説明

自動車用放電電流制御回路

【課題】低温時において放電スイッチ10のオフ後に生じる放電電流のオーバーシュート時の最大値が低下することを抑える。
【解決手段】コンパレータ43は、放電電流が閾値を越えると、ローレベル信号をANDゲート45に出力する。このため、ANDゲート45がローレベル信号を放電スイッチ10に出力するので、放電スイッチ10がオフする。アルミ電解コンデンサ20が常温であるとき切替スイッチ46の設定により、閾値を狙い値I1に設定し、アルミ電解コンデンサ20が低温であるとき切替スイッチ46の設定により、閾値を放電電流の狙い値I2に設定する。狙い値I2は、狙い値I1に補正値ΔIを加えた値である。補正値ΔIは、低温時の放電スイッチ10のオフ後の放電電流の最大値を、常温時の放電スイッチ10のオフ後の放電電流の最大値VP2に近づけるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に流れる放電電流を制御する自動車用放電電流制御回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料噴射装置において、アルミ電解コンデンサと、電源電圧を昇圧してアルミ電解コンデンサに出力してアルミ電解コンデンサを充電する昇圧回路と、アルミ電解コンデンサおよび電磁弁の間を接続或いは開放する放電スイッチと、放電スイッチを制御する制御回路とを備え、制御回路が放電スイッチをオンしてアルミ電解コンデンサおよび電磁弁の間を接続したときに、アルミ電解コンデンサからの放電電流を放電スイッチおよび電磁弁を通してグランドに流すことにより、電磁弁を開弁して燃料を内燃機関に噴射させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−146721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者が、上述の燃料噴射装置において、アルミ電解コンデンサから放電スイッチおよび電磁弁を通してグランドに流れる放電電流が上昇して閾値に到達するまで制御回路により放電スイッチのオンを維持して電磁弁を開弁させることを検討したところ、放電電流が閾値以上になると制御回路により放電スイッチをオフさせた場合には、放電スイッチのオフ後に放電電流のオーバーシュートが発生し、低温時には、常温時に比べて、放電電流のオーバーシュートが小さくなることが分かった。
【0005】
本発明者の検討によれば、低温時には、アルミ電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)の値が常温時に比べて低下する。このため、低温時には常温時に比べて、放電電流の時間に対する傾きが緩くなる。このため、図4(b)に示すように、低温時にて放電電流のオーバーシュートが生じた際の放電電流の最大値(VP2)が、常温時にて放電電流のオーバーシュートが生じた際の放電電流の最大値(VP1)に比べて小さくなる。よって、低温時には常温時に比べて、アルミ電解コンデンサから負荷としての電磁弁に流れる放電電流が小さくなるので、電磁弁の開弁制御に悪影響を与える。このため、低温時には、電磁弁が開弁しない等の問題が生じる可能性があり、燃料噴射量の制御の精度を劣化させることになる。
【0006】
このように低温時にてアルミ電解コンデンサのESRの値が低下することが原因で、アルミ電解コンデンサから負荷に流れる放電電流が低下することは、電磁弁を負荷とする場合に限らず、負荷として電磁弁以外の各種のものを用いた場合にも、生じると考えられる。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、アルミ電解コンデンサの温度低下が原因で、放電スイッチのオフ後にて放電電流のオーバーシュートが生じた際の放電電流の最大値が小さくなることを抑えるようにした放電電流制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、アルミ電解コンデンサ(20)と、
前記アルミ電解コンデンサから負荷(2)を通してグランドに流れる放電電流を検出する電流検出手段(50)と、
オンすることにより前記アルミ電解コンデンサおよび前記負荷の間を接続し、オフすることにより前記アルミ電解コンデンサおよび前記負荷の間を開放する放電スイッチ(10)と、
前記放電スイッチをオンさせた後に前記電流検出手段の検出電流値が閾値よりも大きくなると、前記放電スイッチをオフさせる制御手段(43、45)と、を備える自動車用放電電流制御回路であって、
前記放電スイッチをオンさせた後に前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧よりも低くなったか否かを判定することにより、前記アルミ電解コンデンサが低温であるか否かを判定する判定手段(42)と、
