説明

自動車用バッテリを用いた無効電力供給システム及び方法

【課題】本発明は、自動車用バッテリを用いた無効電力供給システム及び方法に関する。
【解決手段】本発明は、自動車用バッテリと電気自動車の充電装置である双方向充電器を用いて、小規模系統(Micro Grid)に無効電力を供給する無効電力供給システム及び方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用バッテリを用いた無効電力供給システム及び方法に関し、より詳細には、自動車用バッテリと電気自動車の充電装置である双方向充電器を用いて、小規模系統(Micro Grid)に無効電力を供給する無効電力供給システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の電力などを用いる方式が提案されており、その技術が開示されている先行技術文献としては、韓国特許公開第10−2009−0119833号が挙げられる。
【0003】
この先行技術文献に記載された方式は、電気自動車の電力などを統合して用いる形態である。より詳細には、それぞれの電気リソースを相応するブリッジと結合させて電力系統(グリッドともいう)に連結する方式である。
【0004】
ところで、このような方式によると、多数の電気自動車が同時に充電される場合、無効電力の不足現象が発生するようになる。従って、無効電力が足りないと、電力の伝送効率が減少し、系統において電圧が降下する。また、この無効電力により電圧が降下し、結局停電(Black−out)事態に至る可能性がある。
【0005】
従って、一般的に無効電力補償装置である同期調相機、シャントキャパシタ(shunt Capacitor)、FACTS(Flexible AC Transmission System)などの装置を用いる。
【0006】
従来技術の場合、このような停電事態を避けるために高価の無効電力補償装置を系統に設けるため、コストが高くかかるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術によって生じる欠点を克服するために、無効電力の不足現象が発生しないように、小規模系統(Micro Grid)に必要な無効電力を安定的かつ効率的に供給することができる、自動車用バッテリを用いた無効電力供給システム及び方法を提供することにその目的がある。
【0008】
また、本発明は、高価の無効電力補償装置を系統に設けなくても、小規模系統に無効電力の供給及び吸収により系統安定度を増大させる自動車用バッテリを用いた無効電力供給システム及び方法を提供することに他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を果たすために、自動車用バッテリを用いた無効電力供給システムを提供する。この自動車用バッテリを用いた無効電力供給システムは、家庭内に設けられたコンセントに連結されるハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、または電気自動車の高電圧バッテリと、前記自動車または電気自動車に構成されたBMS(Battery Management System)から生成された高電圧バッテリの状態情報を前記自動車または電気自動車に構成された通信部を介して伝送を受け、前記家庭内に設けられた少なくとも一つの負荷及び前記高電圧バッテリに対する力率をモニタリングして力率補償値を算定する力率モニタリング制御器と、前記高電圧バッテリに電源を供給したり、前記高電圧バッテリからの電源を外部に送電する双方向充電器と、前記双方向充電器を制御して、算定された前記力率補償値だけ前記高電圧バッテリからの電源を外部に送電して前記力率補償値だけ補償する制御部と、を含む。
【0010】
また、この無効電力供給システムは、前記双方向充電器に電源を供給したり、前記双方向充電器から前記高電圧バッテリの電源の供給を受ける小規模系統(Micro−grid)をさらに含むことを特徴とする。
【0011】
一方、本発明の他の実施例による自動車用バッテリを用いた無効電力供給方法は、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、または電気自動車の高電圧バッテリを家庭内に設けられたコンセントに連結する段階と、力率モニタリング制御器が、前記自動車または電気自動車に構成されたBMS(Battery Management System)から生成された高電圧バッテリの状態情報を前記自動車または電気自動車に構成された通信部を介して伝送を受け、前記家庭内に設けられた少なくとも一つの負荷及び前記高電圧バッテリに対する力率をモニタリングして、力率補償値を算定する段階と、双方向充電器が、前記高電圧バッテリに電源を供給したり、前記高電圧バッテリからの電源を外部に送電する段階と、制御部が前記双方向充電器を制御して、算定された前記力率補償値だけ前記高電圧バッテリからの電源を外部に送電して前記力率補償値だけ補償する段階と、を含む。
【0012】
また、この無効電力供給方法は、小規模系統(Micro−grid)が、前記双方向充電器に電源を供給したり、前記双方向充電器から前記高電圧バッテリの電源の供給を受ける段階をさらに含むことができる。
