説明

自動車用ウエザストリップ

【課題】シール性が十分で確実に所定位置に装着可能な、フランジからの騒音を確実に防止することができる自動車用ウエザストリップを提供することを目的とする。
【解決手段】自動車のウエザストリップ10は、フランジ7に取付けられる取付基部20と、取付基部に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部30を有する。取付基部20は、少なくとも車外側側壁21及び底壁23から形成されるとともに、車外側側壁と底壁の連絡部分は、他の部分よりも剛性を大きく形成し、車外側側壁21の車内側面に両面接着テープ25が貼着される。底壁の車外側側壁との連絡部分付近の内面は、フランジの先端を係止するフランジ当接部23bが形成され、フランジ当接部以外の底壁の内面には、フランジ7の先端をシールするコーキング部材26が装着されたことを特徴とする自動車用ウエザストリップである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドア、ラッゲージ、スライディングルーフ等の車体開口部を開閉する車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする自動車用ウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明について、図4に示すように、自動車のドア2と車体開口部周縁6のシールを例に取り説明する。
従来、自動車のドア2と車体開口部周縁6との間のシールは、図6に示すように、ドア2におけるドアフレーム等の外周のリテーナー4に取付けられるドアウエザストリップ160と、ドアフレーム等の内周のチャンネル3に取付けられるガラスラン150と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ110とによりなされる。
なお、フランジ7は、車体開口部周縁を規定しているアウターパネル6aと車内側のインナーパネル8等とによって形成されている。
【0003】
ガラスラン150は、車外側側壁151、底壁152と車内側側壁153からなる断面略コ字形の内部にドアガラス5の先端を収納し、その先端を車外側側壁151と車内側側壁153の先端から延設した車外側シールリップ154と車内側シールリップ155によりシールしている。
【0004】
ドア2の外周に取付けられたドアウエザストリップ160は、取付基部161とその上部に一体に形成された中空シール部164とシールリップ部166から構成される。取付基部161は、ドアフレームの外周に設けられたリテーナー4に嵌め込まれてドアフレームに固定される。そして、ドア2閉時にシールリップ部166が車体開口部周縁(アウターパネル)6の最も車外側の側端に当接し、ドア2の先端と車体開口部周縁6の車外側側端との間の隙間をシールする。そのとき、中空シール部164は、車体開口部周縁6のシールリップ部166が当接する部分よりも車内側の膨出部分に当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。
【0005】
車体の開口部には、上記のフランジ7に取付けられたオープニングトリムウエザストリップ110があり、ドアウエザストリップ160が車体開口部周縁6をシールする部分よりもさらに車内側でドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。オープニングトリムウエザストリップ110は、断面略U字形の取付基部(トリム部)120により上記のフランジ7に取付けられ、中空シール部130がドアフレーム膨出部2aに当接してシールする。このトリム部120は、フランジ7を把持するために、金属インサート等の芯材124が埋設され、フランジ保持リップを備えている。
【0006】
しかしながら、このオープニングトリムウエザストリップ110は、車体のドア部の開口である車体開口部周縁6の全周に装着される場合が多く、車体開口部周縁6のフランジ7は、その部位によって厚さが異なる。即ち、フランジ7は、車体を構成するパネルの先端が接合されて、形成されるが、接合されるパネルの数は、部位によって2枚から8枚程度まで変化し、その厚さは2mmから8mm程度まで変化する。
このため、トリム部120がフランジ7を挟持する力を補強する金属インサート等の芯材124が埋設された断面略U字形のトリム部120を、フランジ7に装着する場合に、トリム部120の柔軟性が低下して、部位によって挿入力が大きくなったり、フランジ7把持力が小さくなったりする場合があった。
【0007】
また、自動車の軽量化とリサイクルの容易性のためには金属インサート等の芯材124をなくすることも望まれていた。
