説明

自動現況把握を有する音声警告ユニット

動的に変化するモバイル・ネットワークにおいて動的ノードに対してどう操縦すべきかを指示するシステム(20)とその方法。受信機(22と23)は空域における動的ノードの現況を示す現況データを受信し、受信機に接続された現況ユニット(24)は各動的ノードのそれぞれの現況を決定する。現況ユニットに接続された解析ユニット(28)は、各動的ノードのぞれぞれの現況を、規定されている基準と組み合わせて分析し、各動的ノードに対してぞれぞれの現況把握データを生成する。解析ユニットに接続された動的選択ユニット(30)は、ぞれぞれの現況把握データから、各ノードによって実行されるべき適切なアクションを決定し、動的選択ユニットに接続された通信ユニット(32)は、個人化コマンドの表現が可能なコマンドデータを前記各動的ノードに伝達し、これによって実行されるべき適切なアクションをぞれぞれの動的ノードに知らせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コマンド制御通信インテリジェンスシステム(Command Control Communication and Intelligence systems)、一般にC4Iと略記されるシステムに関
する。
【背景技術】
【0002】
コマンド制御通信インテリジェンスシステムは、民事、軍事又は準軍事にかかわらず、空港の離発着システム、空母、空中警戒管制システム(AWACS)などのように、システムオペレータの高度の集中とすみやかな応答を必要とする。例えば、航空交通システムでは、パイロットには空域のすべての全体画像は見えないが、航空交通管制官には見えている。従ってパイロットは、自分を管理している航空交通管制官に依存し、管制官が一般的にはレーダで得られる完全な航空画像を検視し、直接担当下のパイロットに対し指示をする。C4Iシステムは、空域中あるいは
海上の航空機をコントロールするために一般に使用されるが、本発明は任意のC4Iシステムに適用可能である。そこでは有限の数の被管制機が一人の管制官によっ
て指揮され、各機は該管制官に依存して現況に対するコマンドを実行するが、該現況は管制官には明白に見えるがパイロットには必ずしも見えない。
【0003】
そのようなシステムでは、コマンドは、従来的には無線通信を介して音声で与えられる。再び、航空交通システムを例にとると、システム管制官は、被管制機が飛んでいて絶えず変化する周囲環境を定義付ける全体像を得ている。彼の指揮下の各パイロットのために、システム管制官は視覚的に現行画面を分析し、潜在的な危険現況を識別するとすぐに、危害を受けないよう操縦するために各パイロットがとらなければならない回避行動を決めて伝達する。システム管制官は、彼の管理下の他のすべてのパイロットに対してもその手順を繰り返さなければならない。そしてまた、この全体のプロセスは、影像データのそれぞれの逐次画面ごとに繰り返されなければならない。
【0004】
このように明白なように、航空交通システムにおいては、管制官は次の3つの本質的な任務を実行しなければならない。第1に、個々の現状の映像画面を分析し、潜在的な危険現況を識別しなければならない。第2に、パイロットがどのような回避行動をとらなければならないか判断しなければならない。第3に、管制官はパイロットに適切なコマンドを伝達しなければならない。これらはすべて、影像データの個々画面について、指揮下の各パイロットに対して行われなければならない。これは明らかに、管制官にとって非常にストレスの多い任務である。そして、周囲状況がより速く変化し、より多くの前兆脅威やその他の危険が、パイロットに向けられれば向けられるほど、それは益々そうである。このように、周囲状況の性質、その予想される変化の速度、そして多くの被管制機にそれぞれ異なる情報を音声でしっかりと同時に伝えなければならないなどのため、一人の管制官が安全に責任を負うことができる被管制機の数に上限が生ずる。
【0005】
