自動洗浄式光センサ
【課題】開発コスト、製品コストが大幅に上昇することなく、レンズの表面に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを確実に除去することができる自動洗浄式光センサを提供する。
【解決手段】制御装置15の画像処理用プロセッサ16は、光センサ2の先端部3に設けられたレンズ7の表面に煤や有機物あるいは無機物の汚れが付着することにより燃焼室1における検出対象領域からの光の照度が低下した場合は、先端部3に設けられたヒータ電極10に通電する。これにより、ヒータ電極10から輻射エネルギがレンズ7の表面に集光状態で照射されるので、煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却してレンズ7の表面を清浄化することができる。
【解決手段】制御装置15の画像処理用プロセッサ16は、光センサ2の先端部3に設けられたレンズ7の表面に煤や有機物あるいは無機物の汚れが付着することにより燃焼室1における検出対象領域からの光の照度が低下した場合は、先端部3に設けられたヒータ電極10に通電する。これにより、ヒータ電極10から輻射エネルギがレンズ7の表面に集光状態で照射されるので、煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却してレンズ7の表面を清浄化することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガス雰囲気中における検出対象領域を結像させるためのレンズの表面を自動洗浄する機能を備えた自動洗浄式光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のエンジンにおいて、燃焼室の燃焼過程、或いは排気系のガス温度、或いはフィルタ表面温度などの燃焼ガス雰囲気中の所定の検出対象領域の温度分布を検出するための光センサが提供されている。この種の光センサは、例えば検出対象領域をレンズで光ファイバの一端面に結像させることにより光ファイバの他端面に検出対象領域の画像を形成し、その画像を解析することにより検出対象領域の温度分布を検出するようになっている。
【特許文献1】特表2006−526142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えば検出対象領域を光ファイバの一端面に結像するためのレンズは燃焼ガス雰囲気に晒されていることから、比較的短時間で燃焼ガス中の煤や有機物あるいは無機物の汚れがレンズの表面に付着し、光ファイバの他端に形成される画像の照度が低下する。このため、検出対象領域の温度分布を確実に検出可能とするには、煤や有機物あるいは無機物の汚れを洗浄する必要があるものの、使用者の要望としては、計測作業の手間を減らすべく、レンズの洗浄のためセンサを取り外すことなく、レンズを自動的に清浄化できることにある。
【0004】
このような使用者の要望に対して、特許文献1のものでは、レンズの近傍に加熱装置を設けることにより煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却し、レンズ表面の清浄化を実現している。つまり、加熱装置は電力供給によりジュール発熱し、その熱はセンサ先端部を構成する構造部材を介し熱伝導によりレンズまで達する。レンズの温度が、煤や有機物あるいは無機物の汚れが燃える温度以上に達すると、煤や有機物あるいは無機物の汚れが加熱焼却され、レンズが清浄化される仕組みとなっている。
【0005】
しかしながら、引用文献1の構成では、センサ先端周辺部の温度は、加熱装置による加熱のためにレンズの温度よりも高くなる。このため、センサ周辺部では高い熱応力が発生し、部品の破壊につながりかねない。特に、引用文献1のものは、レンズと周辺部の線膨張係数の違いから、この接合部分での熱応力が極めて大きく、熱応力破壊にいたる虞がある。このような問題を避けるためには、構成部品の放熱設計を確実に行うか、耐久性の高い材料選定が不可避であり、開発コスト、製品コストが高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、開発コスト、製品コストが大幅に上昇することなく、レンズの表面に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを確実に除去することができる自動洗浄式光センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、加熱手段によりレンズの表面が加熱されるので、レンズに付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却することができる。この場合、加熱焼却は、空間を伝播する輻射エネルギにより行われるので、熱伝導を利用して煤や有機物あるいは無機物の汚れを焼却する構成に比較して、構成部品の開発が容易であると共に、部品コストを低減することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、輻射エネルギの大部分はレンズの表面で反射されてしまうので、レンズを通過してしまう輻射エネルギの影響を回避することができる。
請求項3の発明によれば、レンズに煤や有機物あるいは無機物の汚れが付着した場合のみ加熱手段が駆動されるので、煤や有機物あるいは無機物の汚れを効率よく除去することができる。
【0009】
請求項4の発明によれば、撮像手段は燃焼ガス雰囲気から離れて設けることができるので、撮像手段の熱対策を省略することができる。
請求項5の発明によれば、加熱手段からの輻射エネルギの一部がレンズを通じて導光手段の一端面に入射した場合であっても、その入射角度は導光手段の最大入射角度よりも大きいので、輻射エネルギが導光手段により導かれて撮像手段に放射されてしまうことを防止できる。
請求項6の発明によれば、加熱手段をヒータ電極により容易に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図6を参照して説明する。
