説明

自動車用ウエザストリップ

【課題】製造が容易で、安価で、十分な柔軟性と、車体やボンネットへの取付け安定性を有する自動車用ウエザストリップを得る。
【解決手段】押出成形により形成された長手方向に連続する自動車用ウエザストリップ10において、自動車用ウエザストリップ10は、全体がゴムのソリッド材で形成される。自動車用ウエザストリップ10は、平板状に形成され車体又はボンネットに取付けられる取付基部11と、取付基部11の側端から断面形状が湾曲して形成される湾曲部12と、湾曲部12の側端から先端に行くにつれて肉厚が減少するよう延設される先端リップ部13とから構成される。取付基部11の外面に、幅方向の全幅に凹溝部15aを形成し、取付基部の内面に、幅方向に凹溝部15bを形成し、該凹溝部は取付基部の外面と内面に長手方向の全長に亘り並列して形成された自動車用ウエザストリップである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形により成形され、自動車のエンジンルーム内への雨水や埃、走行時の空気の浸入を防止する自動車用ウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロント前面において、車体1とボンネット2の間から自動車のエンジンルーム5内へ雨水や埃が浸入したり、さらに走行中には空気が浸入して騒音が発生したり、エンジンルーム内からエンジン音が外部に出ることを防止するため、図5に示すように、車体1の前端のラジエーターサポートの上面にウエザストリップ110を取付けたり、図6に示すように、ボンネット2の裏面の前端にウエザストリップ110を取付けたりしている。
【0003】
このウエザストリップ110は、図9に示すように、押出成形で成形され、スポンジゴムからなるものがある。このウエザストリップ110は、平板状の取付基部111の上部又は側部に円弧状の中空シール部112を有しており、取付基部111にはクリップ120が多数取付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この場合には、スポンジゴム製であるため、柔軟性はあるが、取付基部111の剛性が低いため、取付基部111と車体1やボンネット2との間の隙間を少なくするためにはクリップ120を多く使用することが必要であり、車体1やボンネット2に取付ける部分が、車輌の上下方向や前後方向の屈曲に追従するのに多数のクリップ120が必要となり、手間がかかるとともに、コストアップの要因ともなっていた。
【0005】
また、図10に示すように、ゴムのソリッド材を押出成形してウエザストリップ210を成形するものもある(例えば、特許文献2参照。)。このウエザストリップ210は、平板状の取付基部211の側端から円弧状にシールリップ212を形成し、取付基部211の裏面に両面接着テープ220を貼着し、車体1やボンネット2に取付けている。
【0006】
この場合には、取付基部211がソリッドゴムであるため、柔軟性に乏しく、図5に示すように、ウエザストリップ210を取付ける車体1の前端のラジエーターサポートやヘッドライト4の上部の位置が上下に屈曲したり、車輌の前後方向に湾曲したりしている場合には、その屈曲や湾曲に追従させることが困難であったり、車体1やボンネット2との間に隙間が生じてしまう恐れもあった。
【0007】
そのため、図11に示すように、合成樹脂の射出成形でウエザストリップ310を形成するものがある(例えば、特許文献3参照。)。このウエザストリップ310は、平板状の取付基部311の側端から円弧状にシールリップ312を形成し、取付基部311の裏面にクリップ321を一体的に形成し、車体1やボンネット2に取付けている。そして、取付基部311の所々に蛇腹構造315を形成している。
【0008】
この場合には、ウエザストリップ310の全体を射出成形で形成するため、手間がかかり、コストアップともなる。さらに、合成樹脂で形成されているため柔軟性も不充分であった。また、蛇腹構造315を車体1やボンネット2の屈曲や湾曲部と一致させることが必要であり手間もかかっていた。さらに、取付基部311を蛇腹構造315とした場合には、取付基部311の溝の深さや肉厚の変化が難しく、剛性が不充分となった。
【0009】
【特許文献1】特開平6−298013号公報
【特許文献2】特開平10−236239号公報
