説明

自動車用ウエザストリップ

【課題】製造が容易で、安価で、十分な柔軟性と、車体やボンネットへの取付け安定性を有する自動車用ウエザストリップを得る。
【解決手段】押出成形により形成された長手方向に連続する自動車用ウエザストリップ10において、自動車用ウエザストリップ10は、全体がゴムのソリッド材で形成される。自動車用ウエザストリップ10は、平板状に形成され車体又はボンネットに取付けられる取付基部11と、取付基部11の側端から断面形状が湾曲して形成される湾曲部12と、湾曲部12の側端から先端に行くにつれて肉厚が減少するよう延設される先端リップ部13とから構成される。取付基部11は、クリップ20により取付けられ、クリップ20は取付基部11を挟持する断面コ字形のクリップ頭部22と、車体又はボンネットの挿入孔に挿入されるクリップ脚部21から形成された自動車用ウエザストリップである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形により成形され、自動車のエンジンルーム内への雨水や埃、走行時の空気の浸入を防止する自動車用ウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロント前面において、車体1とボンネット2の間から自動車のエンジンルーム5内へ雨水や埃が浸入したり、さらに走行中には空気が浸入して騒音が発生したり、エンジンルーム内からエンジン音が外部に出ることを防止するため、図4に示すように、車体1の前端のラジエーターサポートの上面にウエザストリップ110を取付けたり、図5に示すように、ボンネット2の裏面の前端にウエザストリップ110を取付けたりしている。
【0003】
このウエザストリップ110は、図8に示すように、押出成形で成形され、スポンジゴムからなるものがある。このウエザストリップ110は、平板状の取付基部111の上部又は側部に円弧状の中空シール部112を有しており、取付基部111にはクリップ120が多数取付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この場合には、スポンジゴム製であるため、柔軟性はあるが、取付基部111の剛性が低いため、取付基部111と車体1やボンネット2との間の隙間を少なくするためにはクリップ120を多く使用することが必要であり、車体1やボンネット2に取付ける部分が、車輌の上下方向や前後方向の屈曲に追従するのに多数のクリップ120が必要となり、取付基部111に多数のクリップ挿入孔を形成する必要があり、手間がかかるとともに、コストアップの要因ともなっていた。
【0005】
また、図9に示すように、ゴムのソリッド材を押出成形してウエザストリップ210を成形するものもある(例えば、特許文献2参照。)。このウエザストリップ210は、平板状の取付基部211の側端から円弧状にシールリップ212を形成し、取付基部211の裏面に両面接着テープ220を貼着し、車体1やボンネット2に取付けている。
【0006】
この場合には、取付基部211に両面接着テープ220を使用するため、コストアップの原因となっていた。
また、同様な形状で、合成樹脂で形成されたウエザストリップ210もあるが、充分な柔軟性がなく、車体1やボンネット2の取付部分の形状変化に追従することができなかった。
【0007】
そのため、図10に示すように、ゴムのソリッド材を押出成形して、ソリッドゴムの取付基部311と湾曲部312、先端リップ部313を有するウエザストリップ310を形成し、取付基部311をクリップ320で、車体1やボンネット2に取付けているものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
この場合には、クリップ320を別に合成樹脂の射出成形で形成し、ウエザストリップ310の取付基部311に、押出成形後に別加工でクリップ挿入孔315を形成し、クリップ320をそのクリップ挿入孔315に挿入している。
そのため、加工工数が増加し、生産性がよくなかった。
【0009】
また、ウエザストリップを合成樹脂の射出成形で成形し、同時にウエザストリップの取付基部にクリップを同時に形成するものもある(例えば、特許文献4参照。)。
しかしこの場合は、射出成形の金型の構造が複雑になるとともに、成形時間が長くなり生産性がよくなかった。
【0010】
【特許文献1】特開平6−298013号公報
【特許文献2】特開平10−236239号公報
【特許文献3】特開平7−285395号公報
【特許文献4】特開2005−186908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このため、製造が容易で、安価で、取付が容易な自動車用ウエザストリップを提供することが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、押出成形により形成された長手方向に連続する自動車用ウエザストリップにおいて、
