説明

自動車のためのアンテナ板ガラス

本発明は、自動車のためのアンテナ板ガラスに関し、コーティングのない境界領域までアンテナ板ガラスの表面を覆って延びる表面を有するアンテナ要素として作用する導電性コーティング2と、絶縁層が介挿された導電性コーティング2に対する容量性結合を有する、外部接続が提供される接続電極4とを備える。接続電極4は、少なくとも1本の細いワイヤを備え、ワイヤは、本発明に従って、窓1の縁部における領域からコーティング2で覆われた表面に沿って走行し、少なくとも1回の折り曲げを有して境界領域まで戻り、前記ワイヤの両端部4A、4Bが、アンテナ板ガラス1の境界領域に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を示す自動車のためのアンテナ板ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許第19832228C2号は、これらの特徴を有する自動車のためのアンテナ板ガラスを開示しており、そこでは、導電性のクラッディングが、アンテナ要素として使用されている。複合板ガラスの外観を呈して作られる板ガラスの内側に配置されるクラッディングから発生するアンテナ信号を切り離す(減結合する)ために、結合電極は、前記クラッディングに容量性形態で結合されている。前記電極は、互いに平行に且ついくらかの間隔をあけて配置される複数の細いワイヤから構成され、それらワイヤは、バスバーまたは類似物を用いて一端部において電気的に連結され、且つこの結合から始まるクラッディングを覆って延在する。そのように形成されるコンデンサの誘電体中間層は、複合物の少なくとも一つの粘着層によって構成される。
【0003】
結合電極のこの構成の形態は、スクリーン印刷によって付けられる狭い接触帯を備える、または複合物の板ガラスの1つに対するシートの形態における、従来の実施形態と比較すると、取り付けられた状態においては実際に見られ得ないという、大きな利点を提供する。ほとんど必然的に、これらの結合電極は、そのような使用のケースにおいては、(アースされた)車体とのアンテナ電界の直接結合を回避する目的で、板ガラスの縁部の全行程に沿うクラッディングを分離しまたは切断することが必要であるため、実際には、金属車体を有する自動車に、例えば前面ガラスの形態で据え付けられている、問題の板ガラスの視野内に配置されている。したがって、窓の枠組によって光学的に隠れる場合がある前記板ガラスの縁部に非常に近接して、前記結合電極を設けることはできない。
【0004】
もしも、例えば、直径が10μmから100μmのワイヤが、複合板ガラスの内側またはその表面に配置されるならば、ワイヤが、非常に短い間隔で配置されない限り、通常の条件のもとではワイヤとして識別され得ない。もしも、他方で、ワイヤの相互の分離が、少なくともほぼワイヤの直径の十倍近くであれば、ガラス製の板ガラスの非常に近くからワイヤを見ない限り、ワイヤとして視認され得ない。知られているアンテナ板ガラスについては、例えば、金属シートの帯からなる平坦な結合電極と比較して、結合容量は、本発明に従った実施形態の場合には、アンテナの信号の伝達のために充分に足りることが立証されている。
【0005】
細いワイヤの結合電極の実際の応用は、しかしながら、一端部のみに接続されたワイヤを用いて、所望される伝送電力が、常に得られるわけではないことを示している。最適な光学的嵌め込みのためには、ワイヤの数およびそれゆえ電極の合計幅が、可能な限り小さくなければならない。産業的製造の枠組内で、(アンテナのベースにおける)共通接続電極とのワイヤのセット全体の電気接触の確立は、しかしながら、完全に達成されない場合がある。最終的な分析において、板ガラスを形成する複合物の製造の前および/または後に、結合電極の動作容量をテストすることを可能とさせる、信頼できるテスト手順は存在しない。製造が終了した場合、そしてその後不完全な結合が見出された場合、ガラス板全体が廃棄されなければならない。
【0006】
その後に連続性チェックが可能であるように、ワイヤを長くすること、および板ガラスを越えてそれらを両側に突出させるのを可能にすることを、想定することは可能である。しかしながら、各ワイヤを個別に、またはアンテナのベースとのその接触をテストすることが依然として常に必要とされ、したがって費用の大幅な削減は、この変形から期待され得ない。
【0007】