【特許文献3】特開2005−186908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため、自動車用ウエザストリップにおいて、製造が容易で、安価で、十分な柔軟性と、車体やボンネットへの取付け安定性を得ることが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、押出成形により形成された長手方向に連続する自動車用ウエザストリップにおいて、
自動車用ウエザストリップは、全体がゴムのソリッド材で形成されるとともに、平板状に形成され車体又はボンネットに取付けられる取付基部と、取付基部の側端から断面形状が湾曲して形成される湾曲部と、湾曲部の側端から先端に行くにつれて肉厚が減少するよう延設される先端リップ部とから構成され、
取付基部の外面に、幅方向の全幅に凹溝部を形成し、取付基部の内面に、幅方向に凹溝部を形成し、凹溝部は取付基部の外面と内面に長手方向の全長に亘り並列して形成されたことを特徴とする自動車用ウエザストリップである。
【0012】
請求項1の本発明では、自動車用ウエザストリップは、押出成形で、全体がゴムのソリッド材で形成されるため、射出成形と比べて成形速度が早く、製造が容易であり、ゴムのソリッド材であるためスポンジ材と比べて全体として十分な剛性と柔軟性を有することができる。
【0013】
取付基部は、平板状に形成され車体又はボンネットに取付けられるため、車体又はボンネットの平面に安定して取り付けられることができ、先端リップ部の位置を安定させることができるとともに、取付基部と車体又はボンネットとの間の隙間をなくしてシール性を確保することができる。
【0014】
湾曲部が、取付基部の側端から断面形状が湾曲して形成されるため、先端リップ部を斜め上方に向けて形成でき、相手部材に対して当接されるように位置させることができるとともに、先端リップ部が相手部材と当接したときに、湾曲部が撓んで、相手部材に合わせて当接し、シールすることができる。
【0015】
先端リップ部が湾曲部の側端から先端に行くにつれて肉厚が減少するよう延設されるため、先端リップ部の先端の柔軟性が大きく、相手部材に先端リップ部が当接したときに、相手部材の凹凸や湾曲等の形状変化に追従して、相手部材と密着して、車体の前端とボンネットの前端との間のシール性を確保することができ、エンジンルーム内に雨水や埃等の浸入を防止して、エンジンルーム内から騒音が外部に出ることを防止できる。
【0016】
取付基部の外面に、幅方向の全幅に凹溝部を形成し、取付基部の内面に、幅方向に凹溝部を形成したため、取付基部の柔軟性が増加し、ウエザストリップを車体の湾曲に沿って上下方向や車輌の前後方向に屈曲させても、凹溝部が伸張又は収縮して、その屈曲に追従することができる。
【0017】
凹溝部は取付基部の外面と内面に長手方向の全長に亘り並列して形成されたため、ウエザストリップを取付ける車体やボンネットの表面の凹凸や屈曲のバラツキがあっても、その屈曲の変化に対応することができる。さらに、凹溝部の深さや、間隔を変化させることにより、取付基部の全体の厚さを維持しつつ柔軟性を屈曲の程度に合わせて変化させることができる。
【0018】
請求項2の本発明は、凹溝部は、自動車用ウエザストリップが押出成形後未加硫状態で形成され、その後、加硫された自動車用ウエザストリップである。
【0019】
請求項2の本発明では、凹溝部は、自動車用ウエザストリップが押出成形後未加硫状態で形成され、その後、加硫されたため、ウエザストリップを押出成形すると、その押出成形のラインで凹溝部の形成と、その後の加熱による加硫で形状の固定をすることがでる。また、凹溝部の形状を押圧ローラー等の形状を変えることにより自由に選択できるとともに、製造が早く安価にできる。
【0020】
請求項3の本発明は、取付基部の外面に形成された凹溝部と、取付基部の内面に形成された凹溝部とは、凹溝部の位置が上下方向に一致して形成された自動車用ウエザストリップである。
【0021】
請求項3の本発明では、取付基部の外面に形成された凹溝部と、取付基部の内面に形成された凹溝部とは、凹溝部の位置が上下方向に一致して形成されたため、取付基部の外面と内面に形成された凹溝部の底の薄肉の部分が向き合って形成されて、車体やボンネットの屈曲に応じて、ゴムで形成された凹溝部の底が伸縮して対応することができる。また、凸状部も内面と外面では対向して形成されているため、取付基部の剛性を維持することができ、先端リップ部の位置を保持して、シール性を確保することができる。