そのため、図7に示すように、トリム部120の金属インサート等の芯材124を無くし、柔軟性を増加させ、両面接着テープ127を使用してフランジ7に装着することも行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。この場合は、オープニングトリムウエザストリップ110の取付基部(トリム部)120において、車内側側壁122の外面に両面接着テープ127を取付けて、車内側側壁122をフランジ7に沿わせて、フランジ7の車外側の側面に両面接着テープ127を圧着する。
【0008】
また、図8に示すように、オープニングトリムウエザストリップ110の底壁123及び車外側側壁121から形成されたトリム部120の内部にフランジ7を装着する場合に、車外側側壁121の内面に両面接着テープ127を貼付して、フランジ7の側面に接着することも行なわれている(例えば、特許文献2参照。)。
この場合は、フランジ7の側面に車外側側壁121の内面を接着するため、フランジの肉厚が変化しても容易に取付けることは可能である。
【0009】
しかし、フランジ7は車体開口部周縁を規定しているアウターパネル6aと車内側のインナーパネル8等の先端部が溶接等により接合されて形成されており、車体開口部周縁では、アウターパネル6aとインナーパネル8はフランジ7の少し内側で空洞を形成している。この空洞を通って、風切り音、タイヤノイズや路面反射音等の騒音が車体開口部周縁の全周に亘り伝達されるが、フランジ7はスポット溶接による凹凸や、フランジ7端部の板金の凹凸により隙間が生じる。この隙間から上記の騒音が漏れて、車内に伝達されることとなる。
【0010】
また、このオープニングトリムウエザストリップ110を車体開口部周縁のコーナー部に取付けると、金属インサートをなくしたためトリム部120の剛性が低下して、コーナー部ではトリム部120の車外側側壁121や底壁123が内側に倒れこみ、両面接着テープ127を接着する位置が変化したり、両面接着テープ127が波打ったりする問題がある。
【0011】
このフランジ7から漏れる騒音と、車外からオープニングトリムウエザストリップ110のトリム部120の内部を経由して車内に侵入する雨水、埃、騒音を防止するために、図9に示すように、トリム部120の内部に粘性の高い不乾性のシーラー170を封入するものもある(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、このシーラー170は粘性の高い液状であるため、その取り扱いに手間がかかり、一端組み付けた後に、トリム部120をフランジ7から外し、再度組み付けるときに、フランジ7やトリム部120の外面にシーラー170が付着して、再組付けが困難であった。
【0012】
このため、図8に示すオープニングトリムウエザストリップ110の底壁123の内面に、シールのためにコーキング部材を設けることも試みられているが、コーキング部材にフランジ7の先端が押し当てられた場合に、底壁123の剛性が不十分で、底壁123が図8における下方に回動し、コーキング部材にフランジ7の先端が十分に当接できないため、シール性が十分ではなかった。
【特許文献1】特開2002−127841号公報
【特許文献2】特開平11−42984号公報
【特許文献3】実開昭54−31622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このため、本発明は、このシーラー170を廃止して、コーナー追従性が良好で、シール性が十分で確実に所定位置に装着可能な、フランジからの騒音を確実に防止することができる自動車用ウエザストリップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするウエザストリップにおいて、
ウエザストリップは、車体開口部開閉部材又は車体開口部周縁のいずれか一方の部材に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、他方の部材である車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、
取付基部は、少なくとも車外側側壁及び底壁から形成されるとともに、車外側側壁と底壁の連絡部分は、他の部分よりも剛性を大きく形成し、車外側側壁の車内側面に両面接着テープが貼着され、
底壁の車外側側壁との連絡部分付近の内面は、フランジの先端を係止するフランジ当接部が形成され、フランジ当接部以外の底壁の内面には、フランジの先端をシールするコーキング部材が装着された自動車用ウエザストリップである。
【0015】
請求項1の本発明では、取付基部は、少なくとも車外側側壁及び底壁から形成されているとともに、車外側側壁と底壁の連絡部分は、他の部分よりも剛性を大きく形成したため、底壁にフランジの先端が当接しても、車外側側壁と底壁の連絡部分は変形し難く、その連絡部を中心に底壁がフランジの先端から離れる方向に回動することがない。
