説明

自動車用ドア構造

【課題】作業性が容易でコストの低廉を図れるとともに強度的にも優れ、しかもドアウェザーストリップのコーナー部において金型成形部を廃止しうる自動車用ドア構造を提供する。
【解決手段】ルーフ側サッシュ22とピラー側サッシュ23が連結される、ドア1のコーナー部Xを、両サッシュ22,23とは別体で、ドア上縁部側からコーナー部Xを経てピラー側に渡るまで一連一体的に押出成形されたドアウェザーストリップ30を取付け可能に湾曲したピース側嵌合凹部52が形成されたコーナーピース材50で成形し、両サッシュ22,23の嵌合凹部22b,23bをコーナーピース材50のピース側嵌合凹部52に連設するように、両サッシュ22,23の端末をそれぞれコーナーピース材50に溶接して繋げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドア構造に関する。より詳細には、ボディパネル側に弾接して車内外をシールするドアウェザーストリップが車内側に取付けられるサッシュ付きのドア構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9及び図10に示すように、サッシュ付きの自動車用ドア構造では、ドア1の上縁部を形成するルーフ側サッシュ2とドア1の上下方向に延びるピラー側サッシュ3がコーナー部Xで突き合わされている。
両サッシュ2,3の車内側でドア1の内周側には、図11及び図12に示すように、中空断面で袋状にされたフレーム本体部2a,3aが形成され、フレーム本体部2a,3aにおけるドア1の外周側には、断面略C字形状の嵌合凹部2b,3bが形成されている。また、両サッシュ2,3の嵌合凹部2b,3bから車外側に向けて延びるように延設部2c,3cが形成され、その延設部2c,3cの外縁にはフランジ状の意匠面部2d,3dが形成されている。
【0003】
両サッシュ2,3に形成された嵌合凹部2b,3bにはドアウェザーストリップ10が取付けられている。ドアウェザーストリップ10は、嵌合凹部2b,3bに嵌め込まれる取付基部10aと取付基部10aに一体成形されドア1の閉時にボディパネル5に弾接して車内外をシールする中空シール部10bを有している。
また、意匠面部2d,3dから延設部2c,3cのドア1の外周側にはサブシール部11が取付けられている。サブシール部11は、意匠面部2d,3dに係止されるともに、ドア1の外周側に露出した延設部2c,3cの部位を覆い隠す取付基部11aと取付基部11aに一体成形されドア1の閉時に中空シール部10bと同様にボディパネル5に弾接する断面略舌状のシールリップ部11bを有している。
さらに、フレーム本体部2a,3aの車外側で、延設部2c,3cのドア1の内周側にはグラスラン12が取付けられている。グラスラン12は、断面略コ字形状の取付基部12aと取付基部12の両端からそれぞれ内方に向けて突出して、昇降するドアガラス6に車外側及び車内側から摺接する車外側リップ部12bと車内側リップ部12cを有している。
【0004】
このようなサッシュ付きの自動車用ドア構造では、通常、コーナー部Xにおいて突き合わされたルーフ側サッシュ2とピラー側サッシュ3の部位に溶接加工(溶接部T1)が施され、ルーフ側サッシュ2とピラー側サッシュ3が、図10に示すように鋭角の角度(θ)で交わりコーナー部Xはエッジ形状になっている。
そのため、両サッシュ2,3に取付けられるドアウェザーストリップ10は、図11及び図12で示したようにルーフ側及びピラー側では押出成形され、同一の断面形状を有するものに設定されるが、コーナー部Xではエッジ形状になっているので、図13で示したように押出成形された2本のドアウェザーストリップ10(10Y,10Y)を型成形されたドアウェザーストリップ10(10Z)で接続する必要がある。
【0005】
これに対して、コーナー部Xに円弧状の湾曲部が形成されたシームレスのフレームを採用することによって一定断面のウェザーストリップを使用したものが知られている(特許文献1)。
また、コーナー部Xのサッシュにブロックを設置することによって一定断面のオープニングシールを使用したものも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−273343号公報
【特許文献2】特開平8−230465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された構造によれば、シームレスのフレーム(20)の他に、アッパ側意匠部材(21),立柱側意匠部材(22)といった別部材が必要になり、さらに、立柱側意匠部材(22)は、立柱メイン部材(23)と立柱サブ部材(24)が組合わされたものであるので、部品点数が多く、これらの部材を精度よく重ね合わせなければならないので一体化させる作業が煩雑になるといった問題があり、コストも高くつく。