【0022】
請求項4の本発明は、取付基部の外面に形成された凹溝部と、取付基部の内面に形成された凹溝部とは、凹溝部の位置が上下方向にずれて形成された自動車用ウエザストリップである。
【0023】
請求項4の本発明では、取付基部の外面に形成された凹溝部と、取付基部の内面に形成された凹溝部とは、凹溝部の位置が上下方向にずれて形成されたため、取付基部の柔軟性が大きく、車体やボンネットの屈曲に応じて、ゴムで形成された凹溝部が伸縮して対応することができる。
【0024】
請求項5の本発明は、凹溝部と凹溝部の間に形成された凸条部の頂部に平面部が形成された自動車用ウエザストリップである。
【0025】
請求項5の本発明では、凹溝部と凹溝部の間に形成された凸条部の頂部に平面部が形成されたため、ウエザストリップの取付基部を車体又はボンネットに取付けたときに、凸条部の頂部の平面部が車体又はボンネットと密着して取付基部が安定する。さらに、両面接着テープで取付けたときは、両面接着テープとの接着面積が増加し接着力が向上し、クリップで取付けたときは、凸条部にクリップの頭部が当接し、クリップが安定して、取付け強度が向上する。
【0026】
請求項6の本発明は、湾曲部と先端リップ部の境界の内面に長手方向に連続する突条を形成した自動車用ウエザストリップである。
【0027】
請求項6の本発明では、湾曲部と先端リップ部の境界の内面に長手方向に連続する突条を形成したため、先端リップ部が車体又はボンネットに当接したときに、先端リップ部がこの突条を基点に屈曲することができ、先端リップ部と車体又はボンネットとのシール性を確保することができる。
【0028】
請求項7の本発明は、湾曲部は、取付基部との連続部分と湾曲部の中央付近で屈曲して形成され、先端リップ部は、平板状に形成された自動車用ウエザストリップである。
【0029】
請求項7の本発明では、湾曲部は、取付基部との連続部分と湾曲部の中央付近で屈曲して形成されるため、ボンネットを閉めて、ウエザストリップの先端リップ部が車体又はボンネットに当接したときに、湾曲部分が上下方向に撓むことができ、先端リップ部を車体又はボンネットへ柔軟に当接させることができる。
先端リップ部は、平板状に形成されたため、先端リップ部が車体又はボンネットに当接したときに、先端リップ部の先端が車体又はボンネットの表面に沿って当接し、表面の変化に対しても追従してシールすることができる。
【0030】
請求項8の本発明は、取付基部は、両面接着テープ又はクリップで、車体又はボンネットに取付けられた自動車用ウエザストリップである。
【0031】
請求項8の本発明では、取付基部は、両面接着テープ又はクリップで、車体又はボンネットに取付けられたため、取付基部を車体又はボンネットの形状に沿って取付けることができる。両面接着テープで取付けた場合には、取付基部と車体又はボンネットとの間の密着性を高めシール性を確保することができる。また、両面接着テープとクリップを併用することもでき、その場合には、車体又はボンネットが湾曲した部分等のより強い密着力を要する部分に両面接着テープを使用してシール性を確保することができる。
【0032】
請求項9の本発明は、自動車用ウエザストリップは、EPDMゴムで形成された自動車用ウエザストリップである。
【0033】
請求項9の本発明では、自動車用ウエザストリップは、EPDMゴムで形成されたため加硫により形状を保持できる充分な剛性と、柔軟性と弾力性を有し、耐候性に優れた安価な製品を得ることができる。また、リサイクル使用も容易である。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、先端リップ部が湾曲部の側端から先端に行くにつれて肉厚が減少するよう延設されるため、先端リップ部の柔軟性が大きく、相手部材の凹凸や湾曲等の形状変化に追従して、車体の前端とボンネットの前端との間のシール性を確保することができる。
取付基部の外面に、幅方向の全幅に凹溝部を形成し、取付基部の内面に、幅方向に凹溝部を形成したため、取付基部の柔軟性が増加し、車体の湾曲に沿って上下方向や車輌の前後方向に屈曲させても、凹溝部が伸張又は収縮して、その屈曲に追従することができる。