【0013】
この際、前記双方向充電器は車載型充電器(On−Board charger)であり、PFC(Power Factor Control)回路を含むことを特徴とする。
【0014】
この際、前記高電圧バッテリの電源は進相負荷(Leading Load)として用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、自動車バッテリの電気が系統に供給される際、反転デューティ(Inverting Duty)制御によって進相運転(leading operating)すると、バッテリを介して系統に力率を改善することにより無効電力の不足分を補うことが可能である。
【0016】
また、本発明によると、自動車バッテリを用いて小規模系統に対する無効電力の供給及び吸収により系統安定度を増大させることができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例による自動車用バッテリと双方向充電器を用いた無効電力供給システムの構成図である。
【図2】図1に図示された自動車のシステム構成図である。
【図3】図1に図示された双方向充電器の回路構成図である。
【図4】図3に図示されたPFC(Power Factor Control)回路の回路構成図である。
【図5】本発明の一実施例による力率補償過程を図示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な実施例を有することができて、特定実施例を図面に例示して詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されるべきである。各図面を説明するにあたり、類似の参照符号を類似の構成要素に対して用いる。
【0019】
「第1、第2」などの用語は多様な構成要素を説明するために用いられることができるが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ用いられる。例えば、本発明の権利範囲を外れずに第1構成要素は第2構成要素に命名されることができて、類似に第2構成要素も第1構成要素に命名されることができる。「及び/または」という用語は複数に係わって記載された項目の組み合わせまたは複数に係わって記載された項目のうち何れかの項目を含む。
【0020】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されている」または「接続されている」と言及されている場合は、その他の構成要素と直接的に連結または接続されていることもできるが、その間に他の構成要素が存在することもできると理解されるべきであろう。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されている」または「直接接続されている」と言及された場合には、その間に他の構成要素が存在しないと理解されるべきであろう。
【0021】
本明細書で用いる用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」などの用語は明細書に記載された特徴、数字、工程、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、工程、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在または付加可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されるべきである。
【0022】
他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含んでここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に用いられる辞典に定義されているものと同じ用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施例による自動車用バッテリと双方向充電器を用いた無効電力供給システム及び方法を詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施例による自動車用バッテリと双方向充電器を用いた無効電力供給システムの構成図である。図1を参照すると、無効電力供給システムは、自動車100と、この自動車100に設けられる充電動作部200と、この充電動作部200と連結され、自動車100の無効電気の力率をモニタリングする力率モニタリング制御器170と、この力率モニタリング制御器170と連結され、自動車100の無効電力の供給を受ける小規模系統(Micro Grid)180と、などで構成される。
【0025】
自動車100は、バッテリを電源として用いるハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、または電気自動車であることができる。自動車100には充電動作部200が構成され、これを含む自動車100の電子システムの構成図が図2に図示されている。図2については後述する。
【0026】