前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧以上であると前記判定手段が判定したときには前記アルミ電解コンデンサが常温であるとして、第1の電流値(I1)を前記閾値とし、前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧よりも低くなったと前記判定手段が判定したときには前記アルミ電解コンデンサが低温であるとして、前記第1の電流値(I1)に補正値(ΔI)を加えた値(I1+ΔI)を前記閾値とする設定手段(46)と、を備え、
前記アルミ電解コンデンサが低温である場合に前記放電スイッチのオフ後に前記放電電流のオーバーシュートが生じる際の前記放電電流の最大値(VP1’)を、前記アルミ電解コンデンサが常温である場合に前記放電スイッチのオフ後に前記放電電流のオーバーシュートが生じる際の前記放電電流の最大値(VP1)に近づけるように前記補正値(ΔI)が設定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、アルミ電解コンデンサの温度が低温である場合に放電スイッチのオフ後に放電電流のオーバーシュートが生じた際の放電電流の最大値(VP1’)を、アルミ電解コンデンサの温度が常温である場合に放電スイッチのオフ後に放電電流のオーバーシュートが生じた際の放電電流の最大値(VP1)に近づけるように補正値(ΔI)が設定されている。したがって、アルミ電解コンデンサの温度低下が原因で、放電スイッチのオフ後にて放電電流のオーバーシュートが生じた際の放電電流の最大値が小さくなることを抑えることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、アルミ電解コンデンサ(20)と、
前記アルミ電解コンデンサから負荷(2)を通してグランドに流れる放電電流を検出する電流検出手段(50)と、
オンすることにより前記負荷および前記グランドの間を接続し、オフすることにより前記負荷および前記グランドの間を開放する放電スイッチ(10)と、
前記放電スイッチをオンさせた後に前記電流検出手段の検出電流値が閾値よりも大きくなると、前記放電スイッチをオフさせる制御手段(43、45)と、を備える自動車用放電電流制御回路であって、
前記放電スイッチをオンさせた後に前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧よりも低くなったか否かを判定することにより、前記アルミ電解コンデンサが低温であるか否かを判定する判定手段(42)と、
前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧以上であると前記判定手段が判定したときには前記アルミ電解コンデンサが常温であるとして、第1の電流値(I1)を前記閾値とし、前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧よりも低くなったと前記判定手段が判定したときには前記アルミ電解コンデンサが低温であるとして、前記第1の電流値(I1)に補正値(ΔI)を加えた値(I1+ΔI)を前記閾値とする設定手段(46)と、を備え、
前記アルミ電解コンデンサが低温である場合に前記放電スイッチのオフ後に前記放電電流のオーバーシュートが生じる際の前記放電電流の最大値(VP1’)を、前記アルミ電解コンデンサが常温である場合に前記放電スイッチのオフ後に前記放電電流のオーバーシュートが生じる際の前記放電電流の最大値(VP1)に近づけるように前記補正値(ΔI)が設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、上述の請求項1に記載の発明と同様、アルミ電解コンデンサの温度が低温である場合に放電スイッチのオフ後に放電電流のオーバーシュートが生じる際の放電電流の最大値(VP1’)を、アルミ電解コンデンサが常温である場合に放電スイッチのオフ後に放電電流のオーバーシュートが生じる際の放電電流の最大値(VP1)に近づけるように補正値(ΔI)が設定されている。したがって、アルミ電解コンデンサの温度低下が原因で、放電スイッチのオフ後にて放電電流のオーバーシュートが生じた際の放電電流の最大値が小さくなることを抑えることができる。
【0012】
具体的には、請求項3に記載の発明のように、前記アルミ電解コンデンサの両電極間に直列に接続される第1、第2の抵抗素子(34a、34b)を備え、前記第1、第2の抵抗素子によって前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧を分圧した分圧電圧(Vb)を前記第1、第2の抵抗素子の間の中間接続端子(34c)から出力する電圧検出回路(34)を備え、
前記分圧電圧(Vb)が一定電圧(Vth)よりも低くなった否かを判定することにより、前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧よりも低くなったか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明では、前記電圧検出回路から出力される分圧電圧(Vb)が所定値(V0)以下であるときには、前記電圧検出回路から出力される分圧電圧(Vb)が前記所定値以上になるように前記アルミ電解コンデンサに充電する充電制御手段(30、44)を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、判定手段(42)と充電制御手段(44)とが、それぞれ、分圧電圧(Vb)を用いている。このことにより、判定手段(42)と充電制御手段(44)とが、1つの電圧検出手段(34)を共用していることになる。このため、判定手段(42)と充電制御手段(44)とが、それぞれ、別々の電圧検出手段を用いる場合に比べて、回路構成の増大化を抑制することができる。