さらに、凹溝部の深さや、間隔を変化させることにより、取付基部の全体の厚さを維持しつつ柔軟性を屈曲の程度に合わせて変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施の形態を図1〜図8に基づき説明する。
図1と図2は、本発明の実施の第1と第2の形態の自動車用のウエザストリップ10の断面図である。図1は、取付基部11の外面に形成された外面凹溝部15aと、内面に形成された内面凹溝部15bとは、凹溝部の位置が上下方向にずれて形成されたものであり、図2は、取付基部11の外面に形成された外面凹溝部15aと、内面に形成された内面凹溝部15bとは、凹溝部の位置が上下方向に一致して形成されたものである。
図3は、ウエザストリップ10を両面接着テープ20で取付けた断面図、図4は、ウエザストリップ10をクリップ21で取付けた断面図である。
【0036】
図5は、本発明の実施の形態の自動車用のウエザストリップ10を自動車の車体1の前端に取付けた状態を示す斜視図、図6は、本発明の実施の形態の自動車用のウエザストリップ10を自動車のボンネット2の裏面の前端に取付けた状態を示す斜視図である。
図7は、本発明の実施の形態の自動車用のウエザストリップ10を製造する製造ラインの模式図であり、図8は、本発明の実施の形態の自動車用のウエザストリップ10を製造する製造ラインにおける凹溝部を形成する装置の斜視図である。
【0037】
まず、本発明の実施の形態を示す自動車用のウエザストリップ10の形状と取付け方法について説明し、その後、ウエザストリップ10の製造方法について説明する。
本発明のウエザストリップ10は、図5に示すように、車体1の前端に取付けられる。車体1の前端は、例えば、ラジエーターサポートの上面から、ヘッドライト4の上面に亘り取付けられ、ボンネット2が閉じたときに、ボンネット2との間の隙間を塞ぐようにボンネット2の裏面に当接する。
【0038】
また、図6に示すように、ウエザストリップ10は、ボンネット2の裏面の先端に取り付けられることができる。この場合は、ボンネット2を閉じたときに、ウエザストリップ10は、車体1の前端に当接する。図5の場合も図6の場合も、車体1の前端やボンネット2の前端の形状に沿って、車輌の上下方向や、前後方向にウエザストリップ10は、撓ませて取付けられる。
【0039】
これにより、図5の場合も図6の場合も、車体1の先端とボンネット2の先端との間をシールすることができる。そして、自動車のエンジンルーム5内へ雨水や埃が浸入したり、さらに走行中には空気が浸入して騒音が発生したり、エンジンルーム内からエンジン音が外部に出ることを防止することができる。
【0040】
まず、図1に基づき第1の実施の形態であるウエザストリップ10を説明し、次に第2の実施の形態であるウエザストリップ10を説明する。
第1の実施の形態のウエザストリップ10の形状は、図1に示すように、車体1又はボンネット2に取付けられる取付基部11と、取付基部11の側端から延設される湾曲部12と、湾曲部12の側端から延設される先端リップ部13から形成され、全体の断面形状は、取付基部11である底部が直線状の略C字形である。
【0041】
取付基部11は、図1に示すように、表面の凹凸を除き、平板状で帯状に形成されて、車体1又はボンネット2に取付けられるため、車体1又はボンネット2の取付基部11と接する平面に安定して取り付けられることができ、先端リップ部13の位置を安定させることができるとともに、取付基部11と車体1又はボンネット2と密着し、その間の隙間をなくしてシール性を確保することができる。
【0042】
取付基部11の外面に、幅方向の全幅に外面凹溝部15aが形成され、外面凹溝部15aと外面凹溝部15aの間には外面凸条部16aが形成されている。外面凹溝部15aと外面凸条部16aは交互に、取付基部11の外面に長手方向全面に亘り並列して形成されている。外面凸条部16aは、外面凹溝部15aが形成されるときに取付基部11の外面が残った部分であり、外面凸条部16aを特に形成したのではなく、外面凹溝部15aを形成すると必然的に形成されるものである。
【0043】