自動車用ウエザストリップは、全体がゴムのソリッド材で形成されるとともに、平板状に形成され車体又はボンネットに取付けられる取付基部と、取付基部の側端から断面形状が湾曲して形成される湾曲部と、湾曲部の側端から先端に行くにつれて肉厚が減少するよう延設される先端リップ部とから構成され、
取付基部は、クリップにより車体又はボンネットに取付けられ、クリップは取付基部を挟持する断面コ字形のクリップ頭部と、車体又はボンネットに形成された挿入孔に挿入されるクリップ脚部から形成されたことを特徴とする自動車用ウエザストリップである。
【0013】
請求項1の本発明では、自動車用ウエザストリップは、押出成形で、全体がゴムのソリッド材で形成されるため、射出成形と比べて成形速度が早く、製造が容易であり、ゴムのソリッドであるためスポンジ材と比べて全体として十分な剛性と柔軟性を有することができる。
【0014】
取付基部は、平板状に形成され車体又はボンネットに取付けられるため、車体又はボンネットの平面に安定して取り付けられることができ、先端リップ部の位置を安定させることができるとともに、取付基部と車体又はボンネットとの間の隙間をなくしてシール性を確保することができる。
【0015】
湾曲部が、取付基部の側端から断面形状が湾曲して形成されるため、先端リップ部を斜め上方に向けて形成でき、相手部材に対して当接されるように位置させることができるとともに、先端リップ部が相手部材と当接したときに、湾曲部が撓んで、相手部材に合わせて当接し、シールすることができる。
【0016】
先端リップ部が湾曲部の側端から先端に行くにつれて肉厚が減少するよう延設されるため、先端リップ部の先端の柔軟性が大きく、相手部材に先端リップ部が当接したときに、相手部材の凹凸や湾曲等の形状変化に追従して、相手部材と密着して、車体の前端とボンネットの前端との間のシール性を確保することができ、エンジンルーム内に雨水や埃等の浸入を防止して、エンジンルーム内から騒音が外部に出ることを防止できる。
【0017】
取付基部は、クリップにより車体又はボンネットに取付けられ、クリップは取付基部を挟持する断面コ字形のクリップ頭部と、車体又はボンネットに形成された挿入孔に挿入されるクリップ脚部から形成された。このため、取付基部に予めクリップ挿入孔を形成する必要がなく、取付基部の所定位置に断面コ字形のクリップ頭部のコ字形の凹んだ部分をはめ込むのみで、クリップを取付基部に固定し、ウエザストリップを確実に車体又はボンネットに取付けることができる。コ字形のクリップ頭部で取付基部を挟持するため、強固に取付基部を保持することができる。
【0018】
請求項2の本発明は、取付基部の内面に長手方向に連続する取付基部突条を形成し、取付基部突条をクリップ頭部で押圧して、クリップの長手方向のズレを防止する自動車用ウエザストリップである。
【0019】
請求項2の本発明では、取付基部の内面に長手方向に連続する取付基部突条を形成し、取付基部突条をクリップ頭部で押圧して、クリップの長手方向のズレを防止した。このため、取付基部突条をクリップ頭部のコ字形の上板部で押圧して、クリップ頭部が取付基部突条に食い込むため、クリップをウエザストリップの所定位置で固定することができる。そして、ウエザストリップを取付けるときにクリップがずれることがなく、取付けた後にクリップはウエザストリップを保持して、車体又はボンネットからウエザストリップが外れることがなく、シール性を確保できる。
【0020】
請求項3の本発明は、取付基部の外面と内面は平面状に形成された自動車用ウエザストリップである。
【0021】
請求項3の本発明では、取付基部の外面と内面は平面状に形成されたため、車体又はボンネットの取付部分に取付基部の外面が密着してシールすることができるとともに、クリップ頭部が取付基部の内面と外面に密着して、ウエザストリップを安定して保持することができる。
【0022】
請求項4の本発明は、湾曲部と先端リップ部の境界の内面に長手方向に連続する突条を形成した自動車用ウエザストリップである。
【0023】
請求項4の本発明では、湾曲部と先端リップ部の境界の内面に長手方向に連続する突条を形成したため、先端リップ部が車体又はボンネットに当接したときに、先端リップ部がこの突条を基点に柔軟に屈曲することができ、先端リップ部と車体又はボンネットとのシール性を確保することができる。
【0024】
請求項5の本発明は、湾曲部は、取付基部との連続部分と湾曲部の中央付近で屈曲して形成され、先端リップ部は、平板状に形成された記載の自動車用ウエザストリップである。
【0025】
請求項5の本発明では、湾曲部は、取付基部との連続部分と湾曲部の中央付近で屈曲して形成されるため、ボンネットを閉めて、ウエザストリップの先端リップ部が車体又はボンネットに当接したときに、湾曲部分が上下方向に撓むことができ、先端リップ部を車体又はボンネットへ柔軟に当接させることができる。
先端リップ部は、平板状に形成されたため、先端リップ部が車体又はボンネットに当接したときに、先端リップ部の先端が車体又はボンネットの表面に沿って当接し、表面の変化に対しても追従してシールすることができる。
【0026】
