説明

自動車用樹脂製廃材の再生方法

【課題】物性の良好な再生樹脂材料を得ることができる自動車用樹脂製廃材の再生方法を提供する。
【解決手段】塗膜を有する自動車用樹脂製廃材から異物を除去して、再度新たな樹脂材料として再生する自動車用樹脂製廃材の再生方法である。樹脂製廃材を粗破砕する粗破砕工程Aと、粗破砕工程Aによって得られた粗破砕物の中から金属製の異物を除去する金属除去工程Bと、金属除去工程B後の粗破砕物を粉砕する粉砕工程Cと、粉砕工程によって得られた粉砕物の中から残留異物を選別除去する異物選別工程Dとを有し、さらに、少なくとも粗破砕工程Aの後に環式化合物C537によって塗膜を除去する塗膜除去工程Eを有することを特徴とする。塗膜除去工程E中、又は塗膜除去工程Eの直後に、樹脂製廃材に力学的外部エネルギーを与えることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃車にされる自動車から取り外された塗膜を有する樹脂製の外装廃材や内装廃材から異物を除去して、最終的に新たな樹脂材料として再生(リサイクル)する、自動車用樹脂製廃材の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PETボトルやレアメタルなどを始めとして、種々の分野でリサイクルが積極的に進められている。自動車の分野でも、バンパー、ロッカーモール、エアスポイラー、ライセンスガーニッシュ等の外装材や、インストルメントパネル、ピラーガーニッシュ、シートのサイドシールド等の内装材など、樹脂製廃材のリサイクルも検討されている。一般的にこれら自動車用樹脂製廃材の表面には、塗装のための塗膜を有することが多い。
【0003】
この種の再生方法としては、例えば下記特許文献1や特許文献2に開示された技術が既に知られている。これらは、塗膜を有するPP製のバンパー廃材を粉砕して異物を除去した後、適宜バージン樹脂(非再生樹脂)やタルクなど所定の添加物を加えて溶融混練し、塗膜を含めて最終的にペレット化された再生樹脂材を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2003−268175号公報
【特許文献2】特開平11−147223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2では塗膜を含めて再生しているので、再生樹脂材料の物性が低下してしまう。これでは、再生樹脂材料の用途も限定されてしまい、実用化には課題を有する。しかも、再生樹脂による物性低下を補うため、パージン材等もある程度の量添加することが必須となる。また、ペレット化された再生樹脂材料を得る場合は、押出し機によって細紐状に押し出される成形品を次の切断工程へ連続して送り出す必要があるが、塗膜の存在によって細紐状の成形品が途中で切れてしまうおそれもある。この場合、その都度加工ラインが止まるので、加工効率延いては生産性が低下してしまうという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、自動車用樹脂製廃材から塗膜も除去したうえで、物性の良好な再生樹脂材料を得ることができる自動車用樹脂製廃材の再生方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのための手段として、本発明は、塗膜を有する自動車用樹脂製廃材から異物を除去して、再度新たな樹脂材料として再生する自動車用樹脂製廃材の再生方法であって、環式化合物Cによって前記塗膜を除去する塗膜除去工程を有することを特徴とする。環式化合物Cによって処理すれば、樹脂基材を劣化させることなく、塗膜のみを的確に除去することができる。その理由は定かでは無いが、極性溶媒である環式化合物Cに対して、無極性の樹脂基材の分子構造は侵されないが、極性を有する塗膜の分子構造のみが破壊されるからではと考えられる。
【0008】
これによれば、従来の異物除去に加えて塗膜も除去しているので、得られる再生樹脂材料の物性低下を避けることができる。したがって、従来のようにバージン材を添加せずとも、ある程度の物性を担保することができる。バージン材を添加するとしても、その添加量を低減することができる。そのうえ、従来の再生樹脂材料では使用できなかった部材としての用途も広がり、実用性が向上する。また、ペレット化された再生樹脂材料として得る場合でも、押出し機から押し出された細紐状の成形品が途中で切れ難くなり、生産性も向上できる。
