説明

自動車の車体骨格部材構造

【課題】それほど超高張力鋼板や厚板の鋼板或いはバルクヘッドのような補強片を使用せず、高剛性並びに高強度のパネル成形部材を達成して、車両重量の軽量化並びにコストの低減を図る。
【解決手段】軸直角断面が大略コの字状に形成された長尺状の本体部31と、本体部31を構成する一対の側面壁31a、31bにおける各一端部にそれぞれ長手方向に沿って外方に突出して延在するように形成されたフランジ部32とにより略ハット断面型に構成されている場合、本体部31を構成する一対の側面壁31a、31bと各側面壁31a、31bの他端部がそれぞれ連結された連結壁31cとで形成された一対の稜線部31d、31eに、それぞれ閉断面形状を呈する断面丸型のパイプ部材からなる補強部材4、5を配置装着して構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車のサイドシル或いはセンタピラーなどのように、略ハット断面型のパネル成形部材を備えて構成する自動車の車体骨格部材構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体骨格部材、例えば自動車の車体下部側部を構成するサイドシルは、車外側に配置されるアウタパネルと車室側に配置されるインナパネルとを接合することによって形成された閉断面形状の骨格本体をもって構成しており、かかるアウタパネルおよびインナパネルのいずれもパネル成形部材で構成されているも、そのうち少なくとも一方は、軸直角断面が略コの字状に形成された長尺の本体部と、該本体部を構成する一対の側面壁における各一端部にそれぞれ長手方向に沿って外方に突出延在するように形成されたフランジ部とにより略ハット断面型に構成されたパネル成形部材である。
【0003】
かかる自動車の車体骨格部材としてのサイドシルは、車体の基本骨格として、自動車が正面衝突や側面衝突に遭遇した場合に車室内の乗員を安全に保護すべく高剛性並びに高強度構造であることが必要である。そこで、従来のサイドシルを構成するパネル成形部材は、その本体部が長尺に形成された一対の側面壁と該各側面壁の一端部がそれぞれ連結された連結壁とで大略コの字状に形成されて構成している上で、閉断面形状内に長手方向に延びるやはり略ハット断面型の補強部材を介在させて構成する場合がある。しかし、かかる構成の補強部材は、自動車重量を上昇させる原因になりかねない。
【0004】
そこで、従来より、自動車の軽量化の一環として、例えば略ハット断面型に形成したインナパネルにおける各側面壁と連結壁とが連結することによって形成される一対の稜線部に、略L字状断面の補強部材が設置されている。当該補強部材は、上記稜線部において、本体部とともに閉断面部を形成することにより、本体部を補強することにより自動車の軽量化を達成しようとしている。しかしながら、かかる補強部材によっては、未だ乗員の保護の観点からは剛性並び強度が不十分な場合があり、さらに高剛性並びに高強度化を図るため、かかるインナパネルは、その本体部の両側面壁および連結壁同士を互いに橋渡するようにバルクヘッドと称する複数個の補強片を並設設置することにより構成したり、或いは板厚を厚くしたり超高張力鋼板を使用して構成されている(類似する技術として、特許文献1および2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−188802号公報
【特許文献2】特開平5−208688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように構成されたパネル成形部材を備えた従来の自動車の車体骨格部材は、たとえばインナパネルにおいて、補強部材を備えるとともにバルクヘッドである補強片を備えたことや板厚を厚くしたことにより、車両重量の増加並びに金型や成型設備の大幅変更によるコスト高になってしまう。また、かかる従来の自動車の骨格部材は、インナパネルなど超高張力鋼板を使用したパネル成形部材を備えたことにより、パネル成形部材の成形性を悪化させて成形品質性能を落としてしまう恐れがあり、かかる成形品質を確保するため成形工程の増加が必要になる場合があり、この点からもコスト高になってしまう。
【0007】
そこで、この発明は、かかる従来の技術における未解決課題に鑑み、それほど超高張力鋼板や厚板の鋼板或いはバルクヘッドのような補強片を使用しなくても、高剛性並びに高強度を達成して、車両重量の軽量化並びに金型や成型設備の大幅変更を要せずしてコスト低減を図った自動車の車体骨格部材構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る自動車の車体骨格部材構造は、軸直角断面が大略コの字状に形成された長尺状の本体部と、該本体部を構成する一対の側面壁における各一端部にそれぞれ長手方向に沿って外方に突出して延在するように形成されたフランジ部とにより略ハット断面型に構成されたパネル成形部材を備えて構成する自動車の車体骨格部材構造であって、上記本体部を構成する上記一対の側面壁と該各側面壁の他端部がそれぞれ連結された連結壁とで形成された一対の稜線部に、それぞれ閉断面形状の補強部材を配置装着して構成したことを特徴とする。
