説明

自動車に下部要素を搭載する方法

本発明は、下部要素と、側面部材(12)を具備する車両のフロント構造要素(10)の一端(20)に搭載されるように設計されたテクニカルフロントエンド(22)とを、自動車に搭載する方法に関する。本発明は、第一のステップで、テクニカルフロントエンド(22)を下部要素の一つに配置すること、第二のステップで、テクニカルフロントエンド(22)を、横方向に延びている位置から前方に傾いている位置へと横軸(A)を中心に回転させること、第三のステップで、下部要素と回転させたテクニカルフロントエンド(22)とを、車両まで垂直に移動させること、並びに第四のステップで、テクニカルフロントエンド(22)を、傾いている位置から、車両の構造要素(10)と相対するその正規の位置へと角度を戻すことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、下部要素と、サイドレールを具備する車両のフロント構造要素の一端に搭載されるように意図されたテクニカルフロントエンドとを、自動車に搭載する方法に関する。
【0002】
車両の下部要素を垂直方向に上向きに搭載することが周知である。
下部要素を搭載するために用いられる固定具に設けられた支持部に車両のテクニカルフロントエンドを配置することにより、同時に車両のテクニカルフロントエンドを搭載することもできる。従って、テクニカルフロントエンドも垂直方向に搭載される。これは例えば、特許文献FR−A−2838094に記載されているテクニカルフロントエンドの場合であり、純粋に垂直方向に搭載される。
【0003】
しかし、この種の搭載には欠点がある。具体的には、この種の搭載を可能にするには、テクニカルフロントエンドをサイドレール間に嵌合可能にする必要があり、その横断寸法がサイドレール間の距離より大きい場合にこれが不可能なことである。更に、この方法は、フロントエンドとサイドレールの間のクリアランスが非常に小さいことから、サイドレールに対してテクニカルフロントエンドを指標付けすることを伴う。最後に、テクニカルフロントエンドの上部にサイドレール間の距離を超えて突出している要素がある場合、テクニカルフロントエンドは垂直方向に嵌合しない。
【0004】
これらの欠点を低減するために、本発明の課題は、従来の固定具に僅かな修正を実施するだけで、下部要素と大型のテクニカルフロントエンドの両方の搭載を可能にする方法である。
本発明の別の課題は、この方法を実施する装置である。
【0005】
このために、本発明は、前述の種類のテクニカルフロントエンド及び下部要素を搭載する方法であって、
− 第一のステップで、下部要素の一つにテクニカルフロントエンドを配置し、
− 第二のステップで、テクニカルフロントエンドを、ほぼ横方向に延びている位置から前方に傾いた位置へと横軸を中心に回転させ、
− 第三のステップで、下部要素及び傾いた位置にあるテクニカルフロントエンドを、車両まで垂直に上方に移動させ、
− 第四のステップで、テクニカルフロントエンドの角度を、傾いた位置から、車両のフロント構造要素に面する正規の位置まで戻す
ことを特徴とする方法を提案する。
【0006】
本発明の他の特徴によれば、
− 第四のステップの前に、予めテクニカルフロントエンドを傾いた位置に保持する中間ステップを有し、
− テクニカルフロントエンドを支える下部要素が、サイドレールの末端でフロント構造要素の下方に固定される下部横材であり、
− テクニカルフロントエンドをサイドレールに固定する第五のステップを有する。
【0007】
本発明は、前述の方法を実施する装置であって、
− 下部要素及びテクニカルフロントエンドを受けるための、垂直方向に可動な搭載用固定具と、
− テクニカルフロントエンドを傾いた位置に維持する手段と
を少なくとも備える装置も提案する。
【0008】
本発明による装置の別の特徴によれば、テクニカルフロントエンドを保持する手段が、本方法の第四のステップの間にテクニカルフロントエンドの角度を正規の位置へ自動的に戻すことができる少なくとも一つの可動アームである。
【0009】
本発明の更なる特徴と利点は、添付図面を参照し、テクニカルフロントエンド及び下部要素を搭載するための搭載方法の、複数の典型的な実施形態を説明することにより明らかにする。
【実施例】
【0010】
以降の説明では、非限定的に、図1の三つの軸L、V、Tによって示される縦方向、垂直方向、及び横方向と、車両の進行方向に対応する前後の方向を使用する。
車両は、縦方向の面に対して全体的に対称性を呈する。
【0011】
図4に示すように、最終的に組み立てられた状態の車両(図示せず)は、少なくとも二つの縦方向のサイドレール12(一つだけ図示)を備えたフロント構造要素10であって、サイドレール12の末端14の下方に「ハンガー」と呼ばれる垂直要素16が突出するフロント構造要素10を具備している。
車両の前部は、サイドレール12の上方に伸びる上部横材17も具備しており、特に車両のヘッドランプの支持部を具備している。
【0012】
組立後、ハンガー16は下部横材18によって接続され、フロント構造要素10のフロントエンド20がテクニカルフロントエンド22を受ける。
テクニカルフロントエンド22は横断面内に位置し、例えばヘッドランプ、配線及び冷却用モジュール等の車両の部品を支えることを目的としている。テクニカルフロントエンド22は、車両の構造的な剛性にも貢献する。
【0013】
テクニカルフロントエンド22は、サイドレール12の間に伸びるパーツ22aと、パーツ22aより幅の広い、サイドレール12の前面に伸びるパーツ22bを具備している。
テクニカルフロントエンド22の上部エッジ22cは、車両の後部に向かって伸びる要素24も具備することができる。
【0014】
テクニカルフロントエンド22は、ホイールセット、排気ライン、ヒートスクリーン、下部横材18等の、車両の他の下部要素26が搭載されるのと同時に搭載される。