図1は、全体構成を示す概略図である。エンジンの燃焼室(燃焼ガス雰囲気に相当)1の壁面には光センサ2の先端部3が装着されている。この光センサ2は、燃焼室1の燃焼ガスの温度分布を検出することによりエンジンの燃焼状態を判断するためのものである。先端部3は燃焼室1内を臨んでおり、その先端面には受光部4及び加熱部5が対向して設けられている。
【0011】
図2は光センサ2の先端部3を示す断面図、図3は先端部3を示す平面図である。受光部4は、傾斜面部6に、レンズ7及び光ファイバ(導光手段に相当)8を備えて構成されている。レンズ7と光ファイバ8とは、図示しない光カプラにより光学的に接続されていると共に、ロウ付け、或いは焼結など、セラミック接合と同様な方法により先端部3に接合されている。レンズ7は、燃焼室1内の所定の検出対象領域を結像する。光ファイバ8は、レンズ7により結像した画像が一端面に位置するように設けられている。光ファイバ8は燃焼室1の外部に導出しており、一端面に結像した画像を他端面に画像として形成するようになっている。
【0012】
加熱部5は、2次元的に湾曲形状に形成された湾曲面部9を有して構成されている。この湾曲面部9は、その内周面の鉛直方向がレンズ7を指向するような湾曲形状に形成されている。湾曲面部9の内周面においてレンズ7の表面と鎖交する部位には薄膜状のヒータ電極(加熱手段に相当)10が形成されており、そのヒータ電極10にリード線11が接続されている。ヒータ電極10への通電状態では、ヒータ電極10が発熱して輻射エネルギ(輻射熱)をレンズ7の表面に集光状態で照射する(図4参照)。この場合、ヒータ電極10は、レンズ7を通過して光ファイバ8の一端面に照射される輻射エネルギが光ファイバ8の最大入射角度よりも大きな角度で入射されるように設けられている。
【0013】
ヒータ電極10は、セラミックグロープラグのヒータ部と同一構造に形成されている。つまり、ヒータ電極10の基材は絶縁セラミックであり、その一部に金属粉を混ぜて導電部(電極)が形成されている。絶縁セラミック及び金属粉は粉体であり、ホットプレス法で一体焼結した後に、ヒータ電極10の露出と全体の形状を形成するために切削されている。セラミックの基材としては、窒化シリコン(Si3N4)若しくはアルミナ(Al2O3)など、熱衝撃性に富んだ材料を積極的に選ぶのが望ましい。
【0014】
ヒータ電極10は、輻射エネルギを放射し易いように黒色に塗装されている。尚、ヒータ電極10をスパッタリングで形成するようにしてもよいし、ヒータ電極10を黒色の皮膜で覆うようにしてもよい。
【0015】
図1において、光ファイバ8の他方の端面と対向するようにCMOSカメラ12が配置されている。CMOSカメラ12はレンズ13とイメージセンサ(撮像手段に相当)14とからなり、光ファイバ8の他端面に形成された画像がレンズ13によりイメージセンサ14に結像する。CMOSカメラ12は、イメージセンサ14に結像した画像を示す画像信号を制御装置15に出力する。
【0016】
制御装置15は、画像処理用プロセッサ(画像処理手段に相当)16と制御回路(駆動手段に相当)17とから構成されている。
図5は、制御回路17の構成を示す電気回路図である。画像処理用プロセッサ16は、CMOSカメラ12のイメージセンサ14からの画像信号を処理することにより燃焼室1の所定の検出対象領域における燃焼温度分布を検出する。このように燃焼室1の燃焼温度分布を検出する理由は、近年、低燃費、或いは低排出ガス性能を向上させるためにHCCI(予混合圧縮着火)燃焼方式のように大量のEGR(排気ガス再循環)を使用した燃焼方式の開発が行われており、このような大量のEGRを使用した燃焼方式では、燃焼が不均一となることから、燃焼温度分布を観察してエンジンの制御にリアルタイムに反映させることが今後重要となるからである。つまり、燃焼室1の燃焼が適正に行われる場合には、予め記憶した燃焼温度分布となるものの、制御が不適正な場合は、燃焼温度分布が予め記憶した温度分布から許容範囲から外れることから、このような場合は、燃焼が不適正であると判断するのである。
【0017】
制御回路17は、電源とヒータ電極10との間に介在された無接点スイッチ18からなる。無接点スイッチ18はノーマルオープンタイプであり、画像処理用プロセッサ16によりオンされた状態で電源をヒータ電極10に接続する。
画像処理用プロセッサ16は、CMOSカメラ12からの画像信号に基づいて燃焼室1の燃焼温度分布を検出し、検出した燃焼温度分布が予め設定した温度分布の許容範囲から外れていた場合は、異常を図示しないエンジンECUに通知する。エンジンECUは、画像処理用プロセッサ16からの異常の通知を受け、その異常に応じてエンジンに対する制御を燃焼状態が適正となるように変更する。
【0018】
図6は、画像処理用プロセッサ16の動作のうち本発明に関連した動作を示すフローチャートである。画像処理用プロセッサ16は、CMOSカメラ12からの画像信号における全ての画素毎の光の照度Wnを求め(S1)、それらの照度Wnを加算してから(S2)、その加算値Pが最低照度を上回っているかを判断する(S3)。CMOSカメラ12が受光する燃焼室からの光の照度が十分な場合は、加算値Pは最低照度を上回っているので(S3:YES)、無接点スイッチ18のオフ状態を維持する(S4)。
【0019】
さて、光センサ2の先端部3に設けられたレンズ7は燃焼室1内に位置していることから、燃焼ガス雰囲気に晒されている。このため、燃焼ガス中の煤や有機物あるいは無機物の汚れが比較的短時間でレンズ7の表面に付着するので、CMOSカメラ12の受光量が低下し、燃焼温度分布を正確に検出することができなくなる。
【0020】