1984年1月24日に交付された、「航法援助オートパイロット」(Navigational aid autopilot)という名称の米国特許第 4,428,052号(Robinsonら)は、オペレータに対して単一の通信信号を形成するためにセンサおよび計器からの情報を関連付ける制御器を持つ海上航行オートパイロット装置を開示している。その1つの実施例では、制御器は受信者が話せる可能性の高い主たる言語に従って合成された言語で「無線救難」信号を音声で伝達するのに適応している。これをするのに必要とされる音声合成は、この特許が出願された当時に明らかに予期されたように、限定的であるだけでなくて、受信者に対する負担を緩和するために使用され、複数の受信者に異なる警告信号を伝えなければならない中央の管制官に対する負担を緩和するまでには至っていない。
【0006】
1993年6月10日に公表された「車両移動を制御する方法および装置」(Method and apparatus for controlling vehicle movements)という名称の国際公開番号WO93/11443(Leonard)は、タクシー全車両対象の車輌配車制御装置について記述しており、該装置は、車載コンピュータから位置データを供給し、基地に送信し、基地コンピュータで適切な車両を選択し、選ばれた車両にコマンドを送信するものである。該車載コンピュータは言葉での情報を提供するための音声合成装置を装備していてもよい。車輌配車制御装置は、タクシーを選択して特定の道程を指示する場合に、配車指揮者が非常に迅速な決定を下すよう支援する。ただ、通常、配車指揮者はすべての決定要因を知っているわけではなくまた関連要因をすべて考慮するためには時間が足りないということ念頭に置いておく必要がある。このことは、配車指揮者が各運転手との、また見込みの乗客との言語通信に多くの時間を費やさなければならないという事実によって悪化する。
【0007】
各車両の位置を定義づける車両現況把握が車両に供給され、処理され、基地の配車指揮者のもとに伝達され、該配車指揮者は該情報を、要求元の乗客の場所に関連する情報と組み合わせて、乗客を拾うため最良の位置にいる車両を決めるために使用する。該現況データは、乗車状況、天候状況、燃料レベルなどのような他の要因を含んでもよい。次に、基地は選択された車両にコマンド信号を伝え、該車輌は、運転手への指示を印刷するためそのプリンターを制御することができるし、あるいは、該コマンド信号は音声指示を合成するため音声合成装置に伝えられてもよい。
【0008】
そのようなシステムでは、現況把握は、各車両ごとの適応性に関し、また、見込み客の場所に基づいて車輌を選択する車両配車指揮者に伝えられる。このシステムは配車指揮者に、より包括的な情報を提供し、最も適切な利用可能な車両を選択することをより容易にする。しかし、これは、配車指揮者により多くの車両と通信する能力を提供するものではない。また、このようなシステムは、外部からの前兆脅威を関係車両が回避するのを支援するためのものでもない。
【0009】
1996年9月17日に公表された米国特許第 5,557,278 号(Piccirillo他)は、所定空域における複数のオブジェクトの位置を監視するため空港統合危険応答装置(AIHR: Airport Integrated Hazard Response apparatus)を開示している。追跡監視装置はセンサから標的データを受信し、選択されたオブジェクトを特徴づけて追跡し、そして、選択されたオブジェクトのそれぞれについて複合的形状を有する標的出力を提供する。位置監視装置は、該空域の複合的形状物を特徴づけて表示し、前述の複合的形状物を含む位置出力を提供する。危険監視装置は、所定の危険状況を検出して応答し、該標的出力および該位置出力に対応してそのような危険状況について感知可能な予告を出す。可聴式警告信号が合成されてもよい。
【0010】
このような装置は、前兆脅威の恐れのある地表面上のオブジェクト移動を分析することができて、そして、不十分な車両間隔、空港領域およびそれに対応した空域内の不適当または無許可の移動または停止、および滑走路残置物など、監視されなければならない前兆脅威を構成するすべてのものに関して管制官に自動的に警告を出すことが可能である。AIHRは、最終進入態勢に入った航空機、および離陸または着陸しようとしている航空機、また、航空機を含みタキシング中あるいは停止中の物体を含む事前設定された数の標的を追跡することができる。
【0011】