独国特許出願公開第4237818A1号は、自動車のためのアンテナ板ガラスを記載しており、その表面上には、スクリーン印刷によって作られた、ループの形態で無線信号のためのアンテナが配置されている。板ガラスの縁部領域に作られた平面接続領域から始まって、ループのストランドは、そこからその他のストランドが戻る反転点まで、板ガラスの視野に入り込む。アンテナのベースを形成するその自由端部は、スロット状のギャップを有して、第1のストランドの平面開始領域によって取り囲まれている。この構造は、アンテナそのものを形成し、且つ平面アンテナ構造との容量性結合は提供しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、動作の安全性の観点から、独国特許第19832228C2号に記載されたタイプの窓アンテナをさらに改良することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従って、この問題は、請求項1の特徴によって解決される。従属請求項の特徴は、この主題の有利な改善を示している。
【0010】
単に「目隠し的に」終端している平行ワイヤの代わりに、結合電極が、アンテナ板ガラスの縁部における領域に配置された両端部を有する少なくとも1つの細いワイヤを備える場合、集結点を有するワイヤまたはワイヤの端部の接点が存在しないことによる電導度の制限は、先験的に既に回避されている。通例のテスト手順によれば、前もって作られたまたは既に敷設された結合電極の連続性は、単純な方法でチェックされ得る。産業上の自動化の観点からは、複合板ガラス上または複合板ガラス内にワイヤを敷設する重大な改造の必要性は存在しない、すなわち既に知られている結合電極の場合に使用されているものと同一の手段に頼ることが可能である。原則として、ワイヤの両端部は、いかなる接触の問題も、完成された板ガラスで再び排除され得るように、板ガラスを形成する複合物から離れて、外側に導かれることができる。
【0011】
対応する装置(チャネル、ラジオ、TVのセレクタ)についての診断装置の枠組内で、それらの診断によって、全く同一の時間に、アンテナおよび対応する機能要素、特に結合電極およびその接続の動作容量をチェックすることも可能とするように、取り付けられた状態におけるチェックを考えることも可能である。
【0012】
好ましくは、ワイヤの両端部は、局所的に近接して接合されるであろうことは事実であり、従ってワイヤに少なくとも1つの単純なループを描かせる。しかしながら、このことは、絶対的に必要ではない。例えば板ガラスの角部の各々に、ワイヤによって描かれる軌道のいずれかの側に少なくとも2つ折りで配置される両端部に、いくらかの距離をおいて配置することも、本発明の枠組内に入ってくる。電極ループから狭く分離された外部結合の場合には、偶数であろうが、一方、ループを形成する電導体の部分の数は、この場合、奇数である場合がある。
【0013】
ワイヤの折り曲げ、少なくとも単一の折り曲げは、容量結合のために充分な、(ワイヤの平行部分の相互分離によって決定される)仮想表面を結合電極に与えるために必要である。
【0014】
本発明に従った結合電極は、原則として1つより多くのワイヤ、または1つより多くのループを備えていても良い。例えば、より少ない数の外部接点が確立されるために、1つのワイヤを有する解決方法が与えられるべきであってさえも、他方の内側に1つがネストされ、または互いに平行に且つ並んで、2つ以上の単極のループを設けることも考えられ得る。
【0015】
結合電極の外部接点を確立すべく、アンテナ板ガラス1の縁部において、適切なインタフェース(マルチコネクタ、平坦導体、オス/メスコネクタ)が与えられることが好ましい。受信機装置(ラジオ、チャネルセレクタ、TV、その他)ならびに後でさらに述べるべき電圧源との接続は、そのようにして確立され、アンテナ板ガラス1は取り付けられる。それらのような多極インタフェースは、技術の状態それ自体を構成し(例えば独国特許第19536131号を参照されたい)、従って、ここではあまり詳しく説明されない。それらは、当業者にとって慣例的なことであるので、必要となるであろう予防処置などをとりたてて言及すべきではない。
【0016】
これら全ての処置によって、完成したアンテナ板ガラスの結合電極における接触の不良に起因する廃物の割合は、知られているアンテナ板ガラスに比べて、相当に低減され、そのようなガラス板の自動車への取り付けの後にも、チェック機能は依然として実行可能である。
【0017】
薄い層の形態でのアンテナに重ねられるワイヤの数、およびそれゆえそのように形成されたコンデンサの伝送電力は、結合電極の内側のいくつかのループの配置による要件、あるいは単純に波状のプロファイルをとるループの単純なまたは複数の折り曲げによる要件に応じて影響されても良い。後者の処置は、しかしながら連続性の単純なチェックの可能性を失うことなしに、大きな表面適用範囲を得ることを可能とさせる。場合によっては、上述されたタイプのいくつかのワイヤから、本発明に従って単一の電極を形成することが可能であろう。