【0015】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態における燃料噴射電磁弁駆動回路の回路構成を示す図である。
【図2】図1のコンパレータの出力信号、マイコンから出力される制御信号、ANDゲートから出力される出力信号のタイミングチャートである。
【図3】図1の切替スイッチの作動を示すフローチャートである。
【図4】図1の燃料噴射電磁弁駆動回路の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る自動車用放電電流制御回路が適用される燃料噴射電磁弁駆動回路1の一実施形態について図1〜図4に基づいて説明する。図1は本実施形態の燃料噴射電磁弁駆動回路1の電気回路構成を示す図である。
【0018】
本実施形態の燃料噴射電磁弁駆動回路1は、自動車用内燃機関にディーゼル燃料を噴射する燃料噴射装置に用いられる電磁弁2(図1中インダクタの記号を示す)を制御する電子制御装置である。具体的には、燃料噴射電磁弁駆動回路1は、図1に示すように、放電スイッチ10、アルミ電解コンデンサ20、放電電圧制御回路30、ドライバ回路40、抵抗素子50、およびマイコン(マイクロコンピュータ)60を備える。
【0019】
放電スイッチ10は、アルミ電解コンデンサ20のプラス電極および電磁弁2の間に配置されている。放電スイッチ10は、後述するANDゲート45の出力信号に応じて、オン、オフすることにより、アルミ電解コンデンサ20のプラス電極および電磁弁2の間を接続、或いは開放する。
【0020】
本実施形態の電磁弁2は、燃料噴射装置の燃料の噴出口を開口或いは閉鎖する弁体(図示省略)を駆動する。電磁弁2は、その電磁コイルに通電されると、弁体がリターンスプリングの付勢力に抗して開弁位置に移動して噴出口を開口する常閉型の電磁弁である。また、放電スイッチ10としては、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、電界効果トランジスターなどの半導体スイッチ素子が用いられる。
【0021】
アルミ電解コンデンサ20は、放電電圧制御回路30および放電スイッチ10の間に配置されて、後述するように、放電電圧制御回路30から出力されるエネルギを蓄える。
【0022】
放電電圧制御回路30は、インダクタ31、充電スイッチ32、ダイオード33、および放電電圧モニタ回路34を備える。
【0023】
インダクタ31は、電源VBとグランドとの間に配置されている。充電スイッチ32は、インダクタ31とグランドとの間に配置されている。なお、充電スイッチ32としては、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、電界効果トランジスター等の半導体スイッチ素子が用いられる。
【0024】
ダイオード33は、充電スイッチ32およびインダクタ31の間の共通接続端子35とアルミ電解コンデンサ20のプラス電極との間に配置されて、アルミ電解コンデンサ20のプラス電極から共通接続端子35に電流が流れることを防止する。
【0025】
放電電圧モニタ回路34は、放電電圧Vhを検出するために抵抗素子34a、34bを備えている。放電電圧Vhは、ダイオード33のカソード端子とグランドとの間の電圧である。すなわち、放電電圧Vhは、アルミ電解コンデンサ20のプラス電極およびマイナス電極の間の電圧である。抵抗素子34a、34bは、アルミ電解コンデンサ20のプラス電極とグランドとの間で直列に接続されている。抵抗素子34a、34bの間の共通接続端子34cは、放電電圧Vhを抵抗素子34a、34bにより分圧した分圧電圧Vbを出力する。
【0026】
ドライバ回路40は、コンパレータ41、42、43、基準電圧発生回路41a、42a、43a、43b、SW制御回路44、ANDゲート45、および切替スイッチ46を備える。
【0027】
コンパレータ41は、共通接続端子34cから出力される分圧電圧Vbと基準電圧発生回路41aから出力される一定の出力電圧V0との比較に応じてハイレベル信号或いはローレベル信号をSW制御回路44に出力する。
【0028】
本実施形態のコンパレータ41の非反転入力端子(−)には、共通接続端子34cから出力される分圧電圧Vbが入力される。コンパレータ41の反転入力端子(+)には、基準電圧発生回路41aから出力される一定の出力電圧V0が入力される。
【0029】
コンパレータ42は、放電電圧Vhが所定電圧よりも低くなったか否かを判定するために、共通接続端子34cから出力される分圧電圧Vbと基準電圧発生回路42aから出力される一定の出力電圧Vthとを比較して、この比較結果に応じて、ハイレベル信号或いはローレベル信号を切替スイッチ46に出力する。