しかも、アッパ側意匠部材(21)及び立柱メイン部材(23)については部分的に切除する必要があるので加工が複雑になる。
また、アッパ側意匠部材(21)と立柱メイン部材(23)とは、立柱メイン部材(23)の溝底面部(21f)をアッパ側意匠部材(21)の上側支持面(23f)に重ねるようにして固定されるので、従来のように、溶接によって固定するものと比較して強度的に劣るといった問題がある。
【0008】
また、特許文献2に記載された構造は、サッシュ(20)にブロック(40)を取付けることによってボディ側に取付けられたオープニングシール(30)の弾接位置を変えて押出成形品のみで対応可能にしたものであるので、ドア1を構成するルーフ側サッシュ2とピラー側サッシュ3が鋭角の角度(θ)で交わることでコーナー部Xがエッジ形状になりその結果、型成形品が必要となるといった問題を解決するものではない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、作業性が容易でコストの低廉を図れるとともに強度的にも優れ、しかもドアウェザーストリップのコーナー部において金型成形部を廃止しうる自動車用ドア構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動車用ドア構造は、ドア(1)上縁部を形成するルーフ側サッシュ(22)とドア(1)の上下方向に延びるピラー側サッシュ(23)がコーナー部(X)で連結され、両サッシュ(22,23)の車内側には、ボディパネル(5)側に弾接して車内外をシールするドアウェザーストリップ(30)が嵌め込まれる嵌合凹部(22b,23b)が形成された自動車用ドア構造であって、
前記ルーフ側サッシュ(22)と前記ピラー側サッシュ(23)は、互いに離間すると共に、
前記コーナー部(X)を、前記両サッシュ(22,23)とは別体で、少なくともドア(1)上縁部側からコーナー部(X)を経てピラー側に渡るまで一連一体的に押出成形された前記ドアウェザーストリップ(30)を支持可能に湾曲したドアウェザーストリップ支持部(52,62)が形成されたコーナーピース材(50,60)で成形し、前記両サッシュ(22,23)の嵌合凹部(22b,23b)を前記コーナーピース材(50,60)のドアウェザーストリップ支持部(52,62)に連設するように、前記両サッシュ(22,23)の端末をそれぞれ前記コーナーピース材(50,60)を介して連結してなることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に係る自動車用ドア構造は、前記ドア(1)上縁部側からコーナー部(X)を経てピラー側に渡るまで一連一体的に押出成形されたドアウェザーストリップ(30)を取付けるとともに、前記コーナーピース材(50)が露出した車内側の部分を覆う被覆片(31c)を有するシール部(31)を設けてなることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の請求項3に係る自動車用ドア構造は、前記シール部(31)の被覆片(31c)は、前記コーナーピース材(50)が露出した車内側の部分と、前記ドアウェザーストリップ(30)に形成されたリップ部(30c)の間で挟持されることを特徴とする。
【0013】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、嵌合凹部が形成されたルーフ側サッシュとピラー側サッシュが連結される自動車用ドアのコーナー部を、両サッシュとは別体のコーナーピース材で成形するものであり、そのコーナーピース材には、ドア上縁部側からコーナー部を経てピラー側に渡るまで一連一体的に押出成形されたドアウェザーストリップを支持可能に湾曲したドアウェザーストリップ支持部が形成され、そのドアウェザーストリップ支持部は両サッシュの嵌合凹部に連設するように両サッシュとコーナーピース材は、例えば溶接や、接着剤による接着や、突起と穴による嵌合せ構造によって連結されるので、2本の押出成形されたドアウェザーストリップをコーナー部で型成形接続する必要はない。
よって、ドアウェザーストリップのコーナー部において金型成形部を廃止することができるのでコストの低廉を図れる。また、ドア上縁部側からコーナー部を経てピラー側に渡るまで、継ぎ目の無い押出成形された1本のドアウェザーストリップでドアとボディパネルの間をシールすることができるので優れたシール機能が得られる。