【0009】
かかる構成を有する発明は、補強部材がパネル成形部材における一対の側面壁と連結壁とで形成する一対の稜線部にそれぞれ配置装着された閉断面形状の補強部材で構成されていることから、補強部材がパネル部材の構成要素を用いずそれ自体を高剛性且つ高強度にすることができることになって、パネル成形部材としてそれほど超高張力鋼板や厚板材料を使用する必要がなくなり、しかも従来のバルクヘッドのような補強片を廃止することができて、結果的に、車両重量の軽量化並びに金型や成型設備の大幅変更を要せずしてコスト低減を果たすことができる。
【0010】
またこの発明の実施の形態における自動車の車体骨格部材構造は、上記補強部材を断面丸型のパイプ部材にて構成している。
【0011】
かかる構成を有する実施の形態では、断面丸型のパイプ部材は、市販の汎用パイプ部材を選択適用でき、さらなるコスト軽減が期待でき、しかも、断面丸型故に、パネル成形部材を構成する両側面壁および連結壁に若干の成形誤差があったとしても点接触或いは線接触にて必ず当接させることができ、かかる当接部を溶接などすることにより堅固に装着することができることになり、要求される剛性及び強度を金型の大幅変更や高価な成形設備を要せずして達成することができてコスト低減を図ることが可能となり、更なる車両重量の軽量化を果たすことができる。
【0012】
しかも、補強部材としてパイプ部材を使用したことは、パイプ部材の素材における径や肉厚或いは長さ更には材料強度などパイプ仕様を適宜選択することにより、採用車種や採用機種などにより種々異なる要求性能に設計的範囲内において対処できることになる。
【0013】
また、この発明における実施の形態における自動車の車体骨格部材構造は、補強部材を、上記稜線部における長手方向全域に渡って配置装着して構成することにより、高剛性で高強度な骨格構造を実現している。
【0014】
また、この発明の実施の形態における自動車の車体骨格部材構造は、一対の補強部材のうち一方の補強部材が、その長軸方向両側端部のうち、一側端部が稜線部の長軸方向一端部まで延在配置されているとともに他側端部が稜線部の長軸方向他端部より内方側に引っ込んだ位置に留まるように延在配置されるとともに、他方の補強部材が、その長軸方向両端部のうち、前記他方の補強部材の長軸方向他端部に対向する前記稜線部の長軸方向一側端部から他端部の長軸方向内方側に移動させた位置まで延在するように配置されて構成するようにしている。
【0015】
このように構成するこの発明における実施の形態においては、一対の補強部材のうち、一方の補強部材が、その長軸方向両側端部のうち、一側端部を一方の稜線部の長軸方向一側端部まで延在させているとともに長軸方向他側端部が長軸方向内方側に引っ込んだ位置に留まるように延在配置されており、且つ、他方の補強部材が、その長軸方向両側端部のうち、一側端部が他方の稜線部の長軸方向内方側に引っ込んだ位置に留まるように延在配置させているとともに、長軸方向他側端部が他方の稜線部の長軸方向他端部まで延在するように配置されていることで、両補強部材の端末を一部カットして全長長さを短くすることにより、要求される剛性及び強度を金型の大幅変更や高価な成型設備を要せずしてコスト低減を図ることができて、更なる軽量化を図っている。
【0016】
さらに、この発明の実施の形態における自動車の車体骨格部材構造は、上記のように構成するパネル成形部材を用いて、自動車の車体下部側部を構成するサイドシルのインナパネルまたはアウタパネルとして構成することができる。
【0017】
このように構成するこの発明における実施の形態においては、パネル成形部材において、一対の側面壁と連結壁とで形成する一対の稜線部にそれぞれ閉断面形状の補強部材を配置装着していることから、補強部材がパネル部材の構成要素を用いずに稜線部において閉断面形状の補強部を構成することになる。