説明

自動車油圧ブレーキ装置内の圧力パルス回避方法および装置

【課題】ブレーキ装置内の急速な圧力均衡過程により発生される騒音並びにペダル反作用を回避させる、自動車油圧ブレーキ装置内の圧力パルス回避方法および装置を提供する。
【解決手段】本発明は自動車油圧ブレーキ装置内の圧力パルス回避方法に関するものであり、この方法においては、マスタ・ブレーキ・シリンダと少なくとも1つのリターン・ポンプの吸込側との間の油圧媒体の流動を制御する油圧弁の電気操作が、
− リターン・ポンプの電気操作の終了後に、油圧弁が、その開閉状態の関数として、開放状態をとるかまたは開放状態のままであるように操作され、および
− 設定可能長さの時間区間が経過したのちにはじめて閉じられる、
ように行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車油圧ブレーキ装置内の圧力パルス回避方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許第10144879号から、車輪滑り制御装置を備えた車両のブレーキ装置の制御装置が既知である。この場合、車輪滑り制御装置は、所定の条件を満たしたことの結果として、少なくとも1つの車輪に付属の少なくとも1つの車輪ブレーキ内の第1のブレーキ・トルクの上昇を開始可能である。
【0003】
本発明は、例えばドイツ特許第10144879号に記載のようなブレーキ制御装置に使用可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレーキ装置内の急速な圧力均衡過程により発生される騒音並びにペダル反作用を回避させる、自動車油圧ブレーキ装置内の圧力パルス回避方法および装置を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は請求項1の方法および請求項7の装置により解決される。
本発明は自動車油圧ブレーキ装置内の圧力パルス回避ないし低減方法に関するものであり、この方法においては、マスタ・ブレーキ・シリンダと少なくとも1つのリターン・ポンプの吸込側との間の油圧媒体の流動を制御する油圧弁の電気操作が、
− リターン・ポンプの電気操作の終了後に、油圧弁が、その開閉状態の関数として、開放状態をとるかまたは開放状態のままであるように操作され、および
− 設定可能長さの時間区間が経過したのちにはじめて閉じられる、
ように行われる。油圧弁のこの操作により、リターン・ポンプのアフタ・ランニングによって排出された油圧液を再び補充することが可能である。本発明により、騒音、並びにブレーキ装置内の急速な圧力均衡過程によって形成されるペダル反作用が回避される。
【0006】
本発明の有利な形態は、リターン・ポンプの電気操作の終了後に、前記操作の終了時点において開かれている油圧弁はその後も開かれたままであり、および設定可能長さの時間区間が経過したのちにはじめて閉じられることを特徴とする。この形態は、リターン・ポンプの電気操作の終了時において油圧弁が開かれている場合に関するものである。
【0007】
本発明の他の有利な形態は、前記操作の終了時点において遮断されている油圧弁は開かれ、および設定可能長さの時間区間が経過したのちにはじめて閉じられることを特徴とする。
【0008】
本発明の有利な形態は、リターン・ポンプの前記操作の終了時点においてもドライバがなおブレーキを操作している場合には、前記遮断されている油圧弁は、ドライバがもはやブレーキを操作しなくなったときにはじめて開かれることを特徴とする。ブレーキを操作しているとき、マスタ・ブレーキ・シリンダの出口に上昇された供給圧力が存在する。ブレーキ・ペダルを操作しているときに油圧弁を開くことはドライバに対して感知可能なペダル反作用を形成するであろう。
【0009】
本発明の有利な形態は、ドライバのブレーキ操作がストップ・ランプ・スイッチの状態および/または測定供給圧力により検出されることを特徴とする。ストップ・ランプ・スイッチを合わせて使用することにより、ブレーキ操作を検出するための追加費用が回避される。
【0010】
本発明の有利な形態は、前記油圧弁がブレーキ回路の高圧切換弁であることを特徴とする。
さらに、本発明は、自動車油圧ブレーキ装置内の圧力パルス回避装置に関するものであり、この装置は、マスタ・ブレーキ・シリンダと少なくとも1つのリターン・ポンプの吸込側との間の油圧媒体の流動を制御する油圧弁を電気操作するための操作装置を含み、この場合、前記操作装置が、
− リターン・ポンプの電気操作の終了後に、油圧弁が、その開閉状態の関数として、開放状態をとるかまたは開放状態のままであるように操作され、および
− 設定可能長さの時間区間が経過したのちにはじめて閉じられる、