取付基部11の内面に、図4に示すように、幅方向の半分乃至三分の二の幅で、内面凹溝部15bが形成され、内面凹溝部15bと内面凹溝部15bの間には内面凸条部6bが形成されている。内面凹溝部15bが、取付基部11の幅方向の全長に亘り形成されないのは、後述するように、内面凹溝部15bを形成する内面凹溝部形成ローラー52が取付基部11の幅方向の奥まで達することができないためである。
【0044】
内面凹溝部15bと内面凸条部16bは交互に、取付基部11の内面に長手方向の全長に亘り並列して形成されている。内面凸条部16bは、内面凹溝部15bが形成されるときに取付基部11の内面が残った部分であり、内面凸条部16bを特に形成したのではなく、内面凹溝部15bを形成すると必然的に形成されるものである。
【0045】
図1に示すように、取付基部11の外面凹溝部15aと内面凹溝部15bとは、凹溝部の位置が上下方向にずれて形成され、外面凸条部16aと内面凸条部16bもずれて形成されている。このため、車体1やボンネット2に取付基部11を取付けるときに、の外面凹溝部15aと内面凹溝部15bとが開くように撓むことにより、取付基部11の柔軟性が大きくなり、車体1やボンネット2の屈曲に応じて、ゴムで形成された外面凹溝部15aと内面凹溝部15bが伸縮して対応することができる。
【0046】
このため、取付基部11の柔軟性が増加し、ウエザストリップ10を車体1やボンネット2の湾曲や撓みに沿って上下方向や車輌の前後方向に屈曲させても、その屈曲に追従することができる。また、外面凹溝部15aと内面凹溝部15bを取付基部11の長手方向に全長に亘り形成したため、ウエザストリップ10の取付け部分である車体1やボンネット2の屈曲がばらついても、取付基部11のどの部分でも、その屈曲の変化に対応することができる。
【0047】
さらに、後述するように、外面凹溝部15aと内面凹溝部15bの深さや、間隔を変更させることができ、この場合には、取付基部11の柔軟性をウエザストリップ10が取付けられる部分の屈曲の程度に合わせて変更することができる。そして、外面凹溝部15aと内面凹溝部15bを形成するのみで、取付基部11の全体の厚さを維持することができ、取付基部11の剛性を維持して、湾曲部12や先端リップ部13を保持することができる。
【0048】
外面凹溝部15aと外面凹溝部15aの間隔、あるいは、内面凹溝部15bと内面凹溝部15bの間隔を若干広くする場合には、図1に示すように、外面凸条部16aと内面凸条部16bの頂部は、平らな外面平面部17aと内面平面部17bが形成されている。この場合は、ウエザストリップ10の取付基部11を車体1又はボンネット2に取付けたときに、外面凸条部16aの頂部の外面平面部17aが車体1又はボンネット2と密着することができる。また、内面凸条部16bの頂部の内面平面部17bにクリップ21の頭部が当接して、クリップ21が安定することができる。
【0049】
取付基部11は、図3に示すように、両面接着テープ20で、車体1又はボンネット2に取付けることができる。両面接着テープ20により、取付基部11を車体1又はボンネット2の形状に沿って貼着することができる。この場合には、取付基部11と、車体1又はボンネット2との間が全長に亘り、密着して、両面接着テープ20により隙間がなくなりシール性を確保することができる。また、取付基部11が安定するとともに、後述するように、両面接着テープ20で取付けたときは、両面接着テープ20との接着面積が増加し接着力が向上する。
【0050】
また、図4に示すように、取付基部11は、クリップ21で、車体1又はボンネット2に取付けることができる。この場合には、取付基部11と車体1又はボンネット2にそれぞれ挿入孔を形成し、その挿入孔にクリップ21を取付ける。これにより、取付基部11を車体1又はボンネット2の形状に沿って取付けることができる。
したがって、取付基部11をクリップ21で取付けたときは、内面平面部17bにクリップ21の頭部が当接して、頭部が安定し、クリップ21が安定して、取付け強度が向上する。
【0051】
また、両面接着テープ20とクリップ21を併用することもできる。その場合には、車体1又はボンネット2が湾曲した部分等の取付基部11を撓ませてより強い密着力を要する部分に両面接着テープ20を使用してシール性を確保することができ、取付基部11が撓むことが少ない部分にはクリップ21のみを使用することができる。これにより、高価な両面接着テープ20を節約することができる。
【0052】
