説明

自動車におけるNOx削減の効率を改善するための触媒

本発明は、自動車の排ガスフロー中のNO精製用触媒に関し、この触媒が、アルミニウム、ケイ素あるいはチタン(酸化物)を用いて柱状化された、ベントナイト、スメクタイト、ヘクトライト、およびそれらの混合物からなる群から選択される変性粘土鉱物を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車におけるNO削減の効率を改善するための触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
EUIVガイドラインにおける汚染物質制限値が、将来大幅に低減されることが既に法律で制定されている。
過剰空気で運転される内燃機関の排ガス中のNO含有量削減に関して、選択接触還元法(SCR法)と呼ばれる方法が知られている。この方法は、選択的に作用する還元剤が、触媒の上流の位置で主に注入を通して排ガスに供給され、この還元剤により、排ガス中に含まれるNOを、SCR触媒中で化学反応によって環境的に中性な成分(N、O、HO)に転換させることができる。この既知の方法は、現在既に高荷重(トラック)分野のディーゼルエンジンに応用されおり、しばしば尿素水溶液(質量基準で32.5%、「AdBlue」という名称で知られている)あるいはペレットまたは粉末形態の固体尿素が使用されている。
【0003】
特に積極的な効果を示す還元剤は、例えば、尿素、尿素−水溶液、固体カルバミン酸アンモニウム、気体アンモニアなど、中間的にそれからアンモニアを放出することのできる還元剤である。前記還元剤は、(バナジウム酸化物を含有する)触媒を用いて、たとえ非化学量論的投入量であっても、窒素酸化物を95%以上削減することができる。この方法は、アンモニア(NH)を還元剤として、窒素酸化物の削減のために発電所において数十年間成功裏に使用されている。
【0004】
移動用途には、毒性のアンモニアとは異なり、無害で環境的に中性であり、その一方で触媒反応に必要なアンモニアを自動車の機関内で発生することのできる固体または液体の材料がより適している。このような物質の例は尿素であって、尿素から熱分解法によって、または好ましくは加水分解法によって、アンモニアを抽出することができる。触媒および還元剤に関係なく、例えば、エンジンのコールドスタート段階または都市での運行中の頻繁なアイドリング段階などで、排気温度が選択接触還元に十分でない可能性があるという問題が存在する。特に還元剤を、正確に目標を定めて添加(投与)する場合には、制御に関する複雑な問題が生じ、これは常に満足ゆくように解決できるというわけではない。(触媒を通して遊離アンモニアが飛び出てくることにより)アンモニアが漏洩する危険があり、これはアンモニアが毒性であるので絶対に避けなければならない。
【0005】
したがって、燃料を還元剤として、さらに処理無しで直接使用することは、有望であると思われる。例えばディーゼルエンジンにおいて、追加のディーゼル燃料は、在来型の注入システムを用いてエンジンの排ガスサイクルに直接注入するか、ディーゼル燃料または別の適切な炭化水素を注入する追加の注入バルブを、存在するSCR触媒の前に設けることができる。オットーサイクル内燃機関エンジンの場合は、排ガス自体が、一般的にNO削減のために十分なHC量を含有している。
【0006】
従来技術において周知の触媒(例えば、ガソリンおよび/またはCNG運転の集合体のためのスリーウェイ技術)は、特に大きな表面積を有する多孔質のセラミックまたは貴金属の基材を使用し、これに白金またはロジウムなど、触媒的に活性な貴金属をウォッシュコート皮膜内に塗布する。しかしながらこれらの触媒は、生成するのが複雑で、そのためしばしば非常に高価である。さらに触媒からにじみ出てくる重金属によって、環境汚染が長期にわたって起こることが判明している。加えて、現在使用されている自動車用触媒は、硫黄および/または硫酸塩に対してしばしば極度に敏感であり、これによってこれら触媒には触媒毒が構成され、その結果、触媒は少なくとも部分的に失活する。
【0007】
従来技術において周知の触媒技術のさらなる問題は、触媒の最適効果のためには、排ガスにおけるNOのある限界値を超えなければならないが、これがエンジンの全ての運転状態には当てはまらないことである。これら全ての影響の組合せを考慮した場合、ある状況下では、NOの削減がどうしても不適切になる。
【0008】