2002年3月27日に公表されたEP1,190,408(Simonら)は、自動航空交通助言システム(automated air-traffic advisory system)を開示している。そこでは、助言メッセージが合成されてパイロットに向けて放送されるので、管制官はそれを実行する必要がない。助言メッセージは、放送されるため航空機個別でなく放送圏内のすべての航空機に伝えられるようである。さらに、助言メッセージは、視界不良などの前兆脅威の警告をパイロットに出す。しかし通常は管制官によって個々の航空機対応で伝えられると思われる回避行動については提示してはいない。
【0012】
これらの背景技術の引用例のどれも、管制官が、動的に変化するモバイル・ネットワークの中の多くの被管制機にサービスを提供することができ、また、目的任務を実行するための操縦の仕方、あるいは前兆脅威が予見される進路の外へと操縦する回避行動を、被管制機に指示することができるような、管制官の負荷を軽減する方法およびシステムは開示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、管制官の負荷を軽減する方法およびシステムを提供することであって、管制官が、動的に変化するモバイル・ネットワークの中の多くの動的ノードのためにサービスを提供し、且つ目的任務を実行するための操縦方法あるいは予見される前兆脅威の進路の外へと操縦する回避行動について動的ノードに指示をすることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、本発明の第1の局面として、動的に変化するモバイル・ネットワークの中で、目的任務を実行するための操縦の仕方について、または予見される前兆脅威の進路の外へと操縦する回避行動について、動的ノードに指示するための方法によって実現され、この方法は、
空域の中の各動的ノードの現況を示す現況データを受信すること、
現況データから各動的ノードのそれぞれの現況を決定すること、
各動的ノードに対する現況把握データを生成するために各動的ノードのそれぞれの現況を規定された基準と組み合わせて分析すること、
現況把握データから各ノードによって実行されるべき適切なアクションを決定すること、
個人化コマンドの表現が可能なコマンドデータを各動的ノードに伝達し、これによって実行されるべき適切なアクションを各動的ノードに知らせることとを含む。
【0015】
本発明の第2の局面によれば、動的に変化するモバイル・ネットワークの中で、目的任務を実行するための操縦の仕方について、または予見される前兆脅威の進路の外へと操縦する回避行動について、動的ノードに指示するためのシステムであって、
空域の中の各動的ノードの現況を示す現況データを受信するための受信機と、
現況データから各動的ノードの現況を決定するための、受信機に接続された現況ユニットと、
各動的ノードに対する現況把握データを生成するために各動的ノードのそれぞれの現況を規定された基準と組み合わせて分析するための、現況ユニットに接続された分析ユニットと、
各ノードによって実行されるための適切な行動を各現況把握データから決定する、分析ユニットに接続された動的選択ユニットと、
個人化コマンドの表現が可能なコマンドデータを各動的ノードに伝達し、これによって実行されるべき適切なアクションを各動的ノードに知らせる、動的選択ユニットに接続された通信ユニットとを含むシステムが提供される。
【0016】
本発明を理解し、かつそれがどのように実際上実行し得るかを見るために、音声警告ユニットの好ましい実施形態を非限定の実施例によって、航空機コマンド制御通信インテリジェンスシステムを用いて、添付図面を参照しながら以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、受信機11を含む音声警告ユニット10の機能性を説明しており、受信機は、ノードが動き回る空域中のそれぞれのノードの瞬間位置を描くデータを受信するためのものである。ノードは静的であってもよいし、あるいは動的であってもよい。例えば、静的なノードは、その境界の座標がわかっており、それへ動的ノードが入ることが許されない建造物あるいは区域であってもよい。いくつかの条件がノードと対応づけられて、条件付き現況を決めることができる。例えば、動的ノードは、「フレンドリ」のフラグをつけることができる。この場合には、「フレンドリ」フラグが立てられていない動的ノードに対して「閉鎖」されている所定区域に、入ることができる。そのように、複雑な現況が構成され分析されるが、そこではすべての動的ノードからの情報が受信され計算されて、ノードの現況が構成される。このようにして得られた現況は、保存されている条件と他の基準に基づいて分析され、特別なアクションが必要かどうかを効果的に明示する現況把握画像を決定する。