湾曲部12は、取付基部11の側端から断面形状が湾曲するように形成されている。このため、湾曲部12の他方の側端から形成された先端リップ部13を、車体1又はボンネット2に対して当接されるように位置させることができる。さらに、先端リップ部13が車体1又はボンネット2と当接したときに、湾曲部12が撓んで、車体1又はボンネット2の形状に合わせて先端リップ部13が当接し、シールすることができる。
【0053】
湾曲部12は、円弧状に形成することができる。また、取付基部11の側端と湾曲部12の側端の連続部分で屈曲する第1屈曲部18と、湾曲部12の中央付近で屈曲する第2屈曲部19の2箇所で屈曲させて形成することができる。
湾曲部12は、ウエザストリップ10が車体1又はボンネット2に当接したときに、湾曲部12が上下方向に撓むことができ、先端リップ部13を車体1又はボンネット2へ柔軟に当接させることができる。
【0054】
先端リップ部13は、湾曲部12の取付基部11と連続しない他方の側端から、湾曲部12の側端を延長するように形成され、湾曲部12の側端から先端に行くにつれて肉厚が減少するよう延設されている。このため、先端リップ部13は、その先端が車体1又はボンネット2に線接触するように当接することができる。
【0055】
また、先端リップ部13の先端部分の柔軟性が大きく、車体1又はボンネット2に先端リップ部13が当接したときに、車体1又はボンネット2の凹凸や湾曲等の形状変化に追従して、車体1又はボンネット2と密着して、車体1の前端とボンネット2の前端との間のシール性を確保することができる。
【0056】
湾曲部12と先端リップ部13の境界の内面には、長手方向に連続する突条14が形成されている。このため、先端リップ部13が車体1又はボンネット2に当接したときに、先端リップ部13がこの突条14を基点に屈曲することができ、先端リップ部13と車体1又はボンネット2とのシール性を確保することができる。
【0057】
ウエザストリップ10は、押出成形で、全体がゴムのソリッド材で形成される。ゴムのソリッド材で全体が形成されているため、スポンジ材と比べて全体として十分な剛性と柔軟性を有することができる。特に、取付基部11が車体1又はボンネット2に取付けられたときに、湾曲部12と先端リップ部13を確実に保持してシール性を確保することができる。
【0058】
次に、図2に基づき第2の実施の形態であるウエザストリップ10を説明する。
第2の実施の形態のウエザストリップ10の形状は、第1の実施の形態と同様に、車体1又はボンネット2に取付けられる取付基部11と、取付基部11の側端から延設される湾曲部12と、湾曲部12の側端から延設される先端リップ部13から形成され、全体の断面形状は、取付基部11である底部が直線状の略C字形である。湾曲部12と先端リップ部13は、第1の実施の形態と同じであり、取付基部11異なるため、異なる部分を説明し、同様の部分の説明を省略する。
【0059】
取付基部11の外面に、幅方向の全幅に外面凹溝部15aが形成され、外面凹溝部15aと外面凹溝部15aの間には外面凸条部16aが形成されている点は第1の実施の形態と同じである。
取付基部11の内面に、図4に示すように、幅方向の半分乃至三分の二の幅で、内面凹溝部15bが形成され、内面凹溝部15bと内面凹溝部15bの間には内面凸条部16bが形成されている点も第1の実施の形態と同じである。
【0060】
図2に示すように、取付基部11の外面凹溝部15aと内面凹溝部15bとは、凹溝部の位置が上下方向に一致して形成され、外面凸条部16aと内面凸条部16bも上下方向に一致して形成されている。したがって、外面凹溝部15aと内面凹溝部15bのそれぞれの底については底が向き合って形成される。このため、車体1やボンネット2に取付基部11を取付けるときに、車体1やボンネット2の屈曲に応じて、ゴムで形成された外面凹溝部15aと内面凹溝部15bの底の向き合っている部分が伸縮して対応することができる。
【0061】
また、外面凸条部16aと内面凸条部16bも内面と外面では上下方向に、同じ位置で対向して形成されているため、外面凸条部16aと内面凸条部16bが形成されている部分では、取付基部11の肉厚が確保されている。したがって、取付基部11の剛性を維持することができ、湾曲部12を保持し、先端リップ部13の位置を保持して、シール性を確保することができる。
【0062】
