説明

自動車等の始動走行制御装置

【課題】 自動車等の運転者は通常の走行時は、通常の注意力で、前進とバックを取り間違えることなく運転しているが、他のことに気を取られていた場合や、目視確認せず変速操作をした時等には、前進とバックを取り間違え、とっさに気が動転し誤認識しているため、さらにパニック状態となり、衝突等の重大事故となってしまうため、取付が容易で、かつ安価に達成できる自動車等の始動制御装置が望まれていた。
【解決手段】 自動車等の変速装置の変速シフト位置が、パーキング位置Pにあるときのみエンジン始動スイッチが機能し、エンジンが起動され、変速装置のシフト位置による作動は、パーキング位置Pを始点として、次がバック位置R、次がニュートラル位置N、次がドライブ位置D等と一定のシフトパターンとなることより誤作動を防止することを特徴とする自動車等の始動走行制御装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、又は電気自動車、又はハイブリット自動車(以下「自動車等」という)の走行制御装置、特に前進とバックのシフト位置を間違えて暴走するのを防止するための始動走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等のアクセルペダルとブレーキペダルを踏み間違え暴走する事故や、又は前進とバックを取り間違えて暴走する事故が頻繁に発生しており、特に無段変速機付自動車等、いわゆるオートマティック車で頻発している。この種の事故はほとんど人身事故となっており、したがって車社会の大きな社会問題としてクローズアップされており、確実なる解決が強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した如く、前進とバックのシフトの入れ間違いによる重要事故は日本だけでも毎年数千件も発生しており、世界的にみると非常に多く膨大な事故例の報告が、ほぼ毎日、なされてきているのである。
【0004】
運転者は通常の走行時は、通常の注意力で、前進とバックを取り間違えることなく運転しているが、他のことに気を取られていた場合や、目視確認せず変速操作をした時等には、前進とバックを取り間違え、とっさに気が動転し誤認識しているため、さらにパニック状態となり、衝突等の重大事故となってしまうのである。
【0005】
更に、近年、地球の温暖化問題より、電気自動車又はハイブリット自動車が開発されており、これらは、エンジン、又は駆動モーター(以下総称して「エンジン」と呼ぶ)で走行するが、これらの自動車等においても、同様の課題が重要視されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
自動車等の変速装置の変速シフト位置が、パーキング位置Pにあるときのみエンジン始動スイッチが機能し、エンジン始動スイッチが、連結位置になるとエンジン始動スイッチよりコンピュータを介してエンジンが起動され、
変速装置のシフト位置による作動は、パーキング位置Pを始点として、次がバック位置R、次がニュートラル位置N、次がドライブ位置D等と一定のシフトパターンとなることより誤作動を防止することを特徴とする自動車等の始動走行制御装置を提供する。
【0007】
自動車等の変速装置の変速シフト位置が、バック位置R、及び/又はドライブ位置Dには、音声信号用の回路がそれぞれ設けられており、音声信号発生装置に接続され、該音声信号発生装置を介してスピーカ等が接続され、人間の音声、又は音楽等の信号音声が発声され、シフト位置が信号音声により認知できることを特徴とする自動車等の始動走行制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は次の多くの効果を有するもので、
(1)変速シフトの誤操作という最大の課題を、他の弊害を生じることなく、しかも安価に、解決した画期的装置及び方法を提供するものである。
【0009】
(2)本発明構造は、構造が極めて単純であるため、新車に対しては当然であるが、中古車に対しても容易に取付けることができる。すなわちコンピュータ等の高度な電子回路を交換、改造することなく、取付することができる。
【0010】
(3)部品点数が少ないので、同様に故障し難く、製作コスト、取付コストを極めて安価にすることができる。
【0011】
(4)お年寄り、女性、及び初心者等の誤操作を起こしやすい運転者が、本発明の始動走行制御に対する認識がほとんどなくても、戸惑うことなく運転できるため、極めて目的にかなっており事故防止に多大な貢献をすることができる。
【0012】
(5)音声信号発生装置により運転者に、変速シフト位置を音声で知らせるため誤操作を防止し、暴走する事前に間違いを予知できる極めて大きな効果を発揮することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明実施例1の全体概略構成図である。
【図2】本発明実施例1の概略回路図である。