上述の問題を克服するために、最近ゼオライトベースで構成された触媒が提案されている。かかる触媒は、例えば、C.Y.Chung他、Catalysis Today、1999年、521〜29頁に記載されており、銅を添加した合成あるいは天然ゼオライトを含み、Cなどの炭化水素(HC)を用いて、一酸化窒素すなわちNOの削減に触媒作用をおよぼすことができる。しかしながら、実機の自動車運転における長期の研究において、これら触媒は安定ではなく、経年プロセスの影響を受けて、触媒活性が非常に低下することが判明し、それ故これを自動車に使用する関心がほとんど失われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、迅速に生成できそれ故安価で、可能であれば、PGM(白金族金属)または(カリウムまたはバナジウムなどの)高温領域で揮発性の金属の使用を避け、信頼性があり、非常に効果的で、迅速なNO削減が実現できる、自動車に利用可能なシンプルな触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特性を有する触媒によって達成することができる。本発明によるこの触媒の好ましいさらなる発展が、従属請求項2から17項に規定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明による触媒は、アルミニウム、ケイ素またはチタン(酸化物)で柱状化した、ベントナイト、スメクタイト、ヘクトライト、ならびにそれらの混合物を含む群から選択される変性粘土鉱物を含んでいることを特徴とする。本発明において、「含む」とは、特に触媒が≧30%(重量%)の、好ましくは≧60%(重量%)の、最も好ましくは、≧80%(重量%)の、前記特定の変性粘土鉱物から構成されることを意味する。触媒が、ゼオライトと粘土鉱物を含む場合、これらはとりわけ混晶または同様に機械的混合物の形態で、同じ相に含むことができる。
【0012】
触媒が、ゼオライトと粘土鉱物とを含む場合、ゼオライトの含有率は、好ましくは≧10%(重量%)、より好ましくは≧20%(重量%)、より好ましくは≧30%(重量%)以上、さらに最も好ましくは≧40%(重量%)以上であり、同様に粘土鉱物の含有量は、好ましくは≧10%(重量%)、より好ましくは≧20%(重量%)、より好ましくは≧30%(重量%)、さらに最も好ましくは≧40%(重量%)である。
【0013】
このためには、自動車中で利用可能な(直接のまたは最初に「改質」された)炭化水素、および/またはCO、および/またはHが、実際の還元剤として利用される。
NOに対する粘土鉱物触媒としてのベントナイトは、従来技術において原理的には知られており、例えば、米国特許第6,521,559号では、発電所で使用されている。しかしながら、先ず第1に、発電所における条件は、自動車における条件と全く異なっており、第2に、炭化水素ではなくてNHがもっぱら還元剤として使用されている。加えて、前記触媒の生成は、合成され柱状化された鉱物のラポナイトをベースとしているため、純粋に費用上の問題により、工業規模で入手できない。
【0014】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒が、同一の鉱物上にもまたは異なる鉱物(粘土鉱物、ゼオライト)上のいずれにも、要望どおり形成できる酸化性および還元性領域を含有していることを特徴とする。特に有効なNOの還元は、初めにNOの一部がNOに酸化され、さらに他のNOの部分が炭化水素を用いてNHへと還元された時に常に起こる。次に、触媒上に吸着された幾つかの物質の再結合によって、Nおよび水が生成される。
【0015】
したがって、触媒内に酸化性効果を有する領域と、炭化水素と一緒になって還元性効果を有する領域が存在する場合、NO削減の効率は、実証された方法により大幅に増加させることができる。
【0016】
粘土鉱物は、特にフィロシリケートを意味するが、さらにシートシリケート[例えば、パリゴルスカイト(アタパルガイト)およびセピオライト(メシャム)]のことも意味することを理解しなければならない。本発明による触媒の好ましい実施形態は、粘土鉱物が、カオリナイト、イレライト、カネマイト、マガダイト、スメクタイト、モンモリロライト、ベントナイト、ヘクトライト、パリゴルスカイトおよびセピオライト、ならびにそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする。ベントナイト、セピオライト、ヘクトライトおよびさらにモンモリロライトが特に好ましい。