画像処理用プロセッサ16は、CMOSカメラ12からの画像信号における画素毎の光の照度の加算値Pが最低照度を下回った場合は(S3:NO)、レンズ7に煤や有機物あるいは無機物の汚れが付着したと判断し、タイマをリセットすると共に(S5)、タイマの計時を開始してから(S6)、無接点スイッチ18をオンする(S7)。これにより、無接点スイッチ18を通じて電源がヒータ電極10に接続されるので、ヒータ電極10が通電によりジュール発熱する。この場合、ヒータ電極10は黒色に塗装されているので、理想的には黒体放射が行われ、ヒータ電極10の発熱量に応じた輻射エネルギ(電磁波、特に赤外線)が放射されて空間を介してレンズ7の表面に達するようになる。レンズ7の表面に付着している煤や有機物あるいは無機物の汚れは黒色であるので、煤や有機物あるいは無機物の汚れが輻射エネルギを吸収することにより温度が上昇し、その温度が発火点まで上昇すると、煤や有機物あるいは無機物の汚れは加熱焼却され、以ってレンズ7の表面は清浄化される。
【0021】
ところで、上述のようにヒータ電極10による輻射エネルギの放射がレンズ7の表面に煤や有機物あるいは無機物の汚れが付着していない状態で行われた場合は、レンズ7の表面温度が上昇することはないものの、輻射エネルギがレンズ7を通過して光ファイバ8に入射した場合には、その先に設けられたCMOSカメラ12に入射してイメージセンサ14が損傷する虞がある。
【0022】
しかしながら、ヒータ電極10からの輻射エネルギは、レンズ7の光軸に対して斜めから照射されるので、輻射エネルギの大部分はレンズ7の表面で反射される。また、輻射エネルギの一部がレンズ7を通過して光ファイバ8の一端面に到達するにしても、その入射角度は光ファイバ8の最大入射角度よりも大きな角度となっているので、輻射エネルギが光ファイバを通じてCMOSカメラ12に到達してしまうことを確実に防止できる。
【0023】
ここで、レンズ7の表面に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却している期間は、測定対象である燃焼室の温度の計測を実行することはない。これは、煤や有機物あるいは無機物の汚れの燃焼発光をCMOSカメラ12が観測してしまうことを防止するためである。
【0024】
画像処理用プロセッサ16は、タイマの計時時間が設定時間を上回った場合は(S8:YES)、無接点スイッチ18をオフする(S4)。この場合の設定時間とは、レンズ7に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却するのに十分な時間で、予め画像処理用プロセッサ16に記憶しておく。
【0025】
画像処理用プロセッサ16は、レンズ7に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れの加熱焼却が終了した場合は、燃焼温度分布の計測を再開するようになる。
以上の動作により、レンズ7の表面に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却することができるので、レンズ7の表面が清浄化され、CMOSカメラ12が撮像した画像に基づいて検出対象領域の燃焼温度分布を確実に計測することができる。
【0026】
このような実施形態によれば、光センサ2の先端部3に加熱部5を設け、燃焼室1内に位置するレンズ7の表面に煤や有機物あるいは無機物の汚れが付着することにより燃焼室1における検出対象領域からの光の照度が低下した場合は、ヒータ電極10から輻射エネルギをレンズ7の表面に集光状態で照射することにより、煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却してレンズ7の表面を清浄化するようにしたので、光センサのレンズを加熱装置からの熱伝導を利用して加熱する構成であるために、部品の放熱設計が困難であったり、耐久性の高い材料選定が不可避であったりする従来例のものと違って、開発コスト、製品コストが大幅に上昇することなく、レンズ7の表面に付着した汚れを確実に除去することができる。
【0027】
しかも、光センサ2の先端部3が小形であっても、ヒータ電極10は、セラミックグロープラグのヒータ部と同一方法で形成されているので、精密に形成することができる。
尚、ヒータ電極10の熱放射面の形状としては、2次元的な湾曲形状に限定されることなく、図7に示すように円筒面、球面、楕円面の一部から構成された3次元的な湾曲形状であったり、図8に示すように複数の小さな平板(或いは曲面)を連続、或いは間欠的に設けることにより2次元的な湾曲形状を近似したり、図9に示すように複数の平面(或いは曲面)で3次元的な湾曲形状を近似したりしても良い。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図10及び図11を参照して説明するに、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第2実施形態は、レンズ7の表面に、輻射エネルギをレンズ7の周囲全体から照射することを特徴とする。
図10は光センサ2の先端部3の断面図、図11は先端部3の斜視図である。先端部3の先端面中央にレンズ7が設けられていると共に、先端部3の先端面には環状壁面部21が形成されており、レンズ7は環状壁面部21に囲繞されている。環状壁面部21の中央には窓部22が形成されており、その窓部22を通じて検出対象領域がレンズ7により光ファイバ8の一端面に結像するようになっている。環状壁面部21の内面はパラボラ形状をなしており、その内周面部に環状のヒータ電極10が設けられている。ヒータ電極10からの輻射エネルギは、レンズ7の表面に周囲全体から集光状態で照射される。この場合、第1実施形態と同様に、ヒータ電極10は、レンズ7を通過して光ファイバ8の一端面に照射される輻射エネルギが光ファイバ8の最大入射角度よりも大きな角度で照射されるように設けられている。従って、ヒータ電極10から照射された輻射エネルギがレンズ7を通過して光ファイバ8に到達した場合であっても、第1実施形態と同様に、光ファイバ8で導かれることはないので、ヒータ電極10からの輻射エネルギによりCMOSカメラ12が損傷してしまうことを防止できる。
【0029】