【0015】
また、1本のドアウェザーストリップをコーナー部でも取付けられるように形成されたドアウェザーストリップ支持部は、例えばプレス加工などによってコーナーピース材とともに一体的に成形されるので、従来例で示したようにサッシュを切除する必要はなく、特に部品点数が大きく増加するものでもない。また、サッシュを重ね合わせたりするために寸法を精度よく設定する必要もない。
【0016】
さらに、コーナー部ではコーナーピース材を介して両サッシュは連結されるので、これらの連結を溶接によって、あるいは接着剤による接着によって、あるいは突起と穴による嵌合せ構造によって処理するようにすれば、従来例で示したように両サッシュを溶接することなく重ね合わせて固定するものと比較して強度的に優れる。
また、コーナーピース材は、両サッシュとは別体であるので、例えば、樹脂製のものとするとサッシュ全体の軽量化が図れる。また、コーナーピース材に形成されるドアウェザーストリップ支持部の湾曲の度合いを種々変えたものを用意することもできる。
【0017】
また請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の作用効果に加えて、押出成形されたドアウェザーストリップを取付けるとともに別のシール部を設けて被覆片でコーナーピース材が露出した車内側の部分を覆うようにしたので外観上見栄えがよい。また、シール部をボディパネルに弾接するように構成することによってドアウェザーストリップとの2重シール構造にすることもできる。
【0018】
さらに、請求項3に係る発明によれば、シール部の被覆片は、コーナーピース材が露出した車内側の部分と、ドアウェザーストリップに形成されたリップ部の間で挟持されるので、シール部は安定した状態で取付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自動車用ドア構造の加工工程を示す外観側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る自動車用ドア構造でドアウェザーストリップ,サブシール部及びグラスランが取付けられた状態を示す、図1のC−C線拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る自動車用ドア構造でドアウェザーストリップ,サブシール部及びグラスランが取付けられた状態を示す、図1のD−D線拡大断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る自動車用ドア構造でドアウェザーストリップ,サブシール部及びグラスランが取付けられた状態を示す、図1のE−E線拡大断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る自動車用ドア構造に取付けられるサブシール部のコーナー部周りの構成を示す外観斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る自動車用ドア構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る自動車用ドア構造の接合の要部を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る自動車用ドア構造でドアウェザーストリップ,サブシール部及びグラスランが取付けられた状態を示す、図6のF−F線拡大断面図である。
【図9】自動車を示す外観側面図である。
【図10】図9に示すX部周りのサッシュの構成を示す拡大側面図である。
【図11】従来例に係る自動車用ドア構造でドアウェザーストリップ,サブシール部及びグラスランが取付けられた状態を示す、図10のA−A線拡大断面図である。
【図12】従来例に係る自動車用ドア構造でドアウェザーストリップ,サブシール部及びグラスランが取付けられた状態を示す、図10のB−B線拡大断面図である。
【図13】従来例に係る自動車用ドア構造に取付けられるドアウェザーストリップのコーナー部周りの構成を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る自動車用ドア構造について、図1乃至図5及び図9を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る自動車用ドア構造の加工工程を示す外観側面図であり、図2乃至図4は、それぞれ図1のC−C,D−D,E−E線の拡大断面を示す。従来例と同一部分には同一符号を付した。