充電動作部200は、家庭110に設けられたコンセント111、112と連結されて小規模系統180から電力の供給を受けたり、または力率モニタリング制御器170と連結されて自動車100のバッテリ(不図示)から発生する無効電力を力率モニタリング制御器170に伝送する。この際、充電動作部200と力率モニタリング制御器170との間の通信は、電力線通信ネットワーク(PLC:Power Line Control)、コントローラエリアネットワーク(CAN:Controller Area Network)などが用いられることができる。
【0027】
力率モニタリング制御器170は、自動力率制御器または自動力率制御装置などと呼ばれ、無効電力または力率の設定値に応じてキャパシタを投入または遮断する装置である。また、力率低下による追加料金を負担させないようにし、電圧変動と高調波の発生を抑制して、エネルギーを低減できるようにする機器である。この力率モニタリング制御器170は、自動車100だけでなく、分電盤115を介して家電機器113にも連結される。この家電機器113は家庭の負荷になる。
【0028】
一般的に、エネルギーを低減するための方法として、ピーク(peak)電力を制御して瞬間的な電力不足現象を防止するピーク電力制御(peak Demand Control)と、進相無効キャパシタを制御して無効電力を最小化する力率制御(Power Factor Control)が代表的に用いられる。
【0029】
交流回路の電圧や電流が正弦波(サイン波)形状に変動して両者の正弦波位相が必ずしも一致するとはかぎらない場合が発生する。この場合、電圧と電流との間に位相差が発生し、これによりVIで示されていた電力値がVIcosθ=有効電力(ここで、Iは複素電流である)で示される。この際、cosθが力率(Power Factor)になる。力率は、供給した電力の値が実際に仕事に用いられる効率を示す。
【0030】
図1を参照して継続して説明すると、このような力率モニタリング制御器170の制御方式としては、C/k値(C/k Value)による循環制御(loop control)、順次制御方式(優先順位制御方式)(sequential control)などが挙げられる。ここで、C/k値(Smallest Capacitor Current)は、系統定格電圧、電流に対する最も小さなキャパシタ容量の比、またはもっとも小さなキャパシタ容量の電流を意味する。
【0031】
力率モニタリング制御器170の構造及び構成については既に公知されているため、これ以上の説明は省略する。
【0032】
小規模系統(Micro Grid)180は、高い電力品質を提供するために、独立して有効及び無効電力の制御が可能な燃料電池とマイクロタービンのように、環境にやさしく、信頼できる電力源を採用するマイクロソース(Micro−Source)で構成される。また、小規模系統180は、既存の広域的な電力システムから独立された分散電源を中心とした局所的な電力供給システムである。勿論、本発明では小規模系統を記述したが、スマートグリッドであることができる。
【0033】
小規模系統180は、家庭110に設けられた分電盤115と連結され、コンセント111、112を介して自動車100、家電機器113などに商用電源を供給する。ここで、家電機器としては、洗濯機、冷蔵庫、エアコンなどが挙げられる。
【0034】
勿論、小規模系統180は、力率モニタリング制御器170と連結され、自動車100の無効電力の供給を受けることもできる。
【0035】
図2は図1に図示された自動車100のシステム構成図である。特に、図2はハイブリッド車両のシステム構成を図示したものである。図2を参照すると、このシステム構成図には、車両の走行用駆動源としてエンジン210及びモータ211と、エンジンからモータに駆動源を変換するために反転するインバータ220と、ハイブリッドバッテリである高電圧バッテリ230と、高電圧バッテリ230に電圧を供給したり、この高電圧バッテリ230の無効電力を力率モニタリング制御器(図1の170)に供給する双方向充電器260と、高電圧バッテリ230を制御するBMS(Battery Management System)250と、BMS250と双方向充電器260を制御する制御部270と、などが含まれる。
【0036】
勿論、図面ではエンジン210とモータ211が直接連結されていることで図示したが、これは本発明の一実施例に対する理解の便宜のために図示したものであり、分離して構成されることができる。
【0037】
図2を参照して構成要素を説明すると次のとおりである。
【0038】
EMS(Engine Management System)290は、エンジン210を統合管理する機能をするものであり、エンジン210の作動状態を検知する各種センサから入力された信号に基づいて最適の液体燃料量の噴射と点火時期などを制御して、車両が最適の走行性能を発揮するようにする。
【0039】
インバータ220は、モータを駆動するために直流電源を3相の交流電源に変更する機能をし、このインバータは一般的にPWM(Pulse Width Modulation)方式のスイッチング素子(不図示)とIGBT(Insulated Gate bipolar Transistor)、このスイッチング素子に信号を与えるゲート駆動部(不図示)を含むことができる。これは本発明の一実施例に対する理解の便宜のためのもので、高電圧バッテリ230からの電源を反転してモータ211に提供するものであれば、他の構成も利用可能である。