【0018】
代表的なシナリオでは、該受信機11は、レーダユニットの一部であって、レーダユニットは絶えず被管制機を追跡し、レーダスクリーン上にそれらの位置を表示するものである。該受信機に接続された分析ユニット12は、受信データを分析し、現行運用の中で何らかの変化が求められているかどうかノード毎に決定する。例えば、該分析ユニット12は、衝突の可能性などのような何か予見された前兆脅威があるかどうかノード毎に決定することができるし、また、個々のそのような前兆脅威については、脅かされているノードによって実行されるべき適切な回避行動を決定することができる。しかしながら、本発明は、差し迫った前兆脅威を警告することは明らかに重要な応用ではあるけれども、これだけに限定されない。他の応用では、迎撃任務を帯びた戦闘パイロットは、標的が動いている場合でも、その標的に向かうようシステムによって自動的に指揮されてもよい。民間のパイロットは着陸または離陸の時に同様に指揮されてもよい。分析ユニット12に接続された音声合成ユニット13は、英数字データを言葉によるコマンドに翻訳し、それを表すデータを通信ユニット14を介して航行中のパイロットに送信し、それによって、必要な回避的等のアクションを示すコマンドデータをパイロットに伝える。
【0019】
図2は、図1に示す音声警告ユニット10を使用する航空機コマンド制御通信インテリジェンスシステム20をより詳しく説明する。ここでは、同様の構成部品は同一の参照数字によって引用される。システム20は、空域(監視される環境を構成する)において、被管制機21(動的ノードを構成する)および他のオブジェクト(静的なノードおよび動的ノードの両方を含む)からのデータを受信する複数のセンサを含む。センサは、レーダ、光学的手段などのようなローカルセンサ22およびリモートセンサ23を含む。リモートセンサは、適切なモデムを介して該システムに接続されるアナログセンサを含むことができる。しかし、本発明に関する限り、ローカルセンサおよびリモートセンサの区別は重要ではない。動的ノードが動き回る空域の中で各ノードの瞬間位置を示す受信データは、デコードされ、ワークステーション・コンピュータ24に転送され、そこで融合および統合され、これにより瞬間現況把握を提供する統合シーンが作り出される。移動および静止物体の合成画像を提供すべく多くのセンサからの信号を融合させる概念は、それ自身よく知られていることである。例えば前述の米国特許第5,557,278号で述べられた空港統合危険応答装置は、異なるセンサからのデータを集めて融合させる。そのようなセンサは例えば、全天候および可視性条件下の空港における移動および駐機区域の地上表面あるいはその近くに位置した移動または固定の航空機と地上車両についての高分解能の、短距離でクラッタのない捜索情報を提供するのに適合した、空港面探知装置(ASDE)システムを含むことが可能である。ASDEシステムは、要求カバレジ区域に対する面探知レーダ入力情報を、形式を整え、空港管制塔管制席の高解像度で明るい表示器上で、ローカルおよび地上管制官へ提供する。同様に、自動レーダー・ターミナル・システム(ARTS)は大空域内の多くの航空機の検知と追跡用に使用することができる。他のセンサは二次監視レーダ(SSR)、グローバルポジショニング・システム(GPS)を含んでいてもよい。そのような異なるセンサ信号を融合する方法はそれ自体本発明の特徴ではない。また、米国特許第5,557,278号が言及され、その内容は、参照によってここに援用され、またこれがどのように実施されるかの実施例を提供している。
【0020】
本発明の文脈内では、言葉「現況」は単一のノードに関する複合画像を示すために使用され、また、言葉「現況把握」は規定された基準に基づいて他の幾つかのノードに対する一つのノードの動的現況を示すために使用される。そのような動的現況を導き出すために、本システムは、回避すべき現況あるいは特別なアクションが必要な現況をそれぞれ定義する保存された基準のデータベースにアクセスする。それらの基準とは次であってもよい。
【0021】
このノードは別のノードとの衝突コース上にあるか?
このノードは閉鎖区域との衝突コース上にあるか?