【0009】
また、本発明の自動車用樹脂製廃材の再生方法では、自動車用樹脂製廃材を粗破砕する粗破砕工程と、粗破砕工程によって得られた粗破砕物の中から金属製の異物を除去する金属除去工程と、金属除去工程後の粗破砕物を粉砕する粉砕工程と、粉砕工程によって得られた粉砕物の中から残留異物を選別除去する異物選別工程とを備えることが好ましい。これによれば、塗膜以外の金属や異物も確実に除去することができる。そのため、再生樹脂材料の物性をより的確に担保することができる。そのうえで、塗膜除去工程は、少なくとも粗破砕工程の後に行うことが好ましい。少なくとも粗破砕工程の後であれば、粉砕工程の前でもよいし後でも良い。また、異物選別工程の後でもよいし、異物選別工程の途中に組み込んでも構わない。塗膜除去工程は粗破砕工程の前に行うことも可能ではあるが、廃車から得られた樹脂製廃材をそのまま粗破砕等せずに処理するには大型の処理槽が必要となるので処理施設が大型化したり輸送効率が悪いなど、処理が大変である。これに対し、塗膜除去工程を粗破砕工程の後に行えば、塗膜除去処理が容易である。また、ある程度の面積(外形寸法)は有するので、除去した塗膜の分離回収も容易である。したがって、仮に粉砕工程の後に微粉砕するような場合、塗膜除去工程は微粉砕工程の前に行うことが好ましい。樹脂製廃材を微粉砕した後に塗膜除去工程を行うと、除去した塗膜の分離回収が煩雑になるからである。
【0010】
また、塗膜除去工程中(環式化合物Cによって塗膜を除去している最中)、又は塗膜除去工程の直後に、自動車用樹脂製廃材に力学的外部エネルギーを与えることが好ましい。基本的には、塗膜は環式化合物Cによって化学的に樹脂基材から剥離されるが、場合によっては剥離しきれず残存していることもある。この場合、樹脂製廃材に力学的外部エネルギーを与えることで、塗膜を積極的に除去することができ、塗膜の除去残しを防ぐことができる。但し、力学的外部エネルギーによる積極的な除去は、環式化合物Cによる化学的な作用が前提となる。また、力学的外部エネルギーも併用すれば、処理時間を短縮することもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自動車用樹脂製廃材から、従来の異物に加えて塗膜をも除去したうえで再生するので、物性の良好な再生樹脂材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】PP製廃材の再生設備における前半ラインを示す模式図である。
【図2】PP製廃材の再生設備における後半ラインを示す模式図である。
【図3】PP製廃材の代表的な再生工程を示す工程図である。
【図4】廃車のバンパーに含まれる代表的な異物の種類及び数量と除去率を表したデータ表である。
【図5】PP製廃材の再生工程の変形例を示す模式図である。
【図6】PP製廃材の再生工程の別の変形例を示す模式図である。
【図7】PP製廃材の再生工程のさらに別の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、適宜図面を参照しながら本発明に係るの代表的な実施形態について説明する。本実施形態では、図3に示すように、自動車用樹脂製廃材を粗破砕する粗破砕工程A、粗破砕工程Aによって得られた粗破砕物の中から金属製の異物を除去する金属除去工程B、金属除去工程B後の粗破砕物を粉砕する粉砕工程C、粉砕工程Cによって得られた粉砕物の中から残留異物を選別除去する異物選別工程D、及び環式化合物Cによって塗膜を除去する塗膜除去工程Eなどを経て、再生される。
【0014】
処理対象である樹脂製廃材としては、廃車から取り外された、バンパー、ロッカーモール、エアスポイラー、ライセンスガーニッシュ等の樹脂製の外装廃材や、インストルメントパネル、ピラーガーニッシュ、シートのサイドシールド等の樹脂製の内装廃材など、表面にカラーコーティング用の塗膜を有するものであれば特に限定されない。これら内外装廃材は、代表的にはポリプロピレン(PP)製であるが、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)製や、ABSとポリカーポネート(PC)との共重合樹脂製のものもある。