さらに、第1の実施の形態と同様に、外面凹溝部15aと内面凹溝部15bの深さや、間隔を変化させることができ、この場合には、取付基部11の柔軟性をウエザストリップ10が取付けられる部分の屈曲の程度に合わせて変化させることができる。
また、第1の実施の形態と同様に、外面凹溝部15aと外面凹溝部15aの間隔、あるいは、内面凹溝部15bと内面凹溝部15bの間隔を若干広くする場合には、図2に示すように、外面凸条部16aと内面凸条部16bの頂部は、平らな外面平面部17aと内面平面部17bが形成されている。この場合は、ウエザストリップ10の取付基部11を車体1又はボンネット2に取付けたときに、外面凸条部16aの頂部の外面平面部17aが車体1又はボンネット2と密着することができる。
【0063】
次に、図7と図8に基づいてウエザストリップ10の製造方法について説明する。
図7に示すように、ウエザストリップ10は、まず、ウエザストリップ10を形成する未加硫の長尺物59が、押出成形機50のダイス50bからウエザストリップ10の断面形状に形成されて押出成形される。
【0064】
押出成形された長尺物59は、凹溝部形成装置51に送られる。
図8に示すように、凹溝部形成装置51は、内面凹溝部形成ローラー52と外面凹溝部形成ローラー53から構成される。内面凹溝部形成ローラー52と外面凹溝部形成ローラー53の間に、長尺物59の取付基部11に相当する部分が送り込まれて、挟持される。
【0065】
内面凹溝部形成ローラー52と外面凹溝部形成ローラー53の両方の表面円周上には凸条52b、53bが幅方向に多数形成されている。内面凹溝部形成ローラー52と外面凹溝部形成ローラー53が、長尺物59の取付基部11に相当する部分の内面と外面に当接して、内面凹溝部形成ローラー52と外面凹溝部形成ローラー53により、長尺物59の取付基部11に相当する部分の外面と内面が押圧される。長尺物59はまだ未加硫状態であるため、内面凹溝部形成ローラー52と外面凹溝部形成ローラー53の凸条52b、53bが取付基部11の内面と外面に食い込んで、内面凹溝部15bと外面凹溝部15aが形成される。
【0066】
内面凹溝部形成ローラー52と外面凹溝部形成ローラー53を図8に示すように回転させると、内面凹溝部15bと外面凹溝部15aは次々に長尺物59の取付基部11に相当する部分の外面に形成される。内面凹溝部形成ローラー52と外面凹溝部形成ローラー53凹の凸条52b、53bの高さと円周方向の間隔を調整することにより、ウエザストリップ10の取付基部11に形成される内面凹溝部15bと外面凹溝部15aの大きさと間隔を変化させることができる。
【0067】
内面凹溝部形成ローラー52は、長尺物59の湾曲部12と先端リップ部13に相当する部分と接触しないように、取付基部11の幅方向の半分乃至三分の二程度まで当接するように構成され、直径が小さく、片側のみで軸が支持されている。このため、図4に示すように、内面凹溝部15bは、取付基部11の幅方向の半分乃至三分の二程度までの幅で形成されている。
【0068】
次に、長尺物59は、高周波加熱炉54と熱風加熱炉55に送られて、加熱して加硫される。
その後、長尺物59は、引き取り機56により引き取られて、裁断機57により所定寸法に裁断される。そして、パレット58に並べられ、必要な場合には、両面接着テープ20やクリップ21の取付けが行われて、ウエザストリップ10となる。
【0069】
使用されるゴムは、通常の合成ゴムを使用することができるが、EPDMゴムを使用することが好ましい。
EPDMゴムを使用する場合には、充分な剛性と、柔軟性と弾力性を有し、耐候性に優れた安価な製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施の形態の自動車用ウエザストリップの斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の自動車用ウエザストリップの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップの両面接着テープを使用した場合の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップのクリップを使用した場合の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップを自動車の車体の前端に取付けた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップを自動車のボンネットの裏面の前端に取付けた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップを製造する製造ラインの模式図である。