該データベースはまた、本システムの中で、静的ノードと動的ノードのすべてのノードに関するデータをも保存する。これらのデータは、ユニークIDおよび、これらのノード用に計算された各現況を有効にする条件、あるいは他のパラメータを含む。例えば、ノードは、第1の規定された境界座標によって定義された空域に入ることを許可されてもよいし、一方、これは、第2の規定された境界座標によって定義された空域に入ることを禁じられてもよい。データベースは様々なコンピュータ中に分散されてもよい。従って、異なるノードに関するデータを一つの保存場所に保存する必要はない。また、確かに、単一のノードに関するデータでさえ、異なるコンピュータに分散されてもよい。
【0022】
すべてのノードの現況および条件は、データベースの中のすべての基準に関して、ノード毎に該基準のうちのどれかに合うかどうか、またどのケースで特別アクションをとらねばならないかを確認するため分析される。同様に、きまった特定現況のために考慮する必要のある特別目的のタスクは、進行中に決めてもよい。例えば、迎撃機と敵標的の間の迎撃は、標的特性、動的か静的かなど、レーダの種類を考慮に入れなければならない。該データベースは、また、敵標的から優先するデータが送信されない場合に使われる既定のデータを含む。
【0023】
いったん航空機オブジェクトに対応する迎撃のような任務が与えられると、本システムは、標的の機首方位、速度などの急変化などの、任務データおよび関連オブジェクトデータ中の変化を監視し続ける。そして、任務をおびたオブジェクト(ノード)を最新に更新しておくことを可能にする。現況画像を常時監視し、およびオブジェクトの挙動に関するあらかじめ決められた一式のルールを使用すれば、飛行ルートあるいは飛行計画からの乖離、および衝突危険、侵入警告、突然起きる前兆脅威などを検知する能力が与えられ、これに応じて関連ノードの関連警告/メッセージを生成することによって自動的に反撃する能力も与えられる。
【0024】
融合されたデータは分類されてディスプレイモジュール26に転送され、そこに瞬間現況把握が表示される。そのような分類を実施すれば、優先順位、センサ信頼度などのような前もって定義した基準に従い、いくつかの信号あるいはセンサを優先するように、データを体系づけることが可能になる。しかし、これが遂行される方法は本発明の実施にとって必須ではない。現況把握は航空現況画像(ASP)として当該分野に公知の航空現況の表示であり、通常、絶えず再計算され更新されるスクリーン画像として管制官に提供される。
【0025】
現況把握データは、現況把握オブジェクトデータ分析ユニット28に伝えられ、監視環境中のすべてのオブジェクトの間の関係の分析が行われ、それらの重要性を評価し、前兆脅威があるかどうかを判断する。前兆脅威があるかどうかを判断する方法はそれ自体本発明の特徴ではないが、オブジェクトの運動学と地理学的位置が本システムに認識され、オブジェクト管理データの一部となるため、相対方位、距離、高さ、速度、加速度などのようなデータが、容易に計算されるということはある。これにより、本システムは、標的に向かう迎撃任務任命機への方向/距離などの正確な指示、あるいは要求着陸場に着陸させる指示を作り出すことが可能になる。
【0026】
分析されたデータは、スプリッタユニット29に供給され、そこで各ノードに属する現況把握および前兆脅威評価データを個々に編集するよう様々な予め定義されたノードに従って、データはふるい分けされ分類される。これらのデータは動的選択ユニット30に伝えられ、そこで、様々なノード21に対する処理データの分配が制御され、英数字の形式でのコマンドデータが生成され、各航空機に伝えられ、それがパイロット用スクリーン上に表示される。音声合成ユニット13(図1に示される)は、動的選択ユニット30に接続され、英数字のコマンドデータを音声形式に変換する。あるいは、英数字のコマンドデータは航空機に伝えられ、航空機に搭載された音声合成ユニットによって音声コマンドに変換されてもよい。
【0027】
音声合成ユニットが音声警告ユニットの一部として提供される場合は、システム管制官は、送信機32によって様々なノードにどの形式で関連データを送信するべきか選択することができる。このように、システム管制官は、マイクロホン(図示せず)を介して音声でコマンドをデータユニット34へ発することもできる。そこでは次いでディジタル音声信号が生成され、それは次いで送信機32によって送信される。これはC4Iシステムにおいて、通常コマンドが伝えられる方法であるが
、それは信頼性が低く、また時間がかかる。したがって、動的選択ユニット30は、コマンドデータのルートとして音声合成ユニット13に行くよう設定し、該ユニットで合成音声を生成し、それをディジタル形式で直接送信機32によって送信するようにすることができる。いずれの場合も、コマンドデータは、「ディジタル化された音声」あるいは「音声合成された形式」のいずれかの形で、後で再生するために記録ユニット36によって記録することができる。
【0028】
