説明

自動車用サスペンションアームおよび自動車用サスペンション

【課題】 大きな荷重が入力された場合であってもアーム部が変形しにくく、かつ、サスペンションアームの軽量化を図ることができる自動車用サスペンションアームを提供する。
【解決手段】 本発明の自動車用サスペンションアームは、一方のブラケットの支軸に軸支される一方のブッシュ部と、他方のブラケットの支軸に軸支される他方のブッシュ部と、この両ブッシュ部と離間して車輪側に支持されるジョイント部とを備える自動車用サスペンションアームにおいて、この両ブッシュ部の対向する内側の開口のうち、前記ジョイント部に対して近い距離に位置する一方の前記ブッシュ部の内側の開口を、前記ジョイント部に近付く方向に傾斜させて設ける構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のサスペンションを構成するサスペンションアームと、これを利用してなる自動車用サスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のサスペンションは、車輪を個別に車体に支持するための構造体であり、路面からの振動や衝撃が車体に伝達するのを緩和して、乗員の乗り心地を確保するとともに、車輪の動きを抑制して操縦安定性の向上を図っている。自動車のサスペンションは主として、路面からの衝撃を吸収するスプリングと、スプリングの動きをコントロールするショックアブソーバーと、車輪の動きを制御するサスペンションアームなどによって構成されている。
【0003】
そして、これらの構成部品のうち、サスペンションアームは、車輪を軸支するためのナックル部と、ナックル部と係合されるジョイント部と、互いに離間して設けられ、車体本体に係合されたブッシュ部と、これらジョイント部とブッシュ部とを繋ぐアーム部と、を含んで構成されている。
【0004】
また、サスペンションアームのブッシュ部は、アルミニウム合金などの金属製の外筒および内筒と、この外筒と内筒との間に天然ゴムや合成ゴムなどの弾性体を接着させた構成(いわゆる内抑え形式のブッシュ部)や、ブッシュ部に相当する位置に設けられた棒部材を収めるケース部材と、この棒部材とケース部材の間に弾性体を接着させた構成(いわゆる外抑え形式のブッシュ部)としたものが用いられている。なお、この弾性体の特性によって、乗り心地や操縦安定性が影響することが一般に知られている(特許文献1参照)。
【0005】
近年、自動車の低燃費化の観点から、車重の軽量化が強く求められている。これにともない、前記の構成のサスペンションアームに対する軽量化の要望も強く、これに応えるためアーム部の断面形状を改良して必要な強度を維持しつつ、薄肉化するなどして軽量化が行われている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−63058号公報(段落0002〜0005)
【特許文献2】特開2003−63224号公報(段落0010、0011、0019)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したように、アーム部の断面形状を工夫して薄肉化すれば、自動車用サスペンションアームを軽量化することが可能であるが、アーム部の断面形状のみの工夫では必要な強度を維持しつつ軽量化を行うことが困難な状況となっていた。
【0007】
つまり、従来の自動車用サスペンションアームのブッシュ部は、自動車用サスペンションの上下動を考慮して、一方のブッシュ部の軸線と他方のブッシュ部の軸線が同一軸線(すなわち、これらの軸線のなす角度は0°)となるように設けられていた。
【0008】
しかし、一方のブッシュ部と他方のブッシュ部の軸線が同一軸線となる構成であると、例えば、大きな荷重が入力されるなどして、一方のブッシュ部(フロント側のブッシュ部)にこじり回転が生じた場合に、このこじり回転を拘束する力が弱く、また、このこじり回転を拘束する時期が遅いという問題点があった。
【0009】
また、従来は、ブッシュ部とブラケットとのクリアランスに余裕があったため、ブッシュ部が揺動できる角度(以下、揺動許容角度)が大きかった。そのため、ブッシュ部の回転がブラケットと当接してこじり回転を拘束してアーム部に作用する力を支えるまではアーム部のみで入力された大きな荷重に耐えなければならないという問題点があった。
【0010】
このように、従来の自動車用サスペンションアームは、ブッシュ部にこじり回転が発生しやすく、また、ブッシュ部に発生したこじり回転が拘束されにくい構造であった。その結果、走行中に縁石等の障害物に車輪が当接するなどして大きな荷重が入力されると、かかる自動車用サスペンションアームのアーム部が、入力された大きな荷重に耐えらず、変形することがあった。