このような実施形態によれば、ヒータ電極10からの輻射エネルギをレンズ7の表面に周囲全体から照射するようにしたので、レンズ7の表面全体を均一に加熱することによりレンズ7に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを確実に加熱焼却することができる。
【0030】
尚、ヒータ電極10及びレンズ7の形状としては、図12に示すように環状のヒータ電極10を楕円形状としたり、図13に示すようにレンズ7を楕円形状としたり、図14に示すようにヒータ電極10及びレンズ7を楕円形状とし、それらの長軸方向を異ならせたり、図15に示すようにヒータ電極10を多角形状としたりしても良い。
また、図16及び図17に示すように、先端部3の先端面に分割壁面部31を間欠的に設けることによりヒータ電極10を分割して設けるようにしても良い。この場合、ヒータ電極10の間隔は不均一でも良いが、レンズ7の表面上に焦点を結ぶことが必要である。
【0031】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
ヒータ電極10に常時通電するようにしてもよい。
光センサ2の先端部3に反射面部を設け、ヒータ電極からの輻射エネルギを反射面部で反射させることによりレンズ7の表面に集光状態で照射するようにしても良い。
光ファイバに代えて、光導波路、或いは真空、気体、液体等で満たされた透光空間部から構成するようにしてもよい。尚、透光空間部を採用する場合は、レンズ7による結像を透光空間部を介して直線状に位置する撮像手段に撮像することになる。
【0032】
光ファイバを省略し、レンズ7により結像した画像を撮像手段で直接撮像するようにしてもよい。
制御回路17によりヒータ電極10に間欠的に給電するようにしてもよい。これにより、光センサ2の先端部3が過昇温にならぬ程度に、適度に加熱できる。
本発明を、各種燃焼ガス雰囲気の燃焼温度分布を計測する装置に適用するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態における全体構成を示す概略図
【図2】光センサの先端部の断面図
【図3】光センサの先端部の平面図
【図4】ヒータ電極からの輻射エネルギの照射状態を示す図
【図5】制御回路の電気回路図
【図6】画像処理用プロセッサの動作を示すフローチャート
【図7】変形例におけるヒータ電極を示す斜視図(その1)
【図8】変形例におけるヒータ電極を示す斜視図(その2)
【図9】変形例におけるヒータ電極を示す斜視図(その3)
【図10】本発明の第2実施形態を示す図2相当図
【図11】光センサの先端部の斜視図
【図12】変形例における光センサの先端部を模式的に示す平面図(その1)
【図13】変形例における光センサの先端部を模式的に示す平面図(その2)
【図14】変形例における光センサの先端部を模式的に示す平面図(その3)
【図15】変形例における光センサの先端部を模式的に示す平面図(その4)
【図16】変形例における光センサの先端部を示す側面図
【図17】変形例における光センサの先端部を示す平面図
【符号の説明】
【0034】
図面中、1は燃焼室(燃焼ガス雰囲気)、2は光センサ、3は先端部、7はレンズ、8は光ファイバ(導光手段)、10はヒータ電極(加熱手段)、14はイメージセンサ(撮像手段)、16は画像処理用プロセッサ(画像処理手段)、17は制御回路(駆動手段)である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガス雰囲気中における検出対象領域を結像させるためのレンズの表面を自動洗浄する機能を備えた自動洗浄式光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のエンジンにおいて、燃焼室の燃焼過程、或いは排気系のガス温度、或いはフィルタ表面温度などの燃焼ガス雰囲気中の所定の検出対象領域の温度分布を検出するための光センサが提供されている。この種の光センサは、例えば検出対象領域をレンズで光ファイバの一端面に結像させることにより光ファイバの他端面に検出対象領域の画像を形成し、その画像を解析することにより検出対象領域の温度分布を検出するようになっている。
【特許文献1】特表2006−526142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えば検出対象領域を光ファイバの一端面に結像するためのレンズは燃焼ガス雰囲気に晒されていることから、比較的短時間で燃焼ガス中の煤や有機物あるいは無機物の汚れがレンズの表面に付着し、光ファイバの他端に形成される画像の照度が低下する。このため、検出対象領域の温度分布を確実に検出可能とするには、煤や有機物あるいは無機物の汚れを洗浄する必要があるものの、使用者の要望としては、計測作業の手間を減らすべく、レンズの洗浄のためセンサを取り外すことなく、レンズを自動的に清浄化できることにある。
【0004】
このような使用者の要望に対して、特許文献1のものでは、レンズの近傍に加熱装置を設けることにより煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却し、レンズ表面の清浄化を実現している。つまり、加熱装置は電力供給によりジュール発熱し、その熱はセンサ先端部を構成する構造部材を介し熱伝導によりレンズまで達する。レンズの温度が、煤や有機物あるいは無機物の汚れが燃える温度以上に達すると、煤や有機物あるいは無機物の汚れが加熱焼却され、レンズが清浄化される仕組みとなっている。
【0005】