【0030】
本実施形態のコンパレータ42の非反転入力端子(−)には、共通接続端子34cから出力される分圧電圧Vbが入力される。コンパレータ42の反転入力端子(+)には、基準電圧発生回路42aから出力される一定電圧Vthが入力される。一定電圧Vthは、アルミ電解コンデンサ20が低温であるか否かを判定するための所定値である。
【0031】
コンパレータ43は、抵抗素子50と電磁弁2との間の共通接続端子51から出力されるモニタ電圧と切替スイッチ46の出力電圧との比較に応じて、ハイレベル信号或いはローレベル信号を出力する。
【0032】
本実施形態のコンパレータ43の非反転入力端子(−)には、共通接続端子51から出力されるモニタ電圧が入力される。コンパレータ43の反転入力端子(+)には、切替スイッチ46の出力電圧が入力される。切替スイッチ46は、後述する可動端子46aの切替に応じて、基準電圧V1或いは基準電圧V2を出力する。
【0033】
ANDゲート45は、コンパレータ43の出力信号とマイコン60から出力される制御信号との論理積演算を実施して、ハイレベル信号或いはローレベル信号を放電スイッチ10に出力する。
【0034】
切替スイッチ46の可動端子46aは、固定端子46b、46cのうちいずれか一方に接続し、他方の固定端子との間を開放する。固定端子46bには、基準電圧発生回路43aの出力端子が接続されている。固定端子46cには、基準電圧発生回路43bの出力端子が接続されている。
【0035】
基準電圧発生回路43aは、一定の基準電圧V1を出力する。基準電圧V1は、アルミ電解コンデンサ20の温度が常温(例えば、5℃〜30℃)であるときの放電電流制御値であって、コンパレータ43においてモニタ電圧の比較対象となる閾値である。具体的には、基準電圧V1は、放電電流の狙い値(目標値)I1に対応するものであって、抵抗素子50の抵抗値をRとすると、V1=I1×Rとなる。
【0036】
基準電圧発生回路43bは、一定の基準電圧V2を出力する。基準電圧V2は、
アルミ電解コンデンサ20の温度が低温(例えば、5℃〜−30℃)であるときの放電電流制御値であって、コンパレータ43においてモニタ電圧の比較対象となる閾値である。具体的には、基準電圧V2は、放電電流の狙い値(目標値)I2に対応するものであって、抵抗素子50の抵抗値をRとすると、V2=I2×Rとなる。
【0037】
ここで、狙い値I2は、狙い値I1に補正値ΔI(例えば、0.6ボルト)を加えた値(I1+ΔI)である。補正値ΔIは、後述するように、アルミ電解コンデンサ20が低温である場合に放電スイッチ10のオフ後に放電電流のオーバーシュートが生じる際の放電電流の最大値を、アルミ電解コンデンサ20の温度が常温である場合に放電スイッチ10のオフ後に放電電流のオーバーシュートが生じる際の放電電流の最大値に近づけるように設定されている。
【0038】
SW制御回路44は、コンパレータ41の出力信号に応じて、充電スイッチ32のスイッチング制御の開始、およびその停止を実施する。
【0039】
抵抗素子50は、電磁弁2およびグランドとの間に配置されている。抵抗素子50と電磁弁2との間の共通接続端子51は、モニタ電圧を出力する。モニタ電圧は、放電電流が抵抗素子50に流れる際に抵抗素子50の両端子間に生じる電圧である。放電電流は、アルミ電解コンデンサ20のプラス電極から放電スイッチ10、および電磁弁2を通してグランドに流れる電流である。
【0040】
マイコン60は、放電スイッチ10をオンさせるための制御信号をANDゲート45に出力する制御処理と、充電スイッチ32をスイッチングさせることをSW制御回路44に対して許可或いは禁止する許可/禁止処理とをそれぞれ実行する。
【0041】
次に、本実施形態の燃料噴射電磁弁駆動回路1の作動について説明する。
【0042】
図2(a)はコンパレータ43の出力信号のタイミングチャート、図2(b)はマイコン60からANDゲート45に出力される制御信号のタイミングチャート、図2(c)はANDゲート45の出力信号のタイミングチャート、図2(d)はマイコン60からSW制御回路44に出力される許可/禁止信号のタイミングチャートである。図3は切替スイッチ46aの作動を示すフローチャートである。図4(a)は分圧電圧Vbのタイミングチャート、図4(b)は放電電流のタイミングチャートである。
【0043】
まず、放電スイッチ10をオフしているときには、後述するように、充電スイッチ32のスイッチングによりアルミ電解コンデンサ20が充電される。よって、分圧電圧Vbが基準電圧発生回路42aの出力電圧Vthよりも高くなる(図3中ステップS100:NO)。このため、コンパレータ42は、放電電圧Vhが
所定電圧以上であるとして、ローレベル信号を切替スイッチ46に出力する。したがって、切替スイッチ46の可動端子46aが固定端子46bに接続する。よって、基準電圧発生回路43aの出力端子がコンパレータ43の非反転入力端子(+)に接続されている。したがって、コンパレータ43の非反転入力端子(+)には、基準電圧発生回路43aの出力電圧V1が与えられる。つまり、コンパレータ43において、放電電流の比較する対象としての閾値を狙い値I1に設定する(図3中ステップS110)。