ように形成されている。
【0011】
本発明の有利な形態は、前記ブレーキ回路が走行動特性制御装置または駆動滑り制御装置またはアンチロック装置のブレーキ回路であることを特徴とする。
本発明による方法の有利な形態が本発明による装置の有利な形態としても現われ、および逆にも現われることは明らかである。
【0012】
図面は図1−4から構成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に、走行動特性制御装置を備えた車両のブレーキ装置が略図で示されている。ここで、理解のために重要ではない部分は省略されている。2つのブレーキ回路を有するブレーキ装置を考察するものとする。ブレーキ回路1は図1の左側部分であり、右側部分はブレーキ回路2である。この場合、ブレーキ回路1は後車輪を制御し、およびブレーキ2は前車輪を制御するものとする。この分割はII型分割とも呼ばれる。他の分割もまた考えられることは当然である。ブレーキ装置内の経過を説明する前に、はじめに左側部分の個々のブロックを簡単に説明しておく。
3:油圧ブレーキ圧力制御装置(2つのブレーキ回路を含む)
1:マスタ・ブレーキ・シリンダ
4:HSV1(=ブレーキ回路1の高圧切換弁)
5:USV1(=ブレーキ回路1の切換弁)
8:逆止弁
9:RFP1(=ブレーキ回路1のリターン・ポンプ)
6:EVHL(=後方左側入口弁即ち左後車輪ブレーキの入口弁)
16:EVHR(=後方右側入口弁)
7:AVHL(=後方左側出口弁)
17:AVHR(=後方右側出口弁)
2:左後車輪の車輪ブレーキ
20:右後車輪の車輪ブレーキ
21:貯蔵室
右側部分のブロックは同じであるので、特に説明しない。両方のリターン・ポンプは共通のモータにより駆動され、即ちこれらは並列に運転される。
【0014】
以下においては常に左側ブレーキ回路1のみを説明する。マスタ・ブレーキ・シリンダ1から両方のブレーキ回路に2本の配管が出ている。左側ブレーキ回路内において、高圧切換弁4および切換弁5への分岐が行われる。高圧切換弁4は、逆止弁8を介して出口弁7および17と、並びにリターン・ポンプ9の吸込側と結合されている。切換弁5は、入口弁6および16と、並びにリターン・ポンプ9の吐出側と結合されている。入口弁6の出口側および出口弁7の入口側は車輪ブレーキ2と結合され、同様に入口弁16および出口弁17は車輪ブレーキ20と結合されている。リターン・ポンプ9の吐出側は、入口弁6および16と、並びに切換弁5と結合されている。
【0015】
例えば走行動特性制御装置の範囲内において使用されるような油圧ブレーキ装置内において、リターン・ポンプを介して、個々の車輪または複数の車輪においてブレーキ圧力を適切に上昇および低下可能である。この場合、車両の両方のブレーキ回路の各々は高圧切換弁(=HSV)を有している。高圧切換弁は次の機能を有している。即ち、
− HSVは、閉じられた状態において、車輪の出口弁からリターン・ポンプの入口に連絡する出口系をドライバから切り離すことにより、貯蔵室21を空にすることを可能にし、したがって車輪における急速な圧力低下を可能にする機能を有している。
− HSVは、開かれた状態において、これにより開かれた、マスタ・ブレーキ・シリンダとリターン・ポンプの入口との間の結合を介して能動的な圧力上昇を可能にする機能を有している。
【0016】
ブレーキ装置の制御の間に、(例えばABS制御の範囲内において)リターン・ポンプが回転し且つ同時に同じブレーキ回路に付属のHSVが閉じられている状態となることがある。この場合に、リターン・ポンプ9、逆止弁8およびHSV4の間の、以下において前室30と呼ばれる空間が真空にされることがある。
【0017】
それに続く制御においてHSVが新たに開かれたとき、その前に前室が真空にされているために、(大きな圧力差が存在するので)HSVの手前(即ちマスタ・ブレーキ・シリンダとHSVとの間)のブレーキ液柱が著しく加速される。この状況は、特にマスタ・ブレーキ・シリンダの出口に約5バール−35バールの供給圧力が作用しているとき、ドライバにとって不快なきわめて大きな騒音および明確なペダル運動を発生させる。この物理的原因は、大きな圧力差のために前室のきわめて急速な充填が行われることにある。このきわめて急速な充填は圧力均衡過程ないし「圧力均衡衝撃」とも呼ばれる。
【0018】
本発明により、以下において「前充填(プレフィル)」操作および「後充填(ポストフィル)」操作と呼ばれるHSVの追加操作によって、できるだけ多くの場合、ドライバが圧力均衡衝撃を感ずるであろう状況になる前に、前室がブレーキ液で充填されるべきである。このために、その瞬間のブレーキ制御が評価され且つドライバに対して反作用を与えることなくHSVが開放可能な時点が決定される。