しかしながら、引用文献1の構成では、センサ先端周辺部の温度は、加熱装置による加熱のためにレンズの温度よりも高くなる。このため、センサ周辺部では高い熱応力が発生し、部品の破壊につながりかねない。特に、引用文献1のものは、レンズと周辺部の線膨張係数の違いから、この接合部分での熱応力が極めて大きく、熱応力破壊にいたる虞がある。このような問題を避けるためには、構成部品の放熱設計を確実に行うか、耐久性の高い材料選定が不可避であり、開発コスト、製品コストが高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、開発コスト、製品コストが大幅に上昇することなく、レンズの表面に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを確実に除去することができる自動洗浄式光センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、加熱手段によりレンズの表面が加熱されるので、レンズに付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却することができる。この場合、加熱焼却は、空間を伝播する輻射エネルギにより行われるので、熱伝導を利用して煤や有機物あるいは無機物の汚れを焼却する構成に比較して、構成部品の開発が容易であると共に、部品コストを低減することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、輻射エネルギの大部分はレンズの表面で反射されてしまうので、レンズを通過してしまう輻射エネルギの影響を回避することができる。
請求項3の発明によれば、レンズに煤や有機物あるいは無機物の汚れが付着した場合のみ加熱手段が駆動されるので、煤や有機物あるいは無機物の汚れを効率よく除去することができる。
【0009】
請求項4の発明によれば、撮像手段は燃焼ガス雰囲気から離れて設けることができるので、撮像手段の熱対策を省略することができる。
請求項5の発明によれば、加熱手段からの輻射エネルギの一部がレンズを通じて導光手段の一端面に入射した場合であっても、その入射角度は導光手段の最大入射角度よりも大きいので、輻射エネルギが導光手段により導かれて撮像手段に放射されてしまうことを防止できる。
請求項6の発明によれば、加熱手段をヒータ電極により容易に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図6を参照して説明する。
図1は、全体構成を示す概略図である。エンジンの燃焼室(燃焼ガス雰囲気に相当)1の壁面には光センサ2の先端部3が装着されている。この光センサ2は、燃焼室1の燃焼ガスの温度分布を検出することによりエンジンの燃焼状態を判断するためのものである。先端部3は燃焼室1内を臨んでおり、その先端面には受光部4及び加熱部5が対向して設けられている。
【0011】
図2は光センサ2の先端部3を示す断面図、図3は先端部3を示す平面図である。受光部4は、傾斜面部6に、レンズ7及び光ファイバ(導光手段に相当)8を備えて構成されている。レンズ7と光ファイバ8とは、図示しない光カプラにより光学的に接続されていると共に、ロウ付け、或いは焼結など、セラミック接合と同様な方法により先端部3に接合されている。レンズ7は、燃焼室1内の所定の検出対象領域を結像する。光ファイバ8は、レンズ7により結像した画像が一端面に位置するように設けられている。光ファイバ8は燃焼室1の外部に導出しており、一端面に結像した画像を他端面に画像として形成するようになっている。
【0012】
加熱部5は、2次元的に湾曲形状に形成された湾曲面部9を有して構成されている。この湾曲面部9は、その内周面の鉛直方向がレンズ7を指向するような湾曲形状に形成されている。湾曲面部9の内周面においてレンズ7の表面と鎖交する部位には薄膜状のヒータ電極(加熱手段に相当)10が形成されており、そのヒータ電極10にリード線11が接続されている。ヒータ電極10への通電状態では、ヒータ電極10が発熱して輻射エネルギ(輻射熱)をレンズ7の表面に集光状態で照射する(図4参照)。この場合、ヒータ電極10は、レンズ7を通過して光ファイバ8の一端面に照射される輻射エネルギが光ファイバ8の最大入射角度よりも大きな角度で入射されるように設けられている。
【0013】
ヒータ電極10は、セラミックグロープラグのヒータ部と同一構造に形成されている。つまり、ヒータ電極10の基材は絶縁セラミックであり、その一部に金属粉を混ぜて導電部(電極)が形成されている。絶縁セラミック及び金属粉は粉体であり、ホットプレス法で一体焼結した後に、ヒータ電極10の露出と全体の形状を形成するために切削されている。セラミックの基材としては、窒化シリコン(Si3N4)若しくはアルミナ(Al2O3)など、熱衝撃性に富んだ材料を積極的に選ぶのが望ましい。
【0014】
ヒータ電極10は、輻射エネルギを放射し易いように黒色に塗装されている。尚、ヒータ電極10をスパッタリングで形成するようにしてもよいし、ヒータ電極10を黒色の皮膜で覆うようにしてもよい。
【0015】
図1において、光ファイバ8の他方の端面と対向するようにCMOSカメラ12が配置されている。CMOSカメラ12はレンズ13とイメージセンサ(撮像手段に相当)14とからなり、光ファイバ8の他端面に形成された画像がレンズ13によりイメージセンサ14に結像する。CMOSカメラ12は、イメージセンサ14に結像した画像を示す画像信号を制御装置15に出力する。
【0016】
制御装置15は、画像処理用プロセッサ(画像処理手段に相当)16と制御回路(駆動手段に相当)17とから構成されている。
図5は、制御回路17の構成を示す電気回路図である。画像処理用プロセッサ16は、CMOSカメラ12のイメージセンサ14からの画像信号を処理することにより燃焼室1の所定の検出対象領域における燃焼温度分布を検出する。このように燃焼室1の燃焼温度分布を検出する理由は、近年、低燃費、或いは低排出ガス性能を向上させるためにHCCI(予混合圧縮着火)燃焼方式のように大量のEGR(排気ガス再循環)を使用した燃焼方式の開発が行われており、このような大量のEGRを使用した燃焼方式では、燃焼が不均一となることから、燃焼温度分布を観察してエンジンの制御にリアルタイムに反映させることが今後重要となるからである。つまり、燃焼室1の燃焼が適正に行われる場合には、予め記憶した燃焼温度分布となるものの、制御が不適正な場合は、燃焼温度分布が予め記憶した温度分布から許容範囲から外れることから、このような場合は、燃焼が不適正であると判断するのである。