【0011】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであって、大きな荷重が入力された場合であってもアーム部が変形しにくい自動車用サスペンションアーム、およびこれを用いた自動車用サスペンションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、ジョイント部に大きな荷重が入力されて、ブッシュ部に発生したこじり回転が拘束されにくいと、これが拘束されるまでアーム部のみで大きな荷重に対抗しなければならず、アーム部への負担が大きいことが原因でアーム部が変形するとという知見を得た。
【0013】
なお、「こじり」とは、車体高さ方向の軸を中心とする横回転をいい、本発明においては特に、ブッシュ部が車体に取付けられた状態において、これがトーアウト方向に回転するこじり回転が問題となる。また、「トーアウト方向」とは、車体の車幅方向の中心線と平行な軸(以下、基準軸線βという(図2参照))に対して車体の外側に向かう回転方向をいい、本明細書中では、便宜上、トーアウト方向を示す角度には、角度を示す数字の前にプラス記号“+”を付して表すこととする。
これに対し、「トーイン方向」とは、基準軸βに対して車体の中心に向かう回転方向をいい、本明細書中では、便宜上、トーイン方向を示す角度には、角度を示す数字の前にマイナス記号“−”を付して表すこととする。
【0014】
また、本発明者は研究の過程で、互いに離間して設けられた2ヶ所のブッシュ部のうち、ジョイント部から遠い位置にあるブッシュ部の軸線の角度を種々変更して検討した結果、当該ブッシュ部の軸線の角度を変更しても前記の課題を改善できる所望の効果が得られないという知見を得た。
【0015】
これに対し、ジョイント部に近いブッシュ部の軸線の角度を種々変更して検討した結果、当該ブッシュ部の軸線を変更して、こじり回転を速やかに拘束し、かつ、その拘束を強くすることで前記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、請求項1に記載の発明に係る自動車用サスペンションアームは、一方のブラケットの支軸に軸支される一方のブッシュ部と、他方のブラケットの支軸に軸支される他方のブッシュ部と、この両ブッシュ部と離間して車輪側に支持されるジョイント部とを備える自動車用サスペンションアームにおいて、この両ブッシュ部の対向する内側の開口のうち、前記ジョイント部に対して近い距離に位置する一方の前記ブッシュ部の内側の開口を、前記ジョイント部に近付く方向に傾斜させて設ける構成とした。
【0017】
このように、本発明に係る自動車用サスペンションアームの有する2ヶ所のブッシュ部のうち、ジョイント部に近い距離に位置する、一方のブッシュ部の内側の開口を、前記ジョイント部に近付く方向にあらかじめ傾斜させているので、このブッシュ部にトーアウト方向のこじり回転が発生した場合であっても、こじり回転に対する拘束を強くすることができる。その結果、こじり回転の反力モーメントが大きくかつ速やかに発生することになり、こじり回転の発生初期からアーム部だけでなくブッシュ部を用いて、大きな荷重に対抗することできるようになる。これにより、アーム部への負担を減らすことができ、アーム部を変形しにくくすることができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明に係る自動車用サスペンションアームは、請求項1に記載の自動車用サスペンションアームであって、前記一方のブッシュ部に用いられる弾性体の硬度が、Hs65以上である構成とした。
【0019】
このように、本発明に係る自動車用サスペンションアームの有する2ヶ所のブッシュ部のうち、ジョイント部に近い距離に形成されたブッシュ部に用いられる弾性体の硬度がHs65以上(JISK6253,タイプAデュロメータ)の比較的硬い弾性体を用いているので、弾性体の変形量を少なくすることができる。その結果、ブッシュ部にこじり回転が発生すると、このこじり回転を拘束し、このこじり回転の反力モーメントが大きくかつ速やかに発生する。したがって、こじり回転の発生初期からアーム部だけでなくブッシュ部を用いて、大きな荷重に対抗することできるようになる。したがって、アーム部への負担を減らすことができるので、アーム部を変形しにくくすることが可能となる。
【0020】
そして、請求項3に記載の発明に係る自動車用サスペンションは、請求項1または請求項2に記載の自動車用サスペンションアームを用いて構成されている。
【0021】
このように、本発明に係る自動車用サスペンションは、前記で説明した自動車用サスペンションアームを用いているので、大きな荷重が入力された場合であっても、当該自動車用サスペンションアームのアーム部への負担を軽減することができる。したがって、アーム部を変形しにくくすることができる。
【0022】
さらに、請求項4に記載の発明に係る自動車サスペンションは、請求項3に記載の自動車用サスペンションにおいて、自動車用サスペンションアームのブッシュ部を取付けるための車体のブラケットが、ブッシュ部の傾斜と平行に設けられた構成とした。