この結果、サイドシルが、高剛性でしかも高強度のパネル成形部材を備えて構成することができ、超高張力鋼板や厚板材料を使用する必要がなくなり、従来のバルクヘッドのような補強片を廃止することができ、結果的に、要求される剛性及び強度を金型の大幅変更や高価な成形設備を要せずして達成することができてコスト低減を図ることが可能となり、更なる車両重量の軽量化を果たすことができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明にかかる自動車の骨格部材構造は、補強部材がパネル成形部材における一対の側面壁と連結壁とで形成する一対の稜線部にそれぞれ配置装着された閉断面形状の補強部材で構成されていることから、補強部材がパネル部材の構成要素を用いずそれ自体を高剛性且つ高強度化ができることになって、超高張力鋼板や厚板材料を使用する必要がなくなり、しかも従来のバルクヘッドのような補強片を廃止することができて、結果的に、車両重量の軽量化並びに金型や成型設備の大幅変更を要せずしてコスト低減を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】自動車のサイドシルをセンタピラーに連結構成して、車体下部側部を構成した車体骨格部材構造を概略的に描画した斜視図である。
【図2】この発明の一の実施例として、図1におけるサイドシルをアウタパネルとともに構成するインナパネルを車外側から描画した斜視図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】この発明の他の実施例として、図1におけるサイドシルをアウタパネルとともに構成するインナパネルを車室側から描画した斜視図である。
【図5】図4におけるB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明に係る実施例における自動車の車体骨格部材構造は、それほど超高張力鋼板や厚板の鋼板或いはバルクヘッドのような補強片を使用しなくても、高剛性並びに高強度化を達成して、車両重量の軽量化並びにコストの低減を図ることができるように構成している。
【0021】
次に、図を用いて、この発明を採用した一の実施例に係る自動車の骨格部材構造について説明する。 先ず、図1〜図3を用いて、この発明に係る自動車の車体骨格として、車体の下部側部を構成するサイドシルに採用した場合の一実施例について説明する。
【0022】
即ち、図1に示すように、自動車の車体骨格部材としてのサイドシル1は、自動車の車体下部側部に前後方向に延在設置されるべく長尺形状を呈するとともに、車体中央部骨格としてのセンタピラー10の下端部が連結されている。そして、サイドシル1は、車外側に配置されるアウタパネル2と車室側に配置されるインナパネル3とを互いに接合することにより、閉断面形状となって構成している。
【0023】
インナパネル3は、長手方向軸における軸直角断面が大略コの字状に形成された長尺状の本体部31と、本体部31を構成する一対の側面壁31a、31bにおける各一端部にそれぞれ長手方向に沿って外方に突出延在して形成されたフランジ部32とにより略ハット断面型に構成されたパネル成形部材として構成している。
【0024】
本体部31は、一対の側面壁31a、31bと、各側面壁31a、31bの他端部がそれぞれ連結された連結壁31cとが形成する一対の稜線部31d、31eを有して構成している。両稜線部31d、31eには、多角形閉断面形状でもよいが、この実施例においては、断面略丸型のパイプ部材から構成された補強部材4、5がそれぞれ配置装着されている。
【0025】
一方の補強部材4は、一対の稜線部31d、31eのうち、自動車の上部側に位置する稜線部31d側に配置装着されている。そして、一方の補強部材4は、その長軸方向両側端部のうち、一側端部(自動車前方側端部)が稜線部31dの長軸方向一端部(自動車前方端部)まで延在配置されているとともに、長軸方向他側端部(自動車車後方側端部)が稜線部31dの長軸方向他側端部(自動車後方端部)から内方側に引っ込んだ位置に留まるように延在配置されている。
【0026】
また、他方の補強部材5は、一対の稜線部31d、31eのうち、自動車の下部側に位置する稜線部31e側に配置装着されている。そして、他方の補強部材5は、その長軸方向両側端部のうち、一側端部(自動車前方側端部)が稜線部31eの長軸方向一側端部(自動車前方端部)から内方側に引っ込んだ位置に留まるように延在配置されているのに対し、他側端部(自動車後方側端部)が稜線部31eの長軸方向他端部(自動車後方端部)まで延在するように配置されている。
【0027】
両補強部材4、5は、それぞれ稜線部31d、31eを間にして側面壁31a、31bおよび連結壁31cに点接触或いは線接触に当接させた上で、側面壁31a、31bおよび連結壁31cとともに、レーザー溶接7を行うことにより接合されている(図3参照)。かかるレーザー溶接7は、点溶接または線溶接にて行っている。
【0028】