【0017】
制御回路17は、電源とヒータ電極10との間に介在された無接点スイッチ18からなる。無接点スイッチ18はノーマルオープンタイプであり、画像処理用プロセッサ16によりオンされた状態で電源をヒータ電極10に接続する。
画像処理用プロセッサ16は、CMOSカメラ12からの画像信号に基づいて燃焼室1の燃焼温度分布を検出し、検出した燃焼温度分布が予め設定した温度分布の許容範囲から外れていた場合は、異常を図示しないエンジンECUに通知する。エンジンECUは、画像処理用プロセッサ16からの異常の通知を受け、その異常に応じてエンジンに対する制御を燃焼状態が適正となるように変更する。
【0018】
図6は、画像処理用プロセッサ16の動作のうち本発明に関連した動作を示すフローチャートである。画像処理用プロセッサ16は、CMOSカメラ12からの画像信号における全ての画素毎の光の照度Wnを求め(S1)、それらの照度Wnを加算してから(S2)、その加算値Pが最低照度を上回っているかを判断する(S3)。CMOSカメラ12が受光する燃焼室からの光の照度が十分な場合は、加算値Pは最低照度を上回っているので(S3:YES)、無接点スイッチ18のオフ状態を維持する(S4)。
【0019】
さて、光センサ2の先端部3に設けられたレンズ7は燃焼室1内に位置していることから、燃焼ガス雰囲気に晒されている。このため、燃焼ガス中の煤や有機物あるいは無機物の汚れが比較的短時間でレンズ7の表面に付着するので、CMOSカメラ12の受光量が低下し、燃焼温度分布を正確に検出することができなくなる。
【0020】
画像処理用プロセッサ16は、CMOSカメラ12からの画像信号における画素毎の光の照度の加算値Pが最低照度を下回った場合は(S3:NO)、レンズ7に煤や有機物あるいは無機物の汚れが付着したと判断し、タイマをリセットすると共に(S5)、タイマの計時を開始してから(S6)、無接点スイッチ18をオンする(S7)。これにより、無接点スイッチ18を通じて電源がヒータ電極10に接続されるので、ヒータ電極10が通電によりジュール発熱する。この場合、ヒータ電極10は黒色に塗装されているので、理想的には黒体放射が行われ、ヒータ電極10の発熱量に応じた輻射エネルギ(電磁波、特に赤外線)が放射されて空間を介してレンズ7の表面に達するようになる。レンズ7の表面に付着している煤や有機物あるいは無機物の汚れは黒色であるので、煤や有機物あるいは無機物の汚れが輻射エネルギを吸収することにより温度が上昇し、その温度が発火点まで上昇すると、煤や有機物あるいは無機物の汚れは加熱焼却され、以ってレンズ7の表面は清浄化される。
【0021】
ところで、上述のようにヒータ電極10による輻射エネルギの放射がレンズ7の表面に煤や有機物あるいは無機物の汚れが付着していない状態で行われた場合は、レンズ7の表面温度が上昇することはないものの、輻射エネルギがレンズ7を通過して光ファイバ8に入射した場合には、その先に設けられたCMOSカメラ12に入射してイメージセンサ14が損傷する虞がある。
【0022】
しかしながら、ヒータ電極10からの輻射エネルギは、レンズ7の光軸に対して斜めから照射されるので、輻射エネルギの大部分はレンズ7の表面で反射される。また、輻射エネルギの一部がレンズ7を通過して光ファイバ8の一端面に到達するにしても、その入射角度は光ファイバ8の最大入射角度よりも大きな角度となっているので、輻射エネルギが光ファイバを通じてCMOSカメラ12に到達してしまうことを確実に防止できる。
【0023】
ここで、レンズ7の表面に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却している期間は、測定対象である燃焼室の温度の計測を実行することはない。これは、煤や有機物あるいは無機物の汚れの燃焼発光をCMOSカメラ12が観測してしまうことを防止するためである。
【0024】
画像処理用プロセッサ16は、タイマの計時時間が設定時間を上回った場合は(S8:YES)、無接点スイッチ18をオフする(S4)。この場合の設定時間とは、レンズ7に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却するのに十分な時間で、予め画像処理用プロセッサ16に記憶しておく。
【0025】
画像処理用プロセッサ16は、レンズ7に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れの加熱焼却が終了した場合は、燃焼温度分布の計測を再開するようになる。
以上の動作により、レンズ7の表面に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却することができるので、レンズ7の表面が清浄化され、CMOSカメラ12が撮像した画像に基づいて検出対象領域の燃焼温度分布を確実に計測することができる。
【0026】
このような実施形態によれば、光センサ2の先端部3に加熱部5を設け、燃焼室1内に位置するレンズ7の表面に煤や有機物あるいは無機物の汚れが付着することにより燃焼室1における検出対象領域からの光の照度が低下した場合は、ヒータ電極10から輻射エネルギをレンズ7の表面に集光状態で照射することにより、煤や有機物あるいは無機物の汚れを加熱焼却してレンズ7の表面を清浄化するようにしたので、光センサのレンズを加熱装置からの熱伝導を利用して加熱する構成であるために、部品の放熱設計が困難であったり、耐久性の高い材料選定が不可避であったりする従来例のものと違って、開発コスト、製品コストが大幅に上昇することなく、レンズ7の表面に付着した汚れを確実に除去することができる。
【0027】
しかも、光センサ2の先端部3が小形であっても、ヒータ電極10は、セラミックグロープラグのヒータ部と同一方法で形成されているので、精密に形成することができる。