また、車外側側壁の車内側面に両面接着テープが貼着されているため、両面接着テープにより車外側側壁をフランジの側面に接着することにより、コーナー部においてもフランジに追従して、両面接着テープが確実に接着し、フランジの肉厚が変化してもオープニングトリムウエザストリップをフランジに確実に装着することができる。
【0016】
底壁の車外側側壁との連絡部分付近の内面は、フランジの先端を係止するフランジ当接部が形成されている。このためフランジ当接部にフランジの先端が係止されて、ウエザストリップがフランジに装着される位置を確実に定めることができ、両面接着テープを車外側側壁の所定位置に確実に接着できる。また、フランジ当接部とその付近は、硬質部材で形成されているため、フランジの先端が当接しても変形することが少なく、フランジを所定位置に確実に係止することができる。
【0017】
フランジ当接部以外の底壁の内面には、フランジの先端をシールするコーキング部材が装着されている。このため、コーキング部材がフランジの先端を覆うことができ、フランジの先端の凹凸や隙間をシールして、騒音が漏れて、車内に伝達されることを防止しするとともに、雨水や埃が車内に侵入することを防止できる。
【0018】
請求項2の本発明は、車外側側壁と底壁の連絡部分は、硬質部材で形成した自動車用ウエザストリップである。
【0019】
請求項2の本発明では、車外側側壁と底壁の連絡部分は、硬質部材で形成したため、連絡部分は十分な剛性を有することができるとともに、取付基部の他の部分と同時に押出成形で同時に形成することができ、製造が容易である。
【0020】
請求項3の本発明は、車外側側壁及び底壁の連絡部分並びに底壁の他の部分は、一体的に硬質部材で形成した自動車用ウエザストリップである。
【0021】
請求項3の本発明では、車外側側壁及び底壁の連絡部分並びに底壁の他の部分は、一体的に硬質部材で形成したため、連絡部分から底壁の先端まで連続して硬質部材で形成することができ、フランジの先端が底壁に当接しても、底壁が変形し難く、フランジの先端とのシール性を確保することができる。
【0022】
請求項4の本発明は、硬質部材は、JIS硬度85°〜95°の硬質ゴムから形成された自動車用ウエザストリップである。
【0023】
請求項4の本発明では、硬質部材は、JIS硬度85°〜95°の硬質ゴムから形成されたため、フランジの先端が底壁のフランジ当接部に当接しても、底壁は変形の少ない十分な硬度を有している。
【0024】
請求項5の本発明は、車外側側壁と底壁の連絡部分には、インサート部材を埋設した自動車用ウエザストリップである。
【0025】
請求項5の本発明では、車外側側壁と底壁の連絡部分には、インサート部材を埋設したため、この連絡部分に十分な剛性を与えることができ、底壁が変形し難く、フランジの先端と底壁との間のシール性を確保することができる。インサートの埋設は、押出成形時に同時にすることができ、製造が容易である。インサートは、車外側側壁と底壁の連絡部分のみに埋設されるため、インサートを小さくすることができ、ウエザストリップの重量を増加させることが少ない。
【0026】
請求項6の本発明は、コーキング部材は、底壁の先端方向に行くにつれて肉厚に形成している自動車用ウエザストリップである。
【0027】
請求項6の本発明では、コーキング部材は、底壁の先端方向に行くにつれて肉厚に形成しているため、底壁が連絡部分を中心に若干下方に回動しても、コーキング部材とフランジの先端が離れることがなく、シール性を向上させることができる。
【0028】
請求項7の本発明は、両面接着テープと車外側側壁との間にクッション層を設けた自動車用ウエザストリップである。
【0029】
請求項7の本発明では、両面接着テープと車外側側壁との間にクッション層を設けたため、車外側側壁の表面に凹凸があっても、両面接着テープを車外側側壁に強固に接着することができるとともに、フランジの表面に凹凸があっても、フランジと両面接着テープとも強固に接着することができる。
【0030】
請求項8の本発明は、車体開口部開閉部材はドアであり、ウエザストリップは、オープニングトリムウエザストリップである自動車用ウエザストリップである。
【0031】
請求項8の本発明では、車体開口部開閉部材はドアであり、ウエザストリップは、オープニングトリムウエザストリップであるため、車体開口部周縁とドアとの間を確実にシールすることができるとともに、フランジの隙間から車内に侵入する騒音を取付基部により確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明では、フランジ当接部にフランジの先端が係止されて、ウエザストリップがフランジに装着される位置を確実に定めることができる。また、フランジ当接部とその付近は、硬質部材で形成されているため、フランジの先端が当接しても変形することが少なく、フランジを所定位置に確実に係止することができる。フランジ当接部以外の底壁の内面に取付けられたコーキング部材がフランジの先端を覆うことができ、フランジの先端の凹凸や隙間をシールして、騒音が漏れて、車内に伝達されることを防止しするとともに、雨水や埃が車内に侵入することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施の形態を、車体開口開閉部材としてドア2と、ウエザストリップとしてオープニングトリムウエザストリップ10を例にとり説明する。本発明は、オープニングトリムウエザストリップ10以外にも、スライディングルーフウエザストリップ、ラッゲージウエザストリップ等の自動車の車体開口部とその開口部を閉じる車体開口部の車体開口部周縁6の間をシールする開閉部材に使用されるウエザストリップにも使用することができる。