【0040】
高電圧バッテリ230は、ニッケル金属バッテリ、リチウムイオンバッテリなどのハイブリッドバッテリであり、モータ211に電源を供給する機能をする。勿論、本発明の一実施例では理解の便宜のためにバッテリと表示したが、直列または並列に配列されたバッテリセルで構成されるパックであることができ、複数のサブパックで構成することもできる。
【0041】
BMS250は、高電圧バッテリ230を管理及び制御する機能をし、高電圧バッテリ230の状態情報を制御部270に伝送する機能をする。
【0042】
HCU(Hybrid Control Unit)240は、EMS290、BMS250、制御部270と制御情報を交換して、車両を制御する機能をする。即ち、HCU240は、エンジン210が動作する場合には、エンジン210に関する制御情報をEMS290と交換してエンジン210を制御する。一方、モータ211が動作する場合には、モータ211、高電圧バッテリ230に関する制御情報をモータ制御器213、BMS250と交換する。
【0043】
モータ制御器213は、モータ211を制御するためにHCU240及びBMS250と制御情報を互いに交換する。また、モータ211の回転数を制御するために、モータ211のRPM(Revolutions Per Minuite)情報をモータ211から獲得して、この情報をモータ211の制御に用いる。勿論、モータ211は3相の交流電源を用いると説明したが、本発明の一実施例はこれに限定されず、単相も利用可能である。
【0044】
HCU240、モータ制御器213、BMS250、EMS290、制御部270などの間の通信は、CAN(Controller Area Network)通信方式が一般的に用いられるが、これに限定されるものではなく、他の通信方式を用いることもできる。
【0045】
双方向充電器260は、双方向コネクタ261を用いてコンセント111から商用電気の入力を受けて高電圧バッテリ230に電圧を供給したり、この高電圧バッテリ230の無効電力を力率モニタリング制御器(図1の170)に供給する機能をする。
【0046】
制御部270はマイコンで構成されており、EMS290からエンジン210またはモータ211の運転制御情報の伝送を受け、これとともにBMS250から高電圧バッテリ230のバッテリ状態情報の伝送を受けて、これら情報に基づいて高電圧バッテリ230の無効電力を力率モニタリング制御器(図1の170)に伝送するか否かを決定するアルゴリズムを含む。また、制御部270には、このようなアルゴリズムを具現するためのメモリ(不図示)が構成される。
【0047】
このメモリは、制御部270内に備えられるメモリであってもよく、別のメモリであってもよい。従って、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically erasable programmable read−only memory)、SRAM(Static RAM)、FRAM(Ferro−electric RAM)、PRAM(Phase−change RAM)、MRAM(Magnetic RAM)などの非揮発性メモリが用いられることができる。
【0048】
通信部280は、制御部270と力率モニタリング制御器(図1の170)が通信するようにする機能をする。このために、通信部280は電力線通信ネットワーク(PLC:Power Line Control)、コントローラエリアネットワーク(CAN:Controller Area Network)であることができるが、これに限定されるものではなく、赤外線通信(IrDA)、ブルートゥースなどの無線通信を用いることもできる。
【0049】
その他にも、図2には図示されていないが、インバータ220、HCU240、BMS250などに電源を供給する電源バッテリ(不図示)などが構成される。
【0050】
図3は図1に図示された双方向充電器260の回路構成図である。特に、双方向充電器260は車載型充電器(On−Board Charger)であり、AC電源をDC電源に変換する機能をする。図3を参照すると、電源電圧VACが多数のダイオードD〜Dで構成されたACブリッジ整流器301を経て、PFC回路300を通過しながらDC形態の出力電圧電源VDCに変換される。
【0051】
従って、双方向充電器260は、小規模系統(図1の180)から入力されたAC電源をDC電源に変換して高電圧バッテリ(図2の230)に供給したり、高電圧バッテリ230から出力されたDC電源をAC電源に変換する機能をする。
【0052】
ここで、PFC回路300は一般的にスイッチングレギュレータ形態からなっており、これは図4に図示されている。勿論、図4はスイッチングレギュレータの一例であり、本発明がこれに限定されるものではない。
【0053】