【0017】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒の粘土鉱物が、特にBa、Na、Sr、CaおよびMg、ならびにそれらの混合物を含む群から選択されることが好ましい、塩基性作用カチオンを含むことを特徴とする。特に知られているのはBa2+イオンで、適切な粘土鉱物と共に炭化水素を結びつけて、アルデヒドのような、より反応性の物質に転換し、この結果NO削減が可能となる。
【0018】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒が、Ag、Ce、Fe、Cu、La、Pr、Th、Nd、In、Cr、Mn、CoおよびNi、ならびにそれらの混合物を含む群から選択されることが好ましい酸化性作用金属イオンを含みかつ/または保持することを特徴とする。したがって、NOのNOへの酸化は、上で概説した機構に従って実現することができる。
【0019】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒が変性ベントナイトベースで構成されることを特徴とする。さらに、特に好ましい触媒は、アルミニウム、ケイ素またはチタン(酸化物)で柱状化された、ベントナイト、スメクタイト、ヘクトライトおよびそれらの混合物を含む群から選択される変性粘土鉱物を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の構成において、特に好ましい触媒のさらなる実施形態は、例えばゼオライトを含む少なくとも1つの酸化性領域と、粘土鉱物によって形成することのできる還元性領域とを含む。ゼオライトの既知の形態選択性を考慮すると、これらは特にNOの酸化にだけ適しているが、しかし一方、その寸法のため、炭化水素は、ゼオライトの反応センターにかなり遅れて達するので、それ故実際には酸化されない。しかしながら、粘土鉱物は、その実質上の二次元細孔システムのため、適切な炭化水素の吸着に特に適している。
【0021】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒が、天然のイオン交換したおよび/または合成したゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトY、ヒューランダイト、クリノプチロライト、チャバサイト、エリオナイト、モルデナイト、フェリエライト、MFI(ZSM−5)、ゼオライト−βフォージャサイト、モルデナイト、またはそれらの混合物を含む群から選択されるゼオライトを含むことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明の構成において使用可能なゼオライトは、ゼオライトA、ゼオライトX、Yおよび/またはヒューランダイトを含む群から選択することができる。さらに、クリノプチロライト、チャバサイト、エリオナイト、モルデナイト、フェリエライト、MFI(ZSM−5)および同様にゼオライト−βの使用が好ましい。後者のゼオライト構造は、より低いAl含有量を特徴とし、イオン交換能力は低下するが、温度安定度が高い(連続運転で550℃まで安定)という利点を有する。
【0023】
フォージャサイト、ヒューランダイトおよびモルデナイトは、特に適したゼオライトであると特定される。ゼオライトXおよびYと共に、鉱物フォージャサイトは、ゼオライト構造グループ4内のフォージャサイト型に属し、これらは二重六員環サブユニットD6Rによって特徴付けられる(Donald W.Breck:“Zeolite Molecular Sieves”、John Wiley&Sons、New York、London、Sydney、Toronto、1974年、92頁を参照のこと)。特定のフォージャサイト型に加えて、天然の鉱物チャバサイトおよびグメリナイト、ならびにさらに合成によって得られるゼオライトも、ゼオライト構造グループ4に属する。
【0024】
特に、ヒューランダイトは、一般式(Na,K)Ca[A1Si2772]・24HOまたはCa[AlSi2872]・24HOを有する。SiOをより多く含むクリノプチロライトと共に、これらは結晶種2/m−C2h中の単斜晶系であり、葉状から平面結晶までを形成し、しばしば単独のまたは準平行の凝集体に、同じく貝殻状または割れた面が真珠様の光沢の完全な割れ目を有する貝殻状、うろこ状またはスパー状の凝集体に成長する(Gottardi−Galli、Natural Zeolites、256〜284頁も参照のこと)。
【0025】