【0015】
先ず、樹脂製廃材の再生ラインについて説明する。樹脂製廃材は、図外の破砕機によって大まかに破砕された粗破砕物として、図1の切出し機10に投入される(粗破砕工程A)。ここでの粗破砕物は、図4の代表的な異物を含むとともに、樹脂製廃材の表面には塗膜が付いたままである。切出し機10から排出された粗破砕物は、金属除去工程Bにおける鉄選別機のマグネットコンベア12によって搬送され、その間に粗破砕物に混じっている鉄をマグネットコンベア12で吸着して除去する(鉄除去工程B)。鉄が除去された粗破砕物は、マグネットコンベア12からコンベア13aに移送されて一方向へ搬送される。このとき、コンベア13aによって門型の非鉄金属選別機13を粗破砕物が通過することにより、アルミニウムなどの導電体内に例えば電磁誘導現象による渦電流を発生させ、それに伴う運動力を利用してアルミニウムなどの非鉄金属を粗破砕物から選別除去する(非鉄金属除去工程B)。
【0016】
金属除去工程Bを通過した粗破砕物は、金属以外の異物を含むとともに塗膜が付いたまま、コンベア14によって粉砕工程Cに送られる。粉砕工程Cにおいては、防音室15a内に設置された粉砕機15によって粗破砕物が粉砕され、粉砕機15から排出された粉砕物はパイプ通路30内の空気流によって異物選別工程Dに搬送される。異物選別工程Dでは、図4の代表的な異物のうち、テープ類等の軽質な異物が風力選別機16によって除去され(風力選別工程D)、砂や残留金属類が水比重差選別漕17によって除去される(比重差選別工程D)。さらに、異物選別工程Dの途中、具体的には風力選別工程Dと比重差選別工程Dの間に、環式化合物Cを主体成分とする溶液が貯留された塗膜除去槽11に粉砕物を浸漬することで塗膜を除去する塗膜除去工程Eも有する。このようにして異物と共に塗膜も除去された粉砕物は、洗浄・脱水機18に送られて汚れを落とした後(洗浄・脱水工程F)、大粒径材選別機19で所定値以上の粒径の粉砕物が除去されて、粉砕物の粒径が整えられる(整粒工程G)。このように、整粒工程Gを経た後には、異物及び塗膜が除去されていると共に粒径が整えられた粉砕樹脂廃材が得られる。
【0017】
大粒径材選別機19から送り出された粉砕樹脂廃材は、パイプ通路31内の空気流によって図2のストックタンク20に送り込まれる。一方、ストックタンク20の近傍には種々の添加材料を個別に入れた複数の仕込みホッパー26が設けられている。添加材料としては特に限定されないが、例えばバージン材(非再生樹脂)、ゴム材、タルク、及び顔料などから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの添加材料と粉砕樹脂廃材とが個々の材料供給機21によって二軸押出し機22に混合供給される(混合成形工程H)。なお、添加材料としてバージン材、ゴム材、タルク、及び顔料を添加する場合は、各材料供給機21において粉砕樹脂廃材が50〜90重量%、バージン材とゴムとの合計が5〜40重量%、タルクと顔料との合計が5〜10重量%となるように混合することが好ましい。このような重量比で粉砕樹脂廃材と添加材料とを混合することにより、比重=1.05±0.02、メルトフロー=30±10g/10min、シャルピー衝撃=20±10KJ/m2の実用的な物性を有する再生樹脂となる。また、二軸押出し機22に供給する直前に各種添加材料と粉砕樹脂廃材とを混合することで、再生樹脂の性状が均一になる。
【0018】
二軸押出し機22は、周知のように所定の温度に加熱されるハウジング内で平行な二軸のスクリューが回転駆動する構造である。この二軸押出し機22に供給された粉砕樹脂廃材と添加材料との混合材は、溶融混練されてペースト状になり、分離フィルター23を経て二軸押出し機22から押し出される。このとき、ペースト状の混合材は、分離フィルター23によって粒径が100μm程度の微細な異物が除去された後に複数の細紐状に押出し成形される。細紐状の成形品は、切断工程Iに向けて途切れることなく連続して送られ、切断機24によってペレット状に切断される。この再生樹脂ペレットは、パイプ通路32内の空気流によって製品タンク25に送り込まれ、この製品タンク25内にストックされる。