【0044】
ここで、上述の如く、放電スイッチ10をオフしているときには、共通接続端子51から出力されるモニタ電圧の方が基準電圧発生回路43aの出力電圧V1に比べて低くなる。このため、コンパレータ43は、ハイレベル信号をANDゲート45に出力する。このとき、マイコン60がローレベルの制御信号(図2(b)参照)をANDゲート45に出力していると、ANDゲート45がローレベル信号を放電スイッチ10に出力する。よって、放電スイッチ10がオフを維持することになる。
【0045】
次に、マイコン60は、タイミングt1にて、ANDゲート45に対して出力する制御信号レベルをローレベルからハイレベルに変化させる。これに伴い、ANDゲート45は、放電スイッチ10に対する出力信号レベルをローレベルからハイレベルに変化させる。よって、放電スイッチ10がオンする。これにより、放電スイッチ10がアルミ電解コンデンサ20のプラス電極および電磁弁2の間を接続する。これに伴い、アルミ電解コンデンサ20のプラス電極から放電電流が放電スイッチ10、電磁弁2、および抵抗素子50を通してグランドに流れる。
【0046】
例えば、アルミ電解コンデンサ20の温度が常温であるときには、ESR(等価直列抵抗)の値が小さい。このため、放電電流は、時間の経過に伴って急激に大きくなる(図4(b)中実線のグラフ参照)。
【0047】
ここで、アルミ電解コンデンサ20の温度が常温である場合には、放電電流が大きくなることに伴って、放電電圧Vhが低下するものの、図4(a)中の実線のグラフに示すように、共通接続端子34cから出力される分圧電圧Vbは、電圧Vthよりも大きな値を維持する。このため、コンパレータ42は、切替スイッチ46に対する出力信号レベルをローレベルに維持する。よって、切替スイッチ46が、基準電圧発生回路43aの出力端子とコンパレータ43の非反転入力端子(+)との間の接続を維持する。その後、タイミングt2において、放電電流が電流値I1よりも大きくなると、共通接続端子51から出力されるモニタ電圧の方が基準電圧発生回路43aの出力電圧V1に比べて高くなる。このため、コンパレータ43は、ANDゲート45に対する出力信号レベルをハイレベルからローレベルに変化させる。すなわち、コンパレータ43は、放電電流が電流値I1よりも大きくなったと判定して、出力信号レベルをハイレベルからローレベルに変化させることになる。よって、ANDゲート45は、放電スイッチ10に対する出力信号レベルをハイレベルからローレベルに変化させる。これにより、放電スイッチ10がオフすることになる。その後、放電電流において、電流値I1を越えるオーバーシュートが生じる。そして、放電電流は、最大値VP1に到達してから時間の経過に伴って小さくなる。
【0048】
一方、アルミ電解コンデンサ20の温度が低温であるときには、ESR(等価直列抵抗)の値が大きくなる。このため、放電電流は、時間の経過に伴って徐々に大きくなる。つまり、アルミ電解コンデンサ20が低温であるときには、常温である場合に比べて放電電流の立ち上がりの傾斜が小さくなる(図4(b)中鎖線のグラフ参照)。
【0049】
ここで、放電電流が大きくなることに伴って、放電電圧Vhが時間の経過に伴って低下する。これに伴って、図4(a)の鎖線のグラフに示すように、共通接続端子34cから出力される分圧電圧Vbが、電圧Vthよりも小さくなる(図3中ステップS100:YES)。このため、コンパレータ42は、放電電圧Vhが所定電圧よりも低くなったとして、切替スイッチ46に対する出力信号レベルをローレベルからハイレベルに変化させる。よって、切替スイッチ46では、可動端子46aと固定端子46bとの間を開放し、可動端子46aと固定端子46cとの間を接続する。このため、切替スイッチ46がコンパレータ43の非反転入力端子(+)と基準電圧発生回路43aの出力端子との間を開放し、かつコンパレータ43の非反転入力端子(+)と基準電圧発生回路43bの出力端子との間を接続する。このため、コンパレータ43の非反転入力端子(+)には、基準電圧発生回路43bの出力電圧V2が与えられる。つまり、コンパレータ43において、放電電流の比較する対象としての閾値が狙い値I2に設定されることになる(図3中ステップS120)。
【0050】
その後、タイミングt2において、放電電流が電流値I2(>I1)を越えると、共通接続端子51から出力されるモニタ電圧の方が基準電圧発生回路43bの出力電圧V2に比べて高くなる。このため、コンパレータ43は、ANDゲート45に対する出力信号レベルをハイレベルからローレベルに変化させる。すなわち、コンパレータ43は、放電電流が電流値I2(>I1)よりも大きくなったと判定して、出力信号レベルをハイレベルからローレベルに変化させることになる。よって、ANDゲート45は、放電スイッチ10に対する出力信号レベルをハイレベルからローレベルに変化させる。これにより、放電スイッチ10がオフすることになる。その後、放電電流において、オーバーシュートが生じる。そして、放電電流は、最大値VP1’に到達してから時間の経過に伴って小さくなる。
【0051】