【0023】
このような構成とすれば、ブッシュ部を取付けるための車体のブラケットが、ブッシュ部の傾斜と平行に設けられているので、こじり回転が発生した場合すると、直ちにこのこじり回転を拘束し、反力モーメントを大きくかつ速やかに発生させることができる。したがって、よりアーム部が変形しにくい自動車用サスペンションを具現することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1または請求項2に記載の発明によれば、大きな荷重が入力された場合であってもアーム部が変形しにくいので、従来の自動車用サスペンションアームと同程度の強度を維持しつつも、変形しにくい部分の肉厚の削減により、自動車用サスペンションアームの軽量化を図ることができる。
また、請求項3または請求項4に記載の発明によれば、従来の自動車用サスペンションと同程度の強度を維持しつつも、変形しにくい部分の肉厚の削減により、自動車用サスペンションの軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を実施するための最良の形態についての具体的な説明を行う前に、図6および図7(a)〜(c)を参照して、独立懸架式のサスペンションのロアアームのジョイント部102が車体110の前方寄りに配置されたロアアーム101において、最も大きな荷重が入力される場面を想定して、走行中の自動車が縁石などの障害物に当接した場合におけるロアアーム101のブッシュ部103の動作とロアアーム101の受ける力(反力)について考察する。
【0026】
自動車が縁石などの障害物に当接した場合、ロアアーム101やこれのアーム部104、および、車輪(不図示)が取付けられているジョイント部102には、車輪を突き上げる方向の荷重の入力のほかに、ジョイント部102を後退させる方向に大きな荷重Fが入力される(図6参照)。
【0027】
このような大きな荷重Fが両ブッシュ部103に入力(この場合にあっては後退する方向(図面において左に向かう方向))されると、図7(a)に示すように、両ブッシュ部103(図7ではフロントブッシュ1031のみ図示)は、車体110のブラケット111aに当接するまで後退し、クリアランスCL2が無くなった後(図7(b))に、ブラケット111bとフロントブッシュ部1031との間に生じたクリアランスCL1を利用して、図7の紙面において反時計回りに回転運動Rwが働く(図7(c))。
【0028】
なお、ジョイント部102を後退させる方向に大きな荷重Fが入力されると、ブッシュ部103の弾性体105の弾性力に抗いながら、まずはロアアーム101全体が、大きな荷重Fの入力と同じ方向に移動しようとする(図6および図7(a)参照)。このときのフロントブッシュ部1031およびリアブッシュ部1032に発生する反力は、一つのモデルケースとして、以下のように示すことができる。
すなわち、図6に示すように、フロントブッシュ部1031には、大きな荷重Fの入力方向と反対の方向に向かう反力Rfxと、車体110に向かう反力Rfyと、を抽出することができ、リアブッシュ部1032には、大きな荷重Fの入力方向と反対の方向に向かう反力Rrxと、車体110の外側に向かう反力Rryと、を抽出することができる。
【0029】
ここで、前記した反力Rfx,Rfy,Rrx,Rryと、フロントブッシュ部1031とジョイント部102との距離L1、および、フロントブッシュ部1031とリアブッシュ部1032との距離L2を用いて、大きな荷重Fと、ジョイント部102、フロントブッシュ部1031、およびリアブッシュ部1032に作用する種々の反力と、フロントブッシュ部1031に作用する反力モーメントMfの関係を、下記のつりあい式(1)として表すことができる。
F・L1=Rry・L2+Mf ・・・(1)
(ただし、Rry=Rfy、F=Rfx+Rrx)
【0030】
前記のつりあい式(1)から、フロントブッシュ部1031に発生する反力モーメントMfを大きくかつ速やかに発生させれば、その分、反力Rryを小さくすることができることがわかる。これは、アーム部104にかかる負担を軽減することができることを意味する。
【0031】
以上の考察から、ブッシュ部が揺動できる角度(揺動許容角度)を小さくしてブッシュ部のこじり回転を拘束し、かつ、ここで発生する反力モーメントMfを大きくかつ速やかに発生させることにより、反力Rryを小さくすることが可能となり、本発明の目的である、自動車用サスペンションアームとして必要な強度を維持しつつ、このアーム部を薄肉化して軽量化を図ることができると考えられる。
前記した知見から、こじり回転を拘束し、できるだけ早期に反力モーメントを発生させるためブッシュ部の形状を工夫するという着想や、弾性体の硬度を硬くするという着想が得られた。
本発明は、かかる着想のもと創案されたものであり、以下に、かかる着想を具現化した、本発明に係る自動車用サスペンションアームについて説明する。