上記のように構成するこの発明の一実施例においては、両補強部材4、5は、インナパネル3における一対の側面壁31a、31bと連結壁31cとで形成する一対の稜線部31d、31eにそれぞれ配置装着されたそれ自体閉断面形状のパイプ部材からなる補強部材4、5で構成されていることになる。この結果、両補強部材4、5は、インナパネル3の構成要素を用いずそれ自体を高剛性且つ高強度にすることができることになって、パネル成形部材としてそれほど超高張力鋼板や厚板材料を使用する必要がなくなり、しかも従来のバルクヘッドのような補強片を廃止することができて、結果的に、要求される剛性及び強度を金型の大幅変更や高価な成形設備を要せずして達成することができてコスト低減を図ることが可能となり、更なる車両重量の軽量化を果たすことができる。
【0029】
しかも、補強部材4、5としてパイプ部材を使用したことは、パイプ部材の素材における径や肉厚或いは長さ更には材料強度などパイプ仕様を適宜選択することにより、採用車種や採用機種などにより種々異なる要求性能に設計的範囲内において対処できることになる。
【0030】
また、両補強部材4、5は、断面丸型のパイプ部材を使用して構成していることから、市販の汎用パイプ部材を選択適用でき、さらなるコスト軽減が期待でき、しかも、断面丸型故に、インナパネル3を構成する両側面壁31a、31bおよび連結壁31cに例えば長軸方向に若干の成形誤差があったとしても点接触或いは線接触にて必ず当接させることができ、かかる当接部をレーザー溶接7を行うことにより堅固に装着することができることになる。
【0031】
さらに、上記一の実施例においては、一方の補強部材4は、その長軸方向両端部のうち、一側端部が一方の稜線部31dの長軸方向一端部まで延在させているとともに、長軸方向他側端部が稜線部31dの長軸方向他端部より内方側に引っ込んだ位置に留まるように延在配置され、且つ、他方の補強部材5は、その長軸方向両端部のうち、他側端部が他方の稜線部31eの長軸方向に沿って内方側に引っ込んだ位置に留まるように延在配置させているとともに、一側端部が他方の稜線部31eの長軸方向他端部まで延在するように配置されていることで、両補強部材4、5の端末をカットして全長長さを短くすることができて、更なる軽量化を図っている。
【0032】
なお、インナパネル3のフランジ部32は、やはり断面略ハット型を呈するアウタパネル2のフランジ部2aとスポット溶接により接合されるようになっており、かかる結果、アウタパネル2とインナパネル3とが閉断面形状のサイドシル1を構成することになる。
【0033】
次に、図4及び図5を用いて、本発明に係る他の実施例について説明する。
【0034】
図4及び図5に示す他の実施例は、両稜線部31d、31eの長軸方向全域に渡って、それぞれ断面丸型パイプ部材からなる両補強部材4、5を配置装着しており、また、かかる両補強部材4、5は、インナパネル3の本体部31の側面壁31a、31および連結壁31cにアーク溶接8により装着されている。そして、両側面壁31a、31bおよび連結壁31cには、稜線部31d、31eを避けた近傍に、予め溶接用貫通長孔6が複数個適宜離間した状態で穿設されて、溶接用貫通長孔6から、アーク溶接8を行うことによって、両補強部材4、5と側面壁31a、31および連結壁31cとは、装着されることになる。
【0035】
したがって、かかるこの発明における他の実施例においては、上記一の実施例と同様に、両補強部材4、5は、インナパネル3における一対の側面壁31a、31bと連結壁31cとで形成する一対の稜線部31d、31eにそれぞれ配置装着された閉断面形状のパイプ部材からなる両補強部材4、5で構成されていることになる。この結果、両補強部材4、5は、インナパネル3の構成要素を用いずそれ自体を高剛性且つ高強度にすることができることになって、パネル成形部材としてそれほど超高張力鋼板や厚板材料を使用する必要がなくなり、しかも従来のバルクヘッドのような補強片を廃止することができて、結果的に、要求される剛性及び強度を金型の大幅変更や高価な成形設備を要せずして達成することができてコスト低減を図ることが可能となり、更なる車両重量の軽量化を果たすことができる。
【0036】
また、両補強部材4、5は、断面丸型のパイプ部材を使用して構成していることから、市販の汎用パイプ部材を選択適用でき、さらなるコスト軽減が期待でき、しかも、断面丸型故に、インナパネル3を構成する両側面壁31a、31bおよび連結壁31cに例えば長軸方向に若干の成形誤差があったとしても点接触或いは線接触にて必ず当接させることができ、かかる当接部をアーク溶接8を行うことにより堅固に装着することができることになる。
【0037】
また、かかる他の実施例においては、両補強部材4、5は、それぞれ稜線部31d、31eにおける長軸方向全域に渡って配置装着して構成することにより、高剛性で高強度な骨格構造を実現している。