【0019】
上述のように、粉砕工程Cにおいて粉砕された粉砕物には、塗膜以外にも図4で示すような各種の異物が含まれている。そこで、異物選別工程Dにおいて、まず風力選別機16で軽量物を除去し(風力選別工程D)、次に水比重差選別漕17で重量物を除去する(比重差選別工程D)ことにより、異物を効率よく除去することができる。すなわち、先に水比重差選別漕17を用いると、風力選別機16を用いる前に乾燥工程が必要になるので効率が劣る。
【0020】
さらに、本実施形態では、風力選別工程Dと比重差選別工程Dとの間で塗膜を除去している(塗膜除去工程E)。塗膜除去工程Eで使用する環式化合物C溶液としては、例えば日本ゼオン社製のゼオローラ(登録商標)Hシリーズを好適に使用できる。環式化合物Cであれば、PP等の樹脂基材を劣化させること無く、自動車用の塗料として従来から使用されているウレタン系塗料、アクリル系塗料、アクリルウレタン系塗料など種々の塗料(塗膜)を除去することができる。塗膜除去工程Eでは、基本的には粉砕樹脂廃材を環式化合物C溶液に浸漬するだけでよい。これにより、塗膜が基材から剥離する。塗膜剥離工程Eは、常温で行うこともできるが、反応を促進させるため30〜90℃程度に加温して行うことが好ましい。浸漬時間は、塗料の種類や処理温度に応じて適宜調整すればよい。
【0021】
塗膜除去工程Eを風力選別工程Dの後に行う利点は、風力選別工程Dの後に比重差選別工程Dを行う上記利点と同様である。また、塗膜除去工程Eを比重差選別工程Dの前に行えば、次のような利点がある。すなわち、粉砕物には異物だけでなく、粉砕工程Cで生じた樹脂製廃材の微粉末や、粉砕によって一部剥離した塗膜なども含まれている。これをそのまま水比重差選別漕17に送り込むと、樹脂製廃材の微粉末が漕内に蓄積され、定期的に蓄積粉末を取り除く作業が余分に必要となる。これに対し、塗膜除去工程Eを比重差選別工程Dの前に行えば、このような不具合を解消することができる。さらに、塗膜除去工程Eでは粉砕物を処理溶液に晒すため、塗膜除去工程Eを洗浄・脱水工程Fより前に行っていれば、効率良く処理できる。なお、金属除去工程B、異物選別工程D及び分離フィルター23を用いた結果の異物除去率は、図4の「除去率」の欄に示すとおりである。
【0022】
(変形例)
上記実施形態では、塗膜除去工程Eを比重差選別工程Dの前に行ったが、図5に示すように、比重差選別工程Dの後に行うこともできる。この場合でも、風力選別工程Dと洗浄・脱水工程Fとの間で塗膜除去工程Eを行っているので、上記実施形態と同様に効率良く処理できる。また、粗破砕工程Aと粉砕工程Cの間に行っても良い。
【0023】
また、塗膜除去工程Eでは、場合によっては塗膜が完全に剥離しない場合もある。そこで、図6に示すように塗膜除去工程Eと同時に、又は図7に示すように塗膜除去工程Eの直後に、粉砕物へ力学的外部エネルギーを与えることが好ましい。これにより、環式化合物Cによる化学的な作用に加えて、力学的エネルギーによって塗膜を確実に除去することができる。力学的外部エネルギーとしては、振動、衝撃、摩擦などが挙げられる。粉砕物へ振動を与えるには、塗膜除去工程E中に超音波振動を与えたり、塗膜除去工程Eの後に振動機によって振動させることができる。粉砕物へ衝撃を与えるには、塗膜除去工程Eの後に、粉砕物をショットブラスト処理するなどが挙げられる。粉砕物へ摩擦を与えるには、塗膜除去工程E中に粉砕物を撹拌したり、塗膜除去工程Eの後にミキサーなどによって撹拌することもできる。なお、図5に示すような場合でも、塗膜除去工程E中、又は塗膜除去工程Eの直後に、粉砕物へ力学的外部エネルギーを与えることが好ましい。
【0024】
また、例えば特定の業者から指定の粉砕物を回収した場合は、粗破砕工程A〜粉砕工程Cを経ることなく、粉砕物を異物選別工程Dや塗膜剥離工程Eへ直接供給することもできる。この場合の粉砕物は、ストックタンク20とは別のストックタンクに送り込んで区別しておくこともある。
【0025】
(評価試験1)
環式化合物Cによる塗膜除去について、その効果を評価した。環式化合物Cとして、日本ゼオン社製のゼオローラHTAを使用した。評価試料には、表1に示す各種色の塗膜を有する、5cm角に切り出したPP製の自動車バンパー廃材を使用した。これら試料1〜6を、十分量のゼオローラHTAへ表1に示す条件で浸漬した際の塗膜の状態を目視にて観察した。その結果も表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