【0032】
本発明の自動車用サスペンションアームは、独立懸架式のサスペンションのロアアームとして好適に用いることができる。以下、本発明の自動車用サスペンションアームの技術的思想を、ロアアームに適用した場合を例にして説明する。
以下、本発明の自動車用サスペンションアームの実施の形態について説明を行うこととする。
【0033】
[自動車用サスペンションアーム]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明に係る自動車用サスペンションアームの実施の形態について詳細に説明する。参照する図面において、図1は、本発明に係る自動車用サスペンションアームの一構成例を示す概略平面図であり、図2は、本発明に係る自動車用サスペンションアームのフロントブッシュ部の要部拡大断面図である。
【0034】
以下、本発明に係る自動車用サスペンションアーム1の実施の形態として、ロアアーム1Aに適用した場合を例に説明する。
本発明の自動車用サスペンションアーム1の技術的思想を適用した実施の形態であるロアアーム1Aは、図1に示すように、一方の支軸(図1において不図示)に軸支されるフロントブッシュ部31(特許請求の範囲の「一方のブッシュ部」に相当)と、他方の支軸(図1において不図示)に軸支されるリアブッシュ部32(特許請求の範囲の「他方のブッシュ部」に相当)と、このフロントブッシュ部31およびリアブッシュ部32と離間して車輪(図1において不図示)側に支持されるジョイント部2とを備えた構成としている。
なお、ジョイント部2と、フロントブッシュ部31およびリアブッシュ部32とは、アーム部4によって一体に繋がれている。そして、このロアアーム1Aは、車体(不図示、以下同じ)の前後方向に設けられたブラケット11,11のそれぞれの支軸(図1において不図示)に、フロントブッシュ部31およびリアブッシュ部32を取付けて使用される。
【0035】
(1)ここで、このフロントブッシュ部31およびリアブッシュ部32の互いに対向する内側の開口31a,32aのうち、ジョイント部2に対して近い距離に位置するフロントブッシュ部31の内側の開口31aを、ジョイント部2に近付く方向に傾斜させた構成としている。
なお、この開口31aは、フロントブッシュ部31の構成部品である内筒34の中心部分を通る軸線(以下、「軸線α」という。図2中の一点鎖線で示す軸線)を有し、開口32aは、リアブッシュ部32(他方のブッシュ部3)の構成部品である内筒34(不図示)の中心部分を通る軸線と平行な軸線(以下、「基準軸線β」という。図2中の実線で示す軸線)を有している。
【0036】
(2)かかる構成を言い換えると、このロアアーム1Aは、他方のブッシュ部3(リアブッシュ部32)よりもジョイント部に対して近い距離に形成された一方のブッシュ部3(フロントブッシュ部31)は、当該フロントブッシュ部31の軸線αが、リアブッシュ部32とフロントブッシュ部31とを結ぶ線を含む面に交差するように、リアブッシュ部32の軸線(基準軸線β)に対して傾斜させた構成としたものである。なお、フロントブッシュ部31とリアブッシュ部32とを結ぶ線をこの基準軸線βとして表すことも可能である。
【0037】
(3)さらに、かかる構成を言い換えると、このロアアーム1Aは、車体の前方から後方に向かう大きな荷重Fの入力があった場合において、ジョイント部2に近い距離にある一方のブッシュ部3(フロントブッシュ部31)に発生するこじり回転(車体から離れる方向のこじり回転)と逆の回転方向(すなわち、車体に近付く方向)に、当該一方のブッシュ部3および軸線αを、基準軸線βに対してあらかじめ傾斜させた構成ということもできる。
【0038】
いずれにしても、ロアアーム1Aをこのような構成とすると、ジョイント部2に対して近い距離に位置するフロントブッシュ部31の軸線αは、リアブッシュ部32の基準軸線βに対して、平面視において傾斜させた構成となる。その結果、走行中に縁石などの障害物に当接するなどしてジョイント部2を後退させる方向に大きな荷重Fの入力があって、フロントブッシュ部31にこじり回転(トーアウト方向のこじり回転)が発生しても、このこじり回転を直ちに拘束し、かかる回転に対する反力モーメントMfを大きくかつ速やかに発生させることができ、前記の反力Rryを小さくすることができる。したがって、こじり回転の発生初期からアーム部4だけでなくフロントブッシュ部31によっても大きな荷重Fに対抗することができる。その結果、アーム部4への負担を軽減し、アーム部4の変形を抑制することができる。
なお、この軸線αは、自動車用サスペンションの上下動のため、車体に取付けた状態が水平となるようにするのが好ましいが、車体に取付けた状態において高さ方向にやや傾斜させて設けてもよい。
【0039】