【0038】
さらに、かかる他の実施例においては、インナパネル3の本体部31と両補強部材4、5をアーク溶接8を施すことにより装着すべく、両側面壁31a、31bおよび連結壁31cに予め溶接用貫通長孔6が穿設されたとしても、かかる溶接用貫通長孔6は、稜線部31d、31eを避けた近傍に配置されていることから、かかるインナパネル3の本体部31の稜線部31d、31eは全長に渡って確保されていることになり、溶接用貫通長孔6の穿設によるインナパネル3自体の剛性は変化することはない。
【0039】
なお、上記実施例においては、プレス成形部材として、サイドシル1のうち、インナパネル3に適用した場合に限定して説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、アウタパネル2にも適用できることはもちろん、サイドシル1のほか、センタピラー等のピラー類やサイドメンバー等のメンバー部材を構成するプレス成形部材にも適用できるものである。
【0040】
また、上記各実施例における補強部材4、5は、その素材としてのパイプ部材として、同一径、同一肉厚更には同一長さのパイプ仕様のものを使用するばかりでなく、互いに材料強度、径、肉厚或いは長さ等異なる仕様のものを適宜選択することにより、適用する車種、機種などにより種々異なる要求性能に対して設計的範囲において適宜選択可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明したこの発明は、それほど超高張力鋼板や厚板の鋼板或いはバルクヘッドのような補強片を使用しなくても、高剛性並びに高強度のパネル成形部材を達成して、車両重量の軽量化並びにコストの低減を図ることができることから、自動車のサイドシル或いはセンタピラーなどのように、略ハット断面型のパネル成形部材を備えて構成する自動車の車体骨格部材構造等に好適であるといえる。
【符号の説明】
【0042】
1 サイドシル
2 アウタパネル
3 インナパネル
31 本体部
31a 、31b 側面壁
31c 連結壁
31d 、31e 稜線部
4 一方の補強部材
5 他方の補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸直角断面が大略コの字状に形成された長尺状の本体部と、該本体部を構成する一対の側面壁における各一端部にそれぞれ長手方向に沿って外方に突出して延在するように形成されたフランジ部とにより略ハット断面型に構成されたパネル成形部材を備えて構成する自動車の車体骨格部材構造であって、前記本体部を構成する前記一対の側面壁と該各側面壁の他端部がそれぞれ連結された連結壁とで形成された一対の稜線部に、それぞれ閉断面形状の補強部材を配置装着して構成したことを特徴とする自動車の車体骨格部材構造。
【請求項2】
前記補強部材は、断面略丸型のパイプ部材にて構成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体骨格部材構造。
【請求項3】
前記両補強部材は、前記稜線部における長手方向全域に渡って配置装着したことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車の車体骨格部材構造。
【請求項4】
前記一対の補強部材のうち、一方の補強部材が、その長軸方向両端部のうち、一側端部を前記一方の稜線部の長軸方向一側端部まで延在させているとともに長軸方向他側端部が長軸方向内方側に引っ込んだ位置に留まるように延在配置されており、且つ、他方の補強部材が、その長軸方向一側端部が前記他方の稜線部の長軸方向内方側に引っ込んだ位置に留まるように延在配置させているとともに、長軸方向他側端部が前記他方の稜線部の長軸方向他端部まで延在するように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車の車体骨格部材構造。
【請求項5】
前記パネル成形部材が、自動車の車体下部側部を構成するサイドシルのインナパネルまたはアウタパネルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の自動車の車体骨格部材構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−101765(P2012−101765A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254319(P2010−254319)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000178804)ユニプレス株式会社 (83)
【Fターム(参考)】