【0018】
知られている結合電極の態様においては、ループまたはループ群が、粘着シートに前もって作られ、且つ粘着シートによって、アンテナ板ガラスの剛体ガラス板上の所望される位置に敷設されても良い。この予め取り付けられたアセンブリは、外部接続のための適切なインタフェースを装備していても良く、その接点の品質が、既に予め確認されていても良い。
【0019】
アンテナにおけるダイバシティのための取り付けの枠組内において、アンテナ板ガラスにおける、本発明に従って構成され板ガラスのリムのまわりに分布された、いくつかの結合電極のために準備がなされている。有利な態様において、(例えば角部における)いくつかの結合電極の端部の結合は、互いに局所的に近接して板ガラスの縁部に接合され、場合によっては共通インタフェースによって、いくつかの極と共に外側に向けて接触されてもよい。このことは、記号論理回路における処理の態様、およびそのような板ガラスの電気接続部の取り付けを単純化する場合がある。
【0020】
付加的なそして非自明的機能においては、本発明に従った結合電極は、例えば、もしも自動車の板ガラス(前面ガラスおよび/または後窓)の前面ガラスワイパの休止領域に配置されていたなら、それ自体、信号の電圧に重畳されていても良い供給電圧にさらされ得ると共に、要求に応じて、別々に作動可能な加熱要素として役立つことができる。この種の応用の場合においては、例えば相互連結されたコイルの形態をとって、供給電圧とHF信号とを減結合するための、それ自体知られている適切な手段をとることが、いずれにせよ望ましい。
【0021】
原則として、本発明は、複合板ガラスだけにではなく、自動車のためのモノリシックな板ガラスにも適用され得て、その場合には、導電性のクラッディングが、キャビン方向へ向かっている表面に配置される。この場合においては、クラッディングは、好ましくは、例えばドープされた酸化亜鉛のような、熱分解によって施される電導性材料からなっている。さらにまた、結合電極のワイヤは、透明ポリマーから作られた誘電体シートの間に埋設される。導電性のクラッディング方向へ向けられたシートは、好ましくは、粘着性材料から構成され、または接着材の層が設けられており、その助けを借りて結合電極は、ガラス板に接着される。
【0022】
しかしながら、本発明は、まず複合板ガラスまたは合わせ板ガラスの窓に適用される。その結果として、本発明は、複合板ガラスに関しての例示的な実施形態用いてここに説明されている。自動車前面窓板ガラスは、ほとんど例外なく複合板ガラスから形成されると同時に、複合板ガラスは、後窓および側面窓についても次第に使用されつつあり、そのため、本発明のアンテナ板ガラスは、基本的に前面ガラスに限定されることはなく、全く明白に自動車の全てのガラス板に使用されても良い。
【0023】
本発明の主題の他の詳細および利点は、例示的な実施形態の図面、および以下の実施形態の全体の記載から収集されても良い。
【0024】
図面は、単純化された形態で表現されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1によれば、アンテナ板ガラス1は、その表面の全体にわたって、導電性のクラッディング2が備えられているが、それにもかかわらず、クラッディングは、アンテナ板ガラス1の縁部における領域内のリムから分離されているか、または全く施されていない。破線は、アンテナ板ガラス1の視野を均一に覆うクラッディングの外側縁部の境界線を画定している。周囲においては、板ガラス1の外側リムの全体にわたって、それ自体が知られている不透明な縁部ストリップ3も、板ガラス1の視野そのものを取り囲んで設けられている。この縁部ストリップ3は、実際には、不透明インク、例えば、硬化可能なスクリーン印刷ペーストから構成されており、且つ一方ではそのような板ガラスの通例の接着ベースの固定部を、他方ではクラッディング2の縁部をオーバラップしまたは覆っている。ここで、しかしながら、表現の要件のために、透けて見えるように描かれていない。
【0026】
既に述べられたように、そのようなアンテナ板ガラス1は、図示されていない車体の、通常金属であるカラーに接着されている。(表面の加熱および/または赤外線からの分離のような)他の機能と共に、アンテナとして使用され得るクラッディングは、表面積/容量比を考慮して、クラッディングが車体によってアースされないように、アンテナ板ガラス1の外側縁部の少なくとも20mm前に終端していなければならない。後者の場合においては、いかなる信号電圧を導通させることができず、または非常に微弱な電圧のみを導通させる。