このとき、前記で述べた構成において、軸線αと基準軸線βのなす角度θが0°を超えれば、大きな荷重Fが入力され、フロントブッシュ部32(ジョイント部2に近い距離にある一方のブッシュ部3)にこじり回転が発生しても、かかる回転を拘束し、これに対する反力モーメントMfが大きくかつ速やかに発生させることができ、反力Rryを小さくすることができる。その結果、アーム部4の変形を抑制することが可能となる。
なお、角度θが大きいほど前記の効果が発揮されやすい。したがって、かかる角度θは、0°<θで設けることができるが、−1°≦θ、好ましくは−2°≦θ、より好ましくは−3°≦θ、さらに好ましくは−4°≦θ、さらにより好ましくは−5°≦θである。
【0040】
一方、この角度θが−90°であると、角度θが大きすぎるために、ブッシュ部3とブラケット11の構造が大型化してしまい、軽量化や経済性の観点から好ましくない。さらに、この角度θが−90°を超えると、例えば、ジョイント部2を後退させる方向に大きな荷重Fが入力された場合に、所望の反力モーメントMfを得ることができない。したがって、角度θは、−90°より低く設定するのがよい。すなわち、かかる角度θは、θ<−90°で設けるのがよいが、好ましくはθ<−45°、さらに好ましくはθ<−10°とする。
【0041】
したがって、本発明におけるフロントブッシュ部31(ジョイント部2に近い距離に形成されたブッシュ部3)の軸線αと基準軸線βとのなす角度θは、前記の角度から任意に選択した範囲で設定することができる。具体的には、0°<θ<−90°の範囲で設定することが可能であるが、軽量化の観点から、0°<θ<−45°や、0°<θ<−10°とするのがよい
そして、かかるフロントブッシュ部31のこじり回転を拘束して反力モーメントMfを大きくかつ速やかに得る観点から、−1°≦θ<−90°や、−2°≦θ<−90°や、−3°≦θ<−90°や、−4°≦θ<−90°や、−5°≦θ<−90°とするのがよい。
さらに、フロントブッシュ部31のこじり回転を拘束して反力モーメントMfを大きくかつ速やかに得る観点、および、軽量化の観点を考慮すると、−1°≦θ<−45°や、−2°≦θ<−45°や、−3°≦θ<−45°や、−4°≦θ<−45°や、−5°≦θ<−45°の範囲で設定するのがよく、−1°≦θ<−10°や、−2°≦θ<−10°や、−3°≦θ<−10°や、−4°≦θ<−10°や、−5°≦θ<−10°の範囲で設定するのがより好ましく、−1°≦θ≦−5°や、−2°≦θ≦−5°や、−3°≦θ≦−5°や、−1°≦θ≦−4°や、−1°≦θ≦−3°の範囲で設定するのがさらに好ましい。なお、実用化の観点からは、−2°≦θ≦−5°の範囲が最も好ましい。
【0042】
また、フロントブッシュ部31およびリアブッシュ部32は、いずれも図1および図2に示すように、金属製の外筒33と円筒状のパイプである内筒34とを、天然ゴムや合成ゴムなどの弾性体5を用いて加硫接着や架橋することによって接着した構成となっている。そして、これらのブッシュ部3は、図3に示すように、内筒34内を貫通するように支軸12(ボルト12aとナット13b)によって、車体10のブラケット11に軸着されている。なお、図3は、本発明に係る自動車用サスペンションアーム1(ロアアーム1A)のフロントブッシュ部31をブラケット11に取付けた様子を示す要部拡大図である。
【0043】
図3に示すように、このブラケット11は、傾斜して形成されたフロントブッシュ部32と平行に設けるのが好ましい。なお、フロントブッシュ部31の軸線αが基準軸線βに対して角度θをもって傾斜して設けられているために、このロアアーム1Aを用いた自動車用サスペンションの上下方向における回動動作が生じた場合に、かかる回動動作の妨げになるとも考えられるが、フロントブッシュ部31の外筒33と内筒34の間に介在する弾性体5が緩衝材として機能するので、フロントブッシュ部31の回動性やその他の諸機能を発揮するにあたって何ら妨げとなるものではないことを付言しておく。
【0044】
なお、このような構成のロアアーム1Aにおけるジョイント部2およびアーム部4の前後方向の移動や回転の抑制は、フロントブッシュ部31および/またはリアブッシュ部32に用いられる弾性体5の硬度を硬くすることによってさらに向上させることができる。弾性体5が十分に硬ければ、弾性体5が軟らかいときと比較してこじり回転を拘束しやすくなる。したがって、より大きくかつ速やかにこじり回転に対する反力モーメントMfを発生させ、反力Rryを小さくすることができる。
【0045】
そのため、本発明においては、かかる弾性体5の硬度は、Hs65(JISK6253,タイプAデュロメータ)以上とするのが好ましく、Hs70以上とするのがより好ましく、Hs75以上とするのがさらに好ましく、Hs80以上とするのが最も好ましい。このような硬度とすれば、ジョイント部2を後退する方向に大きな荷重Fが作用した場合であっても、前記した理由からアーム部が変形しにくくなり、結果的に、アーム部4の変形を抑制することができるので、アーム部4の肉厚を薄肉化して、より軽量化することが可能となる。なお、弾性体5の硬度は、自動車の乗り心地や操縦安定性を勘案して、任意の硬さに設定するのがよい。