【0034】
本発明を、図1〜図5に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10が図4における車体開口部周縁6に装着された状態の図5におけるA−A線に沿った部分の断面図である。図2は、本発明の第2の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10が、同様に、図4における車体開口部周縁6に装着された状態の図5におけるA−A線に沿った部分の断面図である。図3は、本発明の第3の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10が、同様に、図4における車体開口部周縁6に装着された状態の図5におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
図4は自動車のドア2を開いた状態において、車体開口部周縁6への取付状態を示す斜視図である。図5は、車体開口部周縁6に装着されるオープニングトリムウエザストリップ10の全体の正面図である。
【0035】
図4に示すように、自動車の車体1は、車体開口部を有し、その車体開口部は、車体開口部開閉部材であるドア2により開閉される。車体開口部の周囲は、車体開口部周縁6を形成し、車体開口部周縁6は先端が車体1を構成するアウターパネル6aとインナーパネル8等の先端が溶接されて、フランジ7(図1、2参照)となっている。このフランジ7に車体開口部周縁6とドア2との間をシールするオープニングトリムウエザストリップ10が装着される。
フランジ7は、車体1の車体開口部周縁6の部位により溶接されるパネルの数が2枚〜8枚程度まで変化する。
【0036】
オープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により直線状に成形される。この直線状に形成された1本のオープニングトリムウエザストリップ10は、図5に示すように、車体開口部周縁6の形状に沿って、環状となるようにフランジ7に装着される。装着は、オープニングトリムウエザストリップ10の一方の端末から順次、フランジ7に装着され、装着が完了すると、他方の端末が一方の端末と接合することとなる。この端末は、接続部11により型接合されて環状に形成されていてもよい。
また、オープニングトリムウエザストリップ10の端末同士を装着前に接着剤で接着して環状にしてもよい。
【0037】
次に、図1に基づき、本発明の第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10の断面形状について説明する。
オープニングトリムウエザストリップ10は、フランジ7に取付けられる、断面略L字形のトリム部(取付基部)20と、トリム部20から一体的に形成され、ドア2のドアフレーム膨出部2aに当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールする中空状のシール部(中空シール部)30を有する。
【0038】
トリム部20は、車外側側壁21と底壁23からなり一体的にL字形に屈曲している。トリム部20は、フランジ7の肉厚の変化に柔軟に対応できるため、車外側側壁21及び底壁23から形成され、車内側は車内側側壁が設けられていない。しかしながら、底壁23の先端からフランジ7の側面を保持するリップを設けてもよい。
また、長手方向の伸縮を規制するワイヤーや幅の狭い帯状のフィルム等を底壁23等に埋設することができる。
【0039】
車外側側壁21は断面が略平板状に形成され、車外側側壁21の車内側面には両面接着テープ25が貼着されている。オープニングトリムウエザストリップ10は、両面接着テープ25によりフランジ7の側面に接着される。
両面接着テープ25を使用すると、フランジ7の車外側の面に接着するのみであるため、フランジ7の厚さが変化しても装着方法は同じであり、フランジ7への接着力は同様であり、装着が容易である。また、車外側側壁21に両面接着テープ25を貼着すると、貼着面積も大きく、強固にトリム部20を接着することができる。