【0027】
クラッディング2を受信機装置に連結するために、細いワイヤからなる結合電極4が設けられる。結合電極4を製作するために、好ましくは、ワイヤの小さな厚みと引っ張り強さとの間の有利な比を考慮して、タングステンワイヤから作られるものが使用される。この実施形態において、電極は、アンテナ板ガラス1の横方向縁部の一つに沿って延び、且つクラッディング2によって表面方向に、しかしながらクラッディング2に触れることなく、覆われる。電極は、それゆえ、高周波で且つ低インピーダンスにおける容量性領域において、クラッディングに連結される。
【0028】
好ましくは、結合電極4は、縁部ストリップ3によるクラッディング2のオーバラップの領域に位置している。その結合電極は、そのときアンテナ板ガラス1からの観察では見えない。任意に、もしも縁部ストリップ3の助けによる結合電極4の完全な嵌め込みが可能でないならば、結合電極4を構成するワイヤが、事実上見えなくなる程度まで、面上で薄黒くされ得る。
【0029】
本発明の変形(図示せず)において、電極は、板ガラスの1つの縁部に沿って部分的にのみ延ばすこともできることはいうまでもない。
【0030】
アンテナ板ガラス1は、それ自体知られている態様において、2つの剛体のガラスまたはプラスティックの板(図4および図5を参照されたい)を有する複合板ガラスである。すなわち、ガラスとプラスティックの板からなる混成複合物は、同様に全く明白に可能である。クラッディング2および結合電極4は、複合板ガラスの内側に、それゆえ2つの剛体ガラス板の間に配置されるが、誘電体中間層によって、互いに直流的に分離されている。ワイヤとクラッディングの間の直流的結合を使用することが、原則として、まさに明白に可能であるが、欠陥なしに且つ安全な態様で、それがなされ得るという確実性は存在しない。
【0031】
結合電極4の2つの自由端部4Aおよび4Bは、アンテナ板ガラス1の外側縁部を越えて外側に導かれる。
【0032】
図1の表現の変形(図示せず)において、本発明のアンテナ板ガラスは、例えば、第2の横向き縁部に沿って、および/または上側および/または下側縦向き縁部に沿って延びることができ、視野内および/または角部の隅内へも延び得る、いくつかの結合電極を備えていても良い。そのような形態において、各結合電極は、受信の状況に応じて、異なる出力信号をダイバシティアンテナ装置へ送信しても良い。
【0033】
図2は、拡大表現にて結合電極4を示している。やはり1回折り曲げループを形成する、単一の連続ワイヤから、結合電極が構成されていることがわかる。ワイヤは、それゆえ、両端部から最も遠い反転点から始まって、その両端部が近接するまで折り曲げられ、ワイヤの部分は、ワイヤの厚みよりもかなり大きい間隙を存して互いに平行に延びる。したがって、結合電極4は、その両端部4Aと4Bの間に、それらの端部において反転点の高さにおいて交わる、4つの相互に平行なワイヤ部分を備える。電気連続性の後での単純なチェックを可能とするテスト電流が、それゆえ両端部4Aと4Bを通って通過し得る。
【0034】
しかしながら、重要な点は、それ自体高い安定性を有する結合電極のワイヤは、そこに連結する結合材よりも少ないことである。知られているように、タングステンは、軟ハンダ付けに非常に適しているわけではなく、そのため、外側への結合電極の接触が不十分となるある程度の危険が存在する。図2においては、左向き矢印によって、端部4Aにおける、増幅器(図示せず)への接続が示されており、同時に端部4Bの上流側に(アースされている)、整合抵抗器5がループ内に導入されている。整合抵抗器5は、結合電極4のベースのインピーダンス要件、またはアンテナアセンブリ全体でさえのインピーダンス要件に従った整合を可能とする。インタフェース6は、円によって区別されているだけである。すなわち、ここでは、結合電極4から外部接続への細いワイヤの移行のための準備がなされている。結合電極4および場合によってはインタフェース6の事前取り付けのために役立ち得るシート状基板7も、破線として示されている。このシート状基板は、結合電極の細いワイヤのための支持体または中間支持体を構成し、且つアンテナ板ガラス1への結合電極の設置を簡単化させる。
【0035】
したがって、接触領域は、アンテナ板ガラス1の縁部に直接的に存在し、且つ板ガラスを形成する複合物の外側に配置されていても良い。最終的に、ハンダ付け、締め付け、および/または電導性接着剤による接着によって確立される接点は、先に述べたテスト電流を用いる動作において引き続いてチェックされ、その結果として、既に知られている結合電極の場合とは異なって、板ガラスの複合物の外側における修繕が可能である。場合によっては、整合抵抗器5を置き換えること、または(可変製品の場合には)整合抵抗器5を再調整することさえ可能である。