【図3】本発明実施例2の全体概略構成図である。
【図4】本発明実施例2の概略回路図である。
【図5】従来法の全体概略構成図である。
【図6】従来法の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、発明の効果に前述した如く、運転者は通常の走行時は、通常の注意力で、前進とバックを取り間違えることなく運転しているが、他のことに気を取られていた場合や、目視確認せず変速操作をした時等には、前進とバックを取り間違え、とっさに気が動転し誤認識しているため、さらにパニック状態となり、衝突等の重大事故となってしまうのである。
【0015】
その原因とされるのは、極めて基本的なシフト位置の構成に起因している。
すなわち、従来の自動車では、図5及び図6に示す如く、変速装置1の始動可能な変速シフト位置は、パーキング位置Pとニュートラル位置Nのいずれでも始動可能となっている。
【0016】
そして変速装置1の変速シフト位置はパーキング位置Pを始点として、次がバック位置R、次にニュートラル位置N、次が、ドライブ位置Dに、構成されている。
しかるに、パーキング位置Pでエンジンを始動した人は、次はバック位置Rであり、1段のシフトでバック位置Rとなる。
【0017】
前進するドライブ位置Dにするには、2段目のシフトのニュートラル位置Nを、経由して、3段目のシフトであるドライブ位置Dとしなければならない。
これに対し、ニュートラル位置Nでエンジンを始動した人は、次のシフト位置はドライブ位置Dである。バックしようとする場合は、反対側のバック位置Rに逆シフトすることになる。
次に前進するためにドライブ位置Dにするには、次の3段目のシフトであるドライブ位置Dとしなければならない。
【0018】
このように、エンジンの始動時のシフト位置の違いより、次のシフト位置が全く異なっていることである。
従って、運転動作は、その差異に十分な注意を払わねばならず、思いがけないバック動作、または前進動作となり、運転ミスの大きな要因となっていた。
【0019】
人間の操作時の感覚による判断は、間違うことが多く思い込みによる事故を完全に防止することが、フェールセーフの考えより重要視され、特に運転に慣れていない女性や高齢者の誤発進が社会問題となっている。
本発明はこれらの変速シフトの誤操作を無くすことができる実質的な構成を提供するものである。
【0020】
ドライブ位置D以外に、ドライブ位置D2、ブースト位置、その他を有する自動車等もあるがそれらに関しても、前述の機能に包含されるので、説明は省く。
【0021】
なお、本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0022】
運転者は通常の走行時は、通常の注意力で、前進とバックを取り間違えることなく運転しているが、他のことに気を取られていた場合や、目視確認せず変速操作をした時等には、前進とバックを取り間違え、とっさに気が動転し誤認識しているため、さらにパニック状態となり、衝突等の重大事故となってしまうのである。
【0023】
その原因とされるのは、極めて基本的なシフト位置の構成に起因している。
人間の操作時の感覚による判断は、間違うことが多く思い込みによる事故を完全に防止することが、フェールセーフの考えより重要視され、特に運転に慣れていない女性や高齢者の誤発信が社会問題となっている。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施例1を示すもので、実施例1の全体概略構成図を示すものである。
【0025】
図1に示す如く、本発明の自動車等においては、変速装置1の始動可能な変速シフト位置は、パーキング位置Pのみとなっている。ニュートラル位置Nでは、始動できないように構成されている。
【0026】
図2は実施例1の電気配線回路図を示すものである。
バッテリーBのプラス側は、ヒューズ等3を介してエンジン始動スイッチ2に結線されている。又、バッテリーBのマイナス側は、アースEに接続されている。
変速装置1の変速シフト位置が、パーキング位置Pとなっている状態で、エンジン始動スイッチ2が作動され連結位置2aになると、エンジン始動リレー4のコイル4aは励磁され、接続状態となり、エンジン始動スイッチ2よりコンピュータ5に電流が流れる。
コンピュータ5からは、各種の信号が発信されるが、例えば、イグニッション装置6に電流が流れエンジン7の点火プラグ8より放電し、エンジン7が起動されるのである。同時に、セルモータ連結スイッチ9がピニオンギヤを連結し、セルモータ10が回転しエンジン7を作動させる。
【0027】
変速装置1のシフト位置が、パーキング位置Pを外れた場合は、エンジン7の始動はできないよう構成されている。
このように構成することで、変速装置1のシフト位置は、パーキング位置Pを始点として、次がバック位置R、次にニュートラル位置N、次が、ドライブ位置Dと同一のシフトパターンとなり誤作動の発生を防ぐことができるのである。