両面接着テープ25をスポンジ材で形成し、肉厚を厚くしたり、車外側側壁21において両面接着テープ25が接着される面の接着部21fをスポンジ材で形成すると、両面接着テープ25が車外側側壁21に密着するとともに、フランジ7の側面に形成されたスポット痕等の凹凸に合わせて変形して車外側側壁21と密着させることができる。
【0040】
車外側側壁21の車内側面の底壁23寄りの部分には突部21cを設けてもよい。この突部21cに沿って両面接着テープ25の側端を貼着すると両面接着テープ25の位置決めをすることができる。
車外側側壁21と底壁23とを一体的に連絡する車外側側壁連絡部21d及び底壁連絡部23cは、硬質の材料で形成されている。この場合は、車外側側壁連絡部21d及び底壁連絡部23cの剛性が増加して、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に装着したときに、フランジ7の先端に押されて、底壁23が車外側側壁連絡部21dを中心にフランジ7の先端から離れる方向に、即ち、図1における下方に大きく回動することを防止することができる。
また、オープニングトリムウエザストリップ10を車体開口部周縁6のコーナー部に装着しても、車外側側壁21と底壁23が内側に倒れこむことがなく、車外側側壁21をフランジ7の所定位置に確実に接着することができる。
【0041】
車外側側壁21の先端には、スポンジ材から形成された先端部21bが一体的に形成されている。先端部21bは、車外側側壁21がフランジ7に装着されると、アウターパネル6aの屈曲した部分に当接して、アウターパネル6aとオープニングトリムウエザストリップ10の間をシールすることができる。
先端部21bのスポンジ材は、先端部21bから車外側側壁21の両面接着テープ25が貼着される接着部21fまで延長して形成することができる。この場合は、上記したように、両面接着テープ25と車外側側壁21が密着するとともにフランジ7の側面に形成されたスポット痕等の凹凸をより一層吸収することができる。
【0042】
底壁23は、略平板状に形成され、上述のように車外側側壁21との連続部分である底壁連絡部23cは、硬質の材料で形成され、底壁23の底壁連絡部23c以外の部分はソリッドゴムで形成されている。
底壁連絡部23cの内面でフランジ7のアウターパネル6aの先端が当接する部分は、フランジ当接部23bが設けられている。この部分は、後述するコーキング部材であるコーキングスポンジ26が設けられていなく、直接底壁23にアウターパネル6aの先端が当接して、アウターパネル6aの先端が係止される。
これによって、オープニングトリムウエザストリップ10がフランジ7に装着される位置を確実に定めることができる。
【0043】
底壁連絡部23cと車外側側壁連絡部21dは、上記のように、底壁23と車外側側壁21の他の部分よりも硬度が高い材料(硬質部材)で形成されているため、フランジ7の先端が当接して押されても、底壁23が変形することが少なく、車外側側壁21がフランジ7に接着される位置を定めることができ、フランジ7を確実に係止することができる。
【0044】
底壁23の硬質材は、例えば、JIS硬度85°〜95°の硬質ゴムから形成することができる。このため、フランジ7の先端がフランジ当接部23bに当接しても、十分な硬度を有しており、底壁23が変形されることが少ない。
底壁23と車外側側壁21の他の部分は、JIS硬度60°〜80°の軟質のソリッドゴムから形成されることができる。このため、フランジ7の先端を保持するに十分な強度とフランジ7を形成するパネルの枚数が増加して、フランジ7の厚さが変化しても、追従することが可能な十分な柔軟性を併せ持つことができる。
【0045】
底壁23の内面には、スポンジ製のコーキング部材であるコーキングスポンジ26が設けられている。コーキング部材としては、スポンジ材以外でも柔軟性があり、フランジ7の先端を包み込んでシールすることができるものであればよいが、スポンジ部材が柔軟性に富み好ましい。コーキング部材は軟質ゴムの中空形状で形成することもできる。コーキングスポンジ26は底壁23の先端からフランジ当接部23bの手前まで設けられており、フランジ7のインナーパネル8の先端がコーキングスポンジ26に確実に当接することができるように形成されている。
【0046】
コーキングスポンジ26は、底壁23の先端が高く底壁連絡部23c側が低い断面略台形状に形成されている。
このため、トリム部20をフランジ7に装着した後に、フランジ7の先端に底壁23が押されて、底壁23が車外側側壁21との連絡部を中心にフランジ7の先端から離れる方向(下方)に回動して変形しても、コーキングスポンジ26は、その車内側端部が高く形成されており、フランジ7の先端と離れることが無く、フランジ7の先端から騒音や雨水が洩れることが無く、シール性を確保することができる。
【0047】