【0019】
後充填操作ないし延長開放保持
例えばESP制御(ESP=電子式安定性プログラム)におけるドライバとは独立のブレーキ係合または作動化ブレーキ・アシストの範囲内において、付属のリターン・ポンプが回転している間にHSVはしばしば通過位置に切り換えられる。ドライバとは独立のブレーキ係合の終了と共に、リターン・ポンプのスイッチが遮断される。しかしながら、電気スイッチが遮断されたのちにおいてもリターン・ポンプはなおしばらくの間は作動を継続し、これはアフタ・ランニングと呼ばれる。リターン・ポンプの電気スイッチの遮断と同時に、HSVが同様に閉じられたとき、リターン・ポンプのアフタ・ランニング過程により前室30の真空化が行われるであろう。したがって、リターン・ポンプのスイッチの遮断後においてもなお設定可能な時間区間の間HSVを開いておくことが有効である。この時間区間は、特に、この時間区間の終了時にリターン・ポンプが確実に停止し、即ちリターン・ポンプの機械的回転運動が終了するような長さとすべきである。
【0020】
前充填操作ないし追加開閉過程
ABS制御が存在するとき、車輪ブレーキ・シリンダの圧力ができるだけ急速に低下可能なように、HSVは閉じられている。車輪ブレーキ・シリンダから排出されたブレーキ液は作動中のリターン・ポンプおよび開いている切換弁を介してマスタ・ブレーキ・シリンダに戻される。貯蔵室21は、特にリターン・ポンプの始動時間の間に車輪ブレーキ・シリンダ内の急速な圧力低下を可能にするように働く。これは貯蔵室が空であるかまたはほぼ空であることを前提とする。貯蔵室は作動中のリターン・ポンプにより継続して空にされる。ABS制御の終了後に、真空にされた前室があとに残されることになる。したがって、ABS制御の終了時に前室の再充填を可能にし、且つ例えば部分作動走行動特性制御の範囲内においてHSVが新たに開いたときの圧力衝撃を阻止するために、設定可能長さの時間区間の間HSVが開かれる。
【0021】
上記の2つの前充填操作および後充填操作は、ある実施例においては、次の方法ステップに区分可能である。
1.リターン・ポンプが回転しているか、または(例えば油圧モデルを介してまたはセンサを介して)前室の充填が完全充填ではないと評価されたとき直ちに、HSVに対する開放時間Δtが決定される。
2.それに続いて、HSVがその瞬間において開かれているか(=ケースa)またはその瞬間において閉じられているか(ケースb)が決定される。
3.それに続いて、ブレーキ制御が終了されているかどうか、またはHSVの状態が実行中の制御にとって重要ではないかどうかが検査される。
4.それに続いて、より高い優先順位を有する操作がHSVを閉じようとしているかどうかが検査される。
5.ケースaが与えられ、ブレーキ力制御が終了され且つより高い優先順位を有する操作が存在しないとき、リターン・ポンプのスイッチが遮断されたときにHSVは時間区間Δtの間なお開いたままとされる(後充填操作)。
6.ケースbが与えられ、ブレーキ制御が終了され且つより高い優先順位を有する操作が存在しないとき、ドライバがブレーキを開放したとき直ちにHSVは開かれる。
【0022】
以下に、図2および3により、ブレーキ回路の種々の信号変数の信号線図を説明する。図2は前充填/後充填論理のない制御におけるブレーキ回路の種々の信号変数の時間線図を示す。図3は前充填/後充填論理のある制御におけるブレーキ回路の種々の信号変数の時間線図を示す。はじめに、2つの図の中に現われる信号変数を説明する。2つの図において、横座標方向に時間tがおよび縦座標方向にそれぞれの信号変数の値がそれぞれ目盛られている。
【0023】
符号BLSで表わされるいちばん上の信号変数として、ストップ・ランプ・スイッチの状態がそれぞれ目盛られている。この状態は、ドライバがブレーキを操作しているかどうかを指示している。時点t4においてドライバがブレーキ・ペダルを操作したとする。これは、
− BLSの状態がこの時点において切り換わったこと、例えば0から1へジャンプしたことにより検出可能であり、並びに
− マスタ・ブレーキ・シリンダ内の供給圧力Pvorが上昇されたことにより、符号Pvorで表わされる信号変数の上昇で検出可能である。
【0024】
2番目の信号変数として、図2および図3内に信号変数ASRの状態が描かれている。この変数もまた二進数であり且つ駆動滑り制御装置が作動している(即ちその瞬間に駆動滑り制御が行われている)かどうかを与える。時点t1において値はより高い値に例えば値0から値1へジャンプし、時点t2において値1から値0へ戻っている。これは、時間t1とt2との間の時間区間内において駆動滑り制御装置が作動していることを意味する。駆動滑り制御と平行してリターン・ポンプもまた作動し、このことが図2および図3において信号変数nRFPの線図からわかる。nRFPはリターン・ポンプの回転速度を与える。時点t2において、駆動滑り制御と平行してリターン・ポンプのスイッチが遮断されるが、この図において、低下する回転速度を有するリターン・ポンプのアフタ・ランニングが明確にわかる。