【0036】
結合電極4を形成する細いワイヤの長さは、結合コンデンサの容量を決定し、且つできるだけ小さい減少の見地から寸法を決定しても良い、すなわち、少なくともほぼ5cmであり、好ましくは10cmから30cmであるべきである。同様にして、ワイヤの平行部分の数は、結合容量に関して重要である、すなわち、ワイヤの折り曲げの増大も、有効アンテナ信号の強度を増強することを可能とさせる。
【0037】
図3は、結合電極4の変形を示しており、そこでは、2つの端部4Aおよび4Bが、アンテナ板ガラスの表面の外側の、アンテナ板ガラス1の縁部の2つの間隔が空けられた点へ導かれる。アンテナ板ガラス1については、単純化のために、クラッディングおよび縁部ストリップを示すことなく、抽出部のみが示されている。ここで、結合電極4が、連続するワイヤの4つ折り曲げを有する、ワイヤの奇数部分(5つの部分)で作られることを認めることに、問題はない。本発明によって提供されるこのような変形は、例えば、自動車製造業者によって予め規定された電気的接続のための位置が、図1におけるように、互いに近接していない場合、または、例えば角部に取り付けられた、異なる結合電極のいくつかのアンテナベースが接合される必要がある場合には、有利である可能性がある。
【0038】
図4は、その横向き縁部の近傍において、図1のアンテナ板ガラス1の部分的断面図を示している。そこに示されているのは、標準の積層または複合板ガラスを形成すべく、接着剤層13を用いて一体に接合された、2つの剛体ガラス板11および12から構成される、アンテナ板ガラス1である。アンテナ板ガラス(その接合された状態での)の外側表面は、頂部である。電気的絶縁接着層13によって互いに分離されている、クラッディング2および不透明縁部ストリップ3も描かれている。クラッディング2は、図1において既に示されているように、アンテナ板ガラス1の縁部の前で終端されている。電極4を形成する細いワイヤは、縁部ストリップ3に載置されており、それゆえ外側からは見えない。このワイヤ4は、コンデンサの誘電体をも形成する接着剤層13によってクラッディング2から分離されている。アンテナ板ガラス1が完成した状態において、結合電極4のワイヤは、例えばポリビニルブチラルからなる熱可塑性シートである場合がある接着剤層13内に、実際に一体化されている。
【0039】
図4の変形を示す、図5によれば、電極4を形成する細いワイヤは、縁部ストリップ3上にその全体が配置されていはいないが、縁部ストリップ3によって囲まれた板ガラス1の視野内に少なくとも部分的に位置しているという事実における、相違のみが存在する。
【0040】
本発明においては、電極4が、アンテナ板ガラスの視野内に完全に配置されていても良いことは、いうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のアンテナ板ガラスを示す図である。
【図2】図1に記載の結合電極の詳細な拡大図である。
【図3】本発明の結合電極の変形実施の図である。
【図4】図1に記載のアンテナ板ガラスの(IV−IV線における)部分断面図である。
【図5】図4の変形におけるアンテナ板ガラスの他の部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板ガラス(12)の表面を覆って、導電性クラッディングの自由縁部の領域まで表面方向に延び、且つアンテナ要素として作用する、導電性クラッディング(2)と、
外部接続が提供される結合電極(4)とを備える、自動車のためのアンテナ板ガラス(1)であって、前記結合電極(4)が、絶縁層(13)が介挿されて、導電性クラッディング(2)へ容量的形態で結合され、且つ結合電極(4)が、少なくとも1本の細いワイヤで構成され、
前記少なくとも1本の細いワイヤが、アンテナ板ガラス(1)の縁部における領域から始まり、導電性クラッディング(2)によって覆われる表面を越えて導かれ、少なくとも1回折り曲げられて縁部の領域に戻り、前記ワイヤの両端部(4A、4B)が、アンテナ板ガラス(1)の縁部の領域に配置されることを特徴とする、アンテナ板ガラス。
【請求項2】
ワイヤの両端部(4A、4B)から最も遠い反転点から始まるループを形成する、結合電極(4)のワイヤは、ワイヤの両端部が、ワイヤの厚みよりもかなり大きい間隔を持って互いに平行に延びるワイヤの部分に近接するまで、折り返されることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ板ガラス(1)。