表1の結果から、環式化合物Cによって樹脂基材を変質させることなく、各種塗膜を的確に除去することができることがわかる。但し、試料4〜6のように条件によっては塗膜が残存しているものもあった。そこで、試料4〜6を粉砕してから50℃のゼオローラHTAに10時間浸漬した後、市販のミキサー(ナショナル製 MX-X103)によって撹拌してみたところ、粉砕試料同士が擦り合わされることで、ほぼ全ての塗膜を除去することができていた。これにより、力学的エネルギーを与えれば、確実に塗膜を除去できることがわかった。また、表1の結果から、浸漬条件としては、溶液温度が高い方が好ましく、また浸漬時間も長い方が好ましいことがわかった。
【0028】
(評価試験2)
次に、環式化合物Cによって塗膜が除去された樹脂製廃材から再生された樹脂の物性について評価した。当該評価試験には、塗膜を残したままの粉砕樹脂廃材100%(試料7)と、環式化合物Cによって完全に塗膜を剥離した粉砕樹脂廃材100%(試料8)と、PPバージン材100%(試料9)とを使用して80×10×4mm寸法の板状に成形し、当該成形試料7〜9のシャルピー衝撃値を評価した。その結果を表2に示す。なお、シャルピー衝撃値はISO179の規定に準拠して行い、衝撃ヘッド速度2.9±10%(m/s)、ハンマヘッド衝撃エネルギー2.0(J)における衝撃値を測定した。
【0029】
【表2】

【0030】
表2の結果から、塗膜を残したまま再生した試料7では、バージン材100%の試料9と比べて物性が大きく低下していた。これに対し、塗膜を完全に除去して再生した試料8では、試料9と同等の物性を有していた。
【符号の説明】
【0031】
10 切出し機
11 塗膜除去槽
12 マグネットコンベア
13 非鉄金属選別機
15 粉砕機
16 風力選別機
17 水比重差選別漕
18 洗浄・脱水機
19 大粒径材選別機
20 ストックタンク
21 材料供給機
22 二軸押出し機
23 分離フィルター
24 切断機
26 仕込みホッパー
A 粗破砕工程
B 金属除去工程
鉄除去工程
非鉄金属除去工程
C 粉砕工程
D 異物選別工程
風力選別工程
比重差選別工程
E 塗膜除去工程


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗膜を有する自動車用樹脂製廃材から異物を除去して、再度新たな樹脂材料として再生する自動車用樹脂製廃材の再生方法であって、
環式化合物C537によって前記塗膜を除去する塗膜除去工程を有することを特徴とする、自動車用樹脂製廃材の再生方法。
【請求項2】
前記自動車用樹脂製廃材を粗破砕する粗破砕工程と、
前記粗破砕工程によって得られた粗破砕物の中から金属製の異物を除去する金属除去工程と、
前記金属除去工程後の粗破砕物を粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程によって得られた粉砕物の中から残留異物を選別除去する異物選別工程とを有し、
前記塗膜除去工程を、少なくとも前記粗破砕工程の後に有することを特徴とする、請求項1に記載の自動車用樹脂製廃材の再生方法。
【請求項3】
前記塗膜除去工程中、又は前記塗膜除去工程の直後に、前記自動車用樹脂製廃材に力学的外部エネルギーを与えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の自動車用樹脂製廃材の再生方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−30467(P2012−30467A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171522(P2010−171522)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(309025638)小島産業株式会社 (3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】