尚、ヒータ電極10の熱放射面の形状としては、2次元的な湾曲形状に限定されることなく、図7に示すように円筒面、球面、楕円面の一部から構成された3次元的な湾曲形状であったり、図8に示すように複数の小さな平板(或いは曲面)を連続、或いは間欠的に設けることにより2次元的な湾曲形状を近似したり、図9に示すように複数の平面(或いは曲面)で3次元的な湾曲形状を近似したりしても良い。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図10及び図11を参照して説明するに、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第2実施形態は、レンズ7の表面に、輻射エネルギをレンズ7の周囲全体から照射することを特徴とする。
図10は光センサ2の先端部3の断面図、図11は先端部3の斜視図である。先端部3の先端面中央にレンズ7が設けられていると共に、先端部3の先端面には環状壁面部21が形成されており、レンズ7は環状壁面部21に囲繞されている。環状壁面部21の中央には窓部22が形成されており、その窓部22を通じて検出対象領域がレンズ7により光ファイバ8の一端面に結像するようになっている。環状壁面部21の内面はパラボラ形状をなしており、その内周面部に環状のヒータ電極10が設けられている。ヒータ電極10からの輻射エネルギは、レンズ7の表面に周囲全体から集光状態で照射される。この場合、第1実施形態と同様に、ヒータ電極10は、レンズ7を通過して光ファイバ8の一端面に照射される輻射エネルギが光ファイバ8の最大入射角度よりも大きな角度で照射されるように設けられている。従って、ヒータ電極10から照射された輻射エネルギがレンズ7を通過して光ファイバ8に到達した場合であっても、第1実施形態と同様に、光ファイバ8で導かれることはないので、ヒータ電極10からの輻射エネルギによりCMOSカメラ12が損傷してしまうことを防止できる。
【0029】
このような実施形態によれば、ヒータ電極10からの輻射エネルギをレンズ7の表面に周囲全体から照射するようにしたので、レンズ7の表面全体を均一に加熱することによりレンズ7に付着した煤や有機物あるいは無機物の汚れを確実に加熱焼却することができる。
【0030】
尚、ヒータ電極10及びレンズ7の形状としては、図12に示すように環状のヒータ電極10を楕円形状としたり、図13に示すようにレンズ7を楕円形状としたり、図14に示すようにヒータ電極10及びレンズ7を楕円形状とし、それらの長軸方向を異ならせたり、図15に示すようにヒータ電極10を多角形状としたりしても良い。
また、図16及び図17に示すように、先端部3の先端面に分割壁面部31を間欠的に設けることによりヒータ電極10を分割して設けるようにしても良い。この場合、ヒータ電極10の間隔は不均一でも良いが、レンズ7の表面上に焦点を結ぶことが必要である。
【0031】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
ヒータ電極10に常時通電するようにしてもよい。
光センサ2の先端部3に反射面部を設け、ヒータ電極からの輻射エネルギを反射面部で反射させることによりレンズ7の表面に集光状態で照射するようにしても良い。
光ファイバに代えて、光導波路、或いは真空、気体、液体等で満たされた透光空間部から構成するようにしてもよい。尚、透光空間部を採用する場合は、レンズ7による結像を透光空間部を介して直線状に位置する撮像手段に撮像することになる。
【0032】
光ファイバを省略し、レンズ7により結像した画像を撮像手段で直接撮像するようにしてもよい。
制御回路17によりヒータ電極10に間欠的に給電するようにしてもよい。これにより、光センサ2の先端部3が過昇温にならぬ程度に、適度に加熱できる。
本発明を、各種燃焼ガス雰囲気の燃焼温度分布を計測する装置に適用するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態における全体構成を示す概略図
【図2】光センサの先端部の断面図
【図3】光センサの先端部の平面図
【図4】ヒータ電極からの輻射エネルギの照射状態を示す図
【図5】制御回路の電気回路図
【図6】画像処理用プロセッサの動作を示すフローチャート
【図7】変形例におけるヒータ電極を示す斜視図(その1)
【図8】変形例におけるヒータ電極を示す斜視図(その2)
【図9】変形例におけるヒータ電極を示す斜視図(その3)
【図10】本発明の第2実施形態を示す図2相当図
【図11】光センサの先端部の斜視図
【図12】変形例における光センサの先端部を模式的に示す平面図(その1)
【図13】変形例における光センサの先端部を模式的に示す平面図(その2)
【図14】変形例における光センサの先端部を模式的に示す平面図(その3)
【図15】変形例における光センサの先端部を模式的に示す平面図(その4)
【図16】変形例における光センサの先端部を示す側面図
【図17】変形例における光センサの先端部を示す平面図
【符号の説明】
【0034】
図面中、1は燃焼室(燃焼ガス雰囲気)、2は光センサ、3は先端部、7はレンズ、8は光ファイバ(導光手段)、10はヒータ電極(加熱手段)、14はイメージセンサ(撮像手段)、16は画像処理用プロセッサ(画像処理手段)、17は制御回路(駆動手段)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガス雰囲気を臨むように設けられた先端部と、
前記先端部に設けられ、燃焼ガス雰囲気中の所定の検出対象領域を結像するレンズと、
前記レンズにより結像した画像を画像信号に変換する撮像手段と、
前記撮像手段からの画像信号を解析することにより前記検出対象領域の温度分布を検出する画像処理手段と、
前記レンズの表面に輻射エネルギを集光状態で照射する加熱手段と、
前記加熱手段を駆動する駆動手段と、
を備えたことを特徴とする自動洗浄式光センサ
【請求項2】