【0046】
このような弾性体5は、天然ゴムや、SBR(スチレンブタジエンゴム)、BR(ブタジエンゴム)、IR(イソプレンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、IIR(ブチルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)などの合成ゴムや、あるいは、ウレタンエラストマーなどの素材を用いて好適に構成することができる。また、これらの原料ゴムに加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、補強剤、充填剤、軟化剤などの適宜の配合剤を添加して、硬度をHs65以上とするほか、ブッシュ部3に用いるのに必要な機械的強度、動的特性、疲労特性を得るようにしてもよい。
【0047】
かかるロアアーム1Aは、軽量かつ高い強度や疲労強度が要求される反面、高い耐衝撃性も必要とされることから、JISH4140に定められたA6061合金やその改善材等の6000系のアルミニウム合金を用いて、鋳造や鍛造することで製造するのが好ましい。
なお、ロアアーム1Aのアーム部4は、構造的強度を向上させるため、過大な衝撃荷重(大きな荷重F)が加わっても変形しないよう、その縦断面形状を略H形や略I形に構成するのが好ましい。
【0048】
前記で説明した如く、本発明の自動車用サスペンションアーム1(ロアアーム1A)は、フロントブッシュ部31の軸線αと基準軸線βとを、角度θをもって−0°<θ<−90°の範囲で傾斜させた構成、すなわち、(1)ジョイント部2に対して近い距離に位置するフロントブッシュ部31の内側の開口31aを、ジョイント部2に近付く方向に傾斜させた構成、または、(2)ジョイント部に対して近い距離に形成された一方のブッシュ部3(フロントブッシュ部31)は、当該フロントブッシュ部31の軸線αが、リアブッシュ部32とフロントブッシュ部31とを結ぶ線を含む面に交差するように、リアブッシュ部32の軸線(基準軸線β)に対して傾斜させた構成、または、(3)大きな荷重Fが入力された場合において、ジョイント部2に近い距離にある一方のブッシュ部3(フロントブッシュ部31)に発生するこじり回転(車体から離れる方向のこじり回転)と逆の方向(車体に近付く方向)に、あらかじめ当該一方のブッシュ部3および/または軸線αを傾斜させた構成としている。
【0049】
かかる構成により、例えば、走行中に縁石などの障害物に当接するなどして大きな荷重Fが入力されて、ジョイント部2に対して近い距離に位置するブッシュ部3(フロントブッシュ部31)のこじり回転が発生しても、このこじり回転を拘束し、かかる回転に対する反力モーメントMfを大きくかつ速やかに発生させることができ、反力Rryを小さくすることができる。その結果、大きな荷重Fの入力がされた直後からブッシュ部3によっても、この大きな荷重Fに対抗することができるのでアーム部4への負担を軽減することができる。したがって、アーム部4が変形するのを防ぐことが可能となり、自動車用サスペンションアーム1を薄肉化して軽量化を図った場合であっても、従来の自動車用サスペンションアームと同程度の強度を維持することができる。
【0050】
[自動車用サスペンション]
次に、本発明の自動車用サスペンションについて説明する。
本発明の自動車用サスペンション6は、図4に示すように、前記で説明した本発明に係る自動車用サスペンションアーム1(ロアアーム1A)を用いて、主として以下の構成でなる。
すなわち、本発明に係る自動車用サスペンション6は、路面からの衝撃を吸収するスプリング61と、このスプリング61の動きをコントロールするショックアブソーバー62と、車輪63の動きを制御する本発明に係る自動車用サスペンションアーム1(ロアアーム1A)と、このロアアーム1Aと離間した上部に配置されたアッパーアーム64と、このロアアーム1Aのジョイント部2と、アッパーアーム64のジョイント部642と、によって支持され、かつ車輪63が取付けられるナックル65と、によって構成されている。なお、ロアアーム1Aのジョイント部2とアッパーアーム64のジョイント部642は、その摺動性や上下方向の動作の便を考慮すると、ボールジョイントとするのが好ましいが、ゴムブッシュで構成することも可能である。
【0051】
このような構成の自動車用サスペンション6とすれば、ロアアーム1Aのジョイント部2に対して近い距離に位置するフロントブッシュ部31の内側の開口31aを、ジョイント部2に近付く方向に傾斜したものとなる(図1および図3参照)。したがって、走行中に縁石などに当接して大きな荷重Fが入力されて、ロアアーム1Aのフロントブッシュ部31にこじり回転が発生しても、このこじり回転を即座に拘束し、かかる回転に対する反力モーメントMfを大きくかつ速やかに発生させ、反力Rryを小さくすることができる。したがって、こじり回転の発生初期からアーム部4とフロントブッシュ部31(図4において不図示)とで大きな荷重Fに対抗することが可能となるので、アーム部4の変形を抑制することができる。その結果、大きな荷重Fが入力されてもアーム部4が変形しにくくなるので、薄肉化などにより軽量化しても、従来の自動車用サスペンションアームと同様の強度を維持した自動車用サスペンション6とすることができる。