また、タイミングt2において、上述の如く、コンパレータ43の出力信号レベルがハイレベルからローレベルに変化すると、マイコン60は、制御信号の信号レベルをハイレベルからローレベルに変化させる(図2(b)参照)。
【0052】
ここで、マイコン60は、制御信号としてハイレベル信号を出力している期間には、SW制御回路44に対して充電スイッチ32をスイッチング制御することを禁止する禁止信号をSW制御回路44に出力する。一方、マイコン60は、制御信号としてローレベル信号を出力している期間には、SW制御回路44に対して充電スイッチ32をスイッチング制御することを許可する許可信号をSW制御回路44に出力する。このため、SW制御回路44が充電スイッチ32に対するスイッチング制御を実施する。以下、SW制御回路44による充電スイッチ32の制御について説明する。
【0053】
まず、共通接続端子34cから出力される分圧電圧Vbの方が基準電圧発生回路41aの出力信号V0に比べて小さいときには、コンパレータ41は、ハイレベル信号をSW制御回路44に出力する。このとき、マイコン60が許可信号をSW制御回路44に与えている場合には、SW制御回路44は、充電スイッチ32に対してスイッチング制御信号を出力する。したがって、充電スイッチ32がスイッチング制御信号に基づいてスイッチングを開始する。
【0054】
ここで、充電スイッチ32がオンしているときに、電源VBからインダクタ31および充電スイッチ32を通してグランドに流れる。このため、インダクタ31にエネルギが蓄えられる。その後、充電スイッチ32がオフすると、インダクタ31に蓄えられたエネルギに基づいて、インダクタ31から電流がダイオード33を通してアルミ電解コンデンサ20のプラス電極側に流れる。これに伴い、インダクタ31から出力されるエネルギがアルミ電解コンデンサ20に蓄えられる。
【0055】
このような充電スイッチ32のオン、オフを繰り返すことにより、電源VBからインダクタ31を介するアルミ電解コンデンサ20への充電が行われることになる。このため、アルミ電解コンデンサ20のプラス電極とマイナス電極との間の放電電圧Vhが徐々に上昇して分圧電圧Vbの方が基準電圧発生回路41aの出力信号V0に比べて大きくなる。これにより、コンパレータ41は、SW制御回路44に対する出力信号のレベルをハイレベルからローレベルに変化させることになる。
【0056】
すると、SW制御回路44は、充電スイッチ32に対するスイッチング制御信号の出力を停止する。このため、充電スイッチ32がスイッチングすることを停止する。
【0057】
その後、上述したようにアルミ電解コンデンサ20から電磁弁2に対して放電電流が流れると、放電電圧Vhが低下して分圧電圧Vbが基準電圧発生回路41aの出力信号V0に比べて低くなり、コンパレータ41がSW制御回路44に対する出力信号のレベルをハイレベルからローレベルに変化させる。よって、SW制御回路44は、充電スイッチ32に対するスイッチング制御信号の出力を開始する。このため、充電スイッチ32がスイッチングを開始する。したがって、電源VBからインダクタ31を介するアルミ電解コンデンサ20への充電が開始される。その後、放電電圧Vhが上昇して分圧電圧Vbの方が基準電圧発生回路41aの出力信号V0に比べて大きくなると、コンパレータ41が、SW制御回路44に対する出力信号のレベルをハイレベルからローレベルに変化させる。よって、SW制御回路44は、充電スイッチ32に対するスイッチング制御信号の出力を停止する。このため、充電スイッチ32がスイッチングを停止する。
【0058】
このように電源VBからインダクタ31を介するアルミ電解コンデンサ20への充電、および充電停止が繰り返されることにより、放電電圧Vhを一定電圧V0(図2参照)に近づけることができる。
【0059】
以上説明した本実施形態によれば、マイコン60が放電スイッチ10をオンさせるためにハイレベルの制御信号をANDゲート45に出力する。このとき、コンパレータ43がハイレベル信号をANDゲート45に出力していると、ANDゲート45がハイレベル信号を放電スイッチ10に出力する。このため、放電スイッチ10がオンする。このため、アルミ電解コンデンサ20のプラス電極からの放電電流が放電スイッチ10、電磁弁2および抵抗素子50を通してグランドに流れる。その後、コンパレータ43は、モニタ電圧が電圧V1(或いは、電圧V2)よりも大きくなると、放電電流が閾値よりも大きくなったとしてローレベル信号をANDゲート45に出力する。これに伴い、ANDゲート45がローレベル信号を放電スイッチ10に出力するので、放電スイッチ10がオフする。
【0060】
ここで、アルミ電解コンデンサ20の温度が常温であるときには、放電スイッチ10のオン後にて分圧電圧Vbが基準電圧発生回路42aの出力電圧Vthよりも高い状態を維持して、コンパレータ42がローレベル信号を切替スイッチ46に出力する。これに伴い、切替スイッチ46がコンパレータ43におけるモニタ電圧の比較対象として電圧V1に設定する。電圧V1は、放電電流の狙い値I1に対応している。
【0061】