【0021】
本発明の第1実施形態に係る自動車用ドア構造は、互いに離間する、ドア1の上縁部を形成するように略水平方向に延びるルーフ側サッシュ22とドア1の上下方向に延びるピラー側サッシュ23が、図1及び図7に示すように、コーナー部Xでコーナーピース材50を介して連結されるものである。
【0022】
ルーフ側サッシュ22は、図2に示すように、中空断面で袋状にされ、ドア1を閉じたときに車内側に位置するように形成されたフレーム本体部22aと、フレーム本体部22aのドア外周側(上方側)に形成された嵌合凹部22bと、嵌合凹部22bから車外側に向けて延びるように形成された延設部22cと、延設部22cの外縁に形成された意匠面部22dを備えている。
また、ピラー側サッシュ23は、ルーフ側サッシュ22と同様に、図3に示すように、中空断面で袋状にされ、ドア1を閉じたときに車内側に位置するように形成されたフレーム本体部23aと、フレーム本体部23aのドア外周側(後方側)に形成された嵌合凹部23bと、嵌合凹部23bから車外側に向けて延びるように形成された延設部23cと、延設部23cの外縁に形成された意匠面部23dを備えている。
ルーフ側サッシュ22およびピラー側サッシュ23は通常、ロール成形または押出成形される。
【0023】
両サッシュ22,23に形成されたフレーム本体部22a,23aは、中空断面形状の袋状部がドア1の内周側に突出するように設けられている。また、嵌合凹部22b,23bは、断面略C字形状でその開口部はドア1の外周側に向かって形成されている。また、延設部22c,23cは、フレーム本体部22a,23aの車外側端部からさらに車外側に延びる直線部と、嵌合凹部22b,23bの車外側端部からさらに車外側に延びる直線部と、意匠面部22d,23dで折り返されて車内側に延びる直線部とが3本重ね合わされてなるものである。また、意匠面部22d,23dは、延設部22c,23cが延びる車内側から車外側に略直角に、すなわちドア1の内周側から外周側に延びる方向にフランジ状に形成されている。
【0024】
そして、ドア1のコーナー部Xにおけるルーフ側サッシュ22とピラー側サッシュ23は以下に示すような手順でコーナーピース材50を介して連結される。
まず、図1に示すようなコーナーピース材50を事前にプレス加工によって作製する。
【0025】
コーナーピース材50は、ドア1のサッシュのコーナー部Xに配置される金属製のもので、図10に示した従来例と同様に鋭角の角度(θ)で開口した略V字形状をしている。
コーナーピース材50におけるルーフ側サッシュ22側の端部は、ルーフ側サッシュ22の断面(図2)と同様の断面形状であり、コーナーピース材50におけるピラー側サッシュ23側の端部は、ピラー側サッシュ23の断面(図3)と同様の断面形状であり、両サッシュ22,23に形成されたフレーム本体部22a,23aの形状に対応したピース側フレーム本体部51と、両サッシュ22,23に形成された嵌合凹部22b,23bの形状に対応したピース側嵌合凹部52と、両サッシュ22,23に形成された延設部22c,23cの形状に対応したピース側延設部53と、両サッシュ22,23に形成された意匠面部22d,23dの形状に対応した突出片54を有している。
そして、コーナーピース材50の両端部からコーナーピース材50を略1/2にする、言い換えるとコーナーピース材50の両端部から略等距離に位置する、コーナーの中央部に向かって、ピース側延設部53が徐々に長くなり、図4に示すような断面形状をしている。
【0026】
ピース側フレーム本体部51は、中空断面で袋状にされ、ドア1を閉じたときに車内側に位置するように形成されている。
ピース側嵌合凹部52は、ピース側フレーム本体部51のドア外周側に形成された断面略C字形状でその開口部がドア外周側に向かって形成されている。また、ピース側嵌合凹部52は、ドア上縁部側からコーナー部Xを経てピラー側に渡るまで一連一体的に押出成形されたドアウェザーストリップ30を支持可能に内周側に沿って滑らかに湾曲させられ、ドアウェザーストリップ支持部として機能している。
ここで、ピース側嵌合凹部52の湾曲の度合いは、ドア上縁部側からコーナー部Xを経てピラー側に渡るまで一連一体的に押出成形されたドアウェザーストリップ30のシール機能を十分発揮しうる程度に滑らかにされ、コーナー部Xにおいてドアウェザーストリップ30の中空シール部30bに皺やヒケが生じないようにしている。
【0027】
ピース側延設部53は、ピース側嵌合凹部52及びピース側フレーム本体部51から車外側に向けて延びるように形成された2本の直線部が重ね合わされてなるものである。