前記加熱手段は、前記レンズの表面に斜め方向から輻射エネルギを照射するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記撮像手段が撮像した画像の全体照度が閾値以下となった場合に前記加熱手段を駆動することを特徴とする請求項1または2記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項4】
前記レンズによる画像が一端面に結像するように設けられ、当該画像を前記燃焼ガス雰囲気の外部に導出された他端面に形成する導光手段を備え、
前記撮像手段は、前記導光手段の他端面に形成された画像を撮像するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項5】
前記加熱手段は、前記レンズを通過して前記導光手段に照射される輻射エネルギが前記導光手段の最大入射角度よりも大きな入射角度となるように設けられていることを特徴とする請求項4記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項6】
前記加熱手段は、熱放射面から射熱エネルギを放射するヒータ電極であり、
前記レンズは、前記ヒータ電極の熱放射面の焦点、或いは中心に配置されていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項7】
前記ヒータ電極の熱放射面は、円筒面、球面、楕円面の一部から構成されていることを特徴とする請求項6記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項8】
前記ヒータ電極の熱放射面は、複数の小さな平面、或いは曲面を連続的に設けて構成されていることを特徴とする請求項6記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項9】
前記ヒータ電極の熱放射面は、複数の小さな平面、或いは曲面を間欠的に設けて構成されていることを特徴とする請求項6記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項10】
前記駆動手段は、前記加熱手段を駆動する場合は、間欠的に駆動することを特徴とする請求項1ないし9の何れかに記載の自動洗浄式光センサ
【請求項11】
前記導光手段は、光ファイバ、光導波路、或いは真空、気体、液体等で満たされた透光空間部から構成されていることを特徴とする請求項4ないし10の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項1】
燃焼ガス雰囲気を臨むように設けられた先端部と、
前記先端部に設けられ、燃焼ガス雰囲気中の所定の検出対象領域を結像するレンズと、
前記レンズにより結像した画像を画像信号に変換する撮像手段と、
前記撮像手段からの画像信号を解析することにより前記検出対象領域の温度分布を検出する画像処理手段と、
前記レンズの表面に輻射エネルギを集光状態で照射する加熱手段と、
前記加熱手段を駆動する駆動手段と、
を備えたことを特徴とする自動洗浄式光センサ
【請求項2】
前記加熱手段は、前記レンズの表面に斜め方向から輻射エネルギを照射するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記撮像手段が撮像した画像の全体照度が閾値以下となった場合に前記加熱手段を駆動することを特徴とする請求項1または2記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項4】
前記レンズによる画像が一端面に結像するように設けられ、当該画像を前記燃焼ガス雰囲気の外部に導出された他端面に形成する導光手段を備え、
前記撮像手段は、前記導光手段の他端面に形成された画像を撮像するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項5】
前記加熱手段は、前記レンズを通過して前記導光手段に照射される輻射エネルギが前記導光手段の最大入射角度よりも大きな入射角度となるように設けられていることを特徴とする請求項4記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項6】
前記加熱手段は、熱放射面から射熱エネルギを放射するヒータ電極であり、
前記レンズは、前記ヒータ電極の熱放射面の焦点、或いは中心に配置されていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項7】
前記ヒータ電極の熱放射面は、円筒面、球面、楕円面の一部から構成されていることを特徴とする請求項6記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項8】
前記ヒータ電極の熱放射面は、複数の小さな平面、或いは曲面を連続的に設けて構成されていることを特徴とする請求項6記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項9】
前記ヒータ電極の熱放射面は、複数の小さな平面、或いは曲面を間欠的に設けて構成されていることを特徴とする請求項6記載の自動洗浄式光センサ。
【請求項10】
前記駆動手段は、前記加熱手段を駆動する場合は、間欠的に駆動することを特徴とする請求項1ないし9の何れかに記載の自動洗浄式光センサ
【請求項11】
前記導光手段は、光ファイバ、光導波路、或いは真空、気体、液体等で満たされた透光空間部から構成されていることを特徴とする請求項4ないし10の何れかに記載の自動洗浄式光センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−8076(P2010−8076A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164403(P2008−164403)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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