請求項6の本発明は、自動車用ウエザストリップは、EPDMゴムで形成された自動車用ウエザストリップである。
【0027】
請求項6の本発明では、自動車用ウエザストリップは、EPDMゴムで形成されたため加硫により形状を保持できる充分な剛性と、柔軟性と弾力性を有し、耐候性に優れた安価な製品を得ることができる。また、リサイクル使用も容易である。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、先端リップ部が湾曲部の側端から先端に行くにつれて肉厚が減少するよう延設されるため、先端リップ部の柔軟性が大きく、相手部材の凹凸や湾曲等の形状変化に追従して、車体の前端とボンネットの前端との間のシール性を確保することができる。
クリップは取付基部を挟持する断面コ字形のクリップ頭部と、車体又はボンネットに形成された挿入孔に挿入されるクリップ脚部から形成されたため、取付基部の所定位置に断面コ字形のクリップ頭部の凹んだ部分をはめ込むのみで、クリップを取付基部に固定し、ウエザストリップを確実に車体又はボンネットに取付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施の形態を図1〜図7に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態の自動車用のウエザストリップ10にクリップ20を取付けた状態の斜視図である。図2は、本発明の実施の形態の自動車用のウエザストリップ10にクリップ20を取付けた状態の正面図である。図3は、本発明の実施の形態の自動車用のウエザストリップ10にクリップ20を取付けた状態の図2におけるA−A線に沿った断面図である。
【0030】
図4は、本実施の形態の自動車用のウエザストリップ10を自動車の車体1の前端に取付けた状態を示す斜視図、図5は、本実施の形態の自動車用のウエザストリップ10を自動車のボンネット2の裏面の前端に取付けた状態を示す斜視図である。
図6は、本実施の形態の自動車用のウエザストリップ10を製造する製造ラインの模式図であり、図7は、本実施の形態の自動車用のウエザストリップ10を製造する製造ラインにおける押出形成する装置の斜視図である。
【0031】
まず、本発明の実施の形態を示す自動車用のウエザストリップ10の形状と取付け方法について説明し、その後、ウエザストリップ10の製造方法について説明する。
本発明のウエザストリップ10は、図4に示すように、車体1の前端に取付けられる。車体1の前端は、例えば、ラジエーターサポートの上面から、ヘッドライト4の上面に亘り取付けられ、ボンネット2が閉じたときに、ボンネット2との間の隙間を塞ぐようにボンネット2の裏面に当接する。
【0032】
また、図5に示すように、ウエザストリップ10は、ボンネット2の裏面の先端に取り付けられることができる。この場合は、ボンネット2を閉じたときに、ウエザストリップ10は、車体1の前端に当接する。図4の場合も図5の場合も、車体1の前端やボンネット2の前端の形状に沿って、車輌の上下方向や、前後方向にウエザストリップ10は、撓ませて取付けられる。
【0033】
これにより、図4の場合も図5の場合も、車体1の先端とボンネット2の先端との間をシールすることができる。そして、自動車のエンジンルーム5内へ雨水や埃が浸入したり、さらに走行中には空気が浸入して騒音が発生したり、エンジンルーム内からエンジン音が外部に出ることを防止することができる。
【0034】
ウエザストリップ10の形状は、図1〜図3に示すように、車体1又はボンネット2に取付けられる取付基部11と、取付基部11の側端から延設される湾曲部12と、湾曲部12の側端から延設される先端リップ部13から形成され、全体の断面形状は、取付基部11である底部が平らな略C字形である。
【0035】
取付基部11は、図1に示すように、平板状で帯状に形成されて、車体1又はボンネット2に取付けられるため、車体1又はボンネット2の取付基部11と接する平面に安定して取り付けられることができ、先端リップ部13の位置を安定させることができるとともに、取付基部11と車体1又はボンネット2と密着し、その間の隙間をなくしてシール性を確保することができる。
【0036】
取付基部11の内面に長手方向に連続する取付基部突条15が形成されている。取付基部突条15を後述するクリップ20のクリップ頭部22で押圧して、取付基部突条15にクリップ頭部22を食い込ませて、クリップ20の長手方向のズレを防止することができる。
【0037】
このため、クリップ20をウエザストリップ10の取付基部11の所定位置で固定することができ、ウエザストリップ10を取付けるときに、クリップ20がずれることがなく、取付けた後に、クリップ20は取付基部11を強く挟持するため、車体1又はボンネット2からウエザストリップ10がずれたり、外れたりすることがなく、シール性を確保できる。
【0038】
湾曲部12は、取付基部11の側端から断面形状が湾曲するように形成されている。このため、湾曲部12の他方の側端から形成された先端リップ部13を、車体1又はボンネット2に対して当接されるように位置させることができる。さらに、先端リップ部13が車体1又はボンネット2と当接したときに、湾曲部12が撓んで、車体1又はボンネット2の形状に合わせて先端リップ部13が当接し、シールすることができる。