突出片54は、ピース側延設部53が延びる車内側から車外側に略直角に、すなわちドア1の内周側から外周側に延びる方向にフランジ状に形成されている。
【0028】
次に、図1の下側に示すように、ルーフ側サッシュ22及びピラー側サッシュ23の嵌合凹部22b,23bをコーナーピース材50に形成されたピース側嵌合凹部52に連設するように、両サッシュ22,23の端末をそれぞれコーナーピース材50に溶接(ルーフ側サッシュ22との溶接部T2,ピラー側サッシュ23との溶接部T3)して繋げる。このとき、両サッシュ22,23の端末においてフレーム本体部22a,23aは、コーナーピース材50のピース側フレーム本体部51に連設され、両サッシュ22,23の端末において延設部22c,23cは、コーナーピース材50のピース側延設部53に連設され、両サッシュ22,23の端末において意匠面部22d,23dは、コーナーピース材50の突出片54に連設される。
【0029】
そして、図2乃至図4に示すように、実際に、ドア上縁部側からコーナー部Xを経てピラー側に渡るまで一連一体的に押出成形されたドアウェザーストリップ30を嵌合凹部22b,ピース側嵌合凹部52,嵌合凹部23bに取付けたときには、取付基部30aとそれに一体成形された中空シール部30bからなるドアウェザーストリップ30の断面形状は同一である。
ドアウェザーストリップ30は、嵌合凹部22b,23b及びピース側嵌合凹部52に嵌め込まれる取付基部30aと取付基部30aに一体成形されドア1の閉時にボディパネル5に弾接して車内外をシールする中空シール部30bと車外側に延びる断面略舌状のリップ部30cを有している。
【0030】
また、両サッシュ22,23の意匠面部22d,23dから延設部22c,23cのドア1の外周側と、及び、コーナーピース材50の突出片54からピース側延設部53のドア1の外周側にはサブシール部31が取付けられている。図5は、コーナーピース材50に取付けられるように型成形されたもので、コーナーピース材50が露出した部分を覆う被覆片31cを有するサブシール部31を示している。
サブシール部31は、コーナー部Xではコーナーピース材50に形成された突出片54,コーナーピース材50に接合される直線部ではルーフ側サッシュ22,ピラー側サッシュ23に形成された意匠面部22d,23dにそれぞれ係止される。またサブシール部31は、ドア1の外周側に露出したコーナーピース材50のピース側延設部53,両サッシュ22,23の延設部22c,23cの部位を覆い隠す取付基部31aと取付基部31aに一体成形されドア1の閉時に中空シール部30bと同様にボディパネル5に弾接して車内外をシールする断面略舌状のシールリップ部31bを有している。またサブシール部31の被覆片31cは、コーナー部Xにおいて取付基部31aからピース側嵌合凹部52まで形成され、ピース側延設部53を被覆して露出しないようにしている。またサブシール部31の被覆片31cは、図4に示すように、ドアウェザーストリップ30に形成されたリップ部30cとピース側延設部53の間で挟持されている。
【0031】
さらに、両サッシュ22,23側では、フレーム本体部22a,23aの車外側で、延設部22c,23cのドア1の内周側にはグラスラン12が取付けられている。グラスラン12は、断面略コ字形状の取付基部12aと取付基部12の両端からそれぞれ内方に向けて突出して、昇降するドアガラス6に車外側及び車内側から摺接する車外側リップ部12bと車内側リップ部12cを有している。また、コーナーピース材50側では、コーナーの中央部に近づくにしたがって、図4に示すように、グラスラン12の取付基部12aの車内側の側壁及び車内側リップ部12cが、ピース側延設部53が徐々に長くなるのに対応して長くなり、サブシール部31の車外側の部位31dとピース側フレーム本体部51に形成された突設部で挟まれるようにしてグラスラン12が取付けられている。このとき、グラスラン12の取付基部12aの車内側の側壁は、ピース側延設部53に沿って弾接している。
【0032】