【実施例】
【0052】
次に、本発明で規定する条件を全て満たす発明例について、本発明で規定する条件のうちのいずれかを満たさない比較例と対比して具体的に検討する。
まず、JISH4140に定められたA6061のアルミニウム合金の素材を、所定の大きさに切断・外削して加熱した後、鍛造機を用いて荒型鍛造を行った。そして、生じたキズを取り除いて加熱した後、仕上型鍛造を行い、図1に示す形状のロアアームを鍛造した。そして、フラッシュ除去、熱処理、洗浄を行い、複数個のロアアームを作製した。なお、これらロアアームのフロントブッシュ部の軸線αと基準軸線β(ジョイント部2から遠い距離に形成されたリアブッシュ部32の軸線)とのなす角度θ(下記表1では、単に「角度θ」と表記する。また、「−」記号は、トーイン方向に傾斜していることを示す。)は、表1に示すように、0°〜−10°の範囲の任意の角度をもって試験材No.1〜6とした。
【0053】
そして、試験材No.1〜6のロアアームのジョイント部に、通常車体に取付けられる形態で、車体の直進方向に対して平行となる方向に荷重を加えてアーム部の応力を応力測定装置を用いて測定した。そして、この測定結果から、応力が245MPaに達したときの荷重(kN)を算出し、比較例である試験材No.1を100%とした場合の相対値(%)を求めた。
表1に、各試験材の条件および結果を示す。
【0054】
【表1】

【0055】
また、ブッシュ部の内部に用いられる弾性体の硬度についても、表2に示すように、種々の硬度の弾性体を用いた試験材No.7〜9のロアアーム(いずれも、ロアアームとしての構成は、表1の試験材No.1と同じである)を作製して検討を行った。なお、弾性体としてはNBR(ニトリルブタジエンゴム)を用いた。弾性体の硬度は、表2に示すように、硬度Hs60〜Hs80(いずれもJISK6253,タイプAデュロメータ)の3種類のNBR(ニトリルブタジエンゴム)を用意した。
【0056】
【表2】

【0057】
表1の結果から、実施例となる試験材No.2〜6は、比較例となる試験材No.1と比較して荷重の相対値が向上した。これにより、従来の強度を有するロアアームと比較して、実施例となる試験材No.2〜6は、それぞれ、2.4%(試験材No.2)、4.4%(試験材No.3)、7.9%(試験材No.4)、9.4%(試験材No.5)、10.7%(試験材No.6)の軽量化を図ることが可能であることが分かった。
【0058】
そして、表2の結果から、実施例となる試験材No.8および9は、比較例となる試験材No.7と比較して荷重の相対値が向上した。これにより、従来の強度を有するロアアームと比較して、実施例となる試験材No.8および9は、比較例である試験材No.7と比較して、相対値でそれぞれさらに99%、98%の軽量化を図ることが可能であることがわかった。また、表1の結果および表2の結果から、ロアアームのフロントブッシュ部に角度θをもたせ、かつ、弾性体の硬度を硬くすることによって、さらにアーム部の変形を抑制することが可能となり、より軽量化を図ることが可能であることがわかった。
【0059】
以上、本発明の自動車用サスペンションアームに係る最良の実施の形態や実施例について詳細に説明したが、本発明の内容や技術的思想はこれに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、本発明の自動車用サスペンションアームに係る最良の実施の形態や実施例として、独立懸架式のサスペンションのロアアームを例に説明を行ったが、同様の形状のアッパーアームにも全く同じように適用することができる。
【0060】
また、図1および図2で示したフロントブッシュ部31,32の構成を、金属製の外筒33と、円筒状のパイプである内筒34とを、弾性体5を用いて接着等した構成とし、さらに、これらのブッシュ部3の内筒34内を貫通するボルト12とナット13によって、車体10のブラケット11に軸着した、いわゆる内抑え形式のブッシュ部3を例示して説明したが、これに限定されることはなく、以下のような、いわゆる外抑え形式のブッシュ部であっても本発明の技術的思想を適用することができる。
【0061】
すなわち、ブッシュ部と一体的に形成された支持棒部材(図示せず。なお、前記で説明した支軸12に相当する棒部材)と、当該支持棒部材を収めるためのケースと、当該支持棒部材と当該ケースとの間に充填され、これらを固定する弾性体でなる構成のブッシュ部とすることができる。このような構成のブッシュ部とした場合、この支持棒部材の軸線を、前記と同様、基準軸線βに対して角度θをもって設けることにより、本発明の所望する効果を得ることが可能である。