【0039】
湾曲部12は、円弧状に形成することができる。また、取付基部11の側端と湾曲部12の側端の連続部分で屈曲する第1屈曲部18と、湾曲部12の中央付近で屈曲する第2屈曲部19の2箇所で屈曲させて形成することができる。
湾曲部12は、ウエザストリップ10が車体1又はボンネット2に当接したときに、湾曲部12が上下方向に撓むことができ、先端リップ部13を車体1又はボンネット2へ柔軟に当接させることができる。2箇所で屈曲させると撓み荷重を軽減できる。
【0040】
先端リップ部13は、湾曲部12の取付基部11と連続しない他方の側端から、湾曲部12の側端を延長するように形成され、湾曲部12の側端から先端に行くにつれて肉厚が減少するよう延設されている。このため、先端リップ部13は、その先端が車体1又はボンネット2に線接触するように当接することができる。
【0041】
また、先端リップ部13の先端部分の柔軟性が大きく、車体1又はボンネット2に先端リップ部13が当接したときに、車体1又はボンネット2の凹凸や湾曲等の形状変化に追従して、車体1又はボンネット2と密着して、車体1の前端とボンネット2の前端との間のシール性を確保することができる。
【0042】
湾曲部12と先端リップ部13の境界の内面には、長手方向に連続する突条14が形成されている。このため、先端リップ部13が車体1又はボンネット2に当接したときに、先端リップ部13がこの突条14を基点に屈曲することができ、先端リップ部13と車体1又はボンネット2とのシール性を確保することができる。
【0043】
取付基部11を取付けるクリップ20は、取付基部11を挟持する断面コ字形のクリップ頭部22と、車体1又はボンネット2に形成された挿入孔に挿入されるクリップ脚部21から形成されている。クリップ20は合成樹脂製で、射出成形によりクリップ頭部22とクリップ脚部21を同時に形成する。あるいは、クリップ頭部22とクリップ脚部21を別々に成形し、組み合わせてもよい。
【0044】
クリップ脚部21は、弾性を増加させるために、中空状に形成され、先端が丸く先細りの円錐台状に形成される。クリップ脚部21は、車体1又はボンネット2に形成されたクリップ挿入孔(図示せず)に挿入される。
クリップ脚部21とクリップ頭部22の間は凹部23となっており、この間に車体1又はボンネット2の板金が嵌り、クリップ20は固定される
【0045】
クリップ頭部22は、図3に示すように、断面形状がコ字形に形成されている。クリップ頭部22の上辺の先端には上方に突出した凹溝24が形成されている。凹溝24の溝の大きさは取付基部突条15よりも小さく形成することが好ましい。クリップ頭部22の断面コ字形の内部に取付基部11が挿入されると、クリップ頭部22で取付基部11を挟持して、取付基部11に固定し、ウエザストリップ10を確実に車体1又はボンネット2に取付けることができる。
【0046】
このため、取付基部11にクリップ挿入孔を形成する必要がなく、取付基部11の所定位置に断面コ字形のクリップ頭部22のコ字形の凹んだ部分をはめ込むのみで、クリップ20を取付基部11に固定し、ウエザストリップ10を確実に車体1又はボンネット2に取付けることができる。
【0047】
クリップ頭部22の断面コ字形の内部に取付基部11が挿入されると、取付基部11の内面に形成された取付基部突条15を凹溝24で押圧して、取付基部突条15にクリップ頭部22の凹溝24が食い込んで、クリップ20の長手方向のズレを防止することができる。このため、クリップ20をウエザストリップ10の所定位置で固定することができ、ウエザストリップ10を取付けるときにクリップ20がずれることがなく、確実にクリップ挿入孔に挿入することができ、ウエザストリップ10を取付けた後に車体1又はボンネット2からウエザストリップ10が外れることがなく、シール性を確保できる。
【0048】
また、両面接着テープとクリップ20を併用することもできる。その場合には、車体1又はボンネット2が湾曲した部分等の取付基部11を撓ませてより強い密着力を要する部分に両面接着テープを使用してシール性を確保することができ、取付基部11が撓むことが少ない部分にはクリップ20のみを使用することができる。これにより、高価な両面接着テープを節約することができる。
【0049】
ウエザストリップ10は、押出成形で、全体がゴムのソリッド材で形成される。ゴムのソリッド材で全体が形成されているため、スポンジ材と比べて全体として十分な剛性と柔軟性を有することができる。特に、取付基部11が車体1又はボンネット2に取付けられたときに、湾曲部12と先端リップ部13を確実に保持してシール性を確保することができる。
【0050】
次に、図6と図7に基づいてウエザストリップ10の製造方法について説明する。
図6に示すように、ウエザストリップ10は、まず、ウエザストリップ10を形成する未加硫の長尺物59が、押出成形機50のダイス50bからウエザストリップ10の断面形状に形成されて押出成形される。