以上のように構成された第1実施形態に記載の自動車用ドア構造によれば、嵌合凹部22b,23bが形成されたルーフ側サッシュ22とピラー側サッシュ23が接合される自動車用ドア1のコーナー部Xを、両サッシュ22,23とは別体のコーナーピース材50で成形するものであり、そのコーナーピース材50には、ドア上縁部側からコーナー部Xを経てピラー側に渡るまで一連一体的に押出成形されたドアウェザーストリップ30を取付け可能に湾曲したピース側嵌合凹部52が形成され、そのピース側嵌合凹部52は両サッシュ22,23の嵌合凹部22b,23bに連設するように両サッシュ22,23とコーナーピース材50は溶接して繋げられるので、コーナー部Xで型成形接続するための金型成形部を廃止することができ、コストの低廉を図れる。また、ドア上縁部側からコーナー部Xを経てピラー側に渡るまで、継ぎ目の無い押出成形された1本のドアウェザーストリップ30でドア1とボディパネル5の間をシールすることができるので優れたシール機能が得られる。
【0033】
また、1本のドアウェザーストリップ30をコーナー部Xでも取付けられるように形成されたピース側嵌合凹部52は、例えばプレス加工などによってコーナーピース材50とともに一体的に成形されるので、サッシュを部分的に切除したり、特に部品点数が大きく増加するものでもない。ここでは、部品点数はコーナーピース材50により一つ増えるだけである。
さらに、コーナー部Xではコーナーピース材50と両サッシュ22,23とを溶接で繋げるので強度的に優れる。
【0034】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態に係る自動車用ドア構造について、図6乃至図8を参照して説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る自動車用ドア構造を示す斜視図であり、図7は、図6に示す自動車用ドア構造の接合の要部を示す拡大断面図であり、また、図8は、本発明の第2実施形態に係る自動車用ドア構造でドアウェザーストリップ,サブシール部及びグラスランが取付けられた状態を示すものであり、図6のF−F線拡大断面図である。
本発明の第1実施形態に係る自動車用ドア構造では、コーナー部Xでは金属製のコーナーピース材50と同じく金属製の両サッシュ22,23を溶接によって接合して繋げたが、本発明の第2実施形態に係る自動車用ドア構造では、コーナーピース材60を樹脂成形して、樹脂製のコーナーピース材60と金属製の両サッシュ22,23を嵌合せによって接合して繋げたものである。また、第1実施形態のコーナーピース材50に形成されたピース側嵌合凹部52にかえて、第2実施形態のコーナーピース材60ではガイド部62を形成してこれをドアウェザーストリップ支持部として機能させたものである。
【0035】
なお、コーナーピース材60のピース側フレーム本体部61と、ピース側延設部63と、突出片64は、コーナーピース材50のピース側フレーム本体部51と、ピース側延設部53と、突出片54と材質は異なるが略同一の形状をしている。
また、第1実施形態ではサブシール部31に被覆片31cを設けてピース側延設部53の露出した部位を覆うようにしたが、第2実施形態ではサブシール部31に被覆片31cを設けることなく、両サッシュ22,23に取付けられたサブシール部31(図2,図3)と同様の断面形状にしている。これは、コーナーピース材60を樹脂製とした場合、樹脂の色を調整することができるため、ドアウェザーストリップ30とサブシール部31の間のピース側延設部63が露出していても美観を損ねないためである。
【0036】
コーナーピース材60と両サッシュ22,23の嵌合せの構造は、図6及び図7に示すように、コーナーピース材60の両端部側から両サッシュ22,23側に突出した突設片65,66の車内側に設けられた突起67,68を、両サッシュ22,23の端部でフレーム本体部22a,23aに形成された穴22e,23eに嵌め込んで接合するようになっている。このとき、コーナーピース材60に形成された突設片65,66はそれぞれ袋状のフレーム本体部22a,23aの中に差し込まれる。
【0037】
コーナーピース材60に形成されたガイド部62は、凹部を有しない平担で車外側から車内側に延びるものであり、しかもドア1上縁部側からコーナー部Xを経てピラー側に渡るまで一連一体的に押出成形されたドアウェザーストリップ30の取付基部30aをその底面から支持可能に湾曲したものである。
そして、両サッシュ22,23の嵌合凹部22b,23bがコーナーピース材60のガイド部62に連設するように、両サッシュ22,23の端末はそれぞれコーナーピース材60に接合して繋げられている。
【0038】
これによれば、コーナーピース材60のガイド部62はドアウェザーストリップ30を支持可能に湾曲したものであればよく、第1実施形態のコーナーピース材50のピース側嵌合凹部52のように嵌合凹部を設ける必要はないので製造が簡易である。この場合、湾曲するコーナー部Xの中央付近において、ガイド部62とドアウェザーストリップ30の両方に穿孔を設け、これら穿孔を貫通しながら両者が固定される通常のクリップを用いてもよい。