モルデナイトは、一般構造NaKCa[AlSi4096]・28HOを有する。結晶構造の構造ユニットは、4面体の五員環で、重なった鎖を形成する。五員環の2つの4面体のジョイントコーナーを通して、四員環も形成され、四または五員環が一緒になって十二員環を取り囲んでいる。説明図を参照のこと。モルデナイトは、小さなプリズム状の、針状様または繊維状の白色から無色結晶を形成し、しばしば綿状の凝集体および頑丈なガラス状塊を形成する(Gottardi−Galli、Natural Zeolites、223〜233頁、Berlin−Heidelberg:Springer、1985年も参照のこと)。
【0026】
フォージャサイト型のゼオライトは、β−ケージから構築され、D6Rサブユニットを経由して4面体的に連結しており、このβ−ケージは、ダイヤモンド中の炭素原子と類似の方法で配列されている。本発明による適切なフォージャサイト型のゼオライトの三次元ネットワークは、2.2および7.4Åの細孔を有し、さらに直径約13Åの8個のキャビティ(スーパーケージ)を含有し、式Na86[(A1O86(SiO106]nHOによって表すことができる(nは264であることが好ましい)。(全てのデーターは、Donald W.Breck:“Zeolite Molecular Sieves”、John Wiley&Sons、New York、London、Sydney、Toronto、1974年、145、176、177頁から引用した。)
【0027】
その他のゼオライト構造物に加えて、フォージャサイト型のゼオライトの混合物、混晶および/または共結晶も(さらに機械的混合物の形態も)本発明に適している。これらは、必ずしも(Breck分類による)ゼオライト構造4に属している必要はなく、少なくとも70重量%のフォージャサイト型ゼオライト、モルデナイトおよび/またはヒューランダイトを含んでいることが好ましい。
【0028】
本発明の構成において使用されるゼオライトは、2.8〜8.0Åの細孔径を有していることが好ましい。一般的に、前記細孔径は、ある場合には、ゼオライトのAl含有量およびチャージ均等化のための共カチオン(アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜群元素)の種類および量で著しく変わる。
【0029】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒中の銅および/または鉄の百分率含有量が、全触媒の重量ベースで測定して、≧0重量%と≦25重量%の間、好ましくは≧0.01重量%と≦20重量%の間、より好ましくは≧0.05重量%と≦15重量%の間、さらに最も好ましくは≧0.1重量%と≦10重量%の間にあることを特徴とする。鉄および銅は、それらの触媒活性によって、さらなる効率向上効果を有する。これらに加えて適した金属は、とりわけ、銀、セリウム、マンガン、インジウムおよび/または白金で、後者よりも前者が好ましい。
【0030】
銅、鉄、さらに場合によりチタンを例外として、触媒は重金属を含まない。本発明において、重金属を含まないとは、触媒が、≦1重量%未満の、好ましくは≦0.8重量%未満の、より好ましくは≦0.6重量%未満の、より好ましくは≦0.4重量%未満の、さらに最も好ましくは≦0.1重量%未満の重金属を含むことを意味する。本発明の意味するところでは、重金属は、特に白金族元素であると理解される。
【0031】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒がさらに金属酸化物を保持し、この金属酸化物の金属が、場合により銅、鉄、インジウム、モリブデンあるいはチタンを例外とする重金属ではないことを特徴とする。
【0032】
この触媒が、酸化アルミニウムも含んでいることが特に好ましい。柱状化プロセスの結果、この触媒は大きな表面増大効果を有し、ここにおいて鉱物の層間間隔が、ナノ酸化物の形成を通じて恒久的に広げられ、換言すれば触媒内部に恒久的な細孔システムの生成が可能となる。この点については、N.D.Hudson 他、Microporous and Mesoporous Materials、1999年、447〜459頁を参照されたい。さらなる好ましい酸化物は、酸化チタンまたは酸化ケイ素であり、これらはさらに表面を増加させ、「柱状化された粘土」を構築するのに使用することができる。
【0033】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒1g当たりmmolで表した金属酸化物含有量が、≦100mmolの金属/g、より好ましくは≦50mmolの金属/g、さらに≦20mmolの金属/g、≦10mmolの金属/g、さらに最も好ましくは≦6mmolの金属/gから≧0mmolの金属/g、好ましくは≧1mmolの金属/gであることを特徴とする。