【0025】
上から3番目および4番目の線は、符号HSV1およびHSV2で表わされている。HSV1はブレーキ回路1の高圧切換弁の状態を表わし、HSV2はブレーキ回路2の高圧切換弁の状態を表わす。図2においてのみならず図3においてもまた、図示の操縦において、時点t1においてブレーキ回路1の車輪が滑り回転したとする。ブレーキ回路2の車輪は許容駆動滑り値の範囲内にあるとする。したがって、時点t1において、付属のブレーキ回路の車輪におけるドライバとは独立の圧力上昇を可能にするために、ブレーキ回路1のHSVが開かれる。ブレーキ回路2内においてはASR係合が行われないので、HSV2は閉じられたままである。
【0026】
図2においては前充填/後充填論理が非作動とされているので、時点t2において制御が終了したとき直ちに、HSV1はこの時点において閉じられる。したがって、リターン・ポンプのアフタ・ランニングにより前室30の真空化が行われる。
【0027】
図3においては前充填/後充填論理が作動されている。したがって、
− 制御終了後の時点t2においてはブレーキ回路1のHSVは時点t3までなお開かれたままであり、および
− ブレーキ回路2のHSVは時点t2において開かれ且つ時点t3において同様に閉じられる。
この手段により、リターン・ポンプのアフタ・ランニングにより前室30が真空化されることが阻止される。追加の開放時間はΔt=t3−t2である。
【0028】
上から5番目の変数として、符号Zで表わされたカウンタの値が描かれている。このカウンタの値Zは図2および図3においてはじめはそれぞれ値0を有している。図2においては、このカウンタは常に値0のままである。しかしながら、図3においては、時点t1においてこの値が0とは異なる値に高くセットされる。ASR制御が終了した時点t2において、値Zは0に向かって戻りはじめ且つ時点t3において値0に到達する。カウンタのこの戻り過程は、
− HSV1の延長開放保持、および
− HSV2の開閉間の時間区間、
を定義する。
【0029】
線図内の下側に、ドライバからブレーキ・ペダルに加えられたペダル力Fが目盛られている。ブレーキ力の投入(即ちドライバの足によるブレーキ・ペダルの操作)と供給圧力の上昇との間に形成されている時間遅れは、ブレーキ力増幅器の特性に基づくものである。
【0030】
それに続いて、図2においてのみならず図3においてもまた、時点t4までブレーキ操作のない走行運転が行われたとする。時点t4においてドライバがブレーキを操作したとする。時点t5において走行動特性制御装置ないしブレーキ・アシストは非常ブレーキ作動が存在したことを検出する。したがって、この時点に、
− リターン・ポンプが作動され、並びに
− 2つの高圧切換弁HSV1およびHSV2が開かれる。
全ての車輪において、能動的な、且つドライバの設定に基づく圧力上昇が行われる。
【0031】
図2において、時点t5に供給圧力Pvorおよびブレーキ・ペダル力Fの短時間の急落がみられる。これが文字符号″D″で表わされている。ドライバに対して明確に感知可能なこの急落は、物理的には、前室30内において行われる急速な圧力均衡ないし発生する圧力衝撃に基づくものであり、図3においては、事前の前充填が行われているのでこれは発生していない。
【0032】
本発明による方法のフローが図4に示されている。ブロック400においてこの方法がスタートしたのち、ブロック401において、リターン・ポンプRFPがなお電気操作されているかどうかが問い合わされる。回答が「肯定」(図4において″y″で表わされている)のとき、フローはブロック400に戻される。回答が「否定」(図4において″n″で表わされている)のとき、フローはブロック402に移行される。ブロック402において、高圧切換弁HSVが開かれているかどうかの問い合わせが行われる。回答が「肯定」のとき、ブロック403において、高圧切換弁は長さΔtの時間区間の間より長く開放保持される。回答が「否定」のとき、ブロック404において、ストップ・ランプ・スイッチBLSが作動されているかどうかが問い合わされる。回答が「肯定」のとき、フローはブロック404の入口に戻され、回答が「否定」のとき、ブロック405において高圧切換弁は長さΔtの時間区間の間開かれる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ESPブレーキ回路の油圧系統図である。