図4は図3に図示されたPFC(Power Factor Control)回路300の回路構成図である。図4を参照すると、PFC出力電圧INVがフィードバックされ、誤差増幅器EAに入力される。これとともに、図3に図示されたように出力電圧VCCが内部レギュレータ320に入力されて、内部レギュレータ320は電源電圧VDDとバイアス電圧(Bias Voltage)を発生させる。
【0054】
内部レギュレータ320から発生した電圧VDD(バイアス電圧)は、比較器312、330、331と誤差増幅器311のバイアス電圧及び基準電圧の機能をする。ACブリッジ整流器301によって整流された信号RECTIと誤差増幅器311の出力信号が乗算器310に入力され、この乗算器310の出力信号とCS信号が比較器312に入力される。これにより、比較器312の出力信号はラッチ350のリセット端子Rに入力される。
【0055】
ここで、CS信号は、パワースイッチQ1のオン/オフ信号による電流変化を意味する。
【0056】
また、ZCD信号は、電源電流(例えば、トランスなどから出力された出力電源)を乗算器310の出力と比較してパワースイッチQ1をターンオンし、ラッチ350のリセットRに入力される信号は、インダクタ(不図示)の電流が乗算器310の出力信号と接触する地点でパワースイッチQ1をオフしてインダクタ電流を0に降下させる機能をする。
【0057】
また、インダクタ電流が0になる時、ZCD信号が比較器330、331に入力されるようにリセット信号によってパワースイッチQ1がオンされ、予め設定された基準電圧(1.6V、0.15V)とZCD信号とを比較する。この比較結果が加算器340に入力されてセット信号になり、このセット信号はラッチ350のセットSに伝達される。これにより、ラッチ350から信号の伝達を受けたドライバ360がパワースイッチQ1をオンして、インダクタ(不図示)の電流が増加するようになる。
【0058】
従って、PFC回路300は小規模系統(図1の180)から自動車(図1の100)の方に入力される電流を継続して検知してACブリッジ整流器301の入力電圧波形に従うようにして、結果的に電圧と電流の位相を同様にする。
【0059】
このようなPFC回路については、既に公知されている技術であるため、本発明の容易な理解のためにこれ以上の説明は省略する。
【0060】
図5は本発明の一実施例による力率補償過程を図示したフローチャートである。図5を参照すると、力率モニタリング制御器(図1の170)が家庭(図1の110)内の家電機器(図1の113)、自動車(図1の100)などの負荷による力率をモニタリングする(S500)。
【0061】
力率のモニタリング結果、力率補償値を算定する(S510)。より詳細には、家庭で使用される家電機器(図1の113)にはコイル回路などの消耗性回路素子が含まれるため、家電機器113で必要とする消費電力が10KWであっても、韓国電力公社では12KWで送電しなければならない。従って、力率補償値を算定して自動車(図1の100)がこの力率補償値を補償すると、韓国電力公社は12KWで送電しなくても良い。
【0062】
理解しやすく説明すると、力率が1である場合は、供給した電力が実際に仕事に全部用いられたことを意味し、力率が0である場合は、供給した電力が電力伝送過程で全部消失したことを意味する。従って、力率が低くなる場合、電力使用の効率を高めるために力率(Power Factor)を補正するようになり、これを「Power Factor Correction」という。補正方法としては、コイルとリアクタンス成分によって電流位相が電圧位相より遅れる場合、電流位相が電圧位相より進んだキャパシタンス成分を投入して電流と電圧の位相差を減少させることにより力率を増加させる方法が用いられる。
【0063】
また、本発明では家庭内の力率を改善すると説明したが、無効電力を力率モニタリング制御器170を介して小規模系統(図1の180)に送電することも可能である。
【0064】
力率補償値が算定されると、自動車(図1の100)に備えられた充電動作部(図1の200)がこの力率補償値を補償する(S520)。より詳細には、制御部(図2の270)は、力率モニタリング制御器(図1の170)で算出した力率補償値の伝送を受けて力率補償値を計算し、この力率補償値だけの無効電力を高電圧バッテリ(図2の230)から力率モニタリング制御器(図1の170)に送電する。
【0065】
力率補償値を補償した後、力率モニタリング制御器170は力率をモニタリングして、力率が目標として設定された力率値へ到逹したかを判断する(S530)。
【0066】
判断結果、目標力率値へ到逹した場合、制御部(図2の200)は無効電力を力率モニタリング制御器(図1の170)に送電しない。
【0067】
一方、目標値力率値へ到逹していない場合、S510からS530の段階が繰り返して行われる。
【0068】
従って、自動車のバッテリ電源を進相負荷(Leading Load)として活用することにより家庭内の力率を改善することができる。即ち、FACTS(Flexible AC Transmission)などの電力補償供給源が家庭単位の負荷端に設けられることと同じ効果がある。
【0069】
また、自動車のバッテリ電源を進相負荷(Leading Load)として活用することにより、小規模系統(図1の180)に送電することも可能である。
【符号の説明】