【0034】
触媒の好ましい実施形態では、銅を付加的な触媒的に活性な成分として使用することができる。銅は、NO削減の複雑な触媒工程において、おそらく重要な役割を果たす。この役割は、鉄、マンガン、インジウム、モリブデンについても明らかに想定され、チタンについてもある程度想定され、それ故これらも本発明の構成において、同様に好ましい。促進剤として、これら共カチオンは銅の効率をさらに改善すると想定される。
【0035】
上述のように、(Cu/ZSM−5など)銅を含有するゼオライトは、脱NOプロセスにおける活性触媒として基本的に既に知られている。しかしながら、実際の排ガス条件(温度800℃まで、水、硫黄成分を20容積%まで含む)において十分に安定した形態を形成することには成功していない。重要な共カチオン安定化機能は、場合により粘土鉱物に帰属する。これに特に適しているのは、(PILCと呼ばれる、イオン交換し柱状化した粘土の)変性粘土鉱物、あるいはクリノプチロライトおよび/またはモルデナイトなどの天然ゼオライトである。
【0036】
触媒中の(元素)銅の重量百分率含有量は、全触媒の重量ベースで測定して、好ましくは≧0.01%と≦25%の間、好ましくは≧0.1%と≦20%の間、より好ましくは≧1%と≦15%の間、さらに最も好ましくは≧2%と≦10%の間にある。これらのデーターは、共カチオンとして作用する活性金属、すなわち鉄にも適用され、両金属の混合物が積極的に試験された。活性度の改善は、Tiおよび/またはAg、Ceの添加および/またはLaの添加および/またはCa、Co、Ni、In、CrおよびMnの微量添加を通して実現することができ、それ故これらは同じく好ましい添加である。粘土鉱物の場合は、Al、Siを用いて、および/またはTiおよび/またはCu、Feを用いて柱状化したイオン交換したサンプルが特に有効であり、上記のようなことから好ましい。
【0037】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、微多孔平均細孔径が、≧0nmと≦2nmの間、好ましくは≧0.1nmと≦1.0nmの間、より好ましくは≧0.2nmと≦0.8nmの間、さらに最も好ましくは≧0.21nmと≦0.6nmの間にあることを特徴とする。
【0038】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、メソ細孔平均細孔径が、≧0nmと≦10nmの間、好ましくは≧1nmと≦9nmの間、より好ましくは≧2nmと≦8nmの間、さらに最も好ましくは≧2.5nmと≦7nmの間にあることを特徴とする。
【0039】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒製品において、触媒の基礎を形成する粘土鉱物および/またはゼオライトの表面が、(BET法または多点式法で測定して)≧0m/gと≦1000m/gの間、好ましくは≧20m/gと≦800m/gの間、より好ましくは≧50m/gと≦600m/gの間、さらに最も好ましくは≧90m/gと≦450m/gの間にあることを特徴とする。
【0040】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒製品において、触媒の基礎を形成する粘土鉱物および/またはゼオライトの微細孔容積が、≧0cm/gと≦0.4cm/gの間、好ましくは≧0.02cm/gと≦0.25cm/gの間、より好ましくは≧0.04cm/gと≦0.2cm/gの間、さらに最も好ましくは≧0.05cm/gと≦0.18cm/gの間にあることを特徴とする。
【0041】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒製品において、触媒の基礎を形成する粘土鉱物および/またはゼオライトのメソ孔容積が、≧0cm/gと≦1.0cm/gの間、好ましくは≧0.01cm/gと≦0.80cm/gの間、より好ましくは≧0.015cm/gと≦0.60cm/gの間、さらに最も好ましくは≧0.020cm/gと≦0.51cm/gの間にあることを特徴とする。