【図2】前充填/後充填のない制御における、ブレーキ回路の種々の信号の時間線図である。
【図3】前充填/後充填のある制御における、ブレーキ回路の種々の信号の時間線図である。
【図4】本発明による方法の流れ図である。
【符号の説明】
【0034】
1 マスタ・ブレーキ・シリンダ
2 左後車輪の車輪ブレーキ
3 油圧ブレーキ圧力制御装置
4 高圧切換弁(HSV)
5 切換弁(USV)
6 後方左側入口弁
7 後方左側出口弁
8 逆止弁
9 リターン・ポンプ
10 モータ
16 後方右側入口弁
17 後方右側出口弁
20 右後車輪の車輪ブレーキ
21 貯蔵室
30 前室
BLS ストップ・ランプ・スイッチ
ASR 駆動滑り制御
HSV1 高圧切換弁(ブレーキ回路1)
HSV2 高圧切換弁(ブレーキ回路2)
Z カウンタ値
nRFP リターン・ポンプの回転速度
F ペダル力
t、t1…t5 時間
D 急落
Pvor マスタ・ブレーキ・シリンダ内の供給圧力
401 RFP(リターンポンプ)
402 高圧切換弁HSV
403 Δt(時間区間の長さ)
404 BLS(ストップ・ランプ・スイッチ)
405 Δt(時間区間の長さ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車油圧ブレーキ装置内の圧力パルス回避方法において、
マスタ・ブレーキ・シリンダと少なくとも1つのリターン・ポンプの吸込側との間の油圧媒体の流動を制御する油圧弁の電気操作が、
− リターン・ポンプの電気操作の終了後に、油圧弁が、その開閉状態の関数として、開放状態をとるかまたは開放状態のままであるように操作され、および
− 設定可能長さの時間区間が経過したのちにはじめて閉じられる、
ように行われる、自動車油圧ブレーキ装置内の圧力パルス回避方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
− リターン・ポンプの電気操作の終了後に、前記操作の終了時点において開かれている油圧弁はその後も開かれたままであり、および
− 設定可能長さの時間区間が経過したのちにはじめて閉じられる、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
− 前記操作の終了時点において遮断されている油圧弁は開かれ、および
− 設定可能長さの時間区間が経過したのちにはじめて閉じられる、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
リターン・ポンプの前記操作の終了時点においてもドライバがなおブレーキを操作している場合には、前記遮断されている油圧弁は、ドライバがもはやブレーキを操作しなくなったときにはじめて開かれることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
ドライバのブレーキ操作がストップ・ランプ・スイッチの状態および/または測定供給圧力により検出されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記油圧弁がブレーキ回路の高圧切換弁であることを特徴とする方法。
【請求項7】
自動車油圧ブレーキ装置内の圧力パルス回避装置において、
マスタ・ブレーキ・シリンダと少なくとも1つのリターン・ポンプの吸込側との間の油圧媒体の流動を制御する油圧弁を電気操作するための操作装置を含み、この場合、前記操作装置が、
− リターン・ポンプの電気操作の終了後に、油圧弁が、その開閉状態の関数として、開放状態をとるかまたは開放状態のままであるように操作され、および
− 設定可能長さの時間区間が経過したのちにはじめて閉じられる、
ように形成されている、自動車油圧ブレーキ装置内の圧力パルス回避装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
前記油圧弁がブレーキ回路の高圧切換弁であることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、
前記ブレーキ回路が走行動特性制御装置または駆動滑り制御装置またはアンチロック装置のブレーキ回路であることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−1534(P2006−1534A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169017(P2005−169017)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】