【図8】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップを製造する製造ラインにおける凹溝部を形成する装置の斜視図である。
【図9】従来の自動車用ウエザストリップの斜視図である。
【図10】従来の他の自動車用ウエザストリップの斜視図である。
【図11】従来の他の自動車用ウエザストリップの斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
10 ウエザストリップ
11 取付基部
12 湾曲部
13 先端リップ部
14 突条
15a 外面凹溝部
15b 内面凹溝部
16a 外面凸条部
16b 内面凸条部
17a 外面平面部
17b 内面平面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形により形成された長手方向に連続する自動車用ウエザストリップにおいて、
上記自動車用ウエザストリップは、全体がゴムのソリッド材で形成されるとともに、平板状に形成され車体又はボンネットに取付けられる取付基部と、該取付基部の側端から断面形状が湾曲して形成される湾曲部と、該湾曲部の側端から先端に行くにつれて肉厚が減少するよう延設される先端リップ部とから構成され、
上記取付基部の外面に、幅方向の全幅に凹溝部を形成し、上記取付基部の内面に、幅方向に凹溝部を形成し、該凹溝部は上記取付基部の外面と内面に長手方向の全長に亘り並列して形成されたことを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
【請求項2】
上記取付基部の外面と内面に形成された上記凹溝部は、上記自動車用ウエザストリップが押出成形後、未加硫状態で形成され、その後、加硫された請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項3】
上記取付基部の外面に形成された凹溝部と、上記取付基部の内面に形成された凹溝部とは、凹溝部の位置が上下方向に一致して形成された請求項1又は請求項2に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項4】
上記取付基部の外面に形成された凹溝部と、上記取付基部の内面に形成された凹溝部とは、凹溝部の位置が上下方向にずれて形成された請求項1又は請求項2に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項5】
上記取付基部の外面又は内面の上記凹溝部と凹溝部の間に形成された凸条部の頂部に平面部が形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項6】
上記湾曲部と先端リップ部の境界の内面に長手方向に連続する突条を形成した請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項7】
上記湾曲部は、上記取付基部との連続部分と湾曲部の中央付近で屈曲して形成され、上記先端リップ部は、平板状に形成された請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項8】
上記取付基部は、両面接着テープ又はクリップで、車体又はボンネットに取付けられた請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項9】
上記自動車用ウエザストリップは、EPDMゴムで形成された請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−227239(P2009−227239A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78512(P2008−78512)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】