また、フランジ7は、通常最も車外側のアウターパネル6aの先端を最も長く形成し、インナーパネル8は、そのアウターパネル6aの先端よりも短く形成されている。そのアウターパネル6aの先端は、フランジ7において複数枚を溶接されているのでその先端の寸法がばらつくことがある。しかしながら、コーキングスポンジ26の先端側が高い台形状に形成されるため、そのばらつきを吸収して、確実にフランジ7の先端を包むことができる。
【0048】
車外側側壁21の外面には中空シール部30が一体的に設けられている。中空シール部30は、車外側側壁21の外面に断面形状が略楕円形の中空状のスポンジ材で形成される。スポンジ材はスポンジゴム、スポンジ熱可塑性エラストマー等を使用する。中空シール部30は、ドア閉時にドア2のドアフレームのドアフレーム膨出部2aに当接してドア2と車体開口部周縁6の間をシールする。中空シール部30は、当接する相手部材の位置に応じて、底壁23から形成することができる。
中空シール部30の代わりに中空状ではなく、リップ状のシール部を車外側側壁21の外面に設けてもよい。
【0049】
オープニングトリムウエザストリップ10において、中空シール部30やコーキングスポンジ26は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのスポンジ材で形成され、トリム部(取付基部)20の硬質材以外の部分は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのソリッド材または微発泡材で形成され、トリム部20の硬質材の部分は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのソリッド材で形成されると、耐候性のよい製品を得ることができる。また、この場合は、オープニングトリムウエザストリップ10は全体としてオレフィン系でありそのまま一緒に粉砕等を行い、リサイクルして使用することができる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施の形態を図2に基き説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態とは、底壁23の部分が異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分を説明し、同様の部分の説明は省略する。
底壁23は、略平板状に形成され、車外側側壁21との連続部分である底壁連絡部23cを含めて全ての部分で硬質の材料で形成されている。このため、底壁連絡部23cから底壁23の先端まで一体的に硬質部材で形成することができ、フランジ7の先端が底壁23とコーキングスポンジ26に当接しても、底壁23が変形し難く、フランジ7の先端と底壁23との間のシール性を確保することができる。また、車外側側壁21は柔軟性のあるソリッドゴム当で形成されているため、トリム部20が車体1の車体開口部周縁6のコーナー部に取り付けられても、そのコーナー部に追従することができ、車外側側壁21をフランジ7の側面に接着することができる。
【0051】
次に、本発明の第3の実施の形態を図3に基き説明する。第3の実施の形態は、第1の実施の形態とは、底壁連絡部23cと車外側側壁連絡部21dの部分にインサート部材27を埋設した部分が異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分を説明し、同様の部分の説明は省略する。
インサート部材27は、図3に示すように、車外側側壁21と底壁23の屈曲した連続部分、即ち、車外側側壁連絡部21dと底壁連絡部23cの部分に、屈曲した角度に沿って断面が略直角に屈曲して埋設されている。
【0052】
このため、この車外側側壁連絡部21dと底壁連絡部23cとの連絡部分に十分な剛性を与えることができ、フランジ7が底壁23とコーキングスポンジ26を押し下げても、フランジ7の先端と底壁23との間のシール性を確保することができる。また、インサート部材27の埋設は、オープニングトリムウエザストリップ10を押出成形する時に同時にインサート部材27を押出してすることができ、製造が容易である。インサート部材27は、車外側側壁21と底壁23の連絡部分のみに埋設されるため、インサート部材27の幅を小さくすることができ、オープニングトリムウエザストリップ10の重量を増加させることが少ない。
【0053】
次に、オープニングトリムウエザストリップ10の製造方法を説明する。
このオープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により成形され、トリム部20を構成するソリッドゴムと中空シール部30を構成するスポンジゴムを押出成形機で一体に押出すことができる。