ここで、アルミ電解コンデンサ20の温度が低温である場合には常温時に比べて、アルミ電解コンデンサのESR(等価直列抵抗値)が大きくなる。このため、アルミ電解コンデンサ20の温度が低温である場合には常温時に比べて放電電流の時間に対する傾きが小さくなる(図4(b)参照)。これに伴い、低温時には常温時に比べて、放電スイッチ10のオフディレイ(オフ後)の放電電流のオーバーシュートが小さくなる。よって、低温時において、切替スイッチ46がコンパレータ43におけるモニタ電圧の比較対象として電圧V1に設定すると、低温時における放電電流のオーバーシュート時の放電電流の最大値VP2が、常温時における放電電流のオーバーシュート時の放電電流の最大値VP1よりも低くなる。
【0062】
これに対して、本実施形態では、アルミ電解コンデンサ20の温度が低温であるときには、放電スイッチ10のオン後にて分圧電圧Vbが基準電圧発生回路42aの出力電圧Vthよりも低くなり、コンパレータ42がハイレベル信号を切替スイッチ46に出力する。これに伴い、切替スイッチ46がコンパレータ43におけるモニタ電圧の比較対象として電圧V2に設定する。電圧V2は放電電流の狙い値I2に対応している。狙い値I2は、狙い値I1に補正値ΔIを加えた値(I1+ΔI)である。
【0063】
ここで、補正値ΔIは、低温時における放電電流のオーバーシュート時の放電電流の最大値VP1’を、常温時における放電電流のオーバーシュート時の放電電流の最大値VP1に近づけるように設定されている。したがって、放電スイッチ10のオフ後に放電電流のオーバーシュートが発生した時の放電電流の最大値が小さくなることを抑えることができる。
【0064】
本実施形態では、SW制御回路44が充電スイッチ32を制御する際に分圧電圧Vbを用いている。コンパレータ42においてアルミ電解コンデンサ20が低温であるか否かを判定するために分圧電圧Vbを用いている。このことにより、コンパレータ42とSW制御回路44とは、1つの分圧回路34を共用していることになる。よって、コンパレータ42とSW制御回路44とで、別々の分圧回路を設ける場合に比べて、回路構成が増大化を抑制することができる。
【0065】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、電磁弁2を負荷とした例について説明したが、これに限らず、電磁弁以外の他のものを負荷としてもよい。
【0066】
上述の実施形態では、本発明に係る電磁弁2として、ディーゼル燃料を噴射する燃料噴射装置に用いられるものを示したが、これに限らず、本発明に係る電磁弁2を、ガソリン、エタノール、ガソリン及びエタノールの混合燃料等の各種の燃料を噴射する燃料噴射装置に用いてもよい。
【0067】
上述の実施形態では、放電スイッチ10をアルミ電解コンデンサ20のプラス電極と電磁弁2との間に配置した例について説明したが、これに代えて、電磁弁2と抵抗素子50の間に放電スイッチ10を配置してもよく、抵抗素子50とグランドとの間に放電スイッチ10を配置してもよい。
【0068】
上述の実施形態では、コンパレータ41により分圧電圧Vbと電圧発生回路41aから出力される一定電圧V0とを比較して、この比較結果に応じてSW制御回路44が充電スイッチ32をスイッチングさせたり、或いは、その充電スイッチ32のスイッチングを停止させたりした例について説明したが、これに代えて、コンパレータ41により放電電圧Vhと一定電圧とを比較して、この比較結果に応じてSW制御回路44が充電スイッチ32をスイッチングさせたり、或いは、その充電スイッチ32のスイッチングを停止させたりしてもよい。
【0069】
上述の実施形態では、コンパレータ42により分圧電圧Vbと電圧発生回路42aから出力される一定電圧Vthとを比較して、この比較結果に応じて切替スイッチ46aによる閾値の切替を実施した例について説明したが、これに代えて、
コンパレータ42により放電電圧Vhと一定電圧とを比較して、この比較結果に応じて切替スイッチ46aによる閾値の切替を実施してもよい。
【0070】
次に、特許請求の範囲と実施形態との対応関係について説明する。
【0071】
まず、ANDゲート45とコンパレータ43とが制御手段を構成している。分圧回路34が電圧検出手段に対応し、コンパレータ42が判定手段に対応し、切替スイッチ46が設定手段に対応し、放電電圧制御回路30およびSW制御回路44が充電制御手段を構成している。
【符号の説明】
【0072】
1 燃料噴射電磁弁駆動回路
2 電磁弁
10 放電スイッチ
20 アルミ電解コンデンサ
30 放電電圧制御回路
31 インダクタ
32 充電スイッチ
33 ダイオード
34 放電電圧モニタ回路
40 ドライバ回路
41 コンパレータ
42 コンパレータ
43 コンパレータ
41a 基準電圧発生回路
42a 基準電圧発生回路
43a 基準電圧発生回路
43b 基準電圧発生回路
44 SW制御回路
45 ANDゲート
46 切替スイッチ
50 抵抗素子
60 マイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ電解コンデンサ(20)と、
前記アルミ電解コンデンサから負荷(2)を通してグランドに流れる放電電流を検出する電流検出手段(50)と、