【0042】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒製品において、触媒の基礎を形成する粘土鉱物および/またはゼオライトの2層間の層間間隔が、≧0nmと≦5nmの間、好ましくは≧0.5nmと≦3nmの間、より好ましくは≧1.0nmと≦2.5nmの間、さらに最も好ましくは、≧1.4nmと≦2.1nmの間にあることを特徴とする。
【0043】
本発明による触媒の好ましい実施形態は、触媒の定常状態における熱負荷が、≧300℃、好ましくは≧400℃、より好ましくは≧500℃、さらに好ましくは≧600℃、さらに最も好ましくは≧650℃および≦700℃であることを特徴とする。
【0044】
モノリス形成に必要とされる結合剤は、既に説明した材料をベースとして同様に生成することができ、ここでは活性元素のドーピングは省略する。したがって、触媒および/または吸着剤としての粘土鉱物/ゼオライト複合材を含む全押出物もまたあり得る。金属フォイルを基材として使用することを所望する場合には、活性材料をウォッシュコート(被覆)技術を使用して塗布することもできる。改善の可能性および/または生成方法は、これで論じ尽くされたわけではない。被覆のためのプラズマ−支援プロセスまたはCVD(化学的気相蒸着法)、含浸法、湿式沈殿および触媒の調製にしばしば使用されるさらなる方法が、成功裏に適用される。
【0045】
本目的のために、一方では、本発明によれば、天然の鉱物(ゼオライトおよび粘土鉱物)を直接使用することが可能であり、他方では、特定の構造を有する合成によって生成されたアルミノケイ酸塩を使用することもできる。これらの生成は、合成温度が低く(<100℃、オートクレーブ技術を使用しない)、合成時間が短いことの結果として、さらに高価な有機テンプレート分子(主として、TPABr/TPAOHなどのアルキルアンモニウム塩)の使用を節約するかあるいは使用しないで済ませることにより、一般的に最も廉価とすることができる。離層剥離、柱状化/イオン交換のための合成および/または精製方法が、非常に時間がかかり費用がかさむので、天然鉱物の利点は、特に粘土鉱物の場合十分に理解される。
【0046】
上記で説明した様に、本発明による方法および触媒は、全ての自動車および自動車型のものに使用することができる。この場合、例えば、これらが自動車であろうと貨物自動車であろうと、オットーサイクルであろうとディーゼルまたはCNGエンジンであろうとも、それらは重要なことではない。HCCI(予混合圧縮着火)やCAI(制御式自動点火)などの最新式燃焼方法を備えたエンジンも、この方法から利益を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の排ガスフロー中のNO浄化用触媒であって、アルミニウム、ケイ素またはチタン(酸化物)で柱状化した、ベントナイト、スメクタイト、ヘクトライト、ならびにそれらの混合物を含む群から選択される変性粘土鉱物を含むことを特徴とする触媒。
【請求項2】
天然のイオン交換したおよび/または合成したゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトY、ヒューランダイト、クリノプチロライト、チャバサイト、エリオナイト、モルデナイト、フェリエライト、MFI(ZSM−5)、ゼオライト−βフォージャサイト、モルデナイトまたはそれらの混合物を含む群から選択されるゼオライトを含むことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
酸化性領域および還元性領域を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の触媒。
【請求項4】
前記触媒の粘土鉱物が、Ba、Na、Sr、CaおよびMg、ならびにそれらの混合物を含む群から選択されることが好ましい塩基性作用カチオンを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項5】
Ag、Ce、Fe、Cu、La、Pr、Th、In、Nd、Cr、Mn、CoおよびNi、ならびにそれらの混合物を含む群から選択されることが好ましい酸化性作用金属イオンを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項6】
前記触媒中の銅および/または鉄の重量百分率含有量が、全触媒の重量ベースで測定して、≧0重量%と≦25重量%の間、好ましくは≧0.01重量%と≦20重量%の間、より好ましくは≧0.05重量%と≦15重量%の間、さらに最も好ましくは≧0.1重量%と≦10重量%の間にあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項7】