【0051】
ダイス50bから押出成形された長尺物59は、図7に示すように、送りローラー52、53または送りベルトで形状を保持されつつ送られる。長尺物59が変形しないときは送りローラー52、53または送りベルトは省略することができる。
図7に示すように、送りローラー52と送りローラー53の間に、長尺物59の取付基部11に相当する部分が送り込まれて、挟持される。
送りローラー52は、長尺物59の湾曲部12と先端リップ部13に相当する部分と接触しないように、直径が小さく、片側のみで軸が支持されている。
【0052】
次に、長尺物59は、高周波加熱炉54と熱風加熱炉55に送られて、加熱して加硫される。
その後、長尺物59は、引き取り機56により引き取られて、裁断機57により所定寸法に裁断される。そして、パレット58に並べられ、クリップ20の取付けが行われて、ウエザストリップ10となる。
【0053】
使用されるゴムは、通常の合成ゴムを使用することができるが、EPDMゴムを使用することが好ましい。
EPDMゴムを使用する場合には、充分な剛性と、柔軟性と弾力性を有し、耐候性に優れた安価な製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップの両面接着テープを使用した場合の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップのクリップを使用した場合の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップを自動車の車体の前端に取付けた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップを自動車のボンネットの裏面の前端に取付けた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップを製造する製造ラインの模式図である。
【図7】本発明の実施の形態の自動車用ウエザストリップを製造する製造ラインにおける凹溝部を形成する装置の斜視図である。
【図8】従来の自動車用ウエザストリップの斜視図である。
【図9】従来の他の自動車用ウエザストリップの斜視図である。
【図10】従来の他の自動車用ウエザストリップの斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
10 ウエザストリップ
11 取付基部
12 湾曲部
13 先端リップ部
14 リップ突条
15 取付基部突条
20 クリップ
21 クリップ脚部
22 クリップ頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形により形成された長手方向に連続する自動車用ウエザストリップにおいて、
上記自動車用ウエザストリップは、全体がゴムのソリッド材で形成されるとともに、平板状に形成され車体又はボンネットに取付けられる取付基部と、該取付基部の側端から断面形状が湾曲して形成される湾曲部と、該湾曲部の側端から先端に行くにつれて肉厚が減少するよう延設される先端リップ部とから構成され、
上記取付基部は、クリップにより車体又はボンネットに取付けられ、該クリップは上記取付基部を挟持する断面コ字形のクリップ頭部と、車体又はボンネットに形成された挿入孔に挿入されるクリップ脚部から形成されたことを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
【請求項2】
上記取付基部の内面に長手方向に連続する取付基部突条を形成し、該取付基部突条を上記クリップ頭部で押圧して、上記クリップの長手方向のズレを防止する請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項3】
上記取付基部の外面と内面は平面状に形成された請求項1又は請求項2に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項4】
上記湾曲部と先端リップ部の境界の内面に長手方向に連続する突条を形成した請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項5】
上記湾曲部は、上記取付基部との連続部分と湾曲部の中央付近で屈曲して形成され、上記先端リップ部は、平板状に形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項6】
上記自動車用ウエザストリップは、EPDMゴムで形成された請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−227240(P2009−227240A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78513(P2008−78513)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】