図3は、現況把握オブジェクトデータ分析ユニット28の機能性をより詳細に説明するブロック図である。現況把握および任務分析ユニット28aは、現況画像の一部であるすべてのオブジェクトを追跡し続けて管理し、そしてすべての前兆脅威および(または)それに対応づけられた、人間管制官により定義されているような任務関係を分析する。上で述べたように、これらは迎撃、着陸、衝突回避などを含むことができる。診断エンジン28bは、該分析されたデータを迎撃、着陸、警告指示などを含んだ論理データセンテンスの指定シーケンスに変換して、様々な被管制機に送信する。言語語彙ユニット28cは、論理データセンテンスをあらかじめ決められた任意の言語テキストの人間の言語センテンスに変換し、後に合成され、市販の特別注文なく入手可能なテキスト音声変換エンジンを介して被管制機に送信される。通常は、該メッセージは、テンプレートとして機能するコマンドプリミティブで作られ、いくつかのコマンドプリミティブに補助データを連結することにより状況に合わせて作成し得る。該補助データは例えば標的ノードによって辿られる飛しょう経路、あるいは、迎撃されるべき又は回避されるべきノードのID、位置、飛しょう経路などである。このように、メッセージはあらかじめ保存されたプリミティブに基づいているが、それは現行の動的に変化するデータに従い実時間で実際に構成されるものである。さらに、メッセージは、人間管制官が各受信者に音声メッセージを個々に伝える手動システムと類似したやり方で各受信ノード向けに個人化される。
【0029】
なお、コマンドは、現況把握オブジェクトデータ分析ユニット28によって作成されるが、音声警告ユニットによって音声合成する必要はない。したがって、別の方法は、データを各ノードに伝え、音声合成は各受信ノードによってローカルに実行されるようにする。同様に、各受信ノードに生のコマンドプリミティブと補助データを伝え、そこでコマンドを構成し音声合成するようにすることが技術的に実現可能である。
【0030】
センサは音声警告ユニットの一部ではなくてレーダ、SSRおよびGPSセンサの如く航空交通システムでは標準として提供されるような外部センサであるということもまた理解されよう。このように、音声警告ユニットはセンサをつなぐ入力を有していることで十分である。
【0031】
また、次のことは理解されよう;本発明が特に人間管制官の負荷を軽減する管制官システムに関して記述されてきて、極端な場合として、欧州特許番号1,190,408号に提案されているように人間管制官の必要性さえも除いてもよいとする一方、実際、本発明は遥かにより広汎な応用を見出すものである。このように、それは、背景技術の項で引用された特許で述べられたシナリオのどれにおいても使用できる。それら引用特許の内容はすべて参照によってここに援用される。簡単な例として、同じ原理はタクシー配車システムに適用可能である。例えば、進んだタクシー配車システムは、見込み乗客を追跡し続け、乗客を迎えに行くために最も近い利用可能なタクシーを配車することができる。しかしながら、公知のシステムと異なり、乗客の移動も追跡できる。例えば乗客の所持しているGPSユニット、あるいは空域の中のその位置を合理的な精度により決めることが可能な移動電話を介して追跡可能である。これは、選択されたタクシーの運転手に乗客を拾い上げるための位置を管制者が正確に通知することを可能にする。しかし、さらに、おそらく運転手にとってより都合がよいであろうと思って、迎えに行く前に、乗客が場所を変えてしまっても、乗客の最新の位置は管制者に絶えず伝えられ、次に、運転手に音声で中継される。運転手は、これによって目標の乗客に遭遇するという目的任務を実行するために、どのように運転するかについての更新された情報を絶えず与えられる。これは、更新処理が自動的に処理され伝えられるので、人間の配車管制者の負荷を減じるような方法で行われる。
【0032】
他の多くの応用は、当業者には明白であろう。C4Iシステムは、音声合成ユニット13を音声警告ユニット10内に統合していると、次の長所を有することができる。
【0033】
高信頼:ヒューマンエラーが、ディジタルデータの読取り時及び音声に変換時に、回避される。
【0034】
同時操作:音声警告ユニット10は、複数の航空機あるいは他のノードにコマンドデータを実質的に同時に生成し送信することが可能である。人間管制官がコマンドデータを口頭で出す場合、これは不可能である。
【0035】
データ更新の頻度は変えることができる。
【0036】
コマンドデータは任意の言語で生成し伝えることができる。
【0037】
コマンドデータは、男性/女性、高い/低いピッチ、遅い/速い音声などのような異なる音声を使用して、随意に送信することができる。
【0038】
前兆脅威分析、適切な回避行動の決定およびコマンド音声化はすべて自動であるので、システム管制官は開放されて他の件に従事できる。
【0039】
システム管制官の精神的ストレスはこれによって低減される。
【0040】
音声警告ユニット10は、あらゆるタイプのC4Iシステムにおいて使用できる
ことが理解されよう。これらは、軍事的、準軍事的、民事的な空港での離陸および着陸システムなど、航空母艦、空中警戒管制システム(AWACS)、海事用、及び陸域ベースのC4Iシステム、などの管制官に高い集中と高速な応答を要求する
システムである。
【0041】