【請求項3】
結合電極(4)のワイヤの両端部(4A、4B)が、狭い局所的な近傍に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載のアンテナ板ガラス(1)。
【請求項4】
結合電極(4)のワイヤの両端部(4A、4B)が、間隔があけられた場所に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載のアンテナ板ガラス(1)。
【請求項5】
結合電極(4)のワイヤの両端部(4A、4B)が、2つの異なる角部に近接して配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載のアンテナ板ガラス(1)。
【請求項6】
結合電極(4)のワイヤの一端部(4A)が、下流側の受信機および/または送信機装置に連結され、一方、他端部(4B)が、自由であるかまたは整合抵抗器(5)を介して終端されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナ板ガラス(1)。
【請求項7】
いくつかの結合電極が、間隔があけられた場所に設けられることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のアンテナ板ガラス。
【請求項8】
いくつかの結合電極のワイヤの端部が、狭い局所的な近傍に配置されることを特徴とする、請求項7に記載のアンテナ板ガラス。
【請求項9】
アンテナ板ガラスの縁部領域が、不透明な縁部ストリップ(3)で覆われ、前記縁部ストリップが、少なくとも部分的に結合電極(4)を覆うことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナ板ガラス(1)。
【請求項10】
結合電極(4)のための外部接続が、アンテナ板ガラスの縁部における領域内の結合電極(4)のワイヤの両端部(4A、4B)に連結されるインタフェース(6)を形成する接続要素を用いて確立されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナ板ガラス(1)。
【請求項11】
窓アンテナの結合電極(4)が、アンテナ板ガラス(1)に対するワイヤの接着によって固定するための接着層によって、支持体(7)に前もって作られた構成要素である、請求項1から10のいずれか一項に記載のアンテナ板ガラス(1)。
【請求項12】
前もって作られた構成要素が、結合電極(4)の外部接続を確立するためのインタフェース(6)を備えることを特徴とする、請求項11に記載のアンテナ板ガラス。
【請求項13】
電導性クラッディング(2)および結合電極(4)が、アンテナ板ガラス(1)を形成する複合物(11、12、13)の内側に配置され、結合電極(4)の両端部(4A、4B)および/または両端部(4A、4B)に連結されるインタフェース(6)が、複合物から外側へ導かれることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のアンテナ板ガラス。
【請求項14】
結合電極が、アンテナ信号電圧に重畳された電気供給電圧へ接続可能であり、且つ要求に応じて電気加熱要素の外観を呈して使用可能であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のアンテナ板ガラス。
【請求項15】
結合電極(4)の前記少なくとも1つの細いワイヤが、10μmから100μmの間に存在する範囲の直径を示すことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のアンテナ板ガラス。
【請求項16】
ダイバシティアンテナ装置の枠組内での、請求項7または8に記載のアンテナ板ガラスの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−525707(P2006−525707A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505806(P2006−505806)
【出願日】平成16年4月21日(2004.4.21)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000978
【国際公開番号】WO2004/100311
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(399052888)サン−ゴバン グラス フランス (23)
【Fターム(参考)】