その後、通常の方法により加硫、切断される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが図5におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが図5におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが図5におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図4】自動車の側面の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態であるドアオープニングトリムウエザストリップの正面図である。
【図6】従来のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における断面図である。
【図7】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における一部断面図である。
【図8】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における一部断面図である。
【図9】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における一部断面図である。
【符号の説明】
【0055】
6 車体開口部周縁
6a アウターパネル
7 フランジ
10 ドアオープニングトリムウエザストリップ
20 トリム部(取付基部)
21 車外側側壁
21d 車外側側壁連絡部
22 車内側側壁
23 底壁
23b フランジ当接部
23c 底壁連絡部
25 両面接着テープ
26 コーキングスポンジ(コーキング部材)
30 中空シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするウエザストリップにおいて、
該ウエザストリップは、上記車体開口部開閉部材又は車体開口部周縁のいずれか一方の部材に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に設けられ、他方の部材である車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材に当接して上記車体開口部開閉部材と上記車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、
上記取付基部は、少なくとも車外側側壁及び底壁から形成されるとともに、該車外側側壁と底壁の連絡部分は、他の部分よりも剛性を大きく形成し、上記車外側側壁の車内側面に両面接着テープが貼着され、
上記底壁の上記車外側側壁との連絡部分付近の内面は、上記フランジの先端を係止するフランジ当接部が形成され、該フランジ当接部以外の上記底壁の内面には、上記フランジの先端をシールするコーキング部材が装着されたことを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
【請求項2】
上記車外側側壁と底壁の連絡部分は、硬質部材で形成した請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項3】
上記車外側側壁及び底壁の連絡部分並びに底壁の他の部分は、一体的に硬質部材で形成した請求項2に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項4】
上記硬質部材は、JIS硬度85°〜95°の硬質ゴムから形成された請求項2又は請求項3に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項5】
上記車外側側壁と底壁の連絡部分には、インサート部材を埋設した請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項6】
上記コーキング部材は、上記底壁の先端方向に行くにつれて肉厚に形成している請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項7】
上記両面接着テープと車外側側壁との間にクッション層を設けた請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項8】
上記車体開口部開閉部材はドアであり、上記ウエザストリップは、オープニングトリムウエザストリップである請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の自動車用ウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−152978(P2007−152978A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346500(P2005−346500)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】