典型的な実施例では、個人化されたメッセージは音声化されるが、本発明の原理は、また、個人化されたメッセージを他の形、例えば、視覚的に、又はおそらく音声と視覚的の両面で表現することに適用することができる。
【0042】
本発明によるシステムは適切にプログラムされたコンピュータであってもよいことは同様に理解されよう。同様に、本発明は、本方法を実行するための、コンピュータにより読取り可能なコンピューター・プログラムを意図している。本発明は、本方法を実行するための、機械により実行可能な命令のプログラムを明確に具体化する機械可読メモリをさらに意図している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態による音声警告ユニットの機能性を説明するブロック図である。
【図2】図2は、図1説明された音声警告ユニットを使用する航空機コマンド制御通信インテリジェンスシステムの機能性を、より詳細に説明するブロック図である。
【図3】図3は、図2で説明されたシステムにおいて使用される現況把握オブジェクトデータ分析ユニットの機能を、より詳細に説明するブロック図である。
【図4】図4は、図1および図2で説明されたシステムによって実行される主要な動作を説明するフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的に変化するモバイル・ネットワークにおいて、目的任務を実行するための操縦の仕方について、または予見される前兆脅威の進路の外へと操縦する回避行動について、動的ノードに指示するための方法であって、
空域の中の各動的ノードのそれぞれの現況を示す現況データを受信し;
前記現況データから各動的ノードのそれぞれの現況を決定し;
各動的ノードに対するそれぞれの現況把握データを生成するために各動的ノードのそれぞれの現況を規定された基準と組み合わせて分析し;
それぞれの前記現況把握データから各ノードによって実行されるべき適切なアクションを決定し;
個人化コマンドの表現が可能なコマンドデータを前記各動的ノードに伝達し、これによって実行されるべき適切なアクションを前記各動的ノードに知らせることを含む方法。
【請求項2】
前記現況データは、前記ネットワーク内の静的ノードをさらに表す請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記個人化コマンドは、各ノードにおいて音声により提供される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記現況把握データを、適切な指示を含んでいる論理データセンテンスの指定シーケンスに変換し、
前記論理データセンテンスのシーケンスを人間の言語センテンスに変換し、それをテキスト音声変換エンジンにより音声合成することを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記論理データセンテンスのシーケンスの人間の言語センテンスへの変換は、コマンドプリミティブを補助データと連結することを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記人間の言語センテンスを前記各ノードに送信する前に音声合成することを含む請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記人間の言語センテンスを前記各ノードによって音声化するためテキスト形式で前記各ノードに送信することを含む請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
特有の言語が前記ノードの少なくとも1つと対応づけられ、前記論理データセンテンスのシーケンスが前記特有の言語での人間の言語センテンスに変換される請求項5から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記コマンドデータは、前記構成された個人化コマンドを表わし、前記個人化コマンドを構成するために前記コマンドデータを使用することがさらに含まれる請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記現況把握データは、前記各ノードに対する予見される前兆脅威を示し、前記コマンドデータは、前記各ノードによって実行されるべき回避行動に関する請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記現況把握データを適切な指示を含む論理データセンテンスの指定シーケンスに変換し、
前記論理データセンテンスのシーケンスを人間の言語センテンスに変換することを含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
前記論理データセンテンスのシーケンスの人間の言語センテンスへの変換は、コマンドプリミティブを補助データと連結することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記人間の言語センテンスをテキスト形式で送信し、前記各ノードにより表示することを含む請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