【0070】
100 自動車
110 家庭
111、112 コンセント
113 家電機器
115 分電盤
170 力率モニタリング制御器
180 電気線路
200 充電動作部
210 エンジン
211 モータ
213 モータ制御器
220 インバータ
230 高電圧バッテリ
240 HCU(Hybrid Control Unint)
250 BMS(Battery Management System)
260 双方向充電器
261 双方向コネクタ
270 制御部
280 通信部
290 EMS(Engine Management System)
300 PFC(Power Factor Collector)回路
311 EA(Error Amplifier:誤差増幅器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭内に設けられたコンセントに連結されるハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、または電気自動車の高電圧バッテリと、
前記自動車または電気自動車に構成されたBMS(Battery Management System)から生成された高電圧バッテリの状態情報を前記自動車または電気自動車に構成された通信部を介して伝送を受け、前記家庭内に設けられた少なくとも一つの負荷及び前記高電圧バッテリに対する力率をモニタリングして力率補償値を算定する力率モニタリング制御器と、
前記高電圧バッテリに電源を供給したり、前記高電圧バッテリからの電源を外部に送電する双方向充電器と、
前記双方向充電器を制御して、算定された前記力率補償値だけ前記高電圧バッテリからの電源を外部に送電して前記力率補償値だけ補償する制御部と、を含む自動車用バッテリを用いた無効電力供給システム。
【請求項2】
前記双方向充電器は車載型充電器(On−Board charger)であり、PFC(Power Factor Control)回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動車用バッテリを用いた無効電力供給システム。
【請求項3】
前記双方向充電器に電源を供給したり、前記双方向充電器から前記高電圧バッテリの電源の供給を受ける小規模系統(Micro−grid)をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用バッテリを用いた無効電力供給システム。
【請求項4】
前記高電圧バッテリの電源は進相負荷(Leading Load)として用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用バッテリを用いた無効電力供給システム。
【請求項5】
ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、または電気自動車の高電圧バッテリを家庭内に設けられたコンセントに連結する段階と、
力率モニタリング制御器が、前記自動車または電気自動車に構成されたBMS(Battery Management System)から生成された高電圧バッテリの状態情報を前記自動車または電気自動車に構成された通信部を介して伝送を受け、前記家庭内に設けられた少なくとも一つの負荷及び前記高電圧バッテリに対する力率をモニタリングして、力率補償値を算定する段階と、
双方向充電器が、前記高電圧バッテリに電源を供給したり、前記高電圧バッテリからの電源を外部に送電する段階と、
制御部が前記双方向充電器を制御して、算定された前記力率補償値だけ前記高電圧バッテリからの電源を外部に送電して前記力率補償値だけ補償する段階と、を含む自動車用バッテリを用いた無効電力供給方法。
【請求項6】
前記双方向充電器は車載型充電器(On−Board charger)であり、PFC(Power Factor Control)回路を含むことを特徴とする請求項5に記載の自動車用バッテリを用いた無効電力供給方法。
【請求項7】
小規模系統(Micro−grid)が、前記双方向充電器に電源を供給したり、前記双方向充電器から前記高電圧バッテリの電源の供給を受ける段階をさらに含むことを特徴とする請求項5または6に記載の自動車用バッテリを用いた無効電力供給方法。
【請求項8】
前記高電圧バッテリの電源は進相負荷(Leading Load)として用いられることを特徴とする請求項5または6に記載の自動車用バッテリを用いた無効電力供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−125143(P2012−125143A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−265844(P2011−265844)
【出願日】平成23年12月5日(2011.12.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(308007044)エスケー イノベーション  カンパニー リミテッド (53)
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【Fターム(参考)】