さらに金属酸化物を含み、前記金属酸化物の金属が、場合により銅、鉄またはチタンを例外とする、重金属ではないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項8】
さらに酸化アルミニウムを含むことを特徴とする請求項7に記載の触媒。
【請求項9】
触媒1g当たりmmolで表した金属酸化物の含有量が、≦100mmolの金属/g、より好ましくは≦50mmolの金属/g、さらに≦20mmolの金属/g、≦10mmolの金属/g、さらに最も好ましくは≦6mmolの金属/gから≧0mmolの金属/g、好ましくは≧1mmolの金属/gとなることを特徴とする請求項7または8に記載の触媒。
【請求項10】
前記微多孔平均細孔径が、≧0nmと≦2nmの間、好ましくは≧0.1nmと≦1.0nmの間、より好ましくは≧0.2nmと≦0.8nmの間、さらに最も好ましくは≧0.21nmと≦0.6nmの間にあることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項11】
前記メソ細孔平均細孔径が、≧0nmと≦10nmの間、好ましくは≧1nmと≦9nmの間、より好ましくは≧2nmと≦8nmの間、さらに最も好ましくは≧2.5nmと≦7nmの間にあることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項12】
触媒製品において、触媒の基礎を形成する粘土鉱物および/またはゼオライトの表面が、≧0m/gと≦1000m/gの間、好ましくは≧20m/gと≦800m/gの間、より好ましくは≧50m/gと≦600m/gの間、さらに最も好ましくは≧90m/gと≦450m/gの間にあることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項13】
触媒製品において、触媒の基礎を形成する粘土鉱物および/またはゼオライトの微細孔容積が、≧0cm/gと≦0.4cm/gの間、好ましくは≧0.02cm/gと≦0.25cm/gの間、より好ましくは≧0.04cm/gと≦0.2cm/gの間、さらに最も好ましくは≧0.05cm/gと≦0.18cm/gの間にあることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項14】
触媒製品において、触媒の基礎を形成する粘土鉱物および/またはゼオライトのメソ細孔容積が、≧0cm/gと≦1.0cm/gの間、好ましくは≧0.01cm/gと≦0.80cm/gの間、より好ましくは≧0.015cm/gと≦0.60cm/gの間、さらに最も好ましくは≧0.020cm/gと≦0.51cm/gの間にあることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項15】
触媒製品において、触媒の基礎を形成する粘土鉱物および/またはゼオライト型鉱物の2層間の層間間隔が、≧0nmと≦5nmの間、好ましくは≧0.5nmと≦3nmの間、より好ましくは≧1.0nmと≦2.5nmの間、さらに最も好ましくは、≧1.4nmと≦2.1nmの間にあることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項16】
前記触媒の定常状態における熱負荷が、≧300℃、好ましくは≧400℃、より好ましくは≧500℃、さらに好ましくは≧600℃、さらに最も好ましくは≧650℃および≦700℃であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の触媒を含む自動車。

【公表番号】特表2007−529300(P2007−529300A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503257(P2007−503257)
【出願日】平成17年3月12日(2005.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002656
【国際公開番号】WO2005/092499
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(505212049)ジーエム・グローバル・テクノロジー・オペレーションズ・インコーポレーテッド (221)
【出願人】(506308792)エス アンド ビー.インダストリアル ミネラルス ゲーエムベーハー (1)
【出願人】(506308806)
【Fターム(参考)】