動的に変化するモバイル・ネットワークにおいて、目的任務を実行するための操縦の仕方について、または予見される前兆脅威の進路外へと操縦する回避行動について、動的ノードに指示するシステム(20)であって、
空域の中の各動的ノードのそれぞれの現況を示す現況データを受信するための受信機(22,23)と、
前記現況データから各動的ノードのそれぞれの現況を決定するための、前記受信機に接続された現況ユニット(24)と、
各動的ノードに対するそれぞれの現況把握データを生成するために各動的ノードのそれぞれの現況を規定された基準と組み合わせて分析するための、前記現況ユニットに接続された分析ユニット(28)と、
前記それぞれの現況把握データから各ノードによって実行されるべき適切なアクションを決定するための、前記分析ユニットに接続された動的選択ユニット(30)と、
個人化コマンドの表現が可能なコマンドデータを前記各動的ノードに伝達し、これによって実行されるべき適切なアクションを前記各動的ノードに知らせる、前記動的選択ユニットに接続された通信ユニット(32)とを含むシステム。
【請求項15】
前記現況データは、前記ネットワーク内の静的ノードをさらに示す請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記個人化コマンドは各ノードにおいて音声で提供される請求項14または15に記載のシステム。
【請求項17】
前記現況把握データを適切な指示を含んでいる論理データセンテンスの指定シーケンスに変換するための診断エンジン(28b)と、
前記論理データセンテンスのシーケンスを人間の言語センテンスに変換するための、前記診断エンジンに接続された言語語彙ユニット(28c)とを含む請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記診断エンジンは、コマンドプリミティブを補助データと連結するよう構成されている請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
音声合成ユニット(13)が、前記人間の言語センテンスを音声合成するために、前記言語語彙ユニットに接続されている請求項17または18に記載のシステム。
【請求項20】
前記言語語彙ユニットは、前記人間の言語センテンスをテキスト形式で生成する請求項17または18に記載のシステム。
【請求項21】
前記診断エンジンは、前記ノードの少なくとも1つに対応づけられた特有の言語に対応し、前記論理データセンテンスのシーケンスを前記特有の言語での人間の言語センテンスに変換する請求項18から20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記動的選択ユニットは、前記個人化コマンドを構成するために前記コマンドデータを使用するよう構成されている請求項14から21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記現況把握データは、前記各ノードに対する前兆脅威を示し、前記コマンドデータは、前記各ノードによって実行されるべき回避行動に関する請求項14から22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記現況把握データを適切な指示を含んでいる論理データセンテンスの指定シーケンスに変換するための診断エンジン(28b)と、
前記論理データセンテンスのシーケンスを人間の言語センテンスに変換するための、前記診断エンジンに接続された言語語彙ユニット(28c)とを含む請求項14または15に記載のシステム。
【請求項25】
前記診断エンジンは、コマンドプリミティブを補助データと連結するように構成されている請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記言語語彙ユニットは、前記人間の言語センテンスをテキスト形式で生成する請求項24または25に記載のシステム。
【請求項27】
前記動的ノードは航空機を含む請求項14から26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記受信機は、レーダ、SSRおよびGPSセンサのような外部センサをつなぐための入力を有している請求項14から27のいずれか1項に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−515271(P2009−515271A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539603(P2008−539603)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【国際出願番号】PCT/IL2006/001071
【国際公開番号】WO2007/052248
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(508135954)エルタ システムズ エルティーディー. (1)
【Fターム(参考)】