図1に示すように、第一のステップで、下部要素は、車両の下方に位置する搭載用固定具30のプラットフォーム上に配置される。固定具30上の下部要素の位置は、それらが車両で占有する位置に応じて決定される。部品が既に取り付けられた状態のテクニカルフロントエンド22は、例えば、下部横材18に形成されたホール(図示せず)と協働する、前述の横材に装備されたスタッド(図示せず)を介して下部横材18上に垂直に配置される。
【0015】
図2に示すように、本方法の第二のステップでは、テクニカルフロントエンド22は、横軸Aを中心として、車両の前部に向かって傾いている位置へと回転する。スタッドは、テクニカルフロントエンド22が約10度傾くことを可能にするのに十分な弾性を有している。固定具30は、テクニカルフロントエンド22が自動的に回転し、搭載プロセス中に傾いた位置に保持されることを可能するアーム(図示せず)を有することもできる。
【0016】
図3に示すように、本方法の第三のステップでは、固定具30が、下部要素26と、傾いた位置に保持されているテクニカルフロントエンド22とを、垂直に上向きに移動させる。テクニカルフロントエンド22の回転角度は、垂直移動中に、テクニカルフロントエンド22が、車両の構造要素10と全く接触せずに、当該構造10のフロントエンド20に沿って移動することが可能な大きさである。垂直移動の最後に、要素26を車両に固定する準備が整う。そのとき下部横材18はサイドレール12の末端14の下部に接触しており、テクニカルフロントエンド22はサイドレール12の末端14に面している。
【0017】
図4に示すように、本方法の第四のステップでは、テクニカルフロントエンド22が車両の後部に向かって回転して、パーツ22aがサイドレール12間に位置し、パーツ22bがサイドレール12の端部に沿って伸びる位置を占める。テクニカルフロントエンド22の回転の最後で、突出要素24は上部横材17上を通過する。
テクニカルフロントエンド22は、手動で又は自動的に回転できる。自動傾斜の第二の構成では、傾斜は固定具上に配置されるアームによって行われる。
【0018】
こうして、下部要素26、下部横材18及びテクニカルフロントエンド22は、後のステップで車両に固定される準備が整う。
第四のステップの前に、テクニカルフロントエンド22を傾いた位置に保持することにより、例えばエンジン室内での組立動作を可能にする中間ステップがあってもよい。このために、テクニカルフロントエンド22は、例えば、サイドレールと連動できるタブを有することができる。
【0019】
従って、本発明による方法は、テクニカルフロントエンド22が大型である場合でも、従来の固定具を実質的に修正する必要性無く、他の下部要素と同時にテクニカルフロントエンド22を搭載することを可能するという利点を有する。
更に、下部横材18が車両に対して既に指標付けされているので、車両に対してテクニカルフロントエンド22を指標付けする必要が無い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本搭載方法の第一のステップを示す。
【図2】本搭載方法の第二のステップを示す。
【図3】本搭載方法の第三のステップを示す。
【図4】本搭載方法の第四のステップを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部要素と、サイドレール(12)を具備する車両のフロント構造要素(10)の一端(20)に搭載されるテクニカルフロントエンド(22)とを自動車に搭載するための搭載方法であって、
− 第一のステップで、テクニカルフロントエンド(22)を下部要素の一つに配置し、
− 第二のステップで、テクニカルフロントエンド(22)を、ほぼ横方向に延びている位置から、前方に傾いた位置へと横軸(A)を中心として回転させ、
− 第三のステップで、下部要素と、傾いた位置にあるテクニカルフロントエンド(22)とを、車両まで垂直に上方に移動させ、
− 第四のステップで、テクニカルフロントエンド(22)の角度を、傾いている位置から、車両のフロント構造要素(10)に面するその正規の位置へと戻す
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
第四のステップの前に、予めテクニカルフロントエンド(22)を傾いた位置に保持する中間ステップを有することを特徴とする、請求項1に記載の搭載方法。
【請求項3】
テクニカルフロントエンド(22)を支える下部要素が、最終的にサイドレール(12)の端部でフロント構造要素(10)の下に固定される下部横材(18)であることを特徴とする、請求項1に記載の搭載方法。
【請求項4】
テクニカルフロントエンド(22)をサイドレール(12)に固定する、第五のステップを有することを特徴とする、請求項1ないし3の何れか一項に記載の搭載方法。
【請求項5】
少なくとも
− 下部要素とテクニカルフロントエンド(22)とを受ける、垂直方向に可動な搭載用固定具(30)と、
− テクニカルフロントエンド(22)を傾いた位置に維持する手段と
を備えることを特徴とする、請求項1ないし4の何れか一項に記載の方法を実施する装置。
【請求項6】
テクニカルフロントエンド(22)を保持する手段が、本方法の第四のステップの間に、正規の位置へとテクニカルフロントエンドの角度を自動的に戻すことができる少なくとも一つの可動アームであることを特徴とする、請求項5に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−532270(P2009−532270A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503625(P2009−503625)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際出願番号】PCT/FR2007/050987
【国際公開番号】WO2007/116165
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(507308902)ルノー・エス・アー・エス (281)
【Fターム(参考)】