なお、コーナーピース材60のガイド部62に、コーナーピース材50のピース側嵌合凹部52のような嵌合凹部を一体的、又は別体で断続的に、あるいはコーナーの中央部だけに部分的に設けるようにしてもよい。
【0039】
なお、本発明の第2実施形態では、樹脂製のコーナーピース材60と金属製の両サッシュ22,23を嵌合せによって接合して繋げたが、接着剤による接着によって接合するようにしてもよい。コーナーピース材60と両サッシュ22,23を、嵌合せや接着剤によって接着する場合、両サッシュ22,23は金属であっても、又はその他の材質であっても適用できる。
【0040】
また、コーナーピース材50,60の形状は、ドア上縁部側からコーナー部Xを経てピラー側に渡るまで一連一体的に押出成形されたドアウェザーストリップ30を取付け可能に湾曲したピース側嵌合凹部52やドアウェザーストリップ30を支持可能に湾曲したガイド部62が形成されたものであれば、その他の形状は様々に変更可能である。また、コーナーピース材50,60に形成されるピース側嵌合凹部52やガイド部62の湾曲の度合いを種々変えたものを用意することもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 ドア
2 ルーフ側サッシュ
2a フレーム本体部
2b 嵌合凹部
2c 延設部
2d 意匠面部
3 ピラー側サッシュ
3a フレーム本体部
3b 嵌合凹部
3c 延設部
3d 意匠面部
5 ボディパネル
6 ドアガラス
10 ドアウェザーストリップ
10a 取付基部
10b 中空シール部
10Y ドアウェザーストリップの押出成形部
10Z ドアウェザーストリップの型成形部
11 サブシール部
11a 取付基部
11b シールリップ部
12 グラスラン
12a 取付基部
12b 車外側リップ部
12c 車内側リップ部
22 ルーフ側サッシュ
22a フレーム本体部
22b 嵌合凹部
22c 延設部
22d 意匠面部
22e 穴
23 ピラー側サッシュ
23a フレーム本体部
23b 嵌合凹部
23c 延設部
23d 意匠面部
23e 穴
30 ドアウェザーストリップ
30a 取付基部
30b 中空シール部
30c リップ部
31 サブシール部
31a 取付基部
31b シールリップ部
31c 被覆片
31d サブシール部の車外側の部位
50 コーナーピース材
51 ピース側フレーム本体部
52 ピース側嵌合凹部
53 ピース側延設部
54 突出片
60 コーナーピース材
61 ピース側フレーム本体部
62 ガイド部
63 ピース側延設部
64 突出片
65 突設片
66 突設片
67 突起
68 突起
T1〜T3 溶接部
X コーナー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア上縁部を形成するルーフ側サッシュとドアの上下方向に延びるピラー側サッシュがコーナー部で連結され、両サッシュの車内側には、ボディパネル側に弾接して車内外をシールするドアウェザーストリップが嵌め込まれる嵌合凹部が形成された自動車用ドア構造であって、
前記ルーフ側サッシュと前記ピラー側サッシュは、互いに離間すると共に、
前記コーナー部を、前記両サッシュとは別体で、少なくともドア上縁部側からコーナー部を経てピラー側に渡るまで一連一体的に押出成形された前記ドアウェザーストリップを支持可能に湾曲したドアウェザーストリップ支持部が形成されたコーナーピース材で成形し、前記両サッシュの嵌合凹部を前記コーナーピース材のドアウェザーストリップ支持部に連設するように、前記両サッシュの端末をそれぞれ前記コーナーピース材を介して連結してなることを特徴とする自動車用ドア構造。
【請求項2】
前記ドア上縁部側からコーナー部を経てピラー側に渡るまで一連一体的に押出成形されたドアウェザーストリップを取付けるとともに、前記コーナーピース材が露出した車内側の部分を覆う被覆片を有するシール部を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の自動車用ドア構造。
【請求項3】
前記シール部の被覆片は、前記コーナーピース材が露出した車内側の部分と、前記ドアウェザーストリップに形成されたリップ部の間で挟持されることを特徴とする請求項2に記載の自動車用ドア構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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