【0062】
また、本発明の実施の形態に示した自動車用サスペンションアーム1として、ジョイント部2が車体の前方寄りに形成されたものを例示したが、図5に示すように、かかるジョイント部2が車体の後方寄りに形成された本発明の他の実施の形態に係る自動車用サスペンションアーム1’としてもよい。この場合、車体のブラケット11に取付けた状態において、ジョイント部2に近い距離に形成され、かつ車体の後方寄りに形成されたブッシュ部3(リアブッシュ部32')の内側の開口32'aをジョイント部2に近付く方向に傾斜させた構成とすることができる。なお、かかる場合において傾斜させた角度θは、0°<θ<−90°とするのがよい。
【0063】
このような構成であっても、前記と同様、ジョイント部2に近い距離に形成されたブッシュ部3(リアブッシュ部32')のこじり回転を拘束し、かかる回転に対する反力モーメントMfを大きくかつ速やかに発生させ、アーム部4に作用する反力Rryを小さくすることができる。したがって、こじり回転の発生初期からアーム部4だけでなくフロントブッシュ部31を用いて、大きな荷重に対向することできるようになる。その結果、アーム部4への負担を軽減し、アーム部4を変形しにくくすることが可能となるので、薄肉化などにより軽量化しても、従来の自動車用サスペンションアームと同様の強度を維持した自動車用サスペンションアーム1とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る自動車用サスペンションアームの一構成例を示す概略平面図である。
【図2】本発明に係る自動車用サスペンションアームのフロントブッシュ部の要部拡大図である。
【図3】本発明に係る自動車用サスペンションアームのフロントブッシュ部をブラケットに取付けた様子を示す要部拡大図である。
【図4】本発明に係る自動車用サスペンションの構成図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る自動車用サスペンションアームの構成図である。
【図6】従来の自動車用サスペンションアーム(ロアアーム)と、これに作用する力について説明する説明図である。
【図7】従来のフロントブッシュ部の様子を示す断面図であって、(a)は、荷重が作用する前のフロントブッシュ部の様子を示す断面図であり、(b)は、荷重を受けてフロントブッシュ部が後方に移動した様子を示す断面図であり、(c)は、さらに荷重を受けてフロントブッシュ部が回転した様子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1,1' 自動車用サスペンションアーム
1A ロアアーム
2 ジョイント部
3 ブッシュ部
31,31' フロントブッシュ部
32,32' リアブッシュ部
33 外筒
34 内筒
4 アーム部
5 弾性体
10 車体
11 ブラケット
12 支軸
F 大きな荷重
L1 距離
L2 距離
Mf 反力モーメント
Rrx,Rry,Rfx,Rfy 反力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のブラケットの支軸に軸支される一方のブッシュ部と、他方のブラケットの支軸に軸支される他方のブッシュ部と、この両ブッシュ部と離間して車輪側に支持されるジョイント部とを備える自動車用サスペンションアームにおいて、
この両ブッシュ部の対向する内側の開口のうち、前記ジョイント部に対して近い距離に位置する一方の前記ブッシュ部の内側の開口を、前記ジョイント部に近付く方向に傾斜させて設けた
ことを特徴とする自動車用サスペンションアーム。
【請求項2】
前記一方のブッシュ部に用いられる弾性体の硬度が、Hs65以上であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用サスペンションアーム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の自動車用サスペンションアームを用いたことを特徴とする自動車用サスペンション。
【請求項4】
請求項3に記載の自動車用サスペンションにおいて、自動車用サスペンションアームのブッシュ部を取付けるための車体のブラケットが、前記ブッシュ部の傾斜と平行に設けられていることを特徴とする自動車用サスペンション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−199120(P2006−199120A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12146(P2005−12146)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】