オンすることにより前記アルミ電解コンデンサおよび前記負荷の間を接続し、オフすることにより前記アルミ電解コンデンサおよび前記負荷の間を開放する放電スイッチ(10)と、
前記放電スイッチをオンさせた後に前記電流検出手段の検出電流値が閾値よりも大きくなると、前記放電スイッチをオフさせる制御手段(43、45)と、を備える自動車用放電電流制御回路であって、
前記放電スイッチをオンさせた後に前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧よりも低くなったか否かを判定することにより、前記アルミ電解コンデンサが低温であるか否かを判定する判定手段(42)と、
前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧以上であると前記判定手段が判定したときには前記アルミ電解コンデンサが常温であるとして、第1の電流値(I1)を前記閾値とし、前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧よりも低くなったと前記判定手段が判定したときには前記アルミ電解コンデンサが低温であるとして、前記第1の電流値(I1)に補正値(ΔI)を加えた値(I1+ΔI)を前記閾値とする設定手段(46)と、を備え、
前記アルミ電解コンデンサが低温である場合に前記放電スイッチのオフ後に前記放電電流のオーバーシュートが生じる際の前記放電電流の最大値(VP1’)を、前記アルミ電解コンデンサが常温である場合に前記放電スイッチのオフ後に前記放電電流のオーバーシュートが生じる際の前記放電電流の最大値(VP1)に近づけるように前記補正値(ΔI)が設定されていることを特徴とする自動車用放電電流制御回路。
【請求項2】
アルミ電解コンデンサ(20)と、
前記アルミ電解コンデンサから負荷(2)を通してグランドに流れる放電電流を検出する電流検出手段(50)と、
オンすることにより前記負荷および前記グランドの間を接続し、オフすることにより前記負荷および前記グランドの間を開放する放電スイッチ(10)と、
前記放電スイッチをオンさせた後に前記電流検出手段の検出電流値が閾値よりも大きくなると、前記放電スイッチをオフさせる制御手段(43、45)と、を備える自動車用放電電流制御回路であって、
前記放電スイッチをオンさせた後に前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧よりも低くなったか否かを判定することにより、前記アルミ電解コンデンサが低温であるか否かを判定する判定手段(42)と、
前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧以上であると前記判定手段が判定したときには前記アルミ電解コンデンサが常温であるとして、第1の電流値(I1)を前記閾値とし、前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧よりも低くなったと前記判定手段が判定したときには前記アルミ電解コンデンサが低温であるとして、前記第1の電流値(I1)に補正値(ΔI)を加えた値(I1+ΔI)を前記閾値とする設定手段(46)と、を備え、
前記アルミ電解コンデンサが低温である場合に前記放電スイッチのオフ後に前記放電電流のオーバーシュートが生じる際の前記放電電流の最大値(VP1’)を、前記アルミ電解コンデンサが常温である場合に前記放電スイッチのオフ後に前記放電電流のオーバーシュートが生じる際の前記放電電流の最大値(VP1)に近づけるように前記補正値(ΔI)が設定されていることを特徴とする自動車用放電電流制御回路。
【請求項3】
前記アルミ電解コンデンサの両電極間に直列に接続される第1、第2の抵抗素子(34a、34b)を備え、前記第1、第2の抵抗素子によって前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧を分圧した分圧電圧(Vb)を前記第1、第2の抵抗素子の間の中間接続端子(34c)から出力する電圧検出回路(34)を備え、
前記分圧電圧(Vb)が一定電圧(Vth)よりも低くなった否かを判定することにより、前記アルミ電解コンデンサの両電極間の電圧が所定電圧よりも低くなったか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用放電電流制御回路。
【請求項4】
前記電圧検出回路から出力される分圧電圧(Vb)が所定値(V0)以下であるときには、前記電圧検出回路から出力される分圧電圧(Vb)が前記所定値以上になるように前記アルミ電解コンデンサに充電する充電制御手段(30、44)を備えることを特徴とする請求項3に記載の自動車用放電電流制御回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−104303(P2013−104303A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246538(P2011−246538)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】