もちろん、ニュートラル位置Nを削除して更に簡素化することもできる。
【実施例2】
【0028】
図3は、本発明の実施例2を示すもので、実施例2の概略構成図を示すものである。
図4は、本発明の実施例2の概略回路図を示す。
【0029】
本実施例は、実施例1に対し、更に誤作動を防止できる構成を提供するものである。
実施例1と異なるところを詳説する。
【0030】
変速装置1のシフト位置であるパーキング位置P、及び/又はバック位置R、及び/又はニュートラル位置N、及び/又はドライブ位置Dには、音声信号用の回路11がそれぞれ設けられ、音声信号発生装置12に、接続されている。
該音声信号発生装置12には、スピーカ等13が接続され、人間の音声、又は音楽等の信号音が発生されるように構成されている。
【0031】
変速装置1のシフト位置が、パーキング位置Pにシフトされた時は、その都度例えば人間の声で「パーキングです」と音声が流れるか、又はパーキング位置Pであることが解る音楽・信号音が流れるように構成される。
バック位置Rにシフトされた時は、その都度例えば人間の声で「バックします」と音声が流れるか、又はバック位置Bであることが解る音楽・信号音が流れるように構成される。
ニュートラル位置Nにシフトされた時は、その都度例えば人間の声で「ニュートラルです」と音声が流れるか、又はニュートラル位置Nであることが解る音楽・信号音が流れるように構成される。
ドライブ位置Dにシフトされた時は、その都度例えば人間の声で「前進します」と音声が流れるか、又はドライブ位置Dであることが解る音楽・信号音が流れるように構成される。
【0032】
これらの人間の音声、又は音楽等の信号音は、シフトの都度、発生されても、ときどき発生するように構成してもよく、その詳細は選択の範囲である。
【0033】
又、図4には、変速装置1のすべてのシフト位置に、音声信号発生装置12が接続されているが、望ましくは、バック位置R、及び/又はドライブ位置Dだけ発生されるように構成されると、よりシンプルで、安価な構成となる。
【0034】
又、スピーカ等は、オーディオスピーカの他、音声、振動、光信号を発生する電子機器を含むものであるためスピーカ等と総称する。
【0035】
この発明は次のように変形して実施することを含むものである。
(1)本発明は、通常のガソリン自動車の他、電気自動車、ハイブリット自動車にも エンジン、又は駆動モーターを制御することで適用することができる。
(2)本発明は、オートマティック仕様車のほか、ギヤチェンジ仕様車に、適用する ことができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の活用例としては、以上説明したように、自動車等の走行制御装置、特に前進位置とブレーキ位置を間違えて、暴走をするのを防止するという安全上の重要機能を新車、既存車すべてに対しても簡単に、安価に適用できる極めて産業上の利用価値の高い自動車等の走行制御装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
B バッテリー
E アース
P パーキング位置
R バック位置
N ニュートラル位置
D ドライブ位置
1 変速装置
2 エンジン始動スイッチ
2a 連結位置
3 ヒューズ等
4 エンジン始動リレー
4a コイル
5 コンピュータ
6 イグニッション装置
7 エンジン
8 点火プラグ
9 セルモータ連結スイッチ
10 セルモータ
11 音声信号用の回路
12 音声信号発生装置
13 スピーカ等

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車等の変速装置の変速シフト位置が、パーキング位置Pにあるときのみエンジン始動スイッチが機能し、エンジン始動スイッチが、連結位置になるとエンジン始動スイッチよりコンピュータを介してエンジンが起動され、
変速装置のシフト位置による作動は、パーキング位置Pを始点として、次がバック位置R、次がニュートラル位置N、次がドライブ位置D等と一定のシフトパターンとなることより誤作動を防止することを特徴とする自動車等の始動走行制御装置。
【請求項2】
自動車等の変速装置の変速シフト位置のバック位置R、及び/又はドライブ位置Dには、音声信号用の回路がそれぞれ設けられており、音声信号発生装置に接続され、該音声信号発生装置を介してスピーカ等が接続され、人間の音声、又は音楽等の信号音声が発声され、シフト位置が信号音声により認知できることを特徴とする自動車等の始動走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−62035(P2012−62035A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226990(P2010−226990)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(503335892)
【Fターム(参考)】