに基づいて、図11に示される検出した欠陥の画素数−スライス値のグラフを作成し(P6)、グラフから係数αとβを算出する(P7)。上記の自動欠陥検査装置その1での対象欠陥の画素数を変数yに代入し、自動欠陥検査装置その2のスライス値を決定する(P8)。更に下流の自動欠陥検査装置その3〜そのnまでステップ(P3)〜ステップ(P8)を繰り返す(P9)。
【0038】
スライス値と検出サイズを示す画素数の関係は、通常検出する検出欠陥の範囲内では図13に示すように線形的に変化する。即ち、スライス値(x)を変動させると、画素数(y)は、ほぼy=αx+βの一次直線に沿って変化する。欠陥には黒欠陥(主に異物)と白欠陥(主に白抜け)がある。従って黒欠陥、白欠陥は、黒欠陥用のスライス値と白欠陥用のスライス値が別々に設定され、各々N個のスライス値が用意される。図14は黒欠陥及び白欠陥のスライス値と画素数との関係を説明するための模式図で、図14(a)に示すように黒欠陥の場合は、スライス値を上げていくと黒欠陥に対する検出能力が上がり(言い換えればスライス値を上げていくと小さな欠陥が検出できる)、検出サイズを示す画素数(Pix)も増加する。逆に、図14(b)に示すように白欠陥の場合は、スライス値を下げていくと、白欠陥に対する検出能力が上がり、画素数(Pix)も増加する。図14(a)(b)のそれぞれ上段の図は黒欠陥61、白欠陥62を示す。黒欠陥61は周辺から中心に向かって黒の度合いが強くなり(黒濃度が高くなり)、白欠陥62は周辺から中心に向かって白の度合いが強くなり(白濃度が高くなり)ことを示している。また、矢印63、64は撮像カメラが欠陥の画像を撮像した方向を示している。下段の横軸はそれぞれ撮像カメラの画素位置を示し、縦軸は黒レベル(たとえば256階調にデジタル化した「0」レベル)から白レベル(同じく255レベル)間のスライス値(SL1〜SL4)を示す。例えば図14(a)の黒欠陥の場合は撮像画像を比較処理した後の画像65をスライス値SL1〜SL4で検査した場合、スライス値SL1によって欠陥サイズとして得られた画素数(Pix)のデータPXB1は「0」であり、スライス値SL2によって欠陥サイズとして得られた画素数(Pix)のデータPXB2は、スライスされるポイントPixPa〜PixPbの画素数であり凡そ480−300=180画素と算出される。同様にスライス値SL3によって欠陥サイズとして得られた画素数(Pix)のデータPXB3は500−250=250画素、PXB4は520−200=320画素と算出される(実際には欠陥の画素数は面積を表すため欠陥の上部から下部までの上記画素数の積分値である)。上記のように黒欠陥の場合は、スライス値を上げていくと黒欠陥に対する検出能力が上がり(言い換えればスライス値を上げていくと小さな欠陥が検出できる)、検出サイズを示す画素数(Pix)も増加する。逆に図14(b)の白欠陥の場合は、撮像画像を比較処理した後の画像65をスライス値SL11〜SL14で検査した場合、PXW1は凡そ540−240=300画素、PXW2は500−250=250画素、PXW3は450−300=250画素、PXW4は「0」画素となり、白欠陥の場合は、スライス値を下げていくと、白欠陥に対する検出能力が上がり、画素数(Pix)も増加する。図11は、黒欠陥用スライス値と画素数を示した図となる。
【0039】
以上のように本発明による自動欠陥検査装置によれば、自動欠陥検査装置の立ち上げ時における検出条件の設定を自動で行うことが出来るため、検出条件を設定する作業効率向上及び人手による設定負荷を低減することが出来る。また、カラーフィルタ基板が製造される製造工程中に配置された最上流から最下流に至る全ての自動欠陥検査装置の検出条件を統一することが可能となり、また、定期的に検出条件の設定を行うことによって、検出条件を校正することが出来、自動検査装置の経時変化による検出条件の変化を防ぎ、カラーフィルタ基板の品質保証が可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1・・・カラーフィルタ
2・・・ガラス基板
3・・・ブラックマトリックス(BM)
4−1・・・レッドRの着色画素(R画素)
4−2・・・グリーンGの着色画素(G画素)
4−3・・・ブルーBの着色画素(B画素)
5・・・透明電極
6・・・フォトスペーサー(PS)
7・・・バーテイカルアライメント(VA)
9・・・欠陥
10a・・・撮像された欠陥
10b・・・欠陥部のCCDラインセンサカメラのピクセル
20・・・カラーフィルタ基板
21a・・・反射光源部
21b・・・透過光源部
22・・・撮像部
23・・・搬送部
24・・・制御部
25・・・カラーフィルタ基板を搬送する方向を示す矢印
26・・・搬送用コロ
30・・・カラーフィルタ基板
31a・・・反射光源部
31b・・・透過光源部
32・・・撮像部
33・・・搬送部
34・・・制御部
35・・・カラーフィルタ基板を搬送する方向を示す矢印
37・・・画像処理部
47・・・欠陥
48・・・欠陥の濃度分布
50〜51・・・処理装置a〜処理装置z
52〜53・・・自動欠陥検査装置その1〜自動欠陥検査装置そのn
54・・・制御ユニット
55・・・Ethernet(登録商標)
61・・・黒欠陥
62・・・白欠陥
63、64・・・撮像カメラが欠陥の画像を撮像した方向を示す矢印
65・・・黒欠陥61の撮像画像を比較処理した後の画像
66・・・白欠陥62の撮像画像を比較処理した後の画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタ基板の欠陥不良を検出する自動欠陥検査装置であって、
カラーフィルタ基板を搬送する搬送手段と、
搬送されたカラーフィルタ基板を照明する照明手段と、
照明されたカラーフィルタ基板を撮像する撮像手段と、
撮像された撮像画像から欠陥不良を抽出する画像処理手段と、
前記搬送手段と、照明手段と、撮像手段と、画像処理手段と、を制御する制御手段と、を備え、
かつ、カラーフィルタ基板を製造する製造工程中に配置された上流の自動欠陥検査装置で検査した検査結果を、下流の自動欠陥検査装置で利用して下流の自動欠陥検査装置の欠陥検出条件を設定する欠陥検出条件設定手段を備えたことを特徴とする自動欠陥検査装置。
【請求項2】
前記欠陥検出条件設定手段を用いて定期的に検出条件の設定を行うことによって検出条件の校正を行うことを特徴とする請求項1記載の自動欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−226791(P2011−226